ヤドリギサードアイ   作:飛龍 蒼龍

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多分10話くらいで完結します


ヤドリギサードアイ

 

今日も今日とて暗く淀んだ地霊殿にて、万年筆を手に取り常に積み上がっていく書類を処理する生活が始まる……

 

まぁ、処理をするのは私ではなく、もう一人の私なのだがね

 

 

 

 

───

 

 

 

 

共生生物、というのを諸君らは知っているだろうか?

まぁ、今回必要なのはその中でも相利共生、と呼ばれるものの知識だ

 

この相利共生生物というのは、元々別の生物が互いに利益を産む共生関係を持っていることを言う

例として、イソギンチャクとクマノミやハゼとテッポウエビ、アリとアブラムシなどが挙げられる

 

 

これらの生物は互いが互いに弱点を補完しあい、共同生活を送っている事が殆どだ

 

 

この時点でもう既に色々と理解したもの達も居るだろう

そう、私は地霊殿の主、嫌われ者の古明地さとり……そのサードアイなどと呼ばれるモノだ

 

さとりと今のサードアイ()は先述の双利関係にあたる

私は読心能力をさとりに、さとりは私の移動手段であり、生命維持を手伝ってもらっている

 

 

 

詳しく説明するとだね……あぁ、君が聞きたいかどうかは知らないよ 私の自己満だ

 

 

話を戻そう、古明地さとりとサードアイ()は元は別の存在だった

アレは36万……いや、1万4000年前だったか……もしかしたら、数百年前の事かもしれない

 

 

私は知性ある生物に寄生する妖怪だった 寄生、と言っても完全に乗っ取る訳ではなく、生命維持と移動手段を手伝ってもらう程度だがね

妖精や野生動物に寄生することは容易だったが、まず思考と精神の問題で私達の持つ読心能力は生かせない

故に、森の茂みに潜みながら時を待ったのだ

 

そして、通りかかった古明地姉妹に寄生し今に至るわけだ その際、記憶を弄らせてもらったさ 不自然に思われて排除されたらひとたまりも無いからね 仕方ないね

 

…結果として、私の宿主のさとりは元の人だった頃の記憶をほぼ私に書き換えられ、古明地さとりと名乗りはじめたのだ

 

 

まぁ、今は私とさとりのパワーバランスが逆転し、私が付属物のようなものになっているのだがね

 

 

今の私を実在するものに例えるならば、チョウチンアンコウのオス、のようなもの……または細胞におけるミトコンドリア的なものと言うのが適切だろうか?

 

今のところ、私が出来ることはさとりに「心を読む程度の能力」

──心を読む程度と言いながら、他人の記憶を第三者に見せたり、残滓を拾い集めることが出来る──を提供するか、各種行動の補助──運動の際は適切な体の動かし方、戦闘の際は必要な感情、記憶の読取りや思考をする時の演算の補助など──くらいしかできないのだ

 

自由に使えるのは思考と能力のみ

 

 

私は正直、部屋にこもって机とにらめっこするより日の光を浴びて運動することや昼寝する事が大好きなのだ

 

 

さとりはよく紅茶を飲むのだが、私は紅茶よりコーヒーや緑茶の方が好きだ

紅茶も緑茶も元は同じ葉っぱというのは禁句だ

 

 

私は一日に12時間は寝たいのだが、さとりは仕事や読書に時間を費やし、一日にたったの3時間しか眠らない

自分で言うのはなんだが……私の場合は流石に眠りすぎたとは思うだが、確実に眠らない方がよっぽど身体と精神に悪い

 

 

私は常に地霊殿のペット達に囲まれて生活したいのだが、さとりは仕事や趣味にばかり時間を割くのでペット達も遠慮してちょっとしか寄ってこないのだ

私が主導権を握っていた頃はペット達に囲まれて寝ていたというのに、さとりは広々としたベットに寂しく一人で寝ている

 

 

 

やりたい事もやりたくない事も全ての決定権はさとりにあり、身体の主導権を握るさとりに委ねられている

 

 

 

つまるところ、私はとても暇なのである

 

 

 

 

 

今出来ることはいるかもわからない相手に向かって話続けることだけだ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




1話で主人公(?)しか出ない小説とは
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