無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ? 作:絆蛙
オリ主の容姿は考えるのめんどいのでビートくん(ドラゴンボールヒーローズのサイヤ人アバター)に近いのをイメージしてどうぞ。
異論は認めない。ビートくんいいよねビートくんかっこかわいいよ。でもビートくんは流石に強すぎるのでオリ主です。
短すぎてなんも分からないと思うので、昼頃にもう一話投稿しますが、それはそうと誰か書いて
太陽も出てない時間帯。
世間一般的には仕事がある人やオールしている人、早起きした人くらいしか起きてない時間だろう。
まだまだ暗く、街灯も何も無いここはより暗かった。
光もない上に足場は悪く、道を踏み外せば戻ってくるのは一苦労だ。
「よっ、ほっ、っしょ!」
朝っぱらから大量の汗を掻きながら、俺は今日も山を登っていた。
慣れた道。登山など慣れたら多少楽になるというのが人間というものらしいが、未だに楽になるどころかキツさが増している。
道は把握している。どこが危ないかどこが一番楽なのか。
しかし楽なところを行っても意味が無い。
道具を使うことなく崖を登り、川を泳ぎ、滝を上り、岩を飛び越え、山を飛び谷を越え、体幹を鍛えるために持ってきている割れ物を割らないように衝撃を殺して動く。
そうして終わり、などではなく巨大な見たこともないような魚がたまに襲ってくるしイノシシみたいなのが襲ってくるし、サルが食べ物盗んでくるしその他にも
ただこの世界では、はっきり言ってそれほど珍しいものでは無い。違うとなると、それが人間ではなくここでは本当の動物かくらいだ。
それらを掻い潜りながら登って登って、そこに一つの小屋があった。ベッドと箪笥がひとつずつ置かれており、部屋はひとつだけの質素な家。
残念ながら自分の家でもなければ家主は居ないのだが、俺はタンスの上にある
神社で人がやる、合掌というやつだ。
願い事をするのではなく、心の中で近況の報告と普通の話をしたら、俺は山を下る。
そうすれば次にやるのはランニングがてら牛乳配達。ただし普通の牛乳配達ではない。背中に重りを60キロ背負った状態で険しい道。
終わったら腰を痛めたらしく依頼されてるので畑仕事。ちなみにこれも普通じゃない。鍬を使わず手で耕す。
次に新聞配達、これも普通じゃない。
他にも色々とあるが、ちゃんと筋トレを忘れず、三時間ほどかけて終えると、俺はずっと背中に背負っていたある物を地面に落とした。
お陰で地面が没落したが、後で直すから許して欲しい。
それはそうとして、俺が何をやってるのか気になった人はいるだろう。
そのためにはまず語らなければならないことがある。
---ある日、発光する赤子が生まれたというニュースがあった。
それを境に次々と”異能“に目覚める者たちが現れ、原因も判然としないまま時は流れ現在。
世界総人口の約8割が何らかの特異体質となった超人社会。
かつて夢やフィクションの中にしかいなかったはずのヒーローは理想から現実となり、数多くのヒーローが輩出されてきた。そのものたちは誰もが『個性』と呼ばれる超能力を持ち、事故や災害から人々を守るのがヒーローの役目。
そして何より、”個性“を悪用し、犯罪を犯すヴィランと呼ばれる存在。
ヒーローはそれらを倒し、捕縛する他に災害から人々を守るコミックの主人公になれるような職業のことを指す。
今となると、なりたい職業ナンバーワンと言えるだろう。
しかし全ての人間が平等になったわけではなかった。
生まれた環境、備わった才能、得た力。
様々な要因があるものの、 ヒーローになれる者なんてひと握りだ。
個性があっても心が弱ければ立ち向かえない。憧れだけじゃ乗り越えられない壁だってあるんだろう。
でも力があるから、好き放題にできる。嫌なことが逃れたいから、行使する。
そういった人たちが悪事に手を染め、ヴィランとなる。
全員がヒーローになれるならば今頃もっとヒーローで溢れている。
俺からすれば、羨ましい限りだ。
さっき挙げた通り、この世界は『個性』が優劣を付ける。
仕事をするにしても個性。ヴィランと戦うにしても”個性“。日常においても”個性“。
だって例えば機械がいる重量あるものに対し、機械が必要なく浮かせたり運んだりすることも出来るんだ。
便利でしかないだろう。無論許可などはいるらしいが、ないとあるとじゃ違いすぎる。それこそ、世界が違うとでも言っていいほどに。
”個性“こそが全て。それがこの世界で、常識で、現実だった。
ここまで言えば察しのいい人も悪い人も察せると思うが---約8割だ。
残念ながら”個性“を持たない者、
といっても”無個性“の数は少ない。レア中のレアとも言えるだろう。なんなら以前の世代に居ただけで、俺たちの世代では絶滅危惧種レベル。
そして”無個性“とは文字通り、無。何も持たない者。才能もなければ、特異な力もない。
世間からは同情され、煙たがられ、虐められ、差別され、ヴィランに堕ちる者もいるかもしれない。
長々と説明したが、俺はその”無個性“だ。
何も無い。炎を出せないし、水を出せないし風を起こせないし、雷を落とすことも出来ない。
アニメやコミック、小説のような魔法に似た力もない。
何も無い。何も無いから、ヒーローにはなれない。俺は主人公にはなれない。
---果たして、そうか?
”個性“は強力だ。”無個性“の俺が挑んでも遠距離からやられたり理解出来ずに終わるかもしれない。
だが、”無個性“だからヒーローになれないと誰が決めた?
俺の幼馴染に俺と同じ”無個性“が居る。
ヒーローオタクで勉強熱心で、正義感の強い心優しい少年。
そいつがまあ同じ無個性なのもあって親しくなった結果、ヒーローのことをめっちゃ言ってくるわけで、ぶっちゃけ俺は興味なかった。
ヒーローなんてなるつもりはなかったし無個性だと診断され、四歳にして諦めたんだから。元々憧れてたわけじゃなくて、二人の幼馴染に付き合ってただけだったからな。
でもやっぱり---憧れというものは人を動かしてしまうらしい。
詳しくはいずれ話そうと思うが、憧れてしまったからにはヒーローを目指そうと思った。それに無個性の幼馴染が心配だったし、あれほどヒーローになるべきやつを支えるのが誰も居ないのは辛いものだ。かくいう俺も、救われたのかもしれない。ちょうどよかったってやつ。
しかし”個性“ある人間と”無個性“の俺ではアドバンテージが大きすぎる。
”個性“があれば、その分だけ身体にも影響がある…のかもしれない。でなければ攻撃型の”個性“でないプロヒーローが戦えるはずがない。
物語の主人公なら突然力を授かったり目覚めたりするんだろうが、そんなことはない。所詮現実なんてそんなものだ。
なら何が必要か。知識?力?根性?才能?運?
全部だ。
知識も力も根性も才能も努力で身につける。運はどうにもならないが、どうにもならないなら巡ってきた『縁』を大事にする。そうしていつか、運が必然となってくれるように。
その結果、俺は八年の年月をかけて修行に時間を費やした。
お陰でかなり筋肉がついた。今なら筋肉だけならオールマイトにも負け…全然負ける。
だけど”無個性“だからって関係ない。憧れたなら愚直に突き進むだけで、”無個性“でヒーローになれないならヒーローになれると俺が証明すればいい。
個性社会がなんだ、そんなので挫けてたまるか。
ただ意志だけじゃどうにもならない。体を作らないと何も耐えれないからね。武器を持とうにも銃を扱うにせよ筋力は必要なのだ。
だからこそ、俺には最近だと半年に数回会えるかどうかの師匠がいるのだが、その師匠から完全に技を授かるまでに六年もかかってしまった。まぁ何個かは見て何度も思い返して体がボロボロになって動けなくなるまで毎日毎日雨が降ろうとも雷が鳴ろうとも台風が来ようとも(むしろ修行にもってこい)続けて覚えたのだが。
それでも俺の人生の全ての運はあの人と出会うことに使ってしまったのだろう、そう思えるくらいにあの人との縁は俺を変えてくれた。あの人は俺の全てを変えてくれた。俺の運命を変えてくれた。俺に力をくれた。
というわけで、俺はヒーローになるという夢を抱き、今も努力をしているってわけだ。
そしていつか、”師匠との約束“を果たすために。”師匠の望み“を叶えるために。
「……さて、直すかなあ」
それはそうとして、さっき落とした60kgの重りをもう一度付けながら陥没した地面を俺は直した。
自己紹介がまだだった。
俺の名前は
親は名前の通りというべきか、父親が物理型の”個性“だったらしい。
そのせいで”無個性“の俺は名前負けしてるといってもいいだろう。まぁ親の名前だから嫌いでは無いのだが、もうちょっとこう、なんというか祖先にネーミングセンス良い人がいなかったんだろうな…。でも割と似たような人がいるのでバカにはされない。なんていうか、”個性“にあった名前が多い気がする。
年齢はまだ14歳。中三なのでのんびりすることは出来ない。時間は有限。
それはよく分かってるため、入試のためにも研鑽は必要だ。
ただでさえ”個性“を持ってるやつらとは才能が生まれた時から違う。彼らが努力するなら、俺はその何倍も何十倍も努力しなければならない。
特に”天才“というのがこの世界には居るからな…。
まぁただ”個性“持ち相手にも通用することは分かってるから、入試に関しては油断さえしなければ問題ないはずだ。いざとなれば切り札も切る。
勉学に関しても問題はない。そこの努力も怠ったことはないし、師匠の教えは破ったことはないから。
問題があるとすれば---
「まぁだいたいみんなヒーロー志望だよね!」
おいこらみんな”個性“使ってんじゃないよ。校則違反になっちゃうでしょ。
そこ”個性“使うな。俺に残りカス当たってんぞ。
あーもう煤墨だっけか、君の個性は教室汚れちゃうだろ!
こういうのって担任が注意するもんだと思うんだけど、今も進路希望のプリント放り投げたくらいだし。
責任問題なのでは?
「うんうん。皆良い『個性』だ。でも校内で『個性』発動は原則禁止な!」
「せんせーっ!皆とか一緒くたにすんなよ!」
机の上に足を乗せているツンツン頭の少年が口を開く。
爆豪勝己---幼なじみの一人。強い個性を持ちながら本人自身の頭も良く、ハイスペックな人物。
口が悪いのだけが全て帳消しにしているが、才能マンだ。でもまあ、こいつ普段の態度が態度だけど案外弱いとこあるんだが…師匠が言ってた別の世界というやつ…
「
「ああ、そういえば爆豪は雄英志望だったな」
予め伏せていたことが幸をなしたようだ。もっと俺を褒めていいと思うと、もう一人の幼なじみに目を向けるが気づいてない。
まぁ俺が後ろの席だから仕方がないな。
周りがザワザワと騒ぎ立てる。
それも仕方がない。
雄英高校。あのNo.1ヒーローオールマイト並びにNo.2ヒーローエンデヴァーを筆頭に多数のヒーローを輩出した実績とネームバリューで、ヒーローを目指す日本全国の中学生の憧れの的となっている名門中の名門。
ヒーロー偏差値79、入試倍率300倍と言われる桁外れの難関。
ヒーローを目指すなら雄英かそれに並ぶ士傑とも言われるほどだ。
…正確にはらしい。これ全部聞いたことだから。
「あのオールマイトをも超えて俺はトップヒーローと成り! 必ずや高額納税者ランキングに名を刻むのだ!!」
「そいや拳王技と緑谷も雄英だったな」
うっかりといった感じで漏れ出た言葉で、ざわつきが激しくなった。
おい、先生が生徒の個人情報を堂々と話すな。口止めした意味は何処へ!?
「はぁあああ!?」
「緑谷?拳王技…はバケモノだからあるかもしれないけどコイツは無理だろ!!」
「そうそう、無理でしょ!」
「どんだけ鍛えたって”無個性“だろ?」
「だよなー”個性“あっても落ちるんだから無理だろ。”無個性“なんてさ」
慣れていることとはいえ、”無個性“という単語を聞いた途端、すんっと冷水をかけられたかのように冷静になる。
ふと見れば、もじゃもじゃの緑髪の少年の表情が苦いものへと変わっていた。
そう、”無個性“はこんなものだ。言い返しても何もならない。
それが分かっていても、俺は---
「誰がバケモノだって? それに俺も”無個性“だ。俺が行けるなら出久もやれる。やる前から否定したらなんだって出来ないだろ。それともなんだ、お前らは雄英に確実に入れる自信があるのか? 挑戦するのは誰にだってチャンスがあるという証拠だろ。その挑戦すらしようとしないやつらが勇気出して目指そうとするやつを否定するのは見当違いだろうが!」
自分でも意外なことに、拳に力が入っていたらしい。
俺の叫びと共に机が木っ端微塵に壊れてしまい、途端に静かになってしまった。
まずい、俺もまだまだ未熟というのもあるが、これじゃあ力で抑えつけてるものじゃないか。そんなのは俺がしたいものではない。
だが言葉は否定するわけには…。
「え、え〜とにかくプリント配るから!」
空気が悪くなってしまったのを払拭するように先生が明るく声をかけ、俺は無惨にも壊してしまった机から無事なものだけを回収していた。
「おい拳王」
変えてもらった机からノートと筆記用具を回収していると、声をかけられた。
誰かなんて分かってる。
「爆豪」
「わりぃ。俺が口を開きゃよかった」
「いい。似た結末になっただけだろ」
「まあ…だろーよ。ったくどいつもこいつもデクの
「お、おう…」
気に入らないものを見たかのように口を尖らせる幼なじみに俺は優しい目を向ける。
ああ、成長したんだな…。
「あ゛!? その目辞めろつってんだろーが!」
「いや、お前が言うか?」
「口にしろとも言ってねえ!! わざとか、わざとだろテメェ!」
「ステイステイ」
やめろと言われたので口にしたら、爆豪は手のひらをバチバチさせながら胸ぐらを掴んできた。
個性使うんじゃないよ。内申に響くぞ。それにお前の”個性“は『爆破』なんだから俺以外だと熱いし怖いと思うぞ。
「チッ。わーってら」
分かってるならヨシ。
それより出久の方へそそくさと向かう。
彼はちょうどノートをまとめてるところだった。
「おーい出久」
「デク」
「あ…界くん。かっちゃん。その…ありがとう。さっきは…」
「いいって。結局力で抑えることになったし…俺は
「…!う、うん」
思ったことを口にすると、出久は嬉しそうに笑う。
何か嬉しいことがあったのだろうか。まぁ気にしてないならなんだっていいか。
「俺への当て付けか?」
「違う違う。お前の影響はでかいからほんと、やられると目立つ」
「あ、あはは…かっちゃんが心配してくれてたのは分かってるから!」
「ケッ。つかニヤニヤすんのやめろや」
フォローを入れる出久の言葉を聞いて、そっぽ向く爆豪を見てニヤニヤする俺。
どうからかおうかと思ってたら睨まれたのでこわいこわいと軽口を言いつつやめとく。
こいつ、出久に関してはかなり心配してるんだよな。昔の負い目もあるかもだけどそのくせして同じ無個性の俺に対してはぶつかってくるって…俺に対しても心配すべきだろ。気にしてないけど。
「ま、結局合格すればいい話だろ。出久は分析能力が高い。今も鍛えてるんだし後は実力を発揮するだけだ。ただ---」
「?」
「これは没収な。あまりオーバーワークするな」
「あ……き、気づいてたの!? いつから!?」
「最初から。そもそも出久は実感がないだけで、修行の成果は出てるんだよ」
ハンドグリップを回収した俺はスカスカのカバンに入れる。
出久は十分体は鍛えられてるのだ。ただ始めたのが俺より遅いだけで中学生にしては筋肉がついている。
爆豪は言わずもがな。
「でも僕はまだ…界くんみたいにかっちゃんとやれないし…」
「デク…こいつがおかしいだけだから気にすんな」
「は? どこにそんなおかしいやつが」
「個性有りで肉弾戦だけに絞って俺に4割勝ってるお前以外誰と思ってんだ?ああ!?」
「うお!急にキレるな! 第一6割は負けてるだろ」
「それでも十分異常だっつってんだろ!」
「ま、まあまあ二人とも落ち着いて!」
「何他人事みたいに言ってやがるデクゥ!」
「ひぃぃ!?矛先がこっちにも!?」
「まあ個性なしで勝ち越してるやつが言ってもなあ」
「界くんにだけは言われたくないよ!?」
「おめーら次はぶちのめす!!」
「だってよ。頑張れ…出久…!」
「僕に押し付けようとしてない?」
冗談だよ冗談。
戦うのは嫌いじゃないからな。俺もやるって。
とまあ、そんな会話をしながら今日はもう学校が終わりなので俺たちは時にキレ散らかす爆豪を相手にしながら帰路に着いた。
まぁ今日は俺も爆豪も予定あったので、すぐ分かれることになってしまったのだが。
俺はバイトだけど。