無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ?   作:絆蛙

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なんで二次創作の日間ランキング9位に入ってたのかとビビってます。










学級委員長と不穏な影

 

あの後バケモノ扱いされるのではなく今までもらったこともない賞賛の嵐に身を晒されてしまって他の人たちと会話をして仲を少し深めたが、あまりにお腹が空いたので逃げた。

 

 

日は変わって雄英に登校すると、範囲内に複数の”気“を感じとった。

目視すると、そこには数多くのマスコミ。

オールマイトが教師をやるという話題で来たのだろう。

うーん流石に受けたくないな。

 

「いっぱいだ…そりゃそうだよね。オールマイトが教師をやるだなんて話が---」

「よし行くか」

「突っ切りゃいい話だろ」

 

オールマイトオタクの出久の長ったらしい話を聞いてたらマスコミに捕まるのは明白なため、俺と爆豪は相手をしないように普通に突っ切った。

チラ、と背後を見たら出久は掴まっていた。

ドンマイ。

 

 

 

 

 

 

 

「昨日の戦闘訓練おつかれ。Vと成績見させてもらった……と、さて本題に移る。急で悪いが、今日は君らに……」

 

 

学級委員長を決めてもらう

 

学校っぽいのキターーー!!!

 

 

 

「委員長! やりたいですソレ俺!!」

「俺も!」

「ウチもやりたいス」

「オイラのマニフェストは女子全員膝上30cm!!」

「リーダー!!やるやる!!」

 

みんなが一斉に手を挙げている。

挙げてないのは俺と出久、予想外の爆豪。よく見れば轟と青山くんって子と何人か両手で数えても余る数。

俺は学級委員長なんて興味は無いし向いてないことを自覚している。確かに集団を導くというのはプロヒーローには必須だし経験積めるのはいいことなんだろうけど、見ていて無理だと思った。

多分出久も爆豪も向いてないと自覚してるから挙げないんだろう。

ぶっちゃけ俺ら三人の中で委員長出来そうなの出久だけだぞ。

 

「静粛にしたまえ!!」

 

がやがやと落ち着かない皆を窘めるような声が響く。

 

「“多”を牽引する責任重大な仕事……!『やりたい者』がやれるものでは無いだろう!!」

 

その言葉に全員が耳を傾ける。

全くその通りだろう。やりたいかといって簡単に出来るものじゃない。

だから俺はやりたくないしできる自信がないので傍聴に徹するが。

 

「周囲からの信頼あってこそ務まる聖務……!民主主義に則り真のリーダーをみんなで決めるというのなら……」

 

これは投票で決めるべき議案!!!

 

「手ぇ聳え立ってんじゃねーか! 何故発案した!!」

 

正しいことを言ってはいるのだが、言動の差が激しすぎる。ひと目見ただけでわかるほど、真っ直ぐ天に向かって挙手している。震えながら。

自分もやりたいという気持ちを隠してないのは、素直でいいとは思うけど。

 

「知り合って日も浅いのに信頼もクソもないわ飯田ちゃん」

「そんなんみんな自分に入れらぁ!」

「だからこそ、ここで複数票を獲った者こそが、真にふさわしいということにならないか!?」

 

傍から聞いていても正直どっちも正しい。

俺も知ってるのって五人だけだしな。葉隠さんに入れてあげたいが、誰が一番向いてるかと言うと考える必要はない。

俺は適切な人物に入れるとしよう。

相澤先生は決まれば特になんの文句もないらしく、やり方は任せるとのこと。そのまんま芋虫になった。

なるほど、寝袋はこのためか。合理的だな。 …いや先生がそれでいいのか。

 

話を聞いていると結局多数決で決定することとなり、白紙の紙に飯田の名前を書いて投擲…ではなく投函。

その結果。

 

拳王技界4

八百万百2

 

「なんでそうなる!?」

 

がたっ!と思わず音を立てて立ち上がりながら叫んだ俺は多分誰も責められないと思う。

 

 

「じゃあ委員長は拳王技、副委員長八百万だ」

「まぁ…拳王技さんならば納得できますわね」

「いいんじゃないかしら」

「色々と規格外だしな!」

「八百万は講評の時かっこよかったしな」

 

このクラスの中で俺の評価どうなってるんだ…。しかもえー八百万さんも何故か認めてるし。

いやいやこのどっちかってなったら絶対俺より向いてるのは八百万さんだよ。

まぁ互いに知らないからこうなるのも仕方がないのか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まぁ決定してしまったことはもうどうしようもないので。

元々対して気にしない性格の俺は昼飯のことで全てが吹っ飛んだ。

うきうきだ、うきうき。

 

「なんだか嬉しそうだね?」

「拳王技くん!廊下はスキップするところではないぞ!」

「よほど楽しみなんやねぇ」

「今まで以上にひでぇ」

「あはは…界くん食べること大好きだから……」

 

今は葉隠さん、飯田、麗日さん、爆豪、出久といった入学してから仲良くなったメンバーと幼馴染と共に食堂へ向かっている。

弁当作ってきてもいいんだけど、まず狩猟から始まるから時間が無い。それに昨日の帰りに約束してたし。

それにどうせなら美味しい方がいい。ので、食堂。

ランチラッシュというヒーローが切り盛りしている。とてもうまい。

師匠にも食べさせることが出来たらなぁと思いながら机をキープしてくれている出久と葉隠さんの元へ向かって席につく。

二人の注文は俺が持ってきた。

机に置かれてるのはカツ丼×2と定食×2、カレー×1と激辛麻婆豆腐×1。

それと。

 

「え!?そんなに食べるの?」

「俺も見た時は驚いたよ」

「うんうん」

「いや、俺はまだまだだ。この程度じゃ全然届かない……!」

「そんな深刻になるもんじゃねぇだろ…」

 

俺の表情が自然と悔しそうに歪む。

俺の前には大盛りの天丼、カツ丼、親子丼。白身魚のソテー、醤油ラーメン、汁物、申し訳程度の野菜の山がある。

これくらいなら何とか食べられる。でも師匠は余裕でもっと食べる…!!

俺はやっぱりまだまだか……。もっと強くならないと。

 

「安価だけど…大丈夫なん?その、そんなに毎回多いと食費が……」

「ああ、なくなったらサバイバルするから大丈夫」

「サバイバル!?」

「君は一体その歳でどんな経験をしてきたんだ…!?」

 

それはもちろん、師匠との修行。

まぁ危なくなったら助けてたとは終わってから言われたけど小学校の夏休みの一ヶ月を山でサバイバルしたのは懐かしい思い出だ。

昔の仲間が教える際にやってたとか言ってたし。確か六ヶ月だっけ…凄い。俺は1ヶ月でギリギリだった。普通に死にかけてた。

親の趣味が登山じゃなかったら宿題の思い出がサバイバルになってたところだった。

 

「それにしても、いい食べっぷり〜!見てるこっちが美味しそう!って思うよね。あとめちゃくちゃ笑顔だし!」

「幸せを噛み締めてるね…!今まで頑張ったんやね…」

「ほれひへほふぁんでおふぇふぁんふぁ?」

「食べ終わってから喋りたまえ!」

「どうして俺なんだ、って言いたいんじゃない?」

「いいんちょーの件だろ」

「おお!流石幼馴染二人組! 翻訳した!」

 

カチャカチャ。パクパク。モグモグ。ガツガツ。ムシャムシャ。

 

「その件か。大丈夫だろう。モニタールームでも見ていたが、君の判断力や行動力、影響力は”多”を牽引するに値する。だからこそ投票したのだ。本当は緑谷くんか拳王技くんなのか迷ったのだが」

「うんうん、作戦だって拳王技くんが考えてくれたし大丈夫だよ。がんばろ!」

「テメェならやれんだろ」

「うん、界くん周りよく見てるし」

「んぐ、ごくん…俺に投票したのは君らかぁ…」

 

飲み込んだ俺は投票したのが誰なのか特定出来てしまった。

俺が投票した飯田と1票入ってた出久。0だった葉隠さんと爆豪と麗日さん。

となると、出久に投票したのは麗日さんなんだろうなと思った。

それにしても爆豪が俺に投票するってどういうことだ。ニセモノだったりしない? ”気“は一致してるしそんなわけないが。

正直きもちわる…なんでもない。

 

「でも飯田くんもやりたかったんじゃない?メガネだし」

「“やりたい”と“相応しい”かは別さ。僕は僕の正しいと思う判断をしたのみ」

 

メガネって、麗日さんの気持ちは分からなくはないけどどうなんだろう。

提案時の反応見た時はめちゃくちゃやりたそうだったもんな飯田。代わる?

 

「「「『僕』……!」」」

「ちょい前から思ってたけどもしかして飯田くんって……坊ちゃん!?」

「坊……!そう言われるのが嫌で一人称を変えていたんだがな……ああ。俺の家は代々ヒーロー一家でね。俺はその次男だよ」

「ホンモノのエリートじゃねェか」

「家族がヒーローかぁ。すごいじゃん!」

 

どうやら彼はヒーローの家系だったらしい。

うーんヒーローに詳しくないから皆目見当がつかないな…なんて考えながら未だ手が止まらない。

美味しすぎる。お陰で喋れない。

 

「『ターボヒーロー』インゲニウムは知っているかい?」

「勿論!!!東京の事務所に65人ものサイドキックを雇ってる大人気ヒーローじゃないか!」

「詳しい……! 規律を重んじ、人を導く愛すべきヒーロー!俺はそんな兄に憧れてヒーローを志した」

 

兄のことを語る飯田は機嫌が良くて、家族仲がいいのも伝わってくる。

家族に憧れて、か……。それは本当に、いいことだ。

 

「……人を導くのは俺にはまだ早いのだと思う。上手の拳王技くんが就任するのが正しい!」

「上手って…飯田。一応言っとくけど、俺は---」

 

自分が損しても相手に譲る姿勢は好ましくはある。しかし俺に対して過大評価しすぎだと思ったので飯田に入れたのが俺だということを伝えようとしたら。

 

ジリリリリリ---

 

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんは速やかに屋外へ避難してください。繰り返します---』

 

警報が突然鳴り、場が混沌と化する。

事情を聞くに、セキュリティ3とは何者かが雄英内に侵入してきた事らしい。そんな事は今までになかったようで生徒達は皆パニックに陥ってしまい、俺は慌てて残りをかきこんだ。

しかし逃げようとする生徒たちに巻き込まれてしまい、あっさり人波に飲まれていく。

まずい、”気“を解放する際に吹き飛ばしてしまうので抜け出すことは出来ない。

”舞空術“で浮こうにも行動が不可能だ。下手したら俺が抜けたせいで将棋倒しになりかねない。

とりあえず他は何とかするだろう。爆豪や出久は心配ない、一番マズイのは”個性“上、彼女だ!!

 

「葉隠さん、こっち!」

「わっ…!? け、拳王技くん!?」

 

”透明化“である彼女は埋もれてしまえばどうなるか分からない。気づかれずに蹴られたり押されたりする危険性がある。

そのため俺は咄嗟に腕を掴んだ彼女を壁際に立たせ、守るために壁に両手をついて耐えることにした。

”気“がなくても肉体を鍛えきった俺は問題はない。

しかしこの騒動は気になる。

”個性“の都合か、何故か俺が”気“を探知してることに気づく察しのいい先輩が居るからあまりやりたくなかったが、”気“を全域に飛ばす。

---なんだ、この”気“?  ”悪の気“でもありながら、さながら子供のような”純粋な気“。それに近くには”不安定な不気味な気“がひとつ。

外には相澤先生とマイク先生、多くの”気“…さっき感じたのと同じだ。

マスコミ…か?

とにかく先生に報告…無理だ。脱出は不可能。

それに”気“が消えて、騒ぎは収まらず。

見知った”気“が動くのを見た俺は、もう大丈夫だと言わんばかりに目を伏せた。

 

「大丈ーーー夫!!!」

 

「ただのマスコミです!!」

 

”個性“を空中で使用した…正確には”無重力“で使用した影響で非常口みたいなポーズを取っていたが、飯田のお陰で全て収まっていた。

結構離れてる俺や葉隠さんにも聞こえるほどの声量。

飯田は俺にあんなこと言ってたけど、やっぱり俺に委員長は向かないな。

 

「え、ええと……その…も、もう大丈夫だから……」

 

それはそうと、裾を引っ張られる感覚で彼女を壁に押し付ける形になっていたことに気づいた俺は全力で謝罪した。

ちなみに出久は流され、爆豪はキレる寸前だった。

爆発しなくてよかった、本当に。

 

 

 

 

 

目の前の誰かを助けようとする俺よりも、人をまとめる立場に立つ人は適切に状況に応じて判断して、行動を取ることができる人物がいいと思っていた。

そもそも俺は最初から思っていた。

委員長に相応しいのは間違いなく。

 

「えー…突然ですが多数決で決めてもらったのに、悪いけど委員長は辞退します! 代わりに俺は飯田が委員長になるべきだと思う。見ていた人は知っていると思うけど、あの場で冷静に”やるべきこと“を理解し、分かりやすく短い言葉でパニックを収めて、人をまとめられた飯田が委員長に一番()()()()。というか、俺は最初から飯田に投票したのに何故俺なのか未だに理解出来てない!!」

「……!!」

 

あの場での行動。

何より心からの本音を暴露した。飯田が分かりやすく、君だったのか!と見てくるが、投票したの俺だよ。

実際に相応しいのは俺じゃない。彼だ。あの投票で決める前にもまとめたのは飯田だったし。

俺ならああやってまとめることは出来ない。

 

「あ!良いんじゃね!!飯田食堂で超活躍してたし!!拳王技でもいいけどさ!!」

「非常口の標識見てえになってたな」

「つーかやりたくなかったなら投票の前に最初から辞退しときゃよかったろ」

「あ……最初から言えよ!」

「テメェが気づかなかっただけだろーが!人のせいにすんな!」

「いいからとっとと決めろ。時間が勿体無い」

「アッハイ。てことで、頼んだぞ飯田!」

「…むぅ、委員長の指名ならば仕方あるまい!!」

「任せたぜ非常口!!」

「非常口飯田!しっかりやれよー!!」

 

そうして俺は無事に委員長の座から降りることに成功し、非常口飯田---じゃなくて委員長飯田が生まれた。

 

「私の立場は……」

 

ごめん八百万さん。いや、本当にごめん。

俺でいいならなにかやれること何でもするから許して欲しい。

あとで彼女には嫌でなければスイーツか何か奢ろう、と決めた。

俺は委員長の座から降りたので自分の席に戻る前。

 

「先生、後で話があるんで時間貰ってもいいですか。()()について」

「……何? 分かった、これが終わったら俺のところに来い。校長には俺から伝える」

「わかりました」

 

先生に話すべきか悩んだが、話すべきだと思った俺は先生に一言告げて戻っていく。

あの()()()()()()()”気“。

あれは---(ヴィラン)だ。一人だけ、気になる”気“だったが……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただのマスコミが()()()()()が出来る?」

「唆した者がいるね……」

「邪なものが入り込んだか……もしくは宣戦布告の腹づもりか……。相澤くんの生徒の情報通りなら、()()()()()ね」

 

 

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