無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ? 作:絆蛙
マスコミの侵入騒動の翌日。
午後のヒーロー基礎学。
「今日のヒーロー基礎学だが……俺とオールマイト、そしてもう1人の3人体制で見ることになった」
「はい!今日は何するんですか?」
「災害、水難なんでもござれ。
ヒーローの華型のひとつ。
戦闘の方が派手だけど、そもそもヒーローというのは人を助けるために存在するわけで。
ヒーローらしい訓練ができることに色めき立つ理由も分かる。
「おい、まだ話は途中だ。今回、コスチュームの着用は自由、中には活動を限定するコスチュームもあるだろうからな」
今回の訓練場は校舎から離れた場所にあるらしく、バスで移動するらしい。
うーん別に俺は体操着でもいいのだが、コスチュームにしておくか。あのマント防御に使えて便利だし。
ということでバスの中。
最初は飯田が二列タイプのバスだと思っていたようで列に並ぶように号令していたが、向かい合って座るタイプだった。
「くそぅ……!こういうタイプだったか……!」
「意味なかったねぇ」
普通は二列タイプが主流だから仕方がないと思う。
俺もそっちだと思ってたし。 こればかりは誰も責められないだろう。
ちなみに座る席は自由。
俺は胡座をかいて宙に浮いていた。
21人の都合上、座るのは厳しいし。俺は”舞空術“があるので譲った。
「私思ったことを何でも言っちゃうの。緑谷ちゃん」
「は、ハイ!? 蛙吹さん!!」
「梅雨ちゃんと呼んで。貴方の”個性“オールマイトに似てる」
「そそそうかな!? でも僕は、その……」
確かに言われてみれば出久が発現した”個性“は増強型だ。
制御前の一撃受けた時は普通にやばかったし、あれで肉体が完璧に耐えれる器だったら入院確定してただろう。
多少力逃げてたしな。
「でも梅雨ちゃん。オールマイトと違って緑谷は機動性重視って感じだろ? 似て非なるものだぜ? でも増強型はシンプルでいいよな。派手で出来ることが多い!!」」
オールマイトはパワーも速度も凄まじいが、対する出久は出力上の問題で小回りが効く素早い動きと本人の機転を活かした戦い方をする出久のスタイルとの差もあるだろう。
そして彼、切島くんは片手を『硬化』させて、自分のは地味だという感じで呟くと出久がフォローするように褒めていた。
実際硬いのは便利だぞ。
「まぁ派手で強ぇっつったら、やっぱ轟と爆豪、拳王技だよな!」
「けど、爆豪ちゃんはすぐキレるから人気は出なさそう」
「ンだとコラ出すわ!」
「でもよ、拳王技に関しては”無個性“なんだろ?」
「そうだよな。その割には”個性“みたいなことしてるけど、どうやってんだ?」
今まで聞かれなかったのが不思議なくらいの疑問が来た。
その質問に、俺は昨日のことを思い出す。
『…あれは
『いや…気配を感じたというか…先生には伝えておきますけど、俺の力は”気“というものを使ってるんです』
昨日のマスコミ騒動の後、先生に来るように言われた俺は早速本題に入った。
最初から決めている。このことを話すなら、俺の力を話さないといけないと。
『”気“? 確か…中国拳法だったか?』
中国拳法には気功や”気“というものが存在する。
俺も師匠に存在を教わってから気になったから調べたことがあるため知っているのだが、全部語ったら短編小説書けるくらい長くなる。
端的に言うと気功は健康法。
武術における”気“とは『伸筋の力』『張る力』『重心移動の力』などを指し、超常のものではない。
対する俺が使う”気“とは。
『似てるけど違います。俺の”気“は誰もが潜在的に持つ”体内エネルギー“と言われる…いわゆる生命エネルギーを利用したもので、”無個性“であろうとも”個性“があっても自覚し、コントロール技術を身につけたら俺のように誰でも使えます。もちろん、先生も。俺以外まだ見てないですが』
『お前だけでなく、全員だと?』
『はい。厳しい鍛錬は必要ですけど。ただ俺がビーム撃ったり宙に浮いたり”無個性“では出せない身体能力もこれで、総量が多ければ多いほど強化出来るんです。そして体内の”気“をコントロールさえすれば全身や必要な部分に集中させて身体能力を強化、相手の強さ・位置・個人の特定など様々なことが可能に』
自在に操る術を身につけるには厳しい修行が必要だ。
かくいう俺も身につけるのに数年かかっている。体作り、”気“の鍛錬、技の学習、組手など。
”無個性“で肉体を鍛えてなかった俺は一から、人の何倍も努力した。ヒーローになるために。
しかし実の所、”気“を体外に放出することが可能になれば、気弾や気功波くらいなら簡単に出来たりするしを”溜めて押し出すように打ち出す“かめはめ波も感覚を掴めば使えるようになるだろう。
『分かったのはこれです。あの時感じたのは、
『待て。…色々と言いたいことはあるが……整理させろ』
色んな情報が一気に来たからか、先生は頭を抑えながら少しずつ整理したのか、口を開く。
真剣な顔だ。
『つまりお前は”気“というのを扱って今までの事をしてきた。そうだな? 明らかに異常な身体能力はお前がその”気“を纏ってる影響と』
『はい』
『で、相手の気配までも読める。オールマイトが言っていた目が後ろについてる、ということもこれだな? しかもこれらは訓練次第で誰でも使える……か。お前、今まで”気“の使い方を誰かに教えたことは?』
『えー…”気“の説明はしたことが数回。直接扱えるまではないですね。どんな感じなのかを教えたことは心から信頼出来る人にはしましたが。 自覚するためにも瞑想したり体内の”気“の揺らぎを感じ取って引っ張り出すイメージ…とかそんな感じで”気“がどんな感じなのか把握することが大事なので。自覚しても上手く扱うにはコントロール技術を身につける必要が---』
『分かった、もういい。…いいか、拳王技。その力を説明するのはいいが、絶対にやり方をお前から教えるな。俺も校長やオールマイトさんといった聞かせるべき人にしか話さない』
『え?なんでですか?』
流石教師と言うべきか要点だけまとめてくれて、警告するような言い方に疑問を感じた。
確かにこの力は凄いが、簡単に扱えるものでは無い。”個性“があるなら自分の持ってる”個性“と”気“を練習する必要があるし。俺は”無個性“なので分からないが仮に”個性“に似た感じだったとして、使い方がすぐ分かっても”気“が小さければ何も出来ないものだ。
『少しは頭を使え。普通に考えてみろ、どこからか”気“の使い方が漏れたとして、誰もがお前のような”身体能力“を持てばどうなる? 誰にでも使えたらどうなる? 誰もがあのような技を使えたら? もし
全ての作戦は意味をなくし、”個性“の有利性は消える。それこそ、また超常黎明期*1に逆戻りだ。ヴィランを逃がさなくなるというメリットもあるが、逆もまたしかり。あまりにデメリットが大きすぎる』
『あ……』
言われてから気づいた。
確かに、そうだ。”気“を扱うのは難しいだけで誰にでも使えるもの。”個性“で成り立つヒーローという存在意義について問題になるしヴィランもヒーローの位置を特定できる。
いくら易々と使いこなせるものではない、とはいえ。
そもそも”気“の概念はネットでもさっき言った調べたやつしかヒットしなかった。”気功波“も”かめはめ波“ もない。
確かに死にかけるほどの努力をしたとはいえ、”無個性“の俺が得られたなら他の人だって得られる可能性は高く、噂のひとつはあってもおかしくない。
それがないということ。誰も覚醒してないということ。
そこから導き出すならば、師匠の存在や”ある人たち“の言葉を借りると、この概念は
プロヒーローや他の”個性“ある人たちが得られず、俺以外が”気“に辿り着けないのは、それが原因…か?
”個性“が”気“を覆い隠し、認識しづらくしている…それは師匠も言ってた。
それに危険な可能性もあるのによく分からない力を鍛えるやつはそうはいないだろう。この仮説は最も可能性が高いかもしれない。
”気の概念“を知らない。”個性“が隠してる。よく分からない”力“を鍛えようとしない。
なんでも”個性因子“なるものがあるから”個性“に覚醒するらしいし。
『全く…とんだ爆弾を持ってきたな。お前が”無個性“でありながら規格外な理由は分かった。だが、最後に聞かせろ。お前はそれをどこで知り、どこで学び、どこで得た? 普通に修行して得たのならば、お前以外の…それこそプロヒーローやオールマイトが持っていないとおかしいだろう』
『そ、それは、その……』
そしてそれは、相澤先生も似たような結論に至ったようで俺は一気に汗が噴き出るのを感じていた。
あくまで仮説とはいえ、
…いっそ逃げるか?
『……話せない事情があるんだな?』
『え……は、はい。これだけは、絶対。たとえヒーローとしての道を閉ざされることになろうと、これだけは。唯一言えるのは、指導してくれた人がいるということだけで』
『……ならこっちで何とかする。とにかくこれ以上誰かに教えるなよ。広まりでもすれば大変なことになる。それとお前、さっきの言い方からしてヴィランと交戦したことあるな?』
『ギクッ!…そ、そそんなことないです。決して、
『まぁ”小学生“という観点と”無個性”ということから
『(自らは)小学生の時にちょっとだけ。やべ』
『お前が嘘をつけないのはよく分かった。とりあえず俺は報告することが多い。分かってると思うが、”ヒーロー“になるなら犯罪行為に加担するなよ』
『はい気をつけます』
あの時に相澤先生には俺の過去を少し知られてしまったが、後ろからとてつもない圧を感じる。
こ、これがプロヒーローの圧……! もう犯罪行為はしないし流石に口にはしない。
「えーとだな…俺は確かに”無個性“だ。でも”気“というものを使っている」
「木?」
「いや、気じゃないか? 中国拳法にもある」
「よく分かったな、尾白くん。でも違う。俺の”気“は簡単に言うと体内エネルギー、この場合生命エネルギーだな。精神力とかも含まれる。
これをコントロールして身体能力を強化したり、体外に放出することで体外にエネルギー化…”気弾“を放ったりしてるんだ。ちなみにこれ、俺が特別なんかじゃなく誰でも使えるからな」
『えぇええええっ!?』
思わず耳を塞いでしまうほどの声量に驚く。
大半の人が一斉に叫んでしまえば当然大きい。人によっては表情だけだが。
仏頂面の轟と知ってる爆豪と出久は普通だった。葉隠さんは分からないけど反応が驚いてるので驚いてるのだろう。
飯田と麗日さんは言わずもがな。
「つーことは俺らでも使えんの!?」
「えー!やってみたい!どーやんの?!」
頭の中で思い出す。
確か上鳴くんと芦戸さん。上鳴くんは『帯電』、芦戸さんは『酸』だっけ。
まぁ上鳴くんはさっきから会話に参加してたけど。
やばい、相澤先生が射殺すような目をしてくる。目で殺されそう。
分かってるからやめて欲しい。
「ごめん、それは極秘だから無理」
「ええ〜…でもそっか。仕方がないか〜」
「まークラスメイトとはいえライバルだしなー」
「そりゃ話したくないわな」
「誰にでも使えるってことは俺らでも使えるもんな」
「けどさ、その生命エネルギー?ってことは危なくない?」
芦戸さんが残念にしていたが、納得してくれたみたいだ。
この三人は瀬呂くんと佐藤くんと耳郎さんだっけ。
瀬呂くんが『テープ』。佐藤くんが『シュガードープ』。耳郎さんは『イヤホンジャック』だった気がする。
「まぁ危険だな。”気“の総量次第だ。”個性“と同じだよ。伸ばしていく。
ただ”気“は生命エネルギーだからそれが無くなれば死ぬし、”気“=”体力“と思ってもらった方がいい。だから休んだら消費しても自然に回復する」
「つまり拳王技さんの身体能力は強化してるもので、ずっと出来るわけではなく光線のようなものはそんなに使えるものではないということですか?」
「かめはめ波? あれも総量次第なんだ。爆豪にやったときは溜めずに撃つ方で、威力はかなり低い。その分連射出来る。ただやれるのは後から気を送り込んで強くするくらいだな。でもこれは先に弾かれたり防がれる可能性があるから、確実に決めるなら”溜めて撃つ“方がいい。隙もあるから戦闘時の使い分けが必要だ。
身体能力に関してはこれも総量次第だけど、常時走り続けてるみたいな感じで体力が減る。弱いと駆け足、強いと全力で走るって感じならわかりやすいかな」
質問に対して話していいことと話してはならないことを頭で整理しながら答える。
気になるのも仕方がない。これらをしてるのが”無個性“だしな。
「ッッ……。拳王技くん。僕も鍛錬を積んでたらキミのようになれたのかな?」
「ん?そりゃな。誰でも使える”技術“だし。ただ実際に出来るかは分からないぞ。俺以外に使ってる人見たことないし、仮に”気“を使えていたとしても”個性“があると難しいと思う。だから保証は出来ない。俺は”無個性“だから”気“だけに集中出来たわけだからな。それに俺のような気功技を使えるかは才能に依るが……大丈夫か?顔青いけどバス酔い?」
「そ……そうなんだよね、僕、実は乗り物に弱くてさ。けどそんな僕も煌めいてるよね☆」
「お、おう。無理するなよ」
青山くん。
個性は『ネビルレーザー』。他の人と違ってお腹を壊すらしいけど、出久と同じく制御出来てないのだろう。
気功波みたいに使えるしいい”個性“だ。
本人はちょっと変わってるけど。エチケットいる?
「ねーねー。やっぱりその宙に浮くのも”気“?」
「うん。これは”舞空術“。めっちゃ簡単に言うと全身の”気“をコントロールして浮く技。イメージとしては……ああ、そうそう麗日さんの”個性“みたいな感じ。自分に使った場合のね」
「私は吐いちゃうけどね……」
「い、いや他人は浮かせられないから……それに浮けてもその場にって感じで修行しないと本当に役に立たないから! ほら、青いタヌキみたいにちょっと浮いてる程度になるだけだからさ!」
麗日さんに必死にフォローする。アイデンティティの喪失じゃないぞ!
それに、師匠曰くこれは気功技とは違って個人差はあれど割と直ぐに一般人でも使えるようになる、と言いそうになったところで口を抑える。
やばい、これ以上話したら墓穴掘って相澤先生に本気で殺られる。
「ま、まぁ結論から言うと”気“というのは気の大きさとコントロールが全てなんだ。仮に使えても一朝一夕でできるもんじゃないよ。それに一見すごいように見えて”個性“の方が伸び代はあるからな。特に”気“が枯渇したら何も出来なくなるし」
「強いけどずっと鍛錬してきた拳王技だからこそって感じなんだな」
「あー…」
「そりゃそうだよな」
「そういう弱点もあるんだ」
「僕は見たことないけどね……」
「テメェはなくなることねぇだろ」
「いやいや、そうは言うが屋内対人戦闘訓練じゃ三割削れてるぞ」
「対して減ってねぇじゃねーか!!」
「これは修行の成果で……そ、総量を全力で上げなければ一撃で死ぬ……こ、殺される……! く、くりかえして……あ、ああ……!」
「だ、大丈夫か拳王技くん!今まで見たことないくらい真っ青だし震えているぞ!?」
「そろそろ着くぞ。静かにしろ」
全ての”気“を総動員して”切り札“を限界まで使って全力で防御してギリギリ瀕死だった。というか半分以上死んだ。
師匠が蘇生してくれなかったら死んでた。生きてたことに褒められたけど全く嬉しくない。トラウマになってるし。
そして俺は決めた。
絶対師匠以外からは受けないと。
せめて強くなるまで無理。殺される。なんなら今でも”気“を八割くらいで守らないとデコピンどころか突かれただけで死ぬ。
俺はまだまだ弱いのがはっきり分かるな…。
場所は変わって、辿り着いたのは訓練場前。
ドーム型の施設がある。
その入口に既に居た宇宙服みたいなコスチュームに身を包んでいるのが、恐らくもう一人の先生だろう。
「皆さん、待ってましたよ!」
「スペースヒーロー13号!災害救助で目覚しい活動をしてる紳士的なヒーロー!」
「うわぁー……!私好きなの!13号!」
解説ありがとう出久。
やけに麗日さんがハイテンションだ。憧れのヒーローにあったって感じで。
それと13号先生の13号ってどこから来たのだろう。くぐもった声で性別も分からないな。
「さっそく中に入りましょうか」
『よろしくお願いしまーす!』
「うおおおお!すげぇ!USJかよ!」
滝のように巨大なウォータースライダーとプールに、炎や土砂に包まれた町並み、倒壊したビルの群れ。ひとつひとつがなにかのアトラクションか何かかと思うような施設が、目の前の広大な敷地に幾つも聳え立っている。
目視できる範囲でこれだから、もっと色々とあるのだろう。
…凄い金がかかってそう。
「ここは水難事故、土砂災害、火災、暴風etc……あらゆる災害を想定して僕が作った演習場です。その名も」
「「ほんとにUSJだった……!」」
間違いなくみんなの意見が一致していた。
団結力NO.1のクラスなんじゃないかここ。
その、色々と著作権とか心配になる名前だが。
そう考えたところで相澤先生と13号先生が何やらゴニョゴニョ話していて、13号先生が”3“を示す指を立てていた。
オールマイトって聞こえた気がしたが、そういえばここにはいない。
あれはどういう意味だ?
3?3個の事件を解決した?3分後?30分後?3時間後に来るってことか?
”気“の探知、はここからでも出来るから探れるけど…しても意味ないしな。
「はぁ……仕方ない、始めるか」
「えー皆さん始める前にお小言を1つ2つ、3つ4つ5つ6つ……」
(((増える……)))
2つ3つならまだしも、あまりに多すぎる。
いやまあ、ヒーローだからな。そりゃあ話すことも多いから仕方がない…のか?
「ご存知だと思いますが、僕の”個性“はブラックホール。どんなものでも吸い込んで塵にしてしまいます」
「その”個性“でどんな災害でも人を救いあげるんですよね!」
「うんうん!」
ブラックホール!!
なんだそれ試してみたい。凄い吸引力がありそうな”個性“だ。
失敗したら死ぬだろうが、ある意味修行に使えるのではないだろうか。プロヒーローだし、制御出来るだろうから徐々に出力をあげ…痛い。
爆豪に無言で殴られた。
「その通りです。ですが、簡単に人を殺せる"個性"でもあります」
「皆の中にもそういう"個性"がいるでしょう。超人社会は"個性"の使用を資格制にし厳しく規制することで一見成り立っているように見えます。しかし一歩間違えれば容易に人を殺せる"個性"を個々が持っていることを忘れないでください。相澤さんの体力テストで自身の力を知り、オールマイトのテストでそれを人に向ける危うさを体験したかと思います。ここでは、
この授業ではそれぞれの“個性”で人をどう助けるか考えていきましょう。
「私たちの力は
優雅に一礼する13号先生。
その含蓄のある言葉に、わっと歓声と拍手が起こる。
13号先生の言葉の意味は、俺にもわかっていた。
俺は”無個性“だが、この”気“は人を殺せる。鍛錬したからこそ、やろうと思えば拳に纏って殴るだけでも殺せる。
だからコントロール技術も必須なんだ。高めるにせよ弱めるにせよ、大切なこと。
それに……俺は人が簡単に死ぬところを
「んじゃあまずは……」
「………! 相澤先生!」
これからのことを指示しようとした相澤先生が、その口を止めた。
消える照明、動きのおかしい噴水。
そして感じられる”不気味な気“。
俺は即座に先生を呼ぶと、遅れて気づいたように噴水の方へ振り返っていた。
”不気味な気“を持つ黒いモヤ。
それが広がり、誰かの手が出てくる。
感じられるのは、先日のマスコミ騒動と同じ”悪の気“と同じようで幼い子供のような”純粋な気“。
「全員、ひとかたまりになって動くな!13号、生徒を守れ!」
普段の気だるげな態度から一転し、鋭く叫ぶ相澤先生にみんなも気づき始めた。
だんだんと増えていく”悪の気“。あまりに、多すぎる。
間違いない。今更間違えるはずもない。
これは、この”気“は---
「なんだ?入試の時見たく、もう始まってるぞパターン---」
「動くな!! あれは---」