無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ? 作:絆蛙
「残り4分くらいか……?」
「拳王技くん大丈夫?結構力使ってるけど……」
「まだ問題ない。俺よりも小森さんが心配だ。”個性“を使いすぎてないか?」
「私は大丈夫ノコ。むしろいつも以上に調子がよくて、不思議」
「発目さんは」
「目立ってて最高です!」
「ああ、うん。よかったよ」
全員が飛行持ちじゃなければ浮いてる俺たちから奪うことは出来ない。一人だけが浮くことが出来ても意味は無いからな。
下は諦めたのか乱戦になっているし、もう少し時間を稼ぎたいところだ。
空中だと小森さんの”個性“が上手く活かせない。
そう、思ったが……。
「いつまで見下ろしてやがる界ィ!」
「そろそろ奪わせてもらうよ、界くんッ!」
「っぱ、来るよなぁ」
唯一全員浮くことが出来る爆豪のチームが空中に上がってきていた。
問題はここからだ。最悪ハチマキを全部奪われなければ勝てるが、取られる危険性もある。
Boooooomb!!!!
「え、ええ!?あり!?」
「んなっ!?ああ、そうかルール上問題ないよな!!
「そーいうこったァ!」
『その通り! 騎馬から落ちたらダメだけど、落ちなければアリ!』
「ど、どうするノコ!?ここじゃ私は…」
「フッフッフ、私の出番ですね!」
「タイミングは合わせる!」
一人離れて飛んでくる爆豪はあっという間に距離を詰めてきた。
残念ながら俺の”舞空術“じゃ一人ならまだしも全員連れて逃げれる速度は出せないため、選ぶのは迎撃。
掌を向けてくる。
動かない。
爆破の熱が溜まっていく。
動かない。
放たれるまで1秒。
動かない。
今ッ!
「
右脚を斜め上に振り上げると、黄色の大波のようなバリヤーを展開する。
展開されたバリヤーは名前の通り機関銃のように放たれる爆破の嵐を継続的に防ぐが、俺の展開したバリヤーは常時発生させられるものではない。
てか、ヒビが入っている。おかしいだろ、こいつの火力!!
すぐさま上空に逃げると、複数の黒い鞭が大きく軌道を描いて拡散。
囲むように向かってくる。その真ん中に、爆豪が爆破で加速してきた。
同時攻撃か! 太陽が近い。ここまで来れば十分!
「葉隠さん!発目さん!」
「やるよ!」
「準備オッケーです!」
息を大きく吸い込み、使いたくなかった手段のひとつを使う。
口の中に”気“を生成し、溜めると同時にカパッ!と口を開けて気功波を放つ。
さながらRPGのドラゴンのブレスように放たれた気功波は鞭を全て払うが、ここで弱点がひとつ。
「ごふっ!ごふっ…!!」
こう、口の中が爆発したとでも思って貰えたらいいだろうか。それの数倍くらいのダメージなので、持続力は極端に短く”舞空術“が若干乱れる。
あと息ができない。普通に死ねる。
もし安全に使うなら”気“を防御に回す必要もあって、今回は全員に付与してるから後のことを考えると自分の防御に回す余裕が無い。
でも、この程度じゃ死なないから関係なし! 失敗したら歯とか諸々やばくなるけどな!!
「隙ィ見せたなァ!?」
「げほ、み、みせゲホゲホッ!?」
「け、拳王技くん。喋らなくていいノコ!」
ダメージに反射的に閉じた両目を片目だけ強引に開け、一気に後ろに下がる。
追ってくる爆豪が正面に来た。
発明さんが背中に引っ提げていた銃を取り出して引き金を引くと、そこからネットが放たれる。
爆豪は見て展開される前に爆破で左側に避けるという理不尽な反射で避けた上に、俺が目を閉じてる方向なので反応が遅れる。
だが。
「集光屈折---ハイチーズ!」
「太陽の光かよ。甘ェな!!
「げえっ、ん……で初け……き、効かなっ、こっ……の才能……マン!?だっ……だっ、たら……りよ、う---」
「SMAAASH!」
二つの光に俺だけが怯む。
瞬間。
何処からともなくきた強い拳圧に一気に吹き飛ばされ、俺以外の悲鳴とともに落ちていく。
俺一人ならば強引に勢いを殺せるが、騎馬が崩れる!
”気“をワイヤーに付与して補強しつつ、カア!と口の中から気功波を放って爆豪の妨害。
ただその勢いでより加速してしまい、ついでに俺はダメージで口が開けなくなった。
爆豪の”気“が一気に離れたことから回収されたんだろうが、こっちがまずい。
指示!出来ない!”気“で勢いを…殺したところで意味が無い!
サポートアイテムで目を覆ってる二人は防げてるが、俺は二人分の光を受けたのと口のダメージがやばくて目が開けられない。痛すぎる。
どうするどうする……!?
「ま、任せて…!」
「離れてジェットパックを使ってください!着地は私たちでやりますから!こんな時のためのベイビーたちです!」
「う、うん!」
「……!?」
俺が考えてるうちに三人が行動をしたようで、葉隠さんが離れた隙に俺は彼女たちを信じて体を逆さまから無理矢理上下反転する。
すると反発するようなクッションが足に伝わり、弾かれてホバーブーツで着地。
俺は普通に靴での着地だが、すぐに”界王拳“の
「な、ないs……ゴホゴホっ!ふ、たり…!」
「何とかなって、よかったね…」
「ベイビーたちが活躍出来て何よりです!」
「た、助かったぁ……Ptは奪われてないよ!大丈夫なの!?」
「い、きが……でき、ない……だ、だけ……」
「それってヤバいよね!?」
問題ない。
少しは可能だし宇宙空間にいるわけじゃない。
流石に数秒で回復出来ないせいで喋りづらくはなったが、不味いな。
『さぁさぁ、空中での攻防を得て残り三分!よく凌いだな!口からビームってありかよ!ゴジラか!?』
『おいバカ隠せ、やめろ。しかし地面に落とされたということは』
『一気に騎馬が迫る!!今度はどう切り抜ける!?』
上空から四つの”気“。
そして周囲には複数の”気“。痛みを強引に押し殺して片目は開けられるが、いざって時の口から気功波を使ったし手が少ない。体力も減ってきた。
「やぁ小森!なぁぁんでA組と組むどころか仲良くなってるのか聞きたいところだけど、B組が大切ならソイツのハチマキをこっちに寄越すんだ!さァ!」
「同じ手は食わないよ、希乃子!」
「次こそはもらうぜA組ィ!」
「障子、フルアタックモードだ!」
「悪いけど、ウチらも余裕ないから!」
「な……んだ、さ、わがしい…あい…つ」
「物間くん。ちょっと(精神が)アレなの」
「ああ……」
なんかやけに目立ってたやつが気になったから返って冷静になれたが、状況は悪くなる一方だ。
流石にダメージの残る体じゃ高速移動する”残像拳“じゃ避けられない。
ならやることは。
「こ、もりさん……!」
「ん、掴んできたよ!」
キノコを生やす---のではなく、俺の”気“と彼女の”個性“を混ぜ合わせ、菌糸を利用して
擬似的な連続エネルギー弾。ただし、俺のエネルギー弾より遥かに多い。
銃として考えたら俺のがライフルならガトリングだな、これ。
当然、この物量は捌けるはずも無視して来れるはずもなく。
「なぁっ!?前までそんなこと出来なかった筈だろう小森ィ!?」
「なんかすごい成長してる!?」
「さすこもりさん」
「ノコノコ♪」
「むぅ……」
足止め+迎撃成功。
爆豪たちには自分が履いてる靴を脱いで蹴っ飛ばし、”気“で遠隔的に爆発させた。
やれば出来るもんだな、念動力っぽいこと。
あ、ついでにサポートアイテムのロケットパンチも飛ばしとこう。
すぐに逃げながら短な言葉でありながら小森さんを褒めると、嬉しそうな声音。反応が癒される。
誰にだって褒められると嬉しいよな、普通に。
俺も褒められるのは嬉しいし。真面目すぎるのは照れるから勘弁して欲しいが。
『あの包囲網を突破したァ!もうこいつ単騎で反則級だな、おい!』
『連携がだんだんと上手くなっているな。だがあいつの力は生命エネルギーを使っている。誰よりも体力の消費が激しい。かなり不味い状況かもな』
なんて考えていたら、すぐ足を止めることになってしまった。
「いつまでも暴れさせねえよ、拳王技」
「鬼ごっこは終わりか、界!」
「そう、来るかぁ……」
『残り一分半で上位一位から三位の三つ巴戦だァ!これは熱い!他のチームは轟の氷結で動けない以上、どのチームが勝つかは分からねぇぞ!もうここまで来たら1000万待って逃げ切って欲しいけどな!』
『気持ちは分かるが贔屓はやめろ。だが、拳王技の消耗を考えると厳しい戦いになるだろう』
”界王拳“を五倍へ。
―――――
今度は45%まで引き上げたのに口から”気功波“を撃つなんて。
ただあれは界くんにとっても苦肉の策だったみたいで、明らかに隙が出来ていた。多分使ってこなかったということは、何度も使用出来る技じゃない。負担が大きいんじゃないか?
でもそう簡単に取らせてくれない。
”OFA“の拳圧で騎馬を崩すことが出来ずに立て直され、今度は靴を爆発させたりとか、なんというか界くんが戦いの中で成長している。
飛んできたサポートアイテムは切島くんが受け止めて、麗日さんの”個性“で無力化しつつ僕が”黒鞭“で他の組の妨害に利用させてもらったけど。
でもどうして君が戦いの中で強くなるんだ…?なんというか、追い込んだら追い込むほど危ない気がしてくる。
それに流石に”OFA“の出力は一定を超えると切島くんが耐えれない可能性があるからあまり上げることは出来ないし、かっちゃんと連携してやっていくしかない。
残り時間は僅かだ。
1000万を取るにはここしかない!
「半分野郎は無視だ。分かってンな?」
「うん。逆に利用させてもらおう。奪うのは最後らへんだ」
このまま逃げ切っても勝てるけど、目的は界くんに勝つことだ。
そして界くんには効かないけど、他のみんなには効く”個性“で奪う。
何より、僕の”OFA“とかっちゃんの”爆破“を使った技で!
―――――――
氷結を避けるように移動していたが、封鎖されてしまう。
全員地上だが、宙に浮いたら爆豪に奪われるだろう。
葉隠さんじゃあいつ相手はまだ分が悪い。
今まで使用した目眩しは八百万さんがいるから無効化される。爆豪にはやり返される。
”界王拳“で地面を壊しても無視出来るメンバー。
「悪ぃけど、1000万は貰うぞ。八百万、上鳴!」
「準備完了ですわ!」
「ああ!無差別放電---」
「上鳴、お前まさか……」
何も学んでなくない?
嘘だろ、こいつ。まあいいか、放電してくれるなら真正面から叩き潰して解らせてやる。
小森さんにはキノコで妨害をお願いしつつ、上鳴の電気攻撃は俺が対処しないと。
帯電は電気だ。電気は光でもある。
葉隠さんの”個性“の許容範囲を超えたらどうなるか分からないし…というかもし上を着てない葉隠さんの姿が全国で流れたら不味すぎる。
「上鳴さん!」
「なんてしねぇよ!130万V!!」
「ッ!?あっぶなっ!?」
ヒュン!!
BZZZZZZZ!
無差別放電ではなく、なんか飛んできたから咄嗟に避けたが、あれ銀の針か?
そうか、八百万さんが生成して渡したのか。で、”個性“を使いながら伝導する金属の針を投げたと。
ただ俺はこいつが無差別放電するって先入観持ってたから複数を飛ばすのはいいしブラフは上手かった。アホにもなってないし。
ただ範囲的には網を投げた方がよかったかもな。
それに。
「行くぜぇええ!」
「君にも挑戦するよ、拳王技くん!」
二つのチームが一気に近づいてくる。
互いに潰さずに俺ら狙いかよ!
氷結生成され、電気を纏う針が飛んでくる。
蹴りによる蹴圧で破壊し、迫ってくる切島くんには地面にかかと落としして地面を隆起させて妨害。
普通に突進して壊してきたが、逃げる。
「小森さん!発目さんは全部撃って!」
「うん!」
「分かりましたッ!」
残る捕縛用ネットが二発。
”個性“によるキノコ生成。
しかし。
「対策はバッチリですの!」
「邪魔だァ!」
あ、いい匂い。
じゃなくて、キノコが燃えた!!
ゆ、ゆるせねえ……!! あとで食うからな、待っててくれ焼けたキノコ!! お前たちの犠牲は無駄にはしない…!!焼けた責任は俺が取る!
『残り時間一分!逃げ切れるかぁー!?』
「---あと一分弱か。みんな、これから残り時間、俺は使い物にならなくなる。だから」
獲れよ、轟くん
何か来る!
「葉隠さん来るよ!よく見ろ!そして今までの自分を信じろ!!」
―――――
今まで以上の警戒と緊迫した様子で大声を挙げる拳王技くんの声に顔が強張る。
今回私はまだ何もできてない。多少目眩しした程度。
小森ちゃんと発明ちゃんはそれぞれ活躍してるけど、奪えたのは私以外のお陰。
目眩しは爆豪くんに相殺されちゃったし、サポートアイテムのおかげで助かった。
彼がそこまで言うくらいだ。
きっと、飯田くんの秘策。
大丈夫。
大丈夫。
大丈夫!!
拳王技くんと特訓した日々を思い出せ、私!
落ち着いて!変に力を入れたら反応が遅れちゃう…!余計な力は入れない!
よく見て、冷静になって、ひとつの動作も見逃しちゃダメだ!
自分を信じる!信じて、なにより拳王技くんを信じる!!
レシプロ
飯田くんが力を入れるように深く踏み込んで、背を曲げていた。
まだ。
まだ。
まだ---!
バースト!!
瞬間。
私の目には、動きが
轟くんの手に、10000265Ptのハチマキが。
なく。
私は
分からない。
見えなかったのに。ただ決して
出来た。
出来た。
出来た! 成功したッ!
「---ナイス、葉隠さん。あとは任せろ」
そして。
とっても頼りになるような声と共に。
――――――
凄まじい速さだった。
俺は目で普通に追えたが、俺を除き、間違いなくA組でトップスリーに入るレベルの速さだっただろう。
咄嗟に後ろへ下がったとはいえ、葉隠さんが受け流したのは本当に凄い。
多分彼女自身も目で見えてなかっただろう。
なら、なぜか。
”心“、だろうな。
負けたくないという思いは時に人の限界を超えさせる。
何より、彼女は反復練習を何度も何度も真剣に取り込んでいた。
その成果が、反射という形で成功させたように見える。
なら俺も応えよう。
轟が驚いて冷静な判断が出来てないうちに、俺は”界王拳“を五倍からさらに引き上げ、
「ッ!?(なんだ、俺は今左を使おうと……!?)」
攻撃されるより早く風圧で消し、一気に上空へ加速した。
これで無事に勝てる。あとは逃げ切って終わりだな、つかれた---。
”煙幕!“
”黒鞭!“
”発勁“!
フルカウル
なんだ!?真下で急に煙が発生した!?
ダメだ、何も見えない!
”気“は動いてないってことは分かるが、目視出来るもんじゃない!!それに一気に高まってる!? まるで”瞬間的に戦闘力を上げる“みたいな感じで、凄まじい”気“を感じる!
何かやる気か!?何が来る!?
「”発勁解放“!」
ほんの僅かに、凄まじい速さで”気“が動き。
鞭がちょっと見えたと思ったら。
凄まじい爆発音とともに。
「え?」
「---
見えた。
見えはしたが、回避が出来なかった。反応出来ねえ。師匠の”瞬間移動“よりは劣るが---おい、なんてもん隠し持ってんだ出久!
あいつ今まで見たことないパワーで爆豪を鞭で投げたのか!!それに爆豪の爆破が今まで以上に凄まじかったぞ!?
煙でよく見えなかったが……!
『残り時間30秒!ここでついに、ついに葉隠チームから1000万Ptのハチマキを爆豪チームが奪ったーッ!!なんつー速さだよ!!気がつけば獲ってたとしか言えねぇし誰も反応出来てねえぇ!瞬間移動かァ!?ここで一気に大逆転!それどころか葉隠チームピンチ到来かー!?』
『いや違うな。拳王技をよく見ろ』
『ん?』
「……アッ!?てめェ!!!」
「
『なぁぁああ!?あの中で拳王技が口で爆豪チームの持ちポイントの690Ptを獲っていたーッ!?どんな反応速度してんだ!?』
「ご、ごめん拳王技くん!」
「
ごめん今喋れない。
とにかく今は爆豪から全力で逃げるために距離を引き離すと、爆豪は顔を歪めつつ深追いはすべきではないと判断したのか、自分たちの騎手へ戻って行った。
英断なことで。
俺の本気を甘く見るなよ、爆豪。もし来ようものなら奪い返してやったからな。今回は大人しく一位はやるよ……!!
まぁ、実際には今3倍に戻したとはいえ、さっきの爆豪の動きに対抗するために瞬間的に”界王拳“を現状の
というか俺が本気出さなくちゃ無理だったって二週間でマジでバグりすぎだろあの二人。
これでも俺、入学前に比べて”戦闘力“数十倍以上にも跳ね上がってるはずなんだけど、ただでさえない自信が余計になくなるだろ。
ただ出久との協力であの速度で来た爆豪から奪い取ったってことは単騎で来ようものなら奪い返せるんだぞ、という印象を与えられたのが大きかったのだろう。
実際にはもう無理だけどな!!
そしてまあ。
残り時間空中でチキンプレイしたら何かが起きるはずもなく。
爆豪たちは自身の防衛をする必要があるため、こっちに来れない。
だからこそ。
『3』
『2』
『1』
『TIME UP!! 騎馬戦を制したのは最後で1000万Ptを奪い取った爆豪チームだァぁああああ!』
普通に終わった。
『そして二位! 葉隠チーム!』
「け、拳王技くん!?」
「あー…消費しすぎた……」
「お陰で勝てたノコ。拳王技くん。やっぱりすごい」
「いやあ、私も見えませんでしたけどあの場面で奪うとは。フフフ、やはり貴方は興味深い人ですね、拳王技さん。それにベイビーたちがたくさん活躍出来ました!」
着地して葉隠さんを降ろした瞬間には俺はうつ伏せに倒れ、はぁ、床つめてぇ…と思いながら何故か小森さんに撫でられていた。
何この図。
あと発目さんそれどういう意味?解剖とかやめてくれよ?今”気“がほぼ尽きてるからね?動けないからな?
くそう、絶対”舞空術“鍛えるからな……!こんな無駄な消費ばっかしてたらいざって時に使いもんにならねえ…!
『そして、三位!轟チーム!!』
「……クソッ!!!」
「……まだ、届かないのか……!!いや、まだまだ……!次がある…!」
『そんで、四位、鉄て……アレェ!?心操チーム!!』
「……はは」
『以上4チームが、最終種目へ進出だぁあああああああ!!!』
―――――――
「かっちゃんッ!!」
「デク」
騎馬戦が終わり、僕たちは無事に界くんのチームから1000万Ptを奪い取ることに成功した。
一度も使ってなかった”発勁“で虚をついて、なおかつ”煙幕“で姿を隠しつつ”黒鞭“の遠心力+”OFA“75%+”発勁“+”爆破“。
これは正直、凄く強くなってた上にタフネスの塊であるかっちゃんか、もしくは異常なくらい頑丈な界くんじゃなければ出来ない連携技。
普通なら気絶してる。
持ちポイントの方は奪われたみたいだけど、あれを反応する界くんがおかしいだけだし。
何はともあれ、僕は手を挙げると、かっちゃんは後頭部を掻いたあとに手を挙げてくれたので、勢いよく合わせた。
パンッ!と手の叩く音が響き渡る。
「完全勝利っつーわけじゃねェが……まァあれくらいアイツならやってみせるか。じゃなきゃ張り合いがねェ」
「そうだね。だけど僕たちの勝ちは勝ちだよ、かっちゃん。ほら、あれ」
「……確かにな」
僕が指差す方には、地面に倒れ伏せている界くんが居る。
彼ならこっちに何か言いに来てもおかしくないのに、一切身動きしてない。
というか、あの小森さんっていうB組の生徒に頭撫でられてる。
…ふと思ったけど、競技中も凄い連携してたしなんか仲良くない? 距離感近すぎると思うんだけど。
彼女の”個性“は見たまんまキノコだ。キノコってことはどういうふうに出してるんだろう?胞子?種駒?
どんな種類が出せるのだろう?現実のものだけ?それとも架空のものも出せるのか?知ってるものだけとか?知らないものは無理なのかな。
サイズは?大中小自由に変えることは出来るのか?それにキノコってことは毒キノコも対象のはず。幻覚を見せたり毒を使えたり痺れさせたり眠らせたり出来るってこと?生み出せる範囲は?量は?地上ならどこでも可能?それとも湿った土…ああでもそこ以外でも出てたしな。そう考えたらすごい”個性“だぞ。
足場にも出来るし、見た感じ拘束能力もあった。キノコを生やすだけで動きを阻害出来るしヴィランを無力化させることにかなり特化しているし、ほかにももっと---
「うるせぇわクソナード!」
「ああっ!ごめんつい!! と、とにかく界くんがああなるほど僕たちは力を出させた。それって、今までと違って彼に本当の意味で本気を出させたってことでしょ? 完全勝利ってわけには行かなかったけど、十分勝利だよ。僕たちは界くんに勝てた。そして次も勝つ」
「ああ。ったりめーだ! 一回勝った程度で満足すっかよ。仮に超えたとしたって、下で燻るようなやつじゃねェ。勝ってももっともっと上に行かなきゃあっさり置いてかれるだけだ。お前にもだ、デク。次からは敵だぞ。負けねェからな」
「……うん!僕だって負けない。君にも勝つから!」
「俺が勝つわ!」
「いや、僕が!」
「ああ!?」
「おいおい、二人とも! せっかく一位だってのにここは喜ぶところだろ!なんで言い争ってんだよ!?」
「やったね、おふたりさん! 拳王技くんに勝っちゃったよ!」
「当たり前だろーが。今のデクと組んだ上で負けたらそれこそどーしようもねぇよ」
「うん、まあ今のかっちゃんと組んでも勝てなかったら無理だよね。正直」
思わず言い争いになっちゃったけど、二人に声を掛けられて僕とかっちゃんは予め話し合ったんじゃないかというくらい冷静になって切島くんや麗日さんに返していた。
「否定できねぇな……」
「うん……まぁ、即席であれだもんねぇ…」
「どーだがな。せんせーが言ってたがヒーローになりゃンなもん嫌でも経験する。例えキノコ女だけしか居なくても他の連中だろうと同じ結果になったろうよ」
「それってどういうことだ?」
「界くんは天才なんだよ、ある意味ね。うん、言うなら
「並外れた努力をしなきゃ無理だろうしな。あいつはあらゆる方法で戦略を組む。何より新しく技を生み出すのが早ぇんだよ。詳しくは知らんが”師匠“ってやつの影響だろーよ」
「お、おおお…本当に色々知ってんだな、二人」
「うんうん。流石幼馴染やね! その師匠ってどんな人なんかな?」
「知るか。教えてくれねぇしな」
「うーん…今の界くんが複数人居ても勝てないレベルで強いのと界くんが物凄く慕ってるということしか」
「え……?」
「嘘だろ!?拳王技ほどのやつが複数人居ても勝てないって、オールマイトと組んでも絶対無理ってことだよな……?プロヒーロー全員でかかっても勝てないんじゃ……」
『それじゃあ今から一時間程昼休憩を挟んでから午後の部だぜ! じゃあな!』
雄英体育祭本戦トーナメント三戦目(展開変わる)
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VS緑谷出久
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VS爆豪勝己