無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ? 作:絆蛙
残りは三戦か。
今は飯田くんが発目さんに騙されてプレゼンしている。
大方、真面目な飯田くんは発目さんの言葉に心を打たれたとかそんなもんが原因だろう。発目さんのことだから終わったらわざと場外になるだろうから、勝者は飯田くんだと思われる。
それより次の試合だ。俺の立場上級友の芦戸さんを応援すべきなのだろうが、小森さんに対する感謝は大きいため、俺はこっちを応援したい。
俺が決勝まで残れたのは彼女が声を掛けてくれたからだ。可能なら俺は彼女の力に全力でなりたいと思うし、今となっては友達だ。
友達は大切にしたい。クラスメイトとも仲は悪くないけど、優先度を決めろと言われたら友達だろう。
恩は倍に返さないとな。仇も倍にするけど。
もちろん発目さんの発明品は気になるが、どうせ近々行くことになるし。
俺としては小森さんが心配なので控え室に向かってノックすると、許可をもらってから入る。
さっきまで別の”気“があったから、彼女のクラスメイトが居たのだろう。
視界の先には小森さんが座りながらこっちを見ていた。
「小森さん」
「拳王技くん…?」
「平気?」
「…実は緊張はしてるノコ…」
「そりゃ、そうか。雄英体育祭ってのは大きな影響があるもんな」
「うん…」
正面の席に座り、彼女と対面になる形になる。
みんな夢はある。
俺は師匠を超えたい。俺を育てて力をくれたあの人に報いたい。そして俺のような人が増えて欲しくない。
そう思ったからヒーローを目指している。
「小森さんはどんなヒーローになりたいんだ?」
「私? 私はアイドルヒーロー志望してるノコ」
「アイドルヒーロー、か。うん、それはそれで素敵な夢だな。小森さん小柄で可愛らしいしキャラ性もバッチリだ」
「えへへ…。そういう拳王技くんは?」
「俺は”最強“のヒーロー…かな? 師匠を超えたいんだ。俺を救ってくれたあの人にお返し出来るのは、俺が師匠より強くなることだって思ってるから」
「師匠……さっきも言ってたよね。どういう人なの?」
「どういう、どういうかぁ……」
改めて聞かれると、師匠って結構変わってるから難しいな。
宇宙人ってのもあるんだろうけど。
でも、俺が抱く印象でいいか。
「男の人で、穏やかで優しく、楽観的で成長思考があって…落ち着きがあって…戦うことが好きで、裏表がなく誠実で…立ち居振舞いも明るく誰にでも好かれるような人、かな。困った人は放っておけず、助けても大した見返りは求めなくて、まるでヒーローみたいな…そんな人。なによりこの人が居たらどんなことがあっても何とかしてくれる…そんな気持ちにしてくれるんだ。だから俺も、師匠の言葉にずっと従ってここまで来れた」
俺を助けてくれたのに、見返りは求めなかった。
それどころか手を伸ばしてくれた。
あの日、俺は心を救われて、あの日ヒーローになろうと思った。師匠のように、なりたいと。
両親が居てくれたら何でも良くて、それがなくなってしまって。
ヒーローに本気でなろうと思ったのはあの日が初めてだ。
例え”無個性“だろうとなろうと。いや、”無個性“だからこそ、か。両親が産んでくれたありのままの俺がヒーローにならなきゃきっと意味がないから。
「…拳王技くん、その人のこと大好きなんだって伝わってくるノコ」
「ま、まぁ俺にとって親みたいな人だからね……」
改めて言われると恥ずかしくなる。
師匠のことは大好きだ。恩人だし憧れだし。
人に言ったことなんて全然ないから少し恥ずかしいだけだ。
「語ってる時の拳王技くん、見たことがないくらい今まで以上にとっても優しい目をしてて、誇らしそうで、すごくすごくキラキラしてたよ?」
「う……そ、そうなのか」
「んふふ、何だか得した気持ちになれるノコね。ね、もっと拳王技くんのこと教えて?」
「俺のことか?」
「うん、私まだ拳王技くんと会ったばかりで全然知らないから。もっと知っていきたい。興味があるキノコ」
「じゃあ…時間まで話そうか。そうすれば緊張も薄れるだろうしさ」
「ノコ」
自分のことを話すのは少々気恥しいものがある。
それで小森さんの気が紛らわせるなら、と俺は幼少の頃から語った。
流石にサイヤ人の存在だったり両親のことは語ってない。
これから試合する相手に話せる内容じゃないし。話すとしたら終わってからだ。
だからこそ、話す内容は普通のことだった。
自分という人間がどんな性格だったのか。出久や爆豪との出会いとか、おおよそ10分くらいだからあまり話せなかったけど。
ただやっぱり、今の俺とは大きく異なる性格だったから小森さんは驚いていた。
あと弱かった点についても。流石にあの頃の、何も出来なかった自分よりかは強くなっているのは自覚している。
ただ昔の俺はどこか冷めているというか、自分でも変わってたって思うしな。普通ならヒーローを目指してたやつが”無個性“って診断されたら何かしら思うだろうに、俺はきっぱり諦めてたし。
俺はあくまでヒーローってのは手段でしかなかったというのもあるが。
「もう時間みたい。もっと聞きたかったなぁ」
「そんな面白味はないと思うけど…」
「拳王技くん自身が面白いから自信を持って大丈夫!」
「そんな自信は持ちたくないんだけど!? けどまあ、別にこれからいくらでも話せるんだ。今は小森さんの応援させてくれよ」
「いいの? もし私が勝ったら……」
「小森さんの相手が級友でも俺が小森さんを応援したいと思ったんだ。だから君のことはB組よりも、君の両親よりも、先生よりも、誰よりも応援する。小森さんなら勝てるよ、俺はそう信じてるから」
「拳王技くん……」
部屋を出た俺たちが向かう先は別で、これ以上はついていけない。
だからこそ俺は伝えるべきことを笑いかけながら伝え、拳を突き出した。
俺の応援ひとつで、少しでも自信に繋がるなら。少しでも力になれるなら。
俺はいくらでも応援する。彼女の夢を知ったなら、よりそうしたいと思ったから。
小森さんは俺の手と顔を見て。
「人たらしの才能あるノコ」
「へ?」
「でも……それなら拳王技くんは私の第一ファン。見ててね、私のこと見逃しちゃダメなノコ」
「ああ、任せろ。例え音速だろうと見逃さないくらい動体視力は良いからな!」
「うーん、そういう意味じゃ……まぁ…いいや」
何か言いたそうな顔はしていたけれど、小森さんは笑みを浮かべると俺の拳にこつん、と小さな拳が重ねた。
「じゃあ、行ってくる!」
「おう、観客席で見てるからな!」
緊張が解けたように、小森さんが歩いて去っていく。
俺はそれを見届けると、自分も観客席に向かった。
『続いて第七試合!あの角から何か出んの!?何か出るの!?
ヒーロー科、芦戸三奈VSB組で唯一の出場者!騎馬戦でも大活躍!ヒーロー科、小森希乃子!』
プレゼントマイク先生結構紹介酷いときあるよなぁ…絶対思いついたこと言ってるだけだろ、これ。
「悪いけど加減はしないからね!」
「負けないノコ」
『START!!』
開始の合図と共に、芦戸さんが素早くフェイントを混ぜて移動しつつ投げるように球状の酸を投げていた。
小森さんは避けるようにして動き、元々当てるつもりのない酸は当たるはずもない。
芦戸さんは”個性“がなくても十分高い身体能力を持つ。
故に、小森さんに既に接近していた。
確かにフィジカルだけならば芦戸さんの方が圧倒的有利だ。
小森さんは肉体で戦うタイプではなく、奇襲、サポート広範囲殲滅系タイプ。肉体を鍛えるより動ける程度にしつつ”個性“を鍛えるのが最適。
ただアイドルヒーロー志望なのもあり、比較的動ける方だ。”個性“を伸ばすだけで良く、十分なフィジカルは既にある。
拳をしゃがむようにして回避し、すぐに後ろに下がると芦戸さんは距離を稼がせないように攻める。
彼女の取れる戦法としては正解に近い。キノコを生み出されるより早く無力化しないと負けるからだ。
「こんな感じ……かな?」
「えっ…!?」
しかし次の瞬間、芦戸さんの足が止まった。
よく見れば、小森さんの足から菌糸が伸びており、それが固まって芦戸さんの足どころか半身まで覆っている。
その事に俺は酷く驚いた。
「あれって、騎馬戦でもやってた……」
「ああ、轟くんが居たから問題なかったが……頑丈で動けなかった。俺の足も上手いこと無力化されてしまったしな」
確かに彼女ならいずれ出来るようになるとは思っていたが、いくらなんでも早すぎる。たったの二回しか使ってない上に、あれは全部俺が”気“による支援をしたから出来ていたはず。
まさか、と思って”気“を注視して見れば、気づかなかったが
いやいや、おかしい。どうなってる?
俺が彼女と話す前、つまり控え室に行く前に感じた”気“よりあまりに増えすぎている。俺と話して、その後にでも彼女の中で何かが変化したってことか…?
切島も急激に上がったし…相変わらずバグの条件はよく分からないが、ここまで立て続けに起こるなんて。
俺は経験したことないから、どんな感じか分からないが。
「これくらい…!」
「メンゴね!」
酸によって溶かそうとした芦戸さんだが、次の瞬間、芦戸さんの体から赤いカサに白いイボが点々になっていて、ささくれた白い柄にツボとツバがあり、かなり特徴的な形をしているキノコが大量に生えた。
他にも生えているが、あとは類似種の傘の色が淡黄色でいぼが白色で縁には条線あるウスキングダケ、鮮やかな緋色の傘と傘に条線、柄は黄色でイボが赤のヒメベニテングタケなど毒キノコや、ホコリタケとかキクラゲ、トリュフ、カワラタケ、サンコタケ。キヌガサタケなどなど。
基本的には担子菌類と子囊菌類で分かれるが、子実体として多孔菌類、腹菌類、膠質菌類---と挙げたらキリがないくらいある。
俺が知る中でも多くのものを対象としていたようだ。だからこそ、生えたのがめちゃくちゃ多い。
そもそも知られてないだけで4000以上あるとされてる。実際には既知の数は2500種以上だったか。
俺も全部は知らない。
ただ毒キノコであるベニテングタケの主要毒成分はイボテン酸とムッシモール、また微量ながら猛毒のムスカリン、溶血性タンパク質を含んだ毒キノコの一種で…詳しく説明すると長すぎるから要約すると、これらの毒キノコは胃消化器系と神経系に影響が出たはず。
ベニテングタケは何処かの国では幸福を呼ぶキノコと言われてたような。
食べなければ一応問題はない。
食べたら酒酔い状態みたいになるんだよな、あれ。大量だと幻覚を生じ、昏睡状態になるらしいけど。
俺は気にせずに大量に食ったことあったけど頭ふらふらしてた理由が調べて分かった。
「なに!?くさっ!きゃっ……!?げほ、げほっ!?」
ちなみにホコリタケ、丸い形をした褐色のもので頂部に穴が開いている。
そこの成熟した子実体の外皮が何かに接触したり風に吹かれるなどの物理的刺激を受けると、頂部に開いた孔から胞子が煙のように噴出するキノコだ。叩いたりしてもなる。
知らなきゃ取ろうとして埃を受けてしまうわけだ。
初見殺しすぎる。
そんな一気に噴き出るものじゃないけど、”個性“で生み出されたものだしなぁ。
キヌガサタケに関してはクレバと呼ばれる部位から悪臭を放つ性質がある。竹林とかに生えてたかな。
円錐形の頭部と円筒形の柄からなるきのこの本体に、まるで純白のレースのマントを纏ったかのような美しい姿から『キノコの女王』と呼ばれているとか。
ただ臭いが本当に酷い。ハエを集める目的があるって言えばどんな臭いか想像がつくだろう。
……汚い話、ウ〇チみたいな臭いだ。
まるで美しいバラには刺があるをまんま当てはめたかのようなキノコなんだよな。
キノコって結構そういうトゲがあるパターンは多いのだが。
ちなみに気になるであろう味は食べれるけど味はない。スープの具になる希少な高級食材として扱われてるのでフカヒレみたいな他の食材と組み合わせるタイプ。
「う、ぁ……」
「す、凄まじいな……」
「俺でも受けたくないな…」
試合がない出久、飯田、俺はそれはもう頬を引き攣らせていた。
ちなみに上記の説明は俺がした結果である。絵面も結構すごいけど。
しかし毒キノコが行けるなら、カエンタケとかドクツルタケとか生やされたらやばいよなこれ。
キノコの成長速度が遅いのとフィジカルが欠点なだけで、湿気のある場所なら範囲もよりやばいだろう。成長力も高まるだろうし。
最初の欠点であった範囲だって、いつの間にか無差別ではなく、ある程度制御可能になってるみたいだから、生えてる箇所も芦戸さんの周りだけになってある。
こうなった場合、火を扱えるものや高速で動く相手、範囲攻撃、守れる俺くらいじゃないと対処出来ないかもしれない。
酸じゃ胞子はどうにもならない。全身に纏ったりとか出来るなら別だが…。
彼女がヒーローじゃなければ小森さんの”個性“で天下取れそうなレベルでやばい気がする。この世界ってある程度”個性“による耐性多い人いるし、芦戸さんも酸にある程度耐性があるだろう。
どういう構造かは分からないが、胞子を吸い込んでも体内に酸を生み出す部分があるなら少しは無力化しそうではある。
俺に関しては”個性“がないせいで一切の耐性ないから、さっき挙げたカエンタケとか一個ならまだしも大量に生身で食らったらワンチャン死ぬな…。
触れたらやばいキノコだし。
「ま、だ……っ!」
「ううん、終わりノコ」
さらに。
顔中に小さいキノコをお互い絡むレベルでみっしりと生やし、芦戸さんの視界が完全に塞がれる。
気配を読む技術がない相手なら無力化可能なそれは、芦戸さんにも効果覿面で上手く動けずに倒れていた。
そして菌糸の糸が、運ぶように場外まで伸びきっていた。
これ、他にも胞子大量に吸わせて肺をやらせたりキノコ生やしまくって息苦しくさせたり出来るだろうから、使うのが小森さんでよかったと思える”個性“だし消えるのが本当に良かったって思う。
もしヒーロー志望じゃなくてヴィランになってたら大半のヒーローやられるな……ほんと小森さん、すごいぞ。
制御できるようになってるからこそ、ヒーローとしても既に上澄みの実力だろう。
『こ、これは……芦戸さん場外!小森さんの勝利!』
この辺りは対策はしていたようで、すぐにキノコが除菌されていた。
予め八百万さんにお願いしてたのか、はたまた元々用意していたのか。”個性“の把握はしてると思うから当然か。
「あの”個性“強すぎないか…?」
「扱い方がプロと遜色ないぞ……」
「いや、もしかしたら超えてるかもしれん」
「あの子だけじゃねぇよ。今年の一年生レベル高すぎるだろ……」
「ああ、てっきりエンデヴァーの息子だけだと思ってたが、あの障害物競走1位取ったやつとか硬化の子、障害物競走の1位から騎馬戦で奪ったやつらとか彼女とかな。普通科の彼も”個性“だけ見たら凄いぞ」
「ちょっと自信なくしてきた……」
「無傷で無力化させられるって考えたらやばいな……」
「知識が必要だと思うから、努力してきた結果だろう」
「中、遠距離においては凄まじいな」
「範囲殲滅だったり奇襲だと、とんでもないか…?」
プロの人からしても同じ考えに至ったらしい。
俺なら即効で場外にさせられるが、格下、同等クラスの相手なら彼女は最強かもしれない。なんか扱い上手くなってるし、集団戦にも向きそうなんだよなぁ。
近接戦が出来ないから距離が近い増強型の格上には厳しいけど、壊せない程度の増強型なら菌糸の操作で何とかなりそうなのが……。
そんなことを思ってると、小森さんと目が合った気がした。
何となく、手を振る。
すると彼女ははにかむように笑顔を浮かべていた。
うん、まあ…俺の応援必要だったか?ってレベルだけど勝ってよかった。
怪我なく無力化だし、結果としては凄くいい感じだろう。
―――――――
しばらく小森さんの”個性“の影響で時間が掛かるというのもあり、僕と飯田くんは急いで控え室に向かっていた。
ドアが開いている。
恐る恐る、覗くように見ると。
「うらら…かじゃないな!?シワシワだぞ眉間!!」
「みけん?」
そう。
飯田くんの言う通りその顔はとてもとても険しかった。
気持ちは、なんだか分かる気がするけど。
僕も最初の頃、界くんは”武“の先生みたいなものだったから別として、かっちゃんと組手する時なんて慣れるまでは不安も多かったし…。
特に仲直りする前とか体もまだまだで体中に覚えさせられまくったしね……。
「あー…ちょっとね。緊張がね。眉間に来てたね。二人とも試合はいいの?」
「大丈夫。さっき終わったばかりで小森さんの”個性“の影響で少し時間あるから…」
「じゃあ……」
「ああ、もうすぐ出番になる。君の相手はあの爆豪くんだものな…」
「うん…超怖い。でも爆豪くんは誰が相手でも、相手が“本気”なら真摯にそれに応える。あの時敵情視察に来た人たちに言ってたのも、騎馬戦で実際にそうしてたのも、見てきたから」
そう、かっちゃんは間違いなく”本気“ではなくても全力でやる。
相手の性別なんて関係なく。
夢を目指すと決めてる以上、舐めプなんてしない。
昔ならまだしも、界くんや僕に負けて誰であろうと格下と見下ろすこともなくなったかっちゃんは、敵として対峙したらより厄介な存在だ。
麗日さんの答えは不思議と分かっている。それでも僕は、ノートを突き出して。
「うん。僕は麗日さんに沢山助けられた。だから、少しでも助けになればなって。麗日さんの“個性”でかっちゃんに対抗する策、付け焼き刃だけど考えてきた」
「おお!やったじゃないか!!」
「ありがとう…デクくん」
でも。いい
「デクくんは凄い!元から凄かったけど、どんどん見えてくる。騎馬戦の時…仲良い人と組んだ方がやりやすい!って思ったけど。今思えばデクくんに頼ろうとしてたんかもしれない。飯田君が
なんでか分からない。
でも、麗日さんなら何故かそう言うと思ってたから、僕は驚くことなくノートを持つ手を降ろしていた。
「みんな将来に向けて頑張ってる!そんなら皆ライバルなんだよね…だから」
決勝で会おうぜ!
少し震えた手で、それでも無理矢理笑顔を作った麗日さんを見送った僕らは観客席に戻っていた。
界くんの隣にはやっぱり小森さんが居る。
B組の方はいいのかな、と思って聞いてみるとさっきB組の女子に揉みくちゃにされて、男子陣からは褒められた後だったらしい。
恥ずかしいからこっちに来た、と。
B組の中で唯一進出してて勝ったら、そうなるのも納得かな…。あの”個性“なら僕でも速攻しないとやられそうだし。
「で、大丈夫なのか?」
「あの爆豪くんって人なんだよね?」
「大丈夫ではないと思うけど……」
「うむ……」
「ま…爆豪なら加減はしないだろうからな。はっきり言って実力差はありすぎる。それでもきっと、諦めることはしないだろう」
「うん…」
『これで第一試合最後のブロック!堅気の顔じゃねぇ、ヒーロー科!爆豪勝己!!VS!ぶっちゃけ俺こっち応援したい!!同じくヒーロー科!麗日お茶子!』
「麗日。退くなら今だぞ」
「ここで退いたら…私はヒーローになれない。みんな本気で目指してる…それは私も一緒なんだ」
「そうか」
『START!!!』
スタートの合図と共に、速攻。
そう、それでいい。麗日さんの”個性“で浮かすことが出来れば、通じなくても一瞬でも隙ができる!
かっちゃんに勝つならそこを突くしかない!
「うわ……」
「そりゃそうなるか…」
下から刈り上げるような爆破。
低い姿勢でだった麗日さんは直撃してしまう。
それでも諦めずに突撃していくけど触れようとしても、避けようとしても、その爆破と反射神経が、全てすり抜けさせる。
何度も繰り返し、ボロボロになっていくのは麗日さんだ。
かっちゃんは無傷で、でも一切の油断がない。隙すら作らない。相手から目を離さない。
「見てらんねぇ…!おい!!それでもヒーロー志望かよ!そんだけ実力差あるなら早く場外にでも放り出せよ!!」
女の子いたぶって遊んでんじゃねーぞ!!
そーだそーだ!!
野次の声が響き、伝播するようにブーイングの声が聞こえ始めた。
界くんは怒りを通り越して呆れていて、こいつらプロのくせにマジかと言いたそうに冷めた目で見ていた。
かく言う僕は、怒りで声を挙げそうになる。
本気で言っているのか? いたぶる?遊んでる?そんなことできるわけない。
かっちゃんのことも麗日さんのことも何も分かっていない。何より、その発言をプロの誰かが言ってるという点が問題だ。
戦いということを知らない一般人が言うなら、まだ納得は出来る。
でもプロの人が分かってないのは違うだろ…!
そう、激情に任せかけたとき。
『今遊んでるっつったのプロか?何年目だ?シラフで言ってんならもう見る意味ねえから帰れ。帰って転職サイトでも見てろ』
『ここまで上がってきた相手の力を、認めてるから警戒してんだろ。“本気”で勝とうとしてるからこそ。手加減も油断も出来ねえんだろうが。お前らは今までの試合で何を見てきた?”本気“じゃなかったやつなんてどこにいた?居ねぇだろうが』
そう、それは二人に対する侮辱だ。
そして僕らに対する侮辱でもある。
みんな”本気“でやってる。切島くんが界くんに”挑戦“したように。葉隠さんが常闇くんに”挑戦“したように。
麗日さんも、”本気で挑戦“してるんだ…!
「(まだだ…まだこいつ)」
「ハァ…ハァ…」
まだ、”目“が死んでねぇ。
この”目“はあん時のアイツらと同じだ。油断する訳にはいかねぇ。
「そろそろ…か…な。ありがとう爆豪くん」
油断してくれなくて。
「あ…?」
きっと気づいてなかったのは、ほとんど居なかったはずだ。
一人だけ最初から気づいていた界くんとすぐに気づいた僕はともかく、飯田くんも小森さんも気づいている。
麗日さんの”策“を。
「爆豪の距離なら兎も角…客席にいながら
「低姿勢での突進で爆豪の打点を下に集中させ続けて、
悟らせなかった。
麗日さんの”策“。
それは---
「勝アアァつ!!!!」
『流星群ーー!!!』
『気づけよ』
大量の瓦礫。
さながら、流星群のように。
ほとんどの生徒なら間違いなく処理に時間が掛かる。プロのヒーローでも対処するのは容易ではない。
麗日さんにとっての、大技。
こんだけの量なら、迎撃なり回避なりで対処する時間がある!
距離が詰めれて、その隙に---!!
KABOOOOOOMB!!!!!
瞬間。爆発。
広範囲の爆破によって全て木っ端微塵になる。
「(ノー…タイムで)」
そうして、衝撃によって浮いた身体を。
「…っぱ、
爆風で押し出した。
『麗日さん場外!!!爆豪くんの勝利!!!』
こうして、一回戦は一通り終わった。
人生で初めてキノコについて調べまくりました。
検索欄がキノコと小森さんで埋まってた。
実際問題堀越先生はどういう”個性“のつもりで書いたんでしょうね。ただ単にキノコ生やすだけってわけじゃないはずだけど。仮にそうでも成長したら特性も使えそう、ということでこうなった。
原作でも最前線に呼ばれるくらいには強いんですよね、希乃子ちゃん。可愛くて強い、完璧かよ。
本作だと拳王技くんと関わるためクソ強くなります。以上。
参考程度に。本編のみかその他(日常、修行、ヒロインとの話、オリジナル編など色々)ありか 後者はDB要素や他のヒーローや他の生徒など多くのキャラとの関わりが増えると思われ
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本編のみ
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その他