無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ? 作:絆蛙
いや急に増えすぎて普通にビビった。これが元気玉か。
みんな頼む、俺のモチベのために評価を分けてついでにもっとランキング上げてくれ。みたいな。
それはそうとありがとうございます! こんな急に増えてもトップ層がとんでもないと思い知らされた…!
ランキング掲載の評価がようわからん…!
代わりに報いるために頑張ったから許して。
正直、雄英体育祭はこの回のためにあったと言っても過言じゃない話です。戦闘描写が難しいこと以外は考えてたとおりにいった。
脳内のイメージ映像をそのまんま文章化出来たらいいのに。技術進歩してくれ。
「続き始めるとするか、出久!」
「行くよ、界くん!」
俺は”界王拳“の3倍使用。
対して”気“を見た感じ一気に跳ね上がったことから今出久が常時問題なく出せる最大出力なのだろう。
一番使い慣れている倍率で戦う。
速攻で終わらせるならまだしも、そういうつもりは一切ない。
10倍なんて以ての外。打撃だけならまだしも”舞空術“やら”気弾“やら使うなら温存状態の方がいい。
構えた瞬間、出久が一気に加速する。
半身をずらし、出久の飛び蹴りを避けるとすぐに停止と共に回転して蹴りをしてきたため、右手でガードする。
僅かに後ろに下がり、同じように飛び蹴りを放った。
視界から消え、頭を下げて回避したのだと理解するのと同時に気功波を広く放つ。
普段と違って威力が下がる分、広範囲に届く気功波だが煙が晴れると何かが焼けたように崩れていく。
ステージを壊して盾にしたようだ。
しかも鞭が巻かれていたため、それで防御したのだろう。
あの鞭、なんだかんだ厄介だな。拘束されても”気“を放出するか気合いで弾けるとはいえ、機動力と戦略を大きく高めている。
高速で連続でバク転して一度距離を引き離し、見据えながら間合いを測るように動く。
同じ考えなのか、まるで互いに左右逆に円を描くように動く俺と出久。
そして動いたのは同タイミングだった。
地を蹴り、拳と拳が衝突し、互いの蹴りが同じ角度でぶつかる。
戻すように回転し、真逆の足で脇腹を狙うと出久は俺の足に鞭を巻き付けてギリギリのところで避けた。
引っ張られる。
残っている足を地面に突き刺した。
動かせないと判断したのか鞭が解かれ、突然失われた力に重心が傾く。
その隙に出久は鞭を糸を巻くように自分の体に巻き付けてその場で回転し、勢いをそのままに俺の後頭部には衝撃が走った。
反撃に殴ったはずが、防具として役目を果たしている鞭によって防がれると一気に押し込まれるように地面に叩きつけられ、体がバウンドする。
地面は砕け、体が逆さまになった俺の鳩を狙うように放たれた拳を俺は即座に高速回転して反転し、両脚で挟み込むと勢いよく振り上げて背後へ投げ飛ばす。
鞭が体中に巻き付き、勢いがまんま返ってきた。
当然、引っ張られる。
ならば、と”気“を解放して”舞空術“による加速。
普段とは違うピヨーーーンと言った飛行機の急降下のような音とともに拘束から抜け出した俺は出久の背後に移動し、4倍へ引き上げながら勢いに負けて飛んできた出久の背中を蹴る。
ギリギリのところで避けられ、空振った足を蹴られて隙ができる。
そこへ拳が飛んできて、避けるのと同時に風圧が俺の体を弾いてきた。
大の字を体で表現するように両手足を大きく開いて強引に勢いを殺し、攻撃を逸らしながら投げる。
出久は俺の腕を掴むことで吹き飛ぶのを避けると投げてきて、離れる前に手を掴むと回転しながら地面に叩きつけるように投げる。
しかし鞭によって巻き込まれてしまい、同様に地面に叩きつけられた。
そのまま掴みかかり、ごろごろと一緒に地面に転がった俺は自ら体を仰向けに倒しながら、足の裏で相手の下腹部を押し上げ、頭越しに後方に投げる。
腕を掴んだまま受け身を取った出久は跳ね起きながら強引に俺を持ち上げて力強く叩きつけ、投げられながら両脚で腕ごと体を拘束した俺は両手をつきながら後方に反り返る勢いを利用して叩きつけ返す。
そこからまた投げては投げ返し、投げて、と投げ合いをして場外を避けるように互いに一気に離れた。
『投げては投げの繰り返し!こんな投げ合いをする戦いなんて滅多にねぇぞ!!泥臭ぇ!』
「むしろそれがいいッ!」
『”個性“を用いて強引にやっているが、技術で緑谷は負けている……ダメージは拳王技の方が少ないな』
ふう、と一息つくと、出久の方は息が乱れていた。
鞭がなければもっとダメージを与えられたのだが、投げる際にも邪魔してくるし勢い殺せるしでとにかく邪魔臭いな。
「もう終わりか?」
「冗談ッ!」
加速し、素早く軽く小刻みに拳の乱打。
目で動きを捉えつつ”気“の動きを見る。
同時に並行させながら最小限の身のこなしで避けていき、ストレートが来た時には外側に弾いて胸を打つ。
軽く下がりつつ視線が下に向いた出久に拳を叩きつけ---避けられる。
即座に左手を腹部に添えると、衝撃が走った。
「いっっ……!」
手の状態を忘れてたせいで痛みに顔を顰め、その隙に強引に当ててきた。
衝撃が貫通し、肺から空気が押し出される。
痛みを押し殺しながら突き刺さっている拳を握って捕まえると頭を横に振るって側頭部に頭突き。
その際に横に動く出久に向かって受け身を取るように前転し、後ろ足で頭部を狙う、いわゆる胴回し回転蹴りをすると両腕を頭上に重ねた出久の防御を壊す。
よろめく出久の胴体を狙って突進。足を払って、喉元に腕を押し付けて倒す。
振り上げた拳を叩きつけようとして、強引に振り払って離れられる。
その場で宙返りすると、空気圧が通り過ぎた。
着地と同時に気弾を一斉に複数放ち、爆発した。
瞬間、出久の頭上を取った俺の拳が一気に振り下ろされ、俺を
地面に拳を当てたまま、俺は出久を睨むように見た。
冷や汗を掻いているようだが、俺は眉を顰める。
ずっと違和感があった。
出久は俺と違い、”目“でしか動きを捉えられないはずだ。
だというのに、今までの攻防で
投げ技とか避けることが不可能な攻撃、もしくは体勢なら当てられるが、今がそうだったように普通なら直撃、もしくは見てから避けられたとしても反応が遅れるはずなんだ。
それこそ爆豪みたいなイカれた反射神経がないと出来ない。
出久は考えてから動くタイプで爆豪と違って後出し出来るタイプじゃない。
予測、分析、どれも違う。
勘で避けた訳でもない。
まるで”気“を見るような、でも違う感覚。
一体何が原因だ?
情報が足りない。
ならば---
「ハアッ!」
「……来る…!」
気弾を連続で放出しながら走る。
風圧を伴って弾かれるが、円盤状にして地面スレスレで手を動かし、下段に投げる、気円斬。
無論当てたら殺してしまうので見た目だけのハリボテ。
しかし当然危険だと分かるものを当たりに行くほど戦いを知らないわけではない出久は跳んで避けた。
加速し、背後に回る。
一歩下がって避け、同時に膝蹴り。
両手で受け止める出久を強引に空中へ蹴り飛ばすと、”気“を両手に集め、手を重ねて親指と人差し指で四角形を作り、出久の姿を捉えるとその間から気を一気に解き放つ---
気功砲!!
気弾のようにある程度固まった形ではなく、かめはめ波のようなエネルギー波でもない。
強烈な発光を伴った波動として放たれた気功砲に出久は体勢を崩しながら強引に空中で軌道を変えて避ける。
この技の利点は狙いはかなり正確につけることが出来るという点であり、範囲も広いという点。
普通ならどう足掻いてもあの状態だと直撃するはずなのだが。
地面を壊すほどの力で跳躍し、体勢が崩れて背中ががら空きになっている出久に接近し、蹴り上げようとするが、空気を殴って避けていた。
同時に拳圧を放ってきたため、気合砲で打ち消す。
空中に留まりながら、”界王拳“を一度解除しつつ俺は構えを解いた自然な状態で出久を見つめる。
すると出久もまた、攻撃目的では無いと判断したようで警戒しつつ動きを止めていた。
『緑谷よく避けたな!なんつうか、とにかくハイレベルすぎるぜ!学生がやれるレベルじゃねぇ!』
『確かに。今の一撃は流石に直撃したかと思ったが…あの技も正確に放たれていた。あいつ、どんだけ技を持っている?』
『そして両者ともに空中で身動きを取らない!睨み合いが続いているぞ!』
「なあ、出久」
「…何、かな?」
明らかにおかしいだろう。
これに気づけないほど間抜けじゃないし、今の気功砲で確信を持てた。
「お前、俺の
「……なんのことだろ」
答えるつもりはない、か。
そりゃそうだ。
どういう方法を使ってるのか分からないが、”気“ではないことは確かだ。
いくらエネルギーを扱う”個性“って考えても、探知する力はない。
もし探知出来たなら、背後へ回った時に見る必要なんてない。
俺は攻撃をしようとしてなかったからな。
そのまんま大技なり”本気“の出力で殴るなりしたらよかった。
これを攻略しなければ俺は大きなダメージを与えるのが難しいだろう。それどころか、こっちの”気“が先に尽きて負ける可能性の方が高い。今も”戦闘力“は…さっきの気功砲でもかなり落ちてるしな。
いくら”技“で勝っていてもどんな攻撃だって当たらなきゃ意味が無い。
焦れ、焦れ。攻略しなければ俺は負ける。
心は熱く、頭は冷静に。
深呼吸。
思考をリセットした。
試してみるか…こいつの謎を、打ち破る。
もし俺の
ひとつは、反応出来ないレベルのゴリ押し。つまりただの脳筋。
もうひとつ。
俺の仮説があっているならば、こいつが反応しているのは---
―――――――
なんで俺があそこに居ねぇんだ…っとルール上分かっていても悔しさが生まれる。
出久も界も楽しそうにしてやがる。
それにまだまだ互いに”本気“になってねぇ。
どっちが勝とうが俺は必ず勝つが、それはそうと俺が戦いたいのは二人だ。
どっちでもいいわけじゃない。
どうせあいつらが戦えば修復に時間が掛かるレベルでステージなんてぶっ壊れる。観客席で見た方が見やすいから俺は見ていたが、当然そうなると他に周りに居るわけで。
「凄い攻防…!」
「どっちが有利なんだ!?」
「互角に見えるけど…」
「どっちにしてもあの拳王技に食らいついてる時点ですげぇよ、緑谷!」
「あれが……緑谷と拳王技の力……。だが」
「まだお互い本気じゃないですわね……」
「拳王技はあんなもんじゃねぇ。受けた俺が言うんだから間違いねぇよ」
「嗚呼。だが緑谷も負けてない」
推薦二人組は分かっていて、切島と常闇は界と戦ったから理解してるのだろう。
こうやって見りゃ、A組の中で突出してるやつらが誰なのか分かるな。
「でも拳王技くん。余裕がないような……」
「大きなダメージになってないノコ。拳王技くんの方が消費が激しいのかも」
「確かに。デクくん体力は減ってるみたいだけど、思ったよりダメージは少なそう…?」
「決定打になる一撃を受けてないってことか……やはり緑谷くんのレベルが凄まじく上がっている…!」
で、こっちは界や出久と仲良くなってる面々。
間違ってねぇ。
まともに分かってるのは数人程度か。
キノコ女は相変わらずこっちで観戦してるが、俺に”クラスター“より上の切り札だった”全身爆破“を咄嗟に使わせただけあって優秀らしいな。
いや、界の影響か?
今はどっちでもいいか。
「総合的に見りゃダメージは界の方が少ないし実力も上だろうよ。だからこそ有利に見えるが、実際に追い詰められてんのは界だ」
「?」
「どういうことだよ、爆豪」
「明らかに拳王技の方が有利だろ?」
「分からねぇなら黙って見てろブドウ野郎」
「……!!…!」
「ま、まあまあ。そんで、爆豪はなんて言いてぇんだ? 拳王技にはまだ俺の時に見せたように上があるだろ?」
切島が代表して聞いてくる。
大体は分かってるが、答えまでは分かってないってところか。
「キノコ女が言ったように、出久に対しては大きなダメージには一度もなってねぇんだよ。ちゃんと衝撃を殺したりしてるしな。
だけど界は”気“を消費する行動ばかりだ。このまま行けば負けるのはアイツだ。アイツ曰く、”気“が減れば減るほど弱くなるらしいからな。”個性“と違い、長引けば長引くほど弱くなっていく。唯一の弱点と言ってもいい」
驚くような声が周りから挙がる。
アイツが負けるところが想像できない気持ちは分かる。出久が爆発的に強くなってたとはいえ、界の方が強え印象がある。
実際最初から”本気“を出せば勝つのは界だろう。悔しいが俺を含めて出久も初っ端から”本気の全力“で来られれば今俺らが出せるフルパワーを発揮しても勝てないと断言出来る。
それこそ俺と出久が組めば別かもしれないが、タイマンでいけば五分…あるかないか程度。
しかも今は片手というハンデもある。その状態でようやく、だ。
今回のように場外があるなら、俺らでも勝てる可能性が七分はあるかどうか。
ただあいつの悪い癖というか、戦いにおいて最初から”本気“は出さず様子を見るところがある。
それに戦いに喜びを見出しているような、楽しむつーか…とにかくそんなやつだ。これから先もするつもりはないだろうな。だからこそ、俺たちが付け入る隙でもある。
けど出久に大きなダメージが入らない理由は俺もまだ分かってねぇ。
どうやって出久は界の攻撃を避けている?
あいつは俺のように見ながら行動する後出し出来るタイプじゃねぇ。その割には
特にさっきの気功砲…つってたか。
あれを避けたこともそうだが、出久が避けたあとも同じだ。
直撃コースだったはずだってのに回避出来ていた。
その前だって何度か見てすらなかったのに回避してたしな。
となりゃ、導き出される答えは……
「……あの野郎」
「爆豪くん?笑ってるノコ?」
「何かわかったのか?」
俺が戦ってないってのに冷や汗が出てきた。
全く、ふざけやがって。どこまで上にいンだよてめぇは。今の俺でもまだ、到達出来てねぇってか…。
そんな挫折しかねない事実を知ってもなお、自然と口角が上がる。
USJの時と違って、一気に近づいたという自覚も得られたからだ。
あん時の俺ならまだまだ届かねえ世界に歯を噛み締めて見上げるしか無かった。それどころかこの戦いに追いつくことすら出来ず、理解すら出来なかっただろう。
確実に強くなっている。そう実感が得られる。
なにより今は、そうでなくちゃ困る、といった感情の方が強い。
俺が強くなるためには、まだ下に居られたら困んだよ。
ステージに立つ界を見つめる。
界の表情には
間違いねぇ。
「あいつ、
俺が答えを導き出すよりも早く、界は答えを見つけたようだった。
どういうことかと聞いてくるのを無視して、見とけと言っておく。
答えは恐らく、すぐに出てくるからな。
あ、危なかった……!
”危機感知“が今まで以上に鳴ってたから慌てて避けたけど、直撃してたら間違いなく動きに支障が出るようなダメージだった…!もしかしたら戦闘不能になってたかも。
僕が知っているのは”残像拳“と”多重残像拳“と”気合砲“と”衝撃波“と”太陽拳“と”かめはめ波“と”界王拳“…既に結構あるけど、だいたいそれくらいだ。
どれも強力な技だから他に使う必要がなかったんだろうけど、あんな広範囲に、正確に撃てる技や当たればやばそうな円盤状のものまで使えるのは予想外だったぞ…!
界くんなら持ってても不思議じゃないけど、それでも驚きはする。
今は”界王拳“を解いて動く様子がないから僕は警戒しながらも体力の回復に努めつつ目は逸らさないようにしていた。
界くんからどんなときも、例え構えを解いていても相手から目を離すな、と何度も言われてきたからだ。
彼ならしないと思うけど、不意打ちに対応出来るように。
「なあ、出久」
「…何、かな?」
何かに確信を得たような表情で界くんが話しかけてきた。
凄い嫌な予感がする。
「お前、俺の
「……なんのことだろ」
核心に近い言葉にドキッとしたが表に出さないように表情を取り繕う。
内心は気が気でなかった。
信じられない。
嘘だろ!?
”危機感知“のことにもう気付きかけている…! まだたったの数分だぞ!? 十分どころか五分すら経ってないのに…!!
確かに回避不可能な攻撃を何度か避けてたとはいえ、僕が”個性“を”複数所持“してる答えには行き着いてない。
普通に考えて、多くても轟くんのように二つだからだ。こんなそれぞれ別々の物とは思わない。
だからこそ”危機感知“の存在には気づいてないだろうけど、僕が攻撃を避けることが出来ている理由については別だ。
思ったより、ヤバいかも。
破られる前に、攻撃を与えて少しでも界くんの体力を減らさないと……!
深呼吸した界くんが再び赤いオーラを身に纏う。
それが再開の合図となり、また一段階上がった速度。
正面から飛んできた拳を逸らし、足を上げる。
左手で太腿を抑えられ、足場にするようにハイキックしてきた。
即座に空気を蹴って離れると、大きく旋回して背後へ回ってきた。
後ろ回し蹴りで攻撃を試みると、急停止されて空振る。
風圧だけが巻き起こり、その程度でダメージを負うものなら苦戦なんてしない。
界くんの右手から振り上げるように気功波が放たれ、エアフォースを駆使して上空と横に移動して避ける。
そして。
「がぁ!?」
思わぬ痛みに驚愕すると、集中しないと分からないくらい移動先に小さな”気弾“が設置されていた。
大きく旋回した時に仕掛けてたのか…!
「まだまだ行くぜ!!」
「く、っ…!」
即座にエアフォースによる風圧で設置された罠を破壊し、急接近してきた界くんを対処する。
顔面を狙った右拳を首を曲げて避け、一瞬にして戻されて顔面に直撃する。
「!?」
「でぇぁああああ!!」
後ろへ逸れた首をすぐに戻すと、右手と両足を使った連打に身を逸らして避け、逸らして何とか凌いでいるとだんだんと直撃が増えてくる。
同時に頭の中が混乱し、焦りが生まれてきた。
そして前蹴りを腹部に受け、胃液が吐き出される。
完全に殺すことも出来ず直撃したため、体勢を戻すことも出来ず吹き飛んだ先でかかと落としでステージの中央に叩き落とされた。
フルカウルが解け、咳き込みながら両手を使って体を起こそうとするが想像以上のダメージに再び伏せてしまう。
その傍に界くんが着地した。
何とか体を起こし、両手足を地面に着いたまま顔を挙げると彼は”界王拳“を解いていた。
そんな……。
”危機感知“が一切鳴らなかった……!! 攻撃はされてたのに、”敵意“や”害“を僕に頭痛として知らせてくるのがこの”個性“だ。
だから必ず、どんな攻撃にも知らせてくるはず。
今の僕は並行使用すら可能にしてるのに。
「やっぱりそういうことか」
確信を得たように告げてくる。
まるで、”危機感知“の抜け穴を見つけたような。
「お前、人の
「………!!」
「なんで攻撃がって思ったんだろうけど、答えは簡単だ。まずひとつ、トラップ自体に意志はない。お前が当たったのは
敵意など含む害意、殺意といったものに反応するのが”危機感知“だ。
偶然に関しては反応しない。もちろん好意についても。
ただ普通、好意で攻撃なんて発想にもならないし出来ない。
そして偶然。
例えば流れ弾。
意図せず当たった、という結果になる。
狙ってやったわけじゃないから。
あの地雷のような気弾も似たようなものなのだろう。
そこはまだ、納得出来る。
でも問題は何故僕に界くんの攻撃が”危機感知“しなかったのか。
攻撃が来る、ということすら何一つ分からなかった。
「そしてなんで近接攻撃が…って言いたいんだろうけど、これもタネさえ分かれば簡単なことだ」
何も考えずに殴る。
―――何も考えずに殴る。
何 も 考 え ず に 殴 る 。
…は?
酷くシンプルで、簡単に見えてとんでもなく難しいことを言ってきた幼馴染に理解が追いつかなかった。
人というのは行動する際に運動準備電位によって行動される。*1
心を無にして行動するなんて、そう簡単に出来ることじゃない。
つまり、界くんは害意を抱かない、認識させないような、何も考えないような”本能“で動いたとでも言うのか…?
「ま、破る方法はまだ何個かあるけどな。タネさえ分かりゃ、破る方法なんて何個かは浮かぶ。その反応力を誤発させりゃ、逆に自分を追い込むことになる。あんまり過信しない方がいいぞ、お前のためにな」
それどころかまだ他にあるなんて言ってくる始末だ。いつものように修行をつけるように教えてきたし。
界くんは嘘を言うような人じゃない。特にこういった力に関しては彼の言葉は全面的に取り込むべきだ。
”危機感知“に頼りすぎていたのは否定出来ない。”個性“という分かりやすい状態を得たせいでそっち方面ばかり気が向いしまったが、僕の場合は”個性“でなく”感覚“を強化する必要がある。
……強くなったと思った。
この力なら、経験すらも得た今なら界くんを超えられると。勝てると。
過小評価してたわけじゃない。
ただ界くんが、僕の想像以上に強かっただけだ。戦いの中で成長していくのだからたまったもんじゃない。
しかも片手というハンデをもらって、これ。
オールマイトからOFAを受け継いでも、なお届かない。”個性“を7つ得ても、届かない。
”個性“の相性はあると思うけど界くんはこの世界でもトップクラスの実力だと思う。本人は何故か謙遜するけど。
界くんを鍛えた”師匠“という方は別として。
オールマイトは僕にとって
だから。
だからこそ。
両手に力を入れて立ち上がる。
膝が崩れかけ、地面を踏み締めて無理矢理にでも立ち上がる。
それを見てか、界くんは自ら離れて距離を開けた。
『怒涛の連撃についにダウンかと思われた緑谷が立ち上がったぁ!』
『プロ以上だな、もう。こんな試合他じゃ見られないぞ』
『両者また睨み合い…!アレだ!フィクションで達人がよくやるやつだな!』
あのまま攻撃すれば僕に勝てるのに、そうしないのはこれが
僕の”本気“を見ずに勝ちたくはない…って感じ。
「でも……だからこそ、僕は君に勝ちたい…!」
ずっと前を進む君に。
ずっとその背を見てきたから。
何年見てきたと思ってる?
十年以上だ…!行方不明になっていた時期を除いたとしても、ずっと見てきたんだ、その背中を。
自分が鍛える時間を僕に注いでくれて、鍛えてくれて、ここまで導いてくれた。
ヒーローになりたいという夢を捨てられず努力を続けてこられたのは全部界くんのお陰なんだ。
OFAをすぐに継承出来たのも。
そんな僕が返せるのは……いいや、界くんが一番喜ぶのは僕が彼を超えること。
出し惜しみは、もうなしだ。
”危機感知“が通じなくなった以上、このまま戦って負けるのは僕。
他の”個性“を併用しても勝つことは出来ない。
消耗をさせるためにひたすら逃げ回れば勝てるだろうけど、そんな勝利に価値なんてない。
だから。
「界くん……」
「ん?」
「僕はもう、次なんて考えない。ここで全部を使い切ったとしても、必ず勝つ!僕は君に”挑戦“する!」
「…挑戦、か……。いいな。だったら俺も”本気“を出してやる!」
「はあああああああッっ!!!」
拳を握り腰に力を入れ、気合いを入れる為にか叫ぶ界くんから赤いオーラが発せられ、さっきとは比べ物にならない圧を感じさせる。
”危機感知“が今まで以上に鳴るのを無視しながら、地面が揺れていた。
気合を入れるだけで地面を……間違いない!
切島くんにみせた、界くんの現在出せる”本気“!!
10倍だぁあああああ!!!
同時に赤いオーラが凄まじく吹き荒れ、離れているというのに吹き飛びそうになるのを”黒鞭“を地面に巡らせて耐える。
凄い気迫だ…。
対峙してるだけで震えが出てくる。
でも決めたんだ。
必ず勝つと。
必ず追いつき、追い抜くと。
これは、そのための力!!
ワン・フォー・オール・フルカウル
100%!!!!
『こっ、これは……今までとは比べ物になんねぇ!つーかこの窓が余波でヒビ入るってどうなってんの!?特殊性だぞ!?』
『互いに本気を出したってことだろ。ここまで観戦してきたなら分かるだろうが、学生だと甘く見るなよ。アイツらはそのレベルじゃない。今から始まるのは、プロでもトップでもなかなかお目にかかれないであろう戦いだ。正しく次元が違う、No.1同士の戦いと思え』
「さあ、第2ラウンド始めるとすっか」
「もう、ひとつ」
「…何?」
体が軋む。
まだ100%を扱いきれないから当然だ。
次を考えない戦い。
僕の全てを使って---
僕の
トランスミッション!!!!
参考程度に。本編のみかその他(日常、修行、ヒロインとの話、オリジナル編など色々)ありか 後者はDB要素や他のヒーローや他の生徒など多くのキャラとの関わりが増えると思われ
-
本編のみ
-
その他