無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ?   作:絆蛙

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まだ決勝戦があるよ!
誰もやらないとは言ってないよ。






雄英体育祭:最終種目⑩ 波乱の決勝戦

 

すごかった。

とにかくそうとしか言えなかった。

ステージは完全に崩壊。

試合は引き分け。

線から出たら、というルール上、どちらが先に出たかも判断出来ないため、引き分けという形になった。

あの拳王技くんと互角に渡り合う---爆豪くん曰く正確には片手しか使えなかったり会場を守ったりとか色々ハンデがあったとのこと。

とはいえ、迫る勢いで戦えたのは緑谷くんくらい。

 

轟くんとの戦い以上にステージがボロボロなため、修繕に時間が掛かるためまた休憩時間になった。

試合はどうなるかというと、引き分けという結果になった以上、修繕までに目を覚ませば決勝に進む方を決め、目が覚めなかったら敗退という扱いになるらしい。

 

拳王技くんも緑谷くんも倒れていたし、拳王技くんに関しては最後に血を噴き出していた。

心配だったため、数人で医務室に向かう。

爆豪くんはついてこなかった。

見たくない、って言ってた。

 

「緑谷ァ!拳王技ィ!!」

 

切島くんが一番に入ると、大きな声で名前を呼びかけていた。

部屋の中には眠っている緑谷くんと、その近くにリカバリーガール。

そして首から上以外が包帯になっている拳王技くん。

 

「ここは怪我人が休むところだよ。静かになさい」

「…っス。すんません…!」

「デクくん!それと拳王技くんは!?」

「緑谷は大丈夫さね。治癒(リカバリー)したし数分もすれば目覚めるよ。問題といえばこっち、この子の方」

 

誰もが気になってるであろうことをお茶子ちゃんが聞いてくれた。

緑谷くんが大丈夫だということには安心したけど、視線の先には拳王技くん。

 

「問題って…どういうことノコ?」

「この子の力は私の”個性“と相性が悪すぎる。目が覚めないことには使うことは出来ないんだよ。出来るのは普通の治療行為だけ。見た感じ全身の骨が折れてるみたいだけどね…」

「全身…っ!?」

 

全身に巻かれてることから酷い怪我というのは分かってたけど、想像以上の状態だと知ってショックを受ける。

 

「…拳王技は大丈夫なんですか?」

「普通なら大丈夫とは言えないよ。治せない以上、絶対安静だ。ただ……拳王技に限っては普通とは思ってはいけないとあたしゃ思ったよ…」

 

轟くんの心配に対して、リカバリーガールは何かを思い出したような遠い目をしていた。

…そういえば今回で二度目だったよね。その時に何かあったのかな……。

 

「……れ、……」

「拳王技…?」

「そ、れ……ど、どう…いう…意味、すか……」

「起きたのか……!」

「拳王技くん…!」

「大丈夫なん…!?」

「起きない方が……!」

 

いつ目を覚ましたのか、骨が折れているはずなのに体を少し起こそうとする拳王技くんに小森さんが触れようとしてやめたような、そんな動きで手を空で動かしていた。

 

「み、んな……来て、たのか…」

「心配で……ダメだよ…無理しないで…!」

「さ…い、てい……げん…」

「平気なんだね?」

 

私が止めようとしたら、拳王技くんが何かを言っていた。

リカバリーガールの言葉にこくり、とゆっくりと首を縦に振った拳王技くんに、リカバリーガールが『チユーッ』と口を伸ばすと、口が腕に触れる。

すると体が少し発光し、拳王技くんは体を完全に起こしていた。

 

「やっと喋れる…。それで出久は……問題なさそうだな」

「あんたよりかはマシさね。一応言っとくけど、全然治ってないよ。というか喋れるほど治したつもりもないんだけどねぇ。そこはいいとして、左。今日は絶対使えないから安静なさい」

「いえ動くので大丈夫です」

「そういう意味じゃないよ……」

 

そう言って左腕を回す拳王技くんだが、リカバリーガールはため息を吐いていた。

安静のはずでは……?

 

「それより試合は?」

「今はステージの修復中らしい」

「お前と緑谷の戦いな!もう色々凄すぎて目が離せなかった!」

「出久が思ったより成長してたからな。ほぼ互角だった。それに……いや、なんでもない」

「でも拳王技くん片手だけやったよね」

「………ナンノコトダロ」

 

緑谷くんは確かにすごい。

ただ殆ど左を使わず片手だけで対処していた…らしい拳王技くんが本当に規格外なんだと改めて思わされる。

もし両手が使えたなら、たぶん……。

 

とにかく、それを互角とは言えないと思う。片手ってだけで凄いハンデになってるよね。

 

「……やっぱり界くんはすごいや。全部を出し切ったのに、届かなかった」

「デクくん!?起きてたん!?」

「うん、ついさっき……結果は…?最後通じなかったってところで殆ど意識がなくて……」

「引き分けだ。修復が終われば続きをする、と……緑谷は平気なのか」

「そっか……右がまだ痛む程度で問題ないけど、界くんは---」

「っし、寝てられねえな」

「ダメキノコ」

「いっっっ!」

「ダメそうだね……」

「流石に無茶だって拳王技。骨折れてんだろ? あの技、負担でかいんだよな」

 

小森ちゃんが軽く抑えると、普段からは考えられない悲鳴を挙げてベッドに再び背中を預ける姿があった。

そう、拳王技くんは強いけど彼が使う技は負担が大きい。なんでも慣れてる倍率は問題ないけどそれ以上となると身体に負荷がかかるって。

実際に触れただけであの様子。きっと上限を超えて使ったんだ。

戦いとなると、命に関わるかもしれない。

 

それは絶対ダメだ。

 

「仕方がない……残り時間で回復を果たすか……」

「出ないって選択肢は無いんだ……」

「延長戦がどうなるか分からないけど、勝つにせよ負けるにせよ試合を放棄するのは相手に悪いからね」

「…界くん。本音は?」

「俺が戦いたい」

「界くんらしい理由が返ってきた…」

 

そこは嘘でも相手のためと言わないのが拳王技くんらしいと言えばらしいけど、私としては出ないという選択肢も取って欲しかったな。

 

「医者として今のままだと流石に許可出来ないさね」

「なん……ですと……」

「ショック受けすぎだろ」

「そこまでなのか……」

「気持ちは尊重してやりたいけどね。ある程度治らなきゃいかせられない。どうしても出たいなら今のうちに体力を回復させときなさいな」

「分かりました……」

 

渋々といった感じで完全に体から力を抜いていた。

そこは大人しくするんだね。でも流石にその状態で出なくていいんだよ?

 

「そういうわけだからあんたらも早く戻りんしゃい。休もうにも休めないだろう?」

「そうっすね…!みんな行こうぜ」

「ああ、拳王技。左は…大丈夫か?」

「ん?ああ、まあ今日は無理だと思うけど問題はないよ」

「そうか……」

「じゃあ私たちは……」

「あ、リカバリーガール。戻って大丈夫ですか?」

「ああ、緑谷は戻っていいよ」

「拳王技くんはちゃんと休まなきゃダメだよ。本当は心配だから居たいけど…」

「無理せず休んでノコ」

「ありがとう。もう少し回復したら試合出るために戻る」

 

そこは意地でも変えるつもりはないらしい。

ここまで強固な意志を持ってると止めることは無理そうだね…。

でもこの方が拳王技くんって感じがする。

怪我はしてるけど、調子が変わらない姿には安心するというか。

 

とにかくいつまで居ても彼が休まらないため、私たちは外に出ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あれ?そういえば飯田くんは?かっちゃんは分かるけど……」

「飯田くん、電話だって」

「二人に行けないことを謝罪してたよ。終わったら来るとは言ってた…んだけど来てないみたい」

「そうなんだ……何かあったのかな……」

 

試合が終わって少しして、飯田くんは離席してた。

多分彼の性格から考えたら家族からの電話だったと思うけど、緑谷くんの言う通り何かあったのかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――

 

無事ってわけじゃなかったけど、命に関わることでないことに安心して、しばらく経った頃。

だいたい数十分くらい。

ステージが直され、もうすぐ始まるといったところで席に戻ろうと廊下を歩いていた私は拳王技くんが手招きしてるのが見えて、不思議に思いつつ近づく。

角を曲がって、行き止まりのところで彼は声を潜めつつ口を開いた。

 

「小森さん、ごめん。お願いがあるんだけど」

「…ふえ。もう大丈夫ノコ!?」

「もちろん!治んなかった!!書き残しだけ残して来た!」

 

見たところ左手以外包帯が巻いてなく、もう治ったのかと驚いたけどそういう訳じゃなかった。

もしかして治ってないのに勝手に外したノコ!?

 

「な、……や、休まなきゃ…!」

「動ける程度には回復はしてるんだ。でも、どうしても出たい。爆豪のためにも。そのために小森さんにしか、君にしか頼めないことがあるんだ。頼む、俺のわがままに付き合って欲しい……!」

 

懇願するように、頭を深く下げていた。

向けられる目はあまりに真剣で真っ直ぐで、危うさを帯びている。

多分、聞かなくても出ようとする。無理をしてでも、絶対。

拳王技くんのことは本人の口から聞いたから。

 

「…そこまで、出たいノコ?」

「ああ」

「終わったら絶対安静、約束出来る?」

「必ず」

「じゃあ……いいよ」

「…いいのか? 自分で言っておいて、なんだけど」

 

間違った判断をしてるという自覚は私もある。

ヒーローとしても、人としても、今の彼は止めないといけないって。どんな手を使っても止めるべきだって。

でも。

 

「絶対に出るって目をしてるノコ。私が頼み事を聞かなくたって参加しそうだから。それに私が見てきた拳王技くんは一度も嘘をついてないノコ」

「まあ…つく意味がないからね」

「それなら私に出来ることなら力になりたい。本当は休んでいて欲しいけど…そのまま出られるよりはマシだと思うし、”目標“を聞いたから。私も応援するノコ。何も策がないってわけじゃ、なさそうだもん」

 

彼の目指すべき場所を聞いたから。

私の”夢“を応援してくれる彼を、私も応援したいから。

会ってそんなに経ってないと言われたらそれまで。

それでも時間なんて気にならないほど濃密で、深く。

大切なものをもらえたから。

成長出来たから。

もっと拳王技くんを知りたいと、思えたから。

 

 

「…ありがとう。まあぶっちゃけ動くのもキツくてさ。やったことないから賭けに近いが、その策を考えた。俺は痛みがあるからきつい。つまり---」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『無事に修復完了!待たせたな!お疲れだぜ、セメントス!』

『一からまた作ってたからな……』

 

「えー早速第三回戦!と行きたいところなんだけど、ここで報告がひとつ!飯田くんがお家のある()()から早退することになってしまったため、試合は不戦敗として扱います!だから爆豪くんが繰り上がりになったわ!」

 

 

 

 

「その結果!決勝戦はこのふたり---」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと待った!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

”舞空術“で猛スピードで会場に入った俺はステージに着地する。

実は数ミリ浮いてるけど。

対面してる出久や爆豪が視線を横、つまり俺に向けると驚いたように目を見開いていた。

いや嘘。なんか爆豪めちゃくちゃ怖い笑み浮かべてやがる。

普通に怖いしテレビで映ってるんだぞ、大丈夫かそれ。

 

「界くん!?あれっ、怪我は!?」

()()()()()。問題ない!!」

 

右腕に包帯が巻かれてる出久と違い、俺は出久と戦った時同様左手だけ巻かれている。

リカバリーガールの”個性“を全身の骨、主に右腕と両脚を優先させて回復させた結果、動ける程度になった。

生命力の操作はお手の元だ。少ない”気“だとちょっとしか回復出来ないから一番回復力を使う左手は未だに焦げたままにしつつ、いじって他の部位を動かせる程度にはした。包帯は体中には巻かれているが、体操服で見えないだろう。

見える部分は外したし。

ただ未だに右手両足にヒビが入ってるけどな。どうせ治せないし、折れてないなら”気“を防具として使えば何とかできる。

 

『おおっとぉ!ここで拳王技が乱入だーっ!』

『……ばあさんから連絡があったんだが、勝手に抜け出したらしいな。どうするかは審判に一任するとしよう。ただ覚えとけよ。後で説教じゃ済まさないからな』

(教師としては止めるべきだが……会場に入ってしまった以上、あれほど盛り上げたこいつを止めると観客からどんな反応が返ってくるか想像が容易い。しかも外傷がない上に包帯を取りやがった。そのせいで客には怪我が残ってることは分からない。ばあさんが治したと思うだろう…無駄に頭が回るなこいつ。いざという時に止められるようにはするが、俺らが成長の機会を奪う訳にはいかないしな…拳王技ではなく緑谷と爆豪の)

 

そんな殺生な。

書き残しで謝罪してるから許して欲しい。

それに戦いに関してはちゃんと対策済みだ。

 

「えー……と、拳王技くん?怪我は平気なのかしら?」

「問題ないです。やらせてください。出久と爆豪は幼馴染だ。俺としてもここで大人しくしてるわけにはいかない」

 

聞いてくるミッドナイト先生に、一切目を逸らさず参加の意を伝えるべく感情を込めて見つめる。

戦いたいというのが半分以上占めているが、骨が折れた程度で大人しく寝てられるか。せっかく殺し合いでもなんでもなく、試合形式で高まった”気“を試せる場なんだ。

瞬間的に本気。常時は三割程度しか出ないが、それくらいあれば出久と戦う前くらいは出せる。界王拳は全開の場合一瞬以外に使ったら死ぬけど。加減したら2分程度は生きれるだろう。

一瞬なら片手で数えれる程度か。

俺が強くなるためにも、師匠が見てるここで自滅敗退は出来ない。

何より動けなかったらバイト先にも何を言われるか。また小言は聞きたくない。

 

 

 

 

 

 

 

 

「幼馴染同士の因縁、ね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

青春ね!最高じゃない!!

許可するわ!!ただし危険だと判断したら止めるからね!

 

 

 

 

『だろうなと思ったよ』

『つーことは!?』

 

 

 

 

「本来なら1対1のバトルだから、拳王技くんと緑谷くんが決着をつけるという形になるのだけど……二人とも消耗してる。だから正直さっきの試合を見せられたあとだと盛り上がりに欠けると思うの。ということで提案よ。爆豪くんさえ構わないなら延長戦をなくし、1対1対1の三つ巴戦にするのはどうかしら?」

「ハッ、それで構わねえ…っす。今の出久や界とタイマンしても意味がねェ。体力減っててどうせ”本気“でやれねえだろ。瞬間的にが限界か?」

「ま、まぁ…リカバリーされた時に体力減ったからね…」

「同じく。負けるつもりは毛頭ないが」

 

残念ながら俺と出久は先の戦いで”本気の全力“を出し切った後だ。

俺は素が強くなったお陰で引き出せる力が増えているが、”気“が回復したわけじゃない。あくまで上限が増えただけ。

数十分で元通りは流石に無理だ。

一方で出久は”個性“は使えるだろうが長くは持たないだろう。

つまりもし延長戦をしたら俺と出久は今より消耗した状態のさらに弱体化した状態で爆豪と戦うことになる。多分力も残らないだろう。

本人もそれは嫌ということだろうな。

俺が同じ立場でも同じ選択をしていた。

 

「決定ね。只今より、決勝戦は特別に拳王技くんVS緑谷くんVS爆豪くんのバトルロワイヤルで決着をつけてもらうわ!ルールは変わらず、勝敗も同じく線を越えるか戦闘不能になるかのどちらかよ!以上!準備につきなさい!!」

 

もし戦えなかったら流石に素直に諦めていたが無事に交渉成立。

俺らが弱ってるのもあり、爆豪本人が許可したからこそだが、俺はこうなることは予測していた。

昔から戦ってきて、ようやく俺の”本気“と戦えるわけだからな。…瞬間しか無理だけど。

まぁ以前だって手加減してたわけじゃないが、組手の範疇に収まる範囲しか力は引き出せなかったし、”界王拳“に関しては使う必要が無いから封印していたわけで。修行中くらいにしか使ってなかったし。

ただ出久と同格くらいと考えたら爆豪相手にも使う必要は出てくる。問題は一撃しか使えないからこそ、ここぞという時にしかやれない。

 

 

そう考えながら手が動くか確かめつつ顔を挙げる。

ちょうど距離が離れてるのもあり、動く必要はない

軽く腕や足を回す。

ボキボキ、と音が鳴った気がしたが()()()()()

無事に動けそうだな。終わったら意識が無くなるかワンチャン生死の間を彷徨うと思うけど。

とりあえず、一礼。

 

 

『さあさあ!ということでバトルロワイヤル形式の変更となったが長かったこの雄英体育祭もついに決勝戦!!勝ち上がって来たのは三人ともヒーロー科A組!この体育祭でトップクラスの成績を残し続けた三人!爆豪勝己!VS緑谷出久!VS拳王技界!最後に一言頼むぜ、イレイザー!』

『二人とも本調子じゃないから先ほどのようには行かないだろう。だが力が使えないというわけではない。あとは爆豪が二回戦目で見せた力でどこまで通用するかだな』

 

「出久。界。弱ってるからと言って加減はしねぇからな。てめぇらも出せる全部をここで出せや……!俺を置いて二人だけで楽しみやがって、見ていた俺がどんな気持ちだったか分かるか!?」

「お腹すいた?」

「マジでぶっ殺すぞてめえ」

「すまん。冗談だ」

「分かるよ、僕も同じ立場だったらかっちゃんと同じ気持ちになると思うから簡単に想像つく……!」

「だったら分かるだろ?ここに立った以上は無理ですとは言わねぇよなぁ!?」

「もちろんだよ……!今出せる全部を出す!」

「何でもいいが…。いくら弱ってるといって油断なんてしようものなら痛み目を見ると警告しとくぞ」

「今更油断なんかするかよ!!」

 

『準備はOK!?いいよな!早速いくぜ!決勝戦!!』

 

 

 

 

 

 

 

『START!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SMAAAAAAAAH!!!!

 

 

 

 

BOOOOOOOOOOM!!

 

 

 

 

 

ギュオオオオオオオッ!

 

 

 

 

 

 

 

『早速何も見えねえぇぇえ!!』

『拳圧と爆破とエネルギーがぶつかった影響だな』

 

 

 

 

 

「だああっ!!」

 

エネルギー波を相殺されたが、”気“を解放して白いオーラがまとわりつき、爆煙を一気に吹き飛ばす。

 

「死ねぇえええええ!!」

「今度こそ勝つッ!!」

「え、ちょっ」

 

煙が晴れ、早速爆豪と出久が仕掛けてきた。

おい待て。いきなり俺を二人で狙うのかよ!!俺まだ治ってないぞ!?というか今は本気で死ぬッ!

バトルロワイヤルとは一体…!!

 

爆破の勢いを乗せた蹴り。

遠心力を活かした蹴り。

左右から飛んでくる。

両手が使えるなら防げるが、無理なので右腕を立てて爆豪の一撃を防御。片足を上げて出久の蹴りを防御。

いつも以上に”気“の膜を貼って防御優先しているが、やっぱり厳しいかもしれない。

 

防がれたと判断した直後、即座に鞭が俺の左腕を覆い、右腕が掴まれ。

一気に後方へ投げ飛ばされる。

 

なんで息があった投げ方してるんだこいつら。

 

空中で回って着地し、その場で再び回転しながら背後へ右足を叩きつける。

向かってきていた二人は衝撃に足を止め、ステージにヒビが入る。

セメントス先生が泣いてる。

すみません。脆すぎてつい。

というか今ので俺の片足砕けたんだけど、ヒビどころか想像以上に治ってねぇ!!

 

「チィッ!!」

「フルカウル---75%!!」

 

爆豪が空中へ跳び、出久が駆けてくる。

左足で地面を蹴り、加速しながらそのまま左で膝蹴り。出久は咄嗟に身を反らして避けると指先から衝撃波を放ってきた。

振り向きざまに右手で上空へ弾く。

爆豪が横に逸れ、”舞空術“で加速しながら手を真っ直ぐに突き出して頭を鷲掴みしようとする。

すると速度が一気に上がって逆に掴まれて地面に叩きつけられた。

爆破される前にすぐさま掴んで剥がして横に向けさせ、逸らされた爆破は近づいていた出久に放たれた。

避けたようだが、気にせず爆豪の顔面に頭突き。

よし、頭は行ける。

頭で戦うか!

 

怯んだところで爆豪の腹部に手を添えて衝撃波で上空へ吹き飛ばす。

浮くように立ち上がったところで、妙な感覚に包まれた。

違和感というか、危機的状況のような。

 

 

 

 

 

 

 

 

BON!!

 

 

 

 

 

 

「ッ!?爆破!?かっちゃんの…なんで…!?」

「ッハ!これは予想出来なかったか!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「普通の汗に混ぜつつ飛ばして時差で爆発か。考えたな。爆発の瞬間に避けなかったら危なかった」

「相変わらず当然みたいに意味不なこと言ってんじゃねぇよ。ダメージなしかクソが」

「普通出来ないよ……」

 

超スピードで避けたら出来るって師匠が言ってたから実践しただけだ。

今の俺は完全解放時で出久と戦う前の”界王拳“を使ってた時、5倍と同等。つまり、そこからさらに”界王拳を“使えば速度は以前の比ではない。10倍を瞬間的になら可能。多分それをあと3回使ったら死ぬ。

でも出久と戦う前の俺からしたら今の状態から考えたら、15倍界王拳を使ったようなもんだ。

それに”舞空術“に慣れた結果、俺の速度も一気に上がっていることだしな。

 

…ただ今、なんか体から聞いたこともないえぐい音が聞こえた気がしたが、気のせいだろう。多分、きっと。

大丈夫とは思うけど、終わったら生きてるかなぁ……。

 

なんて考えてたら空中にいる俺に対抗すべくか出久も浮いてきた。

瞬間。

再び爆発が起こる。

 

 

 

 

 

ドドドドドドドドドド!!

 

 

 

 

BO!BOBOBOBOM!!

 

 

 

 

 

シュイン!シュイン!シュイン!シュイン!

 

 

 

 

 

後ろへ大きく下がる俺に対して容赦なく二人で攻撃を仕掛けてくる。

防げる部位がほぼないため、忙しなく目を動かしながら”気“でも把握して高速で避けていくと、爆豪が掌を向けてきたら右手でいなし、逸らし、爆破を受けないようにして避けきれない分はひたすらに最小限の動きで避けて躱す。

爆破ではなく普通に殴ってくる時もあり、完全に無理と判断したら一気に下がる。

その度に追撃してきて、引き離すように大きく下がった。

 

BOOOOOM!

 

SMASH!

 

赤い光を纏った速度で後ろからの攻撃。

爆破による落下スピードを乗せた一撃。

 

流石に無理。

全力で肉体にバリヤーを貼ったお陰で助かったが、クレーターを作りながら地面へ落ちてしまった。

痛みは無いとはいえ、体にダメージが蓄積しないわけじゃない。あくまで麻痺してるのは痛覚だ。

”気“で防御力を上げてるとはいえ、限界を迎えれば防ぐにせよ攻撃するにせよ右腕も使えなくなる。あと何度かのぶつかり合い。

そして俺が意識を持つのも数分だろう。

参加するためとはいえ、あの方法は流石に無茶が過ぎたか。

 

とりあえず這い上がりつつ見上げると。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「邪魔だァ!!てめーはさっきやったろ!引っ込んでろ!!」

「まだ終わったわけじゃない!それにかっちゃんこそ授業で戦ったじゃないか!」

「あ!?あん時とは違ぇ!今の俺じゃなきゃあいつとちゃんとした形で戦えないんだよ!ノーカンに決まってんだろ!それに俺はあいつの”本気“を一瞬しか体験出来ねぇんだぞ!?界をよこせ!」

「それは僕も同じだ!今の僕だからこそ、界くんと戦える!本当の意味で勝たなきゃ意味が無い!僕も一瞬しか出せないからそこに全てを注ぎ込んで、この場で次こそは勝つんだ…!かっちゃんには渡せない!!」

「「だったら!!」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先にてめぇからぶちのめす!!

 

 

 

 

先にかっちゃんから倒す!!

 

 

 

 

 

 

なんで言い争いしてんだよ、あの二人。

しかも俺を無視して空中でぶつかり合い始めた。

爆破の塊と拳圧が爆発を起こし、鞭を盾にして爆破を防ぎつつ乱打。

対して爆豪は目で追いつつ避けながら同じように爆破の乱打。

そしてぽつーんと一人見上げている俺。

見てるだけで鞭やら爆破の弾幕やら飛んでくるのでとりあえず巻き込まれないよう避けはしているが、俺全然フリーなんだが。

なんなら今は構えてすらいないんだけど。

 

「えぇ……」

 

まさかの放置状態。

なんでこうなった?

 

『おっとぉ!ここで緑谷と爆豪仲間割れかぁ!?』

『仲間も何も無いだろ』

 

そのまんまぶつかり合いながら落ちてきて、離れたかと思うと最大火力と拳が衝突し、俺はとりあえずまたバリヤーを貼った。

 

「そう簡単にはいかねえか……」

「流石かっちゃん……」

「だが」

「だけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これだけは譲るか!!

 

 

これだけは譲れない!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『一人の男のために互いに一歩も譲らない!どちらが拳王技を手にするーっ!?』

『なんだこれ。俺たちは一体何を見せられてるんだ…痴話喧嘩かよ』

「一人の幼馴染を奪い合う幼馴染同士の戦い……これぞ修羅場!!ふ、ふふ、良い、いいわねッ!!最高!!」

 

ミッドナイト先生がなんか興奮してる。ヨダレ拭かなくていいんすか。生放送されてるのでは?絵面がちょっとやばいですよ、先生。

そもそもなんで俺が物みたいになってるんだよ。

というか何でずっと放置されてるのか。

悲しく体育座りでもしとくべきか…?

いや、てか。

 

 

 

 

 

「クソ、やっぱりこれ以上は体が持たない!本気で行く……!」

「こっちもようやく火ぃついたとこだ。ウォーミングアップは終わりだ!一気にぶっ殺してやらぁ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺のために争うなーっ!」

 

ふざけんなよお前ら。

人を無視しておいて、いい度胸だな!!

本気を出すなら俺を巻き込めよッ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






主人公の狂気的な部分が出てきた。
なお”気“で無理矢理補強して防御特化にしてるから戦えるだけの模様。
実際に防戦一方。

まぁ死ななきゃどうせ治るしええか…と本人は思ってるし手足潰されても全身複雑骨折しても最後まで戦った師匠に比べたらマシだな!と思ってるからセーフ(何が)

仙豆食ったらいいのでは?→フェアじゃないから食べないとのこと。


それにしても二人とも界くんが出せる一瞬の”本気“と戦いたいせいでこんなことに……このままじゃ界くんが受けみたいじゃないか()
全国中継でイチャつくとはたまげたなあ。

特にかっちゃんはただでさえ不完全燃焼なのに唯一自分を満足させてくれる部分が一瞬だからね、譲れないのも仕方がないね…。

ちなみに描写してませんが、かっちゃんはムスッと不機嫌顔してたけど界くんが乱入した瞬間に表情が明るくなりました、よかったね。力も体力も万全じゃないことに不満はあるけどそれはそうとして一瞬でもすぐに経験出来る…!ってことで。

参考程度に。本編のみかその他(日常、修行、ヒロインとの話、オリジナル編など色々)ありか 後者はDB要素や他のヒーローや他の生徒など多くのキャラとの関わりが増えると思われ

  • 本編のみ
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