無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ? 作:絆蛙
さて、ヒーロー名。
決めろと言われたが、もとより考えてる人もいれば全く考えてなかった人もいる。
俺は後者だ。
師匠の名前を背負うことも考えたが、道着でもそうだったけど俺には背負い切れるもんじゃない。
いつかの将来、滅茶苦茶強くなってこことは異なる世界に行く機会でもあればまだしも俺が名乗れるのはせいぜい師匠、嘘偽りない孫悟空の弟子という二つ名くらいだ。
ただ弟子にしちゃ俺はまだ弱すぎる。
将来のイメージ、ね。
名は体を表すというが……俺が目指すべきものはなんだろうか。
改めてそう聞かれた気がして、なんだか返答に困る。
俺が目指すべきものは別にヒーローじゃなくても目指せるものだ。
師匠を超える。
ヒーローとして活動しなくても正直やれないことはない。全てを投げ出してでもやり遂げたいことではあるが、ヒーローにこだわる必要がないといえばないだろう。
ただ俺のような人を増やしたくない。
そんな自己満足から目指すと決めたヒーローであり、そこに助けてくれた時の師匠の姿に対する憧れが含まれている。
そう考えたらやっぱり俺の中では、全ての始まりは師匠なのだろう。
きっとどの世界、この世界の俺がそうだったようにどんな世界だろうと師匠に憧れ、師匠のように強くなりたいと願う俺がいるはず。ないとすれば師匠と出会わず、全てを失って絶望したか俺が死んだだけだろう。
いや、もしかしたらサイヤ人と出会うことなく平和に過ごしてる可能性もあるが……なんでか絶対ないと思ってしまうのはなぜだろうか。
以前にも似たような考えを抱いた気がするのだが、不思議でならない。
まるで
話が逸れた。
今考えるべきはヒーローネーム。
目指すべきものではなく、いっそのこと考えを変えてみるか---
15分後。
「じゃ、そろそろ出来た人から発表してね!」
ミッドナイトからのまさかの発表形式になり皆がざわつく。
そりゃ発表しろとは言われてなかったしな。
トップバッターは青山くんが努めるようだ。
「行くよ」
青山くんがボードを高々と掲げた。
「輝きヒーロー“I can not stop twinkling.”」
「「「短文!!!」」」
皆のツッコミももっともで英語とフランス語が混じってる上にヒーロー名としては長い部類に入るだろう。
ぶっちゃけ呼びづらそう。俺絶対ヒーロー名じゃなくて名前で呼ぶ自信しかない。
名前覚えるの得意でもないし。
「そこはIを取ってCan'tに省略した方が呼びやすい」
「それねマドモアゼル☆」
そういう問題?と思ったのは俺だけだろうか。
いいのか、そういうので……まぁ本人が良いなら何も言えないんだが。
「はいはい! じゃあ次私! リドリーヒーロー『エイリアンクイーン』!!!」
「2! 血が強酸性のアレ目指してるの!? やめときなさい!」
そっちは却下するのか。
やっぱ著作権とかその辺の問題はあるのかな。というかこの空気どうしてくれるんだよ、スタートダッシュ悪すぎてやりづらいって。
流石の俺もここで発表とか出来る気がしないしそもそもまだ決まってない。
大喜利みたいになってるしそれでいいなら俺も発表してもいいけど、何か笑いを取れそうなもんあるかな。
うーん布団がふっとんだ?ネコがねころんだ?鉛筆がみえんぴつ?
いやこれは違うな。ただのダジャレだ。
「ケロ。じゃあ次、私いいかしら?」
「はい梅雨ちゃん!」
するとこんな発表しづらい空気の中で蛙水さんが挙手して教卓へと向かう。
こういうので物怖じないとはある種の才能だな。
俺が人と話すのが得意じゃないからあまり関わってないが、そういや授業とかで見てる限りは慌てたりしてるところ全然見たことないな。
「小学生の頃から決めてたの。梅雨入りヒーロー『フロッピー』!」
「可愛い!親しみやすくていいわ!皆から愛されるお手本のようなネーミングね!」
ミッドナイト先生が絶賛し、空気が変わった。
クラス内でフロッピーコールが流れるくらい。
本当に仲良いな、おい。
入学して二ヶ月ほどでこの団結力はどうなったらそうなるのか。
やっぱり何かこう、合うもんがあったのだろうか。俺には真似が出来ない芸当だ、山暮らしを無礼てもらっては困る。
それからというものの、次々と色んな人が発表していく。
「剛健ヒーロー・
これは切島くん。
憧れのヒーローにあやかったもので、背負う名前にしたようだ。
素直に凄いと思う。俺なんて背負えなくて今は諦めてるし。
いつかは追いつきたいが、それはきっと俺がもっと年齢を重ねなくちゃならない。
地球人である俺はサイヤ人よりも全盛期は短いし、それまでには強くならなくちゃな。
「ヒアヒーロー・イヤホン=ジャック」
これは耳郎さん。
普通に分かりやすい。個性から取ったのかな。
「触手ヒーロー・テンタコル」
障子くん。
触手とタコのもじりらしい。
シンプルでいいと思う。
「テーピンヒーロー・セロファン!」
瀬呂くん。
もうちょっとこう、アレンジしたりとか出来なかったのかなと思ったけど、言わないでおこう。
「武闘ヒーロー・テイルマン」
尾白くん。
彼らしいというか。
「被っちまった。シュガーマン」
砂藤くん。
甘味ヒーローらしい。
名前もそうだけど甘そう。
おっと腹減ってきたな。
「
リベンジの芦戸さん。
今回はOKだったようだ。
「
上鳴くん。
ジャスタウェイを提案されてたとは思えないヒーロー名だ。
お前その頭別のところにももっと使えよ。
語感が良くていいと思うけど。
「ステルスヒーロー!インビジブルガール!!」
葉隠さん。
これも分かりやすくていいな。
投票制だったら1票入れてた。
今の葉隠さんならごろつき程度のヴィランならステルスできるし、直訳したらそのまんまでわかりやすい。
「万物ヒーロー・クリエティ」
八百万さん。
何がやれるかすぐに分かる名前だ。
こういうのだとチームアップの時に助かるんだよな、実際。
流石副委員長。
「ショート」
轟。
すまん、なんて言えばいいか分からない。
名前だからな。まぁ覚えやすくていいか?
「漆黒ヒーロー、ツクヨミ」
常闇くん。
月の神とされている神の名前だ。
一説じゃスサノオと同一視されてるんだっけ。
「もぎたてヒーロー、グレープジュース」
峰田くん。
飲み物かな?
見た目からだろうな、たぶん。
確かにグレープだ(?)
『ふれあいヒーロー『アニマ』』
これ口田くん。
喋ってないけど。
そういや俺、喋ってるところ見たことない気がする。
個性は動物と話せるんだっけ?俺もある程度なら話せるけど、話すってよりかは意思を伝えるという…どちらかと言うとテレパシーだし。
「『爆殺王』!」
「そういうのはやめた方がいいわね」
「なんでだよ!?」
すまん笑った。
でも名前じゃないとはいえ、肩書きに18禁ヒーローってついてるミッドナイト先生もなかなかどうかと思うんですけど。
18禁ってことはホラーが怖い人もいるだろう。*1
「何笑ってんだカイィ!!」
「『爆発さん太郎』にしろよ!」
「黙ってろクソ髪!!」
「じゃあ修羅でよくね」
「ざけんな!」
「勇気爆発…?」
「爆発されてぇのか?」
「ならボ〇バーマン」
「訴えられろ」
割と真面目だったのだが、お気になさなかったようだ。
ま、こっちはこっちで戦闘狂のイメージが着きそうだし多分却下されてただろうな。
後者はシャレにならない気がする。
「ウラビティ!」
爆豪はどうでもいいとしてこれは麗日さん。
周囲から拍手が鳴る。
”個性“は無重力。そこからグラビティにして、捩りにしたのだろう。
ミッドナイト先生も洒落てると褒めていた。
「思ったよりずっとスムーズ! 残ってるのは再考の爆豪くんと……飯田くん、拳王技くん、そして緑谷くんね」
やっべ。なんにも考えてねえや。
みんなの聞いてたら思いつくかなぁと思ってたんだけど。
一応候補はあるんだが……。
師匠の名前は背負い切れるもんじゃないけど、別のものなら背負える。
それにするか、それとも俺とは関係ないものにするか。はたまた師匠の仲間という分類に入る名前にするか。
いや……ここは。
決めた俺はすぐに書いたあと、教壇につく。
特に緊張とかはしない。
ボードを置き、俺は自分自身のヒーロー名を口にする。
「
「あら、龍に星?流れ星の方じゃなくて?」
「はい、俺の始まり、いわゆるオリジンってやつから取った名前です」
俺の始まり。
師匠と出会ったのが始まりだ。
あの日、サイヤ人と出会った。それが俺の始まり。
あの時見た流れ星。正確には宇宙船だったが。
なら流星になるんじゃないかと思うが、そうじゃない。
師匠の始まりはドラゴンボールから始まった。
そこから色んな旅をして、強敵と戦って、そこにはドラゴンボールが大半関わっている。
師匠の名を背負えないなら師匠を表す言葉としてこれほど適切なものはないだろう。
だからこそ、龍。
星ってのは師匠の世界って意味もあるし、いずれその世界へ俺も入るという意味も込めている。
世界そのものではなく、師匠と戦える領域という意味の世界だが。
そうした結果、
まぁ、俺も技として龍の技も持ってるし。
普通に殺しかねないから脳無みたいな使っても問題ないやつくらいにしか使うことはないと思うけど。
「始まりを体現した名前ってわけね……良いじゃない!ノスタルジア!原点回帰!とっても大事なことよ!」
「ありがとうございます」
そそくさと戻る。
もしこれでダメだったら残る候補で悩ましかったものをひとつあげて、それもダメだったらいよいよ俺も大喜利に走るしか無かったぜ。
ちなみにもうひとつの候補は『Z』だ。
終わりという意味。最後をもたらすという意味を含んだもの。
何より師匠たちを表す名前、のようだ。
どうやら師匠たちはZ戦士として括られていた…らしい。
らしいってのは師匠たちは別にそう呼んでたことではなく、そう呼ばれてたことを後に知ったと言っていた。
どっちもよかったんだけどな。結局自分の原点、オリジンになってしまった。
ちなみに出久は”デク“で飯田は”天哉“だった。
その時の飯田の様子も変だったし、やっぱり兄のことを引き摺ってんのかもしれない。
事情が分からないと俺も行動に移せないしな。
死んでさえなけりゃ仙豆食べさせりゃだいたい解決するけど。
問題は普通に食べさせてしまえば俺の仙豆が怪しまれるということだ。
欠損すら治す豆なんだから下手をすれば世界中から狙われるだろう。
数が限られてるし複製方法がない。
こればかりは俺の頭で理解できる領域ではなく、そもそも名前の通り仙豆とは仙人が栽培して収穫する非常ーーーに有難いものなのだ。しかも一粒で十日間は何も食べなくても平気になる。
ただ一応”個性“で生み出せる可能性がある人は居るんだが…果たして辿り着けるか。
研究に出すのは論外だ。
渡したら悪用される可能性もあるし、完全に量産が出来てしまえばヴィランの手にも渡って互いに回復合戦になってしまうだろう。
そうなると一撃で気絶させられる実力がなければ勝てない人が増えてしまう。
もし量産するなら信頼出来る人のみがいるところで信頼出来る人にだけ教えなくちゃならない。
オールマイトクラスがうじゃうじゃ居ない限り俺が守れるとは思うが…。
絶対ではない。
まぁ仙豆を使わない治癒方法も考えとくべきか。いずれ使うかもしれないし、俺が”気“で回復させられる段階まで辿り着けたら一番なんだけど。
ちなみに職場体験は1週間後スタートだ。
さて、俺はどこにすべきか。
とりあえず後半の三日間は休んでそれまではパオズ山で修行しようかな。あそこなら食料もあるし。
アンケートありがとうございました。
Zとは接戦でした、熱い戦いで面白かったです。
龍星は本文通りの意味ですが、これからの表記はメテオで統一すると思います。たぶん