無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ?   作:絆蛙

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いよいよFinalSeasonが始まりましたね、終わって欲しくないなぁ。
この小説に関してはいつなるんだろうね。
本当は貯めてヒロアカ期間中投稿としたかったけど無理でした、だいぶ苦戦してます。この小説書く前は明確な道筋があったんですけどね、愛着持ったせいかこれは違う…!となったり。
やっと書けたので、どうぞ。
ヒーロー殺し編はもうちょい先。
そういや章分けした方がいいんかな





職場体験先の思案

 

今週末に提出。

つまりあと2日しかないようだ。

指名がなかった人は学校側が用意してくれた受け入れ可能な40件から選ぶらしく、多い人は大変そうである。*1

俺はオファーが10件しかないから滅茶苦茶楽。

問題はどこにするべきかって話だが、まだ時間はあるしもう少し悩んだっていいだろう。

俺の優先順位は何より飯だ。

とりあえず昨日の夜から仕込んで味付けを済ませておいた肉とキノコと野菜が詰まった重箱を頭に乗せて体幹トレーニングしつつどこで食べようか考える。

今日はぼっち飯だ。二人は無理そうだし麗日さんも悩むかなと思ってやめた。

だから葉隠さんを誘ったが、彼女も考えたいと言っていた。彼女たちだけじゃなく他の人たちも何人か早く食べて考えたいから、と断られてしまった。

出久や爆豪、轟は特に大変そうだ。

俺はどうすっかなぁ。

師匠の元で修行したいってのが本音だけど。

とりあえず中庭で光合成でもしながら食べるかな。

 

そうと決まれば早速向かった俺は上級生や同級生が何人か居るのを見ながら人が少なそうな場所を位置取り、その場で胡座を掻いて座った。

端っこにして正解だったな、 太陽も当たるしちょうど修行に良さげだ。

 

弁当を広げる前に目を閉じて、深く潜る。

周りの”気“を感じ取りながら自分の”気“を解放して、少しずつ、ゆっくりと体内に押し込んでいく。

それから自然の”気“と自分自身の”気“を合わせていき---

 

 

 

「拳王技くん?」

 

ふと声が聞こえ、途中で中断する。

無視は良くないしな。

誰かなんて目を開けずとも分かるが、相手からすれば気づいてるかも分からないので大人しく目を開ける。

座ってるのもあって見上げる形になるが、そこには二人の女子生徒が居た。

視線が合う。

 

「ん*2

「一人ノコ?」

「小大さん。小森さん。おっす。ああ、今日は一人なんだ」

 

体育祭の時から仲がいいのだろうなとは思っていたが、二人は一緒だったようだ。

だからって何かがあるわけじゃないが、妙に視線を感じる気がする。

 

「じゃあ、一緒にいい?」

「俺は全然いいけど、二人は大丈夫なのか?」

「何も問題ないノコ!」

「ん、私も大丈夫」

「そうか。んじゃ、ちょっと待ってくれ」

 

傍に置いてあった鞄からシートを取り出して、広げて敷く。

俺は使うつもりなかったが、女性である二人にそのまんま座らせる訳には行かないしな。

二人とも当然ながらスカートだし。

キャンプ及びサバイバルグッズを常備していてよかった。

 

ということで視線が増えた気がするが二人と一緒に食べることになった。

 

「拳王技くんは何してたノコ?オーラが見えて……」

「ああ、それは直接試した方が早いかな…とりあえず10秒目を瞑って、その後開けてくれ」

 

不思議そうにする二人だが、言った通りに目を閉じてくれたので俺は少し移動してから意識を集中させて改めて行う。

自然と自分自身の”気“を極限まで一致させ、成功したという実感と共にそれを維持していく。

そして10秒経過した。

 

「…ノコ!?居ない!?」

「!!」

 

さっきまで居た位置に俺が居ないからか二人は驚いた様子で周囲を見ていた。

俺からすれば二人の行動は見えているが、相手からは見えていないのだろう。

困惑したように周囲に目を向けてる二人を見ていたら、見事な二度見をしてから小大さんが小森さんの袖を軽く引っ張って指差してきた。

 

「希乃子、あそこ」

「あ…」

「ありゃ、見つかったか」

 

大人しく解除して、さっき座っていた場所に戻る。

すると、小森さんが僅かに前のめりになりながら口を開いた。

 

「どうして見えなかったノコ!?それも一度見た場所なのに居たことに気づかなかった…!何したノコ?どういうこと?」

「え、えっと。簡単にいえば俺の”気“を自然の”気“に合わせたんだ。気配を出来る限り殺して、気づけなくする。自然とひとつになって空気になってたとでも言えば分かりやすいかな」

 

”界王拳“に必要なのは”戦闘力“ではない。

そもそも肉体面でどれだけ修行したっていずれ限界は訪れる。

だからこそ必要なのは”気“のコントロール技術。

これは難易度の割に危なくもなければ安全に出来るので試そうとしていただけだ。

消すんじゃなく、空気そのものになる…ようなもんだから本当に難しい。こう、幻術みたいなもんにも近いのかな。

 

「自然と…?それはすごいノコ…だから気づけなかったノコね」

「ね」

「けどいいことばかりじゃないんだ。自然ってのはすぐに変わる。空気や風の揺らぎ、あと太陽の光とかそういったもんで。その度に調整しなくちゃならないから実践には一切向かない。あくまでコントロール技術を向上させる修行方法って感じで…そもそも気づいてる相手には効果ないし」

「だから目を閉じさせたんだ」

「そういうこと」

 

わざわざ移動したのもそういうことである。

目の前に居る、と認識して見られたら効果は一切ない。

 

「それ、やる前に声を掛けてよかったかも…。でも拳王技くん本当に努力家で凄いなぁ。ここの人たちはみんな努力してきたと思うけど…拳王技くんは別次元ノコ」

「他の人たちがどこまでやってるかは知らないけど、”個性“がない分他で補わないとな」

「ん、すごい」

「二人から言われたらなんか照れるな…俺のことはいいから、飯食べようぜ」

 

努力家と言ってくれるのは嬉しいが、俺には修行をする以外の選択肢がなかったからな。

だいたいの人はわざわざそんなことしなくても”個性“という特異な力がある。

実際、小森さんの”個性“と小大さんの”個性“で戦略を立てろ、とか言われても彼女たち二人が揃っただけですぐに数十個は浮かぶし、単体の力だけでも戦略幅は大きい。

俺の場合は結局力業のゴリ押しになっちゃうからね。そうなると俺と同等の力を持つ相手が居たら俺と同じ何も無い…でもない限り特異な力を持つ相手の方が俺の上位互換のようなものだ。

 

それらは口にしなかったが、お腹が空いたので弁当をオープン。

ひとつの箱に丸々白米。もうひとつに野菜やキノコ。もうひとつに肉たっぷり。もうひとつに肉びっしり。それと別として持ってきた林檎。

彩りなんて無視した食べたいもの詰め込みセット。

店に出す訳でもないので彩りなんて必要ない。必要なら頑張るが、お腹が膨らむならなんだっていいのだ。

 

「ん」

「そうか?まぁ人によると思うけど、男って結構食べるからな。俺の師匠なんてこんなんじゃ腹の2分にすら至らないよ」

「ファットガムといい勝負できそうノコね」

「うーんファットガムでも無理じゃないかなぁ」

 

彼もなかなか”個性“の影響で食べるが、気になるっちゃ気になるな。

ただ師匠たちの種族がまず大食漢だからな。あれだけ食べても一切太らないし、そう考えたらファットガムの上位互換ではある。

まぁ彼の場合は太ってる必要があるので、太らなければ逆に困るのだが。

俺でもこれくらいなら5分にすら至らないだろう。

ただ持ち物にも限界があるのでそこは帰るまでの我慢だ。

ちなみに二人の弁当は重箱ではなく、普通サイズの弁当がひとつだ。

白米におかず、と分かれてるやつ。

基準量…なのかな。うちのクラスもこんな感じだし基準か。師匠と一緒に食べることの方が俺の人生の中では多かったから毎回他の人のを見ると少なく見えてしまう。

そういえば”個性“といえば八百万さんもだな。彼女も脂肪を消費するため、食べる必要がある。

ダイエットが必要ないから、気にしてる人にとっては羨ましい能力かも。

動いてたら太ることなんてないと思うけどな。

 

「これ、作ったの?」

「ん?そうだな。自分で作った…というかほぼ焼いただけなんだけど。味付けは前日からしてたから下味がいい感じになってるな…食べる?」

「!」

 

弁当を注視してきたため、そうなのかなと思って聞くと小大さんは素早く首を縦に振っていた。

今まで彼女と話してて見たことないような反応速度してた。

とりあえずナイフとフォークで一口分切り分け、肉を突き刺すとフォークを差し出した。

ちなみにパオズ山産の肉。安全かどうかは俺がよく知ってるから問題ない。

狩り尽くしたら生態系が壊れるけど、そこはちゃんと考えてやってるから心配は無用だ。

襲ってくるやつらも殺さないように追い返す程度の場合が多いし。

普通に現実でも魚釣りとか行くしな。

 

「ん、んん…ん!」

 

小大さんが驚き、味わうように食べながら満足そうに親指を立てていた。

綺麗なサムズアップだ。どうやら他人からしても味付けは成功だったらしい。

自信はあるが好みが人によって違うから、そこだけは心配だった。

あまりに反応が良いからか、小森さんからも視線を感じたので同じようにフォークで突き刺して差し出す。

一度は申し訳なさから遠慮されたが、気にしないで欲しい。他の人の味の評価も聞きたい、と3割くらいは思ってた本音を伝えて食べてもらった。

万人が好む味は無理だが、師匠のために常に料理はレベルアップしたいのは実際に思っていることだ。

師匠ならあまり気にしないだろうが、最高の物を用意したいからな。

 

「美味しいノコ!」

「なら良かった」

 

そしてまあ、小森さんからも評価を貰えた。

流石の俺も無理してるかどうかは表情見りゃわかるからな。というか小森さんの場合、動いた際に見えた目が輝いてたから分かりやすかった。

返してもらったフォークで俺も自分で食べると、漬けてたのもあって肉がちゃんとタレを吸収していて美味い。

”気“を使えば熱い状態にも出来るしな。

ちなみに肉をあげたからか小大さんからは唐揚げを貰い、小森さんからは肉団子をもらった。

とても美味しかった。*3

ただ小森さんの顔が少し赤くなってたのは何故だろうか。料理褒めたからか?

確か自分で作ったって言ってたし、作ったもんを褒められると嬉しいって気持ちは分かる。

俺も相手が美味しそうに食べてたり褒めてくれたらちょっと照れるしな。

ただそうなると小大さんも若干頬が赤かった理由までか分からなくなる。

…ま、いっか。考えたって仕方ない。体調が悪いわけじゃないなら問題ないだろう。

 

「へえ、二人も結構指名来てたんだな」

「ん」

「だから私は結構悩んでるノコ…アイドル系のヒーローや対ヴィラン専門だったり色々来てて」

 

話は自然と午前の話になった。

当然A組だろうとB組だろうとヒーロー科である限り授業内容は同じだ。

職場体験の件。

体育祭の活躍によって指名が来るのだが、小大さんは容姿と”個性“から。

小森さんは体育祭の活躍と容姿含め”個性“と戦闘能力が高く評価されたらしい。

二人とも3桁行ってて、小森さんに関しては4桁近くという。

小森さんが評価されたのは俺も嬉しいな。彼女が居なけりゃほんと騎馬戦で詰んでたからな…。

あの感じなら発目さんとは組めた可能性はあったが、その場合出久と爆豪のバグ組二人が組んでたせいで常時10倍使わなきゃ無理だし、もしかしたら二人ともそこで全力を出してきたかもしれない。

そうなったら間違いなく負けてた。

何より流石の俺もそこにプラスその他足止めの多くの技発動はキツすぎる。戦闘不能にしていいならともかく、やったら反則負けだし。

そもそもあの時は発目さんとは喋ったこともなかったし、確実ではなかった。

やっぱり小森さんのお陰だ。彼女が居なきゃヘタレて動いてなかっただろうしなぁ。俺が立ち上がってたから発目さんも来た可能性はかなり高いだろう。

目立ちたいと言っていたけど、あっさり負けるようなやつや戦意が低いやつと組んだら目立たないし。

っと、今はそれより。

 

「俺が決めていい話じゃないからなぁ。俺から見た小森さんの評価なら伝えられるけど」

「それでいいよ。教えてっ!」

「じゃあ…まず小森さんは体育祭で大きく成長したと思う。その前の小森さんは知らないけど、初めて話した時に比べて”気“もかなり上昇してるしうちのトップクラス---轟くらいなら攻略出来るんじゃないかな。B組じゃ正直1番強い」

「ノコノコ♪」

 

嬉しそうに喉を鳴らす彼女は微笑ましいが、これは事実だ。

少なくとも俺が最後に見た轟は熱に関しては吹っ切れてたみたいだから今は使うだろうが、それを込みしても小森さんなら完封できるだろう。

というのも、轟が熱に関してはまだ下手くそだからだ。あいつはずっと氷を使ってたから、そんな簡単に上手くなるはずがない。

それこそバグったりでもしない限り。

 

「”個性“の細かい制御が可能になってるからキノコの生成も問題なくなったし菌糸の糸と弾幕は強力だ。ただ小森さんの弱点は身体能力と、一番は動体視力だな」

「動体視力…確かにそうかも」

「自覚してるなら早いな。爆豪のスピードが見えなかったろ?」

「うん……」

「まぁぶっちゃけアレはあいつがおかしいだけだし、またパワーアップするとかいう俺から見ても意味分からないやつだがあの速度に反応できるようになれば身体能力もある程度はカバー出来る。”個性“で相手の技を弱めつつ避ける…とか色々出来るしな」

 

小森さんがアイドルヒーローを目指してるなら、どういうジャンルかによって変わるだろうが、そんな筋肉とか付けてないことからそっち方面ではないのだろう。

俺の知ってる人もパフォーマンスに必要程度で最低限鍛える程度だったしな。

ならまずは動体視力だ。

なんなら彼女の場合そこを鍛えたら一気に厄介さが増すだろう。

時間経過すればするほど強くなる力だし。

 

「とまあ、ぶっちゃけそこは俺が教えること出来るし鍛えるにせよ俺だったらあいつと同等のスピードも出せるからそこはいいとして。客観的に見た見解だが小森さんは正直可愛い」

「ふぇ…」

 

今度は実力面ではなく容姿について。

こっちも言わないと対ヴィランや災害救助などをおすすめしてるように聴こえるからな。

ただ雄英の人ってレベルが高いのか俺の好み云々関係なく容姿が良い。

小森さんが可愛いのは客観的事実だろう。ほら、小大さんが頷いてる。

俺は間違っていない。そういう小大さんは可愛いってより美人系なんだろうが。

 

「でも俺はプロデュース能力もなければアイドルのことは全く分からない。鍛えることしか出来ないからそっち方面じゃ俺は応援以外に何もしてあげられない…って感じかな。参考になったかどうかは分からないけど。ごめん」

「う、ううん十分ノコ。そ…それを加味して考えてみるね」

「そっか」

「ん」

「え?小大さん?うーん小大さんはぶっちゃけあんま変わってないかな…」

「……がーん」

「ご、ごめん。あくまで”気“に関してだから!ほらもしかしたら”個性“の制御とかはレベルアップしてるかもしれないし! ”サイズ“を変えられるってシンプルな上に強力だからぶっちゃけサイズの大きさの限界を上げたりサイズの変えられる量を減らしたりミクロサイズまで小さくしたりとか---修行がそういったシンプルなのしか浮かばないんだよな。それに見た目に関しては美人だと、思う…ぞ?」

「そう…?」

「客観的に見たらな。と、とにかく戦闘能力を優先したいなら対ヴィラン多め。”個性“優先なら災害救助じゃないかな。小大さんは災害救助で重宝されるだろうし小森さんもキノコが可燃性ばかりで難しいが、菌糸体を使えば火災でも活躍出来るしな」

「あ、だからといってアイドルといった企業系が悪いわけじゃないよ。ヒーローは副業が可能だし、今のうちにそういった経験を積んでおくのは正直俺たちにとっては一番良かったりすると思う。ヒーロー科は訓練で色々やるけど、そういった他の職種に関しては授業でやらないだろうから”夢“が明確にあるならそっちを大事にするのもありだ」

 

中々難しい話ではあるけど。

あくまで俺たちは一年だ。二年から対ヴィラン。三年で災害救助とかそう言ったことも出来るだろうしな。

 

「ん…流石首席」

「首席は関係ないんじゃないかなぁ……」

「そういう拳王技くんは決まってるノコ?たくさん来てそうだけど…」

「いや、俺は全然。そもそも俺、10件しか来てないからさ。今すぐ考えなくてもいいかなあって」

「!?」

「え…?し、信じられない。見る目が無さすぎるノコ…!!一度学校側に言って受け入れ可能なヒーローに雄英から一言---」

「ま、まあまあ色々あるんじゃないかな。なんかほぼ片手で戦ってたのもあって手に負えないんだって。俺はむしろ楽でいいよ」

 

婉曲的に気持ちだけで十分だと伝えたのだが、それでも不満らしい。

自分のことじゃないというのに、小森さんはぷくーとふくれっ面していた。

今の彼女はリスみたいで可愛いなと思ったが、小大さんが指で突いて遊んでいた。

小森さんはやっぱり優しいな。俺のことで代わりに怒ってくれるとは。

 

「でも多分俺は対ヴィランだと思う。というか大半そればかりだし、俺の戦闘能力が期待されてるのかもな」

「ね」

「いやいや俺はもっともっと強くならなくちゃならないからな。この程度じゃ1ミリも満足してないぞ」

「ん…そんなに強いのに?でも怪我してる…?」

「ああ、この怪我?結構今更だな…振替の時にちょっと修行でやってさ。大した怪我じゃないよ。でもまあ、こんな怪我してるってことはまだまだってことだな」

「それは絶対違うと思うノコ」

 

うんうん、と頷く。

師匠ならあの程度はひゃー、あちー!って感じで済ませてダメージは無い。

だというのに俺は火傷を負ってしまった。

修行が足りないか…!

 

 

 

 

 

*1
完全に他人事

*2
こんばんは

*3
クソザコ食レポ力

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