無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ? 作:絆蛙
本作最後のヒロインの登場となります。
するつもりは今のところないけどいつ失踪するか分からないので好きなキャラは好きな時に出しとかねば。無論設定的に出せるキャラ限定になりますけど。
せっかくのクロスオーバーだしたまにはインフレがガチのDBになってる作品があってもいいじゃないとのことでそう突っ切ると決めた結果、プロット全滅しましたからね、ワロタ。
死柄木弔は苛立ちを抱いていた。
USJの件に関してはまあ、もはやどうだっていい。失敗したもんは取り返せないしそっちよりも拳王技界という
雄英体育祭を見ていたら先生が急に暴れ出したのはもういい。
雄英体育祭で自身が目をつけた拳王技界がパワーアップしていたのもいい。寧ろ全国のヤツらに対して”見ろよ、俺の拳王技界を…“とすら思っていた。それでこそぶっ殺しがいがあるとすら。
そのためにやりたくもない修行すら惜しまなかった。
ならば何に苛立っているかというと---
「何を成すにしても強い信念が必要だ。それが無い弱い者が淘汰されるは必然--だから、こうなる……」
左腕を踏みつけられ、右肩にナイフを突き立てられ、首元にもう一本のナイフを当てられた死柄木にステインは見下ろしながらそう告げる。
苛立ちの正体は、目の前の存在だ。
ヒーロー殺し。
多くのヒーローを屠ってきたヴィランだ。
決して弱くないというのは分かっていた。
だが、なんだ?
あまりに
以前の死柄木ならまだしも、修行して少しは強くなった。
だというのにこうもあっさり負けるとは思わなかった……が、不気味なのはこっちじゃない。
もう一人の方だ。
ステインほどの存在なら強いのも分かるが、こっちは見た事すらない。
今は沈黙しているものの、見向きすらしていない。
掴み掛った時に気がつけば地面に倒されていた。
鼻から血が出てきたことで遅れて一撃食らったのだと気づいたが、速い遅いの次元ではない。
オールマイトを超える、いやあの拳王技界すら超える一撃だと死柄木が感じるほどだ。
「
「ちょっと待て。--この掌は駄目だ………殺すぞ」
首元に触れていたナイフでステインがそのまま首を切ろうとした時、刃先が顔に付けていた掌に触れかけたとき、死柄木が刃を右手で掴む。
その時の発せられた殺気に見向きすらせず沈黙していた殺し屋が目を向け、至近距離で殺気を浴びたステインも動きを止めていた。
そして触れられたナイフはボロボロと崩壊し、刃は小さな鉄粉へと姿を変える。
「口数が多いなぁヒーロー殺し……信念? んな仰々しいもんはねぇよ。強いて言えば……オールマイトだな。あんなゴミが祀り上げられている社会を、無茶苦茶にぶっ潰したいなァとは、思っているよ」
ああそれと--
嗤いながら口にした言葉には強い念が込められていた。
ゾッとするような笑みと言葉にさすがのステインも背筋を凍らせ、強い憎悪の感情。それとは相反する子供のような楽しそうな感情。
それを感じ取った途端、ヒーロー殺しは距離を取って対峙する。
「おまえと俺の目的は対極にあるようだ……だが---」
「ざけんな。帰れ。死ね。“最も嫌悪する人種”なんだろ」
「真意を試した。死線を前にして人は本当の意味で本質を表す。異質だが……“想い”……歪な信念の芽がおまえには宿っている。
おまえがどう芽吹いていくのか……始末するのはそれを見届けてからでも遅くはないかもな……」
「結局始末すんのかよ、こんなイカれたパーティーキャラ、俺は嫌だね。まだそっちのやつの方がマシだ」
「ハァ……だと言っているが……お前はどうする?」
「……俺は俺の依頼を果たすだけだ。邪魔をしないなら好きにしろ」
「前言撤回するわ。イカれ野郎しかいねえな」
切られた肩を抑えながらまともに言うことすら聞かなそうなパーティーメンバーに既に嫌になりつつあるが、利害の一致から利用し合えるという事は理解している。
ようやく動けるようになった黒霧は協力の交渉が成った事で安堵する。
「まあまあ落ち着いてよ、弔くん。ネロくんは私が呼んだんだから好きにさせてね」
「……!」
その時奥の部屋から一人の少女がやってきた。
ただ歩くという動作だけで隙が一切ないというのが分かる。それどころか斬るという行動に入った途端、自身がやられる未来をイメージさせるほどのものだ。
それ故に、ステインは動かなかった。
「あんたの仕業かよ……ふざけんな」
「今の君じゃ弱すぎるもの。界くんをもっともーっと追い詰めてもらわないと。そのために私が殺しの依頼をしたってわけ」
「アイツは俺の獲物だ。勝手なことすんなよ」
「ヒーロー殺し、君にも期待してる。でもまだやるべきことがあるんでしょ?」
「無視かよ……」
「そうだ。……ヒーローとは偉業を成した者を指す“称号”。英雄気取りの拝金主義者共に自らの過ちを気付かせるにはまだまだ犠牲が必要だ。まだあの街を正すには少ない」
「ふーん。だったら界くんは心配ないかな。君のお眼鏡にも叶うんじゃないかな」
「どんなやつかは知らんが、どうだかな。さァ、もういいだろう。保須へさっさと戻せ」
死柄木に何も答えず、少女はステインに目を向けて問い掛けるとゆっくりと答える。
変わらない偉そうな態度に若干イラつきはしたが、死柄木は黒霧に指示した。
「戻してやれ、黒霧」
言われるがままに黒霧がゲートを発生させると、ステインは中を通って戻っていく。
ネロも同じく行こうとしたところで、足を止めた。
「……本当に依頼の取り消しはないのか? それに奴について行けと言っていたが」
「ないよ。界くんを殺してみせてよ。それに彼は必ずヒーロー殺しの元に現れる。それは間違いないから安心して。私は嘘はつかないから」
「そうか」
最後の再度確認。
即答で答える少女にネロはそれ以外通告することはなく、ヒーロー殺しの後を追った。
「依頼、ですか……貴女が拳王技界に目を付けてることは知っていますが、どうしてわざわざ? 確かに彼は我々を圧倒出来るほどの規格外な力を持っているようですが……」
「力を試すため、かな。まぁ彼に界くんは殺せないよ、絶対に」
「凄い自信だな。確かにアイツはそう簡単に死ぬようなやつじゃないだろうが、分かんねぇだろ。あのネロってやつ、ヒーロー殺しよりやばいだろ」
「そうだね、けれど界くんは必ず乗り越える。貴方たちは知らないだろうけれど彼はここで止まる存在じゃないもの」
「……俺、あんたが何したいのかさっぱり分かんねぇな。ネロってやつの力を高めたのもあんたなんだろ?先生の協力者ってのは分かるが拳王技界のなんなんだ? 身内にしちゃ正気とは思えないことをしてるじゃねえか。憎いってわけでもないだろうしな。本当に憎いならあんたの実力なら自分で殺せるだろ」
わざわざ殺し屋を雇う必要性はないことをこの場にいる全員、そしてモニターの向こうにいるオール・フォー・ワンすら知っている。
もし憎しみを抱いてるなら自分で殺しに行けばいい。しかし身内にしては外見や性格など諸々違いすぎる……割には妙に詳しすぎる。
協力者という立場ではあるが、あまりに謎に包まれすぎている。
「それは秘密。長く生きてると楽しみが欲しくなるものでしょ?」
「……ハ、あからさまな嘘だな。そもそも子供みたいな見た目しておいてどんだけ生きてるんだよ。ゲームでいう裏ボスってやつだろ、あんた」
「ありゃ、バレちゃったか。年齢に関してはキミには話せないかな〜。少なくとも全くん以上は生きてるよ」
「ロリババアじゃねえか」
「今のは聞かなかったことにしとくよ。まあ安心して、”今は“キミたちの味方。もし敵対するなら私はキミたちごと消し飛ばしてるからね」
「そうかよ……あんたに目を付けられてるアイツに同情するぜ」
「酷いなぁ。私は界くんに何かするつもりはないのに。ただ行く末を見届けたいだけよ?」
そう言ってくすくすと笑う少女に死柄木弔は自身が認めたヒーローに同情しながらも、底知れない不気味さを感じ取った。
はっきり言って、何をしたいのか分からない。そのくせして、実力は言葉通り自分たちを消し飛ばせるほどのものを持っている。
実際にあっさりと敗北した記憶もあるし気まぐれだが鍛えてくれる時もある。自身の”個性“が通じないのは全くもって意味が分からないが。
そして自分が知る中で一番強い先生すら勝てないらしいのも知っている。
だからこそ、目的も言葉や向ける感情が何一つ本物なのかどうか見えてすら来ない彼女に、先生以上に”未知“な少女に寒気すら覚えた。
二日目の朝。
俺たちは電車に乗って保須へと向かっていた。
今日からここで活動し、ヒーロー殺しと殺し屋とやらを探すのだ。
ナガンさんとホークスさんが突き止めた情報の中に、その幻の殺し屋とやらは”ネロ“と呼ばれているらしいというのがわかった。
ただ個性届けとかには載ってないしコードネームの可能性が高い。”個性“が未知な上に実力も並のヒーローでは勝てないレベルというくらいしか分からない。
警戒するに越したことはないだろう。そもそもあの見えない攻撃がマジでそうなら何も出来ずにやられる危険性しかない。
殺し屋ってことはわざわざ相手に実力を合わせたりはしないだろうし、戦いを楽しみたい俺とは対極であると見るべきだ。
だけどもし”気“を使うならば、俺が対処しなくちゃならない。オールマイトたちに話したのが正しいなら、俺の存在がネロという存在を呼び寄せた可能性もあるだろう。なぜなら”気“が俺以外に使えないからだ。
問題は”気“そのものは俺しか探知出来ない……という欠点があるので、人海戦術。
チームアップを組んで探すようだ。
それもナイトアイや通形先輩たちが問題ないというほどの実力者と。
轟が保須へ行くって言ってたから、エンデヴァーか?
違ったとしても何処かで会うかもしれねぇな、逃げよ。
指名来てたのに蹴って他のヒーローのところに行って、なのに会うとか気まずいだろ。
チームアップを組むってなら言い訳して誤魔化すしかないな……俺に出来るか……? 無理だな。
まぁ出会ってから考えよう。
とにかくも保須で合流するらしいから楽しみだ。通形先輩が言うほどだし、戦ってみるのもありだな。
というわけで保須市。
実は来たことがない。
色んなとこには行ったが、所詮は学生だ。
師匠と会える時は例え約束があろうと俺の体調が頗る悪かろうとも最優先されるからな。一緒に居られる時は他の街に行くよりもパオズ山に直行だ。
それにもう日本には居ないけど鳴羽田でよく協力しあってた人たちと関わることの方が多かったから時間が多くあったわけでもないし。
師匠の足元にすら及ばない俺はまだまだ未熟でしかない。今も昔も修行を続けねば。
「本来なら着いているはずだが……少々トラブルが発生したらしい。ここで少し待つぞ」
「行かなくても大丈夫ですかね?」
「問題ないだろう。入れ違いになる可能性もある。少し待って来る様子がないなら迎えに行くとしよう」
「……あの、ところで誰と組むんです? 通形先輩は知ってるんですか?」
「まぁね! でもごめんね! 秘密にするように言われてるんだ」
「ええ……?」
会えば分かるっちゃ分かるだろうが、一体どんだけヒーローが居ると思ってるんだ。
少なくともエンデヴァーの線が消えたことはわかった。ヨシ、ならいいや。
気構えなくて済むだろう。
……うん、ちょっと嫌な予感がするけど。
気のせいだろうと思考を投げ捨て、ナイトアイやバブルガール、通形先輩と違って手持ち無沙汰な俺は是非ともこの間に通形先輩と組手がしたかったが、出来ないので諦めて座る場所を確保し、間食用に持ってきた弁当を広げてむしゃむしゃしていた。
ちなみにセンチピーダーは留守だ。正確には支援要因。
俺が事務所に残っても仕方が無いし、通形先輩もまだ正式なサイドキックではないからな。
いずれはナイトアイ事務所に入るだろう。俺は分からない。
それから数分後だ。
眠気にやられていた俺はすやすやしていたが、動く気配を感じ取って目を覚ます。
欠伸をしつつ目を擦っていると。
「来たようだな」
「お待たせしました、ナイトアイさん」
「いえ、こちらこそ協力感謝します。リューキュウ」
話声の方に視線を向ける。
ボケーッとしていたが金髪のショートヘアが先に目に入り、誰なのかすぐに理解した。
ワインレッドのチャイナドレスのようなスリットの入ったコスチューム。
片目を爪のような髪飾りで隠している女性。
彼女はリューキュウ。本名は竜間龍子でヒーロービルボードチャートJPでもランキングに入るほどの者で実力もかなり高い。
あと”個性“がカッコイイ。
ドラゴンだぞ、ドラゴン。
ただ神龍とかとは違って、どちらかというと御伽噺寄りのドラゴンだ。
いや、待て。
ということはまさか……っ!
「わあ、やっぱり居た! 久しぶり久しぶり界くん!」
俺の
当然その程度じゃビクともしない俺だが普段から誰か来るだのなにか来るだの把握してる俺にとっては突然の衝撃に普通の人以上に驚いて肩が上がった。
次に背中に感じられる柔らかい感触と鼻腔をくすぐる香りに意識せざるを得なくなってしまい、誰なのか理解して若干顔が熱くなる。
「お、お久しぶりです……波動先輩」
急いで拘束をするりと抜け、数歩下がって対面する。
お世辞抜きに綺麗だと思わせる、澄み切った海のような水色のロングヘアーにスタイルのいい美少女。
コスチュームは体のラインが見えるようなピッチピチなもので、目のやり場に困る……が、露出が少ない分は割とマシな方だ。ヒーローは割とこういうのが多いからそこは問題ない。
彼女は波動ねじれ先輩であり、今は拗ねたように頬を膨らませているが俺が苦手とする女性だった。
いや別に嫌いだとかそういうんじゃなくて、まず彼女のことは好ましく思っている。
ただ、ただ俺がこの人を苦手な理由はただひとつ--
「むうー、どうしてねじれって呼んでくれないの? 前までは呼んでくれたよね?」
距離感が非常に近いことだ……っ!!
よく考えて見てほしい。
この人は通形先輩のご友人で、”癖の強い個性“というのもあって紹介されて関わることになった。もう一人居るが、どうやらこの場には来てないらしいので今日居ないのだろう。恐らくそれぞれのインターン先だと思うから大阪か。
それよりも問題は出会いが俺が中学生だったということだ。
思春期真っ只中な上に異性と関わることがほぼほぼない俺が女性に対して免疫力が大してあるわけでもない。
なのに手を握られたり間近くで見つめられたり抱きつかれたり何度もされたら誤解しそうになるだろう。
師匠の元で修行ばかりしてきた。だから我ながらそういった方面には疎いのは一応自覚はしているのだが。
それでも最初会った時はそれほどだったというのに、相談に乗ってからというものの、やけに俺に対して距離感が近く、俺も幾度もこの人俺の事好きなのか!?と思いかけることがあったわけだ。
つまるところ、スキンシップが多い上に距離感が近すぎて誤解して告白しかねないから苦手なのである。
この人のことは恋愛的な意味ではないが普通に好きなので俺が頑張ればいいだけの話ではあるんだが。
というか俺が男だということを忘れられてるのか? この人、本当に美人でミスコンでトップクラスに評価されるほどの人だ。なんなら方向性が間違ってただけで優勝出来たとすら確信を持てる。
そんな彼女が何故か俺にべたべたしてくるんだぞ。俺が襲ったりする可能性もあるだろう。
もしそうなったらどうする気なのだろうか。いや責任は取るし、まずそんなことになることは絶対ないけど。
精神修行をしてきた俺ならだいたいなんとかなるし。
待てよ、もしかして俺は弟的な存在として見られてる可能性もあるか……?
それはなんか嫌だな……いや待て、嫌ってなんだ俺。普段考えないこと考えたせいで変な思考になってるぞ。
師匠のことを考えよう。
うん、最高だ。師匠はかっこいいし強いし優しい。不屈不撓。百戦錬磨。強大無比。気宇壮大。純粋無垢。清絶高妙。天真爛漫とは師匠のことに違いない。俺の人生において師匠との出会いが森羅万象の全てと言っても過言では無い。
この人も天真爛漫だが--あれ、馬鹿な俺の思考が……!?
「ねぇねぇ、聞いてる? おーい、大丈夫? 難しい顔してどうかした? 悩みごと? 私が相談に乗ろっか?」
「ヴェアア!?」
思考の渦に沈んでいると、間近にあった端正な顔に心底驚いて一歩下がった。
いつ接近されてたのか全然気づかなかった。
「どうしてそんな驚いてるの? 不思議」
「い、いえ大丈夫です。はど」
「んー?」
「……ねじれ先輩」
「うんっ大丈夫ならいいや!」
基本的に名前呼びすることの方が少ないのだが、何故か圧を感じた気がしたので呼び方を変えたら純粋な笑顔を見せてくれた。
よく分からんが嬉しそうで正しい選択をしたようだ。
頼むから距離感をそろそろ学んで欲しい。出会ってもう二年も経つけど。
そろそろ本気で誤解するぞ、俺が。
きっと俺以外にも誤解しそうになった人が居ただろう。だが俺は他の人と違う、誤解なんてしないぞ。
しかけることはあるけど。
「………けどなぁ」
「? あの、声が小さすぎて何も」
「はいはい! 早く行かないとね、いこいこ!」
声が本当に小さすぎて最後ら辺しか聴こえなかった。漏れ出たって感じだったし、仕方がないっちゃ仕方がない。
ただ何処か顔が赤くなってたのは錯覚だろうか。
何が言いたかったのかは分からないが、手を引っ張られてナイトアイたちの元へ連れて行かれる俺。
まぁ、こんな感じで距離感がなぁ……。
にしてもねじれ先輩、予想以上に成長してるな。通常時でこれ程とは。
やっぱり”個性“の影響か?
さすが、俺が知る中で
相性ってやつもあるのかもな、”個性“持ちは。
「通形先輩、知ってましたよね?」
「まぁね! 波動さんがサプライズしたいって言ってたから内緒だった、普通にごめん! どうだった?」
「通形ありがとうね! それでね聞いて聞いて! 界くんね、それはもう凄く驚いてたの! ビクッ!ってしてた! すごく!」
「じゃあ成功だったってことだ!」
「ちょっと待ってください。そんな驚いてません、ただ体が勝手に動いただけです」
「それを驚いたって言うんだよ?」
「………」
それはそうだ。
何言ってんだ俺。知能低下しすぎている。
糖分採らなきゃ……。
「……話をしていいな?」
「え、俺のせいですか!? ……すみません」
何故か睨まれた。
……俺のせいなの? いや視線の先はねじれ先輩にも向けられてるような気はしなくもない。
いや先輩は悪くない。俺のせいということにして怒るなら俺にしてください。
が、何かを言おうとして辞めたようにため息を吐いてメガネを押し上げたあと、ナイトアイが話を始める。
「ヒーロー殺しが保須市で活動を始めたのはこの場にいる者なら全員知っているだろう。エンデヴァーが動いてることから私たちの目的はヒーロー殺しよりも幻の殺し屋と称されている”ネロ“という男の捜索だ」
「映像を見た限りではかなり危険でしたね。特に界くんと同じ”気“を使うかもしれない相手……。出来るなら私たちで見つけないと」
「その通りです。特に私が視た”予知“通りならばヒーロー殺しと共に居た……もしその二人が一緒に行動しているのであれば早急に見つけなければ。最優先は交戦するより場所の特定。見つけ次第必ず誰かに連絡すること。特に界、君は必ず誰かと行動してもらうぞ」
「職場体験の身ですしね」
「……それもあるが」
その今僅かにあった空白は何を意味してるんですかね……。と言いたくなったが、流石に言葉を飲み込んだ。
あまり話を遮るもんでもない。せっかく不問にしてもらったし。
「ミリオは”透過“を使って次々と探って行って欲しい。一人での行動になるが、ミリオなら言わずとも解っているだろう」
「大丈夫です! 仮に危うい状況だった場合、即救助の離脱、ですよね」
「ああ。それで界だが……」
「界くんは私と行動するの。だから大丈夫です、ナイトアイ。いいですよね?」
「いや、だが」
「二人の探知能力を考えるならば互いに行動させた方がいいかもしれません。少なくとも機動力的にもミリオくんを除けばこの中で一番相性が良いですし……能力は言わずもですが」
「そうだな……少々不安だが無理はしないように」
「俺の信頼度低すぎません?」
「その見た目でよく言えるな」
「………」
俺、今日弱すぎでは?
即論破されたぞ、全く否定出来ない。
包帯巻いてる時点で無理があったか。痛みはそんなにないんだけど。
「夕刻頃には一度落ち合う。簡単に成果が出るとは思ってないが、各自行動開始してくれ」
ナイトアイの号令にそれぞれ返事し、各々が行動に移っていく。
移動する前、リューキュウにねじれ先輩を頼まれたので了承した俺はねじれ先輩に引っ張られて連れて行かれていた。
……おかしいな、頼まれたはずなのに俺が連れて行かれてるぞ。
素の力は俺の方が上だから力づくなら勝てるが、この場合って強引に手を離していいのか?
手を握られるのが嫌だと思わせてしまわないか? 拒否されたと思わせたりするんじゃないのか? 空気が悪くなるだろうし、これでも先輩後輩の関係だが良い先輩と思っているからこれからも仲良くして貰いたいとは思っている。年下の俺にも好意的かつ親切に接してくれる人だ、ショック受けられて落ち込まれたりしてもあれだしな。
そうなると……どうすればいい?
ねじれ先輩を傷つけたいわけではないからどうにも行動に移せないぞ。
助けてくれ出久……! いや役に立ちそうにないな、やっぱ爆豪か。
……出久よりかはマシな回答が来そうだが、こっちも微妙だな、俺の周りさては女性関係に弱いやつしか居ないな?
轟は絶対論外だろ、天然だし。
やっぱ尾白だと思うんだよな、持つべきは普通の友達。今度聞いておこう。
あっ峰田くんと上鳴くんは論外で。絶対役に立たない。
ちなみに各ヒロイン候補の理由ですが、界くんは受身なヒロインとは相性最悪です。
最悪恋愛に発展すらしないと思います。アプローチなけりゃ界くんは何も反応しない上に自分からは友達くらいにしか思わない師匠バカなので。
良くても友達以上恋人未満になりかねない。つまり主人公が押しに負けるほどのガンガン行くキャラが最強なんですよね。
作者の好きなキャラってのもありますが、一番の理由は界くんの性格から決めました。
他のA組やB組を期待してた方はごめんね。代わりに各ヒロインの出番は増えます、たぶん。
余談ですが実は初期プロット候補その②では主人公はヴィジランテのまま学校に通わず、印照才子だけがヒロインでした。戦い方も武器を使って戦う戦闘スタイルです(ヴィジランテ設定と戦い方が今と異なっていたのはこの名残り)
幼馴染は変わらないので出久や爆豪とはちょくちょく会ったり、その伝で雄英生と会う展開はありましたが、ぶっちゃけ内容はインフレ具合も含めてオリジナル設定はあんまなくヒロアカ寄り。