無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ?   作:絆蛙

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僕のヒーローアカデミア、アニメ完結おめでとうございます!
十年もの間本当にありがとうございました! 最終回だけはリアタイ出来たのでよかったです。
再放送で一話と二話が合わさってた時に初めて見て、二話で出久が飛び出した時に惹き込まれたのが私がハマった理由でした。あのBGMらいいよね。
二期が待てずに珍しく原作全巻買ったレベルでした。
皆さんはどの場面が好きなのか、そしてハマった理由はなんでしょうか。
アニメこそ終わりはしましたが、この小説はなんとまだ原作6巻。アニメで27〜28話になります。
まだまだ終わりが見えなくて先を考えたら信じられませんが、これからも失踪しないように頑張っていくので応援していただければ幸いです。




現れ出る謎の怪物

 

「だりゃあ--ッ!」

「ぉおおおおっ!!」

 

カウンター気味に放たれた拳をギリギリで避け、俺の拳が相手に刺さる--ことはなかった。

 

「ッ!」

 

咄嗟にその場を退き、気弾を乱射する。

爆発し、爆煙を撒き散らすと目を閉じて気配を探る。

背後か横か前か。それとも下か。

可能性を考えて、目を閉じたまま頭上に腕を交差した。

その瞬間、真上から落ちてきた拳を耐える際に地面が凹み、足を絡めるように伸ばすが空振る。

すぐさま体を横に逸らし、攻撃を避けた俺は両手を腰部に添えてエネルギーを貯める。

阻止しようと向かってきて、視界から消えた。

そのタイミングで狙うのではなく、敢えて真下の地面にかめはめ波を放つことで地面を一気に削り取る。

目を見開く姿を捉えつつ、今度こそ俺の拳が--

 

「なんてねッ!」

「ぐげっ!?」

 

相手の拳が俺の顎を打ち、俺はそのまんま背後に倒れた。

は? おかしいな、今カウンターに合わせたから攻撃入ったはずなんだけどなあ。前までなら当たってたはずだが……。

マジで無敵にでもなったんですかね、この人……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱ強くなってんなぁ……」

「そういう界くんこそ前に比べて全然違ったよ!」

 

顎を擦りつつ、破壊した地面を埋めて修復していく。

俺が戦っていたのは通形先輩で、軽い組手をしていた。

俺も通形先輩も”本気“じゃないが、戦って分かったことはこの人、何かを隠してるということだ。

相変わらず身体能力はバケモノじみてるけど。

”個性“が”透過“だから肉体のリミッターを無視するとかいうよく分からん原理らしい。多分これも”個性覚醒“の副作用なんだろうな、とは思うけどどいつもこいつも覚醒しすぎだろ。

まるで”覚醒“のバーゲンセールだな。

そのうち”気“のバーゲンセールも来そうだ、怖いぞこの人達の成長速度。なんで潜在能力が高いけど成長速度が打ち止めになりつつある俺を成長速度で凌駕してるんだよ。

炎とやらのバフが強すぎる。俺にも宿れ、炎。*1

……なんか振られた気がする。理不尽だ。

 

「勝った人に言われても嬉しくないです」

「いやいや、俺も負けてられない! って思ったよね! 特に体育祭を見てから調子がいいんだよね!」

「あ〜! 通形が界くんをイジメてる!」

「ねじれ先輩。そうです、イジメられてます」

「え? えっ!? ち、違うよ波動さん! 別にイジメてたわけじゃなくて……ほら界くんからも!」

「いくら見知った仲でもそういうことは良くないと思うの。任せて、界くん。仇は私が討ってあげる!」

「じゃ見てますね」

「絶対わざとだーッ!? 気づいて波動さん!」

「いっくよ〜!!」

「うわあーっ!! 聞いてねー!?」

 

ねじれ先輩の波動に巻き込まれていく姿を見ながら、そういや修復したのにまたやらないといけなくなったなぁ……と今更なことを思いながら端っこで体育座りしておにぎりを食べて観戦モードに入っていた。

 

「相変わらず仲良いなぁー」

「そうですね」

 

観戦していたらバブルガールが隣に座りながら声を掛けてきたので、膜のようなバリヤーの範囲を広くする。*2

 

「他人事みたいに言ってるけど界くんもだよ?」

「そうですか? まぁ仲良いに越したことはないですからね。その方が連携も取りやすいでしょうし」

「うーんそういう意味で捉えるのは流石界くんというか……」

「それよりナイトアイの方に行かなくて大丈夫なんですか? 仕事サボるのはなにか言われそうですけど」

「サボってないからね!? 私のことそう思ってるの!?」

 

思ってはいない。

いわゆる残念美人だなぁとは思っているが。バブルガールの”個性“って使い方によっては便利だし。仕事は出来る方だろう。

 

「ちゃんと仕事は一通り終わらせましたーっ」

「ならいいですけど」

「それに様子を見てくるように言われてたんだ」

「なるほど……」

 

本当にサボりではなく、しっかりとした理由があったらしい。

確かに高校生だけにしておくわけには行かないもんな。訓練場とはいえ、既に夜も遅い。

しかしここから探知もしているが、それっぽい気配は何一つ感じられない。

俺の範囲外に出ているのか、はたまた潜伏が上手いのか。そもそも俺みたいに隠せるなら見つけるのは難しい。

うーんせめて扱えないであろうヒーロー殺しと会ってりゃ気を特定しやすかったんだけどなぁ。

今日はねじれ先輩と保須市を回って一緒にご飯を食べただけになってしまった。

情けない話である。相手が相手だったので、退屈でもなく普通に会話も多くて楽しかったけど引っ張られてばっかだった気がする。

出久に陰キャとは言えないな、俺も見事そっちだ。山にほぼ居たから元々そうか……。

明日は見つけないと。二日目だからあと五日もないぞ。

 

「ね、界くん」

「はい?」

「どうだった? ミリオくん、凄く強くなってたでしょ。ネジレちゃんも」

「……ええ、ぶっちゃけ驚きました。多分純粋な実力では勝てると思うんですけど、どうしても勝てるビジョンが浮かばない。本当に別人ですね」

 

ねじれ先輩は分からないが、通形先輩は素の”戦闘力“は間違いなく俺を超えているだろう。

ただし”界王拳“を全開にすれば俺の方が上だ。ただ透過の力を考えたら勝てるか微妙なラインではある。恐らくあの人が隠してる力が俺が勝てる気がしないと思ってる理由ではあると思う。さっきなんて攻撃に完璧に合わせたのに俺だけすり抜けたし。

予測能力は俺の方が高いが、判断能力は向こうが上だ。何より現場経験値が向こうの方が上なのが大きい。

解決力を競えば現場をあまり経験してない俺は劣るだろうな。

それに戦ってたら分かったが、止まりつつある俺とは違って成長し続けている。

俺にもそのバフ本当にくれ。

俺の潜在能力とやらを解放出来りゃな……とは思うけど、方法は思いつかない。

とりあえず同等かそれ以上の相手と戦わなきゃ俺は大きく成長出来ないだろう。

重力トレーニングなら別だけど、100倍とかないだろうし作るのにも時間がかかる。

どっかに重力を操る個性を持ってる人が居れば解決なのになぁ。何倍も負荷をかけられる人が居てくれたらもっと嬉しい。

なかなか居ないだろうな。

 

「界くんに負けてられないって気合いを入れてたからね」

「俺に?」

「うん。そりゃ未来のNo.1候補だもん。少なくともあの二人以外にも体育祭を見た人は火をつけられたんじゃないかな?」

「俺は戦っただけですけどね」

「君が自覚してないだけで君は人を巻き込む力があるんだよ。少なくともここに居るみんなは全員君のお陰で変わった。サーが気に入ってるのもそれが理由だろうしね。卒業後、サーの事務所に入ってくれたらサーも喜ぶと思うよ?」

「買い被りしすぎですよ。それにそこまで先の未来は考えてないですね……強いやつと戦えるなら事務所はどこでもいいですし」

「あは、界くんらしい」

 

何が面白いのか笑われてしまった。

俺らしいとはなんだろう。

俺にそんな力は無いと思う。客観的に自分を見ても、自分の力に自信を持てず、師匠を心の拠り所にする弱い人間だろう。

体育祭のお陰もあって、この世界では相当な位置に居ると自覚しても心のどこかでは未だに根強く残っている過去の自分がお前は弱いのだと、無力だと、何も出来ないのだと告げてくる。

本当に強い人間ってのは出久や爆豪だと思う。それぞれ別のペクトルで強さを持っている。

それでも目的のためには手段は選ばない。自信がなくても努力し続けるしか俺に価値は無い。何も無いが故に、死と生の狭間を幾度も行き来するほど努力し続けたんだ。ようやく手にした今の力を、より高めていく。

俺の目的は途方もなく遠いんだ。

この先ヒーローになっても、No.1になっても、俺にとって価値は低い。

この世界で一番になるんじゃなく宇宙全体で一番にならなくちゃあの人には追いつけない。

正直、自信を無くしつつある。”界王拳“の限界を超える方法を未だ確立出来てないからだ。

それを会得した時、俺は本当の意味であの人の世界への、その入口に入門するのだろう。

問題はその方法なんだけどな……とにかく今はトライアンドエラーを繰り返すしかない。

 

「界くん界くんっ!」

 

思考の渦に沈んでいたら声を掛けられ、顔を挙げると眩い笑顔を浮かべるねじれ先輩が居た。

普通に近すぎるため、ちょっと目を逸らしたら覗き込まれた。

意味がねえ、この人も無敵か。

 

「界くんも一緒にやろっ! こっちこっち!」

 

座っていた俺の腕を引っ張ってきたため、大人しくそれに従う。

今はとりあえず、体を動かそう。

なんだかんだ引っ張ってくれるねじれ先輩は少し心強かった。

俺が悪い方向に行きかけていたことに気づいて行動してくれたのかもしれない。

……そんなまさか、な。

 

視線の先には手を振ってくれる通形先輩が居て、俺を引っ張ってくれるねじれ先輩がいる。

後ろを見たらバブルガールが見守っていた。

それを見て少し、心が温かくなった気がする。

俺が俺らしさを取り戻せたような、そんな気がした。

くよくよ悩んだって仕方がない。俺の夢は、目的は、決して消えないものなのだから。

これが俺の、拳王技界という地球人が抱く原動力なのだから。

例え自信を無くしたとしても、諦めるという選択肢だけは、決してないのだから。

もしあるとしたらその時こそ、俺という存在が消滅したか死亡した時だろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

職場体験三日目。

PM5.00。

つまり夕方。

昨日はある程度山梨でヴィラン退治の活動をしたのに、オールマイトやグラントリノ相手に幾度か組手をした。

当然手加減されて僕の負けだ。

というか、オールマイトが怪我が治った影響か前よりもとんでもない事になってるんだよね……僕が体育祭で使ったくらいの出力がポンポンと飛んでくるから変速なしで避けるのは至難の業だった。危機感知が普通にすり抜けてくるからね、こんなの界くんを相手にしてるみたいなものだよ。

しかしそのお陰でワン・フォー・オールの出力は90%までなら何の負荷もなく扱うことが出来るようになった。

このままなら100%を黒鞭を使わずに発動出来るようになるかも。グラントリノからも筋が良いって褒められたし、師匠が師匠だから生半可な実力は見せられないしね。

これで全然ダメだったら僕が界くんに半殺しにされてしまう。いやしないと思うけど、彼は純粋に思ったこと言ってくるから心は抉られそう。

あとは100%を超えるように努力していかなきゃ。

界くんと戦って以降、ワン・フォー・オールにはまだ先がある気がしてならない。なんだか体育祭前に比べて通常時の出力も上がってるみたいだし。

まぁ界くんが継承したらそんなのあっさり解放されそうだけど……。

ただ本人は捨てるとか言ってたから絶対に渡せないな。

でもあの時溢れた力を完全に使うことが出来るようになったとき、僕は本当の意味で界くんに並び立てる。

そんな確信だけはあった。

問題は僕より後の世代にはもう、この個性は渡すことは出来ないという点。界くんみたいな存在が生まれたら例外だろうけど、無個性であんな努力出来る人なんてまず居るはずもない。

彼が異常なだけで、僕だって彼がいなければ何もしないまま居ただろう。

 

そして今、オールマイトは渋谷に向かうべくグラントリノと共に新幹線に乗っていた。すっかり太陽は沈みつつあり、もうすぐで夜になる。

夜の方がヴィランの発生も増えるから夜だからこそいい、とはグラントリノ談。

良くないです、と僕とオールマイトは重なった。

ちなみにオールマイトはトゥルーフォームになっていて、バレないようにもしている。

 

そういえばもうすぐで保須市を横切るけど、飯田くん大丈夫かな……既読は付かない。

界くんは昨日から保須にいるらしいけど、その前にも組織何個か潰してたとか言ってたし大火事になっていた場所の火だけをかめはめ波で消し飛ばしている動画がネットに挙がって、ものの数分で50人以上を救助。

さらに注目を集めていた。

……おかしいな。これ、職場体験だよね? 一人だけプロのヒーローどころかトップヒーローと似た仕事してる人いるんだけど。

かっちゃんは小物みたいなヴィラン退治ばかりで不満だとか言ってたけど、保須に行くことになるかもしれないとは言ってた。

界くんは相変わらずかっちゃんを煽ってた。やめなよ、界くん。しかも幼馴染同士のグループチャットだから巻き添えを食らう僕の身にもなって欲しい。

少なくともかっちゃんは今同じ電車にはいないみたいだ。

 

「飯田少年が心配かい?」

「はい……あっ、ちょっと界くんも心配ですね……そっちは別の意味で」

「ああ、うん……彼はまた目立ってるみたいだね……。相澤くんからどうなってるのかって連絡来てた」

 

相澤先生お疲れ様です……界くんがごめんなさい。

界くんの活躍はオールマイトも知っている。

そもそもあれって破壊力のある攻撃技のはずなのに、どうしてそんな器用なことが出来るのか。

僕の幼馴染、二人とも能力値が高すぎる。

だからこそ、追い付くので精一杯だ。それでも僕は二人には負けたくないから、絶対に追い抜くと考えながら対策を練ったり自分に出来ることを考えて強くなっていくしかない。

 

そのために新しく経験を積んで戦略を増やせるように--そう思ったところで、妙な感覚に身を包まれ、オールマイトがマッスルフォームになっていた。

 

 

CRASH!!

 

 

「な……!?」

「っんだアイツ……!」

 

そして突如、平穏が崩れる。

電車の中へヒーローが吹き飛んできた。

空いた穴からは、脳みそのヴィラン。

それは。

 

「脳無!? オールマイっ……」

 

戦闘許可が無い限り僕は”個性“を使用して戦うことが出来ない。

それでも戦う力もない一般人よりかはマシだと生身で乗り出そうとしたところで。

 

「私が来たァッ!!」

『! ぉ、オオ……ル、マイ……』

 

オールマイトの拳が、脳無を吹き飛ばしていた。

物凄い速度で吹き飛んでいく脳無。

僕とグラントリノはすぐに近づく。

 

「オールマイトだ!」

「オールマイトが乗ってたの!? 嘘でしょ!? 全然気づかなかった!」

「オールマイトがいるならもう安心だ……!」

 

やっぱりオールマイトは凄い、と思える瞬間だった。

パニックが起こることなく、オールマイトの姿を見た乗客者か安心している。

でも問題はそこじゃない。

街の様々なところで爆発が起きている。それも規模がかなりものだった。

 

「先生!」

「どうやら只事じゃないみてえだな。行くぞ、オールマイト! デク、お前も来い!」

「僕も……! いいんですか!?」

「お前さんじっとしてられる性格じゃないだろ!」

「ならば緑谷少年、オールマイトの名において()()()()()()()()()()()する! 乗客の皆さんは落ち着いて駅員の言葉に従うように! ヴィランは私たちヒーローに任せてくれ!」

 

ワン・フォー・オール・フルカウル90%。

全身に纏った瞬間、僕らは新幹線から飛び出して街へと向かっていく。

 

「先程、脳無が言葉を発していた……! USJの時とはまた別の存在かもしれない。先生も緑谷少年も気を付けて……! あれは私が行く!」

「よし、心配ねぇだろうが無茶すんなよ。一応病み上がりみたいなものだからな」

「ええ、そちらの方はお願いいたします」

「おうよ。俺らは別の場所へ行くぞ!」

「はい!」

 

急加速し、すっかりと姿が見えなくなった。

今のオールマイトは制限時間がない。

なら僕は自分の心配をすべきだ。

何より、飯田くん……!

無事で居てくれよ……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

僕とグラントリノが街に降り立つ頃には街は既に火に包まれていた。

あちらこちらで爆発が起き、街の人たちがパニックに陥っている。

ヒーローが避難誘導をしているけど、数が足りてない。

あの脳無がUSJの、それこそ界くんを追い詰めた強さを持つならこの街が危ない。

一番いいのは彼と合流することだろうけれど、この人混みの中で探すのは難しい。

とにかく今は状況の理解!

 

流れの元が騒ぎの中心。

僕とグラントリノが一緒にそこへ向かっていると、声が聞こえた。

 

「天哉くーん!」

 

あれはノーマルヒーロー、マニュアル!

飯田くんが逸れたのか!?

それに脳無が二体。それと……なんだ、あれ……。

見たことないぞ、あんなやつら……!

 

「くそっ、なんだこいつら……!?」

『キェー!』

 

青い体に尖った耳。三つしかない爪。RPGゲームに出てくるようなモンスターとも言うべき存在がそこには居た。

脳無とはまた別の個体なのか……!? それに数が多い! おおよそ数十体!

 

「グラントリノ!」

「よう分からんがひとまず加勢だ!」

「はい!」

 

黒鞭を伸ばし、今にも爪で攻撃しようとしていた青いモンスターの動きを止め、引き寄せながら一気に加速する。

 

「SMASH!」

 

加速した蹴りがモンスターを吹き飛ばし、滑るように着地した僕は脳無を見た。

すると素早くグラントリノが顔のない脳無をアスファルトに叩きつけ、その際の衝撃でアスファルトが砕ける。

凄い一撃だ……!速度を活かしたとはいえ、界くんにも劣らないかも。訓練の時より一層強い!

 

「君、確か雄英の……!?」

「加勢します!」

「助かる! 気をつけろ、あいつよく分からない力を使ってくる!」

 

よく分からない力?

そう思った瞬間、危機感知が反応を知らせ、僕は咄嗟に黒鞭を使って近くにいたヒーローを引き離す。

すると僕と引き離したヒーローの間に()()()()()()()()()()()()()()が通過し、爆発を引き起こす。

放たれたであろう場所を見つめると、そこにはさっき蹴り飛ばしたモンスターがボロボロの状態で此方に手を向けているところだった。

 

「うそ、だろ……?」

 

考えなくても、僕は理解した。

あれが何なのか。あれが一体どんな力を持つのか。

少し見ただけでわかる。

なぜならあれは、あの技は、僕がよく知る--

 

「こいつら、”気“を使えるのか……!?」

 

そう、僕の幼馴染が使う”無個性“でも戦える技術のひとつ。

彼が命懸けで手にしたはずの力を、モンスターが使った。

あれは、間違いなく……()()()だと。

 

『ギエー!』

「クソっ!!」

 

なんでこのモンスターが使えるか分からない。

けど他のモンスターも距離を離し、僕たちに向かって一斉に放ってきた。

一発一発は界くんより圧倒的に劣るけど、数が多い。

変速はまだ使う訳にはいかない。

なら!

 

ワン・フォー・オール100%。

 

「TEXAS SMASH---ッ!!」

 

僕が放つ風圧がぶつかり合い、爆発が起きる。

その間にギコギコ、とスクワットしてエネルギーを貯め、一気に駆け出す。

80%。

発勁解放!

 

「デトロイト・スマッシュ!!」

 

擬似的に100%を超える一撃が竜巻を起こし、モンスターたちを一気に吹き飛ばした。

 

「これで学生……!?」

「体育祭で見て知ってたけど、やべぇな……」

「今のうちに畳み掛けてください!」

「感謝する!」

「了解!」

 

あとは他のヒーローに任せても良さそうだと僕はグラントリノの方へ向かっていく。

 

「グラントリノ! あのっ! ごめんなさい、友達が……ッ! もしかしたらヒーロー殺しの所に!」

「なにっ!? ちっ、こいつら二体とも聞いてた通り再生持ちだ。俺ぁ、まだ時間がかかる! 先に行け、デク! ただし救助優先! 見つけ次第オールマイトか俺に連絡しろ!」

「分かりました! お願いします!!」

 

グラントリノの実力はよく分かっている。

喋らないしUSJほどの個体ではないとはいえ、脳無は厄介だ。それも二体。

それでもグラントリノなら問題ないと分かっている僕は許可を貰ってからマニュアルの方へ急いだ。

少しでも話を聞いてヒントになるなら聞かないと……!

あのモンスターは気になるけど、後は他のヒーローで対処出来るはず。今はそういう場合じゃない!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
やだ。

*2
ブロリー映画2作品目で悟飯がやったやつ。ゲームに依ればエネルギードームという名前があるらしい。

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