無個性だって必死で努力すりゃヒーローになれるかもよ?   作:絆蛙

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ぬあああ赤バー落ちた。上げてくれること期待してる。
USJまでは毎日投稿しようと思ったけどキツイ。
作者も知らん間に葉隠ちゃんがヒロインみたいになってる




拳王技界&葉隠透VS轟焦凍&爆豪勝己

見てるこっちが参加したくなるような戦いだったが、出久が爆豪に勝利した。

あくまで形式上だったから実際に戦えば分からない。

それでも勝ちは勝ちだ。

遠目で見つつ、オールマイトが話を進めて二戦目。

終わった。

俺が強い”気“を感じた赤髪白髪の男と異形型っぽい人のコンビ。

異形型が場所を把握。

そのまんまビルを凍結って、”個性“強すぎるだろ。

あの氷は厄介そうだな…。それに索敵の方もかなり範囲が広そうだ。俺の”気“とは違う。

俺は分かりやすく言うならその人の”気“を感じ取ることが出来る。感じられるのは強さ、位置、その特定した人物。

一方でさっきのは五感による情報って感じか? そう考えると彼の”個性“と俺の索敵能力は似てるようで似ていない。

しかし葉隠さん大丈夫だろうか。ブーツ脱いでたけど。

 

「あっさり負けちゃった…」

「足大丈夫?」

「あ、うん…冷たかったし寒かったけど何とか!足の感覚なくなりそうだったけど!」 

「それは大丈夫とは言わないからな。とりあえず、これで多少マシになるか?」

 

”気“を分け与える。

傷などを回復するような力はないので、あくまで体力を回復させるものだ。

ただ俺の”気“は”邪悪“や”不気味“といった”悪の気“ではないため、体温をマシにすることは出来るだろう。

やったことないが、失敗しても害はない。純粋に俺の”気“が減るだけ。

 

「わ、暖かい…! 何したの?」

「なら良かった。説明が難しいんだけど、まぁ俺の力の源を与えたってことだけ今はわかってもらえたらいいよ。ほら昨日のテストの応用」

「そうなんだ。色々出来るんだね〜!う〜でも何も出来なかったのは悔しい!」

「葉隠さんの”個性“は戦闘向きとは言えないからなぁ…なんかこう、近接戦出来るようにした方がいいかもしれない」

「近接かぁ……そうだ、拳王技くん教えて!」

「え、俺が!? い、いや確かに葉隠さんでも出来そうな『力』を使わない技はあるにはあるけど……教えようにも口では教えられないというか……」

 

こう言っちゃアレだけど、俺の師匠は実戦形式だったから俺も同じ感じになってしまうわけで。

出久は同性だし幼馴染だから容赦なく出来たが、武術をまだ出会ってちょっとの異性に教えるのは難しい。

別に葉隠さんが嫌というわけじゃなく。

出久みたいに殴って体に覚えさせる方法はしたくないから、そうなると必然的に…。

 

「口では……? あ……す、すぐにじゃなくていいから!」

「あ、ああ、うん」

 

明確には言ってないのに伝わったのか、そう言うと葉隠さんは俺に背を向けた。

ブーツの方向的に。

おおよその体の様子は分かるから透明でも手取り足取り教えることは出来るんだけど。

一番いいのは彼女の姿が見えることだ。でも流石に無効化出来るほど俺は万能じゃない。

葉隠さんの”個性“をちゃんと理解すれば”気“を使って見えるようにできるかもしれないが……どういった感じで透明になってるか分からないとなんとも言えないな。

光の屈折を使ってるのか、幽霊のようなガチの透明なのか。後者だとお手上げかもしれない。

前者だとしても許可なくやるつもりはない。

 

 

 

 

 

 

そして訓練は続き。

何故か葉隠さんの隣で戦闘を解説するような役割になってしまったが、これといって大きな事故もなく進んだ。

見ていると、本当にいい”個性“ばかりだ。うかうかしていたら追い抜かされるかもしれない。何人かもっと応用したら強くなれそうだし、アドバイスしてみるのもありかな。ただ俺は”個性“の感覚が分からないからアドバイスしても出来ない可能性があるわけで……仲良くなってからじゃないと無理か。みんなも頑張ってきたのにぽっと出のやつに何か言われるのは嫌だろう。

それはそうと、いよいよラスト。

 

「さぁ!ということでラストは拳王技少年だ!誰か自ら立候補する人はいるかな!?」

「俺がやります」

「ん?」

 

誰が相手かは分からないがワクワクしていると、半分氷で覆っている男---赤髪白髪の男が前に出ながら挙手していた。

驚いたな、自ら立候補するとは思わなかった。

しかも何故か睨んでくるし。俺お前に何かしたか? そんな恨まれるようなことはしてないというか関わりないんだけど…。

 

「なら一人は轟少年としよう。あと一人は---」

「オールマイト、俺にやらせて…欲しいっす」

「爆豪少年か。他に誰か…はいないようだね。早い者勝ちだ、轟少年と爆豪少年がペアとしよう! あとは拳王技少年のペアなのだが……どうしようか。選んでもらっても構わないが、くじにするかい?」

 

爆豪と轟とか相性悪そうな二人だな…それに爆豪は厄介だ。俺の戦い方をよく知ってる。気弾を挟まなきゃやられそうだ。

それにしても選ぶか…くじか。

うーん…出久は消耗してるから無理だろうし、ただの爆豪のリベンジマッチになるだろうから却下。

飯田は相性が悪いから無理だろう。知ってる人となると後は二人しかいない。

ここはくじ、もしくはいっそのこと一人で。

 

「はい!」

「って、葉隠さん!?」

 

さっき凍らされてたのを見てたので、選ばないようにしようと思ってたら隣で挙手する彼女の姿があって、思わず驚く。

 

「よし!なら拳王技少年と葉隠少女ペアVS轟少年と爆豪少年ペアとする! ヒーローかヴィラン側かは拳王技少年の一存に任せるぞ!」

「え、ええ…じゃあ、えっとヴィラン側で」

「ならば、それぞれ位置に着いてくれ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

決まってしまったものはどうしようもなく、俺は葉隠さんに声をかけた。

 

「葉隠さん、よかったのか?」

「うん! それに拳王技くん私のこと見てたからもしかしたら指名かなーって思って」

「バレてたのか……」

 

確かに葉隠さんの”個性“は俺からしたら位置が分かるから出久が無理な以上は彼女しかいないとは思ってたのだが。

 

「直接言ってくれても良かったんだよ?」

「いやぁ、凍らされたのが嫌になってるかなと…」

「もー大丈夫だよ! それにリベンジしたかったんだよねー私!」

 

透明なので表現のためか、意気込むようにぶんぶんと手を振る彼女に微笑ましくなる。

リベンジしたいという気持ちは大切だ。それはそうと相手が相手なのが問題なのだが。奇襲をさせたら反撃貰いそうなんだよな、主に爆豪相手だと。

あいつタフネスだし。

とりあえず。

 

「まぁ葉隠さんを勝たせるよ」

「勝利をプレゼントってやつ? かっこいいこと言うよね、拳王技くんって」

「ごめんそんなつもりは全くなかった」

「嘘でもあるって言って!?」

「冗談。勝たせたいのは本当だよ。俺として…もっ。葉隠さん…には、かんっしゃしてるし。昨日の……こと!」

 

準備体操を始めつつ、会話をする。

スタートする前に体は解しておかないと。これも大事だって教えられた。

声には出さず、心の中でいっちにーさんっしーと数える。

 

「へ?私はただ思ったこと言っただけだよ」

「葉隠さんにとって些細なことでも当人にとっては違うってこと。正直排斥される覚悟してたんだよ、俺。”無個性“だからヒーローになれないって言われ続けてさ。ここでもそうかなと」

「そっか……う〜ん…じゃあ、これでおあいこ! 私も入試試験で拳王技くんが助けてくれたから怪我とかもなかったし!」

「……そうだな、そう言うことにしようか。そう言われたら俺も大したことはしてないって話になっちゃうし」

「でしょ?」

 

あの時は俺は気づいたから助けただけで、彼女にとってはあの時の言葉が純粋にそう思ったからなのだろう。

俺からしたらお世辞でもない言葉なのが嬉しかった。

 

「それはそうと、勝たせはするけどな。リベンジマッチだろ?まだ話したことは無いけど尾白くんのためにも轟を負かせてやろう」

「そうだね!がんばろ!」

 

ふんす、とまた可愛らしい動きをしている。

活発な女の子なんだろうなぁというのが分かる。

それに個人的にだけど、尾白くんとは話したいんだよな。まだ話すタイミングないけど。

 

「作戦どうするの?」

「うーん…一応聞くけど、葉隠さんの”個性“は透明だろ?他に出来ることは?」

 

作戦と聞かれて悩みつつ彼女の”個性“について聞いてみる。

気になってたのもあるが、作戦を組むなら必要だ。

俺は多種多様な”個性“と違って浮く、殴る、蹴る、気弾、小技しかない。

小技に関してもほぼ初見殺し。あんまり手札は切りたくない。

 

「あ、言ってなかったもんね!えっと私の”個性“は正確には『透明化』。屈折率を変化させることで体の表面の光を屈折させて透明になってるんだよね」

「屈折率か。となると、他人の光を屈折することは?」

「許容範囲内なら出来ると思うよ?」

「やっぱり葉隠さん、いい”個性“だ」

「へ?」

「この戦い、間違いなく葉隠さんが鍵になる。だからこそ俺は君が欲しかったんだ」

「え、ええええぇっ!?」

 

思いついた作戦に思わず笑みを浮かべながら説明すると、何故かポカポカと叩かれた。

全然痛くないので甘んじて受けたが、なぜ叩かれたのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とまあ、作戦も決まったので雑談してるとオールマイトのスタートという合図が聞こえる。

こっちの勝利条件は捕まえる、もしくは制限時間。

やろうと思えば俺が抱えてそのまんま遥か彼方まで飛んでいけば勝ててしまうのだが、多分反則。

そして相手は間違いなく、速攻。

来るのは。

 

「葉隠さん!」

「うん!」

 

氷が一気に迫ってくる。

初見殺しなんだろうが、”気“で把握してる以上氷なんて食らうはずもない。

こっちは一応首席だぞ。

 

「ふ……やっ!!」

 

腕を交差し、両腕を左右に広げると全力の衝撃波を生み出した。

全方位に迫ってくる氷だけを破壊し、何も考えないようにしながらおんぶしていた葉隠さんを降ろす。

彼女に”気“を分け与えて寒くならないようにしておいた。

ちなみに核はちゃんと”気“で覆っているので、問題ない。

改めて状況整理すると、結構応用が出来るようになってるのかな。

 

「第一関門突破だ」

「ほ、本当に初見殺し突破しちゃった」

「でもこれ、生身では受けたくないな。絶対寒い」

 

”気“が防護的な役割を果たすようにうっすらと膜で覆っている。

そのお陰で平気だが、体温が冷えるだろう。これ、向こうの相性最悪だろ。

なんて思ってたら高速で近づいてくる”気“。

 

「葉隠さん、こっち!」

「え?きゃっ!?」

 

今はブーツも手袋も何も無いとはいえ、場所が分かるので葉隠さんの肩を掴んでそっと抱き寄せ、片手で巨大な気弾を発射する。

爆破の塊と気弾がぶつかり合い、爆発が起こった。

 

「もう来たのか、爆豪」

「てめぇなら移動しないだろうなと踏んだんだよ。それに凍ってねえとこありゃ誰の仕業か分かる」

「そりゃ正解だ。下手に動けば凍らされてしまいそうだしな。それに核があった方が守りやすい」

 

会話をしつつ、葉隠さんを後ろへ隠すと指示を出す。

奇襲には向いているが、正面からの戦闘はやらせるわけにはいかない。

 

「今日こそぶっ殺す!」

「口が悪いな、ヒーロー!」

 

正面から向かってきた爆豪に対し、体内の”気“を引き上げた俺はオーラを全身に纏うと爆破しようとしてくる右手を左手で弾き、右拳でのアッパーカット。

左掌を爆破することで避けた爆豪は連続で爆破してくる。

”気“を付与したマントでガード。

そして横腹を蹴り飛ばす。

 

「ぎ……っ!硬ぇな…!」

「悪いな、爆豪。お前の相手はあとだ!!」

「……!?」

「波ッ!!」

 

溜めずに使用することで威力を大幅に下げたかめはめ波を撃つと、爆豪はすぐに空中上がって避けた。

当然、かめはめ波は通過する。

 

「ンな分かりきった軌道で当たるかよ!!」

「本当にそうかな?」

「ああ…!?」

 

爆豪の言葉に笑みを浮かべてやると、爆豪も気づいたらしい。通過したはずの俺のかめはめ波は()()()

咄嗟に空中で軌道を変えて避けたが、甘いぞ爆豪!

軌道を曲げる。

曲げる。曲げる。曲げる。曲げる。曲げる。

曲げる!!

 

「しつけぇなァ!!」

「じゃあな爆豪。制限時間以内には帰ってこいよ!!」

「てめっ……」

 

爆破による相殺をされても即行で追加の『曲がるかめはめ波』を放っていたが、当てることが目的では無いので誘導に成功するとコントロールを無くし、かめはめ波で壁を形成すると範囲を絞って、瞬時に加速。

拳で殴り飛ばす。

ついでに気功波をプレゼントし、殴られた直後の爆豪は気功波に巻き込まれて飛んでいく。

場所は、外。

タイミングを見て葉隠さんに窓を開けるようにお願いしておいた。

 

「覚えてろ!絶対ぶっつ---」

 

聞かなかったことにしつつ、爆豪は飛んで行って窓は閉まった。

いやーでも、あいつなら多分すぐ帰ってくるだろうなぁ。

いくら気功波と言っても、もう俺のコントロール外れてるし。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

-----

 

「轟の氷を破壊した!?」

「あれほどの衝撃があっても核が微塵も動いてないですわ……」

「爆豪の攻撃を簡単に相殺してる!」

「それだけじゃない。葉隠を守護している…」

「あいつ女子の肌を!羨ましぃいい!」

「峰田くん!?血涙出てるよ!!」

「あれは昨日見せた技か!だが爆豪くんも負けずと避けて…」

「なんか曲がってへん!?」

「ケロ、本当だわ」

「爆豪あぶねえ!」

「あ、吹っ飛んで行った…」

「何処までも追ってくる上に壊してもすぐにやってくるとかえげつねぇなあれ…」

「ハイタッチしてる! あの二人仲良いね〜!」

「……”無個性“ってなんだっけ?」

「(あの爆豪少年がこうもあっさりと…!それに轟少年の初見殺しとも言える技を一度見たとはいえ無効化するとは……やはりとんでもないな、拳王技少年!!)」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

葉隠さんとの連携プレイに思わずハイタッチ。

どこも破壊せずにヒーローを排除するのは割と完璧ではないだろうか。いや普通立場逆じゃない?

次の”気“が近づいてくる。

 

「葉隠さん。轟くん来るよ」

「分かった! 言ってた通り、だね!」

「無理しないで。葉隠さんが怪我する方が大変だ」

「あ…うん! ありがと、信頼してるよ!」

 

未だに姿は見えないままだが、俺が教えたのは初歩的な気配の隠し方。

出来る限り俺に目を向けさせるが、警戒されたらあっさりバレる……が、随分とまあ。

 

「余裕そうじゃねぇか、なあ。推薦入学者?」

「音が消えたかと思ったら…もう終えたのかよ」

 

急いでこれば合流出来たというのに、轟はゆっくりと入ってきた。

自分なら勝てると踏んでいるのか。それとも自信か。

どちらにせよ。

やれば分かる。

 

「さぁ、やろうぜヒーロー。俺に勝てるか?」

「さぁ……なっ!」

 

ヴィラン像を引っ張り出しつつ構えると、轟は右足を一歩踏み出す。

するとそこから氷が生えてきた。

なるほど、半分から出す感じか。

 

「しっ!」

「チッ……!」

 

それに対して俺は、ただ蹴り飛ばした。

しかし次々と生えてくる。

甘いか。なら!

気弾を手に生成し、氷にぶつけて貫通を狙う。

壁のような氷が形成され、気弾は凍らされてしまった。

 

「流石。やるな……じゃあ---目を逸らすなよ?」

「なに……? きえっ……!?」

 

ただ地面を蹴る。

まるで瞬間移動したように轟の後ろを取った俺は回し蹴りを放った。

咄嗟に生やされた氷が壁になるが、関係なく破壊する。

離脱されていた。

”個性“の使い方が他より練度が高い。わくわくしてきた。

 

「何笑ってんだよ…!!」

「おっと」

 

また悪い癖が出てしまったが、氷はジャンプして避ける。

迫り上がってくるが、尖った部分を掴んで折り、そのまま宙返りして氷結の上に乗る。

そして、また背後を取った。

 

「っ、ワープでも出来んのかよ!」

「ただ走っただけだぞ?」

「ふざけんな…!」

 

ふざけてはなく真面目なのだが。

重りを取ってるからな。俺は走っただけだ。

右腕を背後に薙ぐように動かしてきたので、左手で受け止めると左手が凍っていく。

腕からでも出せるのか。そりゃそうだ。

 

「これで使えねえ……」

「ふんっ!」

「は?」

 

使いづらそうなので”気“を引き上げて力づくで壊した。

確かに厄介だが、それだけだ。壊せないわけじゃない。

しかしヴィランとなると、もっとヒーローを痛めつける感じがいいのか。そこまでガチなのは求めてないのか。

いいか、準備運動はここまでだ。

大きく後ろに跳び、距離を離す。

もうわかった。

こいつは確かに”気“は強い。でも---爆豪や出久より弱い。

 

「行くぜ!」

「………!」

 

氷の生成と同時に、俺は地面を蹴って着地しないまま拳を突き出す。

そのまま氷をガリガリと破壊しながら突き進み、そして。

 

「な……! がっ!?」

 

轟の腹部に拳が突き刺さり、振り抜く。

勢いよく飛んでいくが、背後に氷を生成することで壁にぶつかるのを避けたようだ。

 

「勿体ねぇな。そんな”個性“を持っておいてよ」

「お前に何が分かる……!」

「さぁ、”無個性“の俺には分からない…なっ!!」

 

何かを刺激してしまったのか、クールな姿が嘘のように怒りの表情を浮かべながら氷を生成してくるので、拳で打ち砕く。

同時に視線を右にやり、左に逸れた。

追い詰めるように着地地点が狙われるが、手から衝撃波を放って一気に打ち砕く。

 

「でも……その”目“は俺を見てないだろお前」

「………!」

「何を見ている?誰を見ている? 俺はお前を見ている。例えそいつが俺より弱くても、俺より強くても、俺は目の前の”誰か“をいつだって見ている。でもお前は違う。お前は俺を見てるようで”別の誰か“を常に見ている。そんなお前にはぜってぇ負けられねぇ!」

「ぐぅっ……!?」

 

無意識に”気“が全力で解放された。

それだけで風圧が巻き起こり、轟は少し吹き飛んでいた。

やべ、思わずやりすぎた。慌てて”気“の出力をさっきと同じくらいに戻す。

葉隠さん大丈夫か?

動きからして咄嗟に設置物を掴んでたようで…大丈夫っぽいな。後で謝ろう。

 

「どうした、ヒーローが負けたら誰が何を助ける? ヒーローが居なくちゃ誰が何を守れる? 今お前が目指しているのはヒーローだろ。だったら止めてみろ!」

「っ、言われなくても!!」

「おせぇよ!」

 

氷を生成、それ以上に早く俺の姿はシュン、と消えるとまた背後を取っていた。

予測したのか後ろに形成され、踏み壊す。すぐに連続して生み出されるも、足技のラッシュで叩き壊した。

反応より動きが遅い、遅すぎる。いや、()()()()()()()。こいつの”個性“は()()。つまり、もう片方の”個性“がバランスを取る。

世に珍しい、二つの”個性“持ち。

 

()()()()使わねぇから遅くなんだよ。使って見せろ!!」

 

拳を振り抜く。

氷を多めに生成することで防いだようだが、気弾で溶かして頭突きで吹き飛ばす。

 

「う、るせぇ……!俺は左の力()は使わねぇ。右の力()だけでやるんだ!!」

「どんな理由かは分かんねえけど、それは逃げてるだけだろうが!”力“は”力“だろ!」

「何も知らない奴が口を挟むんじゃねぇよ!!」

 

その瞬間、今までに見たこともないような広範囲の氷が飛んできた。

後先も考えず、訓練すら忘れたような自暴自棄になったようにしか見えない氷壁。

あれはマズイ。

 

「フッ---……だりゃあぁあああ!」

 

瞬時に()()()()()()()()

あまりに大きな氷で威力もかなりあるが、葉隠さんを守るためにも受け止めきった。

 

「はぁ、はぁ……これで……」

「だぁあああああ!!」

「チィッ…!バケモノかよ……!」

 

邪魔なので気功波で破壊し、氷の礫が落ちてくる。

ショーとかに使うならいい演出が出来そうだ。そして件の轟だが、元々何故か凍らしている左と違って氷を使う部分である右の部分も凍っている。連続して使用しすぎたのだろう。

…潮時だ。俺が戦いたいのは()()()()()()()

自分の中の感情が、あっさりと冷めていく。

 

「……やめだ」

「…何? どういうことだ!?」

「自分でも気づいてるだろ。お前は本来の”個性“を封じ、氷の”個性“で戦っている影響で体が鈍くなっている。おそらく『氷結』の使いすぎで体が冷え、体温の低下に追いついていない。今のお前からはわくわくしねぇし、これ以上戦ってもムダだと俺は思い始めた」

 

---今のお前じゃ、俺には絶対勝てねぇ

 

 

 

「ち、くしょう……俺は…!俺は負ける訳にはいかねぇんだ……っ!!右だけで『一番』にならなくちゃならねぇ……左側の力(クソ親父の個性)を使わずに俺はッ!!」

「…やっぱお前、何にも見えてねぇな。だからお前は()()()に負ける」

 

氷結を片手で受け止め、容赦なく破壊し、俺は背を向けた。

これ以上はもう、戦わないというように。

 

「待て……まだ終わって……!?」

「ごめんね、轟くん!」

「ぐあっ…!?」

 

接近していた葉隠さんによって顎が打ち上げられ、唐突に脳を揺さぶられた轟は状況が理解出来てないだろう。ただでさえ、こいつは”俺“を見てるようで見てなかったんだ。怒りの感情に支配されれば、周りなんて見えない。

その隙に、捕縛している。

確保テープを巻き付ければ勝ちというルールがある以上、戦う必要はない。

チラ、と後ろ目で見れば俯いていて表情は見えないが、理性は残っていたのか捕縛されたら氷結を使ってくる様子はなかった。

もしやるつもりなら、流石に葉隠さんが怪我する可能性あるので気絶させたが…必要なかったな。そもそも本来なら俺が引き付けて葉隠さんに攻撃してもらう予定だった。

つい怒りの感情が浮かんで本気で”気“を一瞬とはいえ解放したが。

とりあえずこいつ、結構凍って寒そうだからマントを投げてかけつつ、オールマイトに繋げて---

 

「ぶっ!?」

「拳王技くん!?」

 

咄嗟に反応出来たが、ピンポイントで俺と葉隠さんを巻き込む形の爆破だったせいで避けられず、俺は自分の体で咄嗟に庇いながら吹っ飛んだ。

そうして、近づいてくる”気“。

くそ、こいつやっぱ想定より早い。しかも近づいたら察知されるからか、俺の”気“の範囲外からやってきたな……!! 俺は”屋内訓練“ということなので、今はビル全体までしか張ってない。

しかも纏っていた”気“を消した直後だ。

生身で受けたせいで結構痛かった。

 

「よォ……さっきはよくもやってくれたな、クソ逆立ち髪がァ!!」

「爆豪…! お前演技するならちゃんとしろ!ヒーロー役なのにヴィラン役と間違えてるぞ」

「うるせえこっちが素だわ!」

 

本来は逆なのに、もうめちゃくちゃ怒ってるせいで目が吊りあがってるし目は白目だし血管浮いてるしどっちがヴィラン役なのかと、爆豪が姿を現して俺は心から思った。

 

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