聖龍伝説 現政奉還記 創生の章   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 村田順一率いるスター・コマンドーへの処分をどう下すかで様々な波紋を呼ぶ聖龍隊内情。そんな中、スター・コマンドーに同盟の儀を誓った中国地方武将のイン・ナオコが突如来訪。その場に居合わせたモンゴル軍国将軍代行のシン・ユキジと中国軍漢族筆頭デイ・マァスンとまさかの戦闘が勃発。熱血の余り、周囲が見えず戦いによる被害を広げていくナオコとユキジに周りは困惑するばかり。そこへモンゴル軍総大将モウ・コダイに変身したミラーガールが二人の前に対峙した事で、どうにか戦禍は収まった。そしてスター・コマンドーへの処罰については、イン・ナオコの協力の下、村田順一に試練を与える事でスター・コマンドーと愛澤マイとをぶつける事で彼らに自分達が如何に事を焦っていたのかを悟らせた。最後に村田順一たちスター・コマンドーを想う聖龍HEADからの言葉を受けて、スター・コマンドーは遂に胸中に仕舞い込んでいた想いを吐き出すかのように滝の様な涙を流して堰を切らした。そして新世代型たちは、そんなスター・コマンドーの真情を赤裸々に知ってその切なさと儚さに心が沁みるのだった。



現政奉還記 創生の章 対決!猛虎陣営VS撫虎

[復活した猛虎]

 

 聖龍隊とスター・コマンドーは、事実上の和解を制定した。

 それはお互いの意地と信念をぶつけ合いながらも、最後は双方共に人民を導く役割を担っていると自覚した上での和解だった。

 村田順一率いるスター・コマンドーは、再びバーンズ率いる聖龍隊の軍門に降った。

「ジュン……また戻ってきたか」「はッ、総隊長……」

 自ら頭を下ろして軍門に降る意思を示す村田順一たちスター・コマンドーを見下ろして、バーンズ総長が言葉を投げかける。

 そしてバーンズたち聖龍HEADは、順一の元にある贈呈品を賜った。

 それは順一が先の戦闘で破損した為に紛失してしまってた、彼の拳を守る手甲であった。HEADは順一に新たな手甲を贈呈し、彼に新たな活躍の機会を与えた。

 HEADから黄金に輝く手甲を賜った順一は、強き意志を感じさせる面魂でバーンズから手甲を受け取り、己の両手に手甲を装着する。

 新たに得た手甲を装着し、スター・コマンドーの仲間達の前で拳を振るってみせる順一。彼が放つ拳の威風は、相も変わらず凄まじいものだった。

「みんな……これからも世話になるが、よろしく頼む!」

 順一は仲間であるスター・コマンドーの面々に深々と頭を下げて述べる。そんな順一を仲間のスター・コマンドーの面々は笑顔で迎え入れた。

 聖龍隊とスター・コマンドーの和解の場を拝見して、新世代型二次元人たちはもちろん多くの武将が胸を撫で下ろす。

「ふぅ、やれやれ……こっちもお互いCoolになれたようだな」

 和解した両軍を謁見して、中国地方武将の漢族筆頭デイ・マァスンが腕を組みながら安堵する。

 そんなマァスンの傍らでは、何か話している二人の武将が。マァスンはその二人の武将に視線を向けると再び口を零した。

「こっちと同様、やっとお互いCoolになったか……さぁ、好きなだけ話し合えば良い」

 マァスンの視線の先には、先ほどミラーガールの機転で戦闘を中断したモンゴル軍国将軍代行のシン・ユキジと地方武将のイン・ナオコが言い合っていた。

「貴殿の事情は分かり申した……が、お館様を狙う者を見逃すわけには参らぬのだ……!」

「フン! これは命令だ! さっさとモウ・コダイの元へ案内しろ!」

 詳しい経緯を冷静になって聞き入れたシン・ユキジだったが、己が師であるモウ・コダイは病に臥せっている身の上。故にその師を狙う者を師であるコダイの元に向かわせる訳にはいかないとナオコに説くが、ナオコは命令とばかしに頭ごなしでユキジにモウ・コダイの元に案内するよう命令する。

 この暴走気味のイン・ナオコの尖った態度に周囲の面々は非常に困り果てていた。

 

 すると其処に、何処かに御使いしてきたモンゴル軍が忍頭の猿飛佐助が帰ってきた。

「た~だいま戻りましたよっ、と」

 飄々とした軽い態度で帰参してきた佐助を見て、ナオコは目を尖らせて佐助を睨み付ける。

「貴様は、モンゴルのニヤついた忍……! 逃げたと思ったら、懲りずに私の邪魔をしに戻って来たのか!?」

「いやいや、俺様は時乃宮家が譲ってくれた薬をお館様に届けに行った帰りさ! でも、さっすが腐っても日本の皇族なだけはあるね、時乃宮家。貰った薬をお館様に投薬したら、

バリバリに元気になっちゃったんだもんな」

「なッ! そ、それは真か、佐助! お館様が時乃宮家から贈られた薬で復活なされたのか!?」

「まっ、そういう事だよ、旦那」

 実は聖龍隊とスター・コマンドーの大戦が終結して間もなくの事。聖龍隊側についていたモンゴル軍に、スター・コマンドー側についていた日本皇軍の総指揮を務めていた時乃宮彦麻呂が特別に調合した薬を送っていた。それは現政奉還の直前に、病に臥せったモウ・コダイを元気付けようと、異世界の薬剤も調合して特別に作らせた薬であり、重病のモウ・コダイが元気になるようにと皇族である時乃宮彦麻呂が送らせた品だった。

 そして、その薬が効いたのかモウ・コダイが元気溌剌と復活したというのだ。

 するとモウ・コダイが病から完全復活したのを聞いて大いに喜ぶシン・ユキジに伝言した猿飛佐助はイン・ナオコにも言伝した。

「あ、それとナオコのお嬢ちゃん、そのお館様から伝言! 道場で待っているってよ」

「なに!? どういう事だ佐助!」

 佐助からの伝言を聞いたユキジが問い詰めると、佐助は嬉々とした素振りで語った。

「お館様にあんたのこと話したら、モンゴル式で歓迎するってさ」

 しかし佐助からの伝言を聞いたイン・ナオコは、身を震わせて猛った。

「歓迎……だと……偉ッそうに……! 全ての男の元凶め! 思い上がっているその性根! 私が叩き直してやる!」

 モンゴル軍総大将であるモウ・コダイを、全ての悪しき男の元凶と捉えているナオコは大いに怒った。かつて自身の挙式を長引いた戦で台無しにされたのを未だ根に持っているらしい。

 と、そんな興奮するナオコにミラーガールが歩み寄って、彼女の肩を叩いて声をかける。

「ナオコさん、そんなに興奮しないで少し冷静になったら? また周りが見えなくなると、自分でも嫌になるでしょ?」

「そ、そうだがミラーガール……! あのモウ・コダイが私に道場に来いと……おそらく女の私を力尽くでどうにかしようと考えているに違いない……!」

「はぁ、そんな事ないわよ。モウ・コダイとは二年前に会ったっきりだけど、そんな卑劣な真似をする人じゃないわ」

 ナオコを宥めるミラーガールの話を聞いて、シン・ユキジも同意する。

「そ、その通りでござるナオコ殿! お館様は、決して女子(おなご)を手篭めにする様な御方ではない!」

「フン! どうだか……男なんて、みんな同じ様な生き物だ!」

 男という種を全て見下す言い方をするナオコに、ミラーガールたちHEADの女性たちは程ほど呆れて言葉を失くす。

 そんな中で、ミラーガールが再度ナオコに話し掛けてみる。

「ナオコさん、そんなに嫌味言わないの。イラついたって、何のいい事もないわよ」

 苛立つナオコを宥めるミラーガールの言葉に、ナオコも自分が異様に苛立っている事を察する。

「……くっ、私は何にイラついている……? これではまるで私の大嫌いな、威張り散らす男共と同じじゃないか……」

(やれやれ、男を毛嫌いして、その男みたいになっちゃっているのに全く気付いていない……)

 自分自身を嫌いな男と映し合わせるナオコの言動に、ミラーガールは内心でナオコ本人が嫌っている男の傲慢さが反映されているのを却って黙っていた。

 

 そんな自分が、毛嫌いしている男と同等になってしまっているのにまるで気付いていないイン・ナオコ。

 彼女にミラーガールが問い掛ける。

「それで、ナオコさん。あなたはモンゴル軍の道場に行くの? 行かないの?」

「そ、それは……! ……もちろん、行くつもりだ! 乙女の底力、モウ・コダイに見せ付けてやる!」

 ミラーガールの質問に答えるナオコの返答を聞き受けて、ミラーガールも決意する。

「それじゃ私も一緒に行くわ。本当にモウ・コダイが病身から復活したのかも気になるし、お見舞いがてら一戦交えるのも悪くないかも」

「おおっ、私の助太刀に来てくれるのか、ミラーガール! これはこれは、実に頼もしい……!」

 ミラーガールの告白に、イン・ナオコは大いに喜んで彼女の戦友宣言を迎え入れた。

 すると、そんなミラーガールとイン・ナオコの様子を間近で見て、バーンズが新人達に言った。

「ちょうど良い、お前達も一緒に行くんだ。モンゴルの漢道場で腕を磨くのも悪くねえだろ」

「そ、そんな! マジっすか……」

 バーンズからの指示を受けて、キリトたち【SAO】に【AW】そして【マギカ組】の面々は衝撃を受ける。

 新人三組がミラーガールたちに同行すると聞いて、彼らと同じスター・ルーキーズのワイルドタイガーが挙手する。

「あ、俺も俺も! 二年前にも修行付けてくれたモウ・コダイと、また一戦してみたいなぁなんて。同じ虎の異名を持つもん同士、また本気で殴り合いたいぜ」

「まったく虎徹さんは……それならパートナーとして一緒に僕も付いていくしかないでしょうが。ホントに……虎の異名を持つ人って、どうしてこう競い合うのが好きなんでしょうか」

 ワイルドタイガーの参戦を隣で聞いて、相棒のバーナビーが半ば呆れるもののワイルドタイガーと共に参戦する意志を示す。

 と、すると其処に和解の義を示し合わせたばかりの村田順一も申し出た。

「それなら是非、僕もご同行させてください! 病身から復活なされたモウ・コダイ殿と一戦交えることで、僕自身を更に成長させたいのです……!」

「ジュンくん……」

 順一の、全てを受け止め背負い切れる自分に成長させる目的を周知した上で、ミラーガールは唖然とする。

 しかし、この参戦に新世代型たちも名乗りを挙げた。

「私たちも行きます! ……新世代型として、今なにができるか解らないけど……それでも、現実(いま)を見届ける覚悟はできる筈!」

 自分たち新世代型の「全てを見届ける立ち位置」を理解した上で【境界の彼方】の栗山未来が力強い面差しで発声する。

 未来の決断に、名瀬美月も賛同して、二人ともイン・ナオコ達に同行する事となった。

 

 こうしてイン・ナオコとミラーガール、キリトとアスナ、シルバー・クロウとブラック・ロータス、鹿目まどかと暁美ほむら、佐倉杏子と美樹さやか、巴マミと百江なぎさ、ワイルドタイガーとバーナビー、栗山未来と名瀬美月の二名一組に続いて、村田順一とミラーガールを気にかけているシバ・カァチェンが組んで、いざモンゴルの漢道場へと赴いた。

 

 

 

[モンゴル漢道場]

 

 病から完全復活を得たモウ・コダイからのお誘いの元、イン・ナオコは戦友としてミラーガールを引き連れて参った。

 そんな二人に同行してきた、キリトとアスナ、シルバー・クロウとブラック・ロータス、鹿目まどかと暁美ほむら、佐倉杏子と美樹さやか、巴マミと百江なぎさ、ワイルドタイガーとバーナビー、栗山未来と名瀬美月、村田順一とシバ・カァチェンの合計9組がモンゴル漢道場に足を踏み入れた。

 すると、そんな彼らの耳にモウ・コダイの声が木霊した。

「よくぞ、この道場に足を踏み入れた……(もののふ)よ! その荒ぶる魂……存分に示してみよッ!」

 このモウ・コダイからの号令を合図に、モンゴル漢道場は熱気に包まれ、通称虎の穴と呼ばれる試練が開始された。

 聖龍隊の戦闘経験の少ない新人もいるという事で、まずは手解き程度の白帯、その昇段試験が開始された。

 試練が始まり、道場の至る所からモンゴル兵が飛び出して襲い掛かってくる中、イン・ナオコは大剣を振り回して怒声を言い放った。

「モウ・コダイィィ! イン・ナオコが参ったぞっ! 貴様は自分のした事を憶えているかァ!」

「………………………………」

 ナオコの問い掛けに、モウ・コダイは黙然と彼女の言葉に耳を傾けるばかり。

 その間も、モンゴル兵は無尽蔵に出現し、道場に殴り込んできた二人一組の手勢に襲撃する。

 皆は、お互いのパートナーと共闘して、どうにか兵士の襲撃から反撃する。

 そんな中、ナオコは凄まじい覇気で周囲のモンゴル兵を蹴散らしながら、何処かでこの戦いを傍観しているモウ・コダイに強く訴えかけた。

「貴様が戦を長引かせなければ……私はアイツと祝言を挙げ、幸せな人生を送っていたんだ!」

 モンゴルが長引かせた戦に巻き込まれた挙式から逃げた許婚の事を、熱くも儚く語るナオコの言葉を聞いて、モウ・コダイは素直に謝罪した。

「そうか……それは、すまなかった」

「くっ……!? な、何故、素直に謝る? なんだ……、一体、何をたくらんでいる!」

 予想に反して素直に謝罪するモウ・コダイの態度に、その裏を怪しんでしまうナオコ。

 ナオコとモウ・コダイが言い合いしている最中も、モンゴル兵は容赦なく道場内の面々に襲撃する。

「うおおお、燃えてきたああああッ!!」「皆の者、励めいッ!」

 熱血に滾るモンゴル兵に、モウ・コダイは修練とはいえ手を抜かず励むよう言い聞かせる。

 そんな熱血漢のモンゴル兵を相手に、村田順一とG-101の組合は善戦する。

「はぁ……っ!」

 村田順一が集中して力を滾らせる事によって、地面に五芒星の紋章を輝かせると、その五芒星の紋章の中にカァチェンが兵を押し入れると、順一は高めた力を一気に解放、五芒星から輝かしい光が放出され、五芒星の中にいた兵士たちは全て吹き飛ばされてしまった。これぞ村田順一の奥義「五芒星の極み」である。

 しかしモンゴル兵団による道場での試練は途切れる事無く、屈強な肉体の兵士達に続いてモンゴル騎馬隊までも参入してきた。

 怒涛の勢いで攻めてくる騎馬隊を前に、馬力で弾かれてしまうアスナや巴マミたち。キリトもどうにか善戦しようとするが、騎馬の勢いが強すぎて回避する一方だった。

 すると、そんな逃げ腰のキリトやシルバー・クロウにイン・ナオコが助太刀。向かってくる騎馬隊を巨剣で薙ぎ払う。

 キリトとシルバー・クロウがナオコに礼を言おうとすると、ナオコは男である二人を睨み付けながら言った。

「お前程度の男共に、私が遅れを取るものか」

 すっかり男を軟弱な生き物と称しているイン・ナオコは、それからも時にはミラーガールと共闘したりと善戦を続ける。

 と、イン・ナオコ達が善戦しているところにシン・ユキジがモウ・コダイに進言した。

「お待ち下されお館様……これは全てナオコ殿の逆恨みの八つ当たり……!」

 すると病から完全復活したモウ・コダイはユキジに告げた。

「控えよユキジ! 乙女心を解せぬようでは、民の幸せも叶わぬと知れぃ!」

「お、おお、おとめ、ごころ……でござりますか……?」

 師モウ・コダイからの進言に、ユキジは困惑してしまう。そんなユキジに佐助が優しく言った。

「大将、落ち込まないっ!」

「………………………………」

 しかしユキジは激しく落ち込んでしまい落胆してしまう。

 

 と、ここでようやく白帯認定試験の第一回と第二回を突破した一同に、第三回戦の刺客達が襲い掛かる。

 先ほども混じっていた屈強な巨兵や騎馬隊に続いて、瞬時に姿を眩ます動作に掛けては機敏であるモンゴルの忍たちも参戦してきた。

 イン・ナオコ達は群がってくる兵士や騎馬隊、そして忍を早々に片付けていく中、その情景を観察しているモウ・コダイが道場内の皆々に告げる。

「仕切り直しといこうではないか! ここはモンゴル漢道場……おぬし達に稽古を付けてやろうぞ!」

 このモウ・コダイの言葉を聞いて、ナオコは勝手な解釈をしてしまう。

「……分かったぞ! そういう事だなッ! この道場で、男が上だと力ずくで示すつもりだなぁ!」

 勝手な解釈をして、勝手に怒り猛るナオコを前に、ミラーガールは呆然と表情を固めてしまう。

「そ! れ! が! 男の傲慢、怠慢だと言っているんだ!」

 そして勝手な解釈をしたイン・ナオコは、容赦なく周囲のモンゴル兵を巨剣で薙ぎ払い、男への鬱憤を晴らしていく。

「あ、あのお嬢ちゃん、さっきから随分と身勝手な解釈するなぁ……」

「言わないで置いてあげましょうよ……こう言うのを、触らぬ神に祟り無し、って言うでしょ」

 モンゴル兵に体一つで応戦していくワイルドタイガーとバーナビーの二人は、口を噤む事にした。

 一方のナオコは、巨剣を叩き付けたりして善戦していた。

「教えてやる、私の剣を防ごうなんて思うなよ? 死にたくなければ先手が吉だ」

 自らが振るう巨剣を防ぎ切るのはまず不可能と言った側で、接近してからの先手が必勝だと説くナオコ。だが安易に彼女の懐に飛び込めないのが現状。

「降伏するなら聞いてやる……だがその前に、もう一回叩ッ斬る!」

 目の前を動き回る男のモンゴル兵に対しては、降伏を聞く前にもう一度でも叩き斬らなければ気が済まない本音をぶちまけるナオコ。

 そんなナオコとは反対に、屈強なモンゴル兵に打ち負かされて休んでいる杏子とさやかのペアにナオコは言葉を投げかける。

「力負けを恥じている間に、もう一度立ち上がったらどうだ?」

 同じ女とはいえ、いつまでも敗北で休んでいる暇を与えない厳しい性分のナオコに、周りは程ほど呆れてしまう。

「お、俺としてはもうちょっとお淑やかなのが良いかな……」

 そんな荒っぽい戦闘を仕掛けていくナオコを見て、キリトは彼女にお淑やかを求めるが、無理な話である。

 

 ミラーガールと組んで善戦するイン・ナオコ。そんな彼女の威勢の良さに感服するモウ・コダイはナオコに咆哮する。

「ムハハハハハ! 良い! 威勢が良いわ! おぬし達に伝えたき事は唯一つ……素直で在れぇい!!」

 しかしこのモウ・コダイの進言にナオコは反論する。

「勝手に話を進めるな! 何が素直だ! そんなのは、従順な女の方が男にとって都合が良いからだろうが!」

 男にとって都合のいい女について解釈を述べていると感じたナオコがモウ・コダイに反論すると、モウ・コダイは敢然たる面差しでナオコに説いた。

「……慌てるでない、わしの言う素直さとは即ち……眼前の現実を有りの侭に受け入れる、心の強さじゃ……」

「………………………………」

 ナオコにとっての眼前の現実、それは許婚に逃げられ、そのまま死別してしまった悲しい過去。それを有りの侭に受け入れる事が素直さに結びつくと説かれ、ナオコは言葉を失った。

 しかしナオコは即座に顔を上げて、周辺のモンゴル兵に不満を当り散らしながらモウ・コダイに反論する。

「だ、黙れ……私にしたことを棚に上げて、乙女の幸せに口を、挟むな……!」

 この時のナオコは実に苦しい心境だった。自分を置いて逃げてしまった許婚、その許婚と死別してしまった現実はナオコの心を未だに締め付けていた。

 

 そして全ての試練を突破したのを視認したモウ・コダイは不敵な笑みを浮かべた。

「フッフッフ、これしきで息はあがらんか」

 すると次の瞬間、モンゴル漢道場の真正面から紅蓮の溶岩が噴出して、その中から部下に当たるシン・ユキジと猿飛佐助に担がれたモウ・コダイが仁王立ちで登場した。

「フハハハハハ! 熱く……!」「熱く……!」

「「滾るが良いぞッ!!」」

 熱血漢のモウ・コダイとシン・ユキジが叫ぶ中、その傍らでユキジと共にモウ・コダイを背負っている佐助は非常に恥ずかしがっていた。

「お願い、見ないで! マジ恥ずかしいから、見ないでっ」

 そんな佐助の心底恥ずかしがる情景を目撃して、何故か聖龍隊のキリトとアスナはニヤけた表情で非常に恥ずかしがる佐助の写真をスマホで連続撮影した。

「やめて、お願いだからやめてっ! SNSにアップしないで、お願い!」

 しかし佐助の嘆願を聞かず、二人は悠々と写真撮影を続けるのであった。

 一方でそんな佐助とシン・ユキジの肩に足を置いて登場したモウ・コダイは、眼前の猛者たちを見回してご満悦の様子だった。

「フフフ、今宵も猛者共の腕が唸っておるわい」

 そういうとモウ・コダイはユキジと佐助の肩から飛び降りて、皆の目前へと着地する。

「おおっ、やっと元気復活したか、モウ・コダイの旦那! 俺ちゃん嬉しいぜ」

「フフ、異世界の正義を守りし虎よ。おぬしも健在であるな、ハハッ!」

 病から完全復活したモウ・コダイを目の当たりにして嬉々とするワイルドタイガーに、モウ・コダイも嬉々と表情を緩める。

 と、其処に。モウ・コダイを目の仇にするイン・ナオコが怒りを露に突撃してきた。

「モウ・コダイ、覚悟ーーーーーーッ!!」「ぬるいわ、小娘ェーーッ!!」

 ナオコとモウ・コダイは互いに得物を振るい、激しく衝突。しかし二人が振りかざす大剣と軍配斧は弾かれてしまい、二人は素手の状態で対峙。

 しかしナオコは素手でもモウ・コダイを倒そうと、素手の状態で身構えると、それを見たコダイも胸を張って身構える。

 そして二人は激しく拳と拳で殴り合い始め、拳と拳、身体と身体が激突する。

 そして両者の拳が相手の顔面に直撃し、クロスカウンターが決まったのと同時に、二人は後ろによろめく。そして先ほど弾かれた得物を持って再び対峙する。

(くっ、やるな……! だが、乙女の底力、見せてやる……!)

 殴り合いでも引けを取らない闘いをしたイン・ナオコは、乙女の底力を見せ付けようと躍起になる。

 すると、そのナオコとモウ・コダイの殴り合いを見たワイルドタイガーも、モウ・コダイに闘いを挑んだ。

「モウ・コダイの旦那! オレともまた取っ組み合おうぜ! 危険な虎とモンゴルの猛虎、久々の対決だぁ!」

「フッ、良かろう……おぬしの腕が鈍ってないか、確認するのもまた一興……」

 そして回りの制止も聞かずに、ワイルドタイガーはモウ・コダイと激しく殴打し合った。拳と拳が激突し、激しく火花が散る闘いを展開する二人の虎。

 殴り合いながらも、ワイルドタイガーとモウ・コダイは雄弁に語り合った。

「どうやら心配無用な様だな……あんた、完全に復帰したみたいで嬉しいよ」

「フフ、異世界の虎よ。そう言ってくれるのは有り難いが……ワシが健在なのも今だけよ。いづれは……」

 と、ハンドレッドパワーで自身の身体能力を百倍にして挑むワイルドタイガーの拳について行けるモウ・コダイが語ろうとした、その矢先。

「お、おい! 私との因縁はどうした!? 男同士で勝手に語り合ってるんじゃないッ!」

 と、拳と拳で語り合うワイルドタイガーとモウ・コダイの間にイン・ナオコが割って入り、モウ・コダイを睨み付けながら巨剣を振り翳す。

 そんな彼女の闘志を目の当たりにして、キリトとアスナ、シルバー・クロウとブラック・ロータス、鹿目まどかと暁美ほむら、佐倉杏子と美樹さやか、巴マミと百江なぎさ、ワイルドタイガーとバーナビー、栗山未来と名瀬美月、村田順一とシバ・カァチェン、そしてナオコの戦友として付いてきたミラーガール達は戦況を見届けるしかできなかった。

 するとモウ・コダイは皆が観ている前で、ナオコにも伝わり易いようにと、等身大の軍配斧を振り回して対決しながらナオコに問い掛けた。

 

 

 

[目を覚ます凜虎]

 

「おぬしは、相手がなぜ自分を置いて去ったのか。それを考えた事はあるのか?」

「……そ、れは…………!」

 モウ・コダイからの問い掛けに言葉を失くすナオコ。更にモウ・コダイはナオコに説き掛ける。

「直向きなる虎……イン・ナオコよ……おぬしは真っ直ぐで、熱く強い女子(おなご)じゃ……だが時には、その強さが相手を苦しめる事もある」

「………………………………回りくどいぞッ! 何が言いたいッ!!」

 モウ・コダイの一言一句に焦燥の色を顔に浮かべるナオコが問い返すと、モウ・コダイは厳つい真顔で問い質す。

「おぬし、自分の想いばかり押し付けてはいなかったか……相手の声を本当に聞いていたのか……思い返してみよ」

 このモウ・コダイの言葉を聞いて、イン・ナオコは動揺した。

「な……! ま、待て! それではまるで、私が傲慢な男の様じゃないかっ!」

 自分自身が一番嫌っている男の様になってしまっていると説かれたナオコは激しく動揺してしまう。が、そんなナオコにモウ・コダイが追い討ちをかける。

「いい加減、素直になるのじゃ、己を認めよ……!」

 すると説き明かしで追い詰められたイン・ナオコはモウ・コダイに激しく反論を返した。

「……ち、違~う! 世の男共に覚悟が足りないんだ! 戦界の世に溢れる、軟弱な男共が温いんだぁッ!!」

「……ぬ、ぬぅッ!? ……そう来たか!」

 モウ・コダイから素直になり、己の落ち度を認めるようにと問われるナオコ。しかし彼女は逆に軟弱な男達に落ち度があると言い出し、これにはモウ・コダイも一驚する。

 もはや完全に二人の決闘の場と化したモンゴル漢道場の中で、決闘に省かれた面々は目を丸くしてナオコとモウ・コダイの決闘を見据える。

 その二人の決闘を同じく傍観しているユキジと佐助はというと。

「お、おおおぉぉおお!! お館様が、久々に熱く……熱ゥく燃え滾っておりますぞおおぉぉおおお!!」

「っと、いうか……完全に二人とも熱くなって、周りが見えなくなっちゃってるね……」

 久々に師の熱き決闘の様子を拝見したユキジは燃え滾り出し、それに反して猿飛佐助は冷静に二人とも熱気で周囲が見えなくなっていると半ば呆れてしまう。

「は、ははは……流石はモウ・コダイ、と言ったところかな? すっかり相手と意気投合しちゃってるよ……」

「このように互いの意志を投合させる術が、本当に実在しても宜しいのでしょうか……?」

 二人の決闘を眼前に、順一は苦笑を浮かべる一方でカァチェンはこの様な意気投合の方法があるのかと疑問視してしまう。

 

 一方で、イン・ナオコとモウ・コダイの決闘は更に激しさを増していた。

「よいわ! ならばこの漢道場をワシより奪い、おぬしが男を鍛えてみせよッ!!」

「望む所だぁッ! この道場は、私が使うッ!!」

 既に意地の張り様にまで進展してしまった闘いに、モウ・コダイとイン・ナオコは引っ込みがつかなくなっていた。

 そんな状況下でもモウ・コダイはイン・ナオコから感じられる熱気と闘志に心より感服していた。

「ムッハッハッハッハッハァー! 熱い! 熱いわ! 来るがよい! イン、ナオコォーーー!!」

「人の名前を、気安く呼ぶなッ! モウッ! コダイィィーー!!」

「まだまだよ! イン・ナオコぉおおおーーー!!」

 両者の火花が更に激しさを増して、ぶつかり合う。その時だった。

 なんと両者が振り回していた軍配斧と巨剣が激突し合う最中、その双方の得物が両者の手から衝撃の余り離れてしまった。

 そしてそれぞれの得物は弾き合い、なんと言う事にそれぞれがシバ・カァチェンと巴マミの方へと飛んでいってしまう。

「! (いけない! このままじゃ二人とも……!)」

 それを目撃したミラーガールは、軍配斧にカァチェンが、巨剣に巴マミが飛来する光景に愕然とする。

 このままでは二人とも危ない、そう感じたミラーガールは素早く反応し、動いた。

 まずミラーガールは手早くミラージュ・トリックで分身を作り出し、カァチェンの方に分身を進ませて、本体である自分はマミの方へと向かった。そして自分の倍以上はある軍配斧を彼女はミラー・シールドで何とか受け止め、マミの方へ飛来した巨剣は白刃取りの要領で受け止めて、カァチェンとマミを死守した。

「うぐっ……!」

 しかし自分の倍以上はある軍配斧と巨剣を受け止めた衝撃に耐え切れず、ミラーガールは後方へと転倒してしまう。

「ミラーガール……!」「アッコさん、大丈夫ですか?」

 だがカァチェンとマミはミラーガールの機転により、どうにか大事には至らず、二人とも転倒したミラーガールに駆け寄った。

 そしてミラーガールが何とか受け止めた軍配斧と巨剣は床に突き刺さり、それを直視したイン・ナオコは愕然とした。

「ミラーガール……ッ!」

 此処でようやく冷静になったナオコは、自分とモウ・コダイの熱気で周りが無意味に傷付いている事を悟る。

 そしてモウ・コダイの方は、自分達の戦闘の巻き添えになった者たちの消耗を見込んで言い放った。

「此処まで!! 天晴れぞ、ミラーガール! よくぞワシらが放ってしまった得物から仲間を守った……」

 モウ・コダイは仲間を死守したミラーガールに称賛の言葉を掛ける。

 その一方で、ようやく冷静さを取り戻したナオコは自分の熱血漢振りに気付いて己に言い聞かせていた。

「い、いけない……冷静になれ、ナオコ。モンゴルの熱血馬鹿共と一緒になってはいけない……!」

 ナオコは自らも敵視するモンゴル兵の様に熱血漢に陥ってはいけないと熱心に言い聞かせる。

 しかし其処に、暁美ほむらがナオコに向かって強く唱えた。

「あなた! ミラーガールが体を張ってくれなかったら、カァチェンもマミも危なかったわよ! いい加減、冷静になって周りを見なさいっ」

 この暁美ほむらの言葉にナオコは衝撃を受ける一方、同じく周りが見えなくなってしまってたモウ・コダイは素直に謝罪する。

「うむ、この少女の言うとおりじゃ。本当に済まなかった、諸君……ミラーガールも、二人の武人も無事で何よりじゃ」

 モウ・コダイは皆に謝罪し、ミラーガールとカァチェンとマミの無事に心より安堵した。

 そして次の瞬間、モウ・コダイは言い放った。

「この勝負、引き分けじゃな!」

 しかし、この宣言にイン・ナオコが待ったを掛けた。

「ま、待てモウ・コダイ! 引き分けだと……私はまだ、貴様に負けた憶えはない!」

「あなたねぇ、いい加減にしないさいよ! 年上だから黙っていたけど、まだ周りを巻き込む訳……?」

「ま、まあまあ、ほむらちゃん……」

 未だ闘志を滾らせるイン・ナオコの言動に暁美ほむらが反論すると、そんなほむらをミラーガールが宥める。

 そんな闘志を滾らせる直向なナオコの瞳と強きな言動を前に、モウ・コダイは高笑いした。

「がぁっはっはっはっは! こんな所に、もう一匹の虎がおったわ!」

 自分に負けず劣らない闘志と熱気を抱くイン・ナオコを視認して、モウ・コダイは嬉々として笑った。

「何を笑っているんだ、モウ・コダイ! 貴様との勝負は、まだついていない……!」

 嬉々として笑うモウ・コダイを前にして、今さっきの勝負に納得していないナオコは巨剣を担いでモウ・コダイに駆け寄ろうとする。

 すると其処に聖龍隊のキリトがナオコに物申した。

「あんた、今の今まで見てきたけど……このモウ・コダイのおっさんが言っている様に、周りの声を聞いていないんじゃないのか?」

「な、何を言っているんだ!? 私は常に、虐げられた弱き乙女の声を聴いてきた……! 乙女の声に耳を傾けていた……」

 キリトの台詞に反論するナオコに、ほむらも続けて物申した。

「つまり女性だけの声……意思だけにしか、聴き入れてなかったのね。男の声や意思は尊重せず……」

 ほむらに指摘され、ナオコは動揺しながら反論する。

「な、何を言っているんだ……乙女を傷付けるだけの男どもの言葉など、聞く必要など無いだろ? 私はただ、乙女が幸せになれる世を創るために……」

 と、そこにミラーガールが手厳しくナオコを指摘した。

「するとナオコさん、あなたは傲慢で身勝手な男が女性の声に耳を傾けない様に……逆に男たちの声を無視していたって事ね」

「み、ミラーガール……! ッ……つまり私は、知らず知らずの内に自分が嫌っている男の様に変わり果ててしまっていたという事なのか……そんな……!」

 ミラーガール達から指摘を受けたイン・ナオコは、自分が知らない内に己が最も嫌っている男の様に変わってしまっていた事実に気付かされた。

 己の不甲斐なさ、未熟さだけに非ず、相反する性別の声に耳を傾けていなかった己の傲慢さにも気付かされたイン・ナオコは、己自身に愛想が突いて途方に暮れてしまう。

 そんな己の身勝手さを痛感したイン・ナオコに、彼女と対決したモウ・コダイが優しく言葉を掛ける。

「イン・ナオコよ。おぬしと闘ってみて解ったが、そなたは本当に直向で、熱い心を持つ女子(おなご)じゃ。後は周りの者を見渡せる器量が備われば、言うこと無しなのじゃ……」

「周りを見渡せる、器量……」

 モウ・コダイの掛け声にナオコが顔を上げると、モウ・コダイは続けて彼女に説いた。

「そうじゃ。確かにおぬしの言うとおり、世の軟弱な男たちにも非はある。しかし……おぬしはもう少し素直で在るべきじゃとワシは思う。己に嘘偽りなく、素直な自分に成れれば……同じ女子(おなご)だけでなく、世の男たちもお主の意見に耳を貸すかもしれん。いつの世も、自分の意見を相手に押し付ける言論は長くは持たないものじゃ」

「私は、世の身勝手な男の様に自分の意見を相手に押し付けてばかりいたんだな……」

「しかし、おぬしが男にも心を開くようになれば、今の自分より変われるとワシは思うぞ」

「変われるのか、私は……?」

 モウ・コダイの説き掛けに耳を傾けるナオコは、自分を偽らず素直に心を男にも開ければ変われるという説き掛けに疑問を持つ。

 そんなナオコにミラーガールが話し掛けた。

「ナオコさん、あなたの許婚……本当は、あなたに追ってきてほしかったんじゃないの?」

「え! 私に……?」

「ええ、戦ばかりに気を取られ過ぎていた貴女の気を引こうと……それで逃げたフリをしたんじゃないかしら? ……死んでしまった今となっては解らないけど」

「つまり私が治めている地から離れてまでも、私の気を引こうとしたのか、アイツは……!? し、しかし、そんな女々しいこと、私には到底……」

「そこよ! あなたが漢族の女傑として戦で腕を振るってばかりで、素直に許婚を迎えに行かなかったのが発端じゃなかったのかしら?」

「!!」

「モウ・コダイの言うとおり、もう少し自分を偽らず素直になっていたら……許婚の男性との結果は、少しは変わっていたんじゃないかしら」

「私が素直になっていれば……アイツを少しでも迎えに行っていれば……アイツは死なずに、アイツとの祝言も挙げられたと言うのか……! そんな……!」

 ミラーガールに多くを指摘されて、ナオコは言葉を失った。

 男女問わず多くの者の言葉や意思に耳を傾けていれば、少しでも己の心を男にも開けていれば、己を嘘偽りなく素直に曝していれば、許婚との顛末も少しは変わっていたのかと気付かされたイン・ナオコは深く落胆した。

 そんな失意の底に沈むナオコに、声をかける青年が。

「な、ナオコ殿……」「……ユキジ……」

 声をかけてきたシン・ユキジに顔を振り向かせるイン・ナオコの瞳は、潤んでいた。

 そんな涙目のナオコに、ユキジは慣れない素振りで言葉を掛ける。

「ナオコ殿、某は恋路などには全く関心がなく、恋心や乙女心についても無知でござる! なので上手く話せないが……そ、そなたが元気を失くされては、その…………そ、某は本気でそなたと戦う事ができぬではないか!」

「え……?」

 シン・ユキジの台詞に、ナオコ本人もユキジの台詞を聞いた周囲の者たちも唖然とした。

 そんな周りの空気を全く気にせず、ユキジはナオコに言い放つ。

「ど、どちらにしろ! これから修練を積み重ねて己を変えれば良いだけの事! バーンズ殿は申されていた、人とは変われる生き物、と……ならば、ナオコ殿も己を変えるべく鍛錬を積めば良いだけの事! このユキジ、少なからずもお手伝い致します!」

 ユキジの言動に半ば呆れてしまうミラーガールたちに猿飛佐助に、呆れて物も言えなくなってしまうモウ・コダイ。

 すると、このユキジの言動を聞いて、ナオコの中で何かが吹っ切れた。

「……プッ、ふはははっ。ユキジ、変われるたって修練や鍛錬で変われるのとは訳が違うぞ。はは……」

 なんとナオコがユキジ相手に思わず笑ってしまったのだ。

「な、何を申されるかナオコ殿! 何事も、試してみないと解らぬではないか!」

 そんなナオコの笑顔に、ユキジは焦燥しながらも言い返した。

 二人のそんな情景を目の当たりにして、周囲の空気が一変したのと同じくモウ・コダイが語り出す。

「そうじゃ、イン・ナオコよ。どの様な事情があれど、女子(おなご)が笑顔を失くしてしまえば、それこそ本末転倒じゃ。素直に、己自身の心を開くには……嘘偽りのない笑顔を周りに振り撒くのも一興じゃ」

「そ、そういえば……世の男どもを端正し、同時に乙女達を救う世直しをしてからというもの、本気で笑んだ事など無かったな」

 モウ・コダイから指摘され、ナオコ本人も自分が最近心の底から笑んだ事が無かった事実を受け入れる。

 すると笑んだ事で表情が緩んだナオコに、佐助が言った。

「ナオコのお嬢ちゃん、世の乙女を幸せにする前に、自分が幸せに成んなきゃ意味ないんじゃ無いのかい? 笑う事ができないなんて、それじゃ(けだもの)と同じだよ。人間ってのは、笑う事が出来る唯一無二の高等な生き物なんだから」

「う、うるさい! お前みたいなムッツリスケベそうな忍になんか言われたくない!」

「あらら、手厳しいこと言っちゃってくれるじゃないの」

 笑顔を見せられないのは獣と同じだと説く佐助に対して、強く突っぱねるナオコの言葉に佐助本人は心の余裕を見せる。

 

 と、思わず笑顔を見せたイン・ナオコの笑みに周りの空気が絆された中、モウ・コダイに変化が生じた。

 

 

 

[病、完治せず]

 

「むっ……うぐっ……」

 突然モウ・コダイが胸を押さえつけてその場にしゃがみ込んだ。

「お、お館様!」「ッ!」

 突然しゃがみ込むモウ・コダイを前にして、シン・ユキジと猿飛佐助がモウ・コダイに駆け寄った。

 二人に続いてミラーガールやイン・ナオコも突然しゃがみ込むモウ・コダイに駆け寄った。

 そして佐助の介抱の元、ユキジがモウ・コダイに話し掛ける。

「お、お館様……」

 不安そうに話し掛けるユキジに、モウ・コダイは今までとは打って変わり弱々しい声で話し返した。

「ゆ、ユキジ、それに他の皆も……心配させて済まぬ」

 すると、このモウ・コダイの様子を看た佐助が険しい面持ちで言った。

「……やっぱり、完全に治ってはいなかったようだね」

「! どういう事だ、佐助! お館様の病は、彦麻呂殿が授けてくれた秘薬で治ったのではなかったのか!?」

 モウ・コダイの病は日本が皇族、時乃宮彦麻呂から託された薬で完治していたのではないかと問うユキジに、佐助は冷然な面差しで答えた。

「旦那、お館様の病は既に彦麻呂の爺さんから渡された薬じゃ、完治できなくなっているほど進行していたんだよ。もうお館様の身体は、闘病するだけで精一杯の状態だったんだ」

「そ、そんな、まさか……!」

 佐助からモウ・コダイの病症が既に完治できなくなっているほど進行していた事実を聞かされ、ユキジは悲観する。

 そんな悲観するユキジに、モウ・コダイは語った。

「ユキジよ、そんな悲観するでない……ワシはもう老兵、歳には勝てぬという事じゃ……」

「な、何を申されますか、お館様! 病など、気で吹き飛ばす勢いで……」

「フッ、いつものワシなら、そう言っても可笑しくなかったのう……じゃが、今回ばかりはワシでもお手上げじゃわい」

「お、お館様……ッ!!」

 既に病で気迫を失ったモウ・コダイを目の当たりにして、ユキジの悲愴は更に募る。

 そんなモウ・コダイを見て、イン・ナオコが不安そうな面持ちで問い掛けた。

「も、モウ・コダイ……お前は、そんな重病な状態で今まで私と闘っていたのか……?」

 すると、このイン・ナオコの質問に佐助が代弁した。

「ナオコの嬢ちゃん、俺様はお館様が病身の時でも絶えず周辺国や、各地を治める武将の情報をお館様に伝えていた。無論、その中にはあんたの情報もあった。お館様は、過去に自分達の戦が長引いたのも原因の一つでるあんたの祝言の破局を知って、どうにかその現実を受け入れられず男に対して身勝手になっていたあんたの目を覚ます為に、こうして無理して道場に立っていたんだよ」

「も、モウ・コダイ……そこまでして、私を……傲慢に成りつつある私を止める為に、道場に私を招き入れたのか……!」

 佐助の話を聞いて驚くナオコに、モウ・コダイは介抱されながらも語り明かした。

「そ、そなたの様に……過去に挫け、現実を彷徨っている若者を正しく導くのも……先を行くワシら年寄りの役目だと思っておる……! イン・ナオコよ、現実から目を背けるな。己を挫いた現実から逃げず、直視する強さを持つ事こそ、変われる第一歩じゃ」

「現実から……! ……確かに、私は世の乙女達の為と唱えながらも……結局は許婚に逃げられた過去から、孤独な現実(いま)から逃げていただけかもしれない……」

 モウ・コダイの説き掛けを聞いて、ナオコは自身が過去や現実から目を背けていた事実を容認する。

 納得するイン・ナオコを見納めて、モウ・コダイは次に先ほどから心配そうに見詰めてくるシン・ユキジに話し掛けた。

「ユキジよ……おぬしもじゃ。無理にワシの様になる必要は無い。……自分に帰るのじゃ」

「か、かえる……どういう事でございますか、お館様!?」

「水底の焔から水面に帰るが如く、己を帰すのじゃ……おぬしはおぬし、自分自身が信じる道を貫き通し、この国を……モンゴルの民を導くのじゃ」

「し、しかし! 某は、まだお館様のように上手く国政を担う力量は備わっておりませぬ……」

「それがいかんと言っているのじゃ! 無理にワシの様にならなくてもよい。不器用でもよいから、多くの者を導く小さな焔になるんじゃ! おぬしには、それができる……!」

「し、しかし……まだまだ未熟な拙者に、上手く国を……民を導く事ができるでしょうか……」

 不安がるユキジ、そんな彼にモウ・コダイは言った。

「フッ、大丈夫じゃユキジ。おぬしには、頼れる仲間がおるでないか」

「た、頼れる仲間……!」

「そうじゃ……! 佐助にモンゴル軍の兵、それに今では聖龍隊の猛者たちもおるではないか。仲間達と共に、現実(いま)を駆け抜け、民を導くのじゃ、ユキジ……」

「お、お館様……!」

 ユキジがモウ・コダイの一言一句に感銘を受けている所に、佐助たちが言った。

「その通りだぜ大将。俺様たちモンゴルの(つわもの)たちが付いているから安心しなって!」

「もう・コダイの言うとおり……国や民を導くなんて大きな事、一人では到底できっこないわ。みんなで協力し合ってこそ、いい国造りができると私も思う!」

「さ、佐助……ミラーガール殿……!」

 佐助やミラーガールの言葉に、ユキジは感激するばかり。

 と、その時。モウ・コダイが急に苦しみ出した。

「うおっ……」「お、お館様!」

 突然苦しみ出すモウ・コダイを見て、シン・ユキジが呼び掛ける。

「いけません、どうやら症状が急変したと見えます。急いで寝床に運ばないと……!」

「いけねえいけねえ! 急いでお館様を運ばないと……」

「お、俺たちも手伝おう! あんた一人じゃ運び切れないだろう?」

 モウ・コダイの症状を見て急ぎ寝床に運ばなければと判断するバーナビーの言葉通り、佐助が急いでモウ・コダイを寝床まで運ぼうとすると、ワイルドタイガーが自分達も一緒に大柄なモウ・コダイを寝床まで運び込むと言い出す。

 そして佐助とバーナビーとワイルドタイガーは、三人がかりでモウ・コダイを寝床まで運び込んだ。

 

 

 

[若虎たちの決意]

 

 猿飛佐助とバーナビーとワイルドタイガーの三人で、症状が急変したモウ・コダイを彼の寝床まで運び込んだ後、熱気が静まり返ったモンゴル漢道場ではイン・ナオコ達が語り合っていた。

「モウ・コダイ……まさか彼が、現実に直面できなかった私を止めるべく、無理を押して道場で私と立ち会ったとは……」

 イン・ナオコは、モウ・コダイが現実を直視できなかった自分を見詰め直させる為に、無理して道場で仕合った経緯を知って落ち込んだ。

 そしてナオコ同様、師であるモウ・コダイの病症が既に薬ではどうしようも無くなっている事実を知って弟子のシン・ユキジは落胆していた。

「おお……ッ、お館様……! まさか、まさか無理を押して某たちを導こうとしていたとは……このユキジ、不覚にも気付きませんでした……!」

 そんな二人が落ち込んでいる様子を、ミラーガール達は見守る事しかできなかった。

 すると其処に、モウ・コダイを寝床まで運び入れた佐助達が帰ってきた。

「……随分、落ち込んでいる様だね、二人とも」

「さ、佐助! お館様は……お館様の具合は!?」

 戻ってきた佐助に、ユキジが問い質すと佐助は真顔で答えた。

「今のところは落ち着いているよ、お二人と違ってね。まっ、無理に暴れ回ったから、しばらくは安静第一って所かな」

 この佐助の返答を聞いて、ナオコがしょげ返る。

「……私が、私が傲慢になっていたから……自分の過去や現実(いま)を直視できず、素直になれずにいたから、それで……」

 自分自身を責めるナオコ。するとナオコに続いて、ユキジも自分を責め始める。

「ぐっ、ぬおおぉぉおおお……! 某が……某が未熟な故に、お館様は……!」

 己の未熟さゆえにモウ・コダイの症状が悪化したのかと思い込むユキジ。

 と、そんな二人に佐助が言った。

「まったく、二人とも……そんなに自分を責めたって何にも始まらないよ!? さっきお館様が言ってたでしょ? ナオコの嬢ちゃんは有りの侭の現実を受け入れて、ユキジの旦那は有りの侭の自分で軍を従えていけってよ。二人とも、有りの侭の自分を大切にすれば、それで良いんだよ」

「有りの侭……」「有りの侭、でござるか……」

 佐助の話を聞いても、釈然としない二人は悲愴な面持ちを浮かべるばかり。

 そんな二人に、ミラーガールも語り掛けた。

「まあ、要するに二人とも有りの侭の自分でいれば、それでいいって事よ。その分、ナオコさんは変えられない現実を受け入れて、ユキジは自分を変える事無く有りの侭でこれからも軍を引っ張っていけば、いいって事よ」

「か、変わる変わらないなど……つまり、どっちを申しているのでござるか、加賀美殿!?」

 変えられないや変わらないなど、相反する言葉を並べるミラーガールの語りにシン・ユキジが物申すと、ミラーガールは苦笑しながら答えた。

「よ、要するに……ナオコさんは少し変わった方が良くて、ユキジは無理に自分を変える必要は無いって事よ」

 焦りながら答えるミラーガールは、更に語った。

「ナオコさんは今までどおり直向きながらも現実から目を背けずに……ユキジは無理に自分を変える事無く、今までどおりの自分でみんなを引っ張っていけばいいって事よ」

「私は、現実から目を背けず……」

「某は、己を変える事無く、軍を引っ張る……」

 ミラーガールの話を聞いて、ナオコとユキジは茫然とする。

 すると其処に再び佐助が語り出して、二人に言う。

「そうそうっ、難しい事じゃないよ多分。二人とも、お館様から言われた事を守って……これからも皆を先導する存在であれば良いだけなんだからっ」

「多分って……いい加減だな、お前は」

 佐助の言動の軽さに、ナオコは呆れてしまう。

 

 しかし決意を新たにしたイン・ナオコとシン・ユキジは、それぞれミラーガール達に宣言した。

「ミラーガール……私はこれから、もっと視野を広げて物事を見てみる! 女が幸せになるには、まずは将来の伴侶となる男も幸せでなければならないというのを……私は少しながら理解した! それに、私はもう逃げない……許婚から逃げられ、そして失ってしまった過去(かつて)の現実から目を背けない!」

 女だけでなく、男も少しは幸せになるべきだと考えを改めたナオコは、許婚を失ってしまった過去と現実から目を背けない覚悟を皆の前で唱えた。

「そ、某も! 無理にお館様を目指さず、己なりのやり方で国を……モンゴルの民草を導いて、現実(いま)を熱く……熱ぅく駆け抜けてみせましょうぞ!!」

「やれやれ、旦那の無鉄砲さも、これで少しはナリを潜めてくれりゃあ、文句は無いんだけどね」

 ユキジの宣言を聞いて、佐助は彼の焦燥していた一面が消えてくれる事を願うばかりだった。

 そんな二人の宣言を聴いた皆が微笑むと、ミラーガールが宣言した二人に微笑みながら話した。

「ふふ、そうね。二人とも、まだまだこれからだもの。自分の良い所は変えず、悪い所は少しばかり変えていけば、いつか必ず自分の目標に辿り着けるはずよ」

 微笑むミラーガールの言葉を聴いて、イン・ナオコはミラーガールに歩み寄り、彼女と他の聖龍隊の前で徐に訊ねてみた。

「ミラーガール、それに他の戦乙女たちも……一つだけ訊いていいか? みんなは、今自分を好意に思ってくれる異性と一緒にいられて、幸せか……?」

 このナオコの質問に、ミラーガール達はそれぞれ答え返した。

「そうね……時には男なりの身勝手さに振り回されて困っちゃった事も多々あるわ。けれど、やっぱり修司は心の底では私の事を想ってくれてたのは確かだし、多少の事は目をつぶっていたのは事実ね……ちょっと目をつぶり過ぎちゃったって感じる事も多いけど」

「そ、そうか……あの鬼神の人心など、とうてい理解できないが、ミラーガールが言うのだから、やはり愛してくれていたのかな……?」

「好きな人と一緒にいられるというのは、とても素敵な事よ」

「ええ、お互いに信頼しているという安心感は捨てがたいわ」

「なるほど……アスナや黒雪姫は、あのようなだらしがない男でも関心があるんだな」

「だ、だらしがないって……!」「………………」

 ミラーガールに次に語り出すアスナやブラック・ロータスの言葉を聞いて納得するナオコの発言に、キリトやシルバー・クロウは少しながら悲愴に打ちひしがれる。

「私も恋には上手く発展できなかったけど……それでも、今思えば好きな異性がいるってだけでも幸せだった」

「そ、そうか……美樹さやか、お前も私同様、悲恋の道を辿ったのだな……その辛さ、共感できるぞ」

「私の場合は……なんと言ってもまどかが一番! 異性なんて居なくてもいい、まどかがいれば私はそれで満足!」

「なるほど! 暁美ほむらの様に、異性に囚われず同姓を愛するやり方も世の中にはあるんだったな!」

「ほ、ほむらちゃん……」

 美樹さやかや暁美ほむらの話を聞いて、各々の恋愛のやり方に目を向けるナオコ。だが変態ほむらの言動にまどか本人は大層困惑してしまう。

「昔はそれぞれの立場とかで色々有りましたけど……今はどうにか先輩とも上手く交際できています。付き合っていく以上、多少のすれ違いは起きてしまいますが、それを乗り越えて初めて強くなれる縁もあると私は思います」

「そうか……私も、栗山未来……お前の様に繋がりを強くできる相手が生存していれば、何かが変わったのかもしれないな」

 女性たちに問うイン・ナオコ。だが、そこに今度は男達が訊かれてもいないのに勝手に語り出した。

「女だけじゃないぞ! 男だって、好いた女と一緒になれたのは最ッ高の幸せだ! オレは妻と死別しちまったが、それでも結婚した事を後悔した日はない!!」

 強気に将来の伴侶と添い遂げられた経緯を語るワイルドタイガーに続いて、村田順一も熱く語り出した。

「自分と想いを共感できる異性との出逢いも、また絆の形だ! 僕はマイちゃんに恋して、今も互いに想い合う絆の形に満足している!」

「そうか、男の方も……女と同じく、想いや様々な感情を共有したいと願い出ているのだな…………何だか、みんなが羨ましいよ」

 ワイルドタイガーや村田順一の異性への想いを聴いて、ナオコは改めて愛し合う異性がいる皆々を羨ましく思った。

 

 するとイン・ナオコは前触れもなくミラーガールに声を掛けた。

「ミラーガール!」「え! な、なに?」

 ナオコの一声に一驚するミラーガール。するとナオコはミラーガールに話し出した。

「ミラーガール、あの黒武士が申していた「小田原修司は犠牲になった」という言葉、私にも深い意味は理解できない。けれど、そなたの想い人、鬼神小田原修司がまだ死んでいるとは決まった訳ではないだろ? 小田原修司が今どうなっているのか……そして、黒武士が小田原修司に何をしたか知る為にも、私は今後、聖龍隊の力に加わろう!」

「な、ナオコさん……!」

 ナオコの聖龍隊加勢を聞いて感激するミラーガール達に、ナオコは話し続けた。

「ふっ、驚く事はないだろ? この世の全ての乙女を幸せに導くのが、私が創りたい世だというのは変わらない。あの黒武士を放っておけば、いづれ他の多くの乙女も奴の凶刃に泣かされる事だろう。世の乙女達の幸せの為にも……私の剣で黒武士を成敗してくれるッ!」

 ナオコは巨剣を眼前に構えて言い放った。

 するとナオコのこの宣言を聞いて、ユキジも熱く熱く熱弁し出した。

「加賀美殿! 某も、相も変わらず、聖龍隊と同盟を組む所存……! 共に、この世全ての色……個性を奪おうなどという黒武士の凶行を止めましょうぞ!!」

「おっ、旦那も軍の将として少しは気を使える様になったかな?」

 ユキジの熱弁を聞いて、佐助は愛想笑いを浮かべつつもユキジの成長に淡い感情を抱いた。

 

 こうして二頭の、いや二人の若虎の新たなる決意を元に、彼らの目指すべき未来(さき)が照らされるのだった。

 

 

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