暴龍の花歌 作:マンコションベン
落ち着け、何故俺の胸に乳が?そんな真っ当な気持ちはむにゅりと言う感覚を前に驚くほどあっさりと消え去った。
軽く添えただけの手が自動で沈み込むほどの柔らかさを持っているくせして、ちょっと力を入れれば確かな弾力を持って押し返してくる。
サイズも『Jカップは貧乳』と言う某エロゲの名台詞に照らしてみればド貧乳の部類であるが、手にはすっぽり収まりきらないほどには大きい。
もちもちとしたその感触はまるで揉まれる為に作り出されたかのような逸品だった。
「ひへへ」その素晴らしい感覚に、思わず声が出た。
やたらと甘ったるい、エロゲの妹キャラみたいなボイスが。ちょっと気になったが今はどうでもいい、どれどれもう一揉み。
そうしようとしたぐうぅぅぅぎゅうぉおぐぎゅるると凄まじい唸り声が聞こえた。は?なにこれ。獣の唸り声か?続いて第2陣のぐぎゅるるるという音が鳴り響く。
ああ、これ、俺の腹の音か。
そう思って腹に意識を向けた瞬間自分が空腹なのを理解した。その直後、物凄い空腹が襲いかかってきた。
「うっ……うお」
腹に活力が全て吸われる様な感覚があり手足に力が入らない。腹の虫は早く何かを詰め込めと警鐘を鳴らし、思考が食欲に塗りつぶされる。これほど腹が減った体験など無い。子供のころ風邪で飯が喰えずに空腹と吐き気のダブルコンボに苦しんでいた時以来……いや、もっと酷いかも知れない。
これが走馬灯だろうとタイムスリップだろうとどうでもいい、早急に何か喰わないと……死ぬ。
唸り声をあげる腹を押さえながらふらふらと下の階へ降りていく。そのまま冷蔵庫の前まで行き欲望のままに冷蔵庫を開けた。
「メシ!」
そこにあった今すぐ喰えそうな食材は食パンだけだった。後は調理込みで食えるタイプの食材しか……いや、待てこの生の豚肉も旨そうに見えて……いや、待て待て、こんなの直で喰ったらO-157だかで食中毒に……でもO-157とやらも旨そう……待て待て、空腹のあまり人間離れした思考になってる!早く喰え何か!俺は冷凍庫から引きずり出したカチカチの冷凍パンにかじりついた。
……うめえ。え、何これ。これは何の変哲もない、量産型の食パン。そうだ。そのはずだ。小麦の旨味、甘みがダイレクトに脳を揺らす。いや、単なるパンってこんなに旨かったっけ。いわば量産型というのは優秀だから量産されるのだと言う話を聞いたが空腹というスパイスをかけまくればここまで美味いとは。旨い!旨い!これなら幾らでも喰える!俺は食欲の赴くままにパンへかじりついた。
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14枚喰ったがぜんっぜん足りなかった。結構な量を喰ったのにそこら辺の人間にも齧りつきそうなほど腹が減っていた。
「メ……メシ……」
さらなる餌を求めて引き出しを開けるとそこにあったのは蒙古タンメン◯本のカップラーメンだった。
ただでさえクソコスパのコンビニと言う糞業種の中で糞の一等星として燦々と輝く、某コンビニの商品。値上げ!上げ底!美味しくなって新登場!の3コンボでゴミカスゲロウンチチンカスジャワティー宮沢鬼龍と呼ばれるようになったセ〇ン・イレブン。
しかし例外的にこれだけはうまくて安い、最強コスパの商品だ。
嬉々としてお湯を沸かすがその間にも空腹はひどくなってくる。
我慢に我慢を重ね何とかお湯を入れたが口に何か入れてないとイライラが止まらない。
ああ、腹減った。お湯入れて3分も待てねえよ。1秒1秒が果てしなく長く感じる。嘘だろ、こんだけ我慢してまだ1分しか経って無いとか!2分絶食しろと?ふざけんな死ぬ!
そ、そうだ米だ!炊飯器に米があるのを忘れてた!
茶碗を持って炊飯器に突撃し思いっきりよそってマヨネーズをぶっかけてから貪り始める。
!!!嘘だろ、白米にマヨネーズかけただけでこんなに美味えとは!しかもマヨネーズの脂でギトギトの、体に悪そうな米の塊が喉の奥を通り過ぎる際には得も知れぬ快感がある。マヨネーズのジャンキーな甘みと米の甘みが合わさってアホみたいに美味い。
あっという間に茶碗が空になってしまったので茶碗におかわりをよそって……いや、直接釜から食ったほうが早いか。俺は釜を引っ張り出し直接マヨネーズをかけて喰い始めた。4合あった米が1合になったころに、既に3分たったと気付き中本に取りかかった
!ヤバッ!美味すぎる!味気のない食パンでさえあんなに美味く感じたのだから普通に美味いものを喰ったらどうなるか、考えてもいなかったが、狂いそうな程美味い。
中本の、辛いがそれ以上に旨味の半端ないスープに、目に見えてチープだが妙に癖になる太麺が絡みついてんのが最高だ!!その上これだ。やったら凝った野菜類!カップラーメン特有の不味いかやくとは一線を画す甘くてボリュームのあるかやく類が本当に美味い、それと麺を同時に啜り喰うのは辞められない止まらない。あっという間に麺がなくなったが良いことを思いついたので中の汁を米の釜の中へ突っ込んだ。更に冷蔵庫に合ったチーズと卵を投入しかき混ぜる
簡易リゾットと言えば良いだろうか。それにしては絵面が汚いが。それにスプーンを当て一口目をいただいた。旨っ!、日本のカップラーメンの中で最上位の味を持つ中本で味付けされたリゾットなのだ、不味いはずがない。俺は思う存分それを貪った。
「ごちそうさまでした」
これだけ食ってもまだまだ腹が減ってる。気を抜くと腹が鳴りそうだ。どうなってんだ。
ただ、それでも人心地ついた事に変わりは無い。
この後どうするかを考えるために俺は洗面所へ向かった。鏡を見るために。
鏡に写っていたのはくりくりとした人好きのする目。
鼻の下の変な溝すら無い二次元じみた造形、恐ろしくつややかな黒髪、かわいいという言葉でぶん殴ってくるような完璧な容姿、絶世の美少女がそこにいた。……いや、分かってたんすよ。どうせこんなこったろうなって、声とか何やらで察してました。まあうん、◯ーメルンとかいうホモなんだかノンケなんだかよくわからん奴らが集まるサイトで死ぬほど見た展開だ。自分がそうなるとは思ってもいなかったが。
その時インターホンがなった。
やべえよ、親が帰って来ちゃった。親への説明どうするんだ。