機動戦士ガンダムGQuuuuuuV《ジークヴァイス》 作:飯炊きめっしー
《サイド5外縁宙域 "アルセス・ノード" 近傍》
『目標地点に接近。距離12,000』
オペレーターの声が通信に割り込んだ。ゾルタンはそれを遮る。
「もう見えてる。アレだろ? しけた観測所と、張りぼての護衛網」
目前に展開するのは、球状の哨戒ステーションを中心に配置された複数の中継アンテナ。
そして、その周囲を警戒しているのは、数機のモビルスーツだった。
「ふん……こいつらが、対ニュータイプ部隊ってか?」
ゾルタンは笑った。
「なら教えてやろうじゃねぇか。ニュータイプの脅威ってやつをよ」
◇
スラスターを踏み込むと同時に、ジークヴァイスが爆発的に加速する。
一方の3機の軽キャノンは突如として現れたMSに動揺する様子も見せず、慣れた動きでマシンガンを掃射しながら左右に展開する。
「囲みに来るなよ。そっちは死角じゃねぇ」
右腕のビームサーベルを即座に展開し、ゾルタンは真っ直ぐ正面の機体へと突っ込んだ。
軽キャノンのパイロットも遅れてビームサーベルを構えるべく手を伸ばすが——瞬間。ジークヴァイスの斬撃が真っ二つに機体を両断する。
「おらァッ!」
右翼に展開していた軽キャノンが回り込み、死角となる筈の背後からビームキャノンを放つ。
しかしジークヴァイスは迫るビームを難なく急上昇で回避し、サマーソルトのような動きで更に背後に回り込む。
一方の軽キャノンもマシンガンを掃射しながら機体を縦旋回させるが、ジークヴァイスの動きに機体の追従が間に合わず、照準が外れてしまう。
「ちんたら動いてんじゃねぇよ!」
ジークヴァイスの背部スラスターが点火、強烈なブーストキック──直撃。
"く"の字に折れ曲がるように吹き飛ばされた機体は、岩石に叩きつけられ、爆散した。
「ラスト1機……残念だったな、時間稼ぎにもならねぇよ」
それまで必死に僚機を援護していた3機目の軽キャノンであったが、目の前で起きた惨劇に、踵を返すように反転。
即座に
「──自分だけ生き延びようってのは、ズルだろうが」
ビームライフルの光条が煙幕を貫き、逃げる軽キャノンの左脚を吹き飛ばす。
爆発によってあらぬ方向へと錐揉みする機体をなんとか立て直そうとするものの、再び放たれたビームの光条が正確にコクピットブロックを撃ち抜いた。
『3機撃墜を確認、増援は確認できません』
「……ふぅ。ちっとはやる気出る相手を寄越してくれよ」
歯応えのまるで無い戦闘に、ゾルタンは半ば失望感のこもった溜息を吐く。
しかしその時──ジークヴァイスのセンサーが、一瞬だけ“違和感”を拾った。
「なんだ……?」
◇
「中佐。未確認の熱源を探知、モビルスーツと思われます」
「敵の増援か?」
「いえ、これは……モニターに出します。最大望遠です」
「
映し出されるモノクロで不鮮明な熱源探知映像であったが、《赤い彗星》シャア・アズナブルが撃墜した01ガンダムの記録映像は、プロパガンダとして何度も飽きるほどテレビ放送されており、その特徴的なバイザーとV字アンテナを見紛うことはまずない。
しかしその一方でモナハンを始めとしたクルーの一部は、その胴体のシルエットがガンダムではなく、最新鋭機であるはずの"ゲルググ"に酷似していることに気がつき、眉を顰めた。
「識別コードなし。データベースには未登録の機体ですが……中佐、アレは」
「……こんなところで。とんだ
◇
『少尉、未確認機が接近中。警戒してください』
オペレーターがそれを伝えるよりも早く、ゾルタンは既に動き出していた。
光学照準の補正範囲外であることもお構いなしにビームライフルを放つ。
亜光速で進む粒子ビームの回避は不可能──だが、その機体の動きは、まるでビームが撃ち出されるタイミングを予知していたかのようだった。
1発、2発、3発──。
しかし、そのビームの光条が謎の機体に当たる事はなく、それどころかビームを躱しながらスラスターを吹かし、ジークヴァイス目掛けて徐々に距離を詰めてくる。
機体が近づくにつれ、ビームの輝きに照らされた機体の色と形が顕になる。
深い蒼色に染まった機体が纏うオーラは、さっきまでの
ゾルタンの口元が吊り上がり、ジークヴァイスの眼が赤く光る。
「いいねぇ……! やっと面白くなってきた」