Fate/Last waltz   作:高堂でにむ

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3-4

いのり、とは。

誰かに、何かに、「こうあってほしい」と願うこと。

 

のろい、とは。

誰かに、何かに、「こうあってほしい」と願うこと。

 

 

それは時に善い形で、時に悪い形で、世界に蔓延っている。

 

 

「ねえ、歌のランサーさん。」

「何かしら?」

 

 

話しかけておきながら躊躇している様子の春のランサーを、歌のランサーはただ黙って待っていた。

 

 

「どうして、ここへ来たの?」

「あら、本質的な問いね。」

 

 

若草の髪がふわりと風に揺れた。

穏やかな音色は、まるでここにあることを祝福するかのような優しさ。

黄昏の下に響くヴェーナの音色は、実に優美であった。

 

 

「私はなんでもいいのよ。呼ばれたから来たの。聖杯にかける願いというのはそこまで強くないわ。」

「……そっか。」

「貴女は?」

「私は…。春が続けばいいと、そう思うの。」

 

 

とある、人のために。

春のランサーは、歌のランサーを見た。

 

腕が二対ある彼女は、それらを器用に動かして、一対でお茶を飲み、一対で弦を奏でる。

一見異形にも思えるけれど、彼女自身の穏やかな柔らかさと同化して、この世では作り得ない美しさを醸し出していた。

 

春のランサーの視線に応じるように、歌のランサーもまた、彼女を見た。

 

 

「なら、貴女の願いが私の願いだわ。」

「え?」

「聖杯にかける願いが強いサーヴァントばかりじゃない。…私たちは、特にその部類みたい。」

 

 

祖国を救いたい、愛する人を助けたい。

そんな大層な願いじゃなくてもいい。

 

 

「貴女、戦うのは苦手な性質なんでしょう。私もそうよ。」

「う、バレちゃった?」

「ええ。似た者同士ね、私たち。」

 

 

戦えなくても…戦わなくても、いい。

 

願うだけでもいい。

求めるだけでもいい。

 

その願いが、私たちをここに呼んだ。

 

 

「他の人たちに怒られちゃうかもしれないわね。」

「うん…。でも、仕方ないよ。」

 

 

だって、私たちは戦いに向いてない。

争いに向いてない。

 

春を歌おう。

それが、私たちの役目だから。

 

 

「せめて、皆の願いが叶いますように。」

 

Episode ”pleasure”

――――fin.

 

 

春のランサー

145cm

淡い桃色の髪に青い瞳。低い位置で緩く二つに結んでいる。

春の訪れを感じる風のような爽やかな少女。

少女のしなやかな肢体を持ち、ふんわりとした古代ギリシア風のドレスを纏う。

 

歌のランサー

164cm

若緑色の髪に青い瞳。長い髪を揺らしている。

腕が二対ある。まるで彫刻のように美しく、体には何かの紋様が描かれている。

女性らしいふっくらとした体形をしており、インド風の白い衣をまとう。

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