「いやあ、暁の。アンタ案外イケる口だな?」
「はは、貴女もでしょう。」
酒を飲み交わしながら、花のアーチャーと暁のアーチャーは笑った。
互いのことを知るには、酒を飲み交わすのが一番、とは、花のアーチャーの談だった。
暁のアーチャーの杯に酒を注ぎながら、花のアーチャーは言う。
「しっかし、アンタも結構大変だな。」
「そうですか?そんなもんですよ、人生。花のアーチャー殿こそ波乱万丈でしょうに。」
「はっはっは、いいよぉ、気を遣わんで。」
スティアは、庭園というだけあって花が咲いていた。
花々を見つめながら、花のアーチャーはぽつりと呟いた。
「春とは、花を謳歌し、散っていく季節だが。え、アンタ。どう思う。」
「どう、とは?」
彼の問いに、花のアーチャーはにっと笑った。
それは挑発的だったが、どこか悪戯をたくらむ子供のような無邪気さを兼ね備えていた。
「アンタは暁。私は花。……簡単に散ってやれるかい?」
「ははは、ご冗談を。貴女、そうやすやすと死ぬ方じゃあありません。」
「なっははは!バレたか。」
覚悟を決めたら、槍が降ろうと動かない。
お互いにそうだった。
どれだけ思いを踏みにじられても、自分だけは、自分の願いを踏みにじれない。
そしてその願いってやつはいつも、他人を思ってしまうのだ。
「結局、人が好きなんですよ、貴女。」
「そりゃアンタもだろ。」
「ええ、そうですね。頼まれたら断れない。」
「そのくせ、他の人間に頼むのは苦手。」
「ははは、バレましたか。」
酒にひとひら、花弁が舞った。
「おおっ、いいね、縁起がいい。」
「暁に、貴女。花が咲いたらいいですね。」
「そりゃあいい!しかしここは黄昏だったか?」
オレンジと、紫と、藍。
その間にある空の色。
暁の淡さとは違う。
夜に向けた暗さだった。
「変えてやろうか、いっそのこと。」
「太陽を撃ち落として?」
「ははははは!アンタ、そういう冗談言うんだな。」
飲めや歌えや。
命の限り、走り続けて。
Episode ”wish”
――――fin.
花のアーチャー
178cm
黒髪に淡い水色の瞳。凛と纏めたハーフアップお団子。
ワインレッドのジャケットとスラックス。
インナーは黒いレース生地のものに黒いビスチェ。黒いピンヒール。
暁のアーチャー
179cm
白緑の髪に金色の瞳の青年。低い位置で団子にまとめ、簪を挿している。
しなやかでバネのある体つきをしている。細身ではあるが、決して軟弱ではない。
黒と白を基調とし、赤を刺し色とした中華風の服を身に纏う。