「怖いねぇ、アサシン?」
影のアサシンは、少年のように微笑んだ。
声や顔つきは青年のそれであるが、甘えたような口調や線の細い体躯は少年を思わせた。
しかしその瞳に宿る策謀は、老いた翁のようであった。
そのアンバランスさは不気味であり、どこか納得感すらあった。
「何がだ。」
「だって、おまえ。アサシンだって。怖い、怖いねぇ?」
「…何が言いたい、影のアサシン。」
「おまえ、こういうの苦手だろう。
自分で考えて行動する、なんてのは、苦手だろう。」
悪事を働く人間特有の醜悪さで、影のアサシンは続ける。
「おれはねぇ、得意だよ。おまえみたいなやつを、勝たせてあげられるよ。」
悪のアサシンは、ため息を吐いた。
この男は、地獄に落ちるべきだ。
あるいは、すでに落ちているのだろうか。
いずれにせよ、自分の一番嫌いなタイプの人間だった。
「ねえ、アサシン。おれの言うこと、聞いてくれるかい?」
しかし同時に、己は知っていた。
こういう戦場において、こういった類の人間がどのような働きをするのか…。
どれほど有能であるかを、悪のアサシンは嫌というほど知っていた。
逡巡した後、大きな大きなため息を吐く。
ここが戦場であり、こいつが自分のパートナーである限り。
生き残るために手段を選んでいる余裕は、無いのだった。
幸いにも心を殺すことには慣れている。
「……詳しく聞こうか。」
「ふふ、ふふふふ!おまえ、可哀想にねぇ。おれに従うの、嫌だろう。ああ、可哀想だ。」
悪のアサシンは、胸の内に巣食う嫌悪感を押し殺しながら耳を傾けた。
「いいかい、これは、おれとおまえの秘密だからね。」
この秘密は、おれたちのもの。
おれとおまえが、勝ち残るための。
可哀想にねぇ、悪のアサシン。
おれみたいな悪人の手なんて、一生借りたくなかったろうに。
「ふふ、ふふふふふ!!」
「…気持ちの悪い男だ。」
ああ、心底気持ちが悪い。
お前みたいなやつは地獄に落ちるべきだ。
「……本当に、お前が俺のパートナーでよかったよ。」
おかげで、悪人がもっと嫌いになった。
Episode ”fear”
――――fin.
悪のアサシン
198cm
白い髪に赤い瞳。分厚い体躯をしている。
背が高いというのもあるが、筋肉質な体であるためとても圧が強い。
上下黒のスーツスタイル。ネクタイはせず、胸元は緩く開けている。
影のアサシン
169cm
オレンジの髪に青い瞳。青年だが、少年のように線が細い。
貴族風のシャツにハーフパンツ、ブーツ、コートとお行儀のよい恰好。
帽子までかぶっている。