Fate/Last waltz   作:高堂でにむ

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4-1

ラウンジから戻ってきて、部屋で一人。

次の戦闘時間が始まるまでにはあと六時間ほどある。

 

ヴィンツェンツィオが図書館から持ってきてくれた本を読んで時間を潰す。

 

半分ほど読み進めた時。

ふと、コンコン、と部屋の扉が叩かれる。

 

どなただろうか。

 

 

「ギネヴィア、いるか?」

「おります。今開けますね。」

 

 

扉の前にいたのは花君様だった。

彼女は柔らかく、けれど闊達に笑う。

 

 

「今、時間いいか?」

「はい。」

「よし。」

 

 

よし、とは?

どういうことかしら。

 

なんて思っていると、彼女は私の手を引いてひょいと抱き上げた。

いわゆる、お姫様抱っこで。

 

 

「あっ、あの、花君様!?」

「ははっ、落としゃしないさ。掴まってな!」

 

 

そう言われて、無意識のうちに首に腕を回す。

玻璃のような澄んだ水色の瞳が眼前に見えた。

彼女の首筋からは微かにサンダルウッドのような香りがする。

 

何が起きているのか全然わからなくて、理解が追い付かなくて。

頭がくらくらした。

 

彼女はハウスの中をぴょいと駆け抜けていく。

長い脚で、細いヒールで。

 

幸いにも、誰にも会わなかったから、私の醜態は誰にも見られなかったけれど。

……むしろ、誰かに止めていただいた方がよかったかもしれない。

 

瞬きの間に食堂の前に着いたけれど、私にとってはすごく長い時間だった。

自分の心臓がどこかに飛んで行ったような気分がする。

 

 

「ほら、ついたぞお姫様。」

「も、もう…。からかわないでください。」

 

 

彼女は優雅な仕草で、そっと私を地に降ろす。

 

 

「揶揄ってなんてないさ。大切なお姫様を歩かせるわけにはいかないからな。」

 

 

ぱち、とウインク。

それが本心なのが分かって、でも、ちょっとだけ恥ずかしいのを分かってほしかった。

訳も分からぬままに感情をぶつけてみる。

 

 

「びっくりしたんですからね!」

「はは、悪い。その埋め合わせはするさ。」

 

 

彼女はそう言うと、そっと頭を撫でた。

その手つきが優しくて、許してしまう。

 

 

「…………ずるい人ですね。」

「よく言われる。」

「ママーっ!連れて来たよ!」

 

 

両肩にサラスヴァティ様とペルセフォネ様を乗せたかぐや様が歩いてくる。

お二人は楽しげに笑っているけれど…。

いいのだろうか、あれ。

 

その様子を見て、花君様は笑った。

 

 

「おっ、景気がいいな。」

「ふふーん。すごい?」

「ああ、すごいすごい。」

 

 

彼女は、ぽんぽんとかぐや様の頭を撫でる。

……もしかしたら、頭を撫でるのは花君様の癖なのかもしれない。

 

 

「あらぁ、やっと皆来たのね。待ちくたびれちゃった。」

 

 

猫のようにうんと伸びをしたのはカルメン様。

どうやらここには、女性の方ばかりが集められているみたい。

 

 

「それで、どうかしたの?」

「なにか、秘密があるのでしょう?」

 

 

かぐや様の肩から降りたお二人が問う。

それを聞いた花君様はにっと悪戯をする子どものように笑う。

 

 

「女子会をしよう!」




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