食堂には、たくさんのお菓子が並んでいる。
パイ、クッキーと言った焼き菓子が多いらしく、部屋には香ばしい香りが漂っている。
その他にも、お酒やジュースが行儀よく並んでいた。
「あら、随分豪勢ね。」
「ヴィンツェンツィオに頼んで用意してもらったんだ。」
「そうだったんだ。後でお礼を言わなくちゃ。」
各々、好きな席に座っていく。
私は少し悩んでから、一番端の席に座ることにした。
カルメン様のお隣で、かぐや様の向かい側だ。
「それにしても、急ねぇ?どうして女子会なんか。」
「ん?何、古今東西の美女が集まってるんだ。それだけで酒が進むってものさ。」
そう言いながら、花君様はにっこりと笑ってワインをグラスに注いだ。
分からなかった。
彼女が本当にそれだけの理由で私たちを集めたのか。
それとも、何か他の理由があって集めたのか。
彼女はそういう策略を扱える聡さと、そう言ったことを抜きにして楽しみに身を委ねる美学を併せ持っているような気がしたから。
「……なに、そう怯えないでくれ。」
私の考えを見抜いたのか、彼女は困ったように笑った。
「確かに、私がアンタたちをここに集めたのはただ鑑賞するためって訳じゃない。
そんな無粋で無礼なことはしないさ。」
「じゃあ、どうして?」
「酒を飲み交わすことでしかわからないことがあるってものさ、ペルセフォネ。これから私たちは殺し合う。
だが…。それを抜きにして、私はアンタらのことを知りたい。」
アンタらがどんな人生を歩んで、何を望んで、何に打ち砕かれてきたのか。
自分という存在に、何を見出すのか。
彼女の瞳は澄んでいた。
嘘やおべっかではない。
きっと、彼女は純粋な気持ちで私たちをここに呼んだのだろう。
「ま、
花君様は笑う。
世の全てを慈しむような眼差しで。
その瞳に、私たちは顔を見合わせる。
そして、誰ともなく笑ってしまった。
戦場にあるというのに、この場はあまりにも穏やかだった。
たとえ仮初の平穏だったとしても、この優しさは嘘ではなかった。
「さて、何を話す?なんだっていい、アンタたちのことを教えてくれ。」
「じゃ、あたしから質問ねぇ。」
手を挙げたのはカルメン様だった。
「皆の初恋は?」
彼女はにっこりと笑う。けれど、瞳は煌々と期待に輝いていて、まるで逃がさないとでも言うかのようだった。
「え、っと…。」
困ってしまって、他の方々を見てみる。
「いいね、楽しそう!やっぱり女の子が集まったら恋バナだよね。」
「私もこういう茶会は久々だわ。恋物語にはとっておきの音楽を用意しないとね。」
「あは、そう来なくちゃ、ね。」
……どうしよう、皆乗り気だ。
「逃がさないわよぉ、ギネヴィア。」
「ぅ…、逃げませんよ。」
「嘘ぉ。腰が引けてるわ。」
するりと自然な仕草で腰に手を回されて、抱き寄せられる。
そのままがっちりと固定されて動けなくなる。
流石にバーサーカー、力が強い。
「さぁ、誰から話す?」
なんて、浮かれた声で話すカルメン様。
皆の視線は、私と彼女に集まっている。
期待を感じて顔が熱くなるのを感じる。
……ああ、生きて帰れますように。