Fate/Last waltz   作:高堂でにむ

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第二楽章 見えない星に焦がれて


 

ステラが赤く煌めている。

戦いの鐘が鳴り響くときを、今か今かと待ちかねている。

 

僕は鐘塔に上り、庭園を見下ろした。

 

 

「君は、どれほどの時間をかけてこの舞台を整えたのかな。」

 

 

数日、数週間、数か月、数年。

常人には考えも及ばないような長い時の果てに、君はこの舞台を作り上げ、演者を選び、シナリオを紡ぎあげた。

 

そこにはどれほどの覚悟がある?

そこには、どれほどの願いがある?

 

 

「キャスター、ガリレオ・ガリレイ。」

 

 

その名を背負った君は、一体何を見ているのだろう。

 

 

「ヴィンツェンツィオ。」

 

 

ふと、振り向けばルシファーが立っていた。

彼は…いや、彼女と呼ぶべきだろうか?どちらでも構わない。

とにかく彼は透徹した眼をしていた。いつもの意地の悪いそれとは違う。

 

君は僕に似ている。

あるいは、この場においては僕の方が君に近づいているというべきかな。

 

あまり喜ばしいことではないけれど、仲間がいるというのは、いつだって心強いものだね。

 

 

「夜はいつ明ける。」

「…君にそんなことを聞かれると困ってしまうな。堕ちた明星の子。

君も知っているだろう?僕はただのオートマタだ。君に何もかもを話すことはできない。残念ながらね。」

 

 

僕の言葉に、ルシファーはくつくつと笑った。

全く、やりにくいなあ、もう。

 

けれど、変数はいつだって奇跡をもたらす種になる。

 

 

「それで、何か用かな?」

「用がなけりゃ来ちゃいけないのか?」

「いや、そういうわけじゃない。ただ、そろそろ鐘を鳴らす時間だからね。」

「そう思ってここに来たんだ。」

 

 

彼は床に腰掛け、こちらをじっと見た。薄暮の元に佇む彼は美しい。

流石は元天使だね。

 

 

「因果なものだな。他でもない、()()()()()()()()()()()。」

「ふふ……。」

 

 

やっぱり、バレていたか。まあ、分かるに決まっているね。君は聡いから。

 

 

「お前、俺を呼ぶためにあえて椅子を開けただろう。」

「どうだろうね。僕は()()()()、十三番目の椅子に触媒を置き忘れてしまっただけだよ。」

「きっひひ…よく言う。」

 

 

彼は立ち上がり、背を向けた。

ふむ。どうやら本当にお話しに来ただけみたいだ。

 

 

「もう行くのかい?」

「ああ。」

 

 

君は戦場が好き、と言うわけでもないだろうに。スティアがそんなに気に入っているのかな。

それとも、ギネヴィアを救いたいから?あるいは、この物語をこそ楽しんでいるのかな。

 

分からない、彼の考えることはいつだって人間には理解できないから。

 

 

「おい。」

「ん?…おっと。」

「やるよ。」

 

 

彼が投げて寄越したのは、赤く熟れた林檎。

 

 

「精々励めよ、監督役。」

 

 

そう言って、彼は姿を消した。

 

 

「まったく…。この身体じゃ食べられないんだけどな。」

 

 

折角ならありがたくいただくよ。

昏い黎明さん。

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