Fate/Last waltz   作:高堂でにむ

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それが、ことの顛末。菅原道真という英霊が「文化人」と「怨霊」に分かたれた理由。

浄玻璃鏡に映し出されたものを見つめていると、くすくすと笑う声がした。

 

 

「おまえ、ほんとうにつまらないね。」

「……遅かったな。ギネヴィアは?」

「ああ、しくじった。ジェームズと海のライダーに防がれて。

……ふふ、かっこよかったよ。おまえにも見せてやりたかった。」

 

 

何が楽しいというのか、この男は。宝具まで使って仕損じるとは。

 

 

「っは、ぁ……。」

 

 

膝をつき、苦しげに肩で息をする雷君。茫洋とした眼差しでこちらを見つめ、歯を食いしばって立ち上がろうとする。

 

 

「生前の罪を、そのまま精神汚染として転用する宝具。その汚染は悪人ならより重く、善人ならより軽くなる。」

 

 

影のアサシン(チェーザレ)はナイフを雷君の首にそっと当てて、悪逆に満ちた瞳で微笑んだ。それはある種の慈悲を帯びていた。

 

 

「きみは自ら、毒の杯を飲んだんだね、雷君。」

 

 

ナイフが引かれるその瞬間だった。

甲高い音とともにチェーザレのナイフが弾かれる。咄嗟に戦闘態勢を取るが、それと同時に足元に矢が刺さる。

 

それは柔らかな突風を巻き起こし、軽やかな花の香りとともに視界を乱した。

 

攪乱の術式。后羿ではない。

 

 

「花君か……!」

 

 

花に紛れた彼女は微かに微笑むと、雷君を背負ってそのまま消えた。

 

 

 

 

あたし、わかんないのよね。歌ちゃんがどうしてここに来たのか。

春ちゃんも月ちゃんも花君も、ギネヴィアですら願いを持っている。だというのに、歌ちゃんはヴィーナをつま弾くばかりで戦いになんて全然見向きもしない。

 

 

「だから、遊びに来ちゃったわぁ。」

「……貴女からダンスの誘いを頂けるとは思わなかったわ。カルメン。」

 

 

掌の上で、くるくるとダガーを弄ぶ。少し重みのあるこれは、別にあたしが好きで持っている刃じゃない。サーヴァントとしてこの戦場で生き抜くために、最低限の武装をしているだけ。

 

 

「歌ちゃん、ほんとは強いでしょぉ?多分、あたしと月ちゃんを一緒に相手取っても勝てちゃうくらい。」

「さあ、どうかしら。……戦いは嫌いなの。」

 

 

それは多分、ほんと。ここに来てから、歌ちゃんは全然楽しくなさそう。

あ、嘘。さっきの女子会は楽しそうだったけど。でも、戦うってことを嫌がってる。って言うか多分、ノリ気じゃない。

 

まーぁ、ノリ気じゃないってだけで戦わないでいるんだったら、それもそれでおもしろいけど。

 

 

「私は祈られる神なの。」

 

 

歌ちゃんはかなしげ。あーぁ、かわいいんだから。

 

 

「祈られて、それに応えるのが私だわ。」

「まあ、春ちゃんがギネヴィアとか雷君だったら、歌ちゃんは頑張ってたかもねぇ。」

 

 

反響ってヤツ。

歌ちゃんっていうのは、他人の願いの強さに比例して強くなるタイプなのよね。

 

春ちゃんはどっちかって言うと保守派だから、「来るなら来い、来ないなら来るな」っていうカンジ。そんな二人がペアになっても、なかなかやる気は出ないってコト。

 

 

「じゃぁさ、踊ろっか。ね?」

 

 

弄んでいたダガーをぽーい、と投げる。今は戦いとか、いらない。代わりに歌ちゃんの手を取って、くるりとターン。

 

 

「もうちょっとだけ、恋しようよ。」

 

 

今は、歌ちゃんのこと好きでいたい。歌ちゃんに、あたしのこと好きにさせたい。

 

世界の何に怒られたって、恋したいから恋するの。

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