Fate/Last waltz   作:高堂でにむ

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もし、太陽に感情があるのなら、そこに在るのは怒りだろうか。それとも悲しみ?あるいは、楽しみや喜び?

……少なくとも、目の前にいる彼にある感情はそんなものではない。

 

あれは慈悲だ。

この世の全てを慈しみ、愛し、そして同時に矮小なものだと見下して切り捨てる、無情と愛情とを併せ持ったものだ。

 

 

「私のターゲットは君一人だ、海のライダー。」

 

 

友人に声をかけるような気安さで、シャマシュ様は微笑む。

 

 

「君が黙って殺されてくれるなら、私はギネヴィアやジェームズを殺さずに済む。どうかな。」

「やなこった!俺は死なんぞ!」

 

 

海のライダー様はふんっ、と顔を背ける。その仕草にため息を吐いて、彼はやはり笑った。それは、駄々をこねる子供を見る親のようだった。

 

 

「君は元来、私に匹敵する英霊のはずだ。それゆえに、君が本気になる前に殺さねばならない。」

「いやいや、流石に言いすぎだって。こいつはただのマスコットだよ。」

「私に嘘は通じないよ、ジェームズ。神には神が分かる。」

 

 

ということは、海のライダー様はいずれかの神性。存在そのものが揺らぐほど環境に影響を受けるということは、自然神なのかしら。

 

 

「なんにせよ。」

 

 

重機のような音を立てて、地面に突き刺さった大剣が引き抜かれる。

 

 

「さっさと終わらせよう。そのためなら、私は宝具の使用も厭わない。」

「ぬっ!?そ、それはまずいぞ。あいつのアレ痛そうだ。」

「痛いで済めばいいけどな……。」

 

 

クック様は私を庇うように立っている。おそらく、無意識で。

杖を持つ指が震えた。今にも落としそうだ。立っているだけで足が痛いくらい、怖い。死にたくない。

 

 

「おしゃべりはやめにしよう。話していても、死への恐怖が増すだけだ。」

 

 

魔力の増幅。

威圧ではない、おそらく彼は本当に宝具を使おうとしている。

 

 

「正義とは何たるか。秩序とは何たるか。」

 

 

草木が枯れていく。彼の魔力は燃えるほどの熱量をもってすべての生命から反逆の意思を奪っていく。

 

 

「わが剣を持ってその問いに答えよう。」

 

 

聖光の顕現、白き光と正義の具現。

 

 

「刮目せよ!――――《最果てに輝ける原初の篝(サマ・アウィ・ラム・アウィ・ラム)》」

 

 

踏み込み、こちらに向けて剣を振りかざすシャマシュ様を見て、私は()()()()()()()()()

 

 

「なっ…!?」

 

 

クック様が息を飲む声が聞こえた。

私は戦えない。それは多分、皆が知っていることだと思う。そもそも、キャスターで召喚された人間に戦闘の逸話がある方が少ないのだ。

 

それでも私は前へ出た。

先ほどのチェーザレ様の言葉が頭をよぎった。私はいつだって、守られてばかり。反撃なんてできっこない。それは紛れもない事実。

 

けれど、今の私に誰かを守るための力があることだって、事実なのだ。

 

この杖は、念じることで力を増す。私の決意の分だけ、守りは固くなる。

私の本質は、戦うことにない。それでもせめて、助けてくれた人のことを守りたいって、そう思ったから。

 

光の粒のひとつひとつは、やがて重なり合って淡色の盾となる。

さざめく波のように揺らぐそれは、灼熱の魔力から私たちを遠ざけ、あらゆる脅威を防ぐ。彼から放出された魔力を糧として、彼自身の魔力を吸い上げて微かな檻とする。

 

それも、ほんの数秒のこと。

けれどその()()()()()が命の分かれ目。クック様の手を取って駆けだした。

 

 

――――逃げられるわけがないと、知りながらも。

 

 

 

【宝具開示】

陽のセイバー シャマシュ

最果てに輝ける原初の篝(サマ・アウィ・ラム・アウィ・ラム)

広範囲攻撃宝具。「魔力放出・極」といった感じで、攻撃そのものと言うよりも「超絶自バフに寄って通常攻撃が超強化される」宝具である。その魔力の性質は灼熱であり、暴力的なほどに純粋な正義の具現化である。ゆえに、宝具を解放するだけで周囲は灰燼と化す。

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