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後方から引き起こされる爆風は、全てシャマシュ様のものだった。
ルシファーはそれを、ほんのわずかな仕草で躱して見せるだけ。銀細工が踊るような細やかさで身を翻し、時には挑発して。
シャマシュ様は確かに素早い。大剣を振り回すことのできる膂力は、スティアに召喚されているサーヴァントの中でもトップクラスだろう。
ただそれは「大剣を振り回しているにしては速い」ということであって、避けるに徹するのならクック様やルシファーを捉えるには至らない。
おそらくその不足分を補うのが彼の宝具なのだろう。躱す程度では避けられないほどの大規模攻撃。繰り返せば、逃げ場はない。
だというのに、ルシファーは避ける。
優雅にも拳銃のシリンダーに弾を一発込めながら、彼を嘲笑うようにすべての攻撃を避けて見せる。
「姫さん今どんな感じ!?」
「えっと……。戦いは均衡しています。」
全速力で逃げるクック様を守るため、私は後ろを向くように抱きかかえられている。
彼には見えないけれど、実際均衡しているどころの話ではない。誰だってルシファーが優勢だと見てとれるほど、その差は歴然だ。
戦いに向いている訳ではない。おそらく、白兵戦で言えばシャマシュ様の方が上だろう。
それでもシャマシュ様がルシファーを捉えることことができない理由は、おそらく。
彼がある意味で最強に近しいサーヴァントであるということ。
人類史上最古の王が英雄王と呼ばれ、全ての物語の原典を抱くように。
現在過去未来すべての人類の進歩の軌跡こそが、彼そのものなのだ。反英雄の王と呼ぶべきだろうか。
元来サーヴァントに為れるモノではない。寧ろ人類悪と呼ぶべきもののはず。それなのに、彼はサーヴァントとなりここにいる。
キャスター同士、バディとして召喚されたからだろうか。どうしてか彼の強さが理解できた。
それはステータスでは表されない概念と運命の強さ。
ルシファーは横薙ぎに払われた大剣の上に腰を下ろす。悪戯な笑みを浮かべて、シャマシュ様の耳元で囁いた。
「善も悪も、進歩の前には容易いことだ。」
「!」
その言葉は、魔性の旋律でもって場を支配する。この身に宿る魔力がルシファーの方へ流れていく感覚。
「クック様、伏せて!」
クック様たちを後ろに押しのけて、防護陣を展開する。ルシファーの宝具は、私ですら何が起きるかわからない。
彼の意のまま、思うがままに世界を「進める」力。
振り下ろされる大剣は間に合わない。
「罪には罰を、終幕を。そして新たな生誕を。」
撃鉄は起こされ、引き金が音を立てる。
「《
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鐘が鳴る。その音色は重く鮮やかで、あまりに儚い。
「派手にやってくれるね、君も。」
灰燼と化した都市部。直すのにもそれなりに時間がかかるんだけど……。
まあ、それはキャスターの仕事かな。
さあ、どうするセイバー。君は一つ駒を進められてしまった。
「知恵は禁忌か、祝福か。」
ルシファーの果実は甘かったろう。君はきっと、探求を止められない。
「……それにしても、戦闘時間に気づかせるのも大胆だね。攻撃してたら勝てただろうに。」
選択は君の役割ではない、ということかな。
「いずれにせよ、鐘は鳴った。」
また、暁の星が一つ光る。
次回から一か月ほどのお休みを挟ませていただきます。
よろしくお願いします。
また、pixivに編集版を投稿しています。一気読みしたい方は是非ご活用下さい。
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