ハウスに戻る途中、宙に浮かぶステラが白銀の光を放つ。シャマシュ様と海のライダー様、クック様、そして私の四つのステラが同じように輝く。
『システムより告知——————スティアの損傷修復のため、次回の戦闘開始を三十六時間後に再規定しました。これに伴い第二回の使命通達を十二時間後に変更。五分前に再通知予定。』
シャマシュ様のステラが赤く光る。ステラは彼の眼前に浮かび、目が痛いほどの光を放つ。
『監査役より音声メッセージを受信。再生します——————「もしも話したいことがあるのなら、ラウンジを使うといい。僕はいつでも、温かいお茶を用意して待っているよ。」』
シャマシュ様の赤い双眸がステラの光と鏡のように呼応していた。穏やかな瞳が何を考えているのか、何を見ているのか。私には想像もつかなかった。
てっきりさっきの破壊についての言及だと思っていたのだけれど、そんなことはなかったみたい。お茶のお誘いにしては含みのある言い方のように感じたけれど…。
「ジェームズ。」
「……え、俺?どうかしたか?」
「君はこの場所についてどう思う。」
「何そのアバウトな質問。どうってなんだよ、どうって。」
シャマシュ様の表情は真剣だった。言葉の一つすら間違えてはならぬといった重さで口を開く。
「感覚として、この場所は自然だと思うか?」
「いやいや、自然どころか不自然極まりないだろ。キャスターのやつは永久の黄昏、なんて言ってたけどさ。」
「海もないしな!」
そんなことを言いながら、海のライダー様はやれやれといった感じだ。いつの間に戻ってきていたのだろう。
「おや、私の剣はお気に召さなかったかな海のライダー。」
「んーや、揺れないから悪くないんだがケツが痛い。」
「俺の肩は椅子じゃねえんだけど…。」
「あの、どうしてそのようなことを?」
私の問いに、シャマシュ様は眉根を寄せた。不快ではなく、怪訝の苦さ。しばしの沈黙の末、彼はぽつりと溢した。
「偽りの空は舞台に過ぎない。」
「え……?」
「ルシファーが私に言った言葉だ。どういう意味だと思う。
その意味を理解することはできなかった。けれど、正直に言って「舞台である」という言葉に関してだけ言うのなら頷かざるを得なかった。
「ルシファーの宝具は進歩を強制するものだ。善悪も秩序も人智も嘲笑い、余分を与えるものだった。では、奴が私に与えた違和感は何のためだ?」
「んー??むつかしいな。」
「要するに、だ。」
シャマシュ様の瞳は変わらぬまま、茫洋とした黄昏を映している。
「この世界の異常は私たちが考える以上のものである、と言うことさ。」
【宝具開示】
罰のキャスター ルシファー
《
概念宝具。対象を強制的に「進歩」させ、変化を余儀なくさせるもの。
「現状を失わせる」という運命力そのものである。足場を崩し、「変わらざるを得ない」状況を作り出す。
それが小さな果実なのか、一発の弾丸なのか…。それは時と場合によって変わる。