すごく...大きいです...
先日の救助訓練レースから一夜明け、いつものようにホームルームが始まる
「えー...そろそろ夏休みも近いが、もちろん君らが一ヶ月休める道理は無い」
「まさか...」
ホームルームの開口一番、相澤先生の言葉に緊張が走る、なんだ...何があるんだ...補修...?それとも訓練...?とかなんとか考えていると、相澤先生から答えが出てきた
「夏休み、林間合宿やるぞ」
『知ってたよ!!やったーー!!!!」
林間合宿か、身構えて損した
林間合宿、クラスの皆は勿論、俺も楽しみにしていたイベントの一つだ
「肝ためそー!!」
「風呂!」
「花火!」
「風呂!」
「カレーだな...!」
「行水!」
若干一名やかましいエロブドウが居るがそれは置いておき、皆一様にはしゃいでいる
「自然環境ですとまた活動条件が変わってきますね」
「いかなる環境でも正しい選択を...か、面白い」
「寝食皆んなと!ワクワクして来たぁ!」
「ただし」
はしゃぎ始めたクラスを一睨みで黙らせる相澤先生、流石だぜ
クラスを黙らせた相澤先生が話を続ける、相澤先生の口から発せられた言葉は俺たち学生にとって、文字通り地獄とも呼べる物だった
「その前の期末テストで合格点に満たなかったやつは...学校で補修地獄だ」
「皆ー!!がんばろーぜ!!!」
「女子ー!!頑張れよー!!」
「クソくだらねぇ」
ここでも欲望丸出しかよ峰田、ブレないな...にしても補修地獄て...学校側が地獄とか言っちゃダメでしょ、いや実際地獄なんだけどさ
何人か冷や汗ダラッダラの人居るし
え?俺?俺は別に焦ってないかな、強いて言えば実技試験が運ゲーなのがねぇ...個性の性質上仕方ないとはいえ中々に厳しい、内容がわからない以上能力を厳選しても意味がないことがある、ま、気長に待つかね
◇
さてさて、そんなこんなで時は流れて六月最終週
期末テストも来週に迫っているが....
「「全く勉強してねー!!」」*1
上鳴と芦戸がそう叫んだ、この二人の中間の順位は19位と20位、ブービーゲーム真っ最中である
最下位独走中というわけではないが、このまま行けば二人はかなり危ない橋を渡ることになる
「体育祭やら職場体験やらで全く勉強してねぇ〜!!」
「確かに行事続きではあったが...」*2
中間テストはまだ習った範囲が狭く何とかなった、という人が多いが、期末は筆記だけではない、なにせ...
「演習試験もあるのが辛ぇとこだよなぁ〜」*3
そう話すのは中間10位の峰田だ、こいつ地味に頭いい方なんだよな...
「あんたは同族だと思ってた!!」
「お前みたいなやつはバカで初めて愛嬌が出るんだろが...!どこに需要あんだよ!!」
「世界...かな」
思いっきり調子に乗っている峰田、演習試験で痛い目見なきゃいいんだが...
「アシドさん上鳴くん!が...頑張ろうよ!やっぱ全員で林間合宿行きたいもん!ね!」*4
「うむ!」*5
「普通に授業受けてりゃ赤点は出ねえだろ」*6
「言葉には気をつけろ!!」
無自覚な鋭利な言葉が上鳴を貫いた、上位勢が何言ってもダメよ、ダメダメ
「お二人とも、座学ならワタクシ、お力添え出来るかもしれません」*7
「「ヤオモモー!!」」
芦戸と上鳴に助け舟を出したのは、A組トップの成績を叩き出した八百万だ、確かに八百万に教えてもらえるなら点数は上がるだろうな
「お二人じゃ無いけど...ウチも良いかな?二次関数ちょっと応用躓いちゃってて...」*8
「え」
「わりィ俺も!八百万古文わかる?」*9
「え」
「俺も」*10
次々と八百万にそう頼んでいく一同、人徳あるねぇ
「良いデストモ!!」
頼られてとっても嬉しそう、ちなみに、中間4位爆豪は切島に「教え殺したろうか」と言っていた、何気に爆豪も頼られたら断らないあたり面倒見良いよねぇ、教えられるかどうかは別として
「じゃあ俺は八百万のサポートに回ろうかな、この人数一人じゃ厳しいだろ」*11
「まぁ!ありがとうございますわ!回能さん!」
「マジで!?助かるわー!!」
俺が声をかけると、コレまた嬉しそうにする八百万達、何その顔〜、喜んでもらえてお兄さん嬉しいわぁ
「では週末にでも私の家でお勉強会を催しましょう!!」
「まじで!?うん!ヤオモモん家楽しみー!」
マジか、八百万の家...お嬢様とは聞いてるが、どんくらいでかいんだろ
「ああ!そうなるとまずお母様に報告して講堂を開けていただかないと...!」
こうどう???
「皆さんお紅茶はどこかご贔屓ありまして!?我が家はいつもハロッズかウェッジウッドなのでご希望がありましたら用意しますわ!!」
....ええ...思ったより家デカそうなんだけど...ちゃんとした服着てかなきゃじゃん...いや友達の家に行く以上ちゃんとした服装にするにはするけどさ
「必ずお力になってみせますわ...!」
すんごいプリプリしてる、可愛いね、小動物的なアレで
「なんだっけ?いろはす?でいいよ」
「ハロッズな」
「ハロッズですね!!」
なんかみんな腑抜けた顔してるし、本当に大丈夫か?
◇
昼食を終え、午後の授業も終了し放課後
「んだよロボならラクチンだぜ!!」
やったぁとにこやかな顔をする上鳴と芦戸、どうやらB組の生徒から聞いたらしい、入試の時のロボ試験とのこと
「お前らは対人だと個性の調整大変そうだからな...」
「あぁ!ロボならブッパで楽勝だ!!」
「後は勉強教えてもらって...」
「これで林間合宿ばっちりだ!!」
果たしてそう上手くいくのかねぇ、例年通りならそうなるだろう、だが俺たちの年はイレギュラーがある、ヴィランからの襲撃、ヒーロー殺しとのエンカウント、雄英がその辺に力を入れないはずがない、「もしかしたら」の可能性を頭に入れておいた方が良さそうだ
なんて考えていると
「人でもロボでもぶっ飛ばすのは同じだろ、何がラクチンだアホが」
「アホとは何だアホとは!!」
「うるせえな、調整なんか勝手に出来るもんだろ、アホだろ!...なぁ!?デク!」
「!!」
いつものようなキレ芸では無い、何やら機嫌が悪そうだ
「個性の使い方...ちょっとわかってきたか知らねぇけどよ...てめェはつくづく俺の神経逆撫でするな」
...あぁ、この前のレースのアレか
「緑谷が爆豪みたいな動かしてた時の」
「あー確かに...!」
「体育祭みてぇなハンパな結果はいらねぇ....!次の期末なら個人成績で否が応にも優劣がつく...!」
爆豪の顔が更に怖くなる、マジの顔じゃん、こっわ
「完膚なきまでに差ァつけて、てめェぶち殺してやる!轟ィ...回能ォ...てめェらもなァ!!」
そう言い残し、荒々しく扉を開けて出て行った、俺らもかよ
「...久々にガチなバクゴーだ」
「焦燥...?あるいは憎悪...」
...いずれにせよ相当拗れてるのは間違いなさそうだ、本当に大丈夫か?色んな意味で...
そんな疑問が残りつつも、その日は解散、各自勉強となった
◇
さて、テスト前最後の休日、今日は八百万の家で勉強会だ、取り敢えず駅で待ち合わせをしてみんなで行くと言う話になった
「耳郎と回能おせーな」
「といっても集合時間5分前だけどね」
「あ、今回能から連絡きた、もうすぐ着くって」
駅前では瀬呂、尾白、芦戸、上鳴が待って居る、いずれもラフな格好だ
「ん?なんかあっち騒がしくね?」
「本当だ、何かあったのかな」
上鳴と尾白が、駅の方がとても騒がしいことに気がついた、何やら人だかりが出来ている、何事かと近づいてみると...
「!?!?」
「どーした尾白?何が...!?」
上鳴に続き、芦戸と瀬呂も駅の方を見た、するとそこには...
「「!?!?」」
顔を赤くしながら集合場所に歩いてくる耳郎と、その隣を歩く俺を見つけた、それだけならこんな人だかりは出来ない、人だかりが出来ている原因は、俺の服装だ
俺の現在の服装は、デニム素材の黒いカーゴパンツ、それにベルトを巻き、ヘソだしスタイルの黒のキャミソール、それに裏地が赤い長袖の上着を肩落としスタイルで着ており、黒のキャップを被っている、そして特徴的な赤く長い髪を後ろでゆらゆらと揺らしている
クールかつセクシーとも言えるその服装、面が良くなければ服に着られていると言われそうな服装だが、俺の面が服の魅力を最大限引き出している
「よ、お待たせ」
「おま...回能!?」
「腰ほっそ!?脚長っ!!スタイルめっちゃ良いじゃん!!うらやましー!!」
「本当に男かお前!?」
「一瞬誰かと思ったよ...」
なんて評価を受ける、俺の中じゃ割と割と大人しめのセットアップなんだがな
「ウチまで見られて恥ずかしかったんだけど...」
「良いじゃん、耳郎のもかっこいい服装だと思うよ」
「そ...ありがと...」
いつもと違う雰囲気の服装のせいか、耳郎が目を合わせてくれない、お兄さん悲しい
まあそれはそれとして、みんな集まったので八百万の家に向かうことに、八百万から送られてきた住所を元に歩き出す
「回能の服さー、セクシーだけど肌面積多くない?」
「芦戸がそれ言う?」
歩きながら雑談をする、いうて芦戸も肌面積多いでしょ、キャミソールにホットパンツでしょ?俺より多いじゃん
「てかずっと気になってたんだけどよ、その手に持ってる袋何?」
「んー?八百万への手土産兼勉強会のおとも、楽しみにしてな」
カサカサと鳴る俺の手元の袋が気になったらしく、瀬呂がそう質問してきたので答えた、楽しみにしてな、今回のは上手くいったんだぜ
微笑みながらそう話すと、瀬呂と隣の上鳴が俺から目を逸らした
「なぜ目を逸らす」
「いや、目に毒だなと」
「自覚ないのかよ回能、お前今の格好やべーかんな?」
「....」
いーこと思いついちゃった、確か場所は講堂って言ってたよな、にしし、邪魔にならない程度にイタズラしてやろうかな
さて、歩くこと三十分、だんだん景色が変わらなくなってきた、道路の両サイドにフェンスが建てられた道、だんだん人通りも少なくなってきた、そこからさらに数分歩くと....
「え、ここ....?」
「でっか」
「ウソだろ...どっかの大使館じゃねーの...?」
上鳴、俺、瀬呂の順番でそう言葉を漏らす、スマホを見てみると、確かに位置情報はここを示している
「住所はここであってるよ...」
「超〜豪邸!!」
目の前にある見上げなければ全容が見えないほどの門を見て芦戸がそう叫んだ、マジで超豪邸だよ...塀の端から端が見えない...
「マジで入るの...?」
「八百万の家がここから入るしか無いだろ...」
耳郎の言葉に俺が肯定する、仕方なく門の隣についていたインターホンを押す、すると目の前の大きな門は驚くほどスムーズに開いた、よく手入れされているのだろう、軋む様な音もせずゆっくりと開く
「耳郎様、芦戸様、上鳴様、瀬呂様、尾白様、回能様でございますね」
「「「「「は...はいっ!」」」」」
開いた門の先に居たのは、いわゆる執事服を着た少し背の小さいおじいさんが居た、柔らかい表情をしているが、背中が全く曲がっていない、すごいなこのおじいさん
「よくおいでくださいました、私、八百万家の執事の内村と申します、百お嬢様が首を長くしてお待ちしております、さ、どうぞこちらへ」
「「「「「は...はいっ」」」」」
「緊張しすぎだろ...」
「アンタが緊張しなさすぎなんだよ...!」
小声で話す耳郎、だってここまできて緊張しても意味ないし...
という事なので俺はポケットに片手を突っ込んで堂々と歩いている
「執事!本当にいるんだね執事!」
「執事がいるってことはもしやメイドさんもいるんじゃね!?」
芦戸と上鳴が小声でそう話すが丸聞こえだ、もう少し声量落とせ...あとそういう話は居ない時にしろよ...多分執事さんにおもっきし聞かれてんぞ...
「はい、おりますよ」
執事さんがにこやかに答えてくれた、ほらな、やっぱりおもっきし聞かれてた...優しい執事さんで良かったよ...
さてさて、執事さんに連れられて森か?と思うほどの広い庭を抜けた所で、先ほどの門なんて比べ物にならないほどの大きさの家にたどり着いた、いや、もうコレ家じゃ無いよ、城でしょ、マジで城だよ、ここ日本だよね?
執事さんに案内され、建物の中に入る中はホールとも呼べるほど広く、そこには多勢のメイドさんが居た
「いらっしゃいませ」
綺麗な列をなすメイドさんたち、どうしたものかと戸惑っていると、ホールの奥から小走りでやってくる女性が居た、どこもなく八百万に似ている気がする
「まぁまぁいらっしゃい...!いつも百がお世話になって...百の母でございます」
「「「「「「あっ、こんにちは」」」」」」
俺たちを前にふんわりと笑う八百万のお母さん、やはり八百万そっくりだ
「こんなにたくさんお友達がいらしてくれるなんて、とても嬉しいわ...あら、あなた達...」
「え」
「?」
八百万母の視線が俺と耳郎に向く、なんかすごい見られてる、なんか変かな...
「なんか変かな...」
「いや?似合ってるよ?」
「にあっ...///そういうこと聞いてるんじゃなくて!!」
小声で話す俺も耳郎、八百万母の眉がすこし眉間に寄せられた気がする、失礼だったかな...代えの服持って来てないけど...
が、その顔はすぐに元の笑顔に戻った
「あっ、百は今、講堂で準備をしておりますの、さっそくご案内いたしますわね」
「それでは...」
「いいわ、じいや、私が」
八百万母が執事にそういうと、家の奥に案内された、すご...マジでセレブじゃん...
歩いている途中、花や植物が描かれた壁紙、大理石の床、どこかで見たことがあるような気がする絵画やツボが飾られてあった
「ベルサイユ宮殿だ...行ったことないけど」
「だな...行ったことないけど」
「同意だよ」
と呟く俺以外の男子達、確かにそう見える、マジで日本かここ
「ここかヤオモモんちなんだねー、そりゃお嬢様だわ!」
「ヤオモモ?」
芦戸の「ヤオモモ」という言葉に反応した八百万母、耳郎が慌てて口を開く
「あっ、ヤオモモはヤオモモの...じゃなくて...えっと...百さんのあだ名っていうか...」
「まぁ、百はあだ名で呼ばれているのね!ヤオモモ...ヤマモモみたいで可愛らしいわ、私もつけてもらいたいくらい」
「それじゃヤオモモのママだからヤオママだ!」
芦戸って怖いもの知らずだよな、強心臓っていうかなんていうか、とにかく度胸がすごいわ
「私のあだ名?嬉しいわ!ヤオママと呼んでくださらない?」
「ヤオママー!」
「はーい!」
うーん無邪気、八百万の天然っていうかピュアな所は母親似なのか、すっごい嬉しそうに笑ってる
だけど...
「....」
「....」
俺と耳郎は先ほどの視線がどうしても気になっている、こういう服嫌いなのかな...俺はともかく耳郎の方は他のメンバーと変わらないと思うんだが...
「どしたん?下ばっか見て」
「んにゃ、何でも無いよ」
「そうか?」
鋭いのに鈍ちんだな上鳴
「とにかくお前が一番頑張らなきゃなんだからな、何せ中間ドベなんだし」
「言うな言うなみなまで、全ては八百万先生と回能先生にかかってるんだからよ」
「回能達に全てを託すな」
「だからみなまでだって言ってんだろー」
なんてやりとりをしながら歩くこと数分、やっと講堂にたどり着いた、ひっろ、講堂って言うだけ合ってめちゃくちゃ広い、教室より広いぞコレ、その講堂の片隅には長テーブルと椅子が用意されている
「百、お友達をお連れしましたよ」
「みなさん!!ごめんなさい...お出迎えもせず...さっきまでどの参考書がいいか迷っていましたのっ!」
「気合い入ってるね八百万」
「回能さん!今日はよろしくお願い致しますわ!」
講堂で待っていた八百万はメガネを掛けている、伊達メガネだ、今日すっごい楽しみにしてたんだろうな、顔に書いてる
「それじゃあ私はこれで...あとでお茶を持ってまいりますわ、百、しっかり教えて差し上げるのよ、回能さん、どうかうちの娘をよろしくお願いします」
「はい、お母様」
「ええ、お任せください」
そう言い残して講堂を後にする八百万母、俺も耳郎は正直ホッとした、さ、それはさておき...
勉強の時間だ、俺はキャップを脱ぎ、持ってきた荷物と一緒に席に置く、そして八百万の隣に立ち...
「さっ!おかけになって!早速勉強を始めましょう!」
「わからないことがあったら随時聞くこと、わからないところをわからないままにするなよ」
「おー!」
「よろしく」
「頼むぜ八百万先生!回能先生!」
「先生達の肩に、俺の林間合宿がかかってんだ...!」
「だから託すなっての」
やる気満々だ、良いね、教え甲斐がある
「任せてください!必ずや皆さんのお役に立ってみせますわ...!」
「張り切りすぎて空回りしないようにね、俺も出来る限りサポートするよ」
「はい!よろしくお願いしますわ!」
かくして勉強会が始まった、まずは個々人の苦手な科目の把握から、それが終わり次第、問題を解いて貰いつつ教えて回る、俺と八百万で分担しつつ、互いにサポートし合う、コレで行こうか
◇
「成る程ね、こうやって解けば良かったんだ」
「そ、こっちに引っかかりそうになるけど、ちゃんと問題を見れば大丈夫、情報は全部問題文の中にあるからね」
「さすが...ヤオモモも回能もすっごくわかりやすい!」
「まぁそんな...」
「褒めても何も出ないぞ」
勉強開始から一時間が経過した、みんな物覚えが早いな
「回能せんせー!この英語の訳どうすりゃいいのー?」
「わりぃ、こっち今手が離せん、八百万、頼む」
「はい!今向かいますわ!芦戸さん...あぁ、ここはですね...」
俺は元々八百万のサポートのために来たのだが...ぶっちゃけ俺いるか?と言えるレベルのプランだった、人手不足の解消くらいにしかならんのでは...だって八百万それぞれのレベルに合わせた問題まで作ってるもん、おれそういうのできないし、すごいわぁ...
だがそんな中、一人だけ着いていけてない者が...
「う...頭が破裂するぅ〜...」
上鳴だ、今まで行事に振り回され続け、勉強してこなかったツケが回ってきたのだろう
「XとYがイオン結合して...助動詞がシュメール人とクラウンショック...」
「あ、もうしてるわ、破裂」
「うーんごちゃごちゃ、どーしよっかね」
この雄英高校の入試を突破して入学してきたのだ、頭が悪いわけでは無いのだが...放電もしてないのにアホ面になりかけている上鳴を見て、俺も八百万もどうしたものかと悩んでしまう
「しっかりしろよ!林間合宿行くんだろ?」
「そうだよ、相澤先生も言ってただろ、もし赤点取ったら林間合宿行けないどころじゃ無く、学校で補習になっちゃうんだからそ」
「ああああああ〜...誰か...誰か俺の頭を交換してくれぇ!」
末期だなこりゃ...尾白の励ましが逆にトドメになっちまってら..,まぁこの一時間ぶっ通しでやってたし...そろそろ休憩挟むか
「八百万、そろそろ休憩を挟もう、この状態でやっても頭に入らん」
「ですわね...ではそうしましょうか、適度な休憩を挟んだ方が効率も上がりますしね」
その言葉のすぐ後、八百万が「じいや」と呼ぶ、するとすぐに扉を開けて執事が入ってきた
「お茶の用意をお願い」
「ただいま」
もしかしてずっと待機してたのか...すごいなあの執事さん...なんて驚いていると、今度は俺たちの前にメイドさんたちが現れ、素人が見ても高いと分かるようなティーセットとクッキー、そしてお茶を持ってくれた
「おお、良い香り」
普段紅茶はあまり飲まない俺でも分かるほどに良い香りが漂ってきた、コレなら持ってきたアレも合いそうだな
「さ、みなさん召し上がって」
八百万が合図をすると、皆勉強の手を止めて紅茶に口をつけた、俺も紅茶を口にする、おお、これは...
「ん...ほっとするぅ〜」
「ハロッズ?だっけ」
「ええ、勉強のときはこのブレンドされたものを愛飲しているんです、産地がちがうそれぞれのフレーバーが複雑なら渋みを醸し出して、疲労した脳をリラックスさせつつリフレッシュしてくれる感じがして...」
「へぇ、今度俺も勉強の時飲んでみようかな」
「よくわかんねーけどうまい」
「普段あんまり飲まないけど紅茶もいいね」
どうやら皆気に入ったらしい、じゃ、ここでお茶菓子でも出しますかね
「それじゃあ俺からも....」ガサッ...
俺は耳郎の隣の席に置いた荷物...持ってきたビニール袋からとあるものを取り出し、全員に配っていく、俺が配った物は...
「これって...」
「フィナンシェ?」
「もしかして回能が作ったの!?」
「そ、ハロッズって紅茶を出すって聞いてたからね、それに合うお菓子を調べて作ってきた、味は保証するよ、はい、八百万も」
「まぁ!よろしいのですか?」
そう、俺自家製のフィナンシェ、元々お菓子作りは好きだし、茶をしばくならお菓子は必須だろう、てなわけで、二日前に作って保存していたのだ、可愛らしいラッピング*12の施された袋を開け、中のフィナンシェを取り出す一同、同時に口に放り込んだ、評価は...
「うっま!!何だコレうっま!!」
「あまーい!!紅茶に合うー!!」
「すごいしっとりしてる...口当たりも良い...」
好評だった、良かった良かった、一瞬でフィナンシェを平らげた芦戸、今度はお茶と一緒に出されたクッキーに目をやる
「このクッキーもおいしそ〜」
多少形が歪な気もするが、多分どこかのお高いクッキーなのだろう、という事で俺もいただくことにした
八百万がにっこにこでこっちを見てる、ちょっと食べずらい
「いただきます」
取り敢えず八百万の視線は気にせずクッキーを口の中に放り込んだ、どんな味なんだろうな
なんてワクワクしながら咀嚼すると、最初に感じたのは複雑な苦味だった
「....ん?」
全く予想していなかった味だ、こういうモンなのか?苦味も甘みを引き立てる味覚だが...なんて思っていると、次の瞬間強烈なえぐみと塩辛さが喉の奥と舌を攻撃してきた、それだけでは無い、なんか臭い、魚臭い
「っ.....!!」
飲み込んじゃだめだ、そう脳が信号を出す、しかしニッコニコでこちらを見ている八百万が居る手前、吐き出すことなど出来ない
やばい、涙出てきた
「!?回能さん!?どうして泣いて...それに皆さんも...!?」
八百万が異変に気がついたようで俺に駆け寄ってくる、何とか紅茶で胃の中に激物とも呼べるクッキーを流し込む、これは人の食い物じゃない
「もしかして...お口に合いませんでした...?」
心配そうに俺の顔を覗き込む八百万、俺は涙を拭いながら食べたクッキーを指差した、すると八百万は恐る恐るといった様子でクッキーを口に入れた
「....!?」
クッキーを咀嚼し始めて数秒、八百万の顔が衝撃に歪んだ
「ちょ...失礼しますわ...っ!!」
口を押さえながら慌てて出ていく八百万、やっぱ不味いものだったのか...
足音が遠ざかってから俺たちはようやく緊張の糸が切れたかのようにあのクッキーの不味さの話をし始めた
「うわ〜!まだ味が残ってる〜!」
「不味い...不味いよぉ...喉が痛い...ケホッケホッ...」
俺と芦戸は紅茶を飲み干し、少しでも味を緩和しようともがく、あ、ちょっと良くなった
「もはやクッキーじゃねえなコレ...兵器だったな...」
「でもこれ眠気覚ましには良いよね、一発で目が覚める」
「最悪の目覚めだけどな」
「そのまえにもう一回食べる勇気で目が覚めるぞ」
なんて会話をする、いやほんと、これヴィランの尋問に使ったら一発で吐くんじゃ無いかな、二つの意味で
「ヤオモモも不味かったのかな?あわてて出ていっちゃったけど...」
「ま、すぐ戻って来るだろ」
八百万が出て行った扉を見つめる耳郎の言葉に上鳴がそう言った、しかし一向に戻って来ない、時間も勿体無いので勉強を再開するが...やはり俺一人では手が回らず効率が落ちてしまっている
そうこうしていると...
「...ちょっとウチトイレ行ってくる」
「あ、私も行くー!飲みすぎたー」
「わりぃ、俺も行く、ちゃんと勉強してろよ」
俺を含めた三人が立ち上がり、扉を開けるとメイドさんが一人待機していた、何かあった時のために八百万が残してくれていたのだろう、トイレの場所聞くと案内してくれた
長い廊下をあっちに曲がったりこっちに曲がったり、限界に達しそうな時、ようやくトイレについた、ご丁寧に男女別に別れている
「ふう....危ない危ない」
「間に合った〜」
「広いと大変だね」
何とか間に合い、用を足して出てきた俺たち、さて講堂に戻ろうと足を進めようとするが...
「...どっちから来たっけ」
「え?...どっちだっけ」
「ん〜...?」
左右を見渡すが、どちらにも長い廊下が続いているだけ、メイドさんはもう居ない、流石に待ってもらうのは気恥ずかしかったので帰りは大丈夫だと戻ってもらった、ぶっちゃけ今後悔してる
「.....取り敢えずこっちっぽくない?行ってみよ」
「あっ、ちょっと」
「置いてくなよ」
少し考えた後、俺達は直感で動き出した芦戸に着いて行くことに、迷わなきゃ良いんだが...
歩き始めて数分、やっぱり迷った、あーあ
「やっぱメイドさんに待って貰えば良かった...」
「歩いてればそのうち着くって!」
「うだうだ言っててもどうにもならないしな」
メイドさんも見当たらないうえ、ここに来るという確証もないため進むしか無い
「こんな機会滅多に無いじゃん?講堂探しながら探検しよー!」
「ええ...?」
「マジかよ芦戸」
ポジティブ思考凄いわぁ...なんて思いながらスキップするかの如く楽しそうに歩き出す芦戸、俺と耳郎は顔を見合わせてから芦戸に着いて行くことに
「後でヤオモモの部屋も見せて貰おうよ」
「あぁ、うん...」
「女子の部屋に入るのはアレだが興味はある」
気を紛らわせるように話す俺たち、同じ景色がずっと続く、迷路じゃん...
「.....」
「.....」
少し歩いていると、ふと八百万母の視線を思い出した俺達、改めて自分の服を見てみる
「....芦戸、俺たちの服変じゃ無いよな?」
「服?回能のは驚いたけど...二人ともカッコ可愛いよ!...ん?ライブラ...あ!ここ図書館だって!」
「library」と書かれたプレートを見て芦戸がはしゃぐ、そんな芦戸を見ながら、俺たちは小さく息を吐いた
俺達三人は大きい括りで言えば趣味が近い、厳密に言えば全く違うとも言えるが...だが八百万とはジャンルが違う
「......」
芦戸の言う通り、俺たちが「カッコ可愛い」ならば、八百万は「綺麗」となるだろう、趣味も性格も違う俺たち、それでもいつの間にか友達になっていた、勿論クラスのみんなとも仲は良いが、特段仲がいいのは俺たち三人だ、だからこそ、友人の家族によく思われていないのは少し辛い
なんて考えていると...
「耳郎様、芦戸様、回能様、こちらにいらしたのですね」
「あ、執事さん」
後ろから声をかけられた、声をかけてくれたのは俺たちをここまで案内してくれた執事さんだった、芦戸の大きな声を頼りに来てくれたのかもしれない、ナイス芦戸
「申し訳ありません、ちゃんとご案内するように申し付けておいたのですが...」
「いえいえ、私が戻ってくださいと言ったので、落ち度はこちらにあります」
「しあし迷わせてしまったのは私どもの責任です、大変申し訳ありません」
執事さんが頭を下げた、なんか申し訳ないな...俺のミスなのに
「全然大丈夫だよ!探検できて面白かったし!」
「それはそれは...では講堂の方に...」
こういう時芦戸の無邪気さって良いよな...取り敢えずこれで講堂に戻れる、と思っていたが、執事さんが少し考えるような素振りを見せてから俺たちの方に振り向き、口を開く
「講堂に戻る前に、百お嬢様の元へ参りましょうか」
そう言って歩き出す執事さん、俺たちは後をついて行く、すると何やら少しずつ変な匂いが漂ってきた、歩みを進める度にその匂いは濃くなっていく
「うう...コレ何の匂い...?」
芦戸が我慢できなかったのか、鼻をつまんで声を上げる、すると執事さんは足を止めて振り返り、匂いの正体を答えた
「....先ほどのクッキーでございます」
「...あのクッキーの?」
「どうぞあちらへ...」
執事さんに促され、何となく足音を殺して目的地へ歩く、すると声が聞こえてきた
「....お母様、それはちょっと...やめておいた方がよろしいのでは...?」
「まあ、どうして?」
聞こえてきたのは八百万母と八百万の声、場所は厨房だった、俺たち三人はそっと中を覗き込む
「流石に青魚とチョコレートは合わないのでは...?」
「でもね百、青魚に含まれている油は脳に良いのよ?それにカカオも、大丈夫よ、牡蠣と一緒にミキサーにかけてしまえば魚の形は残らないわ、さっきのクッキーにも入れたけどわからなかったでしょう?」
厨房内はかなり広く、どこぞのレストランの厨房だと言われても信じてしまいそうな設備と作り、そこで八百万と八百万母が話をしていた、二人の前には新鮮そうな魚やキャベツにほうれん草、ナッツ類に香辛料など、様々な食材が置いてあった、話から察するに、先程のクッキーは八百万母お手製の物らしい
「....ヤオママ料理は苦手みたいだね〜」
こそっと呟いた芦戸に同意する俺たち、しかし意外だ、料理は使用人がしているものだと思っていた、仮に八百万母が料理していたとしても、なんとなく完璧にこなしそうだと思っていたのだが...
「....ですがその生臭さは...その...お母様はお気づきになりませんの...?この匂い...」
「え?あぁそういえば、しばらく前から何も匂わないの、いつの間にか鼻風邪でもひいてしまったのかしら?」
多分それ強烈な匂いで鼻が麻痺しているだけかと...
「...では少しお休みになられた方がよろしいのでは...」
「いいえ、休んでなんか居られないわ、私はこのクッキーを作らなくては」
どうしてそこまで...と考えていたら、八百万母が気合いを入れるように両手を握りしめて話し始めた
「だって百のお友達の期末テストのためですもの!赤点をとっては林間合宿に行けないのでしょう?百は回能さんとお勉強のサポートを、私はせめてこの脳を活性化するクッキーでサポートしたいのよ、せっかくのお勉強会ですものね」
そこで俺と耳郎は気がついた、八百万母と八百万の前にある食材はいずれも脳に良いとされている物だ
「お母様...お気持ちはその、...とてもありがたいのですけれど...」
「大丈夫よ、さっきはお塩とお砂糖を間違えてしまったけれど、今度は間違えないわ、それに緑茶を入れるときっと匂いが中和されるはずよ、それよりカレー粉の方がいいかしら...あ、両方入れて仕舞えば良いわね!」
....自分で八百万に言ったことを忘れてしまっていた、どうやら俺は八百万母の事を色眼鏡で見ていたらしい、普通の優しいお母さんじゃ無いか、クッキーは失敗してるけど
「ヤオママ優しいね!」
「...うん」
「そうだな」
俺の耳郎が素直に頷くと、八百万二人が俺達の存在に気がついた
「皆さん、どうしてこんなところに?」
「私がご案内しました」
俺たちの後ろから執事さんが姿を現して頭を下げる、なるほどな、執事さんはこのクッキーに隠された意味を知って欲しかったのかもしれんな
「皆さん...その...あのクッキーは無理しなくて結構ですから...」
八百万が俺たちに耳打ちする、八百万は八百万で母親を傷つけたくないようだ、どっちも優しい、良い家族じゃ無いか
耳郎もそう思ったようで、小さく笑っていた
「...大丈夫、まぁ...独特な味だけど食べたら頭良くなりそうだし」
「うん!勉強捗りそうな味!」
「上鳴にはたくさん食わせた方が良さそうだな」
俺たちの言葉に目を丸くする八百万、対してその言葉を聞いた八百万母は満面の笑みを浮かべ...
「それじゃあこれも急いで焼き上げますわね!上鳴君には特別に大きなのを用意しますわ!」
「それがいいです」
「確かにな」
そう答えた俺も耳郎に、八百万母は取り掛かろうとしていた手をふと止めて、俺たちの服装をまた見つめた
ありゃりゃ、やっぱお気に召さないか、なんて思っていると
「...やっぱり素敵ですわ、お二人のその服」
「「え?」」
俺たちは八百万母からかけられた思いがけない言葉にキョトンとしてしまう
「ごめんなさい、まじまじと見てしまって...昔ね、一つ上の先輩方がバンドを組んでいらしたの、その方々の服装に似ていたものだから、さっきもつい見つめてしまって...」
「お母様は確か...女子高でしたわよね?」
「ええ、ボーイッシュな先輩とクールな先輩だったわ、みんなの憧れの...私も真似したかったのだけれど、どうしても似合わなくて...あぁ懐かしい」
少女のように頬を染める八百万母、俺と耳郎は顔を見合わせて笑ってしまった
「良かったな、耳郎」
「アンタもね、回能」
耳郎と笑い合っていると、八百万母が「そうそう」と思い出したように声を上げた
「忘れるところでしたわ、ケーキも用意してありますの」
そう言って八百万母はデカい冷蔵庫からケーキを取り出す、そのケーキは美しくデコレーションされたチョコレートケーキだった
「わぁ...綺麗...」
「もはや芸術だな...」
「これヤオママが作ったのー!?」
「いいえ、うちのシェフに頼んでおきましたの、味は保証しますわ」
その言葉に安堵の息をもらす八百万
「...では、このケーキを食してから、もうひと頑張りしましょうか」
「おー!がんばるー!」
ケーキの登場にわかりやすくテンションを上げた芦戸、そんな様子に俺たち三人は顔を見合わせて苦笑いする
そんな綻ぶ花達を、八百万母と執事さんは微笑ましく見守っていた
◇
「さて、アイツらちゃんと勉強してるかな」
「していただかないと困りますわね、特に上鳴さんは...」
「絶対ダラダラサボってるよ〜」
「確かに、ありえる」
ケーキの用意には少し時間が掛かるので、俺たちはそう話しながら四人で講堂へと戻る、すると芦戸がいたずらっ子のような表情で...
「ねえ、驚かせちゃおうよ!」
なんて言うので..
「良いね、乗った」
イタズラをするために乗ることに、てなわけで、ゆっくり扉を開けて中を除く、さてさて、一体何をしているのかな?なんて考えていると...
「...K作戦の勝負は一瞬だ、一瞬で全てが決まる」
「いや...でも問題は音だと思うよ、流石に気づかれるって」
中から声が聞こえてきた、中ではダラダラしている様子はなく、至極真剣そうに何かを話し合っていた
「...こういう時のサポート科じゃねえ?音が出ないようなアイテム作って貰うんだよ」
「音が出なくなるのは...確かに色々便利だな」
上鳴の発想に何やら考え込む瀬呂、何の話してんだろ
「新しいコスの話か?K作戦ってなんだよ」
「...入りずらい雰囲気だね...」
「ですわね...」
俺たちに覗かれているとはつゆ知らず、真面目そうに話し合いを続ける
「まず課題は瀨呂のテープを出す音の無音化だろ、そして俺と瀬呂のタイミング...そしていざという時のため...証拠隠滅に芦戸の個性の酸もほしいな」
「私?」
名前を出された芦戸が声を出す、音...テープ...瀬呂と上鳴...証拠隠滅...
....あ
「もしかして」
一つの結論にたどり着いた、どうやら耳郎も気づいたららしい、その時、上鳴が自信満々に頷きながら言った
「よし、俺はコレで林間合宿に行ける...このK計画...カンニングが上手くいけばな...!」
「な...何をおっしゃっていますの上鳴さん!」
「ゲッ!?ヤオモモ!?」
上鳴の発言を聞いた八百万が思わず講堂に入っていってしまった、芦戸と耳郎も入って行ったので、その後ろをついていく
何となく察しはついてたが...瀬呂のテープに答えを書いてそれを上鳴に伸ばしてカンニングするって作戦だったらしい
「証拠隠滅ってなによー!私にもカンニングの片棒担がせるつもりだったの!?サイッテー!」
「んなこったろうと思ったが...バカだろ...」
「つーか尾白も瀨呂も乗ってんなよ」
あまりにも真剣だったから、という理由で乗ってしまったらしい、なぜその真剣さを勉強に向けられないんだ...
「だってこれ以上頭に入んねーんだもん!!そしたらもうカンニングしかねーと思って...!!」
項垂れる上鳴、しゃーない、少し発破かけてやるか
「上鳴、お前入試もカンニングして入ったのか?」
「ち...違う!!ギリギリだったかもしんねえけど、そこは正々堂々受験したぜ!」
「なら今回だって大丈夫だ、300倍を潜り抜けてきたんだろ?出来るはずだよ、実績があるんだから、俺はお前はやれば出来るやつだって信じてるよ」
「か...回能先生ぇ...!!」
俺の言葉に涙を流しながらやる気を出す上鳴、後ろで芦戸と耳郎が「なんか教祖みたい」とか、「アイツ人のやる気出すのはうまいんだよな」とか、聞こえてんぞ、そこ女子二人、俺のセクシーショットで脳殺してやろうか
なんて茶番はさておき、ようやくやる気を出した上鳴
「俺頑張るよ、先生!」
「その調子だ、上鳴」
「みんなで頑張るぞー!」と声をあげる上鳴、そんな上鳴の口にヤオママ特製のクッキーを二枚放り込んでやる、すると悶絶し始めた、はは、おもろ
ともかく今は頑張ろう、もう少しすれば甘いケーキがやってくる
その後は滞りなく勉強会が続いた、上鳴も順調に勉強を進め、始めた頃とは比べ物にならないほど成長していた
しばらくして、時間も良い所なので今日は解散することに、ヤオママに挨拶を済ませて八百万宅を出て駅で解散
ヤオママに挨拶する時、俺の性別をカミングアウトしたら、ヤオママだけでなく執事さんやメイドさん達も目を丸くして驚いてた、面白かったなぁあの顔
ともあれ、勉強は順調だった、この調子なら、実技で何事もなければ合格出来るだろう...
休日はあっという間に終わり、試験の日がやってきた、俺もしっかり頑張ろう
そんな心意気を胸に、今日も雄英へと歩みを進めた
どうも猫耳の人です、めちゃくちゃ長くなりました、すんません
さてさて、次回はいよいよ演習試験、色々考えましたが...
やはり本編とは少し違うことをしようと考えています
何があるのかは次回のお楽しみという事で
それでは、次回もお楽しみに
回能彩目は
-
攻め
-
受け