ひでぇぜ雄英
期末試験当日、数日に分けて行われる試験だ、最初の三日は筆記試験、そして四日目の最終日に演習試験が行われる
「...他人に教えるってのも案外悪く無いのかもな」
筆記試験中、誰にも聞こえない声量でそう呟く、なにせ今まで完璧に理解が出来ていなかった箇所がハッキリと理解できていたのだ
他者に教えるという事も勉強の一貫になるとはよく言ったものだ
さて、そんなこんなで筆記試験は終了、上鳴達も筆記試験は手応えがあったようで俺と八百万に報告をしてくれた、良かった良かった
そんなこんなで演習試験当日、俺達はヒーローコスチュームを身にまとい、バス停に集合していた
「それじゃあ演習試験を始めていく、この試験でも勿論赤点はある、林間合宿行きたけりゃみっともねぇヘマはするなよ」
俺たちの前には相澤先生...だけでなく、スナイプ先生やセメントス先生、エクトプラズム先生、他にも複数人居る
「なんか先生多いな...?」
「.....」
嫌な予感が当たってしまったようだ...
「諸君なら事前に情報仕入れて何するか、薄々わかってるとは思うが...」
「入試みてぇなロボ無双だろ!!」
「花火!!カレー!!肝試しー!!」
相澤先生の言葉にそうはしゃぐ上鳴と芦戸、がしかし
「残念!!諸事情があって今回から内容を変更しちゃうのさ!」
相澤先生の捕縛布の中からひょっこりと姿を現したのは、我らが校長先生だ、校長先生の言葉に芦戸と上鳴の顔に影が差す、ドンマイ
「変更って...内容は?」
俺が質問すると、校長先生は訳を話してくれた
曰く、ヴィラン活性化の恐れがあり、それを未然に防ぐことが一番だが、雄英としては万全を期したいとのこと
故に、これからの社会は、現状以上に対ヴィラン戦闘が激化すると考えれば...
ロボとの戦闘訓練は実践的では無い、という結論に至ったらしい
そうなれば、試験内容はどうするか、より実戦に則した試験内容になる、つまりは...
「これからは対人戦闘・活動を見据えた、より実戦に近い教えを重視するのさ!というわけで...諸君らにはこれから、
やっぱこうなるか...ペアの人ごめん、もしかしたら足引っ張るかも
「先...生方と...?」
「尚、ペアの組と対戦する教師は既に決定済み、動きの傾向や成績、親密度...諸々踏まえた上で組ませてもらった...が」
いよいよペアの発表かと思われたその時、相澤先生が俺の方を向く、え、何ですか、なんかついてますか
「回能、お前は例外として、試験を二回行ってもらう」
「...はい?」
「返事したな、じゃあ説明するぞ」
「ちょっ、今の「はい?」は疑問符付いてますから!意味がわからないって意味ですよ!?」
俺がそういうが、相澤先生は無視して話を進めた、え?酷くない?
「動きや傾向など、諸々踏まえて組ませてもらったとは言ったが...お前には課題らしい課題が見つからなかった、それどころか、普通に試験をさせるんじゃ簡単にクリアされちまいそうだからな、めんどくせえ」
「褒めるか貶すかどっちかにしてくださいよ」
「だからお前だけは、午後のB組の試験にも参加してもらう」
「えぇ...」
マジすか先生、チラッと他の先生を見てみると、俺の目を見て頷いた、総意かよチクショウ...!!
「もちろん合否判定は二回あるからな、合格できなきゃ補習だ」
「自由すぎるよ...」
膝から崩れ落ちる俺、酷いよ...俺が何したっていうんだ...
そんな俺を置いてペアと対戦相手の発表が始まった、ひどぉい
轟、八百万ペア対相澤先生
緑谷、爆豪ペア対オールマイト
上鳴、芦戸ペア対根津校長
麗日、青山ペア対13号
耳郎、口田ペア対プレゼントマイク
常闇、蛙吹ペア対エクトプラズム
瀬呂、峰田ペア対ミッドナイト
障子、葉隠ぺア対スナイプ
切島、回能ペア対セメントス
飯田、尾白ペア対パワーローダー
...セメントス先生か...面倒な相手だ
「それぞれステージを用意してある、10組一斉にスタートだ、試験の概要については各々の対戦相手から説明される、移動は学内バスだ、時間が勿体無い、速やかに乗れ」
相澤先生に促され、俺の切島はセメントス先生とバスに乗る
「よろしくな回能!!」
「うん、よろしく」
バスに乗ると、隣の切島が話しかけて来た
「にしてもペアが回能か...なんか気が楽になったぜ!」
「....どうだろうね、もしかしたら足引っ張るかも」
「個性の関係だろ?気にしねえって!」
「いや、そうじゃ無い」
切島の言葉に俺がそう答えると、切島が不思議そうな顔で俺を見る
「...相澤先生が言ってただろ、俺が居ると簡単にクリアされてしまう可能性があるって」
「言ってたな...それがどうかしたのか?」
「...多分、何かしら俺に縛りが課せられる、俺はもちろん、切島にも負担が掛かるようなデカめのがな」
「....マジかよ....」
そんなこんなで試験会場に到着、辿り着いたのは市街地エリア、入試で使ったグラウンドβだ、俺たちはセメントス先生とバスを降り、試験の概要を聞く
試験の内容はこうだ
制限時間は30分、俺たちの目的は、支給されたハンドカフスを先生に掛ける事、或いはペアのどちらかが試験会場から脱出すること、それでこの試験がクリアとなる
重要なのは、どちらかの条件を満たした時、「試験がクリア」になるという事、赤点かどうかはクリアだけでは決まらないとの事
そして、この試験、戦闘を視野に入れさせる為、教師側は体重の半分の重さのおもりを着用する、良いハンデだ、そして...
「バスでの予想通り、回能くん、君にはいくつか縛りを加えさせて貰うよ」
「やっぱりか...」
何となく予想はしてたよ...実際相澤先生がそう言ってたようなもんだし...
「で?その縛りってなんですか?」
「縛りの内容は..,」
その1
俺達はフィールドから出ても試験合格扱いにはならない事
その2
カフスを掛けるのは切島でなければならない
その3
スロットの使用は一度まで
以上三つだ、成る程成る程、厳しくない?特に三つ目の縛りがキツい、(運が良ければ)臨機応変に対応できるのが俺の個性の強みだってのに、厳しいなこりゃ
「...不確定要素を無くして戦いやすくする...って訳か...」
「そう、ぶっちゃけ、俺もノリに乗ってる君とは戦いたく無い」
最後に詳しい説明を受け、セメントス先生が先にフィールドに入って行った、しばらくしてから俺たちもフィールドに入る、すると...
『皆位置に着いたね』
リカバリガールからのアナウンスが入る、そして...
『それじゃあ今から雄英高校一年、期末テストを始めるよ!レディー...ゴォ!』
試験、開始だ
◇
「...さて、この試験どうしたものかな」
「どうって...正面からぶち抜くしかねぇだろ!!」
「落ち着け単細胞、この試験の構造に気づかないのか」
「構造?」
切島が首を傾げる、やっぱ気付いてなかったんかい、まぁいい、とりあえず俺は切島に試験の構造を説明する
「俺に対してはどうかわからんが...この試験、意図的に生徒の弱点、欠点に特攻が入るよう組み合わせがされてる」
「弱点...」
「切島の場合は持久力だ」
他の組み合わせでわかりやすいのはプレゼントマイク先生ん所と校長の所だ
動かず攻撃出来てかつ、個性に制限時間は無いセメントス先生、対する切島は制限時間あり、しかも近づかなきゃ攻撃出来ない
「だから、セメントス先生相手に正面からってのは却下、絶対クリアできない」
「じゃあどうすんだ!?」
頭を抱えながら俺にそう問いかける切島、ぶっちゃけ、俺もセメントス先生とは真正面から戦いたくなかった、でも逆に、今回の相手がセメントス先生で良かったとも思っている、何故かって?対応がしやすいからだよ
「策はある、今から説明するからよく聞いてろ」
「おう!」
「まずは━━━」
・・・・・・・・・・
「....」
フィールド中央の大通り、セメントスはそこで俺と切島を待ち構えていた、個性が個性だからな、自分から動く必要無しってわけだ
ほんと強すぎるよセメントス先生
俺が相手じゃなきゃね
「...ん?」
「ハローセメントス先生」
「...君一人かい?」
「そうですよ、俺が一人であなたを行動不能にします」
その言葉と同時に、俺が構える、今回引いた能力は「加速」、効果は文字通り、自身の肉体を加速させる、その一つのみ
「じゃあ...やりましょうか」
ダンッ!
俺が一歩踏み込むと同時に、俺の周りをコンクリートが覆う、セメントス先生の個性だ、セメントを自由自在に操る個性、現代社会では最強の部類に入る個性だ
「はぁっ!」
バガァンッ!
加速した拳を用いて一撃でコンクリの壁をぶち抜く、ゴリ押しは趣味じゃ無いんだけどな!!
「まだまだ」
余裕綽々といった様子で何枚もコンクリの壁を量産していくセメントス先生、めんどくさいわぁ...ちゃんと作戦立てといて良かったよ
「そらっ!!」
コンクリの壁を打ち抜きまくり、ようやくセメントス先生が見えた
「覚悟!!」
「甘いよ」
「!!」
俺がセメントス先生に踏み込むと、再びコンクリの壁に阻まれた、確かに甘えた行動だったな、でも...
「先生もね」
「!!」
「今度はこっちの番ですよ!!」
それは俺以外ならの話だ、突如、セメントス先生の背後に現れた俺、それに驚くセメントス先生、しかしさすがプロヒーローと言ったところか、すぐさま対応し、俺の前にセメントの壁を出す、が...
バガァンッ!!
「!!」
「だから甘いですってェ!」
しかし
「まだまだァ!」
「っ...!!」
ドゴォッ!!
正面に現れた俺の拳がセメントス先生の腹部に突き刺さった、よろけるセメントス先生、さらに追撃を仕掛けようとするが、またドームに閉じ込められた
「ちっ...めんどくさいなぁもう...」
俺が何をしたのか、簡単だ、分身を使ったのだ、馬鹿みたいな突進と破壊でセメントス先生の意識を
だが、コレで終わりでは無い、本命はアイツだ
「おぉぉぉぉらぁぁぁぁぁ!!!」
「!?」
突如、切島を抱えた俺が空中から現れた、突然の事に一瞬反応が遅れたセメントス先生、その一瞬が命取りだった
「はぁっ!!」
「ぐっ...!?」
俺から意識が離れた一瞬、その一瞬でセメントス先生の懐に潜り込み、腹部に一撃、それと同時に、空から降ってきた切島がセメントス先生を拘束、カフスを掛けた
『回能・切島ペア、轟・八百万ペア、試験クリアだよ』
「お、八百万達もクリアしたか」
「やったな!!」
「...やられたよ、回能君の対応にばかり集中して切島君が頭から抜けていた」
切島にカフスを掛けられたセメントスが立ち上がりながらそう話す、まぁそうなるよう仕向けましたし
「ミスディレクション*1、マジックの基本的な技術ですよ、ちょっと違うけど」
「...なんかわかんねえけどすげぇな!!」
ははは、カッコつけたのが台無しじゃ無いかこの野郎
何て悪ふざけもしつつ、試験をクリアした俺たちは控え室で他の組みの試験を見学することに
「あら、回能さん、お疲れ様ですわ」
「お、八百万、お疲れ様、合格おめでとう」
「回能さんも、おめでとう御座います」
控え室に行くと、八百万が先に居た、軽く会話を交わしつつ、俺は八百万の隣に立つ
画面を見ると、緑谷・爆豪ペア、常闇・蛙吹ペア、障子・葉隠ペアがクリアしていた
「おお、続々と合格してるな」
「ですわね」
特に意外だったのが緑谷と爆豪のペア、あそこオールマイトだろ?しかも相性最悪のペア...合格してももっと遅いかと思ってた、ぶっちゃけ、もっと言えば不合格になるかもと思ってたが...
「やるじゃん」
思わずそう呟いてしまった、さてさて、他のペアは...
「うわぁ...」
「これは...」
目に映ったのは上鳴・芦戸ペア、相手は校長だ
校長は重機に乗ってフィールドを破壊している、しかもその破壊は、脱出ゲートへの道を塞ぐように連鎖している
コンセプトはズバリ「頭脳」、校長の個性は「ハイスペック」、人間以上の頭脳が発言した動物という、まさかまさかの唯一無二の存在らしい
「これ相当きついんじゃ無いか...?」
「芦戸さんの酸も...使う暇が無いですわ...」
破壊した側から破壊されていく、これ下手したら死ぬんじゃねえか...?
次は...お、耳郎んとこだ、フィールドは森、この二人のコンセプトはわかりやすい、二人とも音にまつわる個性、そして、その音をかき消すほどの声量を持つプレゼントマイク、コレは...
「口田が鍵になりそうだな...」
「あら?口田さんが何かに怯えて...」
ほんとだ、なんか耳郎が手を近づけると怯えてる、なんだ?と思っていると、耳郎が近くにあった岩にピンジャックを刺す、すると岩が砕け...
ぞわっ...
...大量の虫が居た、口田は虫に怯えてたのか...数秒葛藤して、虫に個性を発動、地面に虫達が潜っていく、数秒して、口田が個性を発動した虫達がプレゼントマイクの脚に群がる、するとプレゼントマイクは気絶、そのままクリアとなった
「......」
「回能さん、顔が青いですわよ」
「...虫...エグいことするなぁ...」
虫に関する能力は俺も持ってる、がしかし、アレは誰でもキツい、プロとか関係ないよコレ...
それに続くように、麗日・青山ペア、峰田・瀬呂ペアも合格、しかし瀬呂は眠らされていたのでギリギリだろう
と、ここで...
『タイムアップ!!期末試験、これにて終了だよ!!』
期末試験終了のアナウンスがされた、これにてA組実技試験は終了、条件を達成できなかったのは上鳴・芦戸ペアだけだった
「ふーっ...みんなはこの後帰るんだろ?気をつけて帰れよ」
「回能さんは...B組の試験にも参加するんでしたよね...頑張ってください!!」
「あんがと、頑張ってくるよ」
八百万とそう会話を交わして準備に向かった、あ、昼飯どーしよ、飯帰りに食うつもりだったんだけど...
ま、何とかなるか
みなさんどうも猫耳の人です
次回は完全オリジナル回、ちなみにペア?はもう決まっていますので
良ければ予想してみてくださいな
次回もお楽しみに
回能彩目は
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攻め
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受け