無敵のヒーロー(自称)   作:猫耳の人

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蠢く悪意はすぐそこに






第三十話 悪夢ってお腹に重いもの乗ってると見るらしいよね

 

林間合宿三日目昼

 

続・個性を伸ばす訓練

 

 

 

 

「お゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛....」

 

 

「また吐いてるよアイツ...」

「定期的に吐いてるよな...」

「あの綺麗な顔で思いっきり吐いてるんだもんな...頭混乱してきたよ...」

 

俺は相変わらず吐いていた、あまりの重量は昨日から70kg増加して200kg、おもりを装着しつつ、ひたすら瞬間移動、身体能力の強化及び瞬間移動の最大射程の拡張を行っている

 

「補習組、動き止まってるぞ」

「すいません...ちょっと眠くて...」

「昨日の補習が....」

 

補習組の三人がグタッとしている、なんと昨日の補習、夜中の二時までやっていたそうだ、そらきついわ、実質睡眠時間が五時間ちょっとだもん

 

「だから言ったろキツいって」

 

上鳴の個性はキャパが直接死活に関わる、容量を増やすには反復して使い続けるのが基本、瀬呂は容量に加え、テープの強度や射出速度の強化、芦戸も溶解液の長時間使用によって皮膚に限度がある、その耐久度を強化している

 

「そして何より期末で露呈した立ち回りの脆弱さ!お前らが何故他より疲れているか、その意味をしっかり考えて動け」

 

確かに、相性が悪かったとはいえ、ちょっと工夫すれば合格できた試験だった、相澤先生の言う通り、彼らの立ち回りは脆弱だったという他ない、そして、合格こそしたものの、麗日と青山、この二人は赤点ギリギリだったらしい

 

「気を抜くなよ、皆もダラダラやるな」

 

相澤先生曰く、何をするにも常に原点を意識しろとのこと、向上というのはそういうものだ、何の為に汗をかき、何の為にこうしてグチグチ言われているのか、その理由を常に頭に置いておかなければならない

 

原点...か....

 

俺の原点は.....

 

「回能君、ちょっと良いかな?」

「ラグドール...なんでしょうか」

「昨日聞かれたことについてね」

「...ああ、「ホークアイ」の...」

 

昨晩、ラグドールにあった用というのは「ホークアイ」についてだ、ラグドールの個性「サーチ」と、俺の「ホークアイ」は類似点が多い、だからどういう使い方をしているか、どう使えば良いのかなど、多少大雑把だが質問をした、昨晩は時間も時間だったのでどう使っているかだけを聞いたのだ

 

「色々考えたんだけど...わかんにゃい!」

「えぇ...」

 

にぱーっと笑うラグドール、まじかぁ...わかんないかぁ...

 

「そもそも、あちきの「サーチ」と君の「ホークアイ」、確かに情報収集って点では似てるけど...全然違うの」

「違う...まぁ確かに」

 

ラグドールの言う通り、俺の「ホークアイ」とラグドールの「サーチ」は似て非なる物だ

ラグドールの「サーチ」、これは「人」に対しての個性だ、その目で見た人間の情報が百人までわかるし、その情報はラグドール自身の個性に保存される

対する俺の「ホークアイ」、これは「視界に映るもの全て」に適応される、そう、全てだ、人だけでなく無機物にも、俺のホークアイは適応される、例えば...その辺の木を一本見たとしよう、その一本の木から得られる情報は...

 

 

木がいつ生えたか、何年生えているのか、葉の総数、葉一枚一枚の状態、幹の状態etc....

 

 

それらが目に入ったと認識した時点で強制的に頭に流れ込んでくる、つまり視野を広くすると余計な情報が大量に入ってくる訳だ、しかも、その情報は保存できず、ダイレクトで脳内に入り込んでくる、するとどうなるか、脳がキャパオーバーを起こし、脳と身体に多大な負荷が掛かる

だから俺は、「ホークアイ」を使う時、()()()()視野を狭め、獲得する情報を絞っている、詳しく知ると、ラグドールの「サーチ」とは何もかもが違う

 

「だからあちきが教えられるの事はないかな、ごめんね、力になれなくて」

「いえ、ダメ元で聞いたことですし、気にしないでください」

 

申し訳なさそうにそう話すラグドールにそう話すと、たちまち表情が明るくなった、分かりやすいなこの人

 

「ねこねこねこ...それより皆!今日の晩はねぇ...クラス対抗肝試しを決行するよ!!しっかり訓練した後はしっかり楽しいことがある!!ザ!アメとムチ!」

「ああ...忘れてた!」

「怖いのマジやだぁ...」

「闇の狂宴...」

 

あらら、耳郎は怖いの苦手なのか、俺は大好きだけど...大丈夫かしら

 

「対抗ってところが気に入った」

「というわけで、今は全力で励むのだぁ!!」

「イエッサァ!!!」

 

物間がまた対抗心出してる、変なことしなきゃ良いけど...ま、今は訓練に集中しよう、ラグドールと話して酔いも少し収まった、一日中瞬間移動を繰り返すだけでだいぶ伸びたな、身体能力も射程距離も、一日の訓練だけで人は100kgまで持つことができて、最高射程は75mくらいまだ伸びた、それだけじゃない、少しだが酔いも軽減されてきた、射程距離は林間合宿中に200mくらい行くんじゃないかな

そう思ったら楽しくなってきた、今日も頑張ろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

訓練を終え、夕食の準備中

 

「爆豪く包丁使うのウマ!意外やわ...!」

「意外って何だコラ包丁に上手い下手なんざねぇだろ!!」

「出た!久々才能マン」

「皆元気すぎ...」

 

今日も今日とて騒がしく夕食の準備をしている、俺は昨日のカレーが好評だったため味付け担当に、て事で、仕事がないから飯盒いこっと

 

「お、回能」

「ん?どしたん轟」

 

俺が飯盒場所へ向かうと、緑谷と轟を発見、轟達も俺に気がついたようで話しかけてきた、なんか悩んだような顔の緑谷と表情の変わらない轟、何かあったのか?

 

「回能は個性を嫌ってる子供を見たらなんて言うんだ?」

「え、何急に」

「色々省略しすぎだよ轟君!!えっとね回能君、実は....」

 

緑谷が俺に詳しく説明してくれた

なにやら緑谷の緑谷を殴った洸太君がこの社会...個性ありきの超人社会そのものを嫌っていて、昨晩緑谷が話をしに行ったらしいのだが、結局洸太君の為になるような事を何も言えなかった、だから轟や俺ならなんて声を掛けるのか聞いていたらしい

....難しい質問だな

 

「....肯定も否定もしてやれないな、ポッと出の奴が何言っても響かんだろうし」

「...だよね...」

「....ま、結局の所何を言ってもその子自身の心が変わらない限りは何も響かないと思うぞ、それこそ、ヒーローに憧れるような劇的な何かがない限りな」

 

人の心ってのはそうそう変わらない、本人が変わりたいと思えば変われるが...本人にその気が無いのなら、第三者がいくら介入しようと意味はない、でも変われない訳じゃない、逆に言って仕舞えば、変わりたいと思えば誰でも変われるのだから、俺はそういう人を見たことがある

 

「...だがまぁ...何か行動を起こして、それが無駄だったって事はないと思うぞ、思い詰めるくらいなら、もっかい真正面からぶつかってみろ」

「...うん!」

「君たち手が止まっているぞ!!最高の肉じゃがを作るんだ!!」

 

俺らが話している間も相変わらずフルスロットルな飯田、さて、俺も持ち場に戻るとするかね

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「...さて!腹も膨れた皿も洗った!!お次は...」

「肝を試す時間だー!!!」

 

肉じゃがを食べ終え、アメの時間、肝試しタイムだ、芦戸と上鳴がはしゃいでる、楽しみにしてたもんな、だが、そんな彼らに悲報が...

 

「その前に、大変心苦しいが、補習連中はこれから俺と補習授業だ」

 

 

 

 

「ウソだろ!?!?」

 

 

 

 

 

うわぁ凄い表情、まぁ楽しみにしてたモンが無くなるんだし、そんな反応するわな

相澤先生が捕縛布で芦戸、上鳴、瀬呂を引きずっていく、何やら日中の訓練が思っていたより動きが悪かったらしく、肝試しの時間を削るとの事、アメは?

 

「うわぁぁ!!堪忍してくれぇ!!試させてくれぇ!!」

 

ドンマイ、君らの分まで俺らが肝を試しておくよ....

はい、というわけでルール説明だ、先行はB組、俺たちA組生徒は二人一組で三分おきに出発、決められたルートを驚かされながら進み、ルートの真ん中にある名前が書かれたお札を持って帰って来ること、それが今回のルールだ

 

「闇の狂宴...」

 

また言ってる、ていうかいつも騒がしいメンバーが居ないからすんごい静か、空気が神妙だよ相澤先生

 

「脅かす側は直接接触禁止で、個性を使った脅かしネタを披露してくるよ」

「創意工夫でより多くの人数を失禁させたクラスが勝者だ!!」

「やめて下さい汚い...」

 

せんせー!!!この肝試し社会的に殺そうとしてきてまーす!!高校生で失禁なんてした暁には一生の笑いもんだぞ、勘弁してくれよ、ホラー大好きな俺はともかく苦手な人は洒落にならんぞ

....あれ?二人組...二十人で三人補習ってことは奇数人数だから....

 

「一人余る...!」

 

選ばれたのは緑谷でした、ドンマイ緑谷、くじ引き故に誰かが必ずこうなる運命だし仕方ない、ツイてなかったな緑谷、さてさて、俺のペアは誰かな

ペアの人を探していると、不意に服の裾がクイクイと引かれた、そちらを向いてみると...

 

「ねぇ回能...アンタ怖いの大丈夫...?」

 

耳郎が居た、俺のペアは耳郎らしい、顔を青くして震えながら俺の服を引っ張ってる、何この生物、めちゃくちゃ可愛いんだけど

 

「怖いの大好きだよ俺」

「じゃあ...服掴んでても良い...?」

「良いよ」

「ありがとう...」

 

可愛い、震えながら俺の服をキュッと掴む耳郎、可愛い

いかんいかん、可愛いbotになってしまった、さて本題に戻ろう、俺らの順番は三番目、かなり早めだ、障子常闇ペア、轟爆豪ペアを見送ってから俺らの順番だ

てなわけでカット!!八分後...

 

「三組目!耳郎キティと回能キティ!!GO!」

「うぅ...」

「さー行こー!」

「なんでそんなテンション高いの...」

 

ピクシーボブに促され、俺達はスタート地点からゆっくりと歩き出した、さーてどんな怖いのが待ってるかな!!

俺実はホラゲーめちゃくちゃやってるからホラー演出には厳しいぜ、どんな演出か楽しみだ

 

 

 

━━━━━━━

 

 

「うぅ〜....回能ぉ〜...」

「.......」

 

結論から言おう、割と拍子抜けだった、確かにビックリはする演出が多かったね、でも来るって理解してるとジャンプスケア*1ってあんまり驚かないのよね、もっとこう....じわじわ怖がらせた後のビックリ演出だったらもっと驚いたんだけど...

それよりね?それより...さっきから耳郎が俺の腕をガッチリホールドしてるわけよ

数回びっくり演出を受けてこうなってしまった、涙目だし、震えてるし、おっぱい当たってるし、言ったらぶっ殺されそうだけど、耳郎の胸って小さいけど無いわけじゃないのよ、ちゃんと柔らかいのよ、多分耳郎俺が男だって忘れてない?ガッツリ密着してるけど....

 

「回能ぉ...離れないでぇ...怖いぃ...」

「はいはい、ここに居るからね」

 

ん〜〜〜〜可愛い、めちゃくちゃ可愛い、涙目でプルプル震えながら俺の腕をガッチリ抱きしめてる、これ邪な気持ちより耳郎が可愛いって気持ちしか出て来ないわ、アレだ、大型犬みたいな感じだ

 

「じゃあ進もっか」

「うぅ〜...やだぁ..,」

 

駄々っ子みたいになってる、可愛い

取り敢えず進まないとどうにもならないので、耳郎を引いて進んでいく

と、その時

 

「....ん?」

 

目の前に煙のような物が漂ってきた、何だコレ、爆豪と轟が個性使ったのか?前のペアだったし...

.....いや、違う

 

「ふぇ...///回能...?そんな...急に...んむっ!?」

 

俺は咄嗟に耳郎を抱きしめ、口を塞ぐ、どうなってやがる....アイツらの個性じゃこんな物出せないはず...

 

「口閉じてろ、このガス吸うなよ、有毒だ」

「ん!?」

 

一体何が...取り敢えずみんなに知らせねえと...

 

「耳郎、お前はここから戻れ、分身を二体着ける、そのうちの一体と一緒に施設に走れ」

「ん...ぷはっ...回能は...んむっ!」

「吸うなって...俺はこのまま進んでラグドールに異常を伝えて来る、多分少し戻れば八百万が居るハズだ、ガスマスクを作って貰え、安心しろ、俺は毒素に多少耐性があるんだ」

 

俺は一瞬耳郎から手を離し、すぐに分身二体を耳郎に着けた、一体は耳郎と一緒に施設に、もう一体は八百万からガスマスクを受け取り次第全員の救助に、ラグドールが居る場所に到着し次第、分身二体を先に進ませ、二手に別れてもらい、B組の救助に向かわせる、能力は各分身に抽選させる、「もしも」の可能性もある、警戒するに越したことは無い

 

「よし、行け!」

 

俺は分身に指示を出し、ラグドールの元へ走る、嫌な予感が当たらなきゃ良いが....

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈no side〉

 

「何で...!万全を期したハズじゃあ...!!何で...何でヴィランがいるんだよォ!」

 

施設前、肝試しのスタート地点にて、峰田の叫びがこだまする、理由はたった一つ、「万全を期した」、その言葉を信じて来た合宿に、居るはずのないヴィランが現れたからだ

ピクシーボブがそのヴィランの一人にやられてしまった

どこから情報が漏れたのか、誰もわからない

 

「ピクシーボブ!!」

「やばい...!」

 

マンダレイが小さく呟く、側から聞けば、目の前のピクシーボブがやられた事に対しての言葉だと思うだろう、しかし、しかし緑谷だけは、隠された別の意味を理解できた

 

(洸太君....!!)

 

秘密基地に一人で居る洸太君、彼の事を、緑谷だけが知っていた、敷地内に散らばっている仲間達も居る、ヴィランの目的は一体...

 

*1
ホラゲーでよくあるいわゆるビックリ演出




みなさんどうも猫耳の人です
ちょっと半端なところで切ってしまいました
次回からどんどん加速していきますよ
次回もお楽しみに
お気に入り、感想、評価等々いただけると作者が狂喜乱舞します

回能彩目は

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