無敵のヒーロー(自称)   作:猫耳の人

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がめつい男は嫌われるぜ?






第三十三話 おじさんは恋愛対象外です

 

〈no side〉

 

前回、病院前での一悶着を終えた、改めて爆豪と回能の救出に向かっている一同

 

「...暴力を振るってしまった事...陳謝する、ごめん...」

「本当ですわ飯田さん、同行する理由に対し説得力が欠けてしまいます」

「大丈夫だよ、気にして無いから」

 

殴ってしまったことに対し、緑谷に頭を下げる、緑谷は気にしていないと飯田に言った

 

「俺は...君達の行動に納得いかないからこそ同行する、少しでも戦闘の可能性を匂わせれば即座に引き戻すからな...!」

 

言わば監視者(ウォッチマン)、彼らの命と安全を守る為に同行する、ウォッチマン飯田だ

 

「私もですわ、これはプロの仕事、側から見れば、あなた方が出張る必要性は一切ありません...しかし、私も同じ気持ちです、お二人を奪われた事、私もとても悔しいと思っています、だからこその妥協案ということをお忘れなきよう」

 

八百万が取り出したのは、発信機からの信号を受信する受信機だ、その受信機が信号を受け取っている、信号を発している場所に向かおうと病院を出たその時

 

「待って!!」

 

誰かが、緑谷達に待ったをかけた、声のした方を見てみると、ボブカットで、耳にプラグが垂れた女の子、耳郎響香が、息を切らしながらそこに居た

 

「耳郎さん...」

「ウチも...連れてって!!」

 

突然の発言に皆が驚く、すると、耳郎が話し始めた

 

「ウチ...回能に救けられてばっかりで...合宿の時も...ずっと救けられてきたんだ...だからさ...今度はウチが...回能を救けたい...だからお願い!」

「....今更一人増えたところで変わらねえからな、良いぞ」

「轟くん!?」

「....!ありがとう!」

 

耳郎に轟がそう答えた、5人のメンバーに耳郎を加えた6人で爆豪、回能の救出に向かうことに、病院を出て、全員で駅に到着、新幹線に乗り、発信機を頼りに、回能、あるいは爆豪が居るであろう場所に向かい始めた

発信機の示している座標は、「神奈川県横浜市神野区」、緑谷達が居る長野からだと約二時間、時間にして10時ごろの到着となる

 

「あの...この出発とか詳細って皆に伝えてるの?」

「ああ、言ったら余計止められたけどな」

「あの後麗日がダメ押しでキチい事言ってくれたぜ」

 

新幹線で、各々が食事をしながらそう話す、切島が麗日に言われた事...それは...

 

 

『回能くんはともかく...爆豪くんきっと...皆に救けられんの屈辱なんと違うかな...』

 

その言葉に、緑谷が、爆豪に誘拐される直前に言われたことを思い出す

 

『来んな、デク』

 

麗日の言葉と爆豪の言葉が重なり、そうなのでは無いかと、否、絶対にそうだと言う考えが頭に浮かび上がった、爆豪はプライドが高い、それも並大抵ではない、自称プライドの高い人間とは比べ物にならないほどだ

 

「...一応聞いとく、俺たちのやろうとしてる事は誰からも認められねえエゴってヤツだ、引き返すならまだ間に合うぞ」

「迷うくらいならそもそも言わねえ!あいつらはヴィランのいいようにされていいタマじゃねえんだ...!」

「ウチも、迷うくらいならそもそもここに来てない、今更迷うなんてありえないよ」

「僕は...」

 

緑谷が、かつてオールマイトに言われた事を思い出す、余計なお世話はヒーローの本質だと...

緑谷は、オールマイトに全部もらった、個性も、人生も、全て、故に、そのオールマイトが認めてくれた以上...

 

「後戻りなんて出来ない」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二時間後、神野区に到着した一同、夜中の10時だと言うのに街は明るく、人がごった返している

 

「ついた!神野区!」

「この街のどこかに奴らが潜んでんのか」

「人多いね...」

「さァどこだ八百万!」

「お待ちください!!」

 

真っ先に走り出した切島を止める八百万、こんな街中だ、学生だけで歩いていては怪しまれる

 

「ここからは用心に用心を重ねませんと!!私達はヴィランに顔を知られているんですのよ!!」

「うん、オンミツだ」

「それ逆に目立ってるよ緑谷...」

「しかしそれでは偵察もままならんな」

「そこで私...提案がありましてよ!?」

 

確かに、この格好で動き回ってはかえって目立つ、しかし、隠密行動を徹底しては逆に爆豪回能の探索も満足に出来やしない、ならばどうするか...

八百万が指差した先には、某激安の王道...ドンキ・オオテがあった

 

 

━━━━━━

 

「オッラァ!!コッラァ!!」

「違え、もっと顎をクイクイやんだよ」

「オッラァ!」

 

髪をオールバックにし、サングラスに着け髭までしてコッテコテのチンピラスタイルで出てきたのは、なんと緑谷だ、そんな緑谷と一緒に出てきたのは、まるでホストのような風貌の轟と耳郎、キャバ嬢のような八百万、蝶ネクタイにサスペンダーの飯田、ツノみたいな何かを頭につけた切島だ

 

「夜の繁華街!子供がうろつくと目立ちますものね!」

「なんでウチが男装...」

「パイオツカイデーチャンネーイルヨー!!」

 

なんともカオスな光景だ、回能が居れば腹を抱えて笑っている状況だろう

 

「八百万、「創造」で創ればただだったんじゃねぇか?」

「そそ...ソレはルール違反ですわ!!私の個性で好き勝手に作り出してしまうと流通が...そう!国民の一人として...うん!回さねばなりませんもの!経済を!」

 

ドンキ入りたかったんだねこのピュアセレブめ、なんとも緊張感の無い光景だ、遊びに来たわけじゃないんだぞ

と、その時

 

「お?雄英じゃん!!」

 

まさか変装までしたのに速攻バレたのか?なんて思考がよぎり、ギクッと彼らの体が跳ねる、誤魔化そうと咄嗟に振り返ると、ビルに設置された大きなモニターが目に映り、そこには、頭を下げる相澤先生、ブラドキング、根津校長の姿があった

 

『━━━では、先程行われた雄英高校謝罪会見の一部をご覧ください』

 

モニターの中では、相澤先生達三人が記者達の質問に答えていた

 

『この度、我々の不備からヒーロー科一年生25名に被害が及んでしまった事、ヒーロー育成の場でありながら、敵意への防衛を怠り、社会に不安を与えた事、謹んでお詫び申し上げます、誠に申し訳ございませんでした』

 

メディア嫌いな相澤先生まで出てきている、それほどまでに、今回の騒動は社会に大きな不信感を与えたのだと物語っていた

 

『NHAです、雄英高校ら今年に入って四回、生徒がヴィランと接触していますが、今回生徒に被害が出るまで、各ご家庭にはどのような説明をされていたのか、又、具体的にどのような対策を行ってきたのかお聞かせください』

 

...雄英体育祭の件から、雄英の基本姿勢は社会に伝えられている、把握していないといえば嘘になるが...それでも尚聞くというのは、雄英を悪者扱いしたいのだろう、嫌なやり口だ

 

『周辺地域の警備強化、校内防犯システム再検討、「強い姿勢」で生徒の安全を保証する...と説明しておりました』

「は?守れてねーじゃん」

「何言ってんだコイツら」

 

何をしようと、いくら対策を重ねていようと、結果が全て、「ヴィランに生徒が攫われた」という結果が...空気が淀んでいく、社会の悪意が、雄英に向けられていく

 

 

 

 

━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

記者会見の映像を見届け、緑谷達は発信機が示す場所に到着した、場所はおそらく目の前の廃倉庫だ

 

「これがアジト...いかにもだな!」

「わかりません...ただ、私が確認した限り、ヴィランは丸一日ここから動いてません」

 

そのヴィランがいるからといって、そこに回能や爆豪が居るとは限らない、八百万達が今、どれだけか細い情報でここに立っているのか、それを冷静に考える必要がある

 

「スニーク活動に秀でた者は耳郎くんしか居ない、故に少しでも危険だと判断したらすぐ止めるぞ、友であるからそこ、警察への通報も辞さんからな...!!」

「....ありがとう飯田君、できる範囲でできる事を...考えよう」

 

飯田の言葉に思考を始める緑谷、いつものブツブツタイムだ

 

「でた、ブツブツ」

「久々に見るな」

「緑谷さんって感じですわ」

 

飯田は知っている、一度決めて仕舞えば止まらない、それが緑谷という男だと、そんなところを、友として、ライバルとして尊敬している、しかし...

 

(これ以上は譲れない、今度は俺が守るんだ)

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

「電気も点いてねーし、中に人がいる感じはしねえな」

「木を隠すなら森の中...廃倉庫を装ってるわけだな....」

「耳郎さん、何か聞こえない?」

「....なにか話し声みたいなのが聞こえる...でもここからじゃよく聞こえない...多分防音か何かされてる、出来ればもう少し近づきたい」

「なら一旦離れよう」

 

発信機が示した建物に近づいている一同、かなり近づいたが反応は無い、それにここからでは中の様子も見えないし、耳郎もよく聞こえないとのこと、故にどうにかして近づきたいが...

 

「多くはねえが人通りもある...」

「目立つ動きはできないよ、どうする?」

「....裏に回ってみよう、どれだけか細くても、僕らにはここしか情報がない」

 

というわけで、全員で中が見えそうな路地裏に移動する、どうにか人一人が進めるスペースだ

 

「狭いですわ...つっかえそう...」

(発育の暴力...!)

 

路地裏での八百万の発言に、耳郎が自分の胸を見下ろしてそう考えてしまう、実は耳郎、サラシなどを巻いていない、下着は流石に着用しているが...まあそんなことはどうでもいい、今はこの倉庫の中の様子を知らなければ

 

「安全を確信出来ない限り動けない...ここなら人目はないし...!」 あの高さなら中の様子見れそうだよ!!」

 

緑谷が協力すれば辛うじて中が見えるであろう位置にある窓を発見した、あれなら肩車をすれば中が見えるだろう

 

「待って、その前にウチが聞いてみる」

 

中を覗く前に、耳郎が個性を使い、中の音を聞く、いくら防音がされていようと、この距離ならば流石に聞こえる

 

「.....」

「どうだ耳郎、何か聞こえるか」

 

 

 

━━━━は━━━━い━━━━な

 

 

 

「...回能の声だ...!何か話してる...!」

「なんて言ってる?」

「....ごめん、途切れ途切れでよくわからない、取り敢えず中の様子を!」

「この暗さで見れるか?」

「それなら私暗視鏡を...」

 

八百万が暗視鏡を創造しようとすると、切島が待ったをかけた、一体何事かと切島の方を見ると、なんと既に暗視鏡を持っていた

 

「八百万、それ俺持ってきてんだな実は」

「ええすごい何で!?」

「アマゾンにはなんでもあってすぐ届くんだ...一つしか買えなかったけど、やれる事考えた時に要ると思ってよ」

「それめっちゃ高いやつじゃない!?僕もコスチューム考えてた時ネットで見たけど確か五万くらいしたような...」

「値段は良いんだよ、言うな」

 

 

かなり高い買い物であったのは間違いないそうだ、友人のためにここまで出来る切島は、間違いなく漢だろう

 

「よし、じゃあ...耳郎と切島が見ろ、俺と飯田で担ごう」

「あまり身を乗り出すなよ、危ないと思ったらすぐ逃げ出せるよう」

「うっ...狭い...」

「飯田、ちょっと下げれるか?」

 

轟と飯田に担がれ、暗視鏡で中を見る切島、何事もなければいいが...

 

「様子を教えたまえ、切島くん、どうなっている!?」

「んぁー...今んとこ回能は見えねえ...汚ねえだけで...特には.....うおっ!?」

「切島!?」

 

中を覗いていた切島が、突如驚愕の表情を浮かべてバランスを崩す、幸い飯田がバランスをと取り、転倒する事はなかったが...何かを見つけたことは間違い無いだろう

 

「どうした!何が見えた切島!!」

「っ...耳郎...!気をしっかり待てよ...!」

「!?」

 

震えながらそう言う切島が、耳郎に暗視鏡を手渡す、恐る恐るといった様子で廃倉庫の中を覗く耳郎、そこで発見したのは....

 

「......!!!うそ...」

 

....ラグドールを背負い、血みどろになりながら、無数の脳無と戦う、ボロボロの回能の姿だった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈回能side〉

 

 

「....っ...」

 

突如上半身に走る鋭い痛みで目を覚ます、ここ...何処だ...?確か俺はラグドールを救けに行って...それから...っ!?

ズキリと痛む体の傷、見れば、脳無から受けた大きな傷が雑な縫合をされ、止血されていた、誰だ一体....!!それよりラグドールは!

 

「....居ない...!」

 

顔を上げて辺りを見渡す、辺りは真っ暗でよく見えないが、少なくとも視界の中には居ない...後ろはどうだ?

と、後ろを振り返ろうとすると、体が動かないことに気がついた

 

「っ...まぁそりゃそうか...」

 

むしろなんで今まで気がつかなかったんだ...体は椅子に括り付けられ、両腕が拘束具で拘束されている、これじゃ満足に動けやしない....

といっても、下手に動けば傷が開く、わざと雑に縫合しやがったな...

 

「.....暗くてよく見えないな...」

 

こうなるんなら「ホークアイ」から変えなきゃよかったな...いや、変えなきゃあそこで負けてただろうし...ん?どちらにせよ負けてここにいるんなら尚更変えなくてよかったのか?いやいや、今はそれどころじゃない...

ここは...工場?いや、倉庫か?重機やら何やらが置いてあるのがうっすら見えた

 

「どうにかしてここから出ないとな...」

 

早くラグドールを探してここから出ないと...ヴィランの本拠地である可能性がある以上、長居はまずい...取り敢えずこの拘束具から...

 

「━━━━おや?お目覚めかな、回能彩目君」

 

突如、俺に話しかける声が聞こえた、神経の底にまで侵入してくるような、背筋がゾワゾワする不快感のあるネットリボイス、嫌でもそちらを意識してしまう、この暗さにも目が慣れてきた...視界の先に人が居る、大柄で...スーツと...マスク?をしている男だ

 

「....俺の事帰してもらえる?腹減ったんだけど」

「つれないこと言わないでくれよ、少しくらい、僕と話をしてくれても良いじゃないか」

 

まるで子供のように、わざとらしくそう話す目の前の男、純粋なのか、嘲ているのか、どちらとも取れる声色だ、腹の底が読めない

 

「....ラグドールは何処だ」

「ん?あぁ、彼女ならそこに居るよ」

 

目の前の男が左を指差した、そこには、培養液に入れられた全裸のラグドールの姿があった

 

「...ラグドールに何してやがる」

「いやぁ、前々から良い「個性」だと思ってたんだ、でもなかなか接触できなくてねぇ、でも今回、君と一緒に手に入ったから、「個性」を貰うことにしたんだ」

 

笑いながらそう言う目の前の男、個性を貰う...チッ、成る程な...今日は厄日か?壊滅的にツイてない...こんな所でこんな大物に出会うなんて....

 

「成る程な...アンタがオールマイトが言ってた...AFO(オールフォーワン)か...」

「ほう!!僕の事を知っていると!!そうだよ、僕がオールフォーワンさ」

 

心の底から嬉しそうな声色でそう話すオールフォーワン、何考えてやがるのかさっぱりわからん、なんなんだコイツ...

 

「...で?俺を誘拐してどうするつもりだ?個性でも奪うのか?」

「そこまで知っているとは...僕も有名になったものだね、昔を思い出すよ」

「質問に答えな、俺とお話ししたいんだろ?客に茶も出さないのは気に食わないがな」

「おっとそうだった、お茶は生憎今無くてねぇ...」

 

取り敢えずコイツの意識を俺との会話に向かせる、その隙に...拘束具から抜け出す

 

「君を誘拐した理由はね、君の個性さ」

「やっぱ個性目当てじゃねえか」

「いいや違う、君の個性はあまりに不確定要素が多すぎる、僕って奴は心配性でね、負ける可能性になりえる物は徹底的に無くしておきたいんだ」

「.....俺を殺そうって事か」

 

まぁ納得だ、コイツが何をしようとしてるかはわからないが...俺がヒーローで、コイツがヴィラン、しかも巨悪である以上、何かをすれば対峙する可能性が大いにある、そこに俺という不確定要素がある以上、どれだけ準備しても簡単に状況をひっくり返せる可能性がある、だから今この段階で消しておきたいのだろう、だが...

 

「最初はそう思ってたよ、でもね、君の個性に着目した」

「.....」

「君の個性、一つの個性の中に無数の能力があるそうじゃないか、まるで僕だ、しかもその能力は、運が良ければ無限に増える!夢みたいな個性だ!」

 

まるで新しいおもちゃを手に入れた子供だ、はしゃいだようにそう話すオールフォーワン、マスクの上からでもわかる、憎たらしい笑みを浮かべている

 

「だから、ここで殺すのは惜しいと思った」

「...で?結局俺をどうしたいんだ?」

 

俺がオールフォーワンにそう問いかけると、オールフォーワンはわざとらしく腕を広げ、まるで自分が魔王であると見せびらかすかのような動きをし、俺に答えを出した、その答えが...

 

 

 

 

 

 

「君の体が欲しい」

 

 

 

 

 

 

.....急に何言ってんだこのオッサン、告白か?体目当ては引かれるぞ

 

「...悪いな、オッサンは恋愛対象外なんだ、他を当たってくれ」

「はははっ、この状況でまだ冗談を言えるなんてね、君、さては結構余裕あるね?」

「バァカ、あるわけねえだろ、こちとらチェンソーで体ぶった斬られてんだぞ」

 

俺の言葉にオールフォーワンが笑う、ヴィランのオッサンまで恋させてしまうなんて...俺ってば罪な男

冗談はさておき、俺の体が目的...?脳無にでも改造する気か?あんな肉人形になるのはごめんだね

 

「...さて、お話もここまでにしよう、君もそろそろ拘束から抜け出せただろう?」

「バレてんのかよ、目ざといな」

「君に拘束が意味を成さない事くらい知っているさ」

 

そこまでバレてんのか...合宿所の事然り、どこから情報が漏れた...拘束が意味を成さない事は教師陣とA組の奴等しか知らないはず....まさかな

 

「で?これから俺をどうしたい、俺は帰りたい」

「そう早とちりしないでも良いじゃないか、もう少し僕と遊んで行きなよ」

 

笑いながら指を鳴らすオールフォーワン、するとその瞬間、何かが開くような音がした、音がした方を見ると、ラグドールの入っていた培養器からラグドールが放り出されていた

 

「ラグドール!!...っ!」

 

俺は咄嗟に走り出した、傷が開いてしまうがなりふり構ってられない、何故なら...無数の脳無が、ラグドールに襲い掛かろうとしているのが見えたから

 

「っ!!」

「ヒーローにはこのやり方が一番効くだろう?」

 

嘲るようにそう笑うオールフォーワン、ほんっと、やり方がいやらしいよ...人の嫌がる事を徹底してやって来る...!!

俺はラグドールと脳無の間に割り込み、「飛爪」で脳無を蹴散らし、俺が着ていたTシャツを着せた

 

「性格悪いなオールフォーワン...この雑な縫合もあんたの仕業だろ...おかげで傷が開いちまった...」

「よく言われるよ...さて、君はこの状況で生き残れるかな?足手纏いを抱え、満身創痍の状態で...どこまで戦えるのか、僕に見せておくれよ」

 

性根が腐ってやがる...まるで俺がアイツの玩具じゃないか...クソッタレ...頭の傷も開きやがった...痛みにはもう慣れてきた...問題はこの出血...早くここから出ないと...出血多量でくたばっちまう...

おまけにラグドールを背負ってるんじゃ手が使えない...「飛爪」じゃまともに戦えないな...なら再抽選...!

 

「....チッ...ハズレかよ...!本当に厄日じゃねぇか!」

 

襲い来る脳無の攻撃を紙一重で回避しつつ、能力の再抽選を行うが...出た能力は「セイレーン」、歌声を聞かせることで、対象の傷を癒したり、対象を強化したりできる能力、戦闘には一切向かない、純度100%の支援能力だ

身体能力の上昇も、特殊な攻撃方法も無い、本当にツイてない...!

この能力でコイツらから生き残れと?ラグドールを抱えて?満身創痍のこの体で?断言しよう、無理だ、ただでさえ回避に神経を集中させてギリギリだったのに...せめて能力では優位に立ちたかったよ!!

体のダメージが酷い、瞬間移動してもすぐに追いつかれる...!

 

「クソッタレが!!」

 

幽鬼のように、生気のない目を向け、俺に襲いかかって来る脳無、拳、蹴り、飛び道具、それらが無数に振るわれる、加えてこちらからの攻撃はダメージがほぼ通らない、攻撃の全部は回避しきれない、ならせめてラグドールだけでも...!

咄嗟に飛び退くが...

 

「━━━━」

「がっ...!!」

 

突如目の前に現れた脳無の拳が俺の腹部に突き刺さった、胃の内容物が迫り上がってくるのを感じる、一瞬油断してしまった隙に受けた攻撃は、満身創痍の俺には充分な打撃を与えた、致命傷にはならなかったが...それでも動きが鈍ってしまう

 

「っ....」

 

しかしラグドールは守った、この調子で再抽選まで粘る...!つーか...

 

「脳無に任せてお前は高みの見物か...いいご身分だな」

「今の君相手じゃあ僕が戦ったらすぐに終わってしまうだろう?言ったじゃないか、僕と遊ぼうって」

「痛ぶって楽しんでるわけか...性格だけじゃなく趣味も悪いなアンタ...」

「ははは、それよりそんな軽口を叩いていて良いのかい?」

「っ...」

 

オールフォーワンと言葉を交わした瞬間、()()()()()()、脳無の一体が腕を肥大化させて拳を振り上げた、不味い、見えない方向からの攻撃で一瞬反応が遅れた、反射的に回避行動をとるが、少し遅かった

凄まじい音を立て、俺が居た場所を殴りつける脳無、地面に大きなクレーターが出来ていた、あんなん食らったら一瞬でお陀仏だぞ...

緊急回避を行った弊害か、体制を崩してしまった、ラグドールを傷つけぬよう受け身を取るが、無茶な体制を取ったため足首を挫いてしまった、それだけじゃない

 

「っ!?」

 

地面を殴りつけた脳無が腕を振り上げた、瞬間、割れた地面が更に砕け、鋭い石の礫が無数に飛んできた、回避も瞬間移動も間に合わない、そう判断した俺は、急所へ飛んで来た礫のみに対象を絞り撃ち落とす、鋭い礫が体にぶつかる、皮膚を突き破り、肩を穿ち、頬を掠め、太ももや腹部、腕に突き刺さる、打撲と裂傷のオンパレードだ

幸い、急所、傷口、内臓には攻撃が当たらなかったが...それでも相当なダメージだ、立っているのもやっと、だがラグドールには傷一つ付いていない、今はこれで良い...!

 

「ほほう!!攻撃の能力を引けなかったというのにここまで生き残るなんて...やっぱり良い体だ...ますます欲しくなったよ!」

「がめつい男は...嫌われるって...知らないのか...オッサン...」

 

息も絶え絶えに未だ嫌味をこぼす俺の口、せめてあんちくしょうを少しでもイラッとさせられれば良いが...とても出来そうにない、クソ...出血と疲労で目が霞んできやがった...呼吸する度に体が痛む、これ以上長くは持たない...最早これまでか...そう思われた直後

 

 

 

 

 

 

THOOOOM!!

 

 

 

 

 

 

 

「!?」

 

突如、俺の背後の壁...出入り口側の壁が天井から思い切り踏み抜かれた、突風が吹き荒れ、俺の体にもビリビリと衝撃が伝わる、一体何事かと思った次の瞬間、キリキリと音がしたかと思うや否や、周りにいた脳無達が極細の糸のような物で拘束された、なんだ...!?

 

「脳無格納庫、制圧完了」

 

液晶越しに聞いた事がある声が聞こえた、声のした方を見ると、そこには...

 

「ジーニスト...!」

 

ベストジーニスト、虎、Mt.レディ、ギャングオルカ...トップヒーロー達が、脳無を拘束していた

 




皆さんどうも猫耳の人です
やっぱ戦闘描写って難しいですね、迫力をどうやって演出するか...
やはり勉強しなければ...
次回もお楽しみに
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回能彩目は

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