無敵のヒーロー(自称)   作:猫耳の人

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ひぃん






第四十四話 待って、ねぇ、ちょっと、ねぇって

 

仮免試験を終えたその夜、俺たちは共同スペースで雑談をしていた

 

「明日からフツーの授業だねぇ!」

「色々ありすぎたな!」

「めんどくさいわぁ...」

「一生忘れられない夏休みだった...」

 

芦戸の言う通り、明日から普通の授業、夏休みももう終わりだ、濃密な夏休みだったせいか休んだ気がしない、手術も受けたし、チェンソーでぶった斬られたし、痛かったわぁ...

なんて思いながら、斬られた胸部分をを撫でる

 

「...痛いの?」

「ん?いや、痛かったなって」

「...そ、なんかあったら言ってね」

「わかってるよ」

 

隣に座る耳郎が俺にそう言ってくれた、傷痕も無いし痛む事は無い

俺と耳郎は二人用のソファーに座り、互いに寄りかかって同じスマホで動画を見ている

 

「.....良いなこの曲」

「でしょ?」

 

見ているのは音楽系の動画、同じイヤホンを片耳ずつ着けて聞いている、なんか芦戸と葉隠がこっち見てきゃーきゃー言ってるが気にしない

その後も少し雑談をして、時間も時間なので寝る事に、それぞれの部屋に戻ろうとしたその時

 

「...あの...回能さん、耳郎さん」

「ヤオモモ?」

「どうしたよ」

 

後ろから、俺たち二人に八百万が話しかけて来た、振り返ると何やら不安そうな顔をしていた、一体なんだ?

 

「その...お二人に相談がありまして...今からお時間よろしいでしょうか...?」

「ウチは大丈夫だよ、回能は?」

「俺も大丈夫だ、で?相談って?」

「...ありがとうございます...ここではし辛いので...私の部屋に来ていただけますか?」

「わかった」

「あいあい」

 

俺と耳郎は八百万について行き、部屋に招かれた、相談ってなんだろ...

部屋に入ると、八百万が椅子を出してくれた、空いたスペースに椅子を三つ設置し、そこに座る

 

「それで...相談って?」

「...はい...その..,実は...最近変でして...」

「変?」

 

八百万に問いかけると、どこか申し訳なさそうな雰囲気で話し始めた

変?別に変な所は無いけど...

 

「...最近...心がざわつくんです...モヤモヤしたり...切なくなったり...」

「......」

 

ざわついたり、モヤモヤしたり、切なくなったり...俺は...いや、俺たちはその感情を知っている、俺達に相談して来たと言うことは、おそらくその感情の正体も八百万は知っているのだろう

 

「恐らくですが...私は...その...恋を...しているんだと...思います...」

「ヤオモモが...」

 

少し顔を赤らめてそう話す八百万、恋ねぇ...意外だな...まさか八百万が恋をするなんて...てことはやっぱ恋愛相談か...?相手が誰なのかわからなきゃ始まらないが...

 

「恋か...誰の事が好きなんだ?」

「えっと....その...」

 

目を泳がせ、言うか言うまいか迷っている、やっぱ好きな人を言うって恥ずかしいんだな、でも話してもらわなきゃ話が進まない、相手は誰だ?轟...緑谷...飯田...上鳴...接点が多いのはこの辺りか、この中に好きな人が居るのか、はたまた別の人なのか...

俺たちは八百万の言葉を待つ、少しして、一旦してすごく申し訳なさそうな顔をして口を開いた

 

「...回能さん...です...」

「回能さんね...かい...え?」

「回能に...?」

 

え?回能さん?回能さんって言った?勘違いじゃ無きゃ俺の名前だよな?嘘でしょ.....

 

「......回能さんに恋をしていると気が付いたのは本当に最近です...」

 

八百万の話では、俺への恋だと気がついたのは、神野でのあの一件の後、丁度寮に入る直前の事だったらしい

告白...とまでは行かずとも、寮での共同生活で仲を深められれば、そう思っていたらしい、が、寮に入る直前で俺と耳郎が付き合ったと公表された、その後どうして良いのかわからず、モヤモヤしたまま過ごしていたのだと

 

「...お二人がお付き合いなさっていると知って...諦めなければと思ったのですが...諦めようと思うほど...気持ちが強くなっていってしまうんです...耳郎さんは友人だと言うのに...嫉妬してしまったんです...」

「ヤオモモ...」

「友人に対して持って良い感情では無いとわかっているのですが...日に日に思いが強くなってしまって...私...どうしたら良いのかわからなくて...!」

「....」

 

ポロポロと涙を流し始めてしまう八百万

....こういう時、どうすれば良いんだろうか、難しい問題だ

普通に考えれば、ここは断る場面なのだろう、しかし、相手は顔見知りどころか、かなり仲の良い友人、ここで下手なことを言ってしまえば、八百万を傷つけてしまう、どうしたものか....

 

「じゃあ...さ...共有しない?ウチとヤオモモで」

「「はい?」」

 

耳郎の発言に思わず素っ頓狂な声を出してしまう俺と八百万、何言ってんの?共有?俺を?ちょっとまって、理解が追いつかない

ちょっと整理しようか、まず、八百万が好きなのが俺で...諦めなきゃって思ってるけど諦められなくて...だから共有しよう....

うん、整理しても尚わからん、なぜその思考に至った

 

「.....ヤオモモはさ...回能の事、本気で好きなんでしょ?」

「....はい、この気持ちに偽りはありません...」

「で...ウチと回能が付き合ってて...だから諦めなきゃだけど...諦めきれないって...思ってるんでしょ?」

「....はい」

 

俺を置いて二人で話を進めていく、まって、置いてかないで

 

「そのせいで辛い思いをしてて...こうやってウチらに相談してくれた訳じゃん....ウチとしては...その...ヤオモモに辛い思いしてほしく無いって言うか...友達が泣いてる所を見たく無いって言うか...って...回能の事も考えないで何言ってんだろウチ...」

 

気恥ずかしそうにジャックを弄る耳郎、二人はもはや親友と言っても良いほどに親密な関係だ、だからこそ、そんな友達が苦しんでいるのを見たくなかったのだろう

 

「....私のことを嫌わないのですか...?」

「嫌うわけないじゃん...嫉妬なんて誰だってするし...ウチも...その...嫉妬したりするし...ヤオモモは親友だし...それに...さ」

「.....」

「ウチの好きな人を好きになる人に...悪い人は居ない...って思ってるし...」

「....!!」

 

なんだか聞いてるこちらも恥ずかしい、告白の時以来、耳郎から面と向かって好きとは言われていない、が、今この場で俺を好きだと宣言した、顔が熱い...

 

「耳郎さん....!」

「わっ!ヤオモモ!?」

 

耳郎の優しさを受けた八百万、嬉しかったのだろう、涙を流しながら耳郎を抱きしめた、仲のよろしいこって、俺は蚊帳の外だけどな

しばらく抱き合っていた二人、少しして離れ、八百万が俺と目を合わせる、意を決したような表情で俺を見つめる

 

「回能さん」

「...はい」

「...改めて言わせていただきますわ、貴方の事が好きです、私と、付き合ってくださいませ」

「....はい、喜んで」

 

真っ直ぐと俺を見つめるその瞳、その瞳を、俺はただただ美しいと思った、俺が返事を返すと、八百万の顔は嬉しそうに、とても可愛らしい笑顔になった、その後耳郎に「やりましたわ!!」と、とても嬉しそうに報告していた

それは良いんだが...皆になんて説明しようかなぁ...多分峰田とか上鳴辺りがすげえ突っかかって来そう...あと飯田にも何か言われるだろうなぁ...

 

「どうしたの?」

「...皆になんて説明しようかなって思って」

「耳郎さんの時のように皆さんの前で言うのではないのですか?」

「それでも良いんだけどさ?絶対何か言われるじゃん....」

 

俺がそう言うと、二人も何か言って来そうな人が頭に浮かんだのか、苦笑いしてしまった…どうしたもんかなあ...

 

「....元を辿れば、回能が人たらしなのが悪いんじゃん」

「酷い言い草だな...」

「一理ありますわ、回能さんは魅力的すぎるんです」

「八百万まで....」

 

俺が悪いのか、そうなのか...

まぁ取り敢えずこれで解決...したのかな?ちゃんと説明しないと俺がただのカス野郎に...説明してもカス野郎になるんじゃないか...?付き合った以上誠意を持って向き合うけどよ...

取り敢えず時間も時間だし、部屋に戻って寝るか...

そう思ったその時、八百万と耳郎に肩を掴まれた、なになに、怖いんだけど

 

「....ウチらにこんだけ言わせといて、アンタ何もしないつもり?」

「....据え膳食わぬはなんとやら、ですわ」

「.......」

 

.....いや、ね?食わぬはとは言うけどさ、俺らまだ学生だし、「アレ」も無いし、防音も出来ないし、時間もアレだし、明日から新学期だし、ホラ、ね?

そう説明するが...

 

「....防音なら私が出来ますわ、それに...回能さんの言う「アレ」も、私なら創れますわ」

「....さっきヤオモモと話したんだ、これだけベッドが大きいなら三人で出来るよねって」

「.......」

 

恐る恐る振り返ると、二人は頬を上気させ、ちょっと怖い目で俺を見つめていた、そして...

 

 

 

 

「責任、取ってくれるよね」

「責任、取っていただけますよね」

 

 

 

 

 

 

「....はい」

 

 

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この日、俺は童貞を卒業した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「喧嘩して謹慎〜!?」

 

おはようございます、腰が痛いです、回能です

朝起きて来たらボロボロの緑谷と爆豪が寮内の共同スペースを掃除していた、訳を聞くと....何やら昨晩、二人で寮を抜け出し、二人でグラウンドβに行き、個性を使用したガチ喧嘩をしていたのだと、アホだろ...

 

「馬鹿じゃん!!」

「ナンセンス!」

「馬鹿かよ」

「骨頂」

「ぐぬぬ...」

 

流石に今回は言い返してこない爆豪、自分に非があったと理解しているからなのかね...にしても馬鹿だけど...

よく謹慎だけで済んだな...下手したら除籍モンだぞ....爆豪に至っては仮免の補修もあるのに...大丈夫か....?大丈夫じゃ無いだろうなぁ...

 

「んじゃまぁ掃除よろしく」

 

そう言い残し、俺たちは寮を出て校舎に向かった、歩いている途中、当然と言うか、色恋沙汰にめざとい二人が俺、耳郎、八百万が一緒に降りて来たのを見たらしく、何やら詰め寄って来た

 

「ねぇねぇ!今朝なんで三人で起きて来たの!?」

「まさか三角関係ってやつ!?」

「...いや...その...」

「実は、私も回能さんとお付き合いさせていただくことになりました」

「「.....え!?」」

 

脳が理解を拒んだのだろう、数秒フリーズしてしまう芦戸と葉隠、そりゃそうだ、なにせ本人達公認の二股なのだから、いや、二股って言い方良くないな、俺がカス野郎になってしまう...まぁ何にせよ、俺たち三人が合意の上で三人で付き合っている、その事実を知り、芦戸と葉隠の顔が驚愕に染まった、葉隠は見えないけど

 

俺たちの話は瞬く間に広がっていき、A組全体に広まった、情報早いなぁ...当然と言うべきかなんと言うべきか...上鳴と峰田がとんでもない形相で俺を睨んでた、呪詛みたいなのも吐いてた、こわ、でも二人に手ぇ出したら処す、そしてやはり飯田が風紀がどうとか言ってたけど...合意の上だしと伝えたらすごく唸ってた

 

そして...

 

「...はっ、もしかして...三人が腰痛めてるのって...」

「....お察しの通りだ」

「わぁ...///」

 

ほんとこういうことに関してはこの二人すっごい察し良いよね...

俺たち三人が昨晩していた事を想像し、顔を赤くしてしまう二人、この事も、おそらくクラス中に広まっただろう、流石に生々しい事なのでツッコまれたりしなかったが...峰田?何か言ってくる前に処した

 

さてさて、そんな波乱もありつつ、幕を開けた新学期、後期は前期以上に色んなことがある、これまでよりさらに忙しなくなるが...

気合い入れて頑張るとしますかね...

 

 

 

 

 

 

おまけ

 

「ヤオモモはさ、回能のどんなとこ好きになったの?」

「その...優しさや笑顔もそうなんですが...たまに見せる悪いお顔が...その...こっ...興奮する...と言いますか...///」

「...わかる、ウチもアイツのあざとさとか、悪い顔とか見るとドキドキするもん...ギャップなのかな...」

「ギャップ...なのでしょうか...」




皆さんどうも猫耳の人です
はい、と言うわけで、ね、回能くんが大人の階段登りました
次回は閑話となります、ここから閑話も増えていきますのでぜひお楽しみに、といっても閑話は基本書きたいこと書くつもりで居るだけなので...出来れば温かい目で見ていただけると嬉しいです
次回もお楽しみに
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回能彩目は

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