無敵のヒーロー(自称)   作:猫耳の人

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人生はハッピーエンドじゃなきゃな






第四十八話 胸糞展開は好きじゃ無いんだわ

 

「ヴィラングループ同士の抗争です!!巨大化個性が二名!!エスパー通りを巻き込み戦闘中!!至急ヒーローを━━━!!」

 

とある街中、夜の繁華街で大暴れする二人の巨大なヴィラン、転倒や攻撃で辺りのビルや建物、道路が砕け散っている

警察が本部にヒーローを呼んでくれと連絡を入れているのが見える、つっても、コイツらに対応出来るヒーローなんて限られてるだろうな...

つーことで行くとしますか

 

「チャージ満たん、出力30!ねじれる波動(グリングウェイヴ)!!」

 

巨大ヴィランに向けて、螺旋状に捻れた波動が放たれる、速度こそないものの、不意打ちで放たれた絶大な威力を誇るその波動は、二人のヴィランを転倒させることに成功する

 

「なンだァ!?」

「ねえねえ、何でケンカするの?個性同じだから?変なのっ、今だよー!二人共!」

 

波動を放ったのは波動先輩こと、ヒーロー「ねじれちゃん」だ、ヴィランを転倒させた直後、ある人物達に呼びかける先輩、その声が響いた瞬間、二人の影が飛び出した

 

「「必殺!!」」

 

放たれるのは大小様々な大きさの瓦礫、凄まじい速度で放たれた瓦礫はヴィラン達にぶつかり、ダメージを与えていく、技の名は...

 

 

 

 

「「メテオファフロッキーズ!!」」

 

 

 

 

その技を放ったのは、雄英高校ヒーロー科一年生、ウラビティとフロッピーだ、良い攻撃、コンボ技か、俺も八百万と耳郎と一緒に考えてみようかな...技の威力は凄まじいものだったが、ヴィランを制圧しきることは出来ず、かろうじて起き上がるヴィラン二名、がしかし

 

「ジョーカー!」

「ええ、任せてください」

 

真打登場、切り札到着ってな

俺がリューキュウの背中から、起きあがろうともがくヴィランめがけて飛び降りる、向かい風でバタバタと上着が暴れる、良い風だ、俺は体制を立て直し、両手を構え、風を集める

 

「収束、発散...!」

 

逆巻く風を両の掌に収束させ、圧縮、狙いを定め、限界まで圧縮された風の球に、一つの出口を作り出す、するとどうなるか、逃げ道を手に入れた風はそこから一気に溢れ出す、出口を突き破り、八岐大蛇のように何又にも別れ、ヴィランを穿たんと強襲する

 

 

 

 

「テンペストブラスト!!」

 

 

 

 

無数の竜巻がヴィラン二名に命中、吹き荒れる風は確実にヴィランの意識を刈り取り、見事鎮圧に成功した、自由落下する俺をリューキュウがキャッチ、そのまま地面に着地した

 

「ふぅ」

「よかったよーねぇよかったよかったぁ、キンチョーした!?」

「初めてのヴィラン制圧だもんな、どうだった?」

「指示通り動けました!」

「ケロケロ、意外と落ち着いてやれたわ」

 

俺と先輩の言葉にそう答える二人、今更ながら、何故二人がリューキュウ事務所にインターンをしにきているのかと言うと、波動先輩が連れて来たのだ、事務所でばったり会った時はマジでびっくりしたわ

 

「ねじれが連れて来るだけあって二人とも筋が良いね、ねじれも転倒させるタイミング直ってきたよ、ジョーカーも、思っていた以上の戦力になってる」

「いえいえ、前三人が上手いことやってくれてたからですよ、俺はいいとこ取りしただけ」

 

今回の俺の仕事は前三人が仕留め損なった時の保険、あくまで予防線なのだ、今回はたまたま仕事があったが...ウラビティとフロッピーが成長していけば俺は必要なくなる

 

「そんな事ないんだよ、知ってた?この前のひったくりの時はジョーカーが居たから捕まえられたんだよ」

「それは...まぁ...」

「君が居て助かってるんだから、自信持ちなさい」

「はい...」

 

そう言って俺の頭を撫でる二人、インターンに来てからこの二人にやたら頭を撫でられる、嫌では無いんだが...やっぱり恥ずかしいという気持ちが強い

 

「....なんか、回能くんが構われてるの見るの新鮮やわ」

「確かに、いつも構う側だものね、回能ちゃん」

 

やめろ、そういうこと言うんじゃない、恥ずか死ぬぞ

まぁそれはさて置き...二人とも職場体験先のヒーローがインターンを受け入れていなかったらしく、俺と同様に途方に暮れていたところ、波動先輩から声がかかり、ここに来たらしい、俺はミルコからの紹介だったが...成る程、先輩に紹介して貰うって手もあったのか

 

「学生といえどインターンで来たからには立派に戦力!あなた三人なら「あの案件」も活躍できそうね」

 

あの案件、俺は先にリューキュウに聞かされている、なんでもリューキュウの元にオールマイトの元サイドキック、サー・ナイトアイからのチームアップ要請が来ているらしい、あの案件とはその事だ

リューキュウ以外にも、ロックロックやファットガム...地方のヒーローにも要請をしているらしい、一体何があるのだろうか...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

雄英高校...

 

「切島コラァ!!お前の名前!!ネットニュースにヒーロー名乗ってるぞスゲェ!!」

「梅雨ちゃん麗日ぁ!すごいよー!名前出てる!!」

「回能もじゃん、必殺仕事人だってさ」

「まぁ、本当ですわね、華々しいデビュー...とも書かれてますわ」

 

朝の教室、騒がしいのはいつも通りなのだが...今日は一段と騒がしい、何故なら俺たちインターン組がニュースになっているからだ

切島は全身から刃を出す凶悪ヴィランを単身撃破、怪我人を一人も出さずに制圧したらしい、さすが硬化の漢

 

そして麗日と梅雨ちゃん、巨大化ヴィランの抗争の時の活躍がニュースに乗っており、でかでかと記事になっていた、芦戸から「もうMt.レディみたいにファンいるかもね」なんて言われて満更でもなさそうな様子だ

 

最後に俺、インターン初日の件に加え、今回の抗争での活躍が記事になっている、書き出しは「必殺仕事人」、ここぞで確実に決めるヒットマンとか書かれていた、誰が13の殺し屋だ、いっぺんこの記事書いた記者を〆る必要がありそうだ...ビジュアルが良いと書かれてたのは高得点、半殺しで許してやろう

 

「....ていうかその頭の何?」

「コレ?良いだろ、リューキュウから貰ったんだ、髪飾りのスペアだってよ、かっこいいだろ」

 

耳郎がいつもと違う俺の前髪を見て言葉をこぼしたので、それに応えるように自慢げに話す

俺は現在、リューキュウから貰った、コスチューム着用時に前髪に付けている爪のような髪留めを身に着けている

これは竜化した時に右手に付けているクローなので俺はあまり使えないが...それでも大ファンであるヒーローから貰った髪飾りだ、嬉しくなって自慢して歩きたくもなる

 

「...ふーん」

「....」

 

八百万と一緒にすげぇジト目で見られた、いかにも不機嫌ですと言いたげな目を俺に向けてくる、仕方ないだろ...推しから貰った非売品グッズどころか本人のコスの一部だぞ、俺とて舞い上がったりするさ

 

「...怒らないで...」

「別に怒ってないし」

「怒っていませんわ」

 

プイッと俺からそっぽを向いてしまう二人、怒ってるじゃあん!!二人から嫌われたら立ち直れないから許して...

...というか、緑谷ならこういうの反応してきそうなんだが...反応してこなかったな、なんかあったのか?

 

「仮免といえど街へ出れば同じヒーロー...素晴らしい活躍だ...だが学業は学生の本分!!居眠りはダメだよ!!」

「おうよ飯田!覚悟の上さ!なァ!?」

「うん!」

 

相変わらず暑苦しい、学業か...先生達が補修時間儲けてくれるらしいから遅れる事は無いだろうが...かなりのハードスケジュールだろうな...まぁ頑張るしか無いか、強くなれればその分先に進める、未来への投資って奴かな

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数日後...なんだか久しぶりな気がするインターン、コスチュームは要らないらしいから制服のままだが...何すんだろ

なんて思いながら、麗日と梅雨ちゃんと一緒に外に出ると...

 

「お?緑谷達もインターンなんだな」

「回能くん達もなんだ..奇遇だね」

 

偶然か?切島も緑谷もコスチュームを持っていない

...もしかしたらあの案件の事かもしれんな

 

「あれ!?皆んなこっち!?切島くん関西じゃ...」

「ん、ああ!なんか集合場所がいつもと違くてさァ」

 

方向も、乗る電車も、降りる駅も歩く方向も同じ、目的地...サー・ナイトアイ事務所に辿り着くとビッグ3もお揃いだった、こりゃ決まりだな

目的地のビルに入ると、そこにはファットガムやリューキュウをはじめとしたプロヒーローが多くいた、その中に見覚えのある顔が...

 

「グラントリノ!?」

「相澤先生、何してんすか」

「こんなに大勢...すごいぞ...!一体何を...」

 

取り敢えず、俺は波動先輩と共にリューキュウの元へ歩く

 

「リューキュウ、もしかして例の...」

「えぇそうよ、ナイトアイさん、そろそろ始めましょう」

 

リューキュウがそう呼びかけると、白いスーツを身に纏ったサラリーマンのような風体の男性、緑谷とミリオ先輩のインターン先のプロヒーロー、元オールマイトのサイドキック、サー・ナイトアイが話を始めた

 

「あなた方に提供して頂いた情報のおかげで、調査が大幅に進みました、死穢八斎會という小さな組織が何を企んでいるのか、知り得た情報の共有と共に協議を行わせて頂きます」

 

死穢八斎會...聞いた事がある、昔...それこそヒーローという職業が生まれるより前、裏社会を取り仕切っていた団体....極道、所謂ヤクザだ

が、ヒーローやオールマイトが出てきた事で摘発やら解体やらが進んで極道の時代は終わった、死穢八斎會はそれらから逃げ切った生き残りだ

ヴィラン予備軍って扱いのはずだが...

 

「先生は何故ここに?というかこのこと聞かされてるんですか?」

「協力を頼まれたから来たんだ、ザックリとだが事情も聞いてる...言わなきゃならん事もあるしな」

 

言わなきゃならないこと?というか事情聞いてたんだな...雑談もほどほどに、会議を始めるために各々が机に座る

 

「えーそれでは始めてまいります」

 

会議を始めたのはナイトアイ事務所のサイドキックであるバブルガールだ

 

「我々ナイトアイ事務所は約2週間程前から死穢八斎會という指定ヴィラン団体について...独自調査を進めています!」

 

きっかけはレザボアドッグスと名乗る強盗団の事故かららしい、捕まったら強盗団は事故にあって大怪我をするどころか、なんと持病の虫歯やリウマチなどが綺麗さっぱり治っていたらしい、警察は事故で片付けたらしいが...明らかにおかしい点がいくつもある、それに疑問を持ったナイトアイ事務所が追跡を始めたとのこと

 

「私、サイドキックのセンチーピーダーがナイトアイの指示の下追跡調査を進めておりました」

 

センチピーダーの調べによると、ここ一年以内の間に、全国の組外の人間や、同じく裏稼業団体との接触が急増しているとのこと

組織の拡大・金集めを目的に動いていると目星をつけたようだ

で、調査開始からすぐにとんでもない場面を見つけたとのこと

 

「ヴィラン連合の一人、分倍河原仁、ヴィラン名トゥワイスとの接触、尾行を警戒され、追跡は叶いませんでしたが...警察に調査を協力していただき、組織間でなんらかの争いがあったことを確認しました」

 

つーことは連合と死穢八斎會は敵対関係って事で良いのか?いや...警戒はしといたほうが良さそうだ

で、ヴィラン連合が関わるならという事で、グラントリノや塚内さんに声がかかったのだが...塚内さんは別件で動いているため今日はいないらしい、警察も忙しいな...

 

「えーこのような過程があり!「HN」で皆さんに協力を求めたわけで...」

「そこ飛ばして良いよ」

「うん!」

 

HN...ヒーローネットワークか、プロの免許を持った人だけが使えるネットサービス...全国のヒーローの活動報告が見れたり、便利な個性のヒーローに協力...つまりはチームアップを申請することもできる、かなり便利なネットワークだ、今回このネットワークを伝ってリューキュウにチームアップ要請が来た

 

「雄英生とは言えガキがこの場にいるのはどうなんだ?話が進まねえや、本題の企みに辿り着く頃にょ日が暮れてるぜ」

 

そう呟いたのは錠前ヒーロー「ロックロック」、まぁ否定はしない、俺らは仮免取得したばかりのヒヨッコ、そのヒヨッコに背負わせるにはあまりにもデカすぎる案件だ

 

「ぬかせ!この二人はスーパー重要参考人やぞ!」

「俺...たち?」

「ノリがキツい...」

 

ファットガムの言葉にイマイチピンと来ていない切島と重い空気を醸し出す環先輩、あの二人が重要参考人か

 

「とりあえず初対面の方も多いと思いますんで!ファットガムです!よろしくね!」

「「丸くてカワイイ」」

「お!アメやろーな!」

 

確かにマスコット的な可愛さあるよなファットガム、まぁそれを話していると本題が進まないので話を本題に戻す

 

「八斎會は以前、認可されていない薬物の捌きをシノギの一つにしていた疑いがあります、そこで詳しいヒーローに協力を要請しました」

「むかしはゴリゴリにそういうんブッ潰しとりました!そんで!先日のレッドライオットデビュー戦!!今までに見たことない種類のモンが環に撃ち込まれた!.....個性を、壊すクスリ...!」

 

個性を壊す...ブーストさせる薬なら聞いたことはあるが...壊す薬なんて聞いたことないぞ?というか環先輩が撃ち込まれた?てことは環先輩の個性が...なんて心配したが、環先輩の手が蹄になっているのを見た、とりあえずは大丈夫そうだ...

個性を壊す...使えなくする、成る程、だから相澤先生か

 

「回復すんなら安心だな、致命傷にはならねえ」

「いえ...その辺りはイレイザーヘッドから」

 

ナイトアイが相澤先生は呼びかけると、相澤先生が個性について話を始めた

相澤先生の個性、「抹消」は、個性そのものを攻撃しているわけじゃ無い、まず、基本となる人体に特別な仕組みが+αされたものが「個性」と呼ばれる、そよ+αが一括りに「個性因子」と呼ばれている

相澤先生の「抹消」はあくまでその個性因子を「停止」させているだけ...なのだが

 

「環が撃たれた直後病院で見てもらったんやが、その個性因子が傷ついとったんや、幸い今は自然治癒で元通りやけど」

「その撃ち込まれたモノの解析は?」

「それが環の身体は異常なし!ただただ個性だけが攻撃された!」

 

撃った奴らもダンマリ、銃はバラバラ、弾丸も撃ったきりしか持っていなかったらしい、が、そこで活きたのが切島だ、個性のおかげで撃ち込まれる事なく、中身の入った一発が手に入ったとのこと、さすが硬化の漢

 

「そしてその中身を調べた結果、ムッチャ気色悪いモンが出てきた...」

 

次のファットガムの言葉に、俺たちは言葉を失った

 

 

 

人の血や、細胞が入っていた

 

 

 

 

思わず絶句する麗日と梅雨ちゃん、二人だけじゃ無い、ビッグ3や緑谷...切島も顔を青くしていた

 

「つまり...その効果は人由来...個性ってこと?」

「個性による個性破壊...」

 

俺とリューキュウがそう呟く、しかし話が見えてこない、その薬がどうやって八斎會と繋がるのか...

その疑問を晴らすようにファットガムが答えてくれた、どうやら切島が捕らえた男が使用した違法薬物、その薬物の出所を探った結果、中間販売組織の一つと八斎會は交流があったそうな

 

それだけと言いたくなるが...先日、俺たちが捕らえた巨大化ヴィラン二名、そのうちの片方のグループの元締めが、その交流があった中間販売組織だったとの事、俺の中で疑問の点が線に繋がっていく

 

「巨大化した一人は効果の持続が短い粗悪品を打っていたそうよ」

「最近多発している組織的犯行の多くが...八斎會に繋げようと思えば繋がるのか...」

 

これだけの情報なら、どうにかして八斎會をクロにしたくてこじつけているようにも聞こえる、が、ナイトアイから決定的とも言える発言が飛び出してきた

 

「若頭、治崎の個性は「オーバーホール」、対象の分解・修復が可能と言う力です」

 

分解...一度「壊し」、「治す」個性、そして、個性を「破壊」する弾.....ナイトアイによると、治崎には出生届けのない娘が居るのだと、そして...その娘は先日、ミリオ先輩と緑谷が遭遇した、そしてその娘は、手脚に夥しく包帯が巻かれていたとのこと...

ここまで話をされれば猿でもわかる、嫌でも繋がっちまう

 

「まさか...そんな悍ましい事...」

「超人社会だ、やろうと思えば誰もが何だってできちまう」

「何?何の話ッスか...!?」

「...」

「....簡単な話だ」

 

.....分解し、修復する個性、そして個性を破壊する、人の血や細胞が入った弾丸...加えて夥しい包帯を巻いた娘...それから導き出されれ答えは...

 

 

 

自分の娘の身体を銃弾にし、それを捌いているという事

 

 

 

それを実際に売買しているのかはまだわかっていない、現段階では性能としてあまりに中途半端な個性を破壊する銃弾...

 

がしかし、仮に、その弾丸が試作段階であるならば?サンプルとして、それを色々な所にばら撒いているとしたら?

 

それを仲間や資金集めに使っている可能性だってある、事実、似たような事件が全国で起きている

 

現時点では半端な弾丸、だがもし、その弾丸の完成形が、個性を「完全に破壊する」物だとしたら....

 

確信があるわけじゃ無い、が、ここまで条件が揃って仕舞えば嫌でもその可能性が頭に浮かぶ、胸糞悪い話だ、吐き気を催す邪悪と言うのはこういう奴のことを言うのだろう、人間をなんだと思ってやがる

 

「想像しただけで腹ワタ煮えくり返る!!今すぐガサ入れじゃ!!」

「こいつらが子供保護してりゃ一発解決だったんじゃねーの?」

「全ては私の責任だ、二人を責めないで頂きたい、知らなかったこととはいえ...二人ともその娘を救けようと行動したのです」

 

緑谷は、リスクを背負いその場で保護しようとし、ミリオ先輩は先を考え、より確実に保護できるよう動いた、どちらの行動が悪かった、という話ではない、どちらも正しかった

 

「今この場で一番悔しいのはこの二人です」

「今度こそ必ずエリちゃんを...!」

「「保護する!!」

「それが私たちの目的になります」

 

そう言い放ちながら立ち上がる二人、張り切るのは良い、だがまだ根幹の部分が確定していない

 

「ケッ、ガキがイキるのもいいけどよ、推測通りだとして、若頭にとっちゃその子は隠しておきたかった核なんだろ?それがなんらかのトラブルで外に出ちまってだ!あまつさえガキんちょヒーローに見られちまった!素直に本拠地に置いとくか?俺なら置かない」

 

ロックロックの言葉も一理ある、攻め入るにしても、その子が「居ませんでした」じゃあお話にならない、攻め入るには、そのエリちゃんと言う娘がどこにいるか特定してある必要がある

 

「確かに、どうなのナイトアイ」

「問題はそこです、何をどこまで計画しているのか不透明な以上、一度で確実に叩かねば反撃のチャンスを与えかねない」

 

そこで、ナイトアイ事務所が八斎會と接点のある組織・グループ、及び八斎會の持っ土地、それらを可能な限りリストアップしたとの事

 

「皆さんには各自その箇所を探っていただき、拠点となり得るポイントを絞って貰いたい!!」

 

全国にある土地やグループ...成る程、それらを調べ上げるため、地方のマイナーヒーローまで呼んだわけか、土地勘のあるヒーローが選ばれたのだろう

 

「オールマイトの元サイドキックな割に随分慎重やな、回りくどいわ!!こうしてる間にもエリちゃんいう子泣いてるかもしれへんのやぞ!!」

「我々はオールマイトにはなれない!だからこそ、分析と予測をかさね、救けられる可能性を100%に近づけなければ!!」

 

ファットガムの言葉も、ナイトアイの言葉も、どちらも正しい、が、俺達はオールマイトじゃ無い、どちらかしか出来ない...

が、それは俺が居なければの話だ

 

「....お話の途中すみません」

「君は...リューキュウ事務所のジョーカー...」

 

俺が手を挙げると、一斉に視線が俺に向く、よしよし、これで話は聞いてもらえるな

 

「...今お話しした件ですが...私なら、本拠地に居るかどうかであれば、連れて行ってもらえればすぐにわかります」

「ホンマか!?」

「...チームアップを行う以上、我々の個性についても知っていますよね?」

 

俺は資料を指で弾き、そう言い放つ、ナイトアイやファットガムも個性については目を通していたらしく頷いてくれた

 

「俺の個性...スロットの方は、個性の中に無数の能力を持つ極々珍しい個性です...その能力の中に、「ホークアイ」と言う能力があります」

 

俺の言葉を聞き、俺の個性を知っている人たちはハッとした

 

「ホークアイ...効果は簡単、「よく見える」、壁越しだろうと、地面越しだろうと...みようと思えばどんな物でも見ることが出来ます」

「....成る程、その能力を使って本拠地を透視しようということか」

「えぇ、面倒な張り込みや聞き取りをする必要が無くなります...そしてロックロック」

 

俺がロックロックに話しかけると、訝しげな顔をして俺を見るロックロック、案外自分じゃ自分の表情ってわからないモンなんだな、後からリューキュウに聞いたら、能面みてえな顔してたらしい

 

「本拠地に置くか置かないか...という話でしたが...むしろ本拠地にこそ置くものだと俺は考えています、戦力が集まっている本拠地に...」

 

何処の馬の骨かも分からないやつに預けて即保護されてしまう様な場所に核を置くか?否、置くはずがない、核であるなら常に手元に置いておきたいはずだ、リスクを負って下手な場所に隠すより、バレても問題ないよう本拠地の守りを強固にする...と思う

 

「...なので、本拠地を見るのであれば俺を連れて行ってください、必ず役に立って見せます」

「...わかった、本拠地に行くのは二日後だ、準備をしておいてくれ」

「ありがとうございます」

 

取り敢えずこれで本拠地に居るかどうかが、わかる、そのまま話を続けようとしたその時、相澤先生がナイトアイに問いかけた

 

「あのー...一つ良いですか、どういう性能かは存じ上げませんが、サー・ナイトアイ、未来を予知できるのなら、俺たちの行く末を見れば良いじゃ無いですか、このままでは少々...合理性に欠ける」

「...それは...出来ない」

「....?」

 

わずかに俯きながらそう答えたナイトアイ

ナイトアイ曰く、彼の個性である「予知」、その性能は、発動したら二十四時間のインターバルを要する、つまり一日一時間、一人しか見ることができないとの事

 

加えて予知された未来はフラッシュバックのように一コマ一コマが脳裏に映し出される、発動してから一時間の間、他人の生涯を記録したフィルムを見られる物だと思ってくれと言われた

そのフィルムに映るのは、人物のすぐ近くからの視点...見えるのはあくまで個人の行動と僅かな周辺環境だけらしい

 

それだけでも色々わかりそうなものだが...

 

「いや、それだけでも十分過ぎるほど色々わかるでしょう、出来ないとはどういうことなんですか」

 

相澤先生もそう思っていたらしく、質問を投げかける、するとナイトアイは、少し考えるような素振りを見せた後、重々しく口を開いた

 

「例えば、その人物に近い将来...死、ただ無慈悲な死が待っていたら、どうします」

 

....成る程な、ナイトアイによると、予知が未来になればなるほど時期に誤差が生じるらしいが...今まで生きてきて、予知を覆せた事は一度もないとの事...死か、考えたこともなかったな

 

「この個性は行動の成功率を最大まで引き上げた後に、勝利のダメ押しとして使うものです、不確定要素の多い間は闇雲に見るべきじゃ無い」

「はぁ!?死だって情報だろう!?そうならねェ為の策を講じられるぜ!?」

「占いとは違う、回避できる確証はない!」

「ナイトアイ!よくわかんねぇな!いいぜ俺を見てみろ!いくらでも回避してやるよ!」

 

 

「ダメだ」

 

 

尚も食い下がるロックロックに、一際大きな声で呟くナイトアイ

何度も人の死を見てきたのだろう、おそらく、ナイトアイの根底には「自分が予知をしたら、その未来が確定してしまう」という考えがあるのだろう、俺から言わせてみれば見てみなきゃ確定するもクソも無いと思うが...そこはもう本人の問題だ、俺が口出しして良いことじゃ無い

 

「とりあえずやりましょう」

「えぇ、困っている子がいる、これが最も重要だ」

「娘の居場所の特定、保護、可能な限り確度を高め、早期解決を目指します、ご協力よろしくお願いします」

 

ナイトアイのその言葉を最後に、資料を配られ会議は終了した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「....胸糞悪い話ですね」

「ええ...皆のところに行かなくていいの?」

「...今はそっとしておいた方が良いでしょう、俺は気の利いた言葉なんて言えない」

 

会議の後、俺はリューキュウと二人で事務所内のソファに座って話している、思い返すだけでふつふつと怒りが湧いてくる

そんな感情が顔に出ていたのか、リューキュウが俺の頭に手を置く、撫でるでもなく、ただ優しく...

 

「...あまり気負い過ぎないでね、気持ちは私も同じよ」

「...はい」

 

...そうだ、皆同じ気持ち...一番悔しいのは、目の前にいながら救えなかった緑谷とミリオ先輩だ...

 

「....勝ちましょう、絶対」

「....えぇ、頑張りましょう」

 

俺とリューキュウの呟きは、夕暮れに消えていく

俺の出番は二日後、それまでにホークアイを用意しておかなければ...

絶対に救け出す、待ってろよ治崎、今にそのマスクごと鼻っ柱へし折ってやる

 




みなさんどうも猫耳の人です
長くなってしまった...キリのいいところがなかなか見つからなくて...
でもやっぱ書くのが楽しい、何気にインターン編書くの楽しみにしてたんですよね
てなわけで、ここからどんどん展開が進んで行くのでお楽しみに
そろそろ新しいヒロイン匂わせも考えなアカンな...
てなわけで次回も是非お楽しみに
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