無敵のヒーロー(自称)   作:猫耳の人

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びっくりするほどディストピア!!





第四十九話 地獄ってのは案外身近にあるらしい

 

会議から一日経過して、いつも通りの学校...なのだが...

 

「.....」

「回能?」

「浮かない顔ですわね...どうなさったのですか?」

「ん...いや、なんでも無いよ」

 

先日の会議の事が頭から離れない、今も傷つき、泣いているかもしれないエリちゃんと言う少女、一日経っても怒りが収まらない、腹の底で湯でも沸かせそうなくらいに怒りが湧いてくる

 

「なんでも無い訳ないじゃん、昨日インターンから帰ってきてからずっと怖い顔してるよ」

「そうか?いつも通りだと思ったが...」

「えぇ、眉間にシワが寄っていますわ、わかりづらいですが...」

 

...ポーカーフェイスには自信があったんだがな...知らぬ間に顔に出ていたらしい

 

「何かあったの?」

「私達に出来ることであればおっしゃってください」

「....ありがとう」

 

でも、ごめん、緘口令が敷かれてる以上、部外者に話すわけにはいかないんだ、事件に巻き込んでしまう、だから、気持ちだけ受け取っておく

 

「心配は要らない、具合が悪いわけでも無いし、悩みも些細なものだ、二人が心配するような事はないから安心してくれ」

「...そっか」

「...わかりましたわ」

 

二人はそう言うが、納得していませんといった様子だ、色々終わったらちゃんと話すから、待っててくれ

そんなこんなで昼食も終わり、いざ教室に戻ろうと歩き始めると...

 

「回能」

「回能さん」

「ん?どうした?」

 

二人が俺を呼び止める、何事かと振り返ると...細長い箱のような物を手渡された

 

「...ウチらからのプレゼント」

「私と耳郎さんで作りましたわ、開けてみてください」

 

二人に言われて箱を開けると、そこにはネックレスが入っていた、ハートの模様が入ったギターピックが付いた可愛いネックレスだ

 

「これは...」

「ウチが使ってるピック、それをヤオモモが創造してくれたネックレスと合わせたんだ」

「お恥ずかしながら...リューキュウの髪飾りを嬉しそうに着けている回能さんを見て...嫉妬してしまいまして...」

 

だから作ってくれたと?めちゃくちゃ嬉しい、荒んだ心に二人の優しさや可愛さが染み渡る

 

「...着けてみても良いか」

「うん」

「どうぞ」

 

貰ったネックレスを首に通す、金属特有の冷たさはあるが、二人の気持ちが詰まっていると考えると、心が暖かくなる

 

「...どうかな」

「似合ってるよ、かっこいい」

「えぇ、とてもお似合いですわ」

 

真正面からそう言われる、なんだかこそばゆい、でも嬉しい、思わず頬が綻ぶ

 

「...言わないと言うことは、何か言えない事情があるのでしょう」

「ウチらもそこまで無理には詮索しないよ、でも...無理だけはしないでね」

「...ああ」

「...インターン、頑張って」

「回能さんの帰りを待っています」

「...ありがとう」

 

彼女二人からの応援、俄然やる気が出てきた、ありがとう二人とも、これでまた頑張れる

怒りは収まらないが、それでも冷静になれた、俺は二人に改めてお礼を言い、三人で談笑しながら教室に戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

偵察当日、俺はナイトアイ、リューキュウと共に、死穢八斎會の本部がある場所に来ていた、ナイトアイはスーツだが、俺とリューキュウは変装の意を込めて私服だ、今回は隠密行動という事で、Tシャツにジーンズと言うシンプルな格好をしている

 

「では、頼めるか」

「えぇ、ホークアイは用意してきました、いつでもいけます」

「頼むわね、ジョーカー」

 

二人からの視線を受け、八斎會の屋敷に視線を向け、右目を開ける

.....治崎は居ない、が...かなり多く人が居る、この中からエリちゃんだけを割り出すのは少し時間が掛かりそうだ

ついでに、もし乗り込むことになった時の為に、個性も見ておく、今の所特筆して警戒するような個性は居ない...やっぱ本部には居ないのか...?

 

「どうだ」

「...今の所は見当たりません、もう少し観察を続けます」

 

右目が痛くなってきやがった、なるべく早く見つけたいものだが.....

....ん?

 

「どうしたの?」

「...奇妙な通路を見つけました」

「奇妙な通路...?」

 

屋敷の少し奥...そこにある掛け軸の後ろに意図的に隠されたような階段を発見した、階段を辿っていくと地下通路が現れた、それもただの地下通路では無い、「人為的に組み替えられた」ような跡がある、迷路のようになっている地下通路だ

 

「地下通路を見つけました、このまま調べます」

 

地下まであるなら、ほぼ確実に決まったようなものだが...エリちゃん本人を見つけるまで油断はできない、俺は地下通路を俯瞰するような形で観察を続ける、すると...

 

「...見つけた」

「本当か!」

 

地下通路の奥の奥、最奥にある部屋に、エリちゃんを発見した、治崎と側近も一緒に居る、やっぱり本部に居やがった

 

「.....っ...!」

「どうした!?」

「何が見えたの!?」

 

エリちゃんを発見した数秒後、俺が狼狽えるような様子を見せると、ナイトアイとリューキュウが俺に問いかける

 

突然だが、ここでホークアイを使用している時の、俺の視覚について説明しよう、ホークアイ使用時、俺の視界は赤いフィルター越しに物を見ているような視界に変わる

加えて、今回使用している壁越しに物を見る場合、壁の向こう側にあるものはシルエットで見える、通路や物体、人に関係なくだ、個性は壁越しでもハッキリ見えるが...

 

だからだろう、何が行われているのか理解するまでに数秒掛かったのは...

小さな刃物...おそらく、シルエット的に刃物はメスだろう、それを手術台の様な物に拘束されたエリちゃんに向け...体を切り裂いた、液体のような物が溢れ出す、恐らく血液だろう...そのままエリちゃんの体から肉片を削り取っていく

 

しばらく観察を続けていると、治崎がエリちゃんに触れた、その次の瞬間、エリちゃんの体が血飛沫と共に弾け、瞬く間に元に戻った、治崎の個性は「破壊」して「治す」個性...破壊...つまりエリちゃんを一度殺したのだろう...先日の会議の話から推察するに、過去に何度も同じような所業が行われていると考えられる、つまり...エリちゃんは何度も何度も...

考えたく無いな

 

「...ナイトアイ、ペンと紙を」

 

俺は突入作戦に向けて地下通路を模写すべく、紙とペンをナイトアイから受け取り、地下通路を紙に殴り書きしていく、この膨大な地下通路を完全に模写するには少し時間が掛かるだろうが...やるしか無い

 

「...右...真っ直ぐ...十字...左...右...」

 

無意識口からそんな単語群が漏れる、最短ルートだけを書くのならば問題ないだろうが...治崎に道を組み替えられる可能性もある、だから全ての通路を模写する必要がある...どの道をどう通ればどこに辿り着くのか...

エリちゃんの救出を100%にする為にも、知っておかなければならない

 

「........」

 

目が痛い、頭もだ、ペンを持つ手も震えてくる、だがもう少しだ、もう少しで描き終える、もう少し...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

通路を模写し始めて何分経っただろうか、5分か...10分か...あるいはそれ以上かもしれない、それ程の時間を掛けて模写を終えた、アホみたいに広い、探索するにはかなりの人員が必要になるだろう

 

「...模写、終わりました」

 

息を切らしながら振り返り、ナイトアイとリューキュウに話しかける、が、何故か二人が異様に慌てている、どうしたんだろうか、何を言っているのか聞こえない

 

うおっ、どうしたんだ急に肩掴んで揺すったりしてきて...目と頭が痛いんだから勘弁してくれ

 

リューキュウに揺すられていると、ふと俺の手に何か液体が落ちる感覚があった、雨か?傘持ってきて無いんだが...

そう思いながら自分の手を見る、すると透明な液体ではなく、真っ赤な液体が手に付着していた、それに気がつき、顔を触ると、手に赤い液体...俺の血がベッタリとついていた、膝にもポタポタと血が滴り落ちる

 

「ケホッ...コフッ...」

 

咳と同時に、口からゴポッと音を立てて血が溢れてきた、口の中に鉄の味が広がる、いったい何が...

 

あ━━━━━━....ホークアイ使いすぎたのか...やば、立ってられん

 

それを頭で理解した瞬間、一気に脱力感と倦怠感が身体を襲う、脚に力が入らない、そのまま膝から崩れ落ち、倒れてしまう

幸いリューキュウが俺を抱き止めてくれたので地面とキスをする事はなかったが、余りの疲労感に俺の意識はそこでプツンと途切れてしまった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈リューキュウside〉

 

回能くん...ジョーカーが地下通路の模写を初めて数分、彼の体に異変が起きた、突如として、彼の鼻と目から血が流れ始めた

 

「ジョーカー!?」

「血が...!」

 

ヴィランからの攻撃?いや、だとしたら彼も私達も気付けるはず...彼は血に気が付いていない?私達の呼びかけにも反応がなかった、集中しているからなのかしら...だとしてもこれ以上はおそらく危ない、早く辞めさせないと!

 

「.......」

「回能君!一旦手を止めなさい!」

 

...やはり反応しない、肩を叩いても、揺すってみても反応しない、すごい集中力...じゃない!とにかく強引にでも止めないと!

そこからナイトアイと二人で彼を止めようとしたが、全く反応が無いどころかビクともしなかった、なんて力...

 

「...模写、終わりました」

 

奮闘すること数分、彼の行動を止めることができないまま模写が終わった、息を切らしながら振り返る彼の顔は血でぐちゃぐちゃだった

 

「回能くん!体に異常は!?痛く無い!?」

「酷い出血だ...早く病院へ...!!」

 

私達が彼にそう話しかけるが、当の本人は全くピンと来ていないような反応をしました、首を傾げ、まるでこちらの声が聞こえていないかのように...ふと、彼の顔から血が滴り落ちた、その血が手の甲に当たると、自分の顔に触れた回能くん、そこでようやく自分の身に起きている事を理解したのか、わずかに反応を見せた

が、直後咳き込み吐血した後、まるで糸が切れた操り人形の様に脱力し、倒れ始める

 

「危ない...!」

 

幸い私の方に倒れてきたから、地面に倒れる寸前に抱き止める事が出来た、脈は...ある、息もしてる、気絶しただけみたい、よかった...

 

「情報の擦り合わせはまた後日になる、まずはジョーカーを病院へ」

「ええ、すぐに」

 

ナイトアイと共に倒れた回能君を病院まで運ぶ、病院にたどり着くと、回能君はすぐに奥に運ばれていった、幸い命に別状がない事はすぐにわかったけれど...一体何が起きたのかしら...

ひとまず治療はすぐに終わり、今日中に目を覚ますとの事、なので私は彼の病室で待つ事にした

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

〈回能side〉

 

...目が覚めると、そこは病院だった

 

「...ここは...」

「さっき居た場所の近くにある病院よ」

 

俺は声がした方を見る、そこにはリューキュウが居た、て事はナイトアイとリューキュウが運んでくれたのか...迷惑かけちまったな...

 

「すみません...ご迷惑をおかけしてしまって...」

「本当よ、急に血を流し始めたと思ったら倒れるんだもの、相当焦ったわよ」

 

呆れ半分、心配半分といった視線を俺に向けるリューキュウ、うーん、何も言い返せない...結局あの流血はなんだったのかとリューキュウに問い詰められる

あの流血は自業自得の産物だ、俺の「ホークアイ」、性能がかなり便利でかつ、能力もシンプルなため比較的抽選されやすい能力なのだ

 

そんな便利能力がなんのデメリットも無しに使えるはずがない

 

俺のホークアイは、様々な情報を視覚から直接脳に送り込んでいる、だから情報を見てから、その情報を理解するまでが常人より早い*1

加えて目に映るもの全てが強制的に情報として頭に流れ込んでくる、USJでも説明した通り、だからわざと視野を狭くしているんだ、だとしても、目に映るものの情報が無数に入ってくるのには変わりない

 

故に、ホークアイ使用時は脳への負担が凄まじい、大量の情報を直接脳にぶち込んでるみたいなもんだしな、その負荷と情報過多によるストレスが原因であの流血が起きたと言うわけだ

 

ザ・自業自得、集中していたとはいえ、自分の状態に気が付かなかった俺が悪い

 

「と言うわけです」

「....無茶しすぎよ」

「あの程度無茶には入りませんよ、怪我じゃなくただ血を流しただけですから...」

 

それに、今回の俺以上の苦痛を、エリちゃんと言う娘はその幼い身で受け止めているのだ、その苦痛と比べればこのくらいへでもない

目を覚ました後は医者に見て貰い、異常がないことを確認、問題なく活動が可能との事だ、よかったよかった、ここで個性の使用を控えろなんて言われちゃ何もできなくなる

 

「取り敢えず、貴方が無事で良かったわ」

「あの程度じゃくたばりませんよ」

 

俺の頭を撫でながらそう話すリューキュウ、撫でられるのもだいぶ慣れてきた、これで撫でられる度に一喜一憂しなくて済む

何はともあれ、トラブルはあったがこれで死穢八斎會のシッポは掴めた、後は作戦を立てて準備をし、エリちゃんを保護するだけ...

絶対に成功させる

*1
例えば、何かの木を見たとする、常人であればその木がなんの木かわからないと、脳から情報を探し、何の木か理解する、という流れだが、回能のホークアイの場合は、木を見ればその木がなんの木かが一瞬でわかる




みなさんどうも猫耳の人です
長かったり短かったりで申し訳ない
つーことでいよいよ死穢八斎會のシッポを掴んだ!!
今回の地下での出来事は完全に恒造です、こういうことしてるんじゃないか、こんな感じなんじゃ無いか、という考えを持って書きました
こう言う書き方は初めてだったので、何かあればお教えください
次回もお楽しみに
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