残念だったなぁ、トリック(物理)だよ
〈回能分身side〉
二手に分かれて進むこと数分、ファットガム班にて...
「ここです、下にいます」
俺の案内で、窃野、宝生、多部の居る部屋の上に到着した、コイツらはフリーにしておくと後々厄介だ、本体の所に行かれる前に瞬殺する
「先輩、俺と貴方で決めますよ」
「わ...わかった...!」
サンイーターに視線を送ると、冷や汗を流しながらだが、俺に決意のこもった視線を向けてくれる、少し不安だったが...これなら大丈夫そうだ、本体もルミリオンの元にたどり着いた...ギリッギリだったが間に合って良かった...これでこっちも集中出来る
「スリーカウントで床をブチ破ります、個性の用意を」
それだけ言って、俺は腕から血の刃を出現させ、床に狙いを定める、3、2、1...
「行きます!」
腕を振り下ろすと、床が十字に切り裂かれ、大きな音を立てて崩れ始める、一瞬の浮遊感を感じると同時に、目の前に現れたマスクを付けた三人組目掛けて血の刃を飛ばす、不意打ちだったので対応できなかった三人組、俺の血が目に入ったようで、目を押さえながらもがき始めた
「今ですサンイーター!!」
「混成大夥...
キメラクラーケン!!」
「がぁっ!?」
「ぐぅっ...!?」
「ぎっ...」
その一瞬の隙を突き、サンイーターのキメラクラーケン炸裂、正確に三人を吹き飛ばし、一瞬で気絶させた、さすがビッグ3の一人...タイマンでも勝てるかどうか...
三人の拘束を警察に任せ、俺たちプロヒーローはさらに先に進む
「てかクラーケンってイカですよね」*1
「今そこにツッコむのか...」
俺のツッコミにそう返してくれるサンイーター、よしよし、まだ余裕はあるな、ならこのまま突っ切る、しばらく進むと暗く、開けた場所に出た、ここは...確か...
「!アカン!!下がれジョーカー!!」
「っ!?」
不用意に前に出たのが良くなかった、俺が一歩踏み出したその瞬間、弾丸と見紛う程の速度の拳が無数に飛んできた、ファットガムに突き飛ばされ、辛うじて回避は出来たが...そのせいでファットガムがダメージを負ってしまった
防御力に優れたファットガムがあの数発でここまでのダメージ...相当な実力者だ...
攻撃の後隙を狙ってファットガムが攻撃を仕掛けるが...寸前でバリアに阻まれた
「すみません!ファットガム!!」
「つう...気にすんな!!それよりコイツらは!」
「データに無かった奴らです!おそらく外部の...!!」
「ファットにここまでダメージを...!」
俺達が構えると、暗がりの中から相手がその全容を表した、和服を着た奴と、大柄で手にガントレットのような物を巻きつけた男...
不意をつかれたとはいえ、あの一瞬でここまで....だがもう油断はしない
「四対二か...甘くは無いな」
「どうでも良い、おい楽しくなってきたんだ、天蓋、これ外せ使うな、そもそも俺はバリアなんぞ必要ないんだ」
「私欲に溺れるな、オーバーホール様の言いつけを忘れるな、相性は良好、我々のコンビネーションで確実に処理するんだ」
何やらあっちは言い争っている、チャンスだ
「...バリアの方は俺が俺がやります、三人は大柄な方を、バリアの方が片付き次第そちらに向かいます」
「おうよ!」
レッドライオットの返事を聞き、俺はすぐさまバリア持ち...天蓋の方へ走る、俺の個性はまだ割れてない、加えて相手は油断してる、なら...一手で決める
俺に気がつきバリアを張る天蓋、だが俺には瞬間移動がある
「なっ...!?」
バリアの中に現れた俺を見て混乱する天蓋、そのまま天蓋の顎目掛け、腕に再生した血の鎌を振るう、赤の一線は寸分違わず顎を打ち抜き、天蓋の意識を文字通り刈り取った、瞬殺だ
天蓋を血で拘束し、そのままもう一人の方へ向かう、ファットガムとレッドライオットが受け、サンイーターが攻める、が、なかなかどうして相性が悪い、相手の手数がサンイーターの手数を上回っている、しかもただの拳の連打でだ、なんつー実力だよ...
「ん?お前も来るか!!」
サンイーターの攻撃を弾き飛ばし、近づく俺に気がつく相手の男、血の刃を飛ばして牽制するが効果なし、拳で霧散させられてしまった
そのまま俺に向けて連打を放ってくる、が...見えてる
「うおっ!?」
瞬間的に姿勢を低くし、一瞬で視界から消えて足払い、体制を崩した所に、血を纏った拳をぶち込む
筋肉という装甲を物ともせず、ドンピシャで鳩尾に拳が命中した、一瞬の唸り声を挙げたのち、男は意識を飛ばした、これで制圧完了...だが...
「救かったわ...上でも思たけど強いな...」
「っ...わりぃ...回能...」
「っ...」
三人とも傷が酷い、ファットに関しては俺のせいでもあるが...残り二人...レッドとサンイーターもかなり酷い...レッドは全身アザだらけどころか血だらけ、サンイーターも一撃顔面にもらったのだろう、顔の半分が血に塗れている、ここで戦力を失うのは痛い...が...彼らにこれ以上無理をさせるわけにはいかない
「...三人はここで少し休んでいてください、ヴィランの拘束を忘れずに」
「待てジョーカー、また一人で行くつもりか」
「...傷だらけの貴方達を連れていくわけにはいきません、多少回復したらきてください」
俺はそれだけ言い残し、軽めの応急処置だけしてその場を去った、警察も複数居る、おそらく心配は要らない、そしてどうやらナイトアイ班はルミリオンと本体に合流したようだ、ヴィラン連合の二人もいつの間にか逃げてしまって居たようだ、それでスムーズに進めたらしい
だいぶ遠回りをしてしまった、俺も急がなければ
◇
〈ルミリオンside〉
ジョーカー達と別れてから数分....治崎からエリちゃんを奪還する事は出来た、このまま逃げたかったけど...修復で退路を塞がれてしまった...ここで二人を倒すしか無いみたいだね...
クロノも...気絶させるつもりだったけど...軸がブレたか...あの酔っ払い...酒木の個性がまだ効いてるせいか
「エリを抱えてる腕を狙え間抜け」
「間抜けって...あんな精密な個性の使い方されるとは思いませんよ、相当鍛えてきたんでしょうね」
クロノが引き金に指をかける、それとほぼ同時に周囲にあった棘が分解された、弾を当てたいだろうな!二回避けたし、面倒な個性っつったし!ってなると修復での攻撃は邪魔になるからトゲトゲは来ない!!
「ちょっとごめんね」
マントを破りエリちゃんと俺の体を隠す、狙いをズラすんだ、クロノ...あいつの個性、アレだけは喰らえない!!
「ヒーローのマントってかっこつけだと思ってやした」
「...!クロノ!」
俺は個性で瞬時にクロノの懐に入り込み、肩で腕を弾き、顎目掛けて拳を突き上げる、んだけど...治崎の個性で地面が隆起し、回避されてしまった
「すいやせんオーバーホール!」
クロノを回避させた後、治崎はエリちゃんを狙い始めた、エリちゃんを壊せば俺が対抗できなくなると思ってるんだろうね...だから隙が生じる、そういう奴だよお前は!!
治崎が俺の拳を受け止めようとする、でも俺に防御は意味ないんだよね!!ようやく良いのが入った!!
「ヒーローがマントを羽織るのは!痛くて辛くて苦しんでる女の子を包んであげる為だ!!」
かっこつけなんかじゃ無い、だからヒーローはマントを羽織るんだ、拳銃にはもう触らせない、修復による攻撃も俺には効かない!!
ここでお前たちを倒して...今度こそ必ずエリちゃんを救ける!!
「相手をよく見て!!次の行動を予測する!!一介のヤクザとは思えない身のこなしだ!お前は強いよ治崎!!でもね!!
俺の方が強い!!!」
エリちゃん、俺が君のヒーローになる!!治崎にはもう指一本触れさせない!!
「二人まとめて倒してやる!!お前の負けだ!!治崎!!」
「気安く呼ぶな...!その名は...捨てた!!」
結構良いの入ったんだけどね!!まだ気絶しないなんて...!!執念...ってやつなのかな!!でも...それでも俺は負けない!!
今は俺が優勢!!この前畳みかけ━━━━━
「若と....!!共に歩まねば!!」
「音本...!!」
っ!?嘘だろ...!!さっき完全に意識を飛ばしたハズ...!!もう目覚めたのか...!?だけど銃は俺には効かない!治崎に一瞬でも時間を与えたらダメージを修復される!!音本は一旦放置!!このまま治崎を...!!
その一瞬の思考の隙を突かれた、治崎が音本に向かって何かを投げた、アレは....サンイーターに撃ち込まれた個性消失弾!!
「撃て!!!」
いや、慌てる必要はない!俺に弾は当たらないし、さっき治崎が投げたのが見えてる!!俺に撃てば近くに居る治崎に当たってしまう、それにチラッと見えた、弾は五発!無駄撃ちは出来ないハズだ!!なら闇雲に撃ってくることは無い!!大丈夫、このまま倒せる!!
そう思った直後、音本の照準は俺からズレた、銃口の先に居るのは、エリちゃんだった
「っ!!」
銃を向けられたエリちゃんは、目を瞑り、黙って歯を食いしばる、逃げられない痛みを怯えながら待つように、耐えようとするように...
あぁ...君は今までそうやって痛みと恐怖に耐えてきたんだね...でも、もう大丈夫...もう、痛い思いはさせない!
直後、辺りに響き渡る一発の銃声、銃弾が放たれる前に、射線を切るように飛び込む、恐らく、いや、確実に俺は個性が使えなくなる
それでも...この子が痛い思いをするよりずっと良い、個性がなくても俺は戦える!!
俺は覚悟を決めた、放たれた弾丸が俺に向かって一直線に飛んでくる、一瞬の間を置いて、弾丸は俺に....
着弾することはなかった
「....?」
いつまで経っても弾が当たったような感覚が無い、恐る恐る後ろを振り返ると、そこには...
「ギリッギリ...間に合ってよかった、無事ですか?ルミリオン」
「ジョーカー...!!」
〈回能本体side〉
音本が個性消失弾を放ったのが見えた、狙いはエリちゃんを庇うルミリオン、あわやルミリオンに弾丸が当たるその寸前、能力を発動して弾丸をキャッチ、ルミリオンの個性が消される事を防ぐことが出来た、ぶっ飛ばしてきて正解だったなこりゃ...あと数秒遅かったら手遅れだった...
当たったと思ったろ?残念、トリックだよ*2
「ギリッギリ...間に合ってよかった、無事ですか?ルミリオン」
「ジョーカー...!!」
怪我はない、どうやら無事のようだ、取り敢えずキャッチした消失弾をポーチに突っ込み、状況を確認する
ボロボロの治崎、気絶してるクロノ、んで、まだこっちに銃口を向けてる音本...この三人相手にエリちゃんを庇いながらここまで...すげえや
「まだ戦えますよね、ルミリオン」
「勿論だよね」
「英雄症候群の病人共が..,!!」
背中を合わせて構える俺達、治崎はそんな俺達を見てイラついている、よぅし怒れ怒れ、そうすりゃ動きが単純になる
「ルミリオンはまず音本を、貴方なら2秒も要らないでしょう、その間俺が治崎を抑えます」
「了解!」
同時に駆け出す俺達、音本はルミリオンがやってくれる、なら俺もキッチリ仕事をこなしましょっと
まずは小手調べだ
向かってくる俺を見て、とっさに迎撃体制に移る治崎、地面をバラしてトゲで俺ごとルミリオンを攻撃しようって魂胆だろ、だが遅え
「ファーストギア・アクセル」
「がっ...!!」
瞬間的に加速し、治崎の腹部、脇腹、腕、脚、顔面...あらゆる場所に打撃を打ち込む、それも一瞬でだ、文字通り瞬く間の出来事、何故こんな動きが出来るのか?それは俺が持つ能力のおかげだ
俺が今保有している能力は「アクセル」、自身に対する加速効果や大幅な身体能力の増強、それに耐えられるだけの肉体が手に入る
そしてこの能力の真髄は、その強化段階にある、今使ったのは「ファーストギア・アクセル」、他のギアやシフトにチェンジする事が出来る、いわゆる初速の段階だ
これだけでも、並の人間には反応できない速度を出すことが出来る、ここからどんどん加速していくぞ
「ラァっ!!」
治崎の腹部にスピードを乗せた回し蹴りを放ち、吹き飛ばす、コレだけぶっ叩いてもくたばらねえとか...なんつー執念だよ...治崎の分解攻撃がくる、咄嗟にエリちゃんを抱えて飛んだ、辺り一帯が一瞬で分解され、トゲが迫り出してくる、俺はそのトゲを足場にしつつ空中に回避、流石にこのデカさのトゲは貰えない
「エリちゃん、しっかり掴まって」
「っ...」
エリちゃんが俺の服をギュッと握り締める、ナイトアイ班がもうすぐ到着する、そうすればエリちゃんを逃がせる、あとは治崎を捕えるだけ、この局面、何としても持ち堪える!!
「少しギアを上げていこうか、「セカンドギア・フルスロットル」」
瞬間、さらに加速を始める俺の肉体、急激に速度を上げた俺に、満身創痍の治崎が対応できるはずもなく、秒間数十発の蹴りをその身に受ける
「セカンドギア・フルスロットル」、能力アクセルが
速度を乗せたラッシュ、これで気絶してくれりゃ話は早いんだが...
「調子に...のるなァ!!」
「っ...!!」
現実はそう甘くはないらしい
地面から無数のトゲが発生し、俺達に襲い掛かる、瞬時に足場になりそうなトゲを選び、空中に飛び上がる、あっぶねぇ...一瞬反応が遅れてたら串刺しだった...そんで今ので確信した、コイツエリちゃんごと狙ってやがる、壊れても治せるからってか?人の命を何だと思ってやがる
「気に入らないな」
思わず口からそう溢れてしまう、だが冷静になれ、ここで怒りに飲まれれば相手と同じ土俵に立つ事になる...そうだ、冷静に...
今治崎の狙いはエリちゃんを抱えている俺に集中している、それなら好都合だ、何故って?
現無敵のヒーローがフリーになるからさ
「ファントム・メナス!!」
ルミリオンの拳が治崎を襲う、防御が意味をなさない、文字通りの必殺技、その拳が、治崎に突き刺さる、良いダメージだが...やはり気絶はしてくれない、しつけえなコイツ!!
一旦距離を取る為、ルミリオンが俺の隣に降り立つ、さすがと言うべきか、傷一つ付いていない
「そろそろ決めましょう、ルミリオン」
「了解、しっかり着いてきなよ、ジョーカー」
互いに背中を預け、治崎目掛けて走り出す、が、その瞬間
「図に乗るなァァァァァァァァ!!!」
「「っ!?」」
治崎の怒号と共に、部屋全体が大きく変化し始めた、ルミリオンと俺が分断され、俺の周りに凄まじい密度のトゲが出現した、人一人通れる隙間すらない、本気で殺しに来やがったな...
「汚いな...まずはお前からだ赤髪...お前にルミリオンの様な個性がない事はわかっている...エリを返せ、さもなくばお前を殺す...」
ルミリオンが透過出来るのは自分だけ、俺たちを連れて透過って事は不可能だ、だがみすみすエリちゃんを渡してやるほど俺は落ちぶれちゃいない
「その目を見りゃわかる、エリちゃんを渡したら俺のこと殺す気だろ?だったら渡し損じゃないか、それにヤクザってのは契りや約束を大事にするんだろ?だってのに嘘つくなんて...ヤクザも落ちぶれたねぇ」
「っ...」
あの目はマジだ、マジギレだ、絶対殺しに来る、だから渡さない、殺されようが殺されまいが渡さないけど..てなわけで、俺は治崎を煽って怒りを誘発させる、あれだけ潔癖なんだ、俺達に触れられたって事実に嫌悪と怒りを露わにしている
俺を閉じ込めた治崎は一転してまるで自分が優位に立っているかのような立ち振る舞いに変化した、触られた箇所を拭き、ゆっくりとこちらに歩いてくる
「お前に発言を許した覚えはない、黙ってエリを渡せ」
「やだね、絶対渡してやるもんか」
「そうか...交渉は決裂だ」
そう呟きながら、俺を閉じ込めているトゲに触れる治崎、俺諸共エリちゃんを貫く気だろう、腕にエリちゃんの震えが伝わってくる、幼い子にこんだけ怯えさせるなんてな...お前だけは泣いて謝っても許してやらねぇ
....ん?お前瞬間移動使えるんだから出られるだろって?たしかにな、瞬間移動を使えばこの程度の檻すぐに出られる、が、今の狙いはそれじゃない
この攻防で理解した、俺とルミリオンだけじゃ勝てない、どちらも決め手に欠ける
故に、俺は治崎を煽る、どんな状況だとしても、1分、1秒...少しでも多くの時間を稼ぐ
治崎もバカだな、問答なんかせずにそのまま殺せば良かったものを...だから...
ザンッ...
「っ!?」
こうなる、突如としてトゲの檻に赤い剣線が走り、檻が細切れになる、ついでとばかりに治崎の胴体にクロス状の傷が出来上がった、突然起きたことを理解できずわずかに動揺を見せた治崎
何が起きたのか、簡単な話だ、すぐ近くまで来ていた分身を超特急で走らせ、俺の所まで呼び寄せた、コレで三対一....いや、六対一になる、なぜなら...
「!ナイトアイ!ルミリオン、ジョーカー、治崎、そしてエリちゃん!発見しました!!」
「でかした!!」
ナイトアイ班、ナイトアイとデク、そして、ナイトアイ班につけた俺の分身が壁をぶち破り入って来た
良いぞ、戦力が集まってきた、ここからが正念場だ...
みなさんどうも猫耳の人です
更新が遅れてもうわけない、予定が立て込んでしまって...
コレからもちょこちょこ更新が遅れてしまうかもしれません、先に謝っておきます、すんません!!!
てなわけで八斎會編もクライマックス、速いですねぇ〜
そろそろ番外編も書きたい、ネタはあるんだ...
次回もお楽しみに
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回能彩目は
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