休まないとやってられないよ
「帰ってきたァァァァ!!奴らが帰ってきたァ!!!」
「うるさ」
学校に戻ってきてからも書類やら調査やらで時間が掛かり、夜になってようやく帰ってきた俺たちを最初に迎えたのは、デカい声を出す峰田だった
「大丈夫だったかよォ!?」
「大変だったな!!」
「ニュース見たぞおい!!」
峰田の叫びを皮切りに俺たちの元に集まるA組の面々、かなり騒がしい、近所迷惑にならないかこっちが心配するレベルだ
取り敢えずもみくちゃにされないようにこっそり抜け出し、荷物を降ろして一息吐く、すると背後から肩を叩かれる
「ん?」
振り返ると、そこには耳郎と八百万が立っていた
「....おかえり」
「おかえりなさいませ」
「...うん、ただいま」
愛する彼女達の顔をようやく見られた、その事実に思わず頬が綻ぶ、その一瞬だけは疲れを忘れて二人を抱きしめてしまった
「疲れました、癒してください」
「ん、お疲れ様」
「ラベンダーのハーブティーを淹れてまいりますわ、心が安らぎますの」
俺の背中を優しく叩く二人、あぁ、ようやく帰ってきた、たった数日の間の事だったのに、数週間ぶりに会ったように感じる
ひとまずソファーに座り、ハーブティーを持ってきてくれた八百万も一緒に三人でハーブティーを飲む、良い香りだ、温かい
「美味しい」
「それは良かったです...お疲れ様でした、回能さん」
「はいクッキー」
「ありがとう」
八百万が淹れてくれたハーブティーを飲みつつ、耳郎が持ってきてくれたクッキーをポリポリ食べる、疲れた体に染み渡る甘さと香りだ、いつものように雑談はしていないが、二人が側に居てくれると言うだけで、不思議と心が安らぐ
チラリと緑谷達の方を見てみると、飯田が緑谷の肩に手を置いて凄いデカい声を出しながら揺らしていた、そんな光景を見て思わず笑みがこぼれてしまった、いつもの光景だ
「....帰ってきたって感じだな」
自然と口からそんな言葉が溢れた、そんな風に癒されていると、上鳴に話しかけられた爆豪と、外から戻ってきた轟が自室に戻って行った
「早いな、どうしたんだ?」
「あいつら明日仮免の講習なんだ、にしても早いけど...」
「あぁ、仮免か...頑張ってるなぁ」
ハーブティーを飲みながらそう呟く、俺らがインターンやってる間にも仮免講習受けてたんだな...
ま、あいつらなら大丈夫だろ、それより俺も疲れた、そろそろ寝よう
「ふぁ...あぁ....ハーブティーとクッキーありがとう、俺もそろそろ寝るよ、おやすみ」
「うん、おやすみ」
「ゆっくり休んでくださいね」
「ん」
耳郎と八百万にそう言い残し、俺もエレベーターで自室に戻る、数日ぶりの自分の布団、着替えを済ませ、眠気に任せて思いっきりダイブ、ものの数秒で意識がシャットダウンされた
◇
数日後
いつの間にか九月も終わり、十月を迎えた、夏の暑さも無くなり寒暖差が激しくなってきた今日この頃
俺たちインターン組のインターンは一時停止、指示が出るまでしばらくは様子見になるようだ
そして、肝心のエリちゃんだが...先日ようやく意識を取り戻したらしい、これで一安心...というわけにもいかず、やはり精神面がまだ不安定らしい、いつ暴走してしまうかわからない為、まだ面会は出来ないと相澤先生が言っていた
ついでにもう一つ、エリちゃんの個性の放出口である角、エリちゃんの熱が引いていくにつれて縮んでいき、今はコブ程度の大きさになっているとのこと、おそらくだが、角は放出口であると同時にエネルギーの貯蔵庫的な役割もしているのだろう、それが縮んでいると言うことは...そのエネルギーが少なくなっているということ
面会出来る日も近いかもしれないな
さて、そんな雑談も程々にして日常の一コマに戻ろう
「カツがんまい」
「いっつもそれ食べてるけど飽きないの?」
「飽きない」
食堂で昼食を摂る俺達、メンバーはいつもの五人、俺、八百万、耳郎、上鳴、障子だ
あいも変わらずランチラッシュの飯は美味い、サクサクの出来立てだ、そんなこんなで食事をしていると、ふと、耳郎と八百万の視線が俺の胸元に来ていることに気が付いた、チラリと視線をやると、そこには二人がくれたネックレス
「着けてくれてるんだ」
「まぁ、プレゼントだし」
「気に入っていだけて嬉しいですわ」
空気が甘くなるようなやりとりを二人と交わす、こういう何気ない会話が一番平和を実感させてくれる、こんな時間が永遠に続けば良いのに
「....なぁ障子、俺今ならブラックコーヒーがぶ飲みできるかもしれねぇわ」
「同感だ」
遠回しに空気が甘ったるいと呟く二人はさておき、昼食を終えて午後の授業、とはいっても座学なので活発に動くことはない、明日からまた必殺技の開発が再開されるし、インターンの補修もある、置いてかれないように頑張ろう
◇
そんなこんなで翌日ゥ!!
シンリンカムイやMt.レディ、エッジショットがチームを結成したことを耳にしつつ、今日も一日が始まる
「麗日がねぇ!私を浮かしてねぇ!酸の雨を降らす!!」
「エグない?」
「私を瀬呂のテープで操作するんだよ!口田と障子と耳郎が偵察ね!なんでもできるヤオモモと回能も欲しい!チーム・レイニーデイ!」
「おー」
「雨時々酸って事?やな天気」
チームアップの話の流れで、「クラスでチームを組むなら?」と言う話題に火がついた、即興にしてはかなり殺意の高いチームが出来上がったんじゃなかろうか、酸の雨て、酸性雨どころの話じゃないでしょ、道路とかの修繕費やばそう*1
「「俺たちは!?」」
「いらない」
自分たちも、と、上鳴と峰田が名乗りを上げるが...無慈悲にも芦戸にバッサリと切られてしまった、この世の終わりみたいな顔で名前のわからない指が5本出たら負けのゲームをやり始めた、なんか先に5本出た方が死ぬみたいな事言ってる、死に急ぐな阿呆
まぁそんなアホ二人は置いといて、やってきましたTDL、俺たちの前にはセメントス先生が居る
「以前課した最低二つの必殺技、出来てない人は開発を、出来てる人は更なる発展を」
て事でやっていきましょう必殺技開発、今日の能力は〜....
「...「波動」か」
地味に入試以来に使う能力だ、最近波動を使う人の戦い方も見れていたしちょうど良いかもな
「さてと、まずは肩慣らし...」
地面に落ちている小さな石ころを数個拾い上げ、空中に投げ飛ばす、それに合わせて右手でピストルの形を作り、狙いを定め....
「BAN」
一発、指から放たれた収束した波動は狙い通り石ころに命中、波動は石ころを焼き切り天井目前で消失、流れるようにそのまま残りの石ころ目掛けて波動を撃つ、いずれも狙い違わず命中、オーケー、精度は落ちてないな
それから少しの間石ころを撃ち抜き、3分程それを繰り返したあと肩を回しながら振り返る
「ウォーミングもこのくらいにして、早速必殺技開発に勤しみましょっと」
体を伸ばし、いよいよ本題の必殺技の開発を始める、さてさて、どんな必殺技にしようかね
◇
「
授業開始から数十分、大方出来ることは試した、波動先輩のように波動を捻れさせて威力や貫通力を上げたり、威力の限界を知ったり....
必殺技と呼べる物は、相対的に見るとそこまで多くはないが、それでも四つは出来た、進展としてはかなり良い方なのでは無いだろうか
「ヤハリ汎用性ノ高イ能力ダナ」
「...いえ、そうでもありませんよ」
「?ドウイウ事ダ?」
確かに、波動と言う能力はあのビッグ3の波動先輩の持つ個性でもある、だが、俺の波動は先輩のように空を飛ぶことは出来ないし、誰かに付与するなんて事も、エネルギーを託すなんてことも出来ない
だから「切札」を使わない限りは、波動先輩より限定的な事しかできないのだ
「...ソノ「切札」トイウノハ?」
「...奥の手ですよ」
切札ってのは最後までとっておく物だ、誰かに言いふらす物じゃない、誰も知らないからこそ、その切札は土壇場で強く輝き、切札たらしめる...だから俺は、「自分の切札」を、誰かに話した事が無い
俺なりのちっぽけな美学ってやつさ
そう話すと、エクトプラズム先生は妙に納得した様子で頷いた
「成ル程、君ノヒーロー名から考エテモ、君ノ中デ「切札」トイウノハ特別ナ意味ヲ持ツノダロウ、ナラバ無理強イハシナイ、ダガ、ソノ切札ヲ使ウ時ガ来タ時ノタメニ、鍛錬ハ怠ラナイヨウニ」
「はい、ありがとうございます」
理解のあるエクトプラズム先生、流石です
てな感じで今日の必殺技開発は終了、コスチュームから制服に着替えた俺達は帰りのHRを終わらせ、寮に歩いて帰った、今日も疲れた、シャワー浴びてアイスでも食おう
◇
「んーーーー」
さて、俺は今、棒アイスを咥えながら部屋のベッドに鎮座している
何をしているのかって?お答えしよう、先日のインターンで覚醒した俺の「道化師」についての確認をしている、俺の目の前には四人の分身、だが、ただの分身ではない、それぞれが独自の特徴を持った、異質な容姿の分身だ
━━━頬に青色の「♠︎」のシンボルが刻まれた、藍色の髪の分身
━━━頬に桃色の「♡」のシンボルが刻まれた、水色の髪の分身
━━━頬に金色の「♦︎」のシンボルが刻まれた、白色の髪の分身
━━━頬に緑色の「♣︎」のシンボルが刻まれた、緑色の髪の分身
加えて、この分身を出した時、俺の頬に「J」のシンボルが現れた、おそらくこれはトランプをモチーフにしているのだろう、だとすれば道化師である俺は「ジョーカー」ってところか、なんつー偶然...
その後、分身と情報共有を行って色々なことがわかった、まずこの分身達の名前だ、驚くことに、個々に名前が付いているらしい
♠︎が「絶望の騎士」、♡が「憎しみの女王」、♦︎が「貪欲の王」、そして♣︎が「憤怒の従者」...
いや物騒だなオイ、名前から物騒だよ、特に絶望と憎しみ、強いシンボルツートップが飛び抜けて物騒ってどういうことよ*2
この際それは置いておこう、で、わかったことがもう幾つか...
身体能力についてだ、シンボルを付与された分身は、俺と全く同じ身体能力ではないということ、それぞれが得意な「何かに」特化した身体能力に加え、それぞれのシンボルが特殊な力を持っていた
そして最後、シンボルを付与された分身は、付与されたシンボルに応じて性格に影響が出る、一言で表すなら♠︎が守護、♡が愛、♦︎がガサツ、♣︎が従順、どおりで入ってくる情報の質が違うわけだ...
で、最後に俺の「J」のシンボルについてだが...このシンボルが浮き出ている間、どうやらシンボルが付与された分身体の武器が使えるらしい、試しに♦︎の武器を出してみたら、右腕にかなり大きなガントレットが現れた、何故か初めから使い方がわかっているかのように扱うことが出来た、なんとも不思議な感覚だった事を覚えている
「上手く扱えるか不安だな....」
分身を消し、溶けかけたアイスを舐め取りながら立ち上がる、これだけの強力な力を持て余すのは勿体無い、訓練して上手く扱えるよう頑張らないとな
そんなことを考えながら、皆があるであろう一階の共有スペースに降りていく
「あ、回能遅いよ、何し.....て.....」
「あら、回能さん、もうすぐお夕飯.....が.....」
一階に降りると耳郎と八百万が出迎えてくれた、だが出迎えてくれた二人の様子がおかしい、俺の姿を見た途端に固まり、俺をガン見してくる、一体どうしたんだ?
....そういえばなんか肌寒いな...冷房が効きすぎてるのか?
なんて考えながら、鳥肌が立っているであろう自分の腕に視線を降ろす、すると不思議なことに、そこあるはずの袖が無い、何故?と思い今度は自分の体に視線を落とす、するとあら不思議、上着を着ていないではありませんか、成る程、見られてたのはそう言うことか...はっず
「...着てきます」
暑かったので部屋で脱いでいたら、そのまま来てしまっていたようだ、顔あっつ、幸い二人以外には見られなかったから良しとしよう、いや良くないけど、いや...二人共もう俺の裸見てるし良いのか?
まぁとにかく早く服着てこよう、俺は体を隠しながら部屋に戻るのであった
おまけ
〈耳郎サイド〉
共有スペースに降りてきた回能を見て思わず固まってしまった
なんでこいつ上半身裸で降りてきたんだろう、早く服着てきなよ、そう言いたかったけど、あまりの色気にウチとヤオモモは固まることしかできなかった
いやエッロ、何アイツ、なんであんなにエロいんだよ、ウチらの事誘ってんの?ヤオモモも顔真っ赤だし、他の人に見られなかったのはよかったけど...刺激が強すぎる
「耳郎ー、ヤオモモー、ご飯できたよー...って...うわぁ!?二人とも鼻血!!」
「あ...うん」
「はい...」
芦戸の声で若干正気に戻ったウチら、鼻血出てるし、回能のせいだ、決めた、今日は絶対寝かさない、そう考えてヤオモモに視線を送ると、ヤオモモもウチの目を見て頷いてくれた、決まりだね
次の日の朝、腰を痛そうにする回能と、ツヤツヤした表情をした耳郎と八百万が見られたそうな...
どうも皆さん、文章力の無さを一生嘆いている猫耳の人です
所々日本語が変になっていないか心配でございます、さて、いよいよ文化祭編に入って行きます、もうそろそろ全面戦争編も見えてきましたね、このままでは圧倒的に話数が足りないので、もう少ししたら閑話が入ってくると思います、そして本編完結後はifや日常回なども書いと行く予定なのでどうぞよろしく
そして、前回の後書きにて書いた新しいお話について、色々自分でも考えてみたのですが、更新速度が不安定な現状で複数同時更新は難しいと考えました、なので本編完結後に新たな小説を書こうと思います
小説の構想は、この小説が投稿された後に活動報告で行いますので、よろしければどの作品を最初に投稿してほしいか、コメントよろしくお願い致します
てな感じで次回もお楽しみに
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回能彩目は
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