無敵のヒーロー(自称)   作:猫耳の人

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人気者はつらいよ


第五十六話 もしかして俺ってモテモテ?

 

文化祭の出し物が決定した次の日、俺は緑谷、ミリオ先輩、相澤先生の三人と共にとある病院に来ていた

死穢八斎會掃討作戦の後、俺達が搬送された病院だ、なぜこの病院に来たのかというと....

 

「あ...」

「や、エリちゃん」

 

エリちゃんに会うためだ、昨日、相澤先生からエリちゃんが目覚めたと知らせを受けた、そしてどうやら、エリちゃんが俺達に会いたがっているとの事、そんなわけで、相澤先生の引率の元、四人でエリちゃんに会いに来たというわけだ

 

「大丈夫ですかね?事件を思い起こさせるモノは遠ざけた方が良いという判断でしたが....」

「暴走を懸念していた、しかし、少なくとも今は心配いらんだろう、今あの子に暴走するほどのエネルギーはない」

 

部屋の外からそんな会話が聞こえてくる、なら取り敢えずは安心か...エリちゃんの方も落ち着いてるみたいだし、これなら少しは話ができそうだ

 

「会いに来れなくてゴメンね」

「元気になって良かったよ」

「フルーツの盛り合わせ!よかったら食べて!好きなフルーツある!?俺当てていい!?ももでしょ!?ピーチっぽいもんね!」

「リンゴ」

「だと思ったよね!!」

 

先輩...距離の詰め方が急過ぎますよ...ちょっとずつ詰めていかないと...

とりあえず俺がりんごを切り分け、皿に盛ってから話に入る、リンゴはうさぎ型に切った、手先は器用だからコレくらいはお茶の子さいさいよ

 

「....ずっとね、熱出てたときもね、考えていたの、救けてくれた時のこと...でもお名前がわからなかったの、ルミリオンさんとジョーカーさんしかわからなくて....知りたかったの」

 

その言葉にショックを受けたような表情をする緑谷、確かにあの時は必死だったし、名前は呼んでたけど聞く余裕は無かったもんな....最初から居た俺と先輩はともかく、最後にまともに接触した緑谷は名前を知らなくても仕方ないか....

 

「緑谷出久だよ!ヒーロー名はデク!えっと...デクの方が短くて覚えやすいかな...デクで!デクです!」

「ひーろーめい?」

「アダ名みたいな物だよ」

「デクさん」

 

どうやら覚えてくれたみたいだ、それから少しして、エリちゃんが暗い表情で話し始めた

 

「ルミリオンさん...デクさん...ジョーカーさん......私のせいでひどいケガを....私のせいで苦しい思いさせてごめんなさい....」

 

恐らく俺の事を言っているのだろう、目の前であんなに怪我しちまったし、それを気にしてるのか...

 

「苦しい思いしたなんて思ってないさ、皆んな「エリちゃんが無事で良かったって思ってる」

 

エリちゃんの頭を撫でながらそう話す、確かに痛かったけど死ななきゃ安い、だから何も問題ない

 

「皆君の笑顔が見たくて戦ったんだ、泣いてちゃ可愛い顔が台無しだよ」

 

優しく微笑みながらそう話すと、少ししてエリちゃんが口角を無理矢理吊り上げるような顔をする、時には手で口角を引っ張ってみたり...無理矢理笑顔を作ろうとしているのがわかる

 

「.....ごめんなさい.....笑顔ってどうやればいいのか...」

 

.....まだ、治崎の影がチラついているのか....この子はまだ、全然救われてやしない.....楽しい事....笑うことを知らないまま今まで生きていたんだ

どうにかしてやりたい、何か出来ることは無いか...そう頭を悩ませていたその時、緑谷がハッとしたような表情を浮かべて相澤先生に話しかけに行った

 

「相澤先生、エリちゃん一日だけでも外出できないですか...?」

「無理では無いハズだが、というかこの子の引取先を今...「じゃあ!」

「文化祭!!エリちゃんも来れませんか....!?」

「.....なるほど」

「その手があったか」

 

灯台下暗し、あるじゃないか、楽しむ為のイベントが

医者の話じゃ個性の放出口になってる角は縮んでるらしい、てことは暴走する可能性も極めて低い、加えて、今回の文化祭は一部を除いて外部からの接触を受ける可能性もほぼ無い....

 

「ぶんかさい...?」

「エリちゃん!!これは名案だよ!!文化祭っていうのはね!!」

「俺たちの通う学校で行うお祭りのことだよ、学校中の人が学校中の人たちに楽しんでもらえるよう出し物をしたり、食べ物を出したりする、もしかしたらリンゴ飴とか出るかもね」

「リンゴあめ...?」

「リンゴをさらに甘くしたお菓子だよ」

「さらに....」

「セリフを取られたんだよね!!」

 

すんません先輩...

にしても、笑えないとは言ってたけど、やっぱり年相応の女の子なんだな、エリちゃん...リンゴ飴って聞いてから口からよだれ出てきたし

 

「校長に掛け合ってみよう」

「....それじゃあ...!」

「どうかな?エリちゃん」

「.....私、考えてたの」

 

俺と緑谷がエリちゃんに話しかけると、俯きながらも小さく声を出した

 

「救けてくれた時の...救けてくれた人のこと...ルミリオンさんたちのこと...もっと知りたいなって思ったの」

 

...どうやら返事はイエスの様だ、わずかに幅を赤らめ、心なしか少しワクワクしたような表情を浮かべるエリちゃんを見て、俺たちも思わず頬を緩めてしまう、そんな表情されたらもっと気合い入っちゃうじゃ無いか

 

「嫌ってほど教えるよ!!」

「校長先生から良い返事がもらえるよう俺たちも動こう、な、緑谷」

「うん!エリちゃん!楽しみにしててね!」

 

その後は少し話した後、面会終了の時間となり、俺達は病院を出て学校に戻って行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて後日

出し物も決まったと言うことで色々決めなければならない、曲やらダンスやら役割やら....決める事は山積みだ

 

「色々決めないとねェ!!」

「どういうのが喜ばれるのだろうか」

「んん」

 

やる気満々、文化祭という事もありいつも以上にワクワクしているのが伺える

俺も何をやろうか考えながら歩いていると...ふと、普通科の会話が耳に入ってきた

 

「ねぇ聞いた?ヒーロー科A組、ライブやるんだって」

()()()()()()、いい気なものだよ、振り回してる張本人なのに」

「.....」

 

まぁ予想はしてたが...あまり良い印象は持たれてないみたいだな...

まぁいい、その評価覆してやるよ

てなわけで、俺以外のインターン組を除いた全員が寮に集まり、まず何をするのかを話し合い始めた

 

「文化祭は丁度一ヶ月後!時間もないし今日色々決めてしまいたい」

 

飯田の発案に皆賛成する、まずは楽曲決めとの事で各々が案を出すが...まぁまとまらないよね

てなわけでここは耳郎に聞いてみよう

 

「となると四つ打ち系だよね、ニューレイヴ系のクラブロック」

 

耳郎の口から専門的な言葉が出てきて皆ポカンとする、まぁそりゃそうか、いきなりそんなこと言われてもわからんだろうし

 

「踊るならダンスミュージックになるよな?ダンスミュージックやるならEDMのが良さそうだが...」

 

EDM、エレクトロダンスミュージックの略称だ、ベースやギターなどではなく、いわゆるシンセサイザーやドラムマシーンなどで機械音を奏でる音楽のことを指す

 

「うん、そうだね、でも皆は楽器やる気なんだよね?ベースとかドラムやってた人いる?」

 

皆にそう問いかけるものの、手を挙げる人は居ない

 

「だよね...」

 

となると...この一ヶ月で素人芸を脱却かつ、プロ以上とまでは行かなくとも満足させる事が出来るような出来に昇格させる必要がある、こりゃ相当厳しいぞ

 

「まずバンドの骨子ってドラムなんだけどさ、ウチギターメインでドラムは正直まだ練習中なのね、初心者に教えながらウチも練習しなきゃだと一ヶ月じゃ正直キツい」

 

だろうな、本人の練習も含めてになると時間が足りなすぎる

どっかにドラムできる奴が居れば良いんだが...

 

「あ、つーかお前昔音楽教室行かされてたっつってたじゃん!」

「え?」

「誰が?」

 

上鳴の発言に、上鳴の視線を追う、その視線の先にいたのは...

 

「あ?」

「マジかよお前」

 

なんと爆豪だった、まじかよお前、音楽教室ってツラじゃ無いだろ...

 

「爆豪ちょっとドラム叩いてみろよ」

「誰がやるかよ」

「かなりムズいらしいぞ」

 

瀬呂が煽りを混ぜて爆豪を焚き付ける、当然負けず嫌いの爆豪が乗ってこないはずもなく...

 

「あ?」

 

文句のつけどころも無いほどに完璧なドラム演奏を披露してくれた、爆豪扱いやすい

 

「か...完璧...」

「すげぇ!!才能マンキタコレ!!」

「人は見かけによらないとはよく言った物だよな」

「爆豪ドラム決定な!!」

「....そんなくだらねーことやんねェよ俺ァ」

 

これでドラム担当も決まったか...

なんて思った矢先、爆豪がそう言い捨てながら俺たちに背を向けてその場を去ろうとする。煽られてたしムキになってやると思ったんだが...

 

「爆豪お願い!!つーか...あんたがやってくれたら良いものになる!」

「なるハズねェだろ!」

 

呼び止めた耳郎に怒鳴る爆豪。寮内が静まり返る。聞こえてくるのは爆豪の声だけ。

 

「アレだろ?他の科のストレス発散みてーなお題目なんだろ。ストレスの原因がそんなもんやって自己満以外のなんだってんだ...

 

 

 

 

 

 

ムカツク奴から素直に受け取るハズねェだろが」

 

 

 

 

 

.....確かに、一理あるな。て事は帰りン時のアレ爆豪も聞いてたのか。

確かに、実際にその言葉を聞いた身としては爆豪の言葉を肯定せざるをえない。

 

「ちょっと...そんな言い方...」

「そう言うのが馴れ合いだっつってんだよ」

「いやしかし...たしかに...配慮が足りなかったか...」

「話し合いに参加しねェで後から腐すなよ」

「....いや、確かに爆豪の言う通りだろうな」

「回能くんまで...!?」

 

爆豪の発言に同意した俺を見て驚く皆。言い方はキツイが、爆豪が言っていることも正しい部分がある。

爆豪の言う通り、今の俺達では単なる自己満足のお遊戯にしかならない。

心意気の話だ、現状俺達の念頭にあるのは「他科のストレスをいかに解消できるか」だ。そんな心意気でバンドをやっても大した出来にはならない。

 

爆豪が言っているのは、「被害者」である自分達が、何故「被害者ヅラ」してる奴らの顔色を伺って動かなければならないのか。と言うことだ

確かに、俺達はヴィランの襲撃を幾度も受け、雄英や他科に迷惑をかけたかもしれない、だが...

 

「俺たちだって好きでヴィランに転がされてんじゃねェ...!!」

「.....」

 

そうだ、誰が望んでヴィランなんかに襲われるものか

 

「なンでこっちが顔色伺わなきゃなんねェ!!てめェらご機嫌取りのつとりならやめちまえ、殴るンだよ...!!馴れ合いじゃなく殴り合い...!!!やるならガチで━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

雄英全員音で殺るぞ!!」

 

 

 

「バァクゴォオオオ!!」

 

 

理屈や動機は兎も角、爆豪もやる気みたいだ、やる気はやる気でも殺る気だけど....にしても...

 

「素直じゃ無いねーかっちゃん、最初から「俺は本気でやる」って言えば良いのに」

「黙れや!!」

 

おーこわ、すげぇ睨んでくるじゃん。

まぁ何はともあれ、これでドラムの問題は解決だ

 

「よかったな、耳郎」

「...うん、ウチ頑張るよ」

 

で、ダンスとバンドとなると....あと必要なのは...ギター、ベース...シンセサイザーもか?出来る人となると限られてきそうだが...

 

「私、幼少の頃から教養の一環でピアノを嗜んでおりましたが...何かお役に立ちますでしょうか?」

「わー!じゃあヤオモモはキーボードだ!」

「シンセは...クラブミュージックに欠かせないポジなのヤオモモ助かるよ!」

「頼むぞ、八百万」

「!!はい!!頑張りますわ!」

 

俺と耳郎が八百万にそう話しかけると、とても嬉しそうな表情を浮かべながらそう話した

 

「えー!女子でガールズダンサーズやろって話してたのに!!でもカァイイからいいや!!」

 

八百万のダンスか...見てみたかったが我儘は言えないな、あとで個人的に見せて貰おう。

 

「それ以外の人はダンス?」

「うむ...ただ...普通にそれだけで盛り上げられるか...」

「それはあの馬鹿騒ぎするやつの...」

「演出を加えなきゃー!!」

「それだ」

 

演出、ミラーボールや火花、カラーテープなど、賑やかで華やかな空間を作り出すには欠かせない物だ。

今回俺たちは体育館を借りる事になっている。結構広いしやれることは多そうだ。

 

「じゃあね!例えば例えば!!麗日が轟と切島を浮かしとくでしょー!?でね!轟の氷を切島がゴリゴリ削るの!!んで青山がミラーボールになってるから...スターダストみたく光がキラキラ舞い落ちるんだよ!、チームスノーマンズ!!」

 

人間氷カキ器、前に言ってたチームコンボのアレか

 

「実に良いと思う!!盛り上がりに華を添える大事な要素だ!」

「そうなると演出の裏方さんも要るねェ」

 

なんて話していると、補習組がようやく補習を終えて戻ってきた。

という事で、ことの経緯を補修組に話す。必要なのは演出の裏方、ダンス、バンドの演奏とボーカルだ

 

「へ?歌は耳郎ちゃんじゃないの?」

「いやまだ全然...」

「ボーカルならオイラがやる!モテる!」

「ミラーボール兼ボーカルはそうこの僕☆」

「オウ!楽器はできねーけど歌なら自身あんぜ!」

 

なんて曰うので...

 

「ほほう、じゃあ歌ってみなさいな、八百万、マイク」

「こちらに」

 

取り敢えず立候補した三人に歌ってもらうことに

トップバッターは切島、歌は確かに上手い、でもジャンルが違う、70点

次鋒峰田、がなってるだけ、論外、でも恥じらいがないのは高得点、30点

最後青山、裏声、音程は合ってるけどそれだけじゃ無理、50点

 

「あんまパッとしないな、やっぱ耳郎だな」

「私も耳郎ちゃんだと思うんだよ!前に部屋で教えてくれた時歌もすっごくカッコよかったんだから!」

 

確かに、あの歌は何度聞いても良い。ぜひ歌ってもらいたいな

 

「ちょっと...ハードル上げないでよ...」

「いいからいいから」

「歌ってみてくれよ」

 

俺と葉隠が耳郎にマイクを渡す、すると少し恥じらいながらマイクを待って息を吸う

 

「オイラ達の魂の叫びをさしおいて...どんなモンだよコラ...?ええコラ!」

「耳郎の歌聴いてみてえな!いっちょ頼むぜ!」

 

その言葉の次の瞬間、一拍の間を置いて、耳郎が歌い始めた。

その瞬間、透き通るような美しい歌声が寮内に響いた。

儚げでありながら、声の底にはしっかりと真が通っているセクシーハスキーボイス、耳郎の歌声は耳にスッと入ってくる。やはりいい歌声だ。

 

「耳が幸せー!!」

「満場一致で決定だ!!」

 

皆も異論は無いらしい。これで頭最高の物になるな

 

「じゃあそれはそれとして...他のやつ決めよう!」

「ダンスかバンドか裏方か、大雑把にでも決めてちゃった方が楽だしな...」

 

俺はぶっちゃけた話どれでも良い、どの仕事を任されても十分に動けるし

皆もそれを理解しているのか...大方演出、ダンス、バンドの部隊が決定してから...

 

「じゃあ回能はダンスね!!私と一緒に最高のダンスにしよー!!」

「待てよ芦戸、回能の個性は演出に欲しい、なんでもできっからな。頼む回能!!裏方になっちまうけど演出部隊に来てくれねえか!!」

 

ダンス隊の芦戸、演出隊の切島から勧誘を受けた。まぁ俺としてはどちらでも良いし、どっちも断る理由がないのだが....二人の勧誘を受けた直後に

 

「えっと...その...か...回能!」

「ん?」

 

後ろから耳郎が意を決した様に俺の袖を引っ張りながら呼びかけてきた。振り返って耳郎の方を見ると、耳郎の後ろで八百万が至極期待したような表情で俺の方を見ていた

 

「ウチは...その...回能と一緒にバンドやりたい」

「.....」

 

はぁ〜?何この可愛い生き物?そんなふうにお願いされたら靡いちゃうだろ。

俺が耳郎のお願いに同意しようとすると...

 

「彼女特権ずるーい!!」

「そうだぜ!!ここは公平に決めねーと!!」

 

切島と芦戸の二人が声を上げた。

確かに、これでは公平性に欠ける。という事で、俺が案を出そうとしたその時、麗日が口を開いた。

 

「...それじゃあ回能くんに実際にやってもらってどれが一番向いてるか決めたらええんやない?」

「なるほど...それなら文化祭をより良いものにしつつ、公平に決められるな...」

 

俺の居ないところで話が進んでいる。いや待て、俺には今の状況を解決する策が...

 

「おう!望む所だ!」

「回能は渡さないんだから!!」

「ウチだって負けない」

 

なぜ君達が答える。やるのは俺なんだが?と言うか解決策が...

 

「では回能くん!ダンス、演出、バンドを順にやってみてくれ!」

「いや、だから「じゃあまずダンスからねー!」

「....」

「ほらほら!早く早く!」

 

これは何言っても聞いてくれなさそうだな...やる事やってから言うか...

という事で、まずはダンス、芦戸に見せてもらった動画の通りにダンスを披露した。

 

「おお...!」

「キレッキレ!!」

「ね!やっぱりダンスだよダンス!!」

「次は演出だ!出来ること教えてくれ!!」

 

切島に問いかけられた。

ので、俺は個性で出来ることを答えていく。閃光、四大元素の操作、念動力、氷結、魔法...取り敢えず演出に使えそうなものはおおよそ説明した。

 

「やっぱ出来ること多いな...」

「ホラな!これだけ出来ることがありゃあ演出ももっと良いモンになる!!

「ぐぬぬ...」

 

そして最後、バンドで出来ることについてだが...

 

「回能って何か出来る楽器ある?」

「リコーダーとカスタネット」

「....」

 

耳郎からの問いにそう答えると、何故か呆れたような顔で見られた。なんじゃいその顔は、耳郎が一緒にやりたいって言うから答えたのにその反応は無いだろ。

とは言ったものの、実際バンドが向いていると証明できるものがあるか、と聞かれれば否と答える。さて、どうしたものか

 

「んー...あ、じゃあさ!回能くんも歌ってみたらどうかな!」

「俺も?」

 

どうしようか悩んでいると、葉隠がそう声を上げた。

歌か...確かに耳郎と歌えたら楽しいだろうが...皆はそれで良いのか?

 

「回能の歌か...確かに聞いてみてえな」

「歌ってみてくれよ!」

 

良いらしい

しかし急に歌えって言われてもな...

 

「どんな歌がいいと思う?」

「うーん...回能がいつも聴いてるようなハイテンポの曲より...少しおとなしめの曲の方が良いかも」

「うぃ」

 

俺は耳郎にどんな曲が良いか聞き、その意見を元にスマホで曲を探す。

んー...あんまりおとなしめの曲聞かないからミックスリストに良さげな曲がない。どうしようかな、なんて考えていると...

 

「この曲とかいいんじゃない?」

「どれどれ」

 

耳郎が歌えそうな曲を教えてくれた、最近新しく聞き始めた曲らしい。歌詞も俺好みだし歌いやすい。てなわけで、先程耳郎が使っていたマイクを受け取り、息を大きく吸って準備を始める。

そんな俺の様子を静かに見守る皆。少しやりずらい。

けどまぁ...いっちょ歌うとしますかね。

 

「━━━━━━」

 

瞬間、寮内に響く俺の声、今更だが、俺の普段の声は中音だ。

男性にしては高く、女性にしては低い、そんな声をしている。が、いつぞや耳郎とカラオケに行った時、耳郎が俺のクセを見つけてくれた。どうやら俺は歌う時声が低くなるらしい。自分が聞いている自分の声と周りが聞いている自分の声は違うからなのか、それとも無意識だったから、今まで俺はそれに気が付かなかった。

耳郎曰く、「耳を震わせるような重みのある歌声」らしい

 

「「「......」」」

 

俺が一曲歌い終え、一息つく頃には寮内は静まり返っていた。下手だったかな...なんて考えた次の瞬間、寮内は歓声に包まれた。

 

「うおっ」

「めちゃくちゃ上手いじゃねーか!!」

「普段からは想像できないくらいの重低音だったからちょっとドキッとしちゃったー!」

「悔しいけどこれはバンド部隊かなー...」

「だな...バンドでも頑張れよ!!」

 

賞賛の声を送ってくれるクラスメイト、なんだか俺がバンドだけやるみたいな空気が広がっている、という事で、俺は意を決して皆に呼びかけた

 

「あのさ、俺の個性忘れてない?」

「え?個性って...あ...」

 

俺の言葉に耳郎はハッとしたような表情を浮かべる、今の今まで俺がダンスか演出かバンドのどれをやるか言い争って来たが...俺はその問題を一人で解決する方法を持っている。それが...

 

「俺分身出来るんだけど」

「「.....あぁ!!」」

 

今の今まで忘れてましたみたいな表情をしていた皆が思い出したといった様子で声を上げた。あんだけ分身見せてたのに忘れるってマジかよ...

ともあれ、これで大まかな部隊は決定、俺だけ全てに所属しているがな。

でだ、今日のうちにある程度配置や担当も決めてしまいたいとのことで、今からはその辺を煮詰めていく話し合いだ。さてさて、どのくらいかかることやら...

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

時は流れ深夜一時

 

「全員役割決定だ!」

 

目の下にクマを作り、ガンギマリの目でそう叫んだのは我らが委員長飯田だ。いつもこの時間寝てるもんな、お疲れ委員長。

だがまぁこれで決めるべき項目は決まった、明日からはひたすら練習だ、忙しくなるぞ。

エリちゃんのためにも、最高の出来に仕上げるんだ




実に一ヶ月ぶりの投稿、どうも猫耳の人です
まず初めに、大ッッッッッッッ変、申し訳ありませんでした。
ほぼ一ヶ月音沙汰なく急に投稿してしまいました。ここ一ヶ月予定が立て込んでおりまして...ようやく時間を取れた為執筆を再開いたしました。
一ヶ月ぶりということもあり、ちょっと、いやかなり下手くそになってる可能性大ですが、その時は指摘してやってください...

そして、以前話していたもう一つの作品についてのお知らせをします。
まず、次に書くのは「ワケアリ少女の英雄譚」に決定いたしました。
理由は書きたくなったからです。加えて、次に投稿するのはそのワケアリ少女の英雄譚となります。現在執筆中であり、まずUSJ編まで投稿し、反応を見つつこちらと併用して執筆させていただきます。

長くなりましたが、小説を書くことを辞めたわけではないのでまた私の小説を読んでくださると嬉しいです

次回もお楽しみに

回能彩目は

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