無敵のヒーロー(自称)   作:猫耳の人

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俺だけ練習量バグってるよね


第五十七話 文化祭って準備が一番楽しいよね

 

休っ!日っ!!

土曜日の昼下がり。今週は爆豪達の仮免補講も無しとのことで、昼から各々の部隊で練習を開始した俺達。

個性を使い、各部隊に分身を配置して俺も練習に混ざる。

 

てなわけで、まずはバンド部隊

 

「で、俺はギター兼ボーカルな訳だが...1ヶ月で楽器やりつつ歌えるようになれるかね」

「うーん...それは回能の成長の幅次第だけど...」

「それはそう」

 

至極当たり前な回答が返ってきた。

歌と演奏、同時に行う事にも不安はあるが...それ以上にギターを演奏できるようになるかが問題だ。

 

暇な時にちょこちょこ耳郎に教えてもらってはいたが...曲を引いた事は一度もない。コードと音の出し方を教えて貰っていただけだ。

まぁうだうだ言っててもしゃーないか。やると決めた以上はやるだけだ。

 

「さ、こうしてる時間も惜しい、まずは何から始める?」

「とりあえずは楽譜を見ながらでも演奏できるようになる事かな。練習しながら覚えていこう」

「了解、まぁつまる所...」

「出来るようになるまでひたすら練習、という事ですわね」

 

そういうことだ。

幸い、耳郎と練習していたおかげで楽譜に合わせて音を出す事は出来る。ひたすら練習して体に叩き込もう。

 

「じゃあ...やるか」

 

 

 

 

 

 

 

続いてダンス部隊

 

「緑谷違ーう!!もっとこうムキッと!!ロックダンスのロックはLOCKのロックだよ!」

「飯田ァ!!動きが固い!!もう少し柔らかく!!」

 

寮の外で、俺と芦戸の指導の下ダンスの練習を開始した俺達。

優秀な人が多いからなのか、思いの外振り付けを覚えるのは早かった。

が...やはりダンスというものに慣れていないのか、所々もたついたり、動きが不自然だったり...幸い、身体能力の高い奴らが集まっているおかげで多少無理な振り付けでもこなす事はできるが....

 

「これを1ヶ月で仕上げるとなると...相当骨が折れそうだ」

「だいじょぶだいじょぶ!!まだ始めたばっかだし、なんとかなるでしょ!!」

 

舌を出し、ニコッと笑いながらそう言う芦戸。

まぁ確かに、皆覚えるのは早いから何とかなりそうではある。

で、そこからより良いものにする為には....

 

「俺達の頑張り次第って訳だ」

「そう言う事ー!!」

 

芦戸が俺の言葉にステップを踏みながら持ち場に戻る。それを追いかけるように俺も歩き始めた。

 

「皆ー!次の振り付けいくよー!次はね....うわっ!?」

 

振り付けを教えようと動き始めた芦戸だったが、ステップを踏みながら動こうとしたからなのか、脚をもつれさせてバランスを崩した。

体制が悪く、このままでは頭を打ってしまう。俺は慌てて踏み出し、芦戸の腰に右腕を回し、体を支えた

 

「っ...と....危ない危ない...大丈夫か芦戸」

「......」

「....芦戸?」

「へ...ぁ...あぁ!だっ...大丈夫!!」

 

慌てたように俺から飛び退き、ワタワタと腕を振る芦戸。

流石に腰に手を回すのはまずかったか...?でも手とか掴んだら跡になりそうだし....芦戸が怪我するよりはいいだろう。

....多分

 

 

 

 

 

 

最後、演出部隊

 

こちらにはあまり動きがないから楽だ。

とは言っても、演出の内容の話し合いや各々のできる事の確認、そして他の部隊との連携などなど...

楽とは言えどやる事は山積みだ。悠長にしては居られない。

 

「さてさて、まず何から始める?」

「....」

「....」

「....」

「?」

 

俺が声を上げると、何やら怪訝な物を見るような目で俺を見始める。

 

「...どうしたの?何か俺の顔に付いてる?」

「いや...顔もだけどよ....」

「なんだよその頭...」

「頭...あぁ、コレね。気にしなくて良いよ」

 

指摘された頭...もとい、()()()()()()()()()()()()髪の毛に触れながら俺はそう答えた。

片側をハート型の髪飾りで纏め、顔には桃色のハートマーク。確かに気になるだろうな、だって昨日まで普通だったんだし。

 

何も意味もなくこの姿になった訳じゃない。この姿になると「アルカナ」という特殊な魔法が使えるようになるのだ。

この魔法は基本的に放出しか出来ないが...放った弾幕が星やハート型になり、触れた人間を癒したり、逆にダメージを与えたりできる華やかな魔法だ。

 

つまり、演出や利便性という点において、この魔法程適任な物はないという訳だ。「スロット」で厳選すれば魔法を使えない事はないが...「アルカナ」を使うよりは華やかさが落ちる。故にこの姿でいる訳だ。

そのことを四人に話すと納得してくれた。よかったよかった。

 

「んじゃ、ぼちぼち始めようか。まずはやりたい事のリストアップからだ」

 

現状決まってるのは...青山のミラーボールと切島、轟のダイヤモンドダスト。当たり前だが、この二つだけじゃ演出とは言えない。

最低でもあと五〜六種類演出は欲しい。その上で客を飽きさせないようなモノに仕上げる必要がある。

時間は限られている、効率的に行こう

 

「思いついたことなんでも言ってくれ。俺がいる以上大抵のことは実現できる」

「んー...あ、じゃあ俺こういうのやりてーんだけど」

 

俺の発言から会議が始まる。今日から一ヶ月、長いようで短い練習期間が幕を開けた

 

 

 

 

 

 

 

 

練習を開始して数時間が経った頃。

区切りもいいので一旦休むことになった俺達バンド部隊。

 

「んっ...ふぅ...」

 

俺が歌で疲れた喉を水分補給しながら癒していると、外でダンスの練習をしている俺の分身から情報が入ってきた。情報の内容は...

 

「...エリちゃんか」

「どうした回能」

 

俺がポツリと呟くと、その呟きを聞いていた常闇が俺に話しかけてきた、それを皮切りに八百万と耳郎も何事かと俺の方に歩いてくる。

ちなみに爆豪は我関せずといった様子だった。やっぱ爆豪は爆豪だな。

 

「今分身から情報が来てね、どうやら今外にエリちゃんが来てるらしいんだ」

「エリちゃんって...インターンの時の?」

「そっ、で、そのエリちゃんが今から雄英を回るらしいから、俺も行ってこようかなって思ってさ」

 

今休憩中だし。と付け加えると、三人は快く送り出してくれた。

一応分身を一体置き、汗の処理をして髪を纏めてから寮を出る。するとダンス部隊に囲まれて驚いてしまったのか、通形先輩の後ろに隠れてしまっているエリちゃんを見つけた。

 

「あ...」

「や、エリちゃん。元気かな」

「ジョーカーさん...!」

 

俺の姿を見たエリちゃんが、顔をぱぁっと輝かせて俺の下へ小走りで向かってきた。可愛い。

エリちゃんの頭を撫でてあげながら顔を上げると、通形先輩と目が合った。

 

「やぁ回能くん」

「通形先輩、ご無沙汰してます」

 

立ち上がって先輩に挨拶すると、とても眩しい笑顔を見せながら俺に話をしてきた。

 

「これから緑谷くんと一緒に雄英を見て回るんだけど、回能くんもどうかな?」

「もちろん、喜んで」

 

俺がそう答えると、通形先輩とエリちゃんが嬉しそうな表情を浮かべた。

意外と似てるなこの二人。

てなわけで、休憩もかねて四人で雄英の敷地内を見て回ることに。

一応クラスメイト達からも了承を貰い、俺達四人は寮を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

寮を出てしばらく歩くと、雄英高校校舎の正面出入り口に到着した。

そこでは、休日だというのに忙しなく動き回る人が無数におり、屋台の組み立てやチラシの貼り付け、打ち合わせなどをしていた。

 

「休日ですけど...やっぱ人多いですね」

「寮制になったこともあるだろうね、みんな朝から夕方まで動き回ってるよ」

 

先輩からの説明を受けながら敷地内を歩いていく。

その間もエリちゃんは俺達...もっと言うと、俺から離れないように動いていた。ジャージの裾を小さく掴み、辺りを興味ありげに見回しつつも逸れないようにしている。

 

「通形じゃん!」

「子供!?隠し子か!?」

 

しばらく歩いていると、三年生の経営科の生徒と出会った。どうやら先輩の知り合いらしい。

先輩の質問に対する通形先輩の回答は....なんとも言えない表情でニコッと笑う事だった。

 

「いや何か言えよガチっぽいな!」

「冗談は置いといて、今年のI組はすげぇからおめーも絶対来いよ!!君達も!」

「おお、すごいフライヤー」

 

渡された立派なフライヤーを見て思わずそう呟いてしまう。

やはりどのクラスも気合いの入り方が違う。まだ一ヶ月前だというのにどこもかしこも慌ただしく動いているのがいい証拠だ。

そんなふうに思いながら辺りを見渡していると....

 

「うわぁ!?」

 

突如緑谷が声を上げた。何事かと緑谷の方を見ると、竜の頭の模型?のような物を持ったB組の男子、鉄哲、泡瀬、そして物間が居た

 

「すンません...って、A組の緑谷と回能じゃねェか!!」

「アレアレアレー!?こんな所で油売ってるなんて余裕ですかあァア!?」

「エリちゃん、大丈夫だった?」

「ふってきた人たちかと思った」*1

「オヤオヤ無視かい!?いいのかい!?」

「あ、物間居たんだ」

 

さも眼中にありませんみたいな反応を見せると、物間がさらに噛みついてきた。おもろ。

 

「ライヴ的な事をするんだってね!?いいのかなァ!?今回ハッキリ言って君達より僕らB組の方が凄いんだが!?」

「エリちゃん、次どこ行きたい?」

「聞きなよ!!」

 

物間をスルーしつつ、極力物間をエリちゃんの視界の中に入れないように立ち、エリちゃんに話しかける。

すると聞いてもないのに出し物について話し始めた物間。

 

「『ロミオとジュリエットとアズカバンの囚人〜王の帰還〜』!B組(ぼくら)のオリジナル脚本超スペクタルファンタジー演劇!!」

 

なんか聞いたことがある様なタイトルだな、それ本当にオリジナルか?

なんて問いかける暇もなく、高笑いしながらデカい声を出す物間

 

「準備しといた方がいいよ!!僕らに喰われて涙するその時のためのハンカチをね!!」

 

そんな高笑いする物間を背後から角材で殴りつけて気絶させる泡瀬。やりすぎかもしれんがナイスだ。

にしても....

 

「いつにも増して言ってくるな...ストッパーが居ないだけでこんなに違うのか...」

「そうなんだよ、拳藤がいねーからハドメがきかねー」

「その拳藤はどこにいるんだよ?」

 

基本的に物間とセットで居るイメージがあったんだが...他のところで準備してるのか?

なんで考えていると、泡瀬が疑問に答えてくれた。

 

「今回は別!あいつは「ミスコン」出るのよ、無理矢理エントリーさせられて」

「ほう、ミスコン」

 

相澤先生ミスコンの事なんも言ってなかったな...必要ないって判断したのかね。

ミスコンねぇ...良いこと思いついちゃった。

 

「いきなり雄英の負の面を見せてごめんよエリちゃん」

「?」

「ミスコンといえばそうだ!!あの人も今年は気合い入ってるよ!」

「あの人?」

 

先輩の発言に疑問を呈する緑谷。それを聞いた先輩は「着いてきて」とだけ伝えて歩き始めた。俺たちはその後をついていく。たどり着いたのは備品室。先輩が扉を開けて入って行ったのを見て、俺達も入っていく。するとそこには...

 

「去年の準グランプリ!波動ねじれさんだよね!!」

 

とても可愛らしいドレスを身に纏い、個性で空を飛んでいるねじれ先輩がいた。

どうやら衣装を選んでいるようで、俺たちが備品室に入ると同時に気がつき、そのままフワフワと漂ってくる。

 

「ねぇねぇ何でエリちゃんいるの?不思議!何で何で!?楽しいねー」

「ご無沙汰してます、先輩」

「回能くんも久しぶりー!」

 

ねじれ先輩に軽く挨拶を済ませ、そのまま話を始める。にしてもねじれ先輩が準グランプリか...正直グランプリだと思ってたんだけど...

 

「ねじれ先輩の上がいるって事ですか?」

「そー聞いて!!聞いてる!?毎年ねぇ、勝てないんだよー、すごい子がいるの!ミスコンの覇者!三年G組サポート科の絢爛崎美々美さん!」

 

そう言ってスマホの画面を見せてくる先輩。そこに写っていたのは前見えてんのかってくらいめちゃくちゃ長いまつ毛と縦ロール、加えてものすんっっっごくギラギラした衣装を身に纏った女子生徒の姿だった。

 

「今年はCM出演で隠れファンが急増しつつある拳藤さんも出る。波動さんも気合いが入ってる」

 

そう言葉を発したのは、撮影や衣装選びの手伝いをしていた天喰先輩だ。

 

「大衆の面前でパフォーマンスなんて...考えたらだけで...いたた...お腹痛くなってきた...」

 

お腹を押さえ、蹲りながらそう話す天喰先輩。貴方が出るわけでもないでしょうに...

 

「最初は有弓に言われるままに出てみただけなんだけど...なんだかんだ楽しいし悔しいよ。だから今年は絶対優勝するの!最後だもん」

「━━!できるさ!」

 

とても優しく、とてもまぶしい笑顔を見せてくれるねじれ先輩。

そっか...最後だもんな、俺も応援は全力でしてあげよう。

そんなこんなで、通形先輩達と次の場所に行こうと動き出すと、ねじれ先輩が浮かんだままちょいっと服の袖をつまんでくる。何事かと振り返ってみると、少し頬を赤らめながら...

 

「ねえねえ、この衣装どうかな...」

 

と言って今着ている衣装を見せてくれる。

身に纏っているのは、まるで妖精の様なふんわりとした雰囲気のドレス。エメラルドグリーンで、翼のような装飾が施されている物で、可愛らしさを残しつつ、美しさを同時に体現しているかのような姿だった。

俺はねじれ先輩の方を向き、少し微笑みながら....

 

「とてもお似合いですよ。見惚れてしまいそうです」

「....!そっか...えへへ」

 

俺の言葉を聞いたねじれ先輩はにへらっと笑い、俺から離れて行った。俺はそれを見届けた後、緑谷達の下へと歩いて行った。

 

「....耳郎さんと八百万さんが言ってた意味わかった気がするよ」

「背中には気をつけた方がいいと思うんだよね!!」

「何ですかいきなり」

 

合流して開口一番に言うことじゃ無いだろうに....

とにかく今はエリちゃんを案内する事に集中しよう。てな感じで次に来たのは.....

 

「サポート科!彼らは全学年一律で技術展示会を開くんだ!」

「これ知ってます!毎年注目されてますよね!」

「去年見に来たけど、確かに凄かったもんな」

 

去年はアーマーなんかが多かったな、今年もそんな感じなのかな。

そう考えながら辺りを見渡していると、突如背後から声をかけられた

 

「そう!文化祭こそサポート科の晴れ舞台なんですよ!」

「発目さ...ってうおおお!?」

 

声に驚き振り返ると、そこには俺達より二回りほど大きなロボのような物が鎮座していた、発目曰く「ドッカワベイビー第202子です!」とのこと。

それにしても...

 

「...だいぶ汚れてるぞ。風呂入ってんのか?」

「お風呂に入る時間ももったいないので!」

 

えぇ....せめてシャワーぐらいは浴びろよ...

なんて、声には出さないものの、頭の中では考えつつ、発目が作った発明品をじっくり見ようと歩みを進めると、俺の歩みに合わせてススス...っと俺から距離を取る発目。

 

「....」

「....」

 

一歩発目に向かって歩くと、一歩分俺から距離を取る。また一歩踏み出すと、また一歩距離を取る。ちょっと面白くなって来たのでジリジリと距離を詰めていこうとすると、発目もジリジリと距離を取っていく。

まるでカバディだな。

 

「ちっ...近付かないでください!!」

「ならせめてシャワーを浴びなさい」

 

恥じらうような表情を見せる発目に対し、俺はそう言い放つ。

すると更に顔を赤くしてしゃがみ込んでしまった。恥じらうぐらいなら初めから浴びておきなさいよ...

しばらくして、発目が復活したので発明品についての説明を受ける。

専門用語が多くて何を言っているのかわからなかったが、凄いという事はわかった。

 

「すごいな...ていうか短時間でこれを作ったのか...」

「どんどんアイディアが湧いてきて楽しくてですね!」

 

曰く、体育祭ではヒーロー科が主役だったため、副次的なアピールの場だったが、今回の文化祭の主役は俺たちヒーロー科以外、自分の発明品を思う存分見てもらえる場である、という事だ。故に...

 

「恥ずかしくない子に育て上げなくては!」

 

発目の信念という奴だろうか、そこには発明家らしい思いと心意気が感じ取られた。

その願い、叶うといいな。

 

「それよりお二人の装備はその後どうでしょう!?また何かあればすぐ言ってください!!」

「おう、ありが...って、火!火でてるぞ!!」

 

俺の言葉に慌てて振り返る発目、そこには爆発して頭部に当たる部分から火を吹き出している発明品が...

 

「ベイビー!?」

「わー!?発目またかよ!?」

「水!水!」

「なんかすまん!!行こうエリちゃん!」

「うん...びっくりした」

 

最後に発目に軽く挨拶だけして、俺たちは慌ててその場を走り去った。

 

 

 

 

 

 

 

 

あの後もしばらく色んな所を歩き回り、休憩もかねて食堂へとやってきた俺達。エリちゃんを囲むように座り、ジュースを飲むエリちゃんを見守りながら、先程まで見回ってどうだったかを聞いた。

 

「今日少し回ってみてどうだったかな?エリちゃん」

「...よく...わからない」

 

まぁそうだよな。いきなり連れてこられて、色んなもの見せられて...新鮮だった事は間違いないだろうが...慣れたかと聞かれれば...まぁうんって感じだろうな...

 

「けど...たくさん、いろんな人ががんばってるから、どんなふうになるのかなって....」

 

おや?思ったより好印象だぞ?

チラッと緑谷と先輩の方に視線を向けると、二人して笑顔で顔を見合わせていた。わかりやすいなこの二人。

なんにせよ、少しでも興味を持ってもらえたのなら幸いだ。そう思いながら、エリちゃんの方に視線を戻すと...

 

「それを人はワクワクさんと呼ぶのさ!」

「「「!!?」」」

 

突如、先輩の隣から聞こえてきた高い声に驚き、そちらに視線を向ける。するとそこには、高速でチーズを齧る校長の姿があった。隣にはミッドナイト先生も居る

 

「文化祭、私もワクワクするのさ!多くの生徒が最高の催しになるよう励み、楽しみ...楽しませようとしている!」

「ケーサツからも色々ありましたからねぇ」

「ちょっと香山くん」

 

どうやら今回の文化祭を巡って上でもなにやら揉めていたらしい。

無理もないか、ヴィランによる襲撃を短期間で二回も受けてかつ、そのうち一回は被害者まで出てるんだから...

 

「じゃ!私は先に行ってるよ。君達!文化祭存分に楽しんでくれたまえ」

 

そう言ってその場を去っていった校長、姿が見えなくなった頃、ミッドナイト先生が色々と話してくれた。

 

「...詳しくは言わないけど...校長頑張ったみたいよ」

 

上との一悶着の後、結果としてセキュリティの更なる強化に加え、万が一警報がなった場合、それが誤報であっても、文化祭の即刻中止と避難を行う事が開催条件になったのだと。

当たり前だが...やはり厳しいな。むしろ開催を許可してくれた事に感謝するレベルだろう。

 

「もちろんそうならない為にこちらも警備はしっかりするわ!学校近辺にハウンドドッグを放つし」

「放つ...!」

 

放つって...ペットじゃないんだから...

ともかくだ、文化祭の開催をもぎ取ってくれた校長のためにも、今回の出し物を絶対に成功させなくちゃならないな。そうでなきゃ校長に顔向けできない。

俄然やる気が出てきたな。

 

「そうそう!A組の出し物、職員室でも話題になってたよ!青春頑張ってね」

「「はい!!」」

「デクさんとジョーカーさんは何するの?」

 

出し物、という単語に反応したのだろう。エリちゃんが俺と緑谷に質問してくれた。

 

「俺たちは歌とダンス、踊ったり歌ったりするんだ」

「エリちゃんにも楽しんでもらえるよう頑張るから、必ず見に来てね!」

「がっかりはさせないからな」

 

そう言いながらエリちゃんに微笑む俺達。

...っと...そろそろ時間だな。休憩も十分できたし、練習に戻ろう。

 

「緑谷、そろそろ休憩時間の終わりだ。先輩、そろそろ失礼します」

「え!?本当だ!すみません先輩!失礼します!」

「あぁ!言っとくけど俺も楽しみにしてっからね!」

 

最後に先輩とエリちゃんに挨拶し、食堂を出て寮に走る。

練習は始まったばかりとはいえ、のんびりしている暇はない。これからもっと忙しくなるぞ。気合い入れて頑張っていこう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、練習を開始してから一週間が経った頃

 

「緑谷...クビです」

 

緑谷に告げられたのは、無慈悲にも聞こえる宣告だった。

 

*1
回能とリューキュウの事




実に2ヶ月ぶりの更新、どうも猫耳の人です
まず最初に、更新が遅れて大変申し訳ない。
リアルの方で色々な出来事やらが重った上、自然なフラグの立て方が思い浮かばずこんなに時間が経ってしまった。
もう少ししたらこちらも落ち着くので、少しずつ更新速度を戻していけたらなと思っております。
次の更新は「ワケアリ少女の進む道」の方になりますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。
次回もお楽しみに。

回能彩目は

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