もし千空の運をプラスにできたら   作:空色 輝羅李

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前書きに書くことはとりあえず...
ほかの作品についてできるだけ早く投稿できるようにしながらこっちも取り組みたいっす...はい。
ごめんなさいいいいいいいいい!!!!!
あと、もうすぐで教育実習なのでこんなことしてる場合じゃないですが知りません。


ストーンワールド

 高校へ入学した俺は、科学部へと入部をした。同じクラスになった大樹の友達、千空の夢に興味があったため、一緒に研究をしてみたいと思ったからだ。なにせ宇宙へ行きたい、が宇宙飛行士は目指していない。これほど面白い夢の実現の仕方などほかに聞いたことがない。そしてロケットを個人で、しかも高校生が作るなんて、興味深いと言うほかないだろう。だから、俺は彼と同じ科学部へ入部した。

 そんな科学部の実験室へ、大きな足音と声で入ってきた人物がいた。

 

「聞いてくれ千空!俺は決めた!今日こそ今から、この五年越しの思いを、杠に伝える!」

「ふーん、そりゃすげえ興味深い深い」

 

 まったく興味がなさそうだ。こうなることなどわかっていたかのように。いや、むしろ遅かったなと呆れているのかもしれない。それでも馬鹿にはしていないようだ。

 

「声帯がぶち切れるほど応援してるわ、この科学部室から」

「俺も応援してるよ、大樹」

「おお、そうか!ありがとう千空、大耕!」

 紹介が遅くなってしまったが、俺の名前は海人宮 大耕(あまみや たいこう)。覚えてもらう必要はないが覚えていただけると嬉しく思う。

「うるせえな、一ミリも応援してねえよ、このデカブツ」

「何ィ?どっちだ!」

「そもそも五年も何も言わねえとか、バカどんだけ非合理的だ」

 

 それには俺も同意だ。幼馴染でここまで好意を露呈しているのに気づかれていないと思っているのか、更に杠も間違いなく大樹に好意を寄せているというのに。むしろここまで何も言わないでいれたのが尊敬の念すら覚える。

 と、千空が何かを大樹に渡した。そしてそれを迷うことなく流し捨てた。千空のやつ、面白いことを言うな。ただのガソリンを何が惚れ薬さ。ほかの科学部員は

「飲んだら死んでたんじゃないか」

 と聞くが、そんなことは起こりえない。たった数週間しか一緒にいなかった俺でもすぐにわかることだ。

 

「大樹は限りなくまっすぐな人間だ、むしろド級の真面目だ、そうだろう!」

「ククク、たりめーだ。百億%飲みやしねえよ、あの真面目バカはよ」

 

 そういうと千空は窓の外を見る。それにつられて俺や科学部員も窓の外を見る。大きな楠の下で佇む少女は誰かを待っていた。その少女へと近づく少年が一人。

 何をしゃべっているのかはわからないが、きっと思いのたけを思いつく限りにぶつけていることだ。

 

「振られるに百円」

「思いっきり振られるに三百円」

「フルパワーで振られるに五百円」

「意外と振られねえに一万円」

「間違いなく振られないに一万円」

「「「マジか!」」」

 

 答えの見え切っている賞レースに微塵も興味はないが、一応参加しておこう。

 ふと、遠くの空を見る。何やら妙な色の光がだんだんと近づいているようだ。オーロラかなんかの現象かとも思ったが、オーロラが近づけばどんなに面白い発見だったろうか。

 気が付いた頃にはもう遅かった。

 

 

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 

 

 まずいな。およそ八十万秒周期で意識を吸い込まれそうになる。できるだけ頭を動かし続けるために考え続けるんだ。ストップウォッチのすごさが今はっきりと分かるがそれはどうでもいい。どれだけ意識を持たせることができても俺は正確には秒数を測ることができないんだ、それならできることは春に起きられたとして何から始めるかだ。俺が起きた時世界がどうなっているのかも考えなければならない。俺以外の人間も同じ状況だろうという推察は容易にできる。遠くに見えた光により近い人間が順番に固まっていく現象を目の当たりにした。あの燕のように。

 考えるんだ、ずっと。俺にできることはそれだけだ。何らかの要因で起きることができたとして、もし冬で、もし裸一貫だったとしたら、起き上がった瞬間に即ゲームオーバー。それだけは運によるが避けたい。春、もしくは夏に入る直前だったらセーフってとこか。

 

 

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 

 

 目が覚めると、そこは本当に日本か、と疑問に思う場所だ。空は青いのでいつも通り。木や草は生い茂っている。蔓も伸び放題。どこだここ。

 と思考に耽るのはここまでにしておこう。ひとまず起き上がり、自身が倒れていた場所を観察する。小石なんかで囲み、どの部位からこの石化が解けたのか考えてみる。

 物音が聞こえた。木の上の方に猿がいるようだ。目線が合ったかと思えばすぐに逃げていく。おそらく野生化しているし、初めて人間を見たのだ、この様ではもう文明が滅んでいる。最悪だな。だが想定していた、望んでいた春のようで、即ゲームオーバーは免れた。

 

「石化してから約千百七十三億五千四百八十九万千七百十秒……閏秒がめんどくさいが、地球の自転なんざ変わってんだ、そんなもん後回しにしよう。とにかく今すべきは食料調達かな」

 

 でもその前に住めるような環境を探そうかな……

 そう思い立ち歩き回ってみる。妙だ、人間の足跡がある。それに近くには、俺と同じことをしていただろう石で縁取ったものがある。

 

「もう起きていたんだな、千空……!」

「ああ、これでマンパワー、確保だ」

 

 これで安泰だ、彼以上に今欲しい人材はいない。千空からすれば大樹や杠といった昔からの友人に起きてほしかっただろうから申し訳ないが、こればかりはどうしようもない、許せ。

 

「あ゛―、んな贅沢なこと言わねーよ、それよか大耕、てめーが起きてくれんのもかなりおありがてえ。ある程度思考力のある人間が居るほうが百億倍マシだ、この世界じゃあな」

 

 そう思ってもらえるのはありがたい。しかし体力が人より有り余るほどの人間が欲しい。大樹ほど体力や根性がある人間のほうがいてくれたらいいんだ、俺じゃあ役不足だ。それに信頼関係が構築できていない、お互い疑心暗鬼になってしまうだろう。

 

「そこは心配いらねえよ、てめーのことなんざ一ミリも疑ってねえ。なにせあのデカブツや杠、俺と一緒にロケット、作ってくれんだろ?」

 

 ニヒルな顔とともにこちらを見ている。そこには確かに疑いの曇りなど一つもなかった。

 

「はっ、当然だ。俺は面白いやつの味方だからな!そして千空、君は俺に、面白いものを見せてくれる、そうだろう!」

「たりめーだ、俺は必ず、宇宙へ行く!」

 

 ……面白い、やはり面白いぞ千空。俺は君のような、目を開けられないほどの夢を持つ人が好きなんだ!だからこそ、着いて行くと決めたんだ。

 

「人類が石の時代から近代文明まで二百万年、そこを一気に駆け上がる」

「取り戻そう、石化復活の原理も科学的に突き止め、皆を助け出す」

「俺ら高校生のガキ二人で、ゼロから文明を作り出すんだよ。このストーンワールドの、アダムとイヴになってやる!唆るぜ、これは!」

 

 アダムとイヴは嫌かな……男同士で繁栄できる未来なんざまるで見えねえ。

 

「馬鹿か、俺もやだわそんな聖書」

 

 千空も同じ気持ちでよかった。まあ言葉の綾だとはわかっていたからよかった。本当。

 

「あんまチンタラしてらんねー、さっさと食料集めるぞ。こっからは役割分担だ、俺はその辺に生えてる食えそーな茸や木の実なんかを集めてくるから……」

「わかった、木材や燃やせそうな植物を集めてくる」

 

 またあとで、と目くばせをし、歩き出す。目的が決まれば行動はしやすい。そして人が複数いれば役割を設けられる。

 さて、燃やせるものと簡単に言ったが、まずは試してみよう。平たい木材と棒を持ち、取り敢えず擦る。

 ……わかりきっていたが、やはり時間がかかる。というかいくら時間をかけても燃やせないな。だが人類には最強の武器がある、科学だ。

 ただ擦るだけでも燃やせるがかなり厳しい。だから火をおこすための道具を作ろう。そのためには紐がいる。紐を作るために蔓を裂く道具がいる。そのために石を砕こう。石器時代の始まりだ、多分。

 

 

 

 

 夜。お互い必要なものはある程度集められた、火も起こしたし薪も食料もあるし少しは蓄えられる量だ。

 今できることはお互いに考えられることをまとめていくことだろうと思い、雑に話をしていく。

 

「千空、俺たちが石化を解いた条件の心当たりはあるか」

「あったらとっくに他の人間の石化解いてるわ」

 それもそうだ、手掛かりがあれば速攻実験、それが千空という人物だからな。

「だが一つ、ないわけじゃない。あの洞窟から流れる、硝酸だ」

 

 成程。蝙蝠の巣だとはわかっていたが、そうか。糞からできあがったものが腐敗を進めたという可能性か。

 

「ならナイタール液はどうだろう、硝酸とアルコールがあれば、金属を腐食させることができる」

「……そうか、確かにそうだ。俺たちの表面にあった破片が鉱物だったなら、確かにそれで腐食の進行を期待できるな。問題はアルコールを調達する方法だが……」

 

 確かにアルコールの調達が課題だな。しかし簡単なものがある。麦から作れるビールは難しいが、果物から作る果実酒なら可能性はまだある。

「ああ、そうだな。それも手っ取り早く手に入れられるアルコールだ、準備に取り掛かるぞ!」

「もちろんだ!……と、他にも話したい事、考察しなければならないことはたくさんあるが、今は寝ることにしよう、体力も大事だ、そうだろう!」

 

 というわけで、俺たちは寝ることにした。体も大事だからねしょうがないね。

 翌日。

 果実酒を作ることを当面の目標に設定した俺たちだが、その前にどうしてもしておきたいことがあった。人材確保、といえば冷たいが、最も正しい言い方だ。

 

「大樹をあの洞窟へ運ぼうか、千空。彼も意識を途切らせることなく生きている可能性が高い」

「いや、間違いなく生きている!だからこそやるぜ!」

 

 ……うん、そうだね。可能性なんて言葉は選ぶべきじゃなかった。絶対に生きているんだから、少なくとも運に頼るような言葉や態度は間違いだ。でも、それは彼らがそれほどまでの信頼関係にあるから出せる言葉であり、数週間そこらの俺が言葉を挟むべきじゃあない。

 大樹の石像を掘り起こし、硝酸の液体が直接落ちるところまで持って行った。

 

「……待ってるよ、大樹」

「待ってるぜ、大樹……!」

 

 そして、果実酒を作るための果実を探し始めた。近くによさそうな葡萄を見つけたので、全力で踏みつぶして、混ぜ続けて、蒸留して、アルコールを作ることに成功した。アルコールを手に入れたんだ。

 それからというもの、着手すべき行動を起こしていき、目まぐるしい速度で生活の基盤を整えた。着るもの、住む場所、食べ物。

 俺たちは衣食住を手に入れた。

 それから容器を作り、硝酸をためて濃度を変えて、燕の石像にかけていく。途方もない実験だった。

 さて、ここまではいい。順調に進んでいるからね。だが考えなければならないことが山ほどある中で、俺が個人的に気になることがあるんだ。

 

「なぜ石化中に考え続けることができたのか」

「ああ、これに関して言えば、ありえねえが起きたことなんだ、必ず理由があるぜ」

「無からエネルギーは生まれないからね」

「E=mc2……ククク、まったくもってその通りだ。大耕、やっぱテメーは思ってた通りのやつだ、やべー程頭が回るぜ」

 

 千空大先生からお褒めのお言葉を預かった所で、もう一つ考えることがある。地形の変化だ。建物や道路といったものはもちろん……人工物はすべて痕跡を失っている。それほど長い年月を過ごしているのであれば、地殻変動や火山の噴火が起こっていることも考慮する必要がある。

 

「間違いねえ、富士山なんか少なくとも四、五回。多けりゃ十回以上爆発してやがる。間違いなく地形は変わってるだろうな」

「そして地軸や公転軌道の変化だ。俺たちが恐れるのは間違いなく現在位置が特定できない状況。これは間違いなく必要な情報になってくるだろう、しかし人工衛星なんかも期待できるはずがなければどのような地形か判断できない。でも、大まかに現在地がわかる道具を作れるだろ?」

 

 ククク、というお決まりの笑い声とともに説明してもらった。天体から計測することができる六分儀を。

 そんなこんなで現在のある程度の位置を推測し、アルコールの濃度や硝酸との比率を変え実験を繰り返すといった行為を繰り返しているうちに半年が経った。

 遠くから聞こえる、大きな声、足音。これを懐かしいと思えるほどには試行錯誤に没頭していたらしい。

 

「千空~!大耕~!」

「やっと起きやがったか、このデカブツ」

 

 言葉とは裏腹に嬉しそうな千空と、言葉通り嬉しそうな大樹。

 ……やはり、羨ましいな。心の底からあふれる信頼が、見える。

 

「うおおー!生きてたのか千空!」

 

 言葉では足らず、行動で喜びを表現する大樹は、まっすぐ千空に飛び込んだ。千空はそれを

「全裸同然の格好で抱きつくんじゃねえ、殺すぞ!」

 ぶっ飛ばした。

 大樹に現状の説明をする。起きてからしてきたこと、これから目指すこと、今日で西暦五千七百三十八年、十月五日になっていること。

 

「どんだけ寝坊してやがんだてめえ、こっちはもう半年以上前から起きて働いてんだよ」

「つまりあの日から……」

「ざっくり三千七百年は経ったよ」

「おぉ……なんで分かるんだ?」

「「ただ数えてただけだ(よ)」」

「あの暗闇の中でか?ずっと、ずっと?二人とも?」

 

 それしか方法がないからね。時計も無いし太陽が見えるわけでもないから日没の回数も数えられない。できることはただひたすら、秒数をカウントするだけだ。

 さて、大樹が起きてくれたことでできることの幅が広がった。

 

「俺たちだけでできることは限られてんだ」

「ここから先の文明に進むためには、どうしても体力バカが必要だ」

「ずっと待ってたんだよ大樹、てめえを」

「生きてるという確信が持てたからね」

「杠に言うって決めた男が、志半ばで、たかだか数千年ぽっち踏ん張れねえわけねえ」

「君はそんなタマでもないし、不義理な人間でもない」

「ああ。勿論だ」

 

 この二人の間に俺なんかが入っていいものか、そう悩んでいたが、結構前にその思いは吹っ切れていた。千空のような人物に付き合っていける人が、あんな不安な暗闇の中一人の女性を思う気持ちで踏ん張っていた人が、そんなことを気にするはずもない。だからこそ信じて待つことができた。

 

「頭を使うことは千空、大耕……二人に任せる。体を使うことは……俺に任せろ!」

 

 いい、いいよこれは!ここまで、これほどまでに!信頼を寄せあえる人間がタッグを組む瞬間を目にすることができた。やはり強い意志を持つ人間は輝いている!

 

「何言ってやがんだ、トリオだろ」

「そうだぞ、お前の事ももちろん信用している!」

「……え、なんで」

 二人は揃って笑みを浮かべる。

「たりめーだ。ここまで一緒に過ごしてきてわかる、大耕てめえは、確実に科学の仲間だ」

「千空が信じていた人間を信じないわけがない。それに以前から四人でいるときも楽しかった」

「「それだけで十分だ」」

 

 ……そうか、そうだよな。未だ俺は千空と大樹の人柄を理解しきれていなかった。二人はこういう性格だった。

 

「はっ、どうせこれから嫌でも一緒なんだ、これから知ってけばいーんだよ」

「そうだ!誰でも最初は何も知らないからな!」

「……ありがとう、大樹、千空……!」

 

 これから始まる、ストーンワールドの謎究明、そして石化人類を救っていく、最初の人類の誕生だ

 

 仲間を手に入れた。

 




ご指摘はジャンジャンお願いします、なにとぞ。直すべき箇所や誤字やと何かと多いので...こんなんでどうやって卒論書くんやろこいつ()
投稿して早々mc2を改変してよん...あってるかね
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