もし千空の運をプラスにできたら   作:空色 輝羅李

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やっほう俺だ。
今回の話めちゃくちゃ本当に読みづらいです。改善はしたかったけど検討だけして諦めました。
本筋はできるだけ端折り、飛ばしまくりです。効率よく次回につなげたいんで許してください...!


石の世界でざわつく思想

 結果から行こう。硝酸とアルコールを混合したナイタール液を作成し、燕にかけることにより、石化を解除することに成功した。つまりこれで、

 

「復活液、完成だ……!」

 

 人類復興の兆し、復活液を手に入れた。

 しかしながら完成したのは冬入り前、食料調達の困難な時期であり、人に対し使うのは先送りとした。

 

「大樹、杠を復活させるのはすまないが、もう少しだけ待ってくれ。食料や住処の安定するときまで」

「ああ、分かっている!お前たちが考え、出した結果ならば!そこに間違いなどあるはずが無い!」

 

 すさまじいほどの科学への信頼……いや、科学を信じる千空への信頼と、それを支える俺への信頼が、なんだかくすぐったいがありがてえ。

 冬の間でも活動をしないわけにもいかず、少しづつでも資源の回収は行う。むしろ冬の間でしか取れないものがあれば僥倖といったところか。

 

「あ゛―、だが、活動時間はかなり限られてくる。俺たちが凍死や餓死でもしてみろ、人類復活なんて誰もできなくなる。だから今は、何をしていくか考えていくぞ」

「分かった!頭を使うことはやはり、お前たちに任せる、だから必要なものがあれば言ってくれ、千空、大耕!」

 

 必要なもの、か。俺としては水や肉が思いつくが、それは生命の維持に必要なものだ。文明の発展により近づこうと思えば……鉱石か。だがそれは現時点ではかなり厳しい。洞窟へ行こうものなら冬眠中の動物と鉢合わせる可能性もある。他には貝類かな、カルシウムなんかを簡単に確保することができるし食料としても役立つ。手先が冷たくなって壊死する可能性を除けばこれも欲しいが……

 ここはやはり、おとなしくしておくべきだな。

 

 

 

 

 

 

 

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 冬を越え、待ちに待った杠復活のため、千空と大樹の二人はあの木のもとへ向かった。俺はというと、春になり活発に活動を始めた動物たちを狩りに出かけている。菜食主義でもなければ草食動物でもない俺たちにとって、肉から得られるタンパク質を摂らない理由はない。間違いなく肉も食べたい。しかしむやみやたらと殺し回りたくもないので最低限の命を頂く。動物だって生きているのだから、必要以上の殺生など無意味だ。

 幸いにもこの辺りの生態系は面白おかしく、兎も鹿も生息しているので狩りがしやすい。いや、もしかするとこの三千七百年の間で生態系や分布が変化しているのか?ありえるな。元々は人間の管理下、支配下に置かれていた生物が野生に帰ることで、正しい生態系になった、とも言えるわけか。まあ、すべて人間様の都合ってわけだかが、こりゃあかなりめんどくさそうだ。

 何せ、動物園にいた動物も外に出たということだから、危険と分類される動物もその辺にいるということ。そういった環境に慣れている訳じゃあないからどうやって警戒すればいいのかわからんが、するに越したことはないな。

 

「……と、罠をしかけるのはこれくらいにして、一旦休むとするか。こんな世界を探索する機会なんてなかったんだ、この状況も好機と言える。そうだろう!」

 

 能天気だとも思うが、不躾だとも思うが、俺はこの状況を楽しんでいる。なんのしがらみも無い、好きなことを好きなタイミングでできる。そりゃあ文明の利器であるゲームや漫画といった娯楽の類は無いが、それでも楽しいものだ。

 さて、動物が罠にかかるまでは休もうかとも思ったが、周囲の探索をしておこう。ある程度周辺の地形や何が群生しているのか把握しておいたほうが便利だし、何より後が楽になる。

 

 

 

 

 

 

 

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「これはすごい……けど、うん。一人分だけ多い気がするのは何故かな。君たち二人分にしては物が多いし、何より二人だけでここまで環境を作ることができるなんて思えないな」

「あ゛―、一人分多いのは杠の復活を見据えてだ。それに体力バカのコイツがいればこれだけ進むぜ」

 

 これは良くない。俺の悪運だけが原因じゃねえが、こいつに大耕の存在を知られちゃいけねえ、少なくとも今じゃねえと俺の勘が告げてやがる。そんなもん信じるなんて非合理的だが、こんな状況じゃそれも無視できねえ。

 何よりこいつの倫理観が駄目だ、人類選別計画なんて俺たちの掲げる理想の妨げになる。しかし大耕にどうやって知らせるかが問題だ。幸いにもこの場にあいつはいねえんだ、狩りにでも出掛けてるっつーわけなら。

 あと、デカブツがうっかり口滑らさねえように釘も刺してえが、タイミングがねえ。コイツに察する能力があればなんとかなるが果たしてどうなるやら。

 ……決めた、クロスボウで矢文をするしかない。それを見つけられるかは運頼みになるがしょうがねえ。そもそも、司に接近すんのが危険だって大耕が気づくかどうかも運次第だ。

 ったく、ここまで不確定要素に頼らなきゃならねえのはムカつくが、司の存在がなけりゃあそこでライオンに殺されてたんだ。あの場面もイチかバチかだったんだから変わらねえ。

 頼んだぜ、大耕……!

 

 

 

 

 

 

 

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「こりゃあどういうことだよ……なんで霊長類最強がいるんだよお……」

 

 軽く探索して夜に近づいてきたから罠も見に行って兎が捕まえられたからやったーと帰ろうとしたら。

 焚火を仲良く三人で囲うように座っている。ここに入って行って大丈夫か?

 並々ならぬ警鐘が頭の中で響き渡る。この男は危険だと勘が告げている。もちろんこの男、獅子王司と知り合いではないが、最強という響きだけで警戒するに値する。考えろ、このストーンワールドで、どんな人間を危惧するべきか。

 知恵か?違う。千空に勝る知恵を持つ人間がいるとすれば、ああやって焚火を囲まずに他のことに時間を割くだろう。

 財力か?違う。金なんてもう本当にただの紙切れ同然の世界だ、そんなもの恐れるに足らん。

 名声も然りだ。ただ厄介があるとすれば、旧時代のことを引きずって偉そうにされるくらいか。

 ならば最後に思いつくのは……武力だ。

 俺たち三人には力が全くない。そんな中で力の強いやつがいれば、敵うはずもなく。もしそいつがこの世界で、強い思想家だったら?もし優れた人物だけの石化を治すと言うようなやつだったら?駄目だそんなこと。この世界で不要な人間なんておらず、それを選別するような真似をされたら、俺たちの目標としている人類全員復活の夢は叶えられない。

 武器がいる……でも千空、クロスボウを作っていたよな。それだけじゃ不安なのか?ずっと携えているが……

 

「クロスボウをずっと携える?いや、今までそんなことしていなかった。千空が非合理的なことをするはずがない、つまりメッセージがある。そうだろう!」

 

 投擲物に何かを括り付けるとかか。つまり矢文のようなことができるはずだ。付近を探そう。しかし彼に見つからない場所を目標に発射しているはず、もの探しは得意じゃあないが、やるしかない。

 忘れてはならないのは、俺は獅子王司に見つかってはならないということ。物音を立てず、気配を消して探し出さなければならない。しかしこんな茂みではそれが不可能に等しい。歩けば草や落ちている小枝にぶつかり即ゲームオーバー。スペランカーよろしく、ライフ一個の超高難易度ゲームの始まりだが、難易度を下げる方法はある。千空が俺に気づき、何かしらの妨害工作でもしてくれりゃあ最高だ。

 俺の今の手持ちは……兎、罠制作の道具、申し訳程度の石槍。おいおいどないせえっちゅうねん。

 いや、思いついたぜ。

 

 

 

 

 

 

 

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「なあ千空、なぜ司に大耕の事を隠しているんだ?」

「あ゛―、理由なんか知らなくていい、だが絶対隠し通す。それだけ覚えてろ雑頭」

 

 頭に?浮かべまくってる大樹は放っておくとして、大耕は何とか俺の考えてることに気づけたのかこの場にまだ近づいてねえ。それに気づけたなら百億%大丈夫だ、なんとかできる。

 

 ピシッ

 

「今何か音がしなかったか!?」

「そうだね。うん、さっきみたいに猛獣だったら危険だ、俺が見てくるよ」

「いや、必要ねえ。俺が見てくる」

「駄目だ。約束しただろう、君たちに危険は二度と訪れないとね」

 

 こいつ、大耕程じゃないにしても頭が回りやがる。きっともう気づいてるんだろう、もう一人仲間がいるってことにな。

 だがあくまで憶測の域を脱していないはず。つまりまだこっちにアドバンテージがあるぜ。

 そして恐らくこれは、まだあいつも気づいてないはずだ。

 

 

 

 

 

 

 

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「チッ、仕留め損ねた!」

「何かいたのか、千空!」

 

 遠くで大きな声を、わざとらしく上げる千空。その手に持っているのは発射した後のクロスボウ。

 なるほど、俺は思い違いをしていたらしい。まだ発射していなかったんだな。

 俺がわざと音を立て、兎が今罠にかかりましたよと見せかけるために作った対獅子王司トラップに近づいて行っている隙に、俺は千空の見ている方向へ向かった。そして見つけた、矢文を。

 動物の皮に炭で書かれた文字は

『火薬』

 の二文字。それだけじゃ足りねえと文句を言いたいところだが、いいだろう、見つけてやるぜ……!

 

「まあいい、そこで待っとけよ」

 

 千空の発した言葉は恐らく俺に向けられたものだ。そして今、ここで待っとけという訳じゃあ無い。この、火薬がある場所で待っとけってことだ。

 俺が今できることは理解した。武力に対抗するための武力、銃を作る材料探しってわけか。つまり黒色火薬だな。他に必要な材料は千空が持ってくるだろう。

 しょうがねえなあ千空、やってやるよ……科学の力の礎作りってのをなあ!

 

「目指すは箱根、科学の武器づくりの始まりだ、そうだろう!」

 

 しかし待てよ。火薬を作れたとして金属を持っていない俺たちに、銃を作ることなんてできるだろうか……いやその辺は全部千空大先生に任せるとしよう。とにかく今は箱根へ向かうことを考えろ。

 目印になるものがあるとすれば……そうだ、青銅のでっけえ人工物があるじゃあねえか。こいつのおかげで大体の方角の目処をつけられる。なんせ、今俺が元々どこの地域だった場所にいるかすら合っているか怪しいんだ。

 石化する前……即ち三千七百年前。俺たちは学校にいた。でもそこから洪水なんかで流されていないとは言い切れない。あぁ、変わっていない場所があったな、杠を巻き込んで成長した楠が。

 それを基準に方向を決めて移動できるな。やっぱ元の文明の時からある物が少しでもあれば、動きやすい。あの楠にゃ何回か世話になってるなあ……ありゃ神木だ、いっそ祀りあげてみるか。

 

 

 

 

 

 

 

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 こりゃあたまげた。見つけ出してくれと言わんばかりにぽっかりと開けた場所があると思ったら、大仏様じゃあないか。銅イオンのおかげで植物の成長が阻害されていたんだろうな。

 

「……不謹慎、冒涜、罰当たりと色々思い浮かぶが。そのお体頂戴するぜ。きっと人が長生きするためなら許してくれる、そうだろう……?」

 

 青銅を手に入れた。

 ちょっと、いやかなり怒られるだろうがまあ……文明の発展のため、ひいては人類のためだ。お釈迦様だって喜んで身を差し出してくれよう。

 青銅の使い道はやはり銅を取り出して多岐にわたる用途へ活かすためだな。他には武器の類だが、武器として使うのは本当にやめておこう。流石に仏像の体で作って生物に刃をいれるのは抵抗がある。じゃあ壊すなよって話は今は忘れよう。多分千空も同じことを……そうだ、手紙でも置いておくか。

 ついでに竹なんかも欲しい。水筒にもできるし槍も作れる。なんなら電球づくりにも活かせるからな。まあそこまで文明の発展を出来るという前提だが、千空ならできるだろ。

 

 

 

 

 

 

 

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 ついに辿り着いたぜ箱根、いや硫黄温泉よ。道中で寄り道とかしたが何とか二日でたどり着けた。江の島が前より遠くに見えたから、こりゃ地形の変化凄そうだ、と思ったが海岸沿いに歩いてなんとなく歩いたら行けたわ。

 この辺りは結構煙が出てるから、火を使ってもそこまで違和感ねえだろ、やっと煮沸して水を飲めるぜ。

 で、水分補給したあとにはお待ちかね……

 ひとっ風呂浴びるぜ!!!と思い切り飛び込んだ。

 

「気持ちい~!」

 

 思わず声が出てしまう。

 さて、温泉に入りながら考え事をする。あの男、獅子王司についてだ。本当に彼は危険人物に類するだろうか。

 

 答えは()()()()()、だ。

 

 彼がどんな人間かわからない。

 しかしわからないなら警戒してもいいだろう。どんなことをしでかすかわからない。もし、もしも。本当に石化した人類を先に壊し、復活する人類を選ぶと言う人間ならば、間違いなく対立することになる。その可能性を考慮しての火薬発掘先行隊ってわけだ。もちろんそれ以外の使い道もあるがそれにしては硫黄は早すぎる。

 でも、やだな。血を流すのだけは。それが自分にしろ相手にしろ、血は見たくない。平和主義というか事なかれ主義というか。みんな仲良くが一番だ、そうだろう?

 でも、できる準備はしておくべきだな。石鹸も作りたいし、黒色火薬も作りたい。なら貝を今のうちに砕いとくかね。いやーたくさん拾っといて良かった良かった。

 木炭も準備しとくか。いやきっと、硫黄以外の素材は全部千空……大樹が持ってくるだろうけどさあ。

 ほかに考えたいこと、かあ。そういやあ千空は服に、E=mc2の文字を刻んでたな。俺も何か、それに中らずと雖も遠からずな式を刻みてえ。

 ...あるじゃあないか。ほかにも有名な式が...!

 

「e+1=0」

 

 小説や映画でも使われていた有名な式。幾何学、解析学、代数学の分野でそれぞれ独立に定義された三つの定数がこのような簡単な等式で関連付いているとても美しい式だ。

 幾何学は測量、解析学は数学、代数学は数学界の翻訳家。この三つが同時に存在することの意味たるや。

 とまあ数式のご高説もここまでに。すべて語ろうとすると語彙力の乏しい俺じゃあそれこそWikiそのまま読むほうが早いわとなってしまう。

 竹やら何やらを集め疲れ切った体は今にも睡眠を貪りたいと駄々をこねる。しかしその前に、これから何をするか、何をするべきか考え……いや寝よ。体が資本まじで。割と結構歩き続けた体にはもう堪えるのなんの。どーしよーもねーよばっきゃろう。

 てなわけで、動物の毛皮(といっても鹿や兎、猪から無理やりちょっとずつ毟り取っただけの代物)を使って、簡易ベッドの作成だわ。せめて体を横にする場所と頭くらいは柔らけえもんを敷いておきたい。

 空を見る。当然だ、仰向けに横たわったのだから。それでも今は、こんな感傷に浸る感情をどうか、許そう。

 

 

 

 

 

 

 

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「お、生きてたか千空。杠も元気そうで何よりだ。大樹はもう触れるまでもねえな」

「やるじゃねえか大耕、まさか天体のずれを考慮した六分儀の補正を残すなんてな」

 

 そう、俺が鎌倉に置いてきた手紙は六分儀の精度を調整するための星座早見盤だ。俺たちが知る北極星はポラリス……こぐま座α星だが、おおよそ三千七百年の間でアルフィルク……ケフェウス座β星に変わっていた。だからそれを軸に、必要そうな天体の位置を描いた。

 それがどう役立つかわからなかったが、どうやら正解だったか。

 まあ取り敢えず皆さ、

 

「風呂でも入れや、汗く……いや俺も硫黄臭いか。なんでもな「杠は臭くなどない!」そういうことを言いたかったわけじゃねえけどまあいいや」

 

 感動の再会なんて無かった、いいね。取り敢えず今はみんな疲れてるだろうし、休んでもらうとしよう。

 

「さて千空、聞かせてもらおうか。何があったかをね。急いできたのを見た感じ、彼とは敵対するんだろうけどさ」

「ククク、話が早くて助かるぜ……!教えてやるよ、司の『僕が考えた最強の世界』計画をなあ……!」

 

 

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 

 

 そりゃ焦るわ。目の前で人殺し……というか石化した人間ぶっ壊すなんざいかれてやがる。いや、これは俺基準の感想か。彼にとっては正常な考えかもしれねえわな。そんなやべえ話を聞いた翌日。杠のお風呂シーン?見せねえよあんな大樹とのイチャイチャなんざよぉ……俺と千空も空気読んで遠くで聞き耳立てるだけにしてやってんだからよぉ……!

 

「早速だが硫黄採取の「それがコチラになります」あ゛ー、サンキューな。話早すぎるわテメーまじで」

 

 今は誉め言葉として捉えとくかね。なんなら木炭と貝を砕いておいたのを見て喜びより驚きが勝った千空を見れて俺は満足だ。早々見れる顔じゃねえからな。

 大樹も杠も「レアな顔見れた」と驚きを隠せていないがまあいっか。

 火薬づくりに硝酸もいるがやはり持ってきてたようで。あとのやることはもう……

 

「全力で叩きつけるのみ、そうだろう!」

「あ゛―、大樹の出番ってわけだ!」

「任せろ!うおおおおおお!!!」

 

 あ、まっずい。

 急いで千空と杠を抱えて後ろへ退避しなきゃ。

 

「……あ゛―、そういうことね。忘れてたわ」

 

 刹那、爆風と爆音がそれはもう盛大に爆ぜた。いや無理だろ。力で勝てねえ大樹を止めに入るとか非合理的すぎるわ。この二人を離れさせる判断した俺ってばまじ有能、そうだろう?ん?ん?

 でもまあこれで、硫黄、火薬を手に入れた。

 

「あ゛―、ありがたやありがたや。黄鉄鉱だってもっと早くに教えてくれてりゃあなー」

「もー千空くん、折角助けてくれたんだもん。そんなこと言ったらだめだよ。ありがとう、大耕くん」

 

 いや千空大先生の言う通りなんでまじで。これじゃあ確定演出じゃん?霊長類最強召喚のさあ。

 

「これで司くんを、攻撃するの?」

 

 うーん、それが手っ取り早いが違うな。俺の考えはこうだ、司はきっと頭がいいはず。何せあの夜、俺の即席司トラップに気づいた様子だからな。あえておびき出されていた。しかしその素振りをも見せなかった。つまり相当頭が回るようだ、話が通じる殺人鬼。そんな相手にすることといやあ。

 

「俺たちはこんだけのもんがあるという武力を見せ、そのうえでの取引をする、そうだろう!」

「大正解、百億万点のプレゼントだ」

 

 いらん。いつどこで何に交換できるんだその胡散臭い単位のポイントはよお。

 というかそんなことしてる場合じゃない気がする。獅子王司、彼がこの場所に気付くのは間違いない。何せ彼に対抗する手段が科学、まして火薬となれば、その素材を確保するための場所。つまり箱根だと気づき、向かう。そしてこの爆音と爆煙。王手だろこれ。置いといて。

 杠が何かに気付いたのか、唖然として一方向を見ていた。その先に注意を向けてみる。

 ……へえ、面白くなってきたじゃん。

 

「千空、大樹、あれを見ろ」

「あ゛?」

 

 俺たちが見ている方向にはなんと……

 

「狼煙だ」

「司くん!?」

「いや、逆方向だ。大体、司がわざわざ俺らに居場所を知らせるワケがねえ」

 

 山火事かと大樹が聞くが、タイミングが偶然過ぎる。明らかにこの噴煙に反応して人が行っているものだと結論付けることができるのだ。

 

「唆るぜこれは……このストーンワールドに、俺らのほかに誰かいる」

「それが石化から復活した人間か生き残りか、まではわからんが期待できるな」

 

 ひとまず火を消そうとする杠を俺は止める。そして千空に告げる。

 

「いったん死んでくれるか千空」

「おいおい、端折り過ぎだバカ。でもま、俺もそのつもりだ。後のことは任せる、大耕!」

 

 俺に期待しても何もいいことはないが、約束しよう。どうにかなるってことをな。

 大樹が激昂するのを杠が宥め、そして腑に落ちないながらも「……信じてるからな、大耕」と言う。

 しゃーねえなあ。可能性はあるという運頼みでしかねえが背負ってやるよ、責任ってやつをよお……!

 

「必要最低限の荷物を持って俺はここを離れる。大樹、杠。ここはお前たちに任せる。なんとか彼を油断させるんだ、いいな?」

「……わかった、何をすればいいのかは全くわからんが、お前たちがそれが正しいというのであれば、俺はそれに従う」

「千空くんと大耕くんがそれが合理的だって言うんだもんね。私たちにはさっぱりだけど、うん。任せて」

 

 ひとまずこれでいい。しかしまだ狼煙の元へは行かない。正体のはっきりしない相手に接近を図るのはもう少し体制を整えてからだ。いやーしかし、狙い通りにことが進めばいいが。

 狼煙を上げ続けるために木炭と火薬を入れまくってから勢いよく硫黄の山を下り、少し離れた林の中へ身を潜める。俺はまた空を仰いでみた。

 

「こりゃあ、一雨きそうだ。雨だけで済めばいいが……」

 

 

 

 

 

 

 

 ──────

 

 

 

 

 

 

 

 困った。うん、実に困ったよ。司、君は俺の予想通りに動きすぎだぜ?

 まさか本当に千空を手にかけるとは思わなんだ。それもきれいに一撃で。まあしっかり誘導したというのもあるだろうけれど。

 というかこの雨の中で、道も整ってない状態で探すの、骨折れるわ。

 

「大樹、そんな無駄なことしなくていいぞ」

「だが、何もしなければこのまま千空が死んでしまうじゃないか!」

「おいおい、見くびるなよ俺と千空をよお。あの日を思い出せ」

 

 それは科学部でのある日の出来事。

 一人の部員が心理テストの本を読み出題をした日。

 

「なんやかんや事故で、自分恋人友達の内、一人しか助けられません。どうしますか?」

「友達か恋人かで迷って詰みそう……」

「いや、秒で自分でしょ」

「選べるわけないだろ、なんだそのいじわるクイズは」

「「全員だな。全員が助かるルールを、一から探す(作る)」」

 

 この心理テストでわかるのは一番大切な人とかいうまんま過ぎるものだったが。

 それでもなお俺と千空は、全員を助けるとも。

 千空は一人じゃ死なねえ。必ず全員が助かる方法を選ぶ。

 

「首を鳴らす癖、あれは千空くんの昔からの癖じゃなかった。そこに何かヒントがあるのかも」

「ポイントも景品もねえが、大正解だ杠。首元を見てみろ」

 

 石化の残りがそこにあった。そして狙われたのも首。

 この石化と石化復活にはおもしれえ特徴がある。周辺も修復するっつーチートみてえな特徴がな。

 復活液をかける。バキバキと音を立て、石化が解けていく。

 

「雨が、止んだ……」

「カモフラージュになってた雷雨の音が消えたんだ、もう大声で叫ぶんじゃねえぞ」

 

 起き上がって最初の一言がそれかよ。一回死んでるクセによお……冷静すぎんだろまじで。

 

「ククク、よ~~く首に気づきやがったなゴミみてえな小せえヒントから。大樹、杠。テメーら二人に百億万点やるよ……!!」

 

 だからそれはいつ使うんだまじで。

 

「大耕、おめーにもくれてやるさ。まさかここまでテメーの予想通りになるとは思ってなかったぜ。ラプラスの悪魔かっつー程にな」

 

 そんなものは存在しない。俺は仮説をいくつか建て、その中で比較的起こり得そうなものを元に行動しただけだ。もしこれで司が首を狙っていなければ成功しなかったんだからな。

 大樹が思い切り千空を抱きしめ、それを蹴り飛ばしていた。骨の軋む音がここまで届くとかやべえだろ。

 感謝の言葉はいらねえし言わないだなんて、千空らしいお言葉だこって。別にいいけどなそれで。わざわざ言葉なんていらねえ、示すなら態度だ、そうだろう!

 杠が布を取り出し、ロケットみたいだという。無理があるだろそりゃあ……

 添木のようになっげえ棒を千空に括り付ける。なんて無理がある光景だろうか。

 

 

「さあて、戦争の準備だ。そうだろう!」

 




いやー...さっさと話を進めたいがためにストーリー結構端折りましたが。次回からはもう少し解像度高く作成できると思います。
それはそうと、原作から文章を大幅にコピーはだめなんですが、どれくらいからが大幅なのでしょうか...できるだけ丸々一話分を使わないつもりでいるんですが、基準がわからないとなあ...全部をそのまま使ったらもはや原作見るだけでいいし、当たり前のルールなのでもちろん守りますが。
オリジナリティももちろん欲しいので、本筋から大幅に離れないための修正力程度にこれからも引用はしようと思います。

ご指摘いただき、大耕の刻む式をエネルギー保存の法則からオイラーの等式へと変更しました。明らかに格好よくなったのでうれしい限りです、ありがとうございます。
感謝と百億点差し上げます。使いどころはありません。
また文章の密度をもう少し調整しようと思いますが明日も教育実習なのでもう限界です...土曜日にできたらいいな...(2025/05/27、12:23時点...あれ今日だ)
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