秘封の話 人生の丸つけ   作:きんつば

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この話で出てくる幻想郷は一例みたいなものです。そして書き方に違和感を感じるかもしれません。やはり僕にはこんな書き方の方があっているのかもしれませんね。前の方が良かった!という人はお教えください。


四話 証明不可能な問題

 

 

 

 

《本当はあった!?幻想郷の謎》

 

 

「…………。」

 

手に持つ本にはそのような題名が記されてあった。俺からしたら、これを帰り際に渡してきた宇佐美 蓮子の謎を知りたい。

彼女は自由すぎではないだろうか。一体誰が「一真君にこの本を貸してあげよう。そして感想を聞かしてほしい」っと言って渡された本が、オカルト本だと予想できるだろう。常識に囚われなさすぎである。さすがの俺もこの本を受けとるときに「うっへえ」と変な声を出してしまったほどだ。ミステリアス通り越して狂気の沙汰である。

 

「はあ……感想ねぇ?」

 

正直、この本を読んだとしても俺が言えることは「すごいっすね(棒)」だけだと思うのだが。もしこれが《不思議!マヤ文明の神秘!》のようなメジャーな文明であったなら興味が多少出たかもしれない。だが、これは俺が全く知らないモノである。こういうのは知っている人が読むから楽しいのであって、知らない人が読んでも興味が抱けず何の意味もなさないと思うのだが。感想云々の話ではない気がする。そう俺が考えることも、あの宇佐美 蓮子、19歳、 友達殺し(フレンドブレイカー)には通じないのか。ある意味納得せざるをえない。

 

「どうするかこれ……。んっ?」

 

そう俺がこの本の処理方法を真剣に考えてきたとき、マナーモードにしていた携帯が小刻みに振動した。誰からだろう?と思いスマホの画面を見る。するとその受信相手は件の彼女、宇佐美 蓮子からであった。

うっへえ、マジか。わりと真面目にそう思った。なんで最近の俺の日常がリバース➡遅刻➡余計な出費➡謎の本➡そして電話は動きだす……の蓮子スペシャルなのか。いや、もしかしたら、彼女にとってこれは序章に過ぎないのかもしれない……早めに手を打つのが得策か?その方が懸命だろう。世の中ハイリスクハイリターンはせずリスクヘッジに努めた方がいいのである。簡単に言うと平和が一番。

ちなみに宇佐美 蓮子が俺の携帯の番号、メールアドレスを知っているのは教えたからだ。

「いや~流石に財布忘れて払ってもらった奴がお金返さないのはダメだし?逆に聞く都合が出来て良かった、良かった!ハハッハッ!」と言ってる彼女に説教した俺は悪くない。なんで笑ってんだよお前……。ポジティブシンキングすぎだろ。

見たらまためんどくさいことになるかもしれない、とは思ったけれども、今現在超めんどくさいのである。この本と同時にやった方が効率よく対処出来るだろう。ほら、こういうことは早く終わらせて、時間を有効に使いたいでしょ?人生は有限なんだからさ……。

そして、俺はメールを開き内容を見る。するとそこに書かれていたのは、

 

 

 

 

『今日の夜、早速一真君に言われた通りぶぶ漬けを買ってきてメリーに渡しました。仲直り出来ました!』

 

 

 

 

 

「なんでやねん」

 

何故そこで『ぶぶ漬けを渡す=帰れ』の暗示がある京都独自の作法を取り入れた。俺はそのメリーさんとやらに食べ物を渡せとは言ったが、ぶぶ漬けを渡せとは言ってない。なんで?ユーモアのつもりなの?お前絶対メリーさん苦笑いだったからね?そのお前のユーモア中々際どいからね?しかも超わかりづらいからね?てかメリーさん心広すぎじゃないっすか。あなたは仏か。

とりあえず俺は『良かったですね』と当たり障りのない言葉で返信した。するとそれからすぐにまた携帯が振動し、彼女からのメールが届いた。俺は恐る恐るその内容を見る。

 

 

 

 

『ちなみに、ドラ◯もんは若干浮いているため外を歩いても足は汚れません』

 

おい誰か蓮子ワールドを止めろ。なんで返ってきた言葉が猫型ロボットにまつわる話なんだよ。普通そこはありがとうとか感謝の言葉を送るモノじゃないのか。それが、なんでドラ◯もん?知らねぇよ。俺はどう返信したらいいんだよ。どういう顔すればいいんだよ。笑ったら俺はコイツから解放されるのか?世界の半分が貰えるのか?こんな滑稽なメールを見て、どうすれば俺は正解するんだよ。メリーさんもっと頑張れよ。コイツの面白い話(苦笑)を思う存分受け止めてやれよ。釈迦のような心を持つあなたなら出来るはずだ。応援してる。

 

「ハァ……『なんで仲直りの話から猫型ロボットの話に移行したんですか?ちなみにドラ◯もんはあの足でも正座が出来ますよ』これでいいか」

 

それでも律儀にメールを返す俺は真面目である。もう真面目を極めしものといっても過言ではない。宇佐美 蓮子にはそれぐらいでなくては立ち向かうことが出来ない。

そして、俺は気を取り直し件の本《本当はあった!?幻想郷の謎》の表紙をめくる、前にまた携帯が振動した。……コイツ打つのが早すぎではないだろうか。先程のメールも刹那とも言える速さでドラ◯もんを送ってきた。コイツは天災だろう。誤字ではない。

 

 

 

『盲点だった。』

 

何がだ。自分が猫型ロボットに話を移行してしまったことか。それとも猫型ロボットが正座できることか。そもそも盲点の言葉の使い方あってるのか。

……もう、やめろォ!こんなん誰も幸せにならないだろォ!なんでこんなビックリどっきりメカも驚くコミュニケーションとらなきゃいけないんだよ!!メリーさんコイツ何とかしろよぉ。ぶぶ漬けを笑って許せるお前ならフォロー出来るだろ。もっと熱くなれよ……諦めんなよ……。

 

 

 

何とか蓮子ワールドから抜け出し、《本当はあった!?幻想郷の謎》を読んだ。読み終えた感想として、俺が言えることは「なんも言えねぇ……」だけである。

第一この幻想郷?にまつわる話に対して、確証が得られるモノが一つも書かれていないのだ。例えるとしたら証拠の有無を確認せず「コイツが犯人だな。よし逮捕」って流れで進む話ばっかなのである。名探偵コナンの漫画からコナンを消して毛利小五郎のみで推理するようなものだ。この本は絶対売れなかったと確信した。

 

「……さて」

 

それでは、本題を考えよう。

宇佐美 蓮子はこの本を俺に貸し、感想を聞かしてほしいと言った。ということは、彼女は俺にその感想として何かを期待しているはずなのである。彼女がただのオカルト好きだったという線もあるが、これには別の意図があるだろう。なにせ(言い方が悪いが)こんな中身がすっからかんな本を人に見せてきたのだ。もしただのオカルト好きでこちらに興味をもってほしい、という気持ちで本を貸してくるのなら、もっとちゃんとしたモノを渡すはずなのである。

この本は何て言うか、あからさますぎた。あからさますぎると言って思い出したのが『押すなよ!絶対に押すなよ!!』という定番のお笑いのネタだが、あれはあからさますぎるが故に面白いと思う。こう、あからさますぎるというモノを上手く活用することによって笑いを誘っていると言うか、なんていうか。まぁ、今この本とは何の関係もない。

 

(彼女が俺を試してるのは、読みとれるけれどもなぁ……)

 

彼女が俺に求めている感想、その答えは何なのだろうか。ふむ、全然わからん。非ィ科学的だ!とでも言ってほしいのだろうか。もしくはそうだ、幻想郷いこう、か?

いや、どちらもしっくりこない。彼女の性格を考慮し、この本について考えるとそうだ、幻想郷にいこうの方に答えが傾くが、常識的に考えると非ィ科学的だ!に答えが傾く。一体、どちらの答えを彼女は求めているのか。

 

「ま、適当でいいかね」

 

わからないものはわからない。それは世界の真理である。故に俺がだす解答は決まっていた。肯定も否定もしっくりこないのならば、その中間でいいだろ。それがベターではないだろうか。俺のこの考えは中学生の恋愛事情に似ている。告白をされた相手が『少しだけ考える時間をくれない?』といって一旦答えを保留するパターンと似ていると思うのである。あれ、絶対キープしてるよね、告白してきた奴を。このように真っ先に考えてしまうのは俺が腐ってしまっているだけだろうか。ふむ。これが終わったらじっくり考える余地がありそうだ。

 

『蓮子さんから借りた本、読みましたよ』

 

そう彼女にメールを送る。するとまたすぐに返信がきた。絶対この人は今、時間を持て余してると思う。彼女がベットの上でうつ伏せに寝転びながら、携帯をいじっているのが容易に想像できた。

 

『どう思った?』

 

返信された文面には、簡潔にそう言葉が記してあった。彼女のそれは短い文であったが、俺にはとても複雑なモノに見えた。シンプルだからこそ難しいっていうか、そんな感じである。まぁ、答えは決まっているけれども。

 

 

 

 

 

『別にあってもいいんじゃないですかねぇ、幻想郷。』

 

そう、俺は彼女に感想としてメールを返信した。これが俺が導きだした中間と言える答え。否定するでもなく、肯定するのでもない、曖昧な感想である。

確かに俺が読んだこの本は幻想郷の存在を全くといって証明していない。むしろ証明してなさすぎて、フィクションですよと自ら宣言してるようなものだ。だが、忘れてはいけないのは『幻想郷がない』ということも、俺自身の力で証明することは出来ないということだ。ないと確証出来る証拠も持っていないのだし当たり前の話である。

 

これは幽霊がいるのか、いないのかという問題と一緒だ。幽霊なんて、脳が情報を誤って認識して生み出された幻覚だ、ということは容易い。だが、これは全く理由にならないのだ。この考えのもとに幽霊がいないということを証明していこうとしても、肝心な、「幽霊は『確実』にいない」と言いきることは難しい。

確かに人間が「うわぁ!幽霊だ!」と感じた時は脳が誤認識した時かもしれない。だけれども誤認識=幽霊がいない、と結びつけるのはちゃんちゃらおかしいのである。例えるとしたら教室で「坂本 ー真~、……返事がないから欠席だな。全くアイツは」といって本人は学校にいるのに欠席扱いをするようなものだ。まぁこれは俺が悪いが。

 

それに幽霊がいた方が夢があっていいのではないだろうか。目に見えないし、触れもしないけども。その方が不思議で興味がひかれる。だから幻覚郷だってあってもいいんじゃないですかねぇ(適当)って俺は思ったわけである。そうだよ。妖怪がいると思っていれば、なんでも妖怪のせいに出来る世の中なのだ。この答えで完璧である。

 

また携帯が振動する。宇佐美 蓮子から、今度は電話による連絡がきた。うっへえと思いながら、その電話に出る。そして相手が言った第一声が、

 

 

 

『ククク……一真君ならそう言ってくれると想ってた!!』

 

「うるせぇよ」

 

そう言い、すぐに電話を切る。

ああ間違えたなぁ、と俺の心が力なく反応した。なにはともあれ、宇佐美 蓮子のせいで俺の胃がやばい。

 

 

 

 

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