聖龍伝説:現政奉還記 創生の章:昔語り編 作:セイントドラゴン・レジェンド
だがある日、巨大ドラゴン型兵器によって、空中都市スカイラグーンが占拠されその影響で下の町に落下、兵器がJフォース仕様のものであった事、Jフォースの主力戦力として採用されている「ノットベレー」の姿が現場で見受けられた事などから、Jフォースに疑いがかかる。
この事態に聖龍隊側は、現場にいた指揮官・カールに事情聴取の為の投降を要請したが、軍人としてのプライドを優先したカールはこの要請を拒否。 その結果、巨大な軍事力を持ったJフォースが最高司令官・ジェネシスをリーダーとして一斉にクーデターを起こし、各地を占拠してしまった。
聖龍隊総長にしてJフォースの軍人達とは親睦が深い小田原修司はやむを得ずJフォース全体を異常者と認定し、当時皇軍に移籍する寸前だったスター・コマンドーに出撃命令を下した。
後に「Jフォース大戦」と呼ばれる戦争の導火線に火が着いたのだ。
しかし後に、この戦いは全て当時の革命軍士と、それに通じていた聖龍隊の隊士の手で仕掛けられた戦争である事が判明。
実際に空中都市スカイラグーンの動力炉兼浮遊装置を破壊したのは、聖龍隊側のサイキック・フレイヤーであり、彼を唆したのはスパイとして聖龍隊に潜入していた順一の友達トウキであった。
そして遂にスター・コマンドーは信頼していたトウキを倒し、ショックを抱え込んでしまう。
その一方で修司は、かつての自分の相棒だったカールを自らの手で殺め、その次にカールの婚約者であったエリーゼをも手にかけてしまい傷心してしまう。
修司と順一達はそれぞれ傷心を抱えたまま将軍ジェネシスの許にまで辿り着き、共闘の末にジェネシスを追い詰める。
しかし此処でJフォースが作り上げたファイナルウェポンが作動し、修司と順一達はその停止に向かう。
そんな彼らの前に全ての戦いの元凶であり黒幕であるメカルスが登場し、全ての戦争の黒幕とトウキをスパイとして送り込んだのは自分だと自慢げに語り明かす。
立ちはだかるメカルスを前に、修司とスター・コマンドーは協力し合い、遂にメカルスを撃破、だが作動したファイナルウェポンが停止する事はなく、兵器は地球めがけて発射される寸前だった。
だが、そこにジェネシスが駆け付け、自らの命と引き換えに兵器を停止、爆破させる事で地球の危機を救った。
修司とスター・コマンドーは裏切りや喪失感に苛まれたまま、異常者とはなんなのか考え込んだという。
……以上、二次元界内で起きた内戦の詳細を語り継がれて、それを聞いた新世代型達は愕然とした。
互いの価値観の違いから起きてしまった二次元人同士の大戦。そして異常者の定義に考えさせられるスター・コマンドーと自分達の始祖小田原修司。
両者とも軍人として戦士として譲れない信念を以って挑んだ激しい大戦の顛末を聞いて、新世代型達は考えさせられた。
異常者とは一体何なのか? 本当の理想とは一体何なのだろうかと。
新世代型達が考えていると、ふと彼らはJフォース大戦後の始祖・小田原修司はどうなったのかと疑問を浮かべる。
するとこれに昔語りの場にいた葛城ミサトらスパロボの、聖龍ロボットメンバーズ、略して「SRM」の面々が語り始めた。
Jフォース大戦から数年後、心労が蓄積されて心の病にかかってしまった小田原修司が起こした行動について。
[発病]
時は2008年2月22日から30日の事。
Jフォース大戦での戦友たちとの戦いと死別、アニメタウンでのスコーピオン同盟との戦いや正聖界でのカゲンとの闘いに葛藤、そして政府に推奨した異常者排除法案の撤廃を否決され、今まで築き上げてきた地位や名声の一部も損失した小田原修司は心身ともに疲労が蓄積されていた為か容態が急変。
気分がだるく滅入り、気力が湧き上がらずに多少の運動でもスグに息を上げてしまうなどの症状が見られた。
しばらく自宅での療養に務めていた小田原修司は、偶然にもテレビで取り上げられていた「うつ病」の特集を見て、今の自分の容態と全く同じであると驚愕する。
後日、精神病院でうつ病特有の症状とその度合を確かめるペーパーテストを行った上で、担当医師は小田原修司が典型的なうつ病であると診断する。
この時の小田原修司は夜になっても寝付けないなどの睡眠障害や何事に対してもやる気や行動力が発揮できないなどの症状が現れ、アニメタウン内の自宅での療養を余儀なくされた。
更に小田原修司がうつ病と診断を受けた数日後、聖龍隊内での精密検査を行った所、小田原修司の特殊能力であった周囲の能力者の能力を無条件で無力化してしまう闇の心ダーク・ソウルの特殊能力が使用できなくなっていた事が判明。これはうつ病による精神的な欠落が原因と考えられるが詳細なメカニズムは未だに不明である。
しかし、うつ病に罹った小田原修司が特殊能力を使用できなくなった事から、特殊能力者がうつ病により己の能力を使用できなくなるという事案が初めて世間に公表された。
病身で臥せっている修司は、ベッドの上で考え込んだ。
生きる気力も死ぬ気力も失っている自分は、果たしてこのままで良いのだろうかと。
世界では未だに多くの弱者が救いを求めている。
自分の決断が、時には多くの命を無造作に消失してしまう現状に修司は苛まれる。
しかし鬱を発症している修司にとって、うつ病は簡単には克服できない難病。
だが修司は、自分が心の風邪で休んでいる事態の中でも、弱者が救済を求めている事、そして多くの英雄達が休みなく戦い抜いている現状に寝てばかりはいられなかった。
責任感が重く、生真面目な修司にとって、うつ病は凄惨に当てはまる難病だった。
気持ちは滅入りながらも、弱者たちの事を考える修司は寝てばかりはいられなかった。
しかしそんな気分とは裏腹に、朝方は体が石の様に重く、思う様に動く事が困難。
だが修司は懸命にリハビリに励みながら、衰えていく己の身体に鞭打って自力で鍛えられる範囲で鍛え様としていた。
しかし、そんな修司の努力も、うつ病の前では意味を成さなかった。すぐに肉体は衰え始めて、リハビリする気力すら病気は奪って行った。
そんな修司に、彼の心労を理解しているアッコは修司にこう言った。
「修司、あなたは働き過ぎたのよ。この機会にゆっくり休んで。休んだって、別に私は責めたりしないわ」
アッコの心優しい気遣いに、修司の心は揺らいだ。
だが、世界の現状は修司が黙って休んでいるほど安寧してはいなかった。
世界のどこかで凶悪な横行が続き、多くの弱者たちが苦しめられている。
多くの英雄達が、自分を救ってくれた多くの隊士や仲間達が凶悪な犯罪と戦っている間、自分はただ黙ってベッドに横たわっていていいのか。
責任感の強い修司は考え、そして悩み抜いた。
過去に自分が葬ったカールやエリーゼ、そして多くの死別した元同僚だったJフォースの軍人たちの夢も修司は良く見た。
Jフォース大戦での経験、そんな過去の悩みを振り払おうと多くの
その後は自分が積み重ねてきた地位を少しばかり削ってまで打ち消そうとした
自分の決断は多くの命を救ってきた。だが、同時に多くの運命を狂わせ、そしてまた別の命をかき消してしまう顛末に至ってしまう。
だが、それでも自分には戦う以外なにもできない。
戦い、壊し、そして殺める。正常な自分にできる行動は限られている。
そんな数多くの苦悩を抱えた修司は、病床の中ある決断を下した。
そして彼は執事であるウッズに自分の決断を話した。
ウッズは最初驚いていたものの、協力性が欠けていた修司が下した決断に大いに喜んだ。
そして修司とウッズは、遂に行動を準備した。
裁きの鬼 ジャッジ・ザ・デーモンの再出発を。
[招かれるSRMの指揮官たち]
ある日、異世界にある聖龍ロボットメンバーズ、通称SRMから多くの指揮官達が聖龍隊本部に召集された。
SRMとは。それはガンダムや勇者ロボ、等々の巨大ロボを操縦するキャラクター達を纏め上げた聖龍隊でも最上級に特別な組織である。
彼らは巨大ロボという戦局を大きく左右する戦力を携えるだけでなく、その驚異的な科学力を持っている為、聖龍隊でも世界情勢を無意味に変化させない為に余り表立って活躍できない軍隊だった。
そんなSRMの面々を、どうして聖龍隊本部に召集したのか。
召集されたSRMの面々を、修司の秘書であり執事であるウッズが招き入れ、彼らを先導して聖龍隊本部の内部を通って行く。
「……それで、ウッズさん。私達をわざわざ聖龍隊の本部に召集したのは、何か特別な理由でもあるのかしら?」
「はい、マリューさん。今回は闘病中である修司様が、皆様方に打ち明けたい事があると、皆様をお呼びした次第であります」
気難しい表情でウッズに問い掛ける【ガンダムSEED】のマリュー・ラミアスに、ウッズは皆を先導しながら返答する。
「へぇ、うつ病にかかっている修司から直々のお呼びとは……いい御身分だねえ。自分はウツなんて怠け病で寝たっきりでいい状況だって言うのに」
「キッド、そんな事いうものではないぞ。実際に鬱病は現在医療でも完治させるのは難しい精神病なんだ。怠け病なんて言っては差別だぞ」
寝たきり生活を送っている修司を軽視する【銀河旋風ブライガー】のキッドに、リーダー格のアイザック・ゴドノフが注意する。
「しかし、そんな病身の総長小田原修司が何ゆえワシらを聖龍隊本部に呼び出したんじゃろうか……」
SRMの総司令官を務めるオーバーンは、娘であり補佐官でもあるマリネと共に行動していた。
そんな面々がウッズに招かれて、聖龍隊本部でも最深部に当たる部屋に集められ、円形状に着席される。
「ここで話を進めるの?」「いいえ、全ては此処からです」
マリュー・ラミアスから訊ねられると、ウッズは壁に隠されていたスイッチを押した。
すると皆が着席している部屋が突然ガクッと動き出し、部屋全体が下へと降下しているのが感じられた。
「な、なんだ!?」「部屋が動いている……!」
突然の部屋の稼働に、【超電磁ロボ コン・バトラーV】の葵豹馬と【超電磁マシーンボルテスⅤ】の剛健一が動揺する。
「成程。この部屋全体が、おそらく聖龍隊でも最深部の……そして秘密の空間への移動手段なのだな」
「その通りです、アイザックさん」
部屋全体が下降している状況に、冷静に分析するアイザックにウッズが答える。
そして下降する部屋の室内で一同が大人しく待機していると、下降していた部屋が停止した。
すると部屋の一部の壁が上昇し、地下空間での出入り口が現れた。
「では皆様、どうぞ着いて来てください」
ウッズは皆を先導して、開場した部屋の壁から室外へと皆を誘導する。
SRMの面々が部屋から出てみると、そこは洞窟をそのまま改造したような岩の壁がむき出しになっている空間だった。
「な、何なんだ、この洞窟は……」
アスラン・ザラが謎の洞窟を皆と共に突き進んでいくと、洞窟の奥から灯りが零れているのをSRMの面々は気付いた。
「あ、あれ! 出口じゃないの?」
「まあまあ、そう慌てないでください。あの先に、皆様に見せたいモノが多数あるんです」
薄暗い洞窟の先に光る灯りを見て指さす【闘将ダイモス】の和泉ナナに、ウッズが宥めつつ声をかける。
皆が洞窟の奥その灯りが照らされている空間に出てみると、そこには驚きの光景が広がっていた。
まるで司令室の様に改造された洞窟、巨大コンピューターと直結しているモニター画面、そして整備された車道と直結している丸い駐車場には漆黒の車両が。
「な、なに此処……!」
目の前に広がる光景に、マリュー・ラミアス達は衝撃を受ける。
するとアスカ・ラングレーと碇シンジが広大な洞窟空間の中央に置かれている車両に近付いて間近で観察する。
「この車、何なんだろう?」「何だか、宇宙人みたいな顔してる様に見えるね」
車両のヘッドライトが紅く大きな瞳をしている形状から、顔の様に見えると語るシンジ。
更に個人用の訓練場みたいな一画に並べられている様々な形状の手裏剣や煙幕弾を手に取りながら観察するアイザックは、そのアイテムに施されている鬼の紋章を見て驚いた。
「これは。まさか、ジャッジ・ザ・デーモンのか……!?」
この表情を一変させたアイザックの一言がその場にいたSRMの面々を一驚させる。
「ジャッジ・ザ・デーモンって、あの連続殺人鬼の……!?」
「え……!」
ジャッジ・ザ・デーモンの名を聞いて一驚する南原ちづると岡めぐみの二人。
皆がジャッジ・ザ・デーモンの名に驚愕していると、ウッズが此処で手元にあるボタンを押す。
すると皆の目の前に、洞窟の崖下からリング状の装置が上昇してきた。注目してみると、その装置にはジャッジ・ザ・デーモンが着用しているデーモンスーツが配置されていた。
「じゃ……ジャッジ・ザ・デーモン……!」
「いいや、これはジャッジ・ザ・デーモンが着用する一種のパワードスーツだ」
総司令官の秘書官マリネがジャッジ・ザ・デーモンのスーツを見て驚く中、総司令官であり実父であるオーバーンが説く。
SRMの一同が突如として目の前に現れた装置に配備されているデーモンスーツに近付き、凝視していた。その時。
リング状の装置に配置されていたデーモンスーツの手が、間近で注目していた葛城ミサトの肩をポンと叩いた。
「きゃあっ!」
ミサトはまるで少女の様に、跳び上がるほど驚いた。
そして皆が跳び上がってまで驚いたミサトに目が向いていると、デーモンスーツが独りでに装置から外れて動き出したのが視認された。
「フフフ、そう驚く事は無い。葛城ミサトよ」
独りでに動き出したデーモンスーツから声が聞こえ、SRMの皆はスーツの中に人が入っている事を此処で認識する。
皆がジャッジ・ザ・デーモンに携帯していた銃を向けていると、ジャッジ・ザ・デーモンは装置から降りて目前の面々に言い渡した。
「……まあまあ、SRMの皆様方。そう戦意をむき出しにしなさんな。俺には敵意も無ければ、殺意もない。安心してくれ」
「な、なにを言い出す! この殺人鬼! それ以前に何故、お前がこんなところに……!」
銃をジャッジ・ザ・デーモンに向けたまま敵意をむき出しにするカガリ・ユラ・アスハ。
すると皆が突然動き出したジャッジ・ザ・デーモンに意識が向いている中、そんなジャッジ・ザ・デーモンにウッズが歩み寄り声を掛ける。
「修司様、皆さんに急用があってお呼びしたんでしょ? 御ふざけはそれぐらいにして、早々に本題に入りましょう。あなたの体調の事もありますし」
ウッズがジャッジ・ザ・デーモンに話し掛けた発言に、一同は驚愕した。
「な、なんだって!?」
ジャッジ・ザ・デーモンに掛けた名に、目を丸くして驚いてしまう【無敵超人ザンボット3】の神勝平たち一同。
全員が世間が恐れるジャッジ・ザ・デーモンが小田原修司と聞いて愕然としたのだ。
するとウッズに指摘されたジャッジ・ザ・デーモンは、装置から降りて周囲からの敵視の眼差しを受けながら語り始めた。
「そうだな、ウッズ……時間は待ってはくれない。早期に行動しなければ、救える命も救えなくなってしまう」
そう言うとジャッジ・ザ・デーモンのヘルメット部分、その首の部分の空気圧が抜けて胴体部分と頭部部分の接合が離脱する。そして空気圧で完全に離脱した頭部部分をジャッジ・ザ・デーモンが外してみると、彼の素顔がSRMの面々に晒された。
『お……小田原修司!?』
全員が、ジャッジ・ザ・デーモンの素顔を見て愕然とした。
すると素顔を晒した修司を見て、葛城ミサトが呆れながら言った。
「な……なんだ。修司くんのお遊びか。でも悪い冗談ね、よりにもよってジャッジ・ザ・デーモンの恰好で私達を驚かすなんて……」
ミサトは修司がジャッジ・ザ・デーモンの恰好をして自分達を驚かしただけと思い、修司本人がジャッジ・ザ・デーモンの正体だとは思わなかった。
だが、このミサトの発言に修司は真顔で返した。
「ミサト、お前達には悪いが……この格好は決して冗談でもなければ、おふざけでしている訳では無い」
「へっ?」
修司の発言にミサトは表情を強張らせて固まってしまう。
この修司の発言を聞いて、周りのSRMの面々は次々に言葉を発する。
「じょ、冗談じゃないって……」
「おい、悪い冗談よしてくれよ。まさか、修司お前が……ジャッジ・ザ・デーモンって言いたい訳か?」
マリネが顔色を変える中、同じく血相を変えるキラ・ヤマトが修司に問い詰める。
「そ、そんな! 世界中に出没する連続殺人鬼のジャッジ・ザ・デーモンが、まさか修司くん……!?」
「お、おい修司! 冗談にも言っていいのと、悪いのがあるぞ! まさか、あんたが……ジャッジ・ザ・デーモン?」
ラクス・クラインと式波・アスカ・ラングレーは修司から告げられる真実を受け入れ難かった。
「成程、世界中で悪人達に独自の私刑で断罪しているジャッジ・ザ・デーモンが我らが総長、小田原修司のもう一つの顔だったとは……以前から悪人嫌いとは思っていたが、まさかジャッジ・ザ・デーモンであらせたとは」
「お、おい! アイザック、修司がジャッジ・ザ・デーモンだったのを前から知っていた様な口振りだな」
「ふっ、キッドよ。ジャッジ・ザ・デーモンが三次元人では造り得ない多くのハイテク機器を使って世界中の悪を断罪しているのは周知しているだろう。そんなハイテク機器を使って世界中を飛び回れる人物は限られている……だから私はジャッジ・ザ・デーモンが小田原修司であったとしても、さほど驚きはしない」
木戸丈太郎に説くアイザック・ゴドノフ。しかしアイザックの説明を聞いて、他の皆々も小田原修司とジャッジ・ザ・デーモンが同一人物だと安易に予想できてしまう。
「アイザックの説明通り、俺は今まで……そう、聖龍隊という組織を結成した時から陰ながら世界中の悪を断罪するジャッジ・ザ・デーモンへと己を変えて出動していた。……言い難いが、ジャッジ・ザ・デーモンとして活動する為の技術の多くはお前達SRMの技術を引用している」
「な、なんだって! それじゃガンダムやその他多くのスパロボの技術を、勝手に使い回していたのか!」
修司が今までジャッジ・ザ・デーモンとしてSRMの数多くの技術を勝手に使用していた事実を知って、獅子の如く咆哮する【勇者王ガオガイガー】の獅子王凱。
小田原修司がジャッジ・ザ・デーモンである事実。
そしてその際に多くの自分達の技術が断りもなしに乱用されていた事実に様々な感情を滾らせるSRMの一同。
修司は、そしてウッズは何を考えているのだろうか。
[SRMとの協力]
自身がジャッジ・ザ・デーモンであり、その活動に使用した技術の多くをSRMの技術から引用したと、SRMの面々に告白した修司。
修司がジャッジ・ザ・デーモンであった事も含め、自分達の技術が勝手に人殺しに使われていた事実に納得がいかないSRMの面子。
そんな場の空気が険悪になる状況下でも、鬱の状態である修司は側近でありジャッジ・ザ・デーモンである事実を周知していたウッズと共にSRMの面々と向き合う。
「……それで、ワシらにどうしろと仰るのですか、総長」
「総長はやめてくれ。聖龍隊総長としての職務は、今は鬱で休止している」
SRM総司令官オーバーンからの問い掛けに、修司は真顔で答えた。
そして問い掛けられた修司は、SRMの一同全員から注目されながら語り明かした。
「皆も知ってのとおり、俺は今現在ウツで思う様に体が動けない状態だ。だが、俺が手を休め、体を休めている間にも……心無い、そうこの世に存在価値がない悪党達がのさばり、弱者が虐げられている現状は続いている。聖龍隊の職務は副長のバーンズや参謀総長のジュニアが俺の代役として勤めてくれているから大事ないが、ジャッジ・ザ・デーモンの代わりは誰にも勤まらないのが現実だ」
『………………』
修司の話に誰もが無粋とした面持ちで聞き及んでいた。
そして修司は一際険しい顔付きで申し付けた。
「俺はジャッジ・ザ・デーモンとして日夜、理想や現実では裁き切れない悪党を断罪しなければならない。そこでだ、お前達は大変不服に思うだろうが……この俺の、ジャッジ・ザ・デーモンとしての活動を補佐してほしい」
「な、何だって! オレ達にも人殺しの片棒を担げって言いたい訳か!」
修司からの提言に【六神合体ゴッドマーズ】の明神タケルが反論した。
無論タケルだけでなく、その他大勢のSRMの面々もタケルの意見に同意する。
「冗談じゃない! 誰が好き好んで連続殺人鬼の手助けをしなきゃならないんだ!」
「私達を呼んだのは、あなたの勝手な私刑行為の手助けをさせるつもりだった訳?」
修司の要望に【機動戦士ガンダム00】の刹那・F・セイエイも葛城ミサトも猛反発。
多くのSRMの聖龍隊士が時には犯罪者を容赦なく殺傷しているジャッジ・ザ・デーモンに手を貸すなど反感を覚えたのだ。
と、そんな多くの反発の声が飛び交う中、ジャッジ・ザ・デーモンのスーツを着用し、素顔だけを晒している修司は唐突に行動を起こした。
「頼む! もう俺やウッズの力だけじゃ何もできなくなっちまったんだ!」
皆に深々と頭を下げて嘆願する修司を見て、SRMの面々は飛び交わした罵声を静めた。プライドの高い修司が頭を下げるなど今までに無かったからだ。
「俺がウッズに頼んで、お前達の技術をジャッジ・ザ・デーモンの活動に乱用したのは謝罪する! しかし俺は何も悪趣味でジャッジ・ザ・デーモンを始めた訳じゃないんだ。この世に溢れる悪党を、法の網を抜けて悪事を重ねる連中を裁いて弱者を助けたいだけなんだ……!」
『………………………………』
一同が頭を下げて嘆願する修司の言葉一つ一つに耳を傾ける中、修司は切実な想いを呟いた。
「この世界をより良く変えたいだけなんだ……! 弱者を救済したい、二次元人が俺を救ってくれた様に……!」
この床を向く修司の呟きが耳に入り、SRMの一同は考え始めた。このままジャッジ・ザ・デーモンの活動に協力していいのか。
すると、修司に続いて今まで彼のジャッジ・ザ・デーモンの活動を全面的に協力していたウッズもSRMの面々に嘆願する。
「皆さん……皆さんは確かに、時には人殺しも容赦なく行えるジャッジ・ザ・デーモンの活動に非協力的な姿勢になってしまうのは重々ご理解できます。更に私達が今まで無断で皆さんが所持している技術をジャッジ・ザ・デーモンの活動の役に立てていた事に立腹してしまうのも理解できます。……ですが、私は今まで修司様の……ジャッジ・ザ・デーモンの活動を陰ながら見て来て、如何にジャッジ・ザ・デーモンの制裁が世の中を変え、そして多くの人命を救済してきたのか知りました。修司様もよく仰っていますが、醜い現実では……世の中は綺麗事や理想論だけでは到底変えられない過ちも数多く存在しているんです。皆さんが思っているとおり、ジャッジ・ザ・デーモンの制裁は決して正義とは呼べません。しかし、そのジャッジ・ザ・デーモンの行為と勇気で醜かった現実を変えられた事実は確かに存在しています。そして今なお、そのジャッジ・ザ・デーモンの制裁と言う名の救済を求めている人は世界中に存在しています。お願いします、どうか修司様の勇気に応えてくれないでしょうか」
修司のジャッジ・ザ・デーモンとしての活動を弁論するウッズの嘆願に、SRMの面々は考え込む。ウッズへの信頼度は、総長である修司以上だからだ。
修司やウッズの嘆願などを聞き入れて、ジャッジ・ザ・デーモンの正体を知ったばかりか、そのジャッジ・ザ・デーモンが自分達スパロボの技術を無断で乱用していた事実を知った直後に、そんなジャッジ・ザ・デーモンの補佐を手助けしてほしいと嘆願されて困惑するSRMの一同。
するとSRMの総司令官補佐マリネが頭を下げ続ける修司に歩み寄り、修司に声を掛ける。
「……修司くん」「………………」
マリネに声を掛けられても、修司は顔を上げず下を俯いたまま。
「修司くんは、今まで一人だけで悪党達と戦って来た訳なのよね。ウッズさんの協力を借りながら……」
「……ああ、そうだ……!」
「そして今、あなたはウツと言う精神病で本来は寝ていなきゃならない状態だって言うのに、それでも一人で戦い続ける訳なの?」
「一度、俺自身が決めた信念だ……そうそう簡単に曲げる事も、揺らぐ事もない」
「信念ね……」
下を俯いたままの修司から信念だと力強い口調で告げられたマリネは、腕を組んで頭を下げる修司を見下ろしながら黙り込む。
そして数秒黙り込んで考え抜いたマリネは、みんなの見ている前で修司に再度問い掛ける。
「世界を変えたい、そう考え抜いた末にジャッジ・ザ・デーモンになった訳なのよね。あなたは……」
「ああ、その通りだ。俺自身、二次元人達によって救われ、そして変われた。だから今度は、俺自身の手で世界を変えて行きたいんだ……二次元人達への恩返しとして……!」
自身も二次元人によって救われた事から、同様に世界そのものも変えて行きたいと主張する修司の言い分を聞いてマリネは彼の信念の強さを感じ取った。
「……前々から思っていたけど、あなたは何もかも一人で背負いこみ過ぎている。だから多くの失敗を過去にたくさんしてしまい、遂にはウツにもなってしまったんじゃないの? そんな自分を変えなきゃ、平等な裁きも与えられないんじゃないの」
「………………」
「自分が変わらなきゃ、世界も変えられないわよ」
マリネの最後の発言に返す言葉がない修司。
するとマリネは、険しかった顔を緩めて穏やかな表情で修司に言った。
「……まあ、でも。今まで誰にも秘密にしていた事実を告白して、私達に素直に協力を求めてきたその変化は称賛するわ」
「ま、マリネ……!」
修司がそっと顔を上げてみると、マリネは修司の顔を見詰めて話す。
「私達の協力で、あなたが……ジャッジ・ザ・デーモンがまたどれくらい変われるか、それを見てみるのも一興なのかもね」
このマリネの発言に、その場にいたSRMの面々は一堂に驚愕した。
『ええぇーーーーっ!!』
「ま、マリネ! それはお前が、修司総長の……ジャッジ・ザ・デーモンの活動に協力してもいいと言いたい訳か!?」
「そんな! いくらなんでも、多くの人民を殺傷してきたジャッジ・ザ・デーモンの活動に協力するだなんて……」
マリネの決断に、父でありSRMの総司令官であるオーバーンもマリュー・ラミアスも唖然としてしまう。
しかし動揺する皆を前に、マリネは父でもある総司令官オーバーンに告げた。
「でも、パパ! いつも無愛想な修司くんが何を考えていたのか、少しは解ったじゃない。彼のやり方は全面的に賛同できないけど、彼なりのやり方で世界をより良く変えたいって、いつも想い描いていたって。もしかしたら、彼と……ジャッジ・ザ・デーモンと協力すれば、世界だけじゃなくデーモンそのものも変わってくれるかもしれないじゃない」
「ま、マリネ、お前はワシらが協力すればジャッジ・ザ・デーモンも少しは変わってくれると思っとる訳か!? し、しかし……」
マリネの思想に動揺して何と返答すればいいか困惑するオーバーン。
するとそんなオーバーンの肩を叩いて、彼や周りのSRMの仲間達に提案を持ちかけるものが。
「まあまあ、オーバーン総司令。ここはひとまず、マリネの言うとおりに我々もジャッジ・ザ・デーモンの技術拡大に協力してみようじゃないですか」
「あ、アイザック……」
オーバーンの肩を叩いて話し掛けるアイザックに皆が注目する。
「確かにジャッジ・ザ・デーモンの行いは、全面的に見ても全てが寛容できるとは到底できない。しかし彼が、小田原修司が二次元人と協力する事で何かが変わる切っ掛けが生まれる可能性も見えてくるのも事実。現に彼は、過去に二次元人によって救われ、今に到り……そして今、自身がウツで苦しんでいる最中に自らの限界を感じて我々に助けを求めてきた。素直ではない小田原修司が頭を下げてまで我々に協力を求めてきただけでも貴重なものだ」
「し、しかし……」
アイザックの言論に反論しようとするオーバーンに、アイザックは更に変え様の無い現実を皆に突き付けた。
「それに……皆に言うのは気が引けるが、聖龍隊総長であり同時に二次元界を監視する役目を三次元政府から託されている小田原修司がジャッジ・ザ・デーモンである事が露見すれば……我々二次元人の沽券や威厳だけでない、人権や存在意義にも響いてしまう」
『!!』
アイザックから指摘を受けて、衝撃を受ける一同。修司がジャッジ・ザ・デーモンである事実が世間に露見すれば、二次元人の立場が非常に危うくなる。その事実を告発してアイザックは皆に言った。
「なので、我々の選択肢はたった一つだ。小田原修司がジャッジ・ザ・デーモンである事実を隠すために、彼の……ジャッジ・ザ・デーモンの活動に協力しなければならない」
「むむ……ワシらSRMに迫られた選択肢は一つだけと言う事か……!」
アイザックからの指摘を受けて、オーバーンもその他の指揮官達も同意せざる得なくなる。
「修司、きみは……こうなる事を見越した上で、我々に協力を求めて来た訳か」
「はっ、まあね。俺自身も、もう後戻りのできない領域にまで足を踏み入れちまった。もう覚悟も何もかも決め込んだ。全ての重責や罪科も一人で背負い込む腹だ。一蓮托生とまでは言わないが、打ち明けた以上、協力はしてもらうぞ」
「フッ、実に喰えないな、きみは。……まあ、だからこそ我々の様な逸材も組織と言う腹の中に納める懐を持ち合わせているのだろうが」
全ての顛末を見越した上でジャッジ・ザ・デーモンであると告白した修司を、自身の腹中という組織に納められる懐の広さを持ち合わせているのだろうとアイザックは皮肉を込めて評した。
こうして未だに多くの反発する者も含まれる中、小田原修司ことジャッジ・ザ・デーモンとSRMの協力関係は築かれてしまった。
[連携する鬼とSRM]
世界同様に修司本人も変われる可能性があると説いたマリネの提案。
そして秘密を知ってしまいながらも、その真実が世間に露見すれば二次元人達の存在が危うくなる可能性が高いと示唆したアイザックの指摘。
そんな二つの相乗効果が相まって、SRMの面々は複雑な心境の中、ジャッジ・ザ・デーモンである小田原修司の要望に彼の執事であるウッズと共に応えて行く。
SRMの基地で皆はジャッジ・ザ・デーモンのスーツや装備に改良を加えて、性能を高める。
まず修司が求めたのは、鬱で著しく減少した体力を補える最新のデーモンスーツの製作だった。
鬱で体力を大きく失っていた修司からの要望に応えるべく、ウッズや科学者たちは最新鋭のデーモンスーツの製作に取り掛かる。
時おり修司も製作現場に立ち寄っては、自ら試作のデーモンスーツを装着してスーツの具合を確かめ合う。
そして体力だけでなく筋力も衰退が目立ち始めていた修司の為に、ウッズたち科学者らはスーツの筋力上昇の効果がある性能を足した。
一方の修司はと言うと。
鬱で気力そのものが低下しているのに対し、修司は己の高い精神力と信念で体を奮い立たせて自主練を積み重ねていた。
自身がジャッジ・ザ・デーモンであるという事実を打ち明けた今、修司は自分が今まで如何にジャッジ・ザ・デーモンとして鍛錬していたかをSRMの面々に公表した。
特製の手裏剣ジャッジ・ラングで標的に投げつける鍛錬。だが、鬱で気力が低下しているのか、的の中央から少し逸れてしまう。
デーモンスーツの腕部分に装備している長く鋭利な爪で敵を切り裂く戦闘の訓練。
そして中でも大勢の目を引き付けた訓練は。SRMの男性隊士との乱闘による戦闘の訓練だった。
右や左、時には背後から迫る攻撃を回避しつつ的確に反撃に転じながら乱闘を繰り広げる修司の動きには無駄が見えない様に見られた。
しかしこの訓練でも鬱で集中力が低下しているのか、時おり死角からの攻撃に直撃を受けてしまう事が多々あった。
だが修司は訓練を止める事無く、続行して己自身の戦術に磨きを入れた。
パンチして来るアスランやキラ・ヤマトの拳をかわして、その腕を取って両者を床に捻り伏せて痛め付ける芸当を見せる修司。
さらに大勢の隊士が修司によって痛め付けられた直後、残された碇シンジが思い切って突進して来るが、それを修司は跳び越えてかわし、床に転倒するシンジの上に飛び乗って跨ると彼の横腹を殴打して気絶させる。
群がってくる多くの隊士達との訓練を終えて、何事も無かったかのように歩き出す修司と入れ替わり、女性隊士達が慌てて修司によって叩きのめされた男性隊士の許に駆け寄る。
武器を使った訓練でも、標的と向き合う乱闘の訓練でも、好成績を見せ付ける修司。しかし彼が本当に納得する結果には至らなかった。何故なら彼の本気が未だに出せないでいたからだ。鬱な為に。
しかし修司は諦めなかった
最新鋭の、今の自分に適したスーツが完成するまで修司は自主練を止めなかった。
多くの人を救済したい、世界を自分同様変えたいと願い続ける修司の信念が潰える事は無かった。
修司は衰える自分の体力と気力を制止する為、SRMの男性隊士と一対一の試合を行って自分自身を追い付める。
SRMの男性隊士達と勝負を行う修司は、懸命に闘った。
組み合う獅子王凱の腕を取り、彼を投げ飛ばしていく修司。
それからも修司は様々な訓練を行い、自身の衰えていく体力と気力をどうにか保持しようと試みる。
そして遂に試作機であるデーモンスーツを着用する機会が。
修司はSRMの技術を集めて作り上げたスーツを着用しながら言った。
「なるほどな、やはりモビルスーツみたいな作りだな」
「これの方が体に密着しやすいんですよ」
デーモンスーツを着用する修司に、傍らでスーツ装着の具合を見定めるウッズが言う。
そしてデーモンスーツの脚と腕部分の装備を着用した修司を確認すると、SRMの技術班が修司に承諾の合図を送る。
修司が頷いて承諾すると、技術班は手元の制御盤を操作して修司が装着しているスーツの最新技術を作動させる。
すると修司が装着している脚と腕の先、足の裏と手の平の部分から青白いエネルギーが噴射されて、修司は高々と飛び上がって行った。
「うわうわうわっ!」
突然手の平と足の裏からの噴射で飛び上がる事態に驚愕する修司。
だが、すぐに修司は冷静さを取り戻し、そのまま飛行テストを続行する。
手の平と足の裏からエネルギーを噴射する事で、飛行する事が可能に至ったデーモンスーツの試作機に修司は何とか自力で制御しようとバランスを取り続ける。
しかし修司のバランスが崩れてしまった直後、修司は足裏と手の平から発射されるエネルギーが暴発して地面に向けて急降下。
修司はSRMの職員が使う車両のボンネットに直撃して、唖然としたのか動かなくなる。それと同時にエネルギーブーストも停止して、噴射が治まった。
車両のボンネット上に落下して唖然とするばかりの修司に皆が騒然とする中、ウッズが声を掛ける。
「修司様、大丈夫ですか?」
「あ、ああ、ウッズ……なんとか」
冷静な顔で修司に問い掛けるウッズは、修司の返答を受けて真顔で問うた。
「落下してみて、どう思いましたか?」
「改良が必要だというのが解った」
「その通りですね」
修司の率直な意見を聞いて、ウッズはその通りだと真顔で返した。
こんな修司とウッズの日頃の関係も目撃しながら、SRMはウツ状態の修司でも使いこなせるデーモンスーツの開発に着手していった。
そして同時期。SRMの面々は事の次第を聖龍隊本部にいる聖龍HEADに告げ口していた。
だが、既にジャッジ・ザ・デーモンの正体が小田原修司だと周知している聖龍HEADからの返答に、SRMの司令官達は愕然とした。
「お前たちSRMが修司の……いいや、ジャッジ・ザ・デーモンから協力を要請されたのは既にウッズから聞いて周知している。オレ達HEADはもうとっくの昔に修司がデーモンとして陰ながら活動しているのは知っている。お前達、SRMには苦労かけると思うが、修司の信念に付き合ってくれ」
と、聖龍隊副長のバーンズはSRMに語った。
「……もちろん、最初修司がジャッジ・ザ・デーモンだと知った時は衝撃だったわ。だけど、修司をジャッジ・ザ・デーモンに変えてしまったのは私たち二次元人の影響もあるんじゃないかと私は思うの。修司は私達の世界に来る前は、何事に置いても無関心だったってウッズさんから聞いたの。そんな修司が多くの犯罪や悪事に嘆く人々の声に耳を傾ける様になったからこそ、それを抑制する恐怖の対象ジャッジ・ザ・デーモンへと変わってしまったのかもしれない。だから私は……いいえ、私達は強く修司のやり方を否定する事はできないでいる……だから私は、修司を……裁きの鬼を見守る事しかできない。こんな私に代わって、どうか修司の力になってください」
と、修司を誰よりも想う加賀美あつこことミラーガールはSRMに悲しげな表情で伝えた。
聖龍HEADですら、世の中の完璧ではない現状からジャッジ・ザ・デーモンの必要性を黙認してしまっている状況にSRMの面々は困惑した。
しかし時すでにジャッジ・ザ・デーモンの眠れる闘志は目覚め始めていた。
[出動する新たな鬼の姿]
そして修司とウッズがSRMの面々にジャッジ・ザ・デーモンの能力向上を求めてから早一ヶ月。
修司はウツ特有の夜間での不眠状態でSRMが新たに作成してくれたデーモンスーツの試作機を装着してみた。
「それにしても便利な病気ね、ウツって。朝方には起き上がれないのに、夜になると目が冴えて眠れなくなるなんて、ジャッジ・ザ・デーモンの活動にはピッタリじゃないの」
「ああ、そうだな。それが数少ない救いの一つだ」
葛城ミサトからの嫌味に、修司は平然とした態度で返事する。
「お前達にとっては不服な行為が目立つだろうが……俺がジャッジ・ザ・デーモンとしてどの様な裁きを下すか見ていてくれ」
そう皆に告げる修司。
しかし修司が頭部以外のデーモンスーツを装着したその時、ふらっと足元がふら付いて倒れそうになる。ウツ特有の気力の低減による現象だ。
見守っている皆が戸惑う中、修司は何とか体勢を立て直して最後にヘルメットを装着しようとする。
「フゥ……はぁ……」
「あ、あの……大丈夫?」
「ふぅ、心配してくれてありがとうラスク。だが俺は行かねばならない」
心配して声をかけてくれるラスク・クラインの気遣いに礼を返す修司は、使命感と信念から自ずと出動する心がけを示す。
そして修司は顔全体を覆うヘルメットを装着して、素顔を隠した上でジャッジ・ザ・デーモンとして出動する準備ができた。
「どうです、修司様。新しいスーツの装着具合は?」
「ああ、ウッズ。まだ慣れてないから、しっくりとは来ないが早く慣れていきたいものだ」
デーモンスーツを完全装備した修司に、ウッズが話し掛ける。
そして修司からジャッジ・ザ・デーモンへと姿を改めた異形の存在は、自ら気力と体力が衰えている症状の中で漆黒の夜に駆ろうとする。
「……こうして見届けても、まだ納得いかない」
「ああ、そうだな。俺たちは所詮、ヒーローとは程遠い殺人鬼の手助けをしているだけだからな」
SRMが改良した上で整備してくれたステルス戦闘機ジャッジ・ウィングに搭乗しに行くジャッジ・ザ・デーモンを見届けるキラ・ヤマトとアスラン・ザラは未だに納得できない心境だった。
しかし、そんな二人の、いや多くのSRMの面々の心境を汲み取ったウッズが彼等に語り明かした。
「皆さん、本当に嫌々ながらご協力してくださって、ありがとうございます。皆さんが懸念している様に、今の修司様は道徳的に誤った行為をしているのかもしれません。ですが、修司様は身近にいる大勢の二次元人と関わりを持つ事で自分自身を変えられているんです」
「自分自身を?」
ウッズの説明にカガリ・ユラ・アスハが顔を向けると、ウッズは語り続けた。
「はい。皮肉にも、修司様が悪を……人の罪を断罪する形で容赦なく殺傷できるのは、この世の中にまだまだ正攻法な手段で救える命が少ないからです。修司様はそんな現状を変えるべく、そして多くの二次元界の英雄達にも安らぎの一時を与えたい一心で裁きの鬼へと変貌したのです。心優しい修司様が、他人の為に己の手を穢してまで悪を断罪する手法を行ったのには、それ相当の理由があるのです。……私は、その決意と信念そして覚悟を決めた修司様の気高い精神に惹かれて、今なおジャッジ・ザ・デーモンの補佐を務めているのです」
「だ、だからって……悪人を殺傷するのは……」
語り明かすウッズの説明に【ガンバスター】のタカヤ・ノリコが反論しようとすると、その前にウッズが再度語り始めた。
「皮肉にも、修司様を変える要因になっているのは、修司様自身に起こる様々な環境なのです」
「環境と仰ると……?」
ウッズの話を聞いて【THEビックオー】のロジャー・スミスが問い返すと、ウッズは修司の変化について説き始めた。
「はい、それは……私たち二次元人を取り巻く現状などが多いですが、今注目すべきは修司様自身を追い詰めているウツという病です。修司様はウツに罹る前では何事も一人だけで問題を背負い込もうとする、いわば単独行動が目立っておりました。しかし、ウツを発症してから修司様は自分自身の限界を感じられた為にジャッジ・ザ・デーモンになってから初めて他人に助けを求められる様になりました。昔の修司様だったら、如何に同じ聖龍隊の仲間でも助けを求めるなんて真似は決して致しませんでした」
「なるほど、要するに少しばかり素直な性格に変化したと言う事ですな、ウッズ氏」
「はい、アイザックさん」
ウッズの説明を聞いて納得するアイザック・ゴドノフ。
「素直さが増したからこそ、プライドの高い修司様は皆さんSRMに協力を求めたばかりか、先ほども自分を気遣ってくれたラスクさんにお礼の言葉を返したんですよ。私は、そんな日々変わってくれる修司様に尽くしたい忠誠心から今の御勤めをしているんです」
日々変化する修司の世話を自ら率先して行っていると説くウッズの話を聞いて、SRMの面々は少しばかり修司の心境を理解できた気がした。
その一方で修司、いやジャッジ・ザ・デーモンはSRMが改良を加えてくれたジャッジウィングに搭乗して夜空へと駆け抜けていった。
異世界にあるSRMの基地から飛び立ったジャッジウィングは、夜空に突っ込んでいくと同時に異世界ワープ装置を作動させて、修司が元居た三次元界へと瞬間移動した。
三次元界にワープしたジャッジウィングの操縦席では、ジャッジ・ザ・デーモンが何か事件が無いかと警察などが使う無線機の電波を傍受できる機能を作動させた。
すると傍受した緊急通信から、ジャッジウィングに緊急事態が流れた。
それは深夜の高速道路で、一台の車が転倒して炎上しているという惨事だった。まだ車内の人間は救出されていないみたいだ。
この緊急事態に、ジャッジ・ザ・デーモンは急ぎ現場へと急行した。
「あら、悪人を断罪しなくてもイイの?」
「罪無き命を救済するのも、ジャッジ・ザ・デーモンの使命だ」
通信で機内のジャッジ・ザ・デーモンにまたも嫌味をぶつける葛城ミサトに、使命だと説き返す本人。
そしてジャッジウィングは現場へと到着。高速道路の壁に衝突しながら車は激しく転がり、ボンネットからは火が噴き出していた。
(生存者はいるのか?)
現場に到着したジャッジ・ザ・デーモンが車内に生存者が居ないかどうか確認しようと歩み寄ろうとしたその時、ヘルメットに備え付けられている通信機から声が聞こえてきた。
「修司くん!」
「今はジャッジ・ザ・デーモンだ」
「そ、そうなの……どっちにしても、その、ジャッジ・ザ・デーモン。顔面に装着されている大きな紅い瞳を、此方から調整してみるから待ってて」
卯都木命からの指示にジャッジ・ザ・デーモンが待っていると、大きな紅い瞳に映る映像が変化して、ジャッジ・ザ・デーモンの視界が変わった。
視界には、燃え盛る車の中に遠くからでも判別できるほど人の姿が薄らと識別できる様に鬼の瞳に調整が施されたのだ。
ジャッジ・ザ・デーモンは自分の視界に映るその人体を凝視して、死体か生存者かを判断した。
そして「……運転手は死亡。後部座席の女性とチャイルドシートの赤子はまだ生きている」と素早く状況を判別できた。
そしてジャッジ・ザ・デーモンは急ぎ炎上する車の炎が燃料に引火する前に生存している後部座席の女性と赤子の救出に駆け付ける。
衝突で変形した後部座席の扉を、筋力増強性能があるスーツで引き剥がし、女性と赤子を固定しているシートベルトとチャイルドシートのベルトをジャッジ・ザ・デーモンは右手から鋭利な長い爪を突出させて、その爪でベルトを強引に切断する。
そしてベルトを切断したジャッジ・ザ・デーモンは、女性を身体ごと肩に担ぎ、赤子は優しく抱いて炎上する車から遠ざける。
車から少し離れたところに女性と赤子を優しく置くジャッジ・ザ・デーモン。
するとその時、炎上していた車が爆発。間一髪のところで女性と赤子の救出に成功した。
するとその爆発音で目が覚めたのか、女性の意識が戻った。
「う、うう……」「おっ、気がついたか」
意識を取り戻す女性を前に、ジャッジ・ザ・デーモンが見詰める中、見詰め返す女性はジャッジ・ザ・デーモンに質問する。
「お、夫は……赤ちゃんは……」
ジャッジ・ザ・デーモンは正直に答えた。
「夫の方は既に死んでいた。だが子供なら、あんたのスグ隣だ」
その返答を聞いて、女性は自分の傍らに置かれている我が子を視認すると優しく子供を抱き寄せる。
「ああ……っ!」
夫との死別、我が子の無事を認識して嬉しさと悲しみの両方の涙を流す女性にジャッジ・ザ・デーモンは言った。
「あんたには未来がある、その子供と同じ様にな。これから大変だろうが、希望を捨てずに生き抜いてゆけ……かわいい我が子の為にな」
そう女性に告げたジャッジ・ザ・デーモンは、道路の向こう側から通報を聞き付けて駆けつけて来る救急隊を視認した事で、後は彼等の役目だなとその場を離れていった。
そして母親と赤子を救ったジャッジ・ザ・デーモンはジャッジウィングに搭乗すると、再び夜空へと消えていった。
[容赦のない断罪]
高速道路で事故に遭い、炎上する車中から母子を救い上げたジャッジ・ザ・デーモンは次なる己の使命を探し求めた。
ジャッジ・ザ・デーモンはジャッジウィングの機内に装備されたボタンを押して特製の集音装置を発動させた。これにより、地上のあらゆる物音や会話を傍受する事ができ、犯罪や揉め事に素早く対応できる。
そしてジャッジ・ザ・デーモンが集音機で地上の声を聞き逃さず傍受していると、彼の耳に犯罪の現場での物音が入って来た。
ジャッジ・ザ・デーモンは急きょ現場に駆け付け、犯罪を抑制しようとジャッジウィングを運転する。
そして問題の事件現場。そこは残業をしていた小さな町工場だったが、そこに一人の強盗が侵入し、残業をしていた事務所の人間達を拘束した上で金庫を破ろうと懸命になっていた。
強盗が金庫破りに専念している最中、突如として事務所の窓ガラスを蹴破って一人の異形の存在が突入してきた。
「だ、誰だ、お前!?」
窓ガラスを蹴破って、突入してきた異形の存在ジャッジ・ザ・デーモンを前にして酷く動揺する強盗。
すると強盗は所持していたナイフを武器に、ジャッジ・ザ・デーモンに切り付けてきた。しかしジャッジ・ザ・デーモンは強盗が振り回すナイフを右に左に容易にかわして行くと最後はナイフを持つ強盗の腕を掴んで、後ろ手に回して強盗の腕を捻り上げて悶絶させる。
「あっ、ああ……!」
腕を捻られ、悶絶する強盗。そんな強盗に容赦なくジャッジ・ザ・デーモンは掴み上げる腕を更に捻って強盗の腕の骨をへし折った。
「うぎゃあ!」
腕をへし折られ、悲鳴を上げる強盗。そんな床上で悶絶する強盗を、ジャッジ・ザ・デーモンは装備品の一つである鋼鉄製の縄で縛り上げて動きを奪う。
そして最後に拘束されていた事務所の人間を全員解放すると、ジャッジ・ザ・デーモンは無言で去って行ってしまった。
事件を収束させてジャッジウィングに戻ったジャッジ・ザ・デーモンは夜空を飛行して新たな犯罪の現場を探し求めていた。
すると、そんなジャッジ・ザ・デーモンに機内の通信機器からSRM本部から葛城ミサトが話し掛けてきた。
「珍しいじゃない。あなたが犯罪者を殺さないなんて……私達に遠慮したのかしら?」
嫌味ったらしい質問を問い掛けてくるミサトに、運転中のジャッジ・ザ・デーモンは平然と答え返した。
「犯罪を行う者には二種類存在する……生きる為に仕方なく犯罪に手を染める輩と、私利私欲の為に非道な行いに手を染める輩だ。さっきの強盗は、拘束した事務所の男女はもちろんの事、俺に対しても殺意は無かった。ただ俺を見て驚いたあまりに武器を手にして応戦してしまっただけにすぎない」
「まあ、あなたの今の姿って、誰がどう見ても異常なほど怖がられるからね」
「そうだな。だからこそ、此方も無暗に殺害するのはどうかと腕の一本をへし折る程度で済ませてやった訳だ。世の中にはもっと、非道な輩が多いのが現実だ」
「そんな非道な輩なら容赦なく殺しちゃう訳か……やれやれ、あなたのその行動を何故ウッズさんや聖龍HEADの面々が妥協しているのか謎だわ」
ジャッジ・ザ・デーモンの話を聞いて、最後は半ば呆れ返ってしまう葛城ミサト。
この日は運がいいのか悪いのか、あまり目立った事件は起きず、ジャッジ・ザ・デーモンは夜明けと共に別次元へとワープして異世界のSRM基地へと帰還した。
そして帰還したジャッジ・ザ・デーモンがSRMの基地に着陸すると、初めてジャッジ・ザ・デーモンの活動の一部始終を拝見した面々が集まって来た。
「よっ、お疲れさん、ジャッジ・ザ・デーモン。まさか初日から活躍するとは驚きだぜ」
「ふぅ、いいや、賞賛すべき事ではないぞ、兜甲児。事件が起きるという事は、それだけ世の中が平和ではないという事だ」
駆け寄ってくる多くのSRMの面子の中からジャッジ・ザ・デーモンの活躍を称賛する兜甲児に、ジャッジ・ザ・デーモンは事件が発生するのは平和ではない証であり、喜ぶべき事ではないと説き返す。
と、ジャッジ・ザ・デーモンが自機であるジャッジウィングから降りて、床に着地した瞬間、彼の足元がふら付いて思わず尻餅を着いてしまう。
「し、修司!」「ジャッジ・ザ・デーモン!」
誰もが突然バランスを崩して床に尻餅を着くジャッジ・ザ・デーモンに駆け寄る。
するとジャッジ・ザ・デーモンは弱々しい口調で皆に強がりを見せた。
「はぁ、はぁ……だ、大丈夫だ。少し着地の際にバランスを崩しただけだ、何の問題もない……」
そう言い残すと、ジャッジ・ザ・デーモンは歩き出して、一眠りしようとSRMの医務室へと向かった。
誰もがジャッジ・ザ・デーモンの突然の様態の変化に躊躇いや戸惑いを抱く者が多かった。
「……やはり、ウツで精神力が消耗してしまっているのでしょうか」
「あれじゃ、いつ事件現場で倒れても可笑しくないわよ」
「………………」
マリュー・ラミアスと葛城ミサト、そしてウッズ達は修司の急激な様態の変化具合に心配していた。
それからジャッジ・ザ・デーモンは医務室に辿り着くと、早々にデーモンスーツを脱ぎ捨ててベットに潜り込んだ。
そして修司は死んだ様に深い眠りへと就いた。
うつ病と言う、心の風邪ともいわれる病と格闘しながら夜の街で犯罪と闘う決意を胸中に秘める修司。
彼の、そして彼に協力するSRMの面々は何処に向かっているのだろうか。
[心の病を抱えて]
夜中、ずっと街のパトロールをジャッジ・ザ・デーモンとして行っていた修司は昼過ぎまで就寝していた。
鬱の影響で、夜型の人間に変わりつつある修司の許に側近であるウッズが静かに歩み寄る。
すると人の気配を感じてか、修司は目を覚まし、ウッズへと視線を向けた。
「おや、修司様。目を覚ましてしまいましたでしょうか」
「い、いや大丈夫だウッズ。俺もそろそろ起きようかと思っていたんだ」
「無理をなさらず。お医者様も仰っていたじゃないですか。無理はなさらず、十分な睡眠を採る様にと……まあ、今でも十分に無理をしていますが」
苦笑を浮かべるウッズに言われて、修司は医務室のベットの中に戻った。
「あ、ああ、ところでウッズ。俺が朝方、そこら辺に脱ぎ捨てたデーモンスーツは……」
「ああ、あれでしたら……御心配なさらず。貴方がベットに潜ってスグ、わたくし共が回収して今スーツの微調整を行っているところです」
「そうか…………すまない」
「いえいえ、お気になさらず」
ウッズの返答を聞いて、修司は安心し切ったかのように再び眠りに就いた。
そして修司の様子を一通り確認したウッズが医務室から出ると、医務室の外には修司が気になって集まってきたSRMの女性たちの姿が。
「おや、皆さん、どうされましたか。こんなに集まって来て」
ウッズが問い掛けると、マリネが皆を代表してウッズに問い質した。
「ウッズさん、修司くんの容態はどうなの?」
「どうなのと仰られても……今は落ち着いて眠っておられます。私の見立てでは、今のところ夜間の責務も絶好調ですし、大した問題は無いかと……」
「そ、そう……いえね、明朝の容態が少しばかり可笑しかったのを私たちは目撃して、大丈夫かなって……正直、うつって病気自体、あまり詳しくなくて……」
「はあ、確かに今の時代ウツというのは少しずつ世間体に普及して行った言葉で、まだまだ浸透していない精神疾患ですからね。的確な治療法を行っても、スグに完治するという訳では無く、治るのには1年から10年はかかるとまで言われています、はい」
「そうなんですか……私は、このSRMの総司令官補佐として修司くんの……彼の信念に応えたいと思っているけど、病の事まではサポートできないのが悔しくて……」
「心配してくれて、ありがとうございます。確かにウツを始めとする精神疾患は、結局のところ最後は本人の意志でどうにかなるもので、周りの人からのサポートを受けても簡単に治るものではありませんからね。ただ、そうやってウツに対して理解を示してくれているだけでも本人には凄く力強い事ですよ。これからも共に修司様をサポートして行きましょう」
「は、はい!」
ウッズとの対話でマリネ達は勇気付けられた。
それから修司は夕方まで眠りに就いていた。
SRMで一晩を過ごした修司は、起きるとスグにウッズが用意してくれた料理を食べ終わると今夜もジャッジ・ザ・デーモンとして狩り出そうと消耗している気力を奮い立たせて準備に取り掛かった。
そして準備運動がてら、修司はSRMの基地内で手すりの上で懸垂したり、手すりから手すりへと移ったりと闇から犯罪者を奇襲する準備を念入りに行う。
準備運動が終わった修司は、昨晩と同じ様にSRMのスタッフが調整してくれたデーモンスーツに手を伸ばす。
すると其処に、マリュー・ラミアスと葛城ミサトの司令官コンビが修司に声を掛けてきた。
「今日は、どうするつもりなのかしら?」
「果たして今日は殺しはするのか、しないのか」
ジャッジ・ザ・デーモンとしての制裁行為に懸念を募らせるマリューに対して嫌味をぶつけてくるミサト。
二人の問い掛けに修司は冷めきった顔で返事した。
「それは俺にも分からない。俺も責めて殺さなければならない悪党と対面はしたくないものだ」
「へぇ~~」
平然と答え返す修司に、ミサトは呆れた様子で返事する。
「でも、そんなんじゃ……恨まれてばかりよ」
ミサトに続いてマリューも修司に唱えると、修司はこれに対しても平然とした面持ちで答えた。
「別に、恨まれるのは慣れている。聖龍隊の総長として、
「よくそんな恐ろしい事が言えるわね」
他人からの憎悪を受けても何ともないと言う修司に、ミサトがやや怒り気味な様子で指摘する。
そんな会話を何気なく続けて、いざ修司がジャッジ・ザ・デーモンとして出動しようとしたその矢先、ミサトが修司に声を掛ける。
「病気なのに、よく人を殺しに出掛けられるわね」
すると、このミサトの問い掛けにジャッジ・ザ・デーモンのフル装備に到った修司が返した。
「俺が病気だからこそ、その間に犯罪や悪事で苦しんでいる多くの者を救済しなければならない。病気だからと言う理由で、犯罪の抑制を休む訳にはいかない」
「BQZはどうなの?」
と、ここでマリュー・ラミアスが聖龍隊の陰の隊士である諜報員BQZについて問い詰めると、ジャッジ・ザ・デーモンは平然と答えた。
「BQZは俺が陰ながら集めてきた人材による特殊諜報員だ。彼等の様々な多々なる活躍が無ければ、聖龍隊の権威は維持できなかった。そしてそれ以上に多くの陰湿な存在も……処分できた。BQZは聖龍隊と二次元人の未来を護る為には無くてはならない逸材なのだ」
聖龍隊の権限と、二次元人の尊厳を護る為にはBQZは必要不可欠な存在なのだと説くジャッジ・ザ・デーモンに、ミサトもマリューも憮然とする。
そして修司は心の病を抱えながらも、今宵も多くの犯罪者達を断罪する為に漆黒の夜闇へと発つ。
[己との格闘]
それからも修司は闇からの制裁ジャッジ・ザ・デーモンへと姿を変えて、多くの陰湿な犯罪者達を断罪して行った。
だが修司の気力や体力は激しく消耗してしまう状態が長引き、時にはジャッジ・ザ・デーモンとしての責務を已む無く休止しなければならない時も多々あった。
修司は非常に悔しがった。ウツと言う障壁が、ここまで自分の信念を阻んでしまう症状だったとは。
しかし、そんな修司の懸念とは裏腹に、SRMの多くが修司がジャッジ・ザ・デーモンとして活動できなくなっている事に心なしか安堵している様子が窺えた。
それもその筈、当初からジャッジ・ザ・デーモンとしての責務を行う修司の行為に彼らの多くは賛同できていなかったからだ。
そんな多くのSRMの職員や隊士達から軽蔑の眼差しを浴びながらも、修司は己に圧し掛かるウツという大病と懸命に闘いながら鍛錬に身を勤しんだ。
そんな簡単には挫けない修司の姿勢に、SRMの隊士達は呆れながらもその闘志と信念に次第に感化されていた。
それでも激しく消耗してしまう己の気力と体力に悩まされながら闘病する修司。そんな修司に、あるSRMの隊士が接触してきた。
修司が自主練に励み、彼が少し休みを取っている間にその隊士は険しい面持ちで修司に歩み寄る。
「小田原修司……」
「……お前……旋風寺舞人か……」
大量の汗を拭いながら休む修司に声を掛けたのは【勇者特急マイトガイン】の主人公、旋風寺舞人だった。
舞人は腰を下ろして休む修司の横に腰かけると、修司とそのまま語り始めた。
「小田原修司、まだ貴方は犯罪者を殺傷するというやり方で己の正義を貫くつもりなのか?」
「ふぅ、よく勘違いされるが……俺は別に自分を正義の味方とでも無けりゃ、英雄と思って戦ってきた訳じゃない」
「!」
「俺はただ……こんな自分でも信じられる友の為に、そして仲間の為に……何より己の信念を貫いて戦い続けている訳だ。お前達の様に正義を守っている訳じゃないんだよ」
「信じられる友の為、仲間の為に……ただ己の信念を貫いて戦っている……」
修司の真意を聞いて、舞人は愕然とした。
そんな舞人に修司は突然に謝り出した。
「舞人、済まないな」「え?」
「お前達を苦しめていた強敵の存在……それは俺たち三次元人の悪意や思想の産物だった事に、俺は今でも深い罪悪感を感じている。これは他の連中にも同様に言える事だが、俺たち三次元人が与えた多くの悲惨な運命にお前たち二次元人は苛まれてきた。俺は、そんな二次元人に何度も救われたっていうのに、そんな二次元人や善意ある人々を護る為には……どうしても極悪人を殺める以外、確実な手立てが無いんだよ」
「………………」
創造者である三次元人から戦う運命や宿命を与えられ、平穏な日々を過ごせなかった舞人に深く謝罪しつつも、そんな彼ら二次元人に救われた事を語る修司。
話を聞いて唖然とする舞人に、修司は真剣な顔付きで告げた。
「俺は戦う以外………………とりえの無い男だ」
「! そんな……!」
自分は戦う以外とりえの無い男だと自称する修司の発言に、舞人は愕然としてしまう。
そんな舞人を横目に、修司はフッと立ち上がると再び自主練に身を入れようと行動を起こす。
「舞人、俺はこれからも何者かの命を奪い、そして多くを壊していく。歪な心を持つ俺にできるのは、それぐらいだ。お前達二次元人の不運な運命は壊せても、逃れられない宿命は残ってしまう。そう、戦いと言う名の宿命はな……だから、そんな二次元人に代わって、この俺が……俺自身が戦い続けなきゃ、本当の平穏はお前達には訪れないだろう」
「そうやって……貴方は多くの罪や自責を、自分一人だけで背負い込むつもりなんですか!」
「そうだ……俺には、こんな生き方しかできない」
そう舞人に言うと、修司は自主練に戻って行った。
未だに自分たちに悲運な運命や戦いを与えた三次元人を許せないでいる旋風寺舞人。だがそんな彼でも、己の信念に従い、それを貫こうと一人戦い続ける修司の気高い精神に感化されるのだった。
修司がSRMの基地に入り浸って、一人黙々と自主練で衰えていく自身を鍛えていたその頃。
「さあさあ、よってらっしゃい、見てらっしゃい。ボクちゃんが作った特製の薬の山々、御一つどうですか?」
「……これが、お前が作った人をウツ状態に陥れる薬か」
「はいはい! その通り! どうですか、Mrドラゴン。世界中の名立たる重鎮たちをウツに発症させて、世界を混乱に陥れてみるのは……」
「それは、お前の方が得意分野じゃないのか、Mrフェイク。……まあ、だがいい。お前が作ったこの《U・T・U》は此方で大量に購入させてもらおうか」
「はいはい、毎度あり! これで世界中の能力者だけでなく、大勢の人間もウツで気が滅入っちゃうこと間違いなし! お互いにイイ関係を築けそうですね、ブラッディ・ドラゴン」
「……私は、誰とも深い関わりは持ちたくないものなのだがね。Mrフェイク……」
世界のどこかで、ある二人による密会が行われていた。
そしてこれにより、世界中が混乱に到る事態が招かれてしまうのであった。
[散布されるU・T・U]
2008年3月
革命軍士が小田原修司のうつ病により自身の能力の使用不可を聞き付け、開発した自発的にうつ病に発症してしまう薬物《U・T・U》が世界中の革命軍士同胞に流出する。
同時に革命軍士によって流出され売買された《U・T・U》は反能力者思想のテロリスト達にも乱用され、世界中で《U・T・U》の使用が確認される事態にまで問題は発展。
しかし、この《U・T・U》によって自発的にうつ病を発症してしまうのは特殊能力者だけでなく、一般の人々にまで効力が現れてしまう事が大問題視された。
大企業の重役たちに《U・T・U》を投薬すれば、その企業全体が会社としての組織力を発揮できなくなり、最悪の場合大衆の面々にまで《U・T・U》を乱用され拡散されてしまえば社会のシステムは一気に崩壊し、経済的にも多大な損害を被ると認識した政府は特別案を発令。
革命軍士が開発した《U・T・U》の所持と使用を固く禁じ、一般社会の経済破綻を未然に防ごうとした。
しかしその後も、政府が発令した法案を無視して《U・T・U》を所持した人間に投薬された人間が頻繁に発生。
遂に日本を中心に《U・T・U》でのうつ病発症が世界中で報告され、通常のうつ病患者に加えて《U・T・U》でうつを発症した人間も増大。
世界規模でうつ病そのものが多大な社会問題として指摘される結末に至った。
この事態を受けて、聖龍隊内でも鬱病に罹った一般人への対応に追われていた。
気分が滅入り、気怠さが目立つ症状は総長小田原修司と酷似していた。
しかも聖龍隊の治癒能力や技術でも治す事はできず、事態は混迷を極めていた。
一方、SRMで日々己のウツと向き合い闘病していた小田原修司にも、この事態は耳に入っていた。
世界中で自分同様に、ウツで苦しむ人々が続出している。それも全ては己がうつ病に発症したのが発端だと知って、修司は黙って居られなかった。
「次々と革命軍士の連中を摘発しても、うつ病患者が増えるのは何かが可笑しい……これは、革命軍士以外でうつ病になっちまう薬を散布している輩がいるって事だ!」
修司はジャッジ・ザ・デーモンとなって、自ら調査に乗り出した。
(こんなにうつ病患者を増やしているのは、どう考えても愉快犯以外に考えられん。U・T・Uを自力で製作し、そして散布しているのは……どう考えてもアイツしかいない!)
ジャッジ・ザ・デーモンは直感で、U・T・Uを製造・散布している犯人に心当たりがあった。
それは他でもない宿敵Mrフェイクであった。ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクの行方を追った。
しかし世界中の名立たる都市では、既に拡散されたU・T・Uによる多くのうつ病患者が急増し、世界情勢は混乱の一途を辿っていた。
「また大企業の重役達にU・T・Uが投与される事件が!」
「この事件の背景には、あのMrフェイクの暗躍があったという情報が……!」
「どうすりゃ良いんだよ……! U・T・Uは世界中に散布され、使用され続け……社会を支える重要な人間が無気力に陥ってしまう。最早、聖龍隊だけじゃ、この問題は解決できないぞ!」
隊士やHEADの報告を受けて、聖龍隊を総長である小田原修司に代わって引っ張っている副長バーンズは、この事態の深刻さに途方に暮れていた。
聖龍隊やジャッジ・ザ・デーモンがMrフェイクの行方を追っている最中、SRMの総司令官オーバーンとその娘にして秘書官のマリネは【世界名作劇場】の街へと訪れていた。
その海沿いの小さなレストランで談話するオーバーンとマリネは、次の様な会話をしていたという。
「……マリネよ、お前さんは修司殿がジャッジ・ザ・デーモンとして日夜戦い続けている現状を納得しているのか?」
「ううん、パパ。私は私で、少し残念な部分があるわ。……確かに修司君の、ジャッジ・ザ・デーモンの言うとおり世界には断罪されない悪が存在しているのは悲しい事実。だけど、それを理由に修司君が殺人にまで手を染めてしまっているのは見ていられないわ」
業務外である食事の際に、父であるオーバーンと小さいテーブルを挟んで対話するマリネは、更に話し続ける。
「……だけど、私たちには修司君の行動を止める権限は無いのかなって思うことがあるの」
「なにっ?」
「だって、彼が言う様に……この世に絶対的悪が存在しない様に、絶対的正義も存在しないのが事実じゃない。修司君は、そんな不安定で不確かな正義を補う為にもジャッジ・ザ・デーモンとして闇の制裁を続けている訳なのよ。私たち強大な戦力を誇るSRMが口を挟んじゃいけない領域にまで、修司君は足を踏み入れて黙々と戦っているじゃない。何より、自分が病気で苦しんでいるっていうのに」
「そ、そうじゃが……しかしパニッシャーやレッド・フードの様に、殺人にまで手を染めるのは些か物議を醸し出しているじゃないか……」
「そうだけど……だけど、そんなジャッジ・ザ・デーモンの制裁で救われた人間は、正直どんなダークヒーローよりも多いのが現状じゃない。ジャッジ・ザ・デーモンはどんな権力には屈する事無く、弱者を救済している……そりゃ、反対意見も多いけれど、一様としてジャッジ・ザ・デーモンを否定する事はできないわ」
「むむ………………修司殿は、ワシらをSRMの総司令官の職務に置いてくれた、いわば恩人。そんな修司殿の力になる為にもワシらも日夜、修司殿を支えなければならないと思っとる訳じゃが……このまま修司殿の凶行を許しても、いいのかどうか……」
そうマリネとオーバーンが難しい顔で会話していると、そこにレストランの女主人が注文された料理を運んできた。
「ガハハッ、なに二人とも、そんな難しい顔で話してるんだい! 折角の料理がマズくなっちまうじゃないか」
「は、母上……」「お祖母さま……」
オーバーンとマリネに気さくに話しかけて来た小さいレストランの女主人の名はココット。【世界名作劇場】の街で小さなレストランを経営しているオーバーンの母であり、マリネの祖母であった。ココットは気難しい顔で向かい合う二人の身内に気さくに話し掛ける。
「ガハハッ、二人とも……最近、SRMでの仕事が忙しいみたいけど、どうしたんだい? 此処に食事しに来るんなら、まずは仕事の事は忘れて、ゆっくりしていきな!」
「え、ええ、そうですね、お祖母様……」
「う、うむ……」
ココットからの豪快な発言に、孫娘のマリネも息子のオーバーンも彼女に自分たちの悩みの真意を語れなかった。
そしてココットがテーブルに二人が注文した料理を運んで立ち去るのを見届けると、二人は顔を合わせてヒソヒソと話した。
「お祖母様には……当然、話せないわよね」
「そうじゃな。修司殿がジャッジ・ザ・デーモンである事は、SRMでも特級の機密事項じゃ」
二人はココットを始めとする部外者に真実を語れない現実を語り合ってから、食事を進めた。
[鬼の真意]
修司がジャッジ・ザ・デーモンとして独自の調査に乗り出してから数か月後。
Mrフェイクが湾岸のコンテナに大量のU・T・Uを積み込んで、世界中に輸出しようとしているのだ。
これに修司はジャッジ・ザ・デーモンとして出動しようとしたが、タイミング悪くウツの発作として激しい気怠さが修司を襲ってしまった。
だが、それでも出動しようとする修司。そんな彼を見て、ウッズは困惑し、SRMの面々は無謀だと説き伏せる。
しかし修司は皆の無謀だという意見を聞いた上で、己の真意を語り始めた。
「俺には……俺には、もう後戻りできる道は残されてはいないんだよ……!」
息を切らし、激しく気力を消耗する修司の力強い発言にSRMの面々は愕然としてしまう中、修司は語り続ける。
「俺は、過去に多くの二次元人を始めとする連中を……時には敵として、時には
過去に多くの二次元人を
「はぁ……みんなも知ってのとおり……俺は、かつて戦友であったカールを……Jフォースの連中を死に追いやった。そして、かつて俺を愛してくれてた、あのカールの婚約者でもあったエリーゼをもこの手で殺めた……! 俺を信頼し、そして愛してくれた者ですら
戦友やかつて恋心を抱いてくれた女性をも殺めてきた自分には、もはやジャッジ・ザ・デーモンとして平等に三次元人も罰する以外、世の中を正していく道が見えないと説く修司。
そんな修司に見据えるSRMの面々に、修司は言った。
「はぁ、はぁ……この俺を軽蔑したければしろ。だけど、世界中でジャッジ・ザ・デーモンの闇の制裁でしか救われない者の嘆きが聞こえる以上……俺は戦い続けなきゃならない。それが……過去に俺が葬ってしまった戦友たちへの弔いの方法なんだ……!」
事実、ジャッジ・ザ・デーモンの制裁で多くの犯罪者達が抑制され、多くの人命が救われている事実にSRMの面々は返す言葉が見付からなかった。
そして何より、修司が過去に二次元人だけの軍隊Jフォースの暴走に対し、戦友であった彼らを
Jフォースを倒したという悲痛な過去を背負いながらも、己の信念を貫く事しかできない修司の力強い意志を見通して、SRMの面々は動き出した。
「……タクッ、しょうがねえなあ」
そう言って、葵豹馬が手すりに掴まりながら床に手を着く修司に歩み寄り、彼の肩を担いで上げた。
「……」
修司が力なく豹馬に肩を担がれると、それを見て剛健一も駆け寄り反対側の肩を担いで修司が歩くのを補助してやった。
「仕方ねえな。いっくら休務中だろうと、俺たちの総長だろ。もっとしっかりしろ」
「お前ら……」
か細く修司が呟くと、二人に担がれる修司に他のSRMの面々が唱えた。
「もうあなたは私達のお膳立てが無ければ、活躍できない体なんだし、もっと頼ってちょうだい」
「そうそうっ。こうなったら地獄の果てでもサポートしてあげちゃうわ!」
「……鬼の制裁、それが世界にどの様な変化を齎すのか……この私にも見届けさせてちょうだい……」
マリュー・ラミアスに葛城ミサト、そしてR・ドロシー・ウェインライトからの声援にも近い言葉を聞いて、修司の中に次第に活力が漲って来た。
SRMの皆々と意気投合した修司を見て、ウッズは手元にあるリモコンを押して修司に言った。
「ようやく修司様にも協調性が……人と協力するという事を覚えてくれた様ですし、私は私でようやくコレをお披露目する事ができます」
「こ、これは……!」
ウッズがリモコンを押して修司の目前に披露したのは、今まで見た事もない完全新タイプのデーモンスーツだった。
「私も修司様の考えを基に、SRMの皆様と意見交換しながら製作しました。このスーツは携帯電話から発信される信号を高周波ジェネレーター経由でリアルタイムで映像に変換して映すレンズが顔面の大きな紅い瞳に内蔵されています」
「つまり……お前達も遂に盗聴という手段に講じたか」
「まっ、殺人にまで手を染める修司くん程じゃないわ」
ウッズの説明に問い掛ける修司に、ミサトが呆れながら返した。
「更に前腕部防具の籠手に備えられた三枚刃の切れ味は一段と向上し、修司様の衰えた腕力を補助する為に腕力補助強化装置を備えました。これで非力になった修司様でも容易に相手の武器を破壊する事ができます」
「やけにズカズカと言ってくれるな……」
最後に腕力補助強化装置について説明するウッズに、修司は苦笑しながら返した。
そして修司は、ウッズとSRMが製作してくれた最新のデーモンスーツを装備した。
足腰を補助する脚と腰部分のパーツ、強靭な防御力を誇る胴体のパーツ、腕力補助強化装置が施された腕、そして最後に透視映像を映すレンズが内蔵されているヘルメットを被って、修司は新生ジャッジ・ザ・デーモンとして我が身を改めた。
「では、行ってくる」
最新デーモンスーツを着用したジャッジ・ザ・デーモンが出動しようと進もうとした矢先、ウッズが声を掛けてきた。
「修司様」
「………………」
「……貴方はもう、一人ではないんですよ」
笑顔でジャッジ・ザ・デーモンに伝えるウッズの言葉に、ジャッジ・ザ・デーモンは反応しつつもジャッジ・ウィングへと足を向かわせる。
そしてジャッジ・ザ・デーモンは離陸体勢に入っているジャッジ・ウィングに搭乗して、即座に犯罪現場に急行する為に飛び立った。
ジャッジ・ザ・デーモンが飛び立ったのを目視したウッズやSRMの面々は一堂に同じことを祈っていた。
(どうか無事で……)と。
[偽りに偽りを重ねて]
ジャッジ・ザ・デーモンとして飛び立った修司は、ジャッジ・ウィングに搭乗して犯行現場へと直行した。
その頃、湾岸区域ではMrフェイクが次々とU・T・Uを詰め込んだコンテナを貨物船に移して輸送しようとしていた。
修司が、いや世界中の人間が時すでに多く苦しんでいる筈の鬱病を、世界中に拡散しようとするMrフェイク。
すると其処に上空から一体の人影が飛来してきた。
「Mrフェイク!」
上空からの声に、コンテナ移送を指示するMrフェイクが振り向くと、視線の先には上空を滞空するジャッジ・ザ・デーモンの姿が飛び込んで来た。
「おやおや、ジャッジ・ザ・デーモン! これはまた……何だかアイアンマン顔負けのスーツを着ているねェ」
「お前を倒すために着て来たスーツだ! 痛い目を見たくなけりゃ、大人しく投稿しろッ」
上空のジャッジ・ザ・デーモンを見上げて喜々とするMrフェイクに、ジャッジ・ザ・デーモンは大人しく投稿するよう言い渡す。
するとMrフェイクは喜々とした様子で指を鳴らすと、ジャッジ・ザ・デーモンに言った。
「ふふふ、パワーアップした君の為に用意しておいたんだよ……このフェイクロボットを!」
Mrフェイクが指を鳴らした直後、コンテナ移送を行っていた職員が次々と衣服を自ら剥ぎ取って真の姿を晒した。その姿とは何とロボットだった。
Mrフェイクの指示に従順な、このフェイクロボットは湾岸区域でコンテナ移送を人間に代わって行っており、それが合図と共にMrフェイク本人の許に集って来た。
自らの周りに無数のフェイクロボットを配置させて見せ付けるMrフェイク。だが、それを目視したジャッジ・ザ・デーモンは言い切った。
「それで俺に勝ったつもりか? 御笑いだな、Mrフェイク!」
するとジャッジ・ザ・デーモンは左腕に装備されている端末を操作してた。
と、ジャッジ・ザ・デーモンが操作した直後、無数の閃光が夜空を駆け巡り、滞空しているジャッジ・ザ・デーモンの許に集った。
それは何と、SRMが製作した無数のジャッジ・ザ・デーモンのロボットであった。ロボット達は滞空するジャッジ・ザ・デーモンの両脇に一列に並んで整列した。
この驚愕の光景を目撃したMrフェイクは愕然とした。
「さあ、これで五分五分の戦いだ……」
ジャッジ・ザ・デーモンが発した次の瞬間、彼と無数のロボット達は地上に向けて一斉に攻めた。
「うわっと」
上空から飛来する無数のジャッジ・ザ・デーモン型のロボットに、慌てふためくMrフェイク。
そして地上に舞い降りたジャッジ・ザ・デーモンロボとフェイクロボは激しく乱闘し始めた。
デーモンロボがフェイクロボを切り裂き、またはフェイクロボがデーモンロボにレーザーを当てて破壊したりと、双方様々な攻撃手段で相手のロボを破壊して行く。
ロボット同士の乱闘の中を逃げ回るMrフェイクの前に、ジャッジ・ザ・デーモンが立ちはだかる。
「逃げるな、Mrフェイク」
不気味な声色でMrフェイクに言うジャッジ・ザ・デーモン。
だがMrフェイクは即行でジャッジ・ザ・デーモンの前から逃げ去り、ロボット達が乱闘する間を逃げ惑う。
ジャッジ・ザ・デーモンも追尾しようとするが、そんな彼をフェイクロボットが跳びかかり、攻撃してくる。だが、そんな跳びかかるフェイクロボを引き剥がして破壊して行くデーモンロボの助けを借りながら、ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクを追尾する。
周りで多くのロボ同士での乱闘が続けられる中、ジャッジ・ザ・デーモンは逃げて行くMrフェイクを追い回す。
そしてMrフェイクは停めてあった車の中に逃げ込むと、エンジンをかけて急いで逃げ出そうとするが、その車の真ん前にジャッジ・ザ・デーモンが立ち塞がる。
それを目視したMrフェイクは、迷う事無くエンジンをかけてジャッジ・ザ・デーモンを轢き殺そうと全速力で車を走らせた。
案の定、車はジャッジ・ザ・デーモンに激突。だがジャッジ・ザ・デーモンは怯む事無く、SRMが装備させてくれた腕力補助強化装置で車を押し止めた。
ジャッジ・ザ・デーモンに押し戻され、後輪から激しく白煙を上げる車を運転するMrフェイクは非常に焦った。
そしてジャッジ・ザ・デーモンはそのまま車を横転させた。
「うおりゃッ」
衰えた腕力に代わって補助強化装置で突っ込んできた車を自力で横転させたジャッジ・ザ・デーモン。
そして横転してひっくり返った車中から、Mrフェイクは這いずりながら出てきた。
そこをジャッジ・ザ・デーモンは捕まえて、Mrフェイクを尋問しようとする。
「Mrフェイク、ここまでだな!」
だが、夜の薄暗い視界の中で遠視していたが為に気付かなかったが、ジャッジ・ザ・デーモンはレンズに内蔵されている顔識別装置を働かせてみると、何とMrフェイクことジャクソン・グレイシスではないと装置は判別した。
ジャッジ・ザ・デーモンがふとMrフェイクの仮面を外して素顔を見てみると、なんとMrフェイク本人ではなかった。
「! お前は誰だ!」
ジャッジ・ザ・デーモンが問い詰めると、Mrフェイクに扮していた青年は喜々とした様子で答えた。
「ははは……っ、僕はMrフェイク様の信者さ! ジャッジ・ザ・デーモン、今宵Mrフェイク様は貴様でも止める事が出来ない大掛かりな……壮大な犯罪を準備しているんだ! この僕ですら想像できない犯罪をね……U・T・Uの移送なんて、今宵はタダの余興に過ぎなかったんだよ!」
そう語りながら嘲笑する青年の邪悪な一面を視認したジャッジ・ザ・デーモンは、容赦なく青年の胸部に鋭利な三本爪を突き刺して断罪した。
その頃、本物のMrフェイクはというと。
彼は誘拐したテレビスタッフに中継を強要させ、アニメタウン中のテレビを通して自身のメッセージを伝えていた。
Mrフェイクはアニメタウンの市民達に、自身が仕掛けるゲームへの参加を促した。その死のゲームに参加したくなければ、街を出ることを主張する。
これにアニメタウン中は大混乱。誰もがMrフェイクが仕掛けるゲームから逃げようと、全員が海上に一時避難する為に警察が用意したフェリーへと乗り込んでいく。
街中に爆弾を仕掛けたというMrフェイクの台詞を聴き付け、ジャッジ・ザ・デーモンも急ぎアニメタウンへと向かった。
だが、このMrフェイクが仕掛けたアニメタウン市民も強制参加させられる死のゲームには驚くべき事実が隠されていた。
[劇場型犯罪]
アニメタウン中に爆弾を仕掛けたと、誘拐したテレビスタッフに強要させた中継を視聴して、アニメタウン市民は大混乱。
これに聖龍隊が用意した二隻のフェリーに、一般人と囚人で振り分けられて搭乗させられていく。
だが、2隻のフェリーに乗り込んだ人々が、一先ず海上に出ると、その直後にMrフェイクから連絡が入った。
なんと自分達が乗っている2隻のフェリーにも大量の爆薬を積み込んでるという。
一般人が乗る船と囚人が乗る船の2隻を、深夜12時に両方とも爆破させるとMrフェイクは通告する。
だが、もしも助かりたければ、お互いに持たせた爆破のスイッチを押して、どちらかの船を先に爆破させれば助かるとも通告。
一般人側も囚人側も、どちらかが先に相手の船を爆破させるかという選択肢を迫られた。
その頃Mrフェイクは。
アニメタウン中の至る所で活躍する医者や看護師を人質として盾にして、建設中のビル内に籠城していた。
これに聖龍隊は突撃部隊を編制して救出に向かわせた。
この非常事態にジャッジ・ザ・デーモンも上空を飛行するジャッジ・ウィングから単身飛び出して、滑空しながらビル内へと一足先に突入する。
突撃部隊より先に突入したジャッジ・ザ・デーモンは、建築中のビルに突入すると同時に犯行グループの一人に飛び掛かった。
そしてSRMで補佐に徹しているウッズ達と通信をするジャッジ・ザ・デーモン。
「ウッズチーム、映像が欲しい」
するとウッズや葛城ミサト達は、ジャッジ・ザ・デーモンに指示を送る。
「良いですか、αチャンネルは貴方の視点。βはビル全体。手下と人質は二つの階に分かれています。階段には既に突撃部隊が」
ウッズの説明通り、ジャッジ・ザ・デーモンの視点を通す特殊ビジョンのビル全体を視る視界には、階段を駆け上る聖龍隊の突撃部隊が確認された。
「そしてもう1チーム屋上から」
ミサトに言われ、ジャッジ・ザ・デーモンが見上げると、天井を貫通した視点から、屋上からロープを使って降下してくる突撃部隊が視認できた。
「これは凄い……!」
ジャッジ・ザ・デーモンは、自らの視界に映される驚愕の光景に目を見張った。
「準備完了!」
その頃、突撃部隊は既に犯人グループと狙撃し合う態勢に入っていた。
「スナイパーチーム! 犯人グループに標準を!」
さらに向かいのビル屋上から狙撃班が、犯人達を狙撃する準備を終えていた。
そして更に突撃部隊は、建設中のビルの壁を爆破して、犯人グループに奇襲を仕掛けようとしていた。
そんな突撃部隊の様子を、特殊ビジョンで視認したジャッジ・ザ・デーモンは、犯人グループの可笑しな言動に気付いた。
誰もが仮面を被っているからか、こごもった様な声を発し、不確かな発言しかしなかった。それはジャッジ・ザ・デーモンが飛び掛かった犯人の一人も同じだった。
よく目を凝らして見てみると、犯人グループが構えていると思われた銃器は全て両手にテープで巻き付けられており、引き金を引くことすらできない状態だった。
疑問に思ったジャッジ・ザ・デーモンが飛び掛かった犯人の仮面を剥がしてみると、なんと口に粘着テープを貼られて口を塞がれている人質の一人だった。
「ウッズ! SRM! 突撃部隊は標的を間違えている……仮面をかぶった連中の方が人質だ!」
なんと銃器を持っていると思われた犯人グループと、人質グループは入れ替わっていた。
「屋上班! 行け行け行け!」
そうとは知らずに屋上に待機していた突撃部隊が下降して、犯人グループに思わされている人質の許に突入した。
「突入隊、爆破!」
さらに壁向こうで待機していた突撃部隊も、壁を爆破して奇襲を仕掛ける。これには両手を銃とテープで縛られている人質達も驚いた。
「動くな」
ジャッジ・ザ・デーモンは飛び掛かって倒れた人質の男性に動かないよう忠告すると、即座に行動に移った。
まずは窓辺に立たされている人質達を、グラップネルガンで転倒させて狙撃部隊の狙撃から護る。
しかし狙撃部隊の狙撃が合図に、突撃部隊は攻撃を開始してしまう。人質と犯人が入れ替わっている事も知らずに。
「銃を捨てろ! 銃を捨てろ!」
突撃部隊が、武器を装備しているように見せかけられた人質達に標準を合わせる中、その背後で人質と入れ替わっていた医者に扮した犯人達は悠々と武器を装備して後ろへと下がる。
と、そこへジャッジ・ザ・デーモンが突入し、隊士が装備していた煙幕弾を破裂させて現場に突っ込んでいくと、その隊士にグラップネルガンを打ち付けて、銃を本当に構えている医者に扮した犯人達に突撃して吹き抜け構造のビルから飛び降りた。
「うわあっ!」
犯人達を高層ビルの吹き抜けから落下させて始末したジャッジ・ザ・デーモンのグラップネルガンに引っ張られ、隊士は引き摺らると同時に仮面を被らされた人質達も転倒する。
そして下の階層に降りたジャッジ・ザ・デーモンは、そこで待ち受けていた医者達に扮した犯人達と格闘を開始した。
鋭利な爪で切り裂き、さらに殴り掛かり、血で血を洗う混戦をジャッジ・ザ・デーモンは闘い抜いた。
それと同時にジャッジ・ザ・デーモンは天井を見上げて、Mrフェイクが獰猛なドーベルマンを護衛に置いた状態でこの突入劇を楽しんでいる様子を視認する。
すると其処に今度は屋上から降下してきた突撃部隊が窓ガラスを打ち破って突入してきた。
「大人しく武器を捨てて投降しろ! でなければ発砲する!」
武器を捨てるよう忠告する隊士だが、薄暗い空間の中、口を塞がれた仮面を被った人質達が銃を捨てるのはテープで巻き付けられている為に不可能。人質達は、自分達は犯人グループではない事を必死に訴えようとするが、口が塞がれているのと仮面のせいで隊士達には気付かれなかった。
そこにジャッジ・ザ・デーモンが人質達を誤って標的と定める隊士達に突っ込んで、銃撃を力尽くで制止させる。
隊士達を殴り付けて制止するジャッジ・ザ・デーモンに、マリュー・ラミアスが通信で報告した。
「上を見てちょうだい。悪党達が集まっているわ。エレベーターの隊士達を待ち伏せしているのよ」
ジャッジ・ザ・デーモンが見上げてみると、上の階層に医者や看護師に扮した犯人グループが集まっているのが目視できた。
するとジャッジ・ザ・デーモンは下準備として建設中のビルを支える細い鉄製の支柱に時限式小型爆弾を設置する。
その頃、Mrフェイクによって爆弾が設置された民間人が搭乗する大型船内では。
「結果は、反対100。賛成は……340」
自分達が搭乗する船が爆破される前に、囚人達が乗っている船を爆破させるかどうかの話し合いで、囚人を乗せた船を爆破させる多数決が出た。
同じころ、囚人専用の船でも、民間人が乗る船を先に爆破しようと囚人達が騒いでいた。
「さあ、やりましょうよ! やって!」
民間人の女性が爆破スイッチを押して、先に囚人用の船を爆破するようボタンを持っている男性に呼びかけると。
「俺たちは生きている……向こうは押してないって事だ」
男性は、囚人達がまだ自分達と同じ状況に置かれていながらも、爆弾のスイッチを囚人たちが押していない事実に躊躇っていた。
場所は戻ってMrフェイクのグループが籠城している建築中のビル内では。
犯人達が集っている階層に突撃部隊がエレベーターから雪崩れ込んでいく。
「行け行け行け!」
突撃部隊は散開して犯人達を追い詰めようとする。しかし実際は、犯人に仕立てられた人質と、そんな人質と入れ替わって突撃部隊を待ち受ける犯人達と、完全に標的を誤っていた。
この事態に、SRMで補佐に徹している面々は非常に焦燥していた。
「おおっと……」
ウッズは映像に映し出される階層の情景に息をのんだ。突撃部隊が、仮面を被らされて立たされている人質達に銃を向けていたからだ。
「上の階がマズそうです」
ウッズは即座に現場のジャッジ・ザ・デーモンに伝えると、彼は焦らず冷静に行動した。
と、その時。支柱に前もって仕掛けていた爆弾が爆破し、支柱が吹き飛ぶと同時に一つ上の階が崩落し、その階層で人質達に銃を向けてしまってた隊士達が落下した事で銃撃戦は免れた。
「動くな!」
と、突撃部隊と乱闘するジャッジ・ザ・デーモンに銃を向けた隊士達が忠告する。
ジャッジ・ザ・デーモンは気付かれない様に一人捕まえた隊士に、周りにばら撒いておいたロープの先端を装着。
ビル屋外のヘリがジャッジ・ザ・デーモンを照らす中、現場はこう着状態に。
追い詰められたジャッジ・ザ・デーモンは、両手を上げて降伏するフリを見せると、突如背面で座らした先ほどロープを装着させた隊士をビルの外に蹴り落した。
「うわあっ!」
真っ逆さまに落下する隊士に接続されたロープの束が、そのまま階層にいる他の隊士達の足を絡め取り、ジャッジ・ザ・デーモンを包囲していた隊士は全てロープに足を取られて落下。そのまま宙づりになってしまう。
そして混乱する現場を取り収めたジャッジ・ザ・デーモンは、上の階層で待ち受けているであろうMrフェイクの許にグラップネルガンを使って駆け付けた。
一方、突撃部隊もようやく人質と犯人達が入れ替わっている事に気づき、仮面を被らされていた人質を保護し、医者や看護師に扮していた犯人達を制圧する。
そして上の階層に向かったジャッジ・ザ・デーモンは、Mrフェイクと対峙した。
「あーー、来てくれたのかい。待ち侘びたよ……」
「起爆装置は何処だ?」
ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクに爆弾を起爆させる装置かスイッチが何処かと問い詰める。
するとMrフェイクの周りをうろついていた3匹のドーベルマンは呻り、主人であるMrフェイクに詰め寄るジャッジ・ザ・デーモンに牙を向けた。
そしてドーベルマン達は一気にジャッジ・ザ・デーモンに襲い掛かった。だが、強固な装甲を誇るジャッジ・ザ・デーモンのスーツには歯が立たなかった。
ジャッジ・ザ・デーモンに猛犬達が噛み付いて来たのを、ヘルメットに内蔵されたカメラから確認したSRM本部の葛城ミサトが遠隔操作して、デーモンスーツから微量の麻酔ガスを噴出しドーベルマン達を眠らせた。
「おやおや、ワンちゃん達を眠らせちゃったのか。そのスーツはホントに凄いね! 流石はSRMが作っただけのスーツなだけあるよ」
Mrフェイクは、ジャッジ・ザ・デーモンである修司がウツに罹り、病弱な自分でも出動できる最新のデーモンスーツを製作できるのがSRMだけだという事実を掌握していた。
そんな全てを見通しているMrフェイクに、視点カメラを通して状況を見ているSRMの面々が愕然とする中、ジャッジ・ザ・デーモンの方はMrフェイクの胸倉を掴みかかって問い詰めた。
「起爆装置は何処だ!」
「はははっ、起爆装置なんかないよ……あるとしたら、あの2隻のフェリーの中、両方にあるよ!」
ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクが見詰める視線の先を凝視すると、そこには2隻のフェリーが海上に待機しているのが見えた。
「起爆装置はお前が持っている訳では無いのか!」
喜々と言い表すMrフェイクに、ジャッジ・ザ・デーモンは殴り掛かり、強引に吐かせようとする。
「うっ……! おやおや、ウツに発症してから心に余裕が無くなったのかい修司。そんなんじゃ、ジャッジ・ザ・デーモンとしての務めは果たせないよ」
余裕感じさせる笑みを浮かべてジャッジ・ザ・デーモンを挑発するMrフェイクの言動に、通信装置からの小型集音機でジャッジ・ザ・デーモンとMrフェイクの会話を傍受するSRMの面々は動揺した。Mrフェイクが前々からジャッジ・ザ・デーモンの正体を知っているとはいえ、この台詞には驚かされたからだ。
そして殴り付けられたMrフェイクを、ジャッジ・ザ・デーモンは胸倉を掴み上げて、再度尋問する。
「どういう事だ!?」
ジャッジ・ザ・デーモンが問い詰めると、Mrフェイクは愉快そうに訳を話した。
「おやおや、まあ! 君や、SRMのみんなはまだ知ってないと見た! そんなに素晴らしいスーツを作り上げて、ジャッジ・ザ・デーモンの殺しに加担しているというのに、お気楽なもんだねぇ」
「話せ! 起爆装置は?」
「だから言っているだろ? 起爆装置はあのフェリーの中、2隻の船内に用意してるって。君やSRMの諸君が僕を追い回している間、フェリーに大量の爆薬を詰め込み、船内の乗客達に二者択一の選択を与えただけさ。12時までに爆破のスイッチを押さないと、どちらか一方は助からないって。今ごろ船内の人々は自分の命かわいさに、もう一方の船を爆破しろって騒いでいるだろう……!」
船に乗り込んだ乗客を巻き込んだMrフェイクの劇場型犯罪に、ジャッジ・ザ・デーモンは怒りが積り、Mrフェイクをその場に殴って叩き付ける。
爆破の宣告を受けて、一般人側の船内も、囚人側の船内も騒然と化していた。
Mrフェイクが予告した爆破の期限である12時まで、残り1分を切った。
[善意と良心]
ジャッジ・ザ・デーモンがMrフェイクを追い詰めていたその頃。
残り1分となった現状で、迫られる相手方の船の爆破の選択肢に、船内は騒然としていた。
「何を躊躇っているの! 相手は凶悪犯も乗っている囚人用のフェリーよ! 私達が生きている間に押さないと、この船が爆破されるのよ!」
一般人側のフェリー内では、一刻も早く囚人側の船を爆破して罪を犯していない自分達が生き延びるべきだという声が響いていた。
「このボタンを押せば……俺達は一瞬で大量殺戮者の仲間入りだ」
一方で、爆破のボタンを押せば一瞬で大勢の人間を殺害した罪を背負うという理性で、囚人側の船を爆破するスイッチを押すのを躊躇う反対意見の声。
一般人達が自分達の命か囚人の命をとるか、二者択一を迫られる中、皆から票をとって採決した男性がスイッチを持っている男性に歩み寄りスイッチを押すよう急かす。
「ボタンを押さなければ、我々の命が危険なんだぞ……!」
するとスイッチを持っている男性が、自分を急かす男性に言った。
「そ、それじゃ……あんたが押せよ」
男性は爆破スイッチを渡した。
スイッチを渡された男性が改めて爆破スイッチを押そうと手を翳した。
だが、スイッチを押せば一瞬で大量殺人の汚名を被るという理由から、スイッチを押すのを躊躇ってしまう。
「押さないのか?」「………………」
結局、一般人達は誰もが囚人側の船を爆破するスイッチを押すのを躊躇い、結果誰もスイッチを押して起爆させる事は無かった。
一方、囚人側の船では。
大勢の囚人達が自分達を見張る看守達に爆破スイッチを押すよう騒々しく急かしていた。
「早く押せ!」「お前達だって死ぬのは嫌だろ!」
囚人たちは看守達も爆破に巻き込まれて死ぬのは嫌だろうと、スイッチを持っている看守を急かす。
だが看守達は、果たして民間人を犠牲にして生き残っても良いのだろうかと、スイッチを押すのに戸惑っていた。
と、 多くの囚人達が騒々しく騒いでいると、囚人達の中でもリーダー格の大柄な体格をした屈強な囚人が、騒ぎの中で携帯ゲーム機を楽しんでいた中、ついに騒々しさに我慢できなくなり立ち上がった。
「ッ……ああ! うっせえな!」
囚人はゲームを中断して立ち上がると、速足で爆破スイッチを持っている看守の許に駆け寄って行く。
「おい、それ貸せよ」
囚人は爆破スイッチを強引に看守から奪い取ると、そのまま歩き出して騒々しかった囚人達の前を素通りして行く。
そしてスイッチを強奪した囚人は、フェリーの小窓の前に立つと、何の躊躇いもなく小窓から爆破スイッチを捨てた。
「なにか文句でもあるか?」
スイッチを海に捨てた囚人の言葉に、他の囚人達は何も言い返せず、船内は静寂へと包まれた。
そしてスイッチを捨てた囚人は、再び自分の座ってた位置へと戻ると再びゲームをプレイし出した。
こうして一般人側も囚人側も、双方とも互いを殺して、犠牲にしてまで生き残る事を拒否した。
そして12時きっちり。
通告した時間になっても爆発しない2席のフェリーを目視して、ジャッジ・ザ・デーモンやSRMの面々が安堵する中、Mrフェイクは不思議そうな顔で起き上がった。
「あれ? 可笑しいな。時間になっても爆発しないや。スイッチの接触不良かな? まあいいや、予備の爆破スイッチは此処にある。どうせ2隻とも爆発させて、大きな花火を打ち上げるつもりだったし」
と、Mrフェイクが懐から2隻の船、双方を爆破できるスイッチを取り出して、どちらとも爆破させようとした瞬間。
ジャッジ・ザ・デーモンが前腕部防具の籠手に備えられた鋭利な長い鉄の爪を突出させてMrフェイクが取り出したばかりの爆破スイッチを切り裂いた。
「うわっ!」
懐から取り出したスイッチを切り裂かれて驚くMrフェイクを、ジャッジ・ザ・デーモンは胸倉を掴んで床に押さえ付けると同時に跨ると思いっきりMrフェイクを殴り出した。
「人の良心を……善意をバカにするな!」
良心や善意、モラルや理性で船内の人々が爆破スイッチを押さなかった現状を愚弄するMrフェイクにジャッジ・ザ・デーモンは怒りの鉄拳をお見舞いする。
するとMrフェイクは、そんな台詞を口に出すジャッジ・ザ・デーモンに現実を突き付けた。
「はははっ、何をおかしなことを……。君や、君に協力したSRMの連中に、そんな事を言える資格があるのかい? 君は正攻法な方法では全ての悪を断罪できないと理解しているから裁きの鬼に変貌した訳だろ? それにSRMの連中だって、過去にモビルスーツに搭乗して戦争をしていた殺人者……他の連中も敵ならば虐殺していた連中ばっかじゃないか! そんな連中が人の良心だとか善意とか語れる義理かい? それこそ悪い冗談だよ! ワハハハッ」
Mrフェイクの真理を突いたこの発言に、ジャッジ・ザ・デーモンの動きは止まった。同時にSRMでジャッジ・ザ・デーモンの補佐に回っていた皆々も衝撃を受けた。SRMの面々は、Mrフェイクの言うとおり確かに敵であった相手を殺めて生き延びてきた存在だという事には違いなかった。
修司は、ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクが口走った現実に硬直してしまう。
そんなジャッジ・ザ・デーモンにMrフェイクは更に嘲笑しながら告げた。
「うはは……人殺しの兵器である巨大ロボットを乗り回している連中の技術で、本当に人を救済できると思っているのかい?」
この薄ら笑いを浮かべて嘲笑するMrフェイクの言動に、修司は、ジャッジ・ザ・デーモンはSRMの仲間達を嘲笑する彼に底知れない殺意が湧いた。
そして遂にジャッジ・ザ・デーモンは振り上げていた三本爪が装備された腕を振り下ろした。
「……うおおおおおおおッ」
籠手に備えられた三本爪を突出させた右腕を振り下ろしたジャッジ・ザ・デーモン。彼が振り下ろした腕は、Mrフェイクの顔面の真横に振り下ろされ、三本爪は土台である鉄骨に直撃して折れてしまう。折れた爪はそのまま地上まで落ちて行った。
自分が、いや自分達が完全に潔白な状態で戦っている訳では無いと突き付けられたジャッジ・ザ・デーモンは、こうしてまたしてもMrフェイクを殺害する事を躊躇ってしまう。
と、その時。
「動くな!」
ジャッジ・ザ・デーモンと、彼に押さえ付けられるMrフェイクに、制止を促す発声と照明が照らされた。
気付くと、既に二人の周りには聖龍隊の突撃部隊が完全に包囲しており、上空からはヘリがジャッジ・ザ・デーモンとMrフェイクに照明を直射して照らしていた。
完全武装した部隊が包囲する中、それをジャッジ・ザ・デーモンのヘルメットに内蔵しているカメラで確認したSRMの葛城ミサトは即座に遠隔操作した。
「いけない!」
現場のジャッジ・ザ・デーモンのデーモンスーツを遠隔操作するミサト。するとジャッジ・ザ・デーモンの全身から凄まじい白煙が吹き上がり、あっという間に辺りを白い煙幕が蔽ってしまった。
「み、見えない!」「落ち着け! デーモンに逃げられるぞ!」
現場の隊士達が突然の煙幕に動揺している間、ジャッジ・ザ・デーモンはMrフェイクから言われた事実に苛まれながら、建設中のビル上部から滑空して夜の街へと姿を消した。
一方、現場に残されたMrフェイクは、高らかに現状を面白おかしく捉えたのか笑い転げていた。
こうしてMrフェイクが計画していたU・T・U輸出と、爆薬を用いた劇場型犯罪は幕を下ろした。
ジャッジ・ザ・デーモンと彼を支えるSRMの面々に、耐え難い現実を残して。
[変えられない世界]
Mrフェイクが行おうとしていた鬱発症薬U・T・Uの輸出が阻止され、そして彼が同時に行おうとしていた2隻のフェリーを用いた劇場型犯罪も同じくジャッジ・ザ・デーモンに阻止されて1週間後。
Mrフェイクはまたしても刑務所に投獄され、彼が輸出しようとしていたU・T・Uは全て聖龍隊が押収し、破棄された。
U・T・Uは能力者の能力を封じるだけでなく、気力をも消耗させてしまう効果がある。そしてそれは能力者ではない常人までも同等の効果を発症させてしまう。
既に革命軍士によって世界中に拡散されたU・T・Uの影響を受けて、国連は対U・T・Uへの研究を開始。改善策の向上を進めた。
しかし既にU・T・Uを投薬された人間は、簡単に気怠さや気力の消耗に歯止めが効かず、多くの社会人が働く意欲を失くしてしまい経済にも影響が浮き彫りとなってしまう。
鬱に発症してしまった社会人の、社会復帰は容易では無かった。
そんな話は聖龍隊本部でも行われていた。
「U・T・Uでウツに発症した人間は、世界規模で既に能力者問わず100万人にも達しているね」
「ああ、能力者の能力を打ち消すだけでなく、常人の気力までも消失させてしまう劇薬として、ようやく世界がウツ共々注目し出したな」
聖龍隊参謀総長のジュニアと副長のバーンズは難しい顔で立ち話していた。
「ふぅ、しかし世界はなんでこう、問題が大きくならない限り注目しないのかな? ウツと言う、普通に働けなくなってしまう病気にようやく世間は注目し出した……U・T・Uの研究に沿ってウツそのものの改善薬の開発も同時進行してるみたいだけど……」
「人間ってのは、そんな生き物よ。問題が大きくなったところで、ようやくその問題に着目するんだ。皮肉だけど、U・T・Uという人の気力を弱くさせる薬が出回った経緯から、人はようやくウツの恐ろしさに気付いた訳だ。これで少しはウツへの研究も進んで、修司みたいに普通の鬱患者への治療方法も改善されれば良いんだが……」
ジュニアとバーンズは、世間がようやく鬱と言う精神疾患の恐ろしさを実感した事で、その対策に乗り出した事態に口を酸っぱくさせていた。
最初、世間は猛威を振るう能力者の犯罪者への対抗策としてもU・T・Uを活用させようとしていた。しかし、その劇薬は皮肉にも常人の精神をも崩壊させてしまう程の効力を持っていた為、世界はウツに対する見方を改めざる得なくなった。
そんな現状に、ジュニアとバーンズは一言。
「ウツって怖いね」「ああ、まったくだな」
現在も、多くの鬱患者が己の症状に苦しんでいる。
そして場所は変わり、SRM本部。
ジャッジ・ザ・デーモンとしてMrフェイクの犯罪を止められた修司は、治療の甲斐もあってウツの症状が軽減されていた。
しかし、修司は一様に思い悩む場面が目立っていた。そんな修司を見て、SRMの面々は一抹の不安を抱いていた。
「……修司様」
思い悩む様子の修司を気にかけ、ウッズが声を掛けると修司は顔を向けた。
「修司様、またウツによって気分が滅入ってしまわれたのですか?」
「いいや、ウッズ。俺は考えていた」
気にかけて問い掛けるウッズに、修司は真顔で語り始めた。
「Mrフェイクが俺に……いや、俺達に言ったあの台詞。人殺しの技術で人は救えない……その言葉のとおり、俺達が日々使っている技術は本当に人を幸せに導けているのか。俺達が進むべき道は、果たして本当に平和へと続いているのか……」
修司はMrフェイクから言われた事実に思い悩み、自分達が進むべき道について真剣に考えていた。
そんな修司に、ウッズは親身に話し返した。
「……確かに、修司様が行っている闇からの制裁同様、SRMの皆様方が用いている強大な科学力や巨大ロボットは、その存在の正当性を立証できていません。いえ、これからも立証されないかもしれません」
「………………」
「……ですけど、それでも己の信念を曲げず、ひたすらに……我武者羅にでも前へと突き進んでいけば、世界に本当の平和を導ける可能性はある筈です。私は修司様を……SRMの皆さんを見て来て、そうだと信じています」
ウッズからの信頼が感じられる彼からの言葉を受けて、修司は一時沈黙すると口を開いた。
「事態は収束しない……世界は、簡単には変えられない」
そう呟いた修司は、スッと立ち上がると熱く語り始めた。
「それでも……多くの人命を、人心を救い続ける為に俺は戦い続ける。少しずつ自分を変えながら、同時に世界も変えてみせる。そう、二次元人が俺に力を貸してくれるように……俺を、変えてくれた様に」
修司がウッズに己の変わる事のない信念について語ったその時、SRM基地に設けられた聖龍隊本部からの通信が傍受された。
「
この通信を聞いた修司は口を開いた。
「よし、久々に出撃するか」
「宜しいのですか? 御身体の方は」
久々に
「ああ、お前やSRMの連中の手助けもあって、ウツの方も少しは為りを潜めてくれている。それに……やっぱ俺には休んでいる暇はない」
「またまた。ご無理をしてウツが悪化しても知りませんよ」
出撃しようとする修司の台詞に、ウッズは冷やかしを入れる。
そして修司は聖龍剣を携えて、再び激しい戦場へと自ずと向かう。己の戦士としての宿命を背負って。
そんな修司を見送るウッズに、後ろから葛城ミサトたち今のウッズと修司の会話を窺っていた面々が歩み寄る。
「彼は意外と心が強いのね。ウツって真面目なほど悪化するって聞いていたけど」
ミサトが話すと、ウッズは静かに語り返した。
「いいえ、修司様は決して心の強い御方ではありません」
「え?」
ウッズの言葉にスワン・ホワイトが反応すると、ウッズは語り続けた。
「修司様の心は決して強いものではありません。だからこそ、弱者の想いを誰よりも理解し、そんな人々を救済する意志が芽生えたのです。何より心が弱いからこそ、己の信念を貫く事もできれば……皆様方の様に、本当に心が強い英雄を尊敬する事もできるのですよ」
心が弱いからこそ、同じ弱者を気遣う思いが芽生え、そして本当に心が強いSRMの英雄達を尊敬できるのだと説くウッズ。
ウッズのこの話を聞いて、SRMの皆々は感銘した。
小田原修司は決して勇敢な者ではない。
小田原修司は決して心の強い者ではない。
されど小田原修司は、己が変われた様に、世界もまた変えようと日夜戦い続けている。
彼の、小田原修司の、そして多くの二次元人達の戦いは、終わらない。
[SRM関係者]
マリネ
出身:二次元界フランス
所属:SRM総司令官
年齢:20代後半
容姿:金髪の緩やかなウエーブが掛かった肩まで伸びた髪型の眼鏡を掛けた知性的な女性
人望もあり前総長である修司とは親しい間柄であったヨーロッパ将軍の孫娘で、修司がSRMを聖龍隊に増設した際は彼女の父親であるオーバーンにその役職を与え、彼女はその秘書官としてSRMではサポートに徹していた。
そして近年、総長であった小田原修司の退任を機に父親から世代交代の如く総司令官の役職に就いた。
オーバーン
出身:二次元界フランス
所属:SRMで隠居生活(時には顧問のような役回りに徹する事がある)
年齢:40代半ば
容姿:鼻元に黒ひげを生やした普段は無愛想な顔付き
先代にして初代のSRM総司令官であり、現在は娘のマリネに総司令官の職務を譲っている。
現役を退いてはいるが、相談役や顧問に近い立場で娘やSRMの面々を支えている。
ココット
出身:二次元界フランス
現在の居住地:世界名作劇場の港町/其処で経営しているレストランオーナー兼シェフ
年齢:70代半ば
容姿:パンチパーマのかかった肩まで伸びたブラウンの髪に迫力のある顔立ち。活き活きとした明るい女性である。
以前は国連軍管轄の軍事基地内で料理長を務めていた実績を持つ。
その後は自分がオーナーである現在の店を[世界名作劇場]の港町に置いて、町の人や観光に来た人々に自分の手料理を振舞っている。
彼女いわく、料理を美味しくするのは「愛という名のスパイス」だそうだ。