聖龍伝説:現政奉還記 創生の章:昔語り編   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 ミラールから語られた、ブラッディ・レンジャーズとの戦い後に聖龍隊に加盟した仲間との出会い。
 そして修司との特訓や、村田順一の人知れない苦悩も知って、新世代型たちはスター・ルーキーズの結集に耳を傾けた。
 ミラールが昔の自分を、聖龍隊に加わった新人だった頃の話を語った後、聖龍隊はその後の異常者ハンターとしての歴史を語ろうとした。
 すると其処に、今まで黙然と話を傍聴してた立場に居続けていた闇心討伐・黒衣衆が挙手を上げた。
 彼らは、何ゆえに自分達が鬼神・小田原修司が積み重ねる歴史に心酔してきたのかを話したいというのだ。
 しかし彼らが自分達の誕生とも言える過去を語る前に、バーンズは其処まで連なる聖龍隊の、異常者ハンターとしての歴史や記録を語る必要性を説いた。
 こうして先ずは聖龍隊の歴史を語った後に、リベンジャーズが黒衣衆へと変貌する切っ掛けに至った東関東大震災直後の記録を語る事と相成った。
 闇の心を討伐する黒衣衆が語る、自らの誕生に繋がる秘話。それが今、明らかとなる。



現政奉還記 創生の章 昔語り 聖龍隊の歴史とリベンジャーズの転生

[異常者ハンターとしての歴史]

 

 聖龍隊に新たにスター・ルーキーズが結成された事で、聖龍隊の戦前での戦力は増強した。

 

 平和を愛する心優しき鬼神の弟子 村田順一率いるスター・コマンドー

 

 スター・コマンドーをバックアップする フロート率いるニュー・スターズ

 

 孤高の聖龍隊総長 小田原修司

 

 新世代の異常者(ヒール)ハンター、ミラール率いるスター・ルーキーズ

 

 過去の贖罪に生きる戦士 マン・ヒールズ

 

 アニメタウンを統治する聖龍隊最高幹部 聖龍HEAD

 

 彼等と異常者(ヒール)の戦いは続く。

 

 マン・ヒールズがSクラスの異常者(ヒール)ハンターに昇格した後、聖龍隊は総力を持ってメカルス率いる革命軍士が纏め上げた異常者(ヒール)の残党の摘発に乗り出す。

 しかし、そんな聖龍隊を襲ったのは通称「カウンター・ハンター」と呼ばれる謎の三人組だった。

 カウンター・ハンターはスター・コマンドー/ニュー・スターズ/スター・ルーキーズの三組、通称スター・ジェネレーションズと激しく攻防を展開し、その格闘の最中で小田原修司を拉致して彼をメカルスの下で洗脳しようと画策していた。

 そしてスター・ジェネレーションズの三組は、それぞれ三人のカウンター・ハンターを倒して修司救出に向かったHEADと合流。

 しかし彼等の目の前に現れたのは、洗脳を施されたと思われる小田原修司だった。修司はその場に駆けつけた三組と激しい戦いを繰り広げた。

 が、其処に戦う修司へ砲撃が撃ち込まれ、皆の目の前で修司は木っ端微塵に吹き飛んだ。よく見てみれば、戦っていた修司は単なるロボットであり、本物の修司が現場にバズーカを装備して駆け付けたのだ。

 修司は自分の忌まわしきコピーであるメカルスと対峙するのだが、この時メカルスは修司に険しい顔で問い掛けた。

「思い出せ、本物(オリジナル)! お前が戦うべき相手は違う筈だろ!」

 しかしこのメカルスからの問い掛けに修司は毅然とした態度で応え、メカルスを攻撃。だが、メカルスは既に秘密の地下空間へと退避した直後だった。

 修司は順一に、自分もメカルス討伐に向かうと宣言するが、順一は修司にHEADと共に誘拐されたHEADの家族の脱出させる為の援護に回ってもらえるよう嘆願。これに修司は二つ返事で渋々承諾した。

 そして修司は最後に現場の床を自らの闇の心(ダーク・ソウル)で穴を開け、地下の奥にメカルスが潜んでいる事を順一達に伝えると、彼らスター・ジェネレーションズはメカルスの許へと馳せ参じる。

 其処でスター・ジェネレーションズを待ち受けていたのは、強力な装甲で完全武装したカギ爪を装備したメカルスだった。

 メカルスと激しい戦いを展開するスター・ジェネレーションズは、次第にメカルスを追い詰めて行くが、メカルスはウィルスメカルスという実体のない存在へと姿を変えて応戦。

 しかし最後には順一/フロート/ミラール率いるスター・ジェネレーションズに敗北したメカルスは途切れる意思の中で聖龍隊にこう言い残した。

「……そ、それにしても……なぜ……本物(オリジナル)は……修司は、お前達を攻撃……しなかった……? 奴の、中には……さつ、り……ようど…………プログラム…………が………………」

 と、実に意味深な言葉を残して果てた。

 再びやってきたメカルスの脅威を退け、師である総長、小田原修司を救い出したスター・ジェネレーションズ。

 ハンターとしての任務を全うした村田順一達。

 二次元人と三次元人、相容れぬ二つの生命が共存する平和な世界。それは小田原修司を始めとする多くの者が望んでやまなかった理想郷。

 そんな理想郷を夢見ながら、聖龍隊とカウンター・ハンターとの死闘は幕を下ろした。

 

 それから数ヵ月後の事。

 二次元人の高名な科学者グレイガー博士が、二次元人の潜在意識に感染する特殊なウィルスを発見。

 それは最悪の場合、三次元人にも感染してしまう、感染者を異常者(ヒール)にしてしまう、通称「異常者(ヒール)ウィルス」

 中でも二次元人に感染率が高くなってしまう、このウィルスを駆除するワクチンをグレイガー博士が開発した事で二次元人の異常者(ヒール)発生率は一時的に0となった。

 しかしそれから数日後、なりを潜めていた異常者(ヒール)達が突如として大規模な暴動を起こし、アニメタウンの各所を襲撃・制圧してしまった。しかも、この暴動の影にはグレイガー博士が潜んでいる事が明らかとなり、博士と博士率いる私立軍隊は異常者(ヒール)認定された。

 すぐさまグレイガー博士を拘束しようと出撃するスター・ジェネレーションズとマン・ヒールズであったが、彼らが出撃した直後に聖龍隊本部が襲撃を受けてしまった。

 本部から割かし近かった地点に居たスター・ジェネレーションズは即座に本部に帰還。同じく出撃していた小田原修司と共に本部奪還に取り掛かる。

 そして苦労の末に本部を取り返した一行は、修司と協力しながら各地を占拠した異常者(ヒール)の摘発に勤しんだ。

 だが、全ての制圧地を取り返した一行を待ち受けていたのは、グレイガー博士が強力な兵器を開発しており、しかもその兵器はあのメカルスが自身の意思を組み込んで搭乗する兵器だという事実だった。

 グレイガー博士の暴走の影にはメカルスが絡んでいた事実を知り、修司はスター・ジェネレーションズとマン・ヒールズと共にメカルスの強力な機体を造っているグレイガー博士の本拠地へと乗り込んだ。

 そこの最深部で修司は単身で本拠地の動力炉を破壊する為にスター・ジェネレーションズと行動を別にする。

 そしてスター・ジェネレーションズは反乱を起こしたグレイガー博士と対峙し、戦闘用に自身を改造した博士と対戦。そしてどうにかグレイガー博士を突破する事に成功。

 だが倒したグレイガー博士から、博士は研究中に異常者(ヒール)ウィルスに感染して、あのメカルスに操られていた事。そしてメカルスの正体が特殊な異常者(ヒール)ウィルスである事を明らかにした。

 そしてグレイガー博士は最後に、メカルスに操られて強力なボディを造ってしまったとスター・ジェネレーションズに伝えた。

 スター・ジェネレーションズは陰で暗躍していたメカルスと対峙し、グレイガー博士が造った強力なボディの破壊に成功。

 しかしメカルスは最終手段として自分を倒したスター・ジェネレーションズにウィルスとして憑依して操ろうと迫る。

 そして追い詰められるスター・ジェネレーションズ。だが其処に対メカルス用ワクチンを打ったグレイガー博士が助太刀に入る。すると今度はそこに修司が駆け付け、その修司に博士はメカルスと共に自分を斬り捨てて葬ってほしいと嘆願。修司はこのグレイガー博士の嘆願を聞き入れ、メカルスが憑依した状態のグレイガー博士を修司は容赦なく斬り捨てた。

 そこにちょうど駆け付けた聖龍HEADも目撃したのだが、修司はスター・ジェネレーションズの目前でグレイガー博士をメカルスごと斬り捨てて博士の返り血を全身に浴びた。

 全ての戦いが終わり、ウィルスであったメカルスも消え去った。だが、その陰ではグレイガー博士を含む多くの犠牲が。

 度重なるメカルスの計画を悉く打ち破ってきた聖龍隊。しかし、戦いの後に彼らの心に残るのは、いつも虚しさだけだった。

 何故、三次元人と二次元人たちが……何故、二次元人同士が戦わなくてはならないのか。

 メカルスに操られていたグレイガーの本拠地を見詰めて思い悩む村田順一。

 順一は、赤々と燃える炎を見詰めながら、行き場のない悲しみと怒りによってその身を震えさせていた。

 

 そして順一は、彼らは、聖龍隊はこの先なにを見るのだろうか……。

 

 

[聖龍隊の歴史]

 

2010年9月12日-28日

 小田原修司主催で二次元人と三次元人の交流を祝っての世界的スポーツ大会が開催。多次元ワールドオリンピックの第1回開催である。

 この大会で主催者の小田原修司は、二次元界で名を馳せていたスポーツマン達を招待して三次元人達に彼らの勇姿を目に焼き付けさせようとしてた。

 世界中の王族や皇族、大統領や著名人を招いて二次元人達の勇姿を見てもらうと同時に、二次元人と三次元人の距離を縮めようと大会を開いたのであった。

 更に大会の開会式では、二次元界はもちろん三次元界でも名が知れ渡った【島耕作シリーズ】の取締役社長にまで出世した島耕作氏、そしてソフトバンクの元野球選手にして二軍の助監督を務めている現役時代では通算3000試合に出場した実歴を持つ景浦安武こと【あぶさん】の2名が特別ゲストとして小田原修司に招待される。

 ゲストとして会場に姿を現した両名は、二次元人/三次元人、両次元の人々から歓喜され多大な称賛と歓声を浴びつつ一気に開会式を華やかな雰囲気に色付かせた。この2人の二次元人に称賛と敬意を向ける両次元の人々を目の当たりにした小田原修司は、三次元人と二次元人から祝福されて迎え入れられる2人の著名な二次元人の情景に、両次元の人々の距離が縮まった様な清々しい気分になったという。

 そして多次元ワールドオリンピックでは、二次元界のスポーツマンによる様々な競技が開催され、多くの人々の注目を集めた。

 同時にこの大会では【キン肉マンⅡ世】のキン肉万太郎などの超人たちによる試合も行われ、会場の人々を迫力ある超人格闘技で湧き上がらせた。

 しかも大会開催中に、小田原修司は本来は体内のD-ワクチンが通常の闘技大会ではドーピングに当たるという事で出場できなかったのだが、人間を超えた超人たちとの格闘試合では特別に参加を認められた。

 強者と戦い己の力をより強めたいと心から願ってる小田原修司は超人との試合で、レジェンド超人として今名を馳せているロビン・マスクやバッファローマンなど名立たる超人たちと熱戦を繰り広げた。

 後に小田原修司は「凄腕の超人たちとのレスリングは極めて良い経験となった。実に爽快な気分である」と、超人たちとの試合を心から嬉しく思った。

 だが小田原修司の格闘技への興奮と、己を極限まで追い詰めての死闘を超えて得られる達成感と更なる成長への願望は満たされる事無く、遂にはエベレストの頂上付近に特設リングを設置し、其処で名立たる格闘家と極寒の吹雪と低酸素の環境下でのデス=マッチ開催を呼びかけた。(この際、対戦相手となる格闘家には勝敗関係なく自分と戦えば高額の賞金。もし勝てれば倍の額の賞金を提供すると小田原修司は広言した)

 そしてエベレスト頂上の低酸素極寒デス=マッチを繰り広げた修司と対戦相手。だが極寒の風が肌に突き刺さり、酸素が極めて薄い環境でのレスリングはもはや地獄であり、低酸素の中での激しい運動によって小田原修司も対戦相手も幾度となく嘔吐しては苦しんだという。更に白い雪の結晶に乱反射された太陽光が直に眼球に入り、余りの眩しさにお互い共に失明寸前にまで至ったという。

 そんな過酷なレスリングも体感した小田原修司は満足で試合を終えて、仲間である聖龍HEADや聖龍隊に見守られながら数々の試合戦歴を称えられ特別賞を天皇家直々に授与された。

 だが事件はその授与式が行われていた真っ只中の閉会式の最中に起こった。副長のバーンズだけが修司に歩み寄り友の健闘を称えている最中、聖龍HEAD用の特別席に座っていた修司とバーンズ以外の聖龍HEADが突如として倒れてしまった。彼らの魂は既に抜き取られており、全員が一種の仮死状態に陥ってしまう。

 その時、人々の前に姿を現したのは全身を黒い衣で纏った集団を引き連れた、革命軍士の参謀長でブラッディ・ドラゴンの片腕であったマサ、通称:ジャンプのマサと呼ばれる跳躍力を秘めたアフロの男であった。

 ジャンプのマサは【タイガーマスク】のマネージャーx氏の衣装で現れ、聖龍HEADの魂は自分達が預かっていると公言した上で、革命軍士に就いた通称:革命超人たちと連戦連勝しなければ修司とバーンズ以外の聖龍HEADの魂は返さないと修司を脅迫。これに小田原修司は仲間であるHEADの命を救う為にもマサの要求を聞き入れる苦渋の決断をした。

 そして革命軍士の下で新たに力を得て生まれ変わった超人たち。スクリュー・キッド&ケンダマン/ステカセキング/ブラック・ホール/ミスター・カーメン/ザ・魔雲天/プラネットマン/ザ・ニンジャ/サンシャイン/悪魔将軍&ビッグ・ザ・武道らと対戦する事となる。

 タッグ・マッチの場合はHEADで唯一助かっているバーンズと組んで、初戦のスクリュー・キッド&ケンダマンとの闘いを乗り越える。その後、最終戦までを1人で闘い抜かねばならない小田原修司は苦境の末に最終戦まで持ち込む。

 だが最後の対戦相手、悪魔将軍&ビッグ・ザ・武道という悪魔超人と完璧超人のトップに君臨する二人相手には、格闘経験の少ないバーンズはスグに敗退してしまい、小田原修司1人が追い込まれる。と、そこにザ・虚無僧というフリーの超人が出現し「格闘経験の少ない弱輩者のバーンズが超人レスリングをするなど以ての外。そんなバーンズを退くのは良しとして1人身になった小田原修司相手に2人がかりで試合を進めるのは更に以ての外、遵ってこのフリーの超人ザ・虚無僧が小田原修司の共を引き受ける」と半ば乱入に近い形で小田原修司とタッグを組んで試合を続行。

 だが試合の最中、悪魔将軍の「地獄のメリー・ゴーランド」を受けそうになる修司を庇ったザ・虚無僧の天蓋と呼ばれる深編笠が縦に3つに切り裂かれて、素顔が白日の下に晒された。その正体は何と以前にアニメタウンで同様のレスリングルールの下で闘い合った相手グリズリーであった。

 正体が明るみになった後もグリズリーは小田原修司とタッグを組んで悪魔将軍とビッグ・ザ・武道のタッグと死闘を繰り広げた。

 最終的に頭部のマスクだけに成り果てた悪魔将軍は、逆に頭部の剣道ヘルメットを破損したビッグ・ザ・武道ことネプチューンキングの頭に自身のマスクを装着させて、悪魔将軍とネプチューンキングが一体化し「完璧悪魔将軍」と変貌しては小田原修司とグリズリーに襲い掛かる。

 だが2人は共闘して最強にして残忍なツー・プラトンすなわち共闘技「タワー・オブ・タワー」で完璧悪魔将軍を打ち倒した。

 全ての刺客超人を倒した事でHEAD全員が助かる結果となった。だが過去に革命軍士に加担していたとして、小田原修司と共闘したグリズリーが国連軍に逮捕されそうになる。

 しかしグリズリーが逮捕されそうになった瞬間、突如としてスコーピオン同盟の一団がグリズリーを「悪党の裏切り者」として、小田原修司と共闘したグリズリーを集団リンチした上に、グリズリーを逮捕しようと集まっていた国連軍兵士に対しても暴力を振るってきた。其処にグリズリーが自分や国連軍兵士に無益な暴力を振るい続けるスコーピオン同盟を返り討ちにし、堪らずスコーピオン同盟はその場から逃げ去っていった。

 その後、暴力を振るわれた国連軍兵士を助け、世界的な悪党集団スコーピオン同盟を返り討ちにしたグリズリーは国連軍の恩赦を受けて逮捕は取り消しとなった。

 逮捕される事のなくなったグリズリーに小田原修司を始めとする聖龍HEADから聖龍隊への加入を誘われるものの、グリズリーはこれを拒否。再び己の実力を極める旅路へと去っていった。

 

2011年1月22日

 【金色のガッシュ!!】での魔界で異世界会合が開かれた。

 世界各地に留まらず、既に200以上の異世界の国々も加わった会合を護衛する為、国連軍と聖龍隊による絶対防壁が布かれた。

 この会合と同時に、小田原修司は新たな聖龍HEADのメンバーとして「東京ミュウミュウ」「マーメイドメロディ」「ローゼンメイデン」の三部隊を加える事を公言する。

 しかし、この会合で更なる異常者(ヒール)の鎮圧と理不尽な現状に追い込まれると思い立った四皇「白モジャ」率いる大艦隊が会合場所である魔界を襲撃。聖龍隊と国連軍に真っ向から殴り込んできた。

 この戦闘の最中、報道関係者によって世界中に戦況が伝えられていく中、白モジャ側についていた能力者の中で見受けられた動物変身系能力者の中に、幻獣にも変身できる能力者がいる事を、小田原修司を始めとする多くの者が知るのだった。

 だが、その白モジャの一派による戦闘も裏で暗躍していた革命軍士の企てであり、革命軍士は白モジャと国連軍及び聖龍隊が衝突している最中に乱入してきては多くの死傷者を出す。

 更に戦乱による混乱を聞き付けて、自分達も名を高めようとスコーピオン同盟も飛び入りしては、同じ悪党王を狙ってる白モジャに一喝した後、白モジャと共闘戦前を結ぶ。これにより聖龍隊/国連軍対スコーピオン同盟/白モジャ一派対革命軍士による三つ巴の戦闘が開始されてしまう。

 戦乱の中、巨大化した小田原修司の右腕に対戦車ライフルの砲弾を撃ち込まれて摘出したり、はたまた魔界の核兵器級の人造魔物であるファウードまでも戦場に投下されていく。

 だが白モジャの衝撃を放つ能力により、半壊していく国連軍本部に元帥ゼンギは白モジャを「世界を滅ぼす事が可能な男」として地震を発生させる白モジャの討伐を両軍に命じる。無論、その戦況の中で聖龍隊や国連軍は革命軍士と対決し続けていた。

 その戦闘の最中、元帥ゼンギは公の場で初めて小田原修司が国連に身を売った、異常者(ヒール)同様に人権がないものの異常者(ヒール)と違い完全に政府の為に存在し続けなければならない人間兵器であると公言した。これには同じ人権のない戦場の異常者ヒール達も、修司が人権の無い兵器であった事を初めて知った聖龍隊も愕然とした。

 しかし最終的に戦争の終盤で現れた革命軍士所属の「マーシャル・ティーチ」こと元白モジャ配下の悪党「黒ひげ」が白モジャの前に立ちはだかる。それも国連軍本部に来る直前に、国連軍管轄の海底監獄「インペルダウン」より脱獄させ、己の配下に加えた多くの重罪人たちを引き連れて現れた。

 当初はティーチも小田原修司同様に闇の能力を得ていた為、白モジャの地震の能力を無力化させて攻撃していく。しかし黒ひげの過信・軽率な面での弱点をついた白モジャの巨大な薙刀によって斬り付けられた黒ひげは、部下である面々に言い付けて白モジャに一斉攻撃を加えて、最初の一対一の対決から急転して多勢に無勢の残忍な手段で白モジャを殺害する。だが絶命した白モジャは立ったまま死ぬという偉大な死に様を世に見せつけ、死に絶えた。

 だが白モジャを倒した黒ひげは絶える事のない力への欲求で、己の闇の能力で白モジャの能力を引き寄せた上に吸収して我が物としてしまった。これにより黒ひげは新たに地震の能力を手に入れ、手に入れたばかりの能力で半壊してた国連軍本部を完全に破壊。更には人工島の基盤や周囲の海までも震動でむやみやたらに引っ掻き回す荒業を見せつける。

 この黒ひげの横暴を止めるべく、小田原修司が同じ闇の能力者として黒ひげと対峙。そして互いの能力をぶつけ合って死闘を繰り広げていた。

 しかし黒ひげは一瞬の隙を突いて小田原修司の顔面に白モジャから奪った地震の能力を直撃させては、小田原修司を一撃で倒してしまう。

 これに古くから聖龍HEADの面々だった古参は怒り狂い黒ひげの一味に向かって全力の能力を解放して攻撃を展開。更に国連軍は白モジャの残党を殲滅させる為に更なる戦火を繰り広げる。

 そんな殺伐と狂気が入り混じる戦況を目の当たりにしたスター・コマンドーの村田順一は、こんな戦争は馬鹿げていると言い放つ。だがこの言葉を聞いた大将赤イヌが順一を「正しくない兵」として、己の溶岩の能力で抹殺しようと歩み寄った瞬間、順一と赤イヌの間に絶命した白モジャと同じ四皇の悪童ゴブリンが止めに入り、これ以上の戦争をしたければ自分達と戦えと、ゴブリン一派の面々との全面対決を理由に戦争を止めに入った。

 このゴブリンの言葉に、白モジャを殺害し彼の能力を奪い取った黒ひげは、戦うには時期が早いとして誰よりも先に戦場を後にした。

 そして静まり返る戦場の中央に立つゴブリンとその一派が、戦況の収拾を確認するとゴブリンは同期の悪人にして同じ四皇の白モジャの亡骸を渡してほしいと要望。だがこれに多くの国連軍兵士が、悪人の死を世間に晒す事が国連軍の絶対的正義の証であり象徴であると猛反発。だが1人、元帥であるゼンギはこのゴブリンの要求を承諾し、全軍隊に戦争の終結を言い渡す。

 戦場から白モジャの亡骸を持ち去ろうとするゴブリンに、顔面に強烈な衝撃を直撃させられ頭蓋骨が完全に粉々になっていたにも関わらず小田原修司がゴブリンに白モジャを自身の方でも弔いたい故に彼の亡骸の一部を提供してほしいと嘆願。この小田原修司の必死の嘆願にゴブリンは、白モジャの白い髭を少しばかり差し出す。これには小田原修司は心から感謝したとの事。

 その後、小田原修司は気絶してしまい緊急を要する事態に陥り集中治療室に運ばれる。診査の結果、小田原修司の頭部は頭蓋骨そのものが完全に粉砕され、脳へのダメージは全くない故に命に別状はないと診断。

 更にその後、多くの異常者(ヒール)を収容していたインペルダウンの体制も見直され、激戦のすえ異世界会合は幕を下ろしたのである。

 しかし総長であり友である小田原修司に重傷を負わせてしまった聖龍HEADは深い挫折感と後悔に襲われ、新人勢である「東京ミュウミュウ」「マーメイドメロディ」「ローゼンメイデン」の面々と共に新たな戦術の開拓を得る事を決意する。

 

2011年3月11日

 日本の東北地方太平洋岸沖を震源とする、マグニチュード9.0の地震が発生。東北地方太平洋沖地震である。

 M9.0という規模は世界で1900年以降4番目で日本国内観測史上最大。また、この地震によって東日本大震災が引き起こされた。

 この地震で福島第一原子力発電所が被害を受け、それによって大規模な原子力事故が発生した。

 これ以外にも太平洋沿岸の原子力発電所・火力発電所が津波によって被害を受けて操業を停止した影響により、東京電力管内では3月14日から28日まで計画停電が実施された。

 聖龍隊は一刻を争う緊急事態に、素早く被災地の東北の地に赴いた。

 だが復興作業の最中、前代未聞の災害に見舞われた日本の一大事を聞き付け、黒ひげが来襲。日本政府に囚われていたものの、大震災の混乱に乗じて脱獄した同じ革命軍士の《リベンジャーズ》と共に日本政府を攻撃。

 この事態に被災地の救済に追われてた小田原修司が急きょ国会議事堂前で暴れていた黒ひげを筆頭とした革命軍士と対峙。

 かつて瀕死にまで追い込んだ黒ひげに対し小田原修司は、多少のトラウマを抱えながらも寸での所で黒ひげの地震の能力を回避し続ける。

 次第に追い詰められていく小田原修司であったが、此処でようやく黒ひげが白モジャの地震の能力を無力化していたのに気付き、同じ闇の能力者である自分も同じ様に地震の能力を無力化できる点に気付いて黒ひげを返り討ちにする。

 黒ひげを気絶まで追い込んだ小田原修司に、彼に強い恨みを抱いているリベンジャーズが襲い掛かるものの、小田原修司は何なく回避。

 その後、無能力者で差ほど危険性もないだろうと踏んだ小田原修司は日本自衛隊の面々に国会周辺の騒動の鎮静化を頼んだ直後、ヘリに搭乗し急いで被災地に戻ろうとする。

 そんな小田原修司に自分達の憎しみや恨みは消えてないと豪語するリベンジャーズ。だが小田原修司はリベンジャーズに「テメェらと関わっているほど、俺は暇じゃないんだよ」と吐き捨て、そのままヘリで被災地に戻って行ってしまう。

 自分達への仕打ちに逆上してたリベンジャーズは、小田原修司の自分らへの関心の無さに多大な怒りを込み上げ、遂にはその怒りを自分達を捕えようとする自衛隊員にぶつけては惨殺していってしまう。

 そして完全な小田原修司への報復を決意したリベンジャーズは、遂に小田原修司がその長い歴史を積み重ねてきた故に絶対の忠誠を誓っている天皇家が居住する皇居殿を占拠。日本国内で異常者ヒール認定を受けた同胞の革命軍士の面々と共に皇居殿に籠城する。更には皇居殿の警備に当たっていた職員ら全員を皇居殿周囲の塀の外側に首を吊るして殺害し、死体を晒すという凶行まで仕出かした。

 これに激しく怒り狂った小田原修司は、単身革命軍士の無法者どもが占拠する皇居殿に突入し、占拠していた無法者たち全員を斬り捨て討伐してしまう。

 皇居内を敵の血で染めた小田原修司は主犯格であるリベンジャーズに、皇居殿を穢した大罪人として斬りかかりに行く。リベンジャーズは刑務所から脱獄してからずっと填められていた鉄球付きの鎖を巧みに使いこなし、小田原修司を撲殺しようと集団で襲い掛かる。

 だが神聖な皇居殿を穢した行為を仕出かしたリベンジャーズへの怒りで半ば理性を失ってた小田原修司は、意図も容易くリベンジャーズのリーダー【エリア88】の神埼悟の鉄球を掴んでは振り回し、鎖で互いの足が繋がれているリベンジャーズの一同を遠心力で空の彼方へ投げ飛ばした。

 その直後、無事に皇居殿を奪還した小田原修司の前に、兼ねてより精神的に滅入っていたとして小田原修司が献身的に触れ合い話を聞いてあげた雅子様が、皇居殿を奪還してくれた小田原修司に礼の言葉を述べる。

 だが小田原修司は、いま日本が大変な事態だというのに未だに身勝手すぎる異常者ヒールや悪人達の横暴に酷く嘆いたという。リベンジャーズに対しても韓国人で【女帝 由奈】の悪女ソンヒならいざ知らず、その他の日本人であるリベンジャーズの面々までも身勝手で自分の事しか頭にない輩ばかりな所に、小田原修司は今の日本人の実情に酷く失望してた。

 雅子様は、そんな心から日本を愛してる小田原修司に労いの言葉と、必ず日本人全てがいつか一致団結してより良い未来を築いてくれると、優しい言葉の数々を掛けてくれたという。

 雅子様の有難い御言葉を頂いた小田原修司は、一時日本人の身勝手で理不尽な現状が災害時の時にも変わらない事に絶望視し刀で自害しかけたのを停止。雅子様の激励を受けて再び被災地である東北の地に戻っていった。

 しかしこの時、小田原修司は健全な国を一から創りたいと思い願い、更なる力への渇望を抱く様になってしまった。

 そして震災から数週間後、小田原修司によって投げ飛ばされたリベンジャーズを助け出しては導いてた謎の高齢の僧侶が行動を起こさせる。

 まずは天皇家の末裔である愛子様をリベンジャーズを通じて革命軍士に誘拐させ、同時にプロフィギュアスケーターの織田信成選手までも誘拐させ、多くの人命が失われ負の感情が犇めく東北の地で不思議な儀式を始める。

 この一大事に、仲間である聖龍隊に復興活動を任せて小田原修司が単身で誘拐された2人を救い出す為に儀式の場に乱入。だが僧侶の狙いは小田原修司でもあった。

 僧侶は小田原修司が儀式に用いてた不思議な陣図を使用して、誘拐してきた愛子様と織田信成選手の血を生贄に、そして小田原修司の肉体を器として常闇の世界より愛子様と織田信成氏の末裔を蘇らせる。

 愛子様と信成氏の末裔。それは戦国の世を恐怖で支配していた魔王と呼ばれる織田信長であった。その信長の魂が入る器すなわち肉体として、信長と同じ闇の能力者である小田原修司の肉体が用いられたのだ。

 こうして愛子様と信成氏の末裔、織田信長は小田原修司の肉体を得て再臨してしまった。

 この時の小田原修司は、自身に憑依した信長の魂に関して何故か抵抗しなかった。その理由として考えられるのは、1つに小田原修司も心から織田信長を崇拝していた事、2つ目は織田信長も小田原修司と同じ闇の心ダーク・ソウルの能力者であった事、3つ目は以前小田原修司がリベンジャーズとの戦いで思い描いた「健全な国創りをするための力」に対して激しい渇望を抱いてしまった事で同じ力に執着する信長公と精神状態が一致してしまったが故の事態だったと考えられる。

 その後、小田原修司の肉体を得た信長公はリベンジャーズなど無法者はもちろん己を崇拝する者らに加えて、己の信力で自分同様に蘇らせた側近である濃姫と森蘭丸を従えて現在の日ノ本を掌握しようと行動を起こす。

 まず手始めに小田原修司ことアニメタウン市長が管轄下に置いていたアニメタウン郊外の特別学区内を攻め落とし、其処で己に心酔する者を新たな戦力として加えた後、続いて アニメタウン本土に侵攻。

 聖龍隊が殆ど東北の地に赴いて出払っていたアニメタウンを難なく掌握し、満足していた所に突如として紅蓮の烈火を纏う船の碇に乗った男が織田信長に突撃してきた。

 その男こそ、以前に聖龍隊と衝突してしまいアニメタウンを旅立っていった赤塚組の頭領 赤塚大作であった。当初、赤塚大作はアニメタウンで無意味に暴れているのを小田原修司本人だと勘違いしたまま、小田原修司に憑依している織田信長と激突。だが惜しくも敗れ去ってしまう。

 赤塚組をも敗退させた信長は、異世界で自身と同じく魔王を名乗ってる異世界の王政や国に進軍するため、関東では最も魔力の多いと言われてる鎌倉に向かって東京湾沿いに進軍していった。

 そして鎌倉を掌握した信長はその後、鎌倉に蓄積されてた魔力を応用し異世界との扉を開く。その扉を潜り、魔王信長とその従者たちは別世界へと進軍していく。

 まず信長一行が辿り着いたのは、世界名作劇場の世界で信長はその地を己が武力で支配しては完全に鎮圧してしまう。世界名作劇場の世界を皮切りに信長はその後、その世界で知り得た、全ての世界と通じている鏡の国の存在を知る。鏡の国を掌握すれば、自由に全ての異世界に進軍できると認知した信長は自軍を率いて鏡の国へと進軍していく。

 鏡の国に到着した信長は、己の闇の力と憑依している小田原修司の肉体を駆使して瞬く間に鏡の国を制圧。その後、数々の魔界と呼ばれる世界や魔法が存在する世界を掌握していき、自分以外の魔王や魔の王女を殲滅できたと思ってた信長であったが、そのとき一部の王族は以前に戦争で大破した【金色のガッシュ!!】の魔界の城の修復作業を見合っていたので無事であった。

 これを知った魔王信長は激情し、己以外の魔王や魔の王女の殲滅に全力を注ぐ覚悟を決めては修復作業中の魔城へと攻め入った。

 この修復作業を監査していたアンリエッタ王女と防衛騎士アニエス、更には天皇家の遠縁にあたる皇族 時乃宮家と魔王信長が衝突。魔界防衛軍隊長ブラゴや魔王ガッシュの良き親友ティオなどの魔界の精鋭たちも参入し、信長に心身ともに憑依された小田原修司を制止する為に奔走する。しかし努力空しく、小田原修司に憑依した織田信長は己に反抗してきたもの全員を撃退しては、修復中であった魔城も己の力で粉砕してしまった。

 その後、魔界などの異世界の仲間達と合流を果たした聖龍隊は、アニメタウンで市民を守ろうと信長に憑依された小田原修司と決闘した赤塚大作率いる赤塚組とも結託し、打倒信長と小田原修司救出に協力する姿勢を示す。

 その際、生きた人間である小田原修司に憑依している死者の織田信長の、小田原修司をも超越している闇の能力を少しでも抑制する為に当時、日本の恐山山中で修行している高僧 南部晴政に協力を依頼する為、恐山への使節軍としてバーンズや一部の聖龍隊士が任命される。しかしバーンズを始めとする多くの隊士は亡者の魂で溢れ返っている恐山へ赴くのを躊躇うが、どうにか進軍に説得できた。

 だがバーンズや聖龍隊士らが恐れていた事が、現実の恐山で生じていた。バーンズ達が大よそ想定していたが、恐山には東関東大震災で死亡した多くの人々の亡霊が彷徨っており、時おり津波に飲み込まれるなどの亡者が死ぬ直前に体感した恐怖が幻となってバーンズ率いる聖龍隊士に襲い掛かった。

 更に恐山に溜まっていた多くの亡骸までも、不思議な御香によって目覚めては聖龍隊を襲う。

 そんな苦戦の末、バーンズたち聖龍隊は山頂で修行してた南部晴政の協力を得られた。

 そして突如として日本に出現した魔城・安土城に座していた織田信長に、聖龍隊は総力を挙げて対決。

 信長に心酔してしまった兵士や洗脳されたリベンジャーズなどの織田軍を相手に苦戦を強いられる聖龍隊。

 更には魔城 安土城の内部には至る所に罠が設置されており、その中には鳥兜などを主成分にした毒を用いたものまで見受けられたという。

 信長の側近である森蘭丸と濃姫を撃破した聖龍隊一行は最上階の天守閣にして、総長小田原修司に憑依して待ち続けていた織田信長と遂に決着をつける。

 数多の死闘の末に、ようやく聖龍隊総長小田原修司の肉体から織田信長の魂を伐出する事に成功。その直後、地上に出現した安土城は瞬く間に崩壊し、完全にその全貌を消滅した。

 そして仲間達の手によって無事に自我を取り戻せた小田原修司は、衰弱しながらも仲間達に礼を述べた。

 だが、そこに例の織田信長の魂を現世に蘇らせた謎の僧侶が再び姿を現す。僧侶は自身を《天海》と名乗り、信長公による戦火を再び間近で眺めたかったのだという。

 そして最後に、織田信長の魂は小田原修司の肉体を得て様々な戦火を起こした事で未だ現世に残っており、次の発起で完全に心身ともに蘇るという。

 僧侶は信長が蘇る地を手にしていた錫で、その地を指しながら同時にその名を大声で言い放った。

「敵は……本能寺にあり!」

 信長公が蘇る地を叫んだ直後、僧侶は高笑いを上げながら濃霧の中を消えていった。

 その直後、僧侶が申した通り、京都府京都市中京区に突如として大きな地響きが発生したと同時に地の底から這い上がるかのように、巨大な区画で構成された本能寺が出現した。その中央の漆黒の黒渦からは刻を待つかの如く、厳つい形相の織田信長公が不気味な静寂を醸し出しながら時を待ち続けていた。

 この事態に、今まで信長に憑依を許してしまってた小田原修司が先陣を切り、完全復活した織田信長と対峙。だが小田原修司は当初、憑依された時と同様に織田信長に絶対の尊敬の意を変わらず持ち続けており、一時は織田信長公に頭を垂れた。

 だが小田原修司はスグに頭を上げては織田信長と向き合い、自身の憧れでかつ尊敬を抱けてる数少ない人物な上に自分と同じ闇の心を抱いている織田信長と死力を尽くして一対一で闘う事を断言する。これに信長も同じ様であり、是非もなしの一言で同じ強大な闇の心に魂を持って生まれた異端者同時の激戦が始まった。

 そして血の滲む激闘の末、小田原修司は他者へ恐怖を与え周囲から恐れられる孤高の武士 織田信長を討伐。そして同時に信長を「戦国一、人との繋がりを持った武将」と称え、それまで他人から恐れられているだけの自分にも様々な形で戦国の世を生きた武将やその周囲の人々と確固たる繋がりがあると悟り、厳つい風貌を穏やかにさせながら再び眠りについた。

 この信長との死闘を超えて、小田原修司の闇の心(ダーク・ソウル)の能力はまた一段と向上したという。

 

 

[首級(しるし)と落ち武者たち]

 

「はぁ、はぁ……そうだ、そうだ……信長公、いや小田原修司よ……俺達の未来を奪い取った貴様こそ、また俺達の未来を運命付ける狂気と混沌には違いない……フフ、フハハハ……」

 赤黒い雨が降る。泣き叫ぶ者が散る。

 漆黒の下、戦国の世を創成した一人の武士が、現代の武士によって闇へと帰還した。

 東関東大震災、魔王・信長の復活、本能寺落城。

 数々の惨劇の戦いを体感し、命辛々、今ゆらりゆらりと逃げ去ろうとする者たちがいた。

 それは鬼神・小田原修司に報いようと震災の日本を荒らし回り、最終的には蘇った織田信長に付き従った復讐者リベンジャーズの軍勢。

 そしてそのリーダー、神崎悟の手には、魔王への忠義の証として、そして憎むべき小田原修司が着用していた信長の額当てが握り締められていた。

 リベンジャーズは法外なる悦楽と、誰にも知られる事のないもう一つの希求を抱いて、遥々海を渡り、朝鮮半島へと流れ着いていた。

「さあ、早く逃げ延びよう……正しき人間(ひと)への道……俺達が人間(ひと)に戻れる道行は、この先だろうか……?」

 

 地上に舞い戻った本能寺にて小田原修司と死闘を展開した織田信長。

 その信長を打ち負かし、漆黒の闇へと帰り着かせた小田原修司率いる聖龍隊の追撃を逃れ、その信長と共に震災で荒廃した日本を荒らし回ったリベンジャーズは、流れ流れて朝鮮半島、韓国の地に流れ着いていた。

「はぁ、はぁ……何処まで……何処まで逃げ続ければ、俺達は人間(ひと)に戻れるのだろうか……」

 小田原修司から人間(ひと)としての全てを奪われ、帰る場所も、居場所すら失ったリベンジャーズはかつての自分達に戻れる道を探っていた。

「……その答えを知っているのは……小田原修司と同じく、闇の心を持つ……魔王、貴方だけだ……」

「そして……歴史に生誕する闇を討伐した実績を持つ……天海僧正、貴方も……俺たちの未来を知り得ているのでは……?」

 リベンジャーズが隊長、神崎悟は闇へと還った信長公が遺した彼の額当てを手に、同志であるリベンジャーズの面々と共に放浪していた。

 彼らは自分達を救済してくれると信じてた唯一の存在、信長公を失って少し半ば失意の底にいた。

「陽が昇り、そっと瞼を上げた時……俺達は人間(ひと)へと返り咲けるのだろうか……」

 虚ろな眼差しで朝日が昇る時を見詰めるリベンジャーズは、黙々と韓国の街並みを放浪していた。

「首根弾けた不如帰……待てど暮らせど囀らず……」

 時おり魔王・信長に感化されていた後遺症か、詩の様な言葉を呟くリベンジャーズ。

「鬼神よ、お前の血の匂い……生涯消えないだろうに……クハッ」

 皇居殿など、日本の各地を荒らし回り、小田原修司と死闘を展開してきたリベンジャーズは、自分の体にこびり付く微かな修司の血の香りに酔い痴れていた。

 そんなリベンジャーズの姿を目撃して、彼らの日本での暴挙を報道で知っている韓国人達が罵声を浴びせてきた。

「この……リベンジャーズッ! 謀反人がぁッ!」

 一般市民は、既に戦意を喪失しているリベンジャーズの面々に石を投げ付けるなどの暴力行為に乗り出した。

「出て行けッ、この人でなし共!」

 しかし、そんな罵声を浴びせられる中で、リベンジャーズは虚ろな眼差しと意思で只管に歩き続けていた。

「のたうつ胴、噴出す紅……ああ……ああ! 忘れられないあの宴、信長公よ、有難う……!」

 革命軍士として、そして信長配下として、日本や異世界で数多くの殺戮を繰り返してきたリベンジャーズは、この体感をくれた信長に心から感謝した。

「俺達が殺すのは……小田原修司、鬼神よ……お前で最後にする……!」

 しかし既に信長に黄泉へと帰還。この世にはもう居ない。故にリベンジャーズは最後に殺すのは、自分達を苦境へと追い詰めた小田原修司で終わらせる決意をしていた。

「この尊き実感を、薄めてなるものか!」

 殺戮の日々に味わった人を殺す感覚を忘れたくないリベンジャーズ。

 すると、そんな大勢の韓国市民に石を投げ付けられるリベンジャーズの一人、ソンヒに一人の韓国青年が駆け寄っては彼女に飛び掛った。

「喰らいやがれッ」

 青年はソンヒに跳び蹴りを喰らわして、同じ韓国人のソンヒに痛烈な打撃を与えた。ソンヒは蹴り飛ばされた衝撃で転倒し、道端のガードレールに頭が直撃して大出血してしまう。

「や、やめて……! 私が何したって言うのよ……」

「自分がどんな悪事を働いたかも分からないとは……狂人が!」

 ソンヒが石を投げ付けたり、暴力を振るってくる人々に訴えるものの、市民はソンヒたちリベンジャーズに暴力を振るう事をやめはしない。

 被災地である日本を荒らし回り、挙句の果てに韓国の地に流れ着いたリベンジャーズに市民は怒りの矛先を向けていた。

「今度はお前らが痛い目を見る番だ!」

 一人の韓国市民が怒声を吐きながら、空き瓶をソンヒに向かって投げ付ける。頭部に直撃を喰らったソンヒは涙を浮かべて、自分と同じ韓国市民から逃げ出した。

 そんなソンヒを始めとする戦意喪失状態で無防備のリベンジャーズの面々に罵声を浴びせ、石や物を投げ付けて攻撃していく韓国市民。

 リベンジャーズの中には、物を投げ付けられて頭や身体から出血する者、火炎瓶を投げ付けられて火達磨となり全身大火傷を負いながらも誰も介抱してくれずに逃げ惑うばかりの者など。確かに悪事を働き続けた者とはいえ、その惨状は目を覆いたくなるものばかりだった。

 

 すると其処に韓国の警察隊が駆け付けて、市民に拡声器で呼びかける。

「市民の皆さん! 危険ですので、その犯罪者達から離れてください!」

 警察の声に、市民達はようやく傷だらけのリベンジャーズから離れ始める。

 駆け付けた警察に、その場が沈静化されるとリベンジャーズの多くが思っていた。が、実際は違った。

「迎え撃て! 反逆者リベンジャーズを、一人残さず駆逐せよ!」

 なんと警察は、そして続いてその場に現われた軍隊はリベンジャーズに銃を向けて迎撃する態勢を整えた。

 そして警察隊と軍隊の、両方の部隊は武器も持っていないリベンジャーズに向けて発砲を開始。多くのリベンジャーズを虐殺し始めた。

「ぎゃああっ」「ぐはあっ」

 銃撃を受けて血の海に沈むリベンジャーズ残党兵。

 その他のリベンジャーズは銃撃を掻い潜って辛うじて現場からの逃亡を図ろうとする。

 だが警察や軍隊の追撃がやむ事は無かった。

「隊長……どうかご達者で」

 リベンジャーズ残党兵は、隊長や他のリベンジャーズ同士に別れを惜しみながら銃弾を浴びて絶命する。

「消えた、消えた、俺の希望が……ひ、ひゃはは」

 そんなリベンジャーズの中には自分達を苦しみから救ってくれてた唯一の存在、信長の帰還に絶望し、狂い出してしまう者も現れていた。もちろん、そんな狂人が警察や軍隊の銃撃から逃れられる訳はない。

 しかし、そんな中でも隊長は蘇った織田信長が着用していた兜を手から離さず、眺めていた。

「この兜……毎日磨いて差し上げないと。それも臣下の務め……クク、ククク」

 信長の喪失、多くの者からの蔑んだ眼差し。それらを受けても次第に闇の心に惹かれていくリベンジャーズ。

「いつか、門出の飯を炊いて差し上げないとね……」

「貴方も食されますか、鬼神殿?」

 いつの間にか鬼神・小田原修司を崇め出すリベンジャーズは、自分達の心境の変化に無自覚だった。

「思えば鬼神……あんたはいつも苛烈だった……それも俺達という敵役が居てこそ……クク」

 敵であったが故に、苛烈に物事を進められていただろう鬼神の行いに思わず微笑してしまうリベンジャーズ。

「アニメタウン……皇居殿……何れも愉しい蹂躙だった」

 自分達の祖国であるアニメタウンや、日本皇居殿などで暴れ回ったリベンジャーズは、その蹂躙を懐かしむ様に思い返していた。

 そんな戦意無きリベンジャーズに、韓国警察は容赦のない銃撃を浴びせ続ける。

「今の内に……姿を消そう……」

 銃撃を浴びてのた打ち回る同士を見据えながら、リベンジャーズ残党兵の中には混乱に紛れて部隊を離脱し、姿を消そうとする者までも現れた。

 だが、神崎悟を始めとする多くのリベンジャーズ兵は、傷を負いながらも果敢に逃げ延びようと走り続ける。

「かつての俺達が夢見た明日……それは、それは……」

「まずは山へと天を観に……いや、海も良いな……」

「人とはこんなにも迷うものだったのじゃな……」

 目を輝かせて、罪人である自分達が迎えられる明日を夢見るリベンジャーズであったが、そんな彼らを現実は許さない。

 逃避行するリベンジャーズに、今度は狙撃隊が迎え撃ち、先頭を行くリベンジャーズに遠距離から狙撃する。

 頭を撃ち抜かれ、赤い果実の様にその中身が弾け飛ぶ様を見て、神崎悟たちリベンジャーズはその鮮やかな光景に目を輝かせる。

「我ながら、儚い人生であった……」

 同じく狙撃されて、胴体を銃弾が貫通した残党兵は己の儚い人生に幕を下ろした。

 

 多くの警察、そして軍隊に狙われなながらも、リベンジャーズの大半は、どうにか中国の国境間近まで逃げ切れた。

 その状況下で、リベンジャーズは自分達の手中にある信長公に憑依された小田原修司が着用していた兜を凝視して呟き掛けた。

「御怪我は無かったでしょうか……フフ、安心しました。信長公、いや闇の心よ……俺達が真の人と戻れる、その日まで……御守りします」

 自分達が真の人として、本当の安寧な日々を過ごせる時まで闇の心を守り抜こうと宣言するリベンジャーズ。

 彼らは既に、人の境地など当の昔に一線を踏み外している事すら気付かずに。

 

 

[未来と罪科(つみ)]

 

「御労しい、鬼神殿……こんなにも軽くなってしまうとは……」

「私たちは、いつ人に戻れるのかしら……?」

「人に、戻りたい……また、安寧の時を過ごしたい……」

 男は、女は歩む。遮られぬまま惑う。

 己が手にしたい新たな人生に、ただただ胸を高鳴らせて。

 しかし繰り返される歴史と同様に、それから十一日、償いの時が訪れた。

 待ち受けるのは、鬼神・小田原修司により遣わされたスター・ジェネレーションズ率いる日中韓の連合討伐軍。

 その陣幕には、武力ではなく平和的解決を望む村田順一の姿も当然ながらあった。

 しかし己らの綻びすら気付かないリベンジャーズには、最早関係のない事であった。

「間もなく……間もなくだ……! 起床の安堵……安寧の時……飽食の笑み……未来への望み……ああ……正当なる命!」

 リベンジャーズは逃げ切れば、必ず自分達には平和な一時が訪れるという幻想に憑りつかれたままだった。

 

 スター・ジェネレーションズが総指揮を執るリベンジャーズ討伐戦を、後に中国国境追討戦と呼ばれた。

 その戦場に、韓国の地から命辛々逃げ切ったリベンジャーズの面々が足を踏み入れた。

「この道を進んだ先に……俺達が歩む未来がある……」 

「俺達は晴れて人となり……そこに公の、鬼神の姿は無い……」

 逃げ延びた先に安寧な日々があると信じ切るリベンジャーズだったが、同時に其処には目標となるべき鬼神の様に憎悪を向けられる存在が居ない事を痛感する。

 そんなリベンジャーズ討伐を命じられた聖龍隊スター・ルーキーズの面々は、たかが小悪党風情のリベンジャーズの相手をしなければならない現状に苛立っていた。

「認めてなるものか……反逆者風情が、俺達の相手をするとは……!」

 そんなルーキーズの苛立ちを傍らで耳にしながら、順一はリベンジャーズに思う所があった。

「解るかリベンジャーズ……恐怖は所詮、すぐに次の戦を呼んでしまう」

 恐怖での人々への蹂躙、そして支配はすぐに新たなる戦火を呼んでしまうのだと唱える順一。

 そんな順一の平和への想いも虚しく、連合軍は小田原修司より貸し与えられた走行型の兵器を戦場に投下した。

「総長から貸し与えられた、この兵器なら悪党共を一斉にやっつけられるわ!」

 ミラールが大量殺戮兵器の登場に胸を高鳴らせる一方、他のルーキーズの面々もこの兵器の導入に賛同してた。

「罪人の魂を礫圧するには打ってつけだな!」

 しかし順一だけは、経験豊富なリベンジャーズなら兵器の導入にも動じず生き延びられる可能性を不安がった。

「……どうかな、あのリベンジャーズなら多分……」

 順一の不安は的中し、リベンジャーズは高速で戦場を跋扈する動物に見立てた兵器から逃れて行く。

「馬や牛を育てる……それも良いかもしれない」

 そんな兵器を見て、リベンジャーズは無事に生き延びれた後は、牛や馬を育てる農耕なんかも穏やかな余生なのかと思い至る。

「……大丈夫、俺達はもう刻んだりしない……」

 戦場を駆け抜けるも転んでしまう連合軍兵士に、意外にもリベンジャーズは攻撃しなかった。それもこれも、彼らは当初、敵意や殺意などを持っていなかったからだ。

 だが、そんなリベンジャーズの残党兵を、連合軍は妥協せず攻め続けた。

 戦場を跋扈する走行型兵器と共に、連合軍からの派遣で移送されてきた戦車が戦場に点在するリベンジャーズ残党兵を駆逐する為に発進する。戦車は残党兵を無残に轢き殺したり、または容赦なく砲撃で吹き消したりと猛威を振るう。

 そんな戦況を遠くから眺めて、悲愴な表情を浮かべる順一にミラールが問い質した。

「ジュン、まさかとは思うけど……貴方、あの皇居殿も汚したリベンジャーズを助けてあげたい、なんて思ってはいないでしょうね?」

「いや、彼らリベンジャーズは踏み入ってはいけない領域まで足を踏み込んでしまった……それ故に、もう僕にもどうする事はできない」

 悪人に対しても慈悲の心を見せる順一を警戒するかのように問い質すミラールの問い掛けに、順一はリベンジャーズが既に常人では踏み込んではいけない罪の領域にまで達している故に自分の力では彼らを救済するのは遅いと説き返す。

 そんな多少の情をリベンジャーズに対しても見せる素振りの順一に、ルーキーズの極寺隼人が言った。

「いいか、ジュン! 奴等はアニメタウンだけでなく、日本を……そして以前から世界に対して牙を向けてきた凶悪な連中だ。骨の髄まで奴等を許しちゃいけねえんだよ!」

 すると隼人に続いて鴆も順一に告げた。

「奴等は既に……生きているという事だけでも大罪なんだ!」

「やれやれ……本当に君たちは歯に衣着せないね」

 隼人たちの言い分を聞いて、順一は唖然としてしまう。

「それにしても……修司に逆恨みしながら、その修司に憑依した織田信長に忠誠を誓っていただなんて滑稽な話ね」

「織田信長……本当に恐ろしい相手だったわ。その信長に忠誠を誓ってたなんて、正気じゃない……!」

 葉月いずなと鹿嶋リンは、リベンジャーズを従わせた上に、自分達の総長・小田原修司に憑依して震災の地である日本を支配しようとしていた信長の言動を思い出していた。

「だけど、総長も総長で信長を称賛するほど崇拝していたから驚きよね。……ジュン、まさか貴方まで信長が震災に遭った日本を支配すれば良かったなんて思ってないでしょうね?」

「いいや、信長公は総長と死闘を展開して、再び黄泉の闇へと帰り着いた……それが運命だったと思っているよ」

 するとミラールに問い掛けられた順一は、神妙な面持ちで戦場を見据えながら明かした。

「でも、せめて僕も総長と共に忘れない……信長公、貴方のその雄大なる意志を!」

『………………』

「濃姫、蘭丸……どうかあの世では穏やかに」

 信長の雄大なる意志と、信長と共に蘇り彼に付き従った濃姫と蘭丸に慈しみの想いを捧ぐ順一の言動にニュー・スターズもスター・ルーキーズの面々も黙然とした。

「……死しても尚、人々を魅了し続ける歴史の闇……総長と同じく闇の心を持つ信長にも、未だ多くの人望が集まる訳、か……」

 順一の想いを聴いて、ミラールは歴史を紡ぐ闇の心に未だ多くの人々が魅了されている事実を感じ入る。

 と、そこに戦場を逃げ惑うリベンジャーズを双眼鏡で遠視しているフロートが順一達に申し出た。

「ジュン! リベンジャーズは未だその勢いを弱めず、着々と逃避行し続けている! このまま行くと、おれ達が用意した兵器発進区域の陣地に辿り着いちまう」

「そうか……もしもリベンジャーズが最後まで抗うというのなら、最後は責めて穏やかに逝かせてやりたいな」

 未だ投降する意思の無いリベンジャーズに、順一は最後は責めて穏やかに死なせて上げたいと己の本心を曝す。しかし、そんな順一の甘さにルーキーズの多くは奥歯を噛み締めた。

 その頃リベンジャーズは、遂に自分達を一方的に殺めようとする連合軍から生き延びる為、自ら戦場に落ちていたり兵士が使っている武器を奪い取ったりして反撃に転じてきた。

「ぐあっ」

 小銃を手に取り、反撃に転ずるリベンジャーズの銃撃を受けて陣地を護衛していた兵士達が倒れる。

 すると戦場を跋扈する走行型兵器を発進していく装置が停止。兵器は発進しなくなってしまう。

「俺たちの未熟が……聖龍隊の力を浪費させたとでもッ!」

 陣地を突破され、発進装置をも停止に追い込まれた現状に極寺隼人は憤りを感じる。

 

 すると聖龍隊からの兵器が作動しなくなったのを皮切りに、連合軍兵士が挙ってリベンジャーズに襲い掛かる。

 国家の威信を懸けて出兵してきた兵士達であったが、その誰もが祖国の為に戦っている訳でもなかった。

「や、やってやるぞ……手柄取って、田舎の母ちゃん喜ばせるんだ」

「国の威信などではない、全ては愛する家族の為に」

 身震いしながらも国に残した家族の為に戦う者、愛する者の為に戦う者と、兵士達の思いは十人十色だった。

 しかしリベンジャーズは、戦意も殺意も無い自分達を一方的に殺そうとする兵士の猛攻から生き延びる為に、そんな兵士を返り討ちにするしかなかった。

 だが、この行為が余計にリベンジャーズの悪行に積み重なり、彼らは兵士達から憎悪と敵意を買ってしまう。

「力と恐怖の支配……それは必ず破綻する……その証明の為にもリベンジャーズ、あなた達を討つ!」

 今の世の世界、そして己が師である小田原修司が執行している恐怖政治が後々必ず破綻する証明の為にも、リベンジャーズを討たなければならないと説く順一。

 一方のリベンジャーズは、その大半を戦車や兵士などの戦力で虐殺されて数を消耗していく中、わずか数十人の数で進行を続けていた。

 そんなリベンジャーズの目の前に、きっちりと整列した多くの兵士達が視界に飛び込んできた。

 彼らはリベンジャーズ討伐の為に駆り出された、日本・中国・韓国の兵士達だった。

 日中韓共同戦線による戦力は、真っ先にリベンジャーズを葬ろうと進撃する。

「俺達は人となり……何をしたかったのか? 経を読む? 土を弄る? 書を紐解く……?」

 次々と同胞のリベンジャーズ残党兵が虐殺されていく中、生き残ったリベンジャーズは人に戻った時にしたい行いについて考え込んでいた。

「何故なんだ……誰も彼もが俺達を殺しに来る……俺達は、人になってはいけない存在なのか?」

 自分達を殺す勢いで責めてくる数多の兵士達が群がってくる戦況を目の当たりにし、リベンジャーズは半狂乱に陥る。

「世界に牙を向けた謀反人……我が国の将軍とはどちらが上か……」

 一方の兵士たちも、反撃してくるリベンジャーズを迎撃しながら自国の将軍と実力はどちらが上なのかを考え出す。

 しかしリベンジャーズの方は、見付からない答を今この場にいない鬼神または天海僧正に求めていた。

「俺達の質問に答えてくれ……俺達は結局、どのように過ごしていけば正解なんだ?」

 そうこうしている内に、リベンジャーズは日中韓の連合軍を突破して、戦場の奥地へと自然に足が向かっていた。

 この時、連合軍の総攻撃を受けたリベンジャーズ残党兵は、リーダーの神崎悟を含めて六名だけだった。

「お願いだ、応えてくれ……! 俺達は結局、なんなんだ……」

 無抵抗だというのに殺されそうになる現状に半狂乱に陥りながらも、リベンジャーズは眼を血走らせて自問自答を繰り返していた。

 そしてリベンジャーズは遂に戦場の奥へと到着してしまう。

 闇に包まれた深淵が広がる崖に面した、その戦場を見下ろす崖の上には連合軍の指揮を任されていた聖龍隊のスター・ジェネレーションズが待ち構えていた。

 

鬼神臣属 スター・コマンドー ニュー・スターズ スター・ルーキーズ

 

「お前達が……」

 ルーキーズが一人トリコが崖の上から最後まで生き残った六名のリベンジャーズを見下ろしながら見据えていた。

 それと同じく、順一も自分達の目の前まで生き抜いてしまったリベンジャーズを前に、覚悟を決める。

「遂にこの時が来てしまったか……避けて通れない道なら、今ここで……!」

 と、順一が日本刀・純心に手を掛けたその瞬間、ルーキーズの澤田綱吉を死守する想いの獄寺隼人と、リクオから兄妹杯を交わされた鴆の、通称・忠誠コンビが険しい表情から口を開いた。

「「貴様ら如きが……」」

「ツナの……」「リクオの……」

「「前を行くなーーッ!!」」

 そう叫ぶと同時に、隼人と鴆は命令も無しに勝手に飛び出して、リベンジャーズを攻撃し出した。

「二人とも、そう焦らない! 相手はまともに戦う事もできない悪党共! じっくり痛め付けてやりましょう」

 そう言うと今度はミラールたち残りのルーキーズも戦線に飛び出していく。

 ルーキーズの猛攻を必死に避けながら、リベンジャーズは自分達が手にしている織田信長の兜を庇い始めた。

「蛆共め、寄るな……これは俺達のものだ……!」

「邪鬼共が……その首級(しるし)を手柄に持ち帰る気か?」

 リベンジャーズは大事にしている兜を傷付けられない様に、そして奪われない様に抱え込むが、そんな彼らにルーキーズは険しい顔付きで攻め立てる。

「リベンジャーズ……君は、君たちはッ!」

 一方、崖の上に残っている順一達だが、順一はリベンジャーズが犯してしまった数々の罪科(つみ)に嘆いていた。

「……………………………………………………」

 しかし、そんな順一の悲痛な呼び声にリベンジャーズは何も言い返さない。

 するとそんな順一にミラールが逆に呼びかける。

「そこで見ていてジュン、私達だけで事足りるわ!」

「待てルーキーズ、侮るなッ!」

 相手は非能力者ではあるが、実際問題戦歴の厚いリベンジャーズ。そんな彼らとの戦いで、侮らない様に注意を呼びかける順一だったが、ミラールたちルーキーズは猪突猛進な勢いでリベンジャーズを攻め立て続ける。

 しかしリベンジャーズも殺されまいと戦場に散っていった兵士から奪い取ったサバイバルナイフや機関銃でルーキーズと応戦。

 意外にも未だに戦う力が残っていたリベンジャーズに、若干ながらも押されるルーキーズ。

「あなた達の事は総長から伺ってるわ……この世で最も陰湿な穢れだと!」

 しかしミラールを始めとするルーキーズは、ここ最近で更に実績を重ねたという自信からリベンジャーズに真っ向から対峙する。

 と、リベンジャーズを追い詰めるルーキーズの前に、純心を抜刀した順一が戦前に出て来た。

「じゅ、順一!」

「なぜ俺たちの邪魔をする……!? 俺達が、こんな雑魚共にやられると思うのか!」

 ルーキーズの獄寺隼人や門脇将人が訴えるものの、順一は清らかな瞳で身構えつつも言い放った。

「僕はこれ以上、目の前の絆を……失いたくはない!」

 これ以上、絆は絶対奪わせない。例えそれが敵であっても。そんな想いで順一は戦前に赴き、リベンジャーズと向き合い彼らと少しばかし対峙しようと思い立った。

 順一は確かめたかった。なぜリベンジャーズは物語の柵を抜けてまで、被災地日本を荒らし回り己が師・小田原修司に憎悪を向けて狂気に走ってしまったのか。

 しかし、そんな順一の参戦もリベンジャーズはどうでもよく、自分達の人生を狂わせた小田原修司への思いを戯言の様に呟いた。

「俺達は誰よりも鬼神を殺めたく……そして……」

 その一方で自分達が優勢していた戦況にしゃしゃり出てきた村田順一にルーキーズ隊士が文句を言う。

「ジュン……邪魔するなと言った筈だッ!」

「違うんだ、僕にもやらせてほしい!」

 しかし順一は、己が師・小田原修司に抗い続けたリベンジャーズに責めて安らかな終わりを迎えさせようと剣を振るい出す。

「総長が生んだ憎しみを、憎悪の決着は……弟子である僕がつけなければ……!」

 己が師でもあり、自分達の上官である小田原修司が生み出した憎悪の塊と化しているリベンジャーズとの決着は、弟子である自分が果たさねばと自責の念に駆られる順一。

「リベンジャーズ、残念だけど……君達はもうこの世に居てはいけないんだ……君達の存在が皆を嘆かせ、苦しめてしまう!」

「………………」

 順一は純心を握り締めたまま、対峙するリベンジャーズにその存在が多くを嘆かせ、苦しめてしまう現状を赤裸々に語り明かすが、それに対してリベンジャーズは無言だった。

 と、此処まで聖龍隊が本気を出して討伐しようとする気迫の中、リベンジャーズが本気で抗戦しないのを視認してルーキーズ隊士は怒りを露にする。

「何故本気を出さない……碌な抵抗をしない! 白刃戦で俺達を嘲るつもりかッ……!?」

 このほぼ無抵抗な状態のリベンジャーズ六人を前に、ミラールも怒りをぶつける。

「弑逆し、快楽のままに悪事に生きる……あんた達の様な輩は、この世に最も必要ないのッ!」

 リベンジャーズの存在を真っ向から否定するミラール。

 そんな一方的な戦いが展開される中、順一はリベンジャーズに問い質した。

「なあ、他の方法は無かったのか? あなた達は総長と、違う形の絆を結べてたかもしれない」

「だとすれば……それはもう遠い夢物語……」

 虚ろな瞳で申し返すリベンジャーズの様子を見て、順一は更に問い掛けてみた。

「聞かせてほしい……そんなに総長が、小田原修司が憎かったのか? 日本を穢し、多くの二次元人を巻き込んでまで憎悪に憑りつかれてしまったのか?」

「憎い? ……はて、可笑しい。あの男に対しての憎しみが湧かない……」

 順一から問われたリベンジャーズは、この時不思議と小田原修司への憎悪がいつの間にか湧いてこない実感を感じていた。

 するとその時リベンジャーズが所持している、織田信長に憑依された時の小田原修司が着用していた兜にミラールが放った銃弾が掠めた。

「止めてくれ! 鬼神殿の(かんばせ)に傷が付く……!」

「……! 庇うのか? それを……総長を……」

 自然と口から出てきたリベンジャーズの言動に、村田順一は驚かされた。

 リベンジャーズは、惨殺したいほど憎んでいた小田原修司をいつの間にか敬う様になっていた。

 そしてリベンジャーズは情状不安定、満身創痍の状態の中で、自分達を殺そうと躍起になる聖龍隊を前に思いを馳せた。

「この陣営は貴殿からの迎え……そう信じて良いんだな……鬼神よ……」

 リベンジャーズは自分達に襲い掛かる理不尽な現実を、鬼神からの迎えだと捉え始める。

 

 そんな殺伐とした戦況の中で、リベンジャーズは遂にルーキーズの新人達に容赦なく斬り付けられる。

 いつの間にかリベンジャーズは深淵の崖の目前まで追い詰められていた。

 が、そんなリベンジャーズに聖龍隊のルーキーズやニュー・スターズの面々は容赦なく、そして冷徹にトドメを刺そうと狙いを定めた。

「待っ……!」

 自分と同じく鬼神・小田原修司に敬意の意思を示し掛けているリベンジャーズと、もっと話し合いたいと村田順一が仲間の攻撃を制止するが、既に手遅れだった。

 ルーキーズは、ニュー・スターズはリベンジャーズにトドメの斬撃を、銃撃を放ち込んだ。

 ミラールの銃撃は綿貫鞠乃(わたぬきまりの)や韓国市民に火炎瓶を投げ付けられて全身が火達磨になった老婆に直撃。

 斉洋早蔵(さいようそうぞう)と弟の安蔵は鴆の猛毒の攻撃を受けて崖の下にソンヒや鞠乃らと共に落下。

 そして最後に神崎悟を門脇将人が斬り付けて、崖下へと転落させる。

 その時、神崎悟が手にしていた小田原修司の兜が手から離れてしまった。

「鬼神殿! 鬼神殿! 鬼神殿ーー……!」

 深い深い奈落の底へと落ちて行く神崎悟は、そしてリベンジャーズは自分達の手元から離れていく鬼神の象徴でもあった兜に手を差し伸べながら深淵の闇の中へと消えていった。

 これに村田順一は失意に駆られた。自分と同じく鬼神に強い憧れを抱いていたリベンジャーズと少しでも話し合う機会が欲しかった。しかし、それは既に闇の中へと消えてしまった。

 一方のルーキーズは、死体を回収できない状況に己のミスを強く感じながらも、リベンジャーズという凶賊を討ち取った経緯に満足していた。

 しかし順一だけは、リベンジャーズとは本当に別の形で絆を結べられなかったのかと己を責め立てていた。リベンジャーズが姿を消した、深淵の闇を見下ろしながら。

 

 

[人間(ひと)と名前]

 

「リベンジャーズ、この愚者が……畜生に酔うたか、現実(いま)に目覚めよ……」

 彼らは夢を見ていた。とても充実した夢を。

 革命軍士傘下の者として、思うがままに暴挙を重ね、宿敵・小田原修司と死線を乗り越えた日々。

 しかしそれらは、最早只の夢であった。

 そっと瞼を持ち上げた時、そこは深い沼の中。

 転落した身を救った、ねっとりとした柔らかい土壌は、同時に手放したものとの再会が困難である事を示していた。

「俺達は……リベンジャーズ……誰よりも、人の生き様を求めるモノ……」

 

 沼の中で目覚めたリベンジャーズが瞼を開けてみると、まず最初に飛び込んできたのは薄暗い曇天だった。

「……夢、幻の、如くなり……」

 そう呟くとリベンジャーズは再び気を失ってしまう。

 それからどれだけ時が過ぎただろうか。彼らは手元にあった兜が無くなっている事に気付いた。

「……無い……無い……無い……無い……」

「何処にいるんだ? 隠れてないで出てきてくれ……!」

「鬼神よ、お前が見ていてくれないと……俺達は、怖くて先に進めない……!」

 六人は兜を探しながら、昏迷の状態で立ち上がり、首級(しるし)である兜を探索し始めた。

「お労しや鬼神殿……俺達が必ず、お前を見つけてやろうぞ……」

 リベンジャーズは小田原修司の片鱗を捜し求めるかの様に兜を、織田信長の首級(しるし)を捜し始めた。

「月、星……まるで必要ない……」

 その道中、六人は当ても無い道を進みながら空に薄らと浮かぶ月と星を見上げて、鬼神の御側役とも言える聖龍HEADの事を思い出した。

「鳥……あの助平な奴でもあるまいし……」

 そして空を、木々の間を飛び交う鳥を見て、聖龍隊の副長を思い出す。

「鞭……緑の小僧でもあるまいし……」

 道端に落ちていた縄を見詰めて、聖龍隊参謀総長の事を思い出した。

「鏡……おや、聖女。貴女も手伝ってくれるのかしら?」

 さらに道端に落ちている鏡の破片を目にして、鬼神を愛する聖女の事を思い出す六人。

「何が間違いだったのか、今でも解らない……」

 鬼神と呼ばれた小田原修司と渡り合った数々の悪事を思い返して、何がどう間違っていたのか理解できない六人。

「鬼神よ、俺達が憎かったのではなかったのか? どうして、俺達の前から遠ざかる……」

 そして六人は気付いた。憎しみながらも、彼の、小田原修司の憎悪の眼差しは、同時に自分達を見守ってくれている尊い瞳である事を。その瞳を求める様に、六人は林の中を彷徨う。

「気付けたのは、俺達が違うという事だけ……周囲の視線がそう物語っていたからな……」

 過去から現在に掛けて、今に至るまで周囲の眼差しが自分達を異端なる存在と識別していた眼差しを思い返す六人。

「歪んだ悦び以外、知る術は無かった……ただ、それだけだったのに……」

 悪事で得た悦び意外、感じた経験が無い六人は何処から何が間違っていたのか見当も付かなかった。

「お叱りを賜りたい……貴殿の怒声を耳に入れたい……」

 鬼神・小田原修司からの叱咤を耳に入れなければ生きた心地がしないと実感する六人。

「刻み、抉り……朱色に染まった声を肴に……」

「憎悪に滾る貴方と……もう一度殺し合いたい……」

 恐怖に染まった声を肴に、鬼神と今一度殺し合いたいと懐かしむ様に思い詰める六人。

「かつての過去で知り得なかった貴殿の心を、今一度……」

 今まで幾度と無く戦ってきたのに気付けなかった、そして知り得なかった鬼神の真情を知りたいと切実に願う六人。

 六人がそうして、小田原修司の片鱗を捜し求めていると、林の中から突然多勢の軍勢が飛び出してきて六人を囲む。

 すると深い霧の中から三人組の男たちが、縦に組み合いながら出現した。

「我らに名前は無い……」

「我らに懺悔は無い」

「故に……お前達にも何もない……そうか」

「……違うか」

「……殺れば分かる」

 その三人は、互いに神妙な台詞を呟くと一気に跳躍して、六人の前に立ちはだかった。

「時はあるのだ。陽は既に落ちている」

 

必殺非業 三好三人衆 登場

 

 この突然の来襲に、六人は三好三人衆に問い掛けた。

首級(しるし)を……あの方を知りませんか?」

「あれがなければ、我々は自分を保てない……!」

 織田信長に憑依され、自分達を最後まで許さなかった小田原修司が憑依時に着用していた兜を首級(しるし)として捜し求めている六人に三次三人衆は言った。

「悪鬼か……」

「悪鬼だな……」

「ああ、迷い出た地底の仔だ……」

 混沌とする空気の中、六人は直ちに反論した。

「俺達は、人間だ……」

「何処にでも居る、珍しくもない、ただの人……」

 しかしこれに三次三人衆は言い返した。

「人だと……?」

「違うな……」

「人は首級(しるし)を愛さない……」

 この言葉に、六人の精神は一気に常軌を逸した。

『………………』

「死が欲しい……殺さなくては物足りない……!」

 六人は一気に自分達を取り囲む軍勢に襲い掛かり、ある者は相手の頚動脈を噛み千切り、ある者は地面に落ちていたボロボロの小刀で軍勢を惨殺していった。

 相手の軍勢も、突如として襲い掛かってくる六人に恐れ戦き、抗戦しようと試みるが、六人はあっという間に軍勢を片付けてしまった。

「は、はは……はははははっ」

 倒れた兵士に跨り、何度も何度も近場にあった石で兵士の顔面を何度も殴打していくソンヒ。そして綿貫鞠乃(わたぬきまりの)は返り血を全身に浴びて錯乱状態に陥ってしまう。

 気付けば六人は、自分達を取り囲んでいた軍勢を全て返り討ちにして、その返り血を全身に浴びながら未だに絶命した兵士の亡骸を痛め付けていた。

 全身に兵士の返り血を浴びた六人は、もはや精神が完全に崩壊してしまい狂気へと染め上がってしまった。

 すると六人は、霧が漂う林の奥より漂う焔の香りに誘われる様に足が進んだ。

「……ククッ、クッ、クッ……うう……う、クク……」

 血で染まった顔、その顔から絶望の涙と狂気の笑みを零しながら進む六人を凝視して三好三人衆は言った。

「そうだ、それでいい……」

「始めからそうしろ……」

「……お前らは、我らも及ばぬ死神なのだから」

 三好三人衆のこの言葉に、六人は己の実情に絶望した。

「ああ、そうか……俺達は結局……人には戻れないのか……」

「俺は! 俺達はッ! クグ、う、ハハハ!」

「アァァ! アァア! ッウァァハッハッウァァ……」

 悪人であった自分たち、多くの人々を嘆きに誘った自分達は、元々人間ではない畜生だったのだと気が付き、嘆きながらも狂い笑ってしまう六人。

 

 そんな六人が絶望したまま林を抜け、霧が発ち込める場から抜け出してみると、そこは殺風景な大地が広がっていた。

 その大地の中央には、六人には見知らぬ一人の男が立っていた。

「其処の方……どうか情けを……」

「俺達を……殺してくれ!」

「もう、もう耐えられない……人として、戻れない日々に……!」

 涙ながらに自分達を殺してくれる様に嘆願する六人を前に、男は訊ねた。

「卿らは何故、死を求めるのかね?」

 すると六人は真にその答を明かした。

「俺達は、ただ……愛されたい……俺達は、慈しみたい……!」

「ただ、微笑みたい!」

「俺は、俺達は……人に戻りたかった……!」

「それが叶わぬこの世に未練など無い……さあ、どうか! 俺達に死を、与えてくれ……!」

 切実に訴える男達。涙をボロボロと流して切願するソンヒたち女達。

 彼らの、彼女らの願いを聞いた男は真顔で一言。

「お断りしよう」

 この男の拒否に、六人は表情を険しく一変させると男に問い詰めた。

『…………何故だ?』

 すると男は、怒りの感情に迸った六人にこう告げた。

「卿らの中に……焼くには惜しいものが見えるのでね」

 男の名は永皇輪(エイ コウリン)。己の中の欲望に忠実な、純粋な人間だった。

 その永皇輪(エイ コウリン)と一戦始めた六人は、今は側にはいない鬼神に向けて言い放った。

「見ていて下さい、鬼神殿! 我らリベンジャーズ、いま御傍へと参ります……!」

 常軌を逸した人を超えた存在、鬼神・小田原修司の側へと参る勢いで戦う六人だったが、そんな六人に永皇輪(エイ コウリン)は申した。

「諦めたまえ、人の身で辿り着くのは不可能だ」

 この永皇輪(エイ コウリン)の発言に、六人は目を丸くして驚いた。

「俺達を……人として見做してくれるのか……?」

「元来は、ね……卿らは気付かなかったようだが」

 狂気のどん底に、畜生に成り果てた自分達を人間と見做してくれる永皇輪(エイ コウリン)の言葉に六人は動揺するのだが、永皇輪(エイ コウリン)は更に六人に告げた。

「人に成り損ねた理由……まあ、簡単な話だ。忘れてただけだよ、己が人である事を」

「俺達が、元々、人間……?」

 永皇輪(エイ コウリン)にとって欲望に忠実な存在こそ人間であった。故に六人にその事実を突き返したのだ。

人間(ひと)を目指して砕けた人間(ひと)……とんだ喜劇だな。……卿らはその程度、容易く気付くと思ったがね」

 永皇輪(エイ コウリン)から人間だと認められた六人は狂喜に駆り立てられた。

「俺は、俺達は……? ああ……!」

「鬼神よ、鬼神よ……お聞きになられたか!?」

「ククククククククク、ハハハハハハハハハ!」

 自分達は人間。ただの欲深い業の深い人間だと説かれた六人は、狂喜で笑い上げた。

 しかし、そんな六人を前に永皇輪(エイ コウリン)は彼らの心という器が既に壊れてしまってる事実を見抜く。

「卿らは人ではなく、魔物でもない。壊れた器に名称など不要だ」

 そう唱えると、永皇輪(エイ コウリン)は左手を頭より高く掲げて、そこで指をパチンと鳴らした。すると六人が立っている大地が爆発し、炸裂して陥没。この衝撃で六人は吹き飛んでしまった。

 

 爆発で吹き飛ばされ、地面に叩き付けられた六人に永皇輪(エイ コウリン)が歩み寄る。

 そして一人一人の顔に手を当てて、何かをすると、最後に彼は神崎悟の顔に手を掛けた。

「さて、名も無き残骸たちよ……」

「名前なら、ある……俺達は、リベンジャー……」

「ハハハ、違うだろう。壊れたものに名称など不要だ」

 永皇輪(エイ コウリン)は六人を壊れたものとして見定め、彼らから何かを、宝になるものを奪おうとしていた。

 そして永皇輪(エイ コウリン)が六人から奪ったものとは。

「そうだな……やはりこれが良い。卿らからは名前を貰おう。鬼神と対峙した逆賊リベンジャーズとしての名……時の流れに取り残された逸話上の宝……この手の上に飾る価値はある」

 こうして永皇輪(エイ コウリン)は六人から名前という存在を奪い取り、名を失った六人に告げた。

「これで卿らにはもう何もない。もう人にも成れやしない」

 人間に戻る事も、成る事もできないと告げる永皇輪(エイ コウリン)

「這いずるも良し、朽ちるも良し。卿らの選んだ、それこそが真理……!」

 そんな名を失った六人に、永皇輪(エイ コウリン)は最後にこう言い残して立ち去った。

「では、さようならだ」

 こうして名前を奪われ、人間へ成れる道筋を失った六人はそのまま意識を失った。

 

 

 

[黒い衣]

 

 目を覚ましてみると、周りには覚えのある顔が。

 しかし彼らの名前も、自分の名前も思い出せない六人。

「……私は……誰なの……?」

「俺の……俺の名は……」

「俺の名前は、何だったんだ……? 応えてくれ、兄者」

「弟よ……俺は、お前が弟である事は解るが……名前だけが思い出せない」

 六人は途方に暮れた。自分の名前、そして相手の名前すら思い出せない現状に昏迷していた。

 そんな六人が思い詰めた末に、思い出したのは。あの鬼神・小田原修司との戦闘だった。

 

「ひぃぃっ!」

 逃げ惑う一人のリベンジャーズ兵。そんな兵士に小田原修司は容赦なく銃撃をお見舞いする。

「うあ……うわっ!」

 銃撃を受けたリベンジャーズ兵は、戦場に散った。

 そんな戦意無き者にも容赦なく殺める小田原修司の凶行にリベンジャーズ六名は戦場で倒れたまま睨み付ける。

「お、小田原修司……!」

 睨み付けてくる六名を前に、小田原修司は悠然と語り掛けてきた。

「愚かなり、リベンジャーズ……!」

 すると小田原修司の姿が織田信長に、傍らの聖龍HEADを含む周りの軍勢は織田軍の姿と重なって見え始めた。

 そんな織田信長と重なった小田原修司は、六名に高々と告げた。

「例え、いくら貴様らが足掻こうが……歴史という壮大な時の流れに逆らう事は出来ぬ」

 修司はリベンジャーズに、自分に歯向かう行為は全て歴史の流れに逆らう愚行だと説き始める。

「この俺の心に巣食う闇の精神は、いわば歴史という壮大な時の流れを創造し得る黒衣……そう、歴史という舞台を裏から操り巧みに動かす事が出来得る舞台裏で働く黒衣の如き役割を持つ。この働きに逆らう愚者は、我が闇の心にて存在そのものを抹消されし愚かな逆賊でしかないのだ……!」

 リベンジャーズがやっている事は歴史の流れに仇名す逆賊行為、そしてその歴史を司り創造し操る事ができるのは黒衣の如き精神しかないと説く修司の言動に、リベンジャーズは奮い上がった。

「ッ……! うわあーーーー……っ!」

 そんな奮い立つリベンジャーズに、修司は怖気づく事無く威風堂々と立ち向かった。

「ハハハハッ、うつけがァッ!」

 そして歴史を影で、裏から操り創生できる闇の心を持つ修司にリベンジャーズは幾度と無く歯向かい、そして何度も敗北した。

 

 過去の小田原修司との死闘を思い出した名を奪われた六人。

 かつての小田原修司との死闘を思い出した六人は、行動に移った。

「もう一度、向き合いたい……」

 甲冑を拾い集め、その破片で自らの甲冑を作り始め。

「もう一度、賜りたい……」

 黒き衣をその身に纏い。

「もう一度……殺り直したい……!」

 六人は、過去を捨て、今までの自分達の所業を捨てて黒い衣を纏った。

 全ては、自分達を落とし入れ、存在そのものを奪った小田原修司と同等に立ち向かいたいが為に。

 

 

 

 

 

 

 時は過ぎて、ある土砂降りの山奥で。

「ゼェ、ゼェ、ゼェ、ゼェ……」

 一人の青年が息を切らしながら山の中を彷徨っていた。

「うわあっ、もうダメ! 道が分からないよぉっ」

 青年の名はシャ・キンカ。食いしん坊が売りのちょっと気弱な青年。

「ここは誰? ぼくは何処!? どうして誰も助けに来てくれないの!?」

 キンカは山中で採れる山菜を巡って徘徊していたのだが、いつの間にか迷子になってしまったようだ。

「出るぅ、お化けとか絶対に出る~~……!」

 雷鳴が轟く中、キンカは薄気味悪い天気に非常に恐がっていた。

 すると、そんなキンカの前に二人の人影が雷鳴と共に現われた。

「ひぎゃあああぁぁあ! 出た~~ッ!」

 人影を見て、幽霊かと思い込んだキンカは慌ててその場から逃げ出そうと駆け出す。

「ごめんなさいごめんなさい、ごめんなさいごめんなさい……」

 しかし転倒してしまい、逃げられなくなったキンカは慌てて二人組の方へと頭を向けて平謝りをした。

「ご~~め~~ん~~な~~さぁい~~……!!」

 しかし二人組はキンカに危害を及ばす事も無く、雨に濡れるキンカを気遣った。

「……大丈夫ですか?」

「そんなに濡れてしまって……」

「え……? あ、ありがとう……」

 キンカは二人に礼を述べると、二人組はキンカを導く様に近場の洞窟へと誘った。

 そこには他にも四名の黒い衣を纏った男女の姿があった。

「迷い子です。どうか、彼に慈悲を……」

 キンカを誘った細身の黒い衣の男が、洞窟内の仲間と想われる黒い衣の集団に問い掛ける。

 すると宙に浮く神輿に乗る黒い衣の人物が、洞窟内で調理したと想われる大鍋の中から全身を隈なく包帯で巻き付けている者が汁をよそい、キンカに手渡した。

「……ほれ、温まるぞ」

「あ、ありがとうございます……」

 キンカは得体の知れない、怪しい風貌の六人に怯えながらも汁物を受け取り、それを口に運んだ。

「うぐ、うぐ…………ぷはぁ、美味しい……!」

 キンカは手渡された汁物の何とも美味しい味にすっかり魅了されてしまった。

「あ、ありがとう。お陰で雨で冷え切った体が奥からポカポカ温まってきたよ」

 礼を述べるキンカは、六人組に不思議そうに訊ねた。

「え、え~~っと……君たちは、なんでこんな山奥に居るの?」

『………………』

「お家は、ないの?」

『………………』

 しかし六人組はキンカの質問に答える気配が無かった。

 そしてキンカは最後に、六人に問い掛けた。

「君らは……誰なの?」

 するとキンカを洞窟に誘った二人のうち、太り気味の男とは反対に細身の男が呟き出した。

「……私は……」

 するとそれに続いて六人の中で最も屈強な男も呟く様に喋り始めた。

「……俺たちは……」

「……?」

 キンカは続々と呟き出す六人の言動に耳を向けた。

 この時、六人は過去に受けた数々の暴虐や奪われた名、そして鬼神から受けた経験を基に想っていた。

 首級(しるし)を得て初めて感じた鬼神への憧れ、人間(ひと)に戻りたかったかつての自分達、そして人間(ひと)としての名前という器を失った現在。

 六人はシャ・キンカの質問に答えた。

 

「私達は……」

「俺達は……」

『………………黒衣衆』

 

 

 それから間もなく、中国・韓国を中心に同時テロが起き、それを切っ掛けにアジア各国・各地の将軍や武人が名乗りを挙げたアジア大戦の幕が上がった。

 その背後には、黒い衣を纏った六人の僧侶や尼の存在が在ったという。

 

 

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