聖龍伝説:現政奉還記 創生の章:昔語り編   作:セイントドラゴン・レジェンド

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現政奉還記 創生の章 昔語り【パラダイス・ロスト 新世代型二次元人との戦い】

[あらすじ]

 

 遂に長年に渡る革命軍士との戦いに終止符が打たれた。

 革命軍士は世界各地に放射能爆弾を設置し、世界を死の灰で覆い尽くそうとドラゴンは企んでいた。

 ブラッディ・ドラゴンは全戦力を投下する最終戦の地に、放射能で市の街と化したチェルノブイリを指定。

 すぐさま聖龍隊は全戦力を投下してドラゴン率いる革命軍士と最終決戦に臨もうとする。

 この最終決戦を聞きつけて、ドラゴンの義弟であるガイア・スコーピオンも配下であるスコーピオン同盟を引き連れて戦場に参戦。兄貴分であるドラゴンを止めようと画策する。

 一方で、聖龍隊は幹部達と彼等を引き連れて参戦した長年の宿敵メカルスの意思が詰まっているソウル・コアを遂に破壊。メカルスとの戦いを終わらせられた。

 革命軍士との戦いが各所で収束に進展していく中、ガイアとメカルスを倒した聖龍HEADは先にドラゴン討伐に向かった小田原修司の許へと急いだ。

 そしてガイア達が駆け付けてみると、そこにはドラゴンに徹底的に叩きのめされた小田原修司の姿が。

 小田原修司の治療をヨード剤を使いながら済ましている中、ドラゴンはガイアに今からでも革命軍士に加わり世界中を放射能で埋め尽くそうと勧誘する。

 

 ドラゴンの正体、それはかつて原発事故で被曝したチェルノブイリの子供であり、同時に事故を隠蔽した高官の息子だったのだ。

 幼い頃から愛国心を教育されたにも関わらず、故郷であるチェルノブイリを放射能で埋め尽くしただけに非ずその事故を隠蔽した父親たち政府の高官に絶望したドラゴン。

 しかしドラゴンは同時に、人間が完全に不在となったチェルノブイリに自然が活気付いては目まぐるしい程の緑化が進行しているのを感じ取った。

 そして次第に彼は、人間の居ない環境こそ真に美しい自然なのだと悟り、全身に浴びた上に体内に蓄積された放射能を操る力で世界に戦いを挑んでいたのだ。

 

 己が操る放射能の力で世界中から人間を消滅させて、美しい自然の活性化を促そうとするドラゴンに弟分のガイアは真っ向から反対。ドラゴンに対峙する姿勢を見せた。

 これによりドラゴンは自身が持つ放射能の力で得た竜化する変身能力で、巨大な漆黒の竜へと姿を変えると放射能熱線を吐いて攻撃。

 巨大ロボの投下も、全身から強度の放射能を拡散し、口からも放射能熱線を吐くドラゴンの猛威に歯止めが効かなかった。

 ドラゴンの巨大な竜への変身を前に、ガイアは諦めず単身でもドラゴンに挑む意志を示す。これに修司が嘲笑するが、ガイアの意志は固かった。

 このガイアの意志を前にした修司は、自分だけでは敵わなかったドラゴン制止にガイアとの共闘を申し込む。

 そしてガイアは修司を筆頭とした聖龍HEADが陣形を組んで成す必殺の連携技「大聖光 魔鳥」に飛び乗って、そのまま空を滑空しながら巨大な竜のドラゴンに接近しつつ攻撃していく戦法で挑む。

 ガイアと聖龍HEADの共闘が功を奏したのか、ドラゴンの力は弱まり、最後には人の姿へと戻っていった。

 しかしドラゴンは人間に戻る前に、聖龍HEADへ放射能熱線を吐いて攻撃し、修司とガイア以外の面々を一瞬で満身創痍にしてしまう。

 HEADが地上に落ちていくが、大地に激突する寸前でクリスタル・スコーピオンが指揮するスコーピオン同盟に受け止められ、全員にヨード剤を投与して治療している間にガイアと修司にドラゴンと最後の死闘を嘆願。

 仲間であるHEADの無事を確認した修司と、実弟たちの意志を汲み取ったガイアの両名は、揃って人間形態に戻っても尚、全身から放射能を発するドラゴンと正真正銘最後の戦いに挑む。

 そして遂にドラゴンは、最終的にガイアの強烈な一打を浴びて、絶望とささやかな理想に捕らわれれていたその人生に幕を下ろした。

 ドラゴンの死を見取ったガイアは、兄貴分であるドラゴンの死体を聖龍隊に任せて配下の者たちと共に姿を晦ました。

 そして聖龍隊は、二次元界の科学技術でチェルノブイリの放射能を除去して、国連を通じてチェルノブイリを自然公園へと生まれ変わらせた。

 その自然公園の中央区には、ブラッディ・ドラゴンの墓標を建造して多くの環境客が訪れる様にした。

 

 聖龍隊がドラゴンを倒した事で、革命軍士は空中分解。世界各地に散り散りになった。

 そして長い間、国連に自らの人権を渡した事で、如何なる残虐な行為も人間兵器として正当化された小田原修司は、宣告通り革命軍士を倒した事で人間兵器としての役目から辞任した。

 同時に国連からは人権を返還された事で、修司も人間兵器としての権限を国連に返還した事で、小田原修司は人権のある一人の人間に戻れた。

 人間兵器としての責務から解放された小田原修司は、自分が兵器でなくなった世界がどの様に変わるのかを見届ける為に、アニメタウンを発つ事に。

 その際、小田原修司は長い間、人間の心を理解できない自分を慕い愛してくれた加賀美あつこに、彼女の誕生石であるサファイアの婚約指輪を手渡して、自らの想いを打ち明けた。

 そして自分に少し正直になった小田原修司は世界へと羽ばたいた。

 聖龍隊の総長を腹心の友であるバーンズに、アニメタウン市長の椅子を長年仕えてくれたウッズに託して。

 

 

 ……以上を当事者でもある聖龍隊から明かされて、聴き入っている新世代型たちやシバ・カァチェンは衝撃を与えられた。

「あのドラゴンとガイア・スコーピオンの生い立ちが、まさかチェルノブイリから始まっていたとは……」

「放射能で汚染された街の片隅からガイアを拾って、共に生存していたなんて驚きだな……」

 ブラッディ・ドラゴンとガイア・スコーピオンの生い立ちを聞いて、新世代型の出雲ハルキや瀬名アラタ達は驚くばかり。

「よく人間がいない世界の方が、自然が豊かになるって話を聞いているけど……あのドラゴンもその思想に近いものを抱いていたんだな」

「なんだか、強く反論できない……」

 ドラゴンが抱いた思想に半ば共感し、強く否定が出来ない現状を室戸大智や御舟百合子ら新世代型達は感じ取っていた。

「自分の故郷が汚染され、挙句の果てには信じていた祖国にも裏切られたドラゴンが余りにも……」

「ええ、かわいそうですよね……」

 ドラゴンの凄惨な過去を知って、ドラゴンに同情したくなる美都玲奈とイオリ・リン子。

「信じられない……放射能を浴びて死なないだけでも異常なのに、その放射能を操る上に正真正銘のドラゴンに変身できるだなんて……!」

「ブラッディ・ドラゴンの肉体の変化は今でも謎に包まれている。何ゆえ放射能を体内に蓄積できたのか、そして何故正真正銘のドラゴンに変身できる様になったのか不明なままだ」

 棗京介の疑問に、バーンズが代弁する。

「無茶苦茶だよな! 放射能を操るだけじゃなく、名前の通りドラゴンに変身できるだなんて」

「ホントに苦戦させられたよ……下手に攻撃を受けたら、それこそ今でも後遺症に苦しんでいたかもしれないからね」

 新世代型の真鍋義久の言葉に、ジュニアが当時を振り返りながら語る。

「ドラゴンの思想には今でも考えさせられるわ……果てして、この自然溢れる地球に人間は本当に必要なのかって」

「ちょ、ちょっとアッコ。おっかねェこと言わないでくれよ……」

 アッコの人間の存在価値に対する発言を聞いて、大将は戸惑ってしまう。

「でも、あのガイアがドラゴンを止めようとする行動に、私たちの始祖、小田原修司が賛同してくれたのが何より嬉しいです!」

「そうね。修司もあの時ばかりはガイアの率直な想いに共感してくれたのかもね」

 新世代型の彩瀬なるの喜ぶ様子に、アッコは当時の修司の心情を説いた。

「まさか聖龍隊の最大奥義である大聖光・魔鳥でガイアを乗せて戦うとは……その発想が凄い!」

「あん時は修司がガイアに任せっきりにしようって言い出したもんだから仕方なくな……オレも他のHEADも渋々ガイアを乗せて飛んだんだぜ。いやぁ、重かった重かった」

 猿田学の称賛する発言に、バーンズは当時の気苦労を語りながら返事した。

「スーパーロボットでも歯が立たなかった状況で、修司はガイアと意志が共鳴したからこそ、一緒に戦おうって提案してくれたのかもしれないわ」

 バーンズの話にアッコが当時の修司の心境を付け加える。

「生命を強くさせる可能性を放射能は持っているって……本当にそうなのかな?」

「オレ達もチェルノブイリの自然公園で見たけど、確かに一度は被爆した筈なのに動植物は盛んだったけど……」

「ドラゴンの言うとおり、放射能が生命を強くさせ、理想を超えた力だって言うのは今でも賛否両論だ。実際、今はなんともなくても何世代か後には放射能の影響で奇形児を産む動物が現われるかもしれない」

 イオリ・セイやレイジ・アスナがチェルノブイリ自然公園で目撃した豊かな自然を思い返して考えていると、バーンズが放射能が生命を強くさせる力なのかは考えさせられると真理を説く。

「奇形児の可能性や人類が滅んだ後の虚しさをドラゴンに言った修司さんやガイアの発言は良かったですね。僕も放射能が正しいものかどうか、疑問が感じられます」

 今までの話を聞いて、斉木楠雄が修司やガイアの発言に賛同する言動を述べると、バーンズが語った。

「そうだな。しかも事件後、ドラゴンは前もってチェルノブイリの原発事故の隠蔽に携わった人間を実名で暴露していたからな。殆どの連中が居場所を失くして国から逃亡する形で雲隠れした。ドラゴンも愛国心は間違ってなかったけど、それを裏切られたのが相当ショックだったんだろう……」

 バーンズが語り明かすと、アッコがドラゴンの最後を述べる。

「最終的にチェルノブイリが自然公園として環境を維持し、そしてその中央区にはドラゴン自身の墓標が建てられて何だか複雑な終わり方を迎えたけどね……」

 祖国に裏切られ、最終的には自らと同じ被爆した故郷で永眠する事になったドラゴンの死を、アッコは悲痛な心境で語った。

 すると話は、自分達の始祖小田原修司に人権が戻ったところに新世代型達は話を移した。

「で、でもよ、小田原修司に人権が戻ってきて……良かったよな!?」

「そうだね。これでようやく修司さんとアッコさんが婚約できた訳だし……まあ、人間兵器としての罪も国連に移ったのが複雑だけど」

 燃堂力に琴裏春香が、小田原修司に人権が返還された事態に淡い喜びを抱いていると、バーンズがそれに付け加えた。

「まあな、修司もこれでようやく正真正銘の人間に戻れた訳だし、アッコにも素直な気持ちを告白してくれて嬉しいけど……罪人に対して過激な言動を取っていた際の罪状全てが国連に移った事で、これまた多くの人間が嘆いたのも事実だけどな」

 バーンズの説明に、小田原修司の末裔である新世代型達は複雑な心持に至った。

 

 そんな新世代型二次元人たちが革命軍士との戦いの顛末を聞いたところで、赤塚組の首領である大将がバーンズに訊ねた。

「……それでバーンズ。俺達がもっともお前たち聖龍隊に聞きたかった核心があるんだが……」

「なんだ?」

 バーンズが訊き返すと、大将は真剣な顔付きで問い掛けた。

「修司がいなくなり……お前が聖龍隊の総長に就任した後の話だ。そう、修司が表舞台から消えて翌年の事……軌道エレベーターヤコブの関連施設で起きた、当時の新世代型二次元人の反乱について……」

 大将の質問を聞いて、その場の新世代型二次元人達は衝撃を受ける。自分達が出生する前にこの世に生み出された初期の新世代型二次元人、その反乱の詳細は今まで語られる事が無かったからだ。

 この大将の質問を受けて、バーンズは重い口を開いて話した。

「そっか、今まで長く長く昔語りをお前らに聞かしてきた訳だが、遂にこの話題に触れるまで時間が遡って来ちまった訳か」

 バーンズは今まで軌道エレベーター関連の施設で起きた反乱を、そう初期の新世代型二次元人の異常者(ヒール)化について語るのを躊躇っていた。

 しかし今の新しい新世代型二次元人達は、既に多くの事実を知ってしまってる。特に自分たち新世代型が、あの小田原修司のクローンに近い種族であると言う過酷な現実をも周知してしまってる。

 この現状を察して、バーンズやアッコ、そして多くの聖龍隊士が新世代型二次元人たちに当時の戦いについて語り明かす決意を固めた。

 以前、タイの生物兵器研究所で行く手を阻んだ初期の新世代型二次元人たちと、当時は既に滅んでいる革命軍士の総司令官メカルス、そして何よりも当時の機動エレベータの管理官ルミネとの間に起きた忌まわしい戦いの経緯を語り始めた。

「話す以上、お前らも耳をかっぽじってよーーく聞いとけよ。今まで以上に。お前たち新世代型が何ゆえ今でも危険視されているか、を……」

 新世代型二次元人たち、チョコやギュービッドらプロト世代、そして三次元人であるシバ・カァチェンはバーンズ達が語り明かす初期の新世代型との戦いを、それぞれ複雑な心境で聴き入った。

 

 

[プロローグ]

 

 時は2013年2月

 繰り返される二次元人の争乱により、地上は荒廃。三次元人は新たな居住可能な新天地へと目指していた。

 それは他でもない、地球の夜空に燦々と光を照らす月。そう三次元人は宇宙への移住計画を進めたのだ。

 その発端として、まず政府は月への移住計画を中心に宇宙開発に着手。

 この計画の為に「ヤコブ」と呼ばれる軌道エレベーターが建設され、同時に高性能な新世代型二次元人が月面開発計画に参加した。

 二次元人の技術を中心とした建造技術で建てられた軌道エレベーターだったが、十分にも三次元界の技術で成り立つ建造物だった為、旧世代の二次元人の手は余り借りなかった。

 その代わり、新時代にも適応し、如何なる環境下でも適応できる新世代型二次元人たちがヤコブ関連の施設で働いた。

 しかし、毎日24時間稼動する軌道エレベーターのモノレール式昇降コンテナが限界に達した。

 コンテナの中には多くの新世代型二次元人が搭乗してた。

 そのコンテナが、エレベーターの最上部に急速上昇していたその時。コンテナを上昇させるレールに異常が発生し、コンテナが連結されているレールは爆発。コンテナは空中に吹っ飛んでしまった。

 そしてコンテナは宙へと待った後、地上へと落下してしまった。

 

「下り四番コンテナに事故発生 繰り返す……」

 コンテナが落下したのは、幸いにも深夜だった為に無人だったヤコブ周辺に建造された高速道路の真上だった。

 しかし二次災害は発生しなかったものの、まだコンテナ内には作業員である新世代型が閉じ込められている現状。

 この事故現場には、前もって事故を予知した超能力機関から情報を聞いていた聖龍隊士が現場に赴任していた。

「こちら村田順一。やはり予知課の予知通り、事故が起こりました。幸い、落下地点には人は無く、事故による二次災害は発生していません。ですが、まだコンテナ内の人間の救出には至っていません。辺りが炎上している為に救出はもちろんコンテナに近付くのも困難。至急、救助隊を派遣されたし……」

 聖龍隊が総合部隊にして日本皇軍のスター・コマンドーの総部隊長である村田順一は、仲間であるサイキックチルドレンが所属していた信頼できる超能力機関の予知を聞いて、皇族の許可を取った上でヤコブ周辺の警備に当たっていた。

 天皇家が承諾した背景には、日本を含む多くの国家が多額の資金を提供して建造した軌道エレベーターに何か問題が起こるのを恐れての事だった。

 今や軌道エレベーターヤコブは、国連管轄の下、作業している二次元人同様、新世代型二次元人にヤコブの管理官を勤めさせている。

 と、順一が通信で事故の報告をしていると、炎上するコンテナが激しく動き、扉の隙間から大きな手を出しては強引に扉を開けようとしていた。

「あ、待ってください! 生存者がいました、呼びかけてみます!」

 コンテナ内の生存者を認識した順一が慌てて駆け寄り、炎上するコンテナに向かって呼びかけた。

「大丈夫ですか! すぐに救助隊が駆け付けます、無理をしない、で…………」

 と、順一が呼びかけていると、彼の視線の先には驚くべき衝撃の光景が飛び込んできた。

 なんとコンテナの扉を自力で押し開けて、中から燃え盛る道路に平然と出て来たのは、今では完全に破壊されたと思われていた革命軍士の総司令官にして前聖龍隊総長である小田原修司のコピーロボットであるメカルスだった。

「………………!」

 過去に幾度と無く戦い、そして倒したメカルスの出現という余りの事態に言葉を失くす順一。

 しかもメカルスが一体だけではなく、他にも続々とコンテナの中から出没し、事故で炎上する道路を瞬く間に埋め尽くした。

 まるで順一は悪夢を見ているかのようだった。目の前に、無数のメカルスが移動用コンテナの中から出現し、炎上する事故現場の中を悠然と歩くのだった。

「め、メカルス……!?」

 順一は慌てて装備していた日本刀を抜刀し、目前に並列するメカルスの団体に刃を向けた。

「止まれ! 止まるんだ!」

 するとメカルスの団体は順一の指示通りに停止。

「!?」

 素直に言う事を聞いたメカルスの団体に驚きを隠せない順一は、彼らに警告する。

「敵意が無いのなら、両手を頭の上に乗せるんだ!」

 するとメカルス達はこれまた言う通りに両手を頭の上に乗せて敵意が無いことを伝える。

「き、君達は一体何者なんだ?」

 動揺が抑えきれない順一が問い詰めると、メカルスの集団が左右に分かれて群集の中から一人の独特な髪形をした二次元人が現れ、未だ警戒する順一に説明した。

「事故から身を守るために、頑丈な機械ボディを持つメカルスに変身して難を逃れたのです。私たち新世代型二次元人には、無機物・有機物どちらにも変身可能な特別な遺伝子が用いられているんです」

 そう謎の二次元人が説明してると、彼の隣で立っていたメカルスから続々と変身が解除されていき、元の普通の二次元人の姿へと戻っていった。

 順一がこのメカルスから一般の二次元人へと変身を解除して元の姿に戻っていく光景に驚愕していると、謎の二次元人は更に説いた。

異常者(ヒール)として悪名高いメカルスに変身しても……私達には何の影響もありません」

 この説明を聞いて、ようやく武装解除した順一は二次元人に訊ねた。

「あなたは……?」

 すると謎の二次元人は自らの名を役職と共に名乗った。

「私はルミネ………………この軌道エレベーター、ヤコブの管理官です」

 メカルスにも変身可能な多くの新世代型二次元人を統率する管理官ルミネの登場に、順一は唖然とするばかりであった。

 

「……と、いう事があったんだ。いやあ、驚いたよ。まさか、あのメカルスにまでも変身する事ができるなんてね、新世代型は」

「なるほど……私やアッコおねえちゃんみたいに、無機物であるロボットのメカルスにも変身できるなんて……噂以上ね、新世代型は」

 翌日、順一は聖龍隊本部で昨晩の話を仲間であるスター・コマンドーや後輩であるスター・ルーキーズの面々に話してた。順一の話を聞いてルーキーズ総部隊長のミラールは話に聞いていた以上に、新世代型が高性能だと実感する。

 順一達スター・コマンドーは、本来は日本皇軍としての職務に就いているが、日本政府も多額の出資をした軌道エレベーターの警備の任に就かせる為に一時聖龍隊に身を置いていた。

「メカルスにも変身できちゃうのは驚きだけど……それ以上にちょっと怖いわ」

「そうよ! メカルスはロボットだったけど人間に牙を向いていた正真正銘の異常者(ヒール)だったのよ! そんな奴に変身して大丈夫なのかしら?」

 強敵であったメカルスに変身する事を怖れる深澤マイに続いて、メカルス変身を懸念するルイズ。

「だけどよ、三次元政府がわざわざ危険を冒して新世代型に変身能力を与えるか? きっと何か対策をしているからこそ、変身できる新世代型を生誕したのかもしれないぜ」

「僕もそう思います。三次元政府だって、危険を承知でメカルスに変身できる二次元人を生誕させる訳ないですよ、きっと」

 不安がる女子達を前に、平賀才人と白浜兼一は安全だろうと提言する。

「それにしても……うち等の所の予知課が予知していた事故だったんだろう? 新世代型がメカルスに変身する事は、予知できなかったのか?」

「それはそれや薫。誰だって普通の二次元人がロボットのメカルスに変身するなんて、思いもよらんって」

「そうよ。何より、昨晩の事故で犠牲者が出ていない事を喜ぶべきだと私は思うわ」

 自分達が配属してた超能力機関が予知していた事故の詳細について、予知できなかったのかと愚痴る明石薫に提言する仲間の野上葵と三宮紫穂の二人。

「傀儡使いの私から見ても、メカルスは本当に異常だったわ。そんなメカルスにも変身できるなんて、何だか同じ二次元人とは余り見られないわ」

 いくら生身の人間の思想を複製されて造られたメカルスだったとしても、人間に反旗を翻したメカルスに変身する新世代型をよく見られないと告げる傀儡師の鹿島リン。

「まあ、なんにせよ……三次元人が本格的に宇宙へと進展していく背景に、俺ら二次元人が大いに活躍してくれるのは結構な事じゃないか」

「そうだよね。三次元人と協力していく二次元人こそ、本当の意味での共存って感じがするからね」

 皆と同じで丸いテーブルを囲んでジュースを飲みながら語り合うトリコとセレブナイト。

「だけど無機物・有機物どっちにも変身可能なんて……アッコさんに匹敵する程の変身能力を持っているのね、新世代型は」

「少しうらやましいぜ。頑丈な無機物のロボットにも変身できちまうなんて……魔法でも、変身魔法は高度な類なんだぞ」

 ハイパー・ブロッサムが新世代型二次元人の変身能力を評価すると、ナツ・ドラニグルが少しばかし羨ましいと発言する。

 

 皆が各々と新世代型について話し合っていると、昨晩の事を語り始めた順一が皆に言った。

「まあ、これからは宇宙開発の時代に到来するからね。僕たち二次元人も、そんな時代に適応しなくちゃ……三次元人との共存は難しくなってくるのが切実だしね。無機物にも有機物にも変身できる新世代型は驚きだけど、彼等が今後新たな二次元人と三次元人との関係を紡いでくれる事を祈ろう」

 そう順一が皆に話していた、その時だった。

 突如として聖龍隊本部の警報が鳴り響き、本部内は騒然とした。

「! なにか事件の様だ……聖龍隊、出動だ!」

 順一は仲間であるスター・コマンドーと後輩であるスター・ルーキーズの両方に呼びかけて走り出した。

 

 これが聖龍隊と新世代型二次元人、双方の争いの発端だとは知らずに。

 

 

 

[謎の反応]

 

「ヤコブ周辺施設にて、異常者(ヒール)反応! ポイントはガラパゴス諸島付近……出動可能な聖龍隊士は現場に急行してください!」

「了解」

 驚異となる異常者(ヒール)をセンサーで探知して、その場所を報告する通信士統括官のウッズからの指示に、村田順一は直ちに応答し、出動した。

 本来は、ウッズも今やアニメタウン市長に就任して、小田原修司不在の国家をHEADと共に統括しなければならない立場だが、激務である聖龍隊の世話係として今も残っている。

 

 そして反応が探知されたガラパゴス諸島にて、巨大な軌道エレベーターが一望できる地点に降り立ったスター・コマンドーとスター・ルーキーズに本部のウッズが伝えた。

「ジュンさん、今回の異常者(ヒール)反応はこれまでと、どこかパターンが違うようなんです……詳細を調べたいので、可能な限りサンプルを集めてください!」

 順一たち現場の聖龍隊に異質な反応だった為に、詳細を調べるべく可能な限りサンプルを収集してほしいと頼むウッズに順一は返答した。

「分かりました。行くよ、ルーキーズ!」

「了解っと」

 順一からの呼びかけにミラールも仲間を従えて返事する。

「気になりますので、今回は後々、ニュー・スターズとマン・ヒールズの皆様方も向かわせます。皆さん……気を付けてください」

 最後にウッズは後々に同じ聖龍隊であるニュー・スターズとマン・ヒールズの面々も応援に向かわせると伝えて、一旦通信を切った。

 

 そして順一とミラール率いる聖龍隊一行は、生い茂るジャングルを掻き分けて進軍を開始した。

 草木生い茂るジャングルの中からは、異常者(ヒール)化して暴走してしまった作業用のロボットやメカが順一達に襲い掛かる。

「このっ!」

 順一は鍛えに鍛えた拳と日本刀「純心」で襲い掛かってくる敵を容赦なく叩き、前進。

「えい、えいっ」

 一方のミラールも、二丁拳銃ミラージュ・ガンを連射して群がる異常者(ヒール)をこれまた容赦なく撃ち抜いて行く。

 その後も進軍する聖龍隊に暴走した小型メカニロイドなどのロボットが襲撃してきた。

「ふぅ、流石はヤコブ周辺の施設が近いだけあって作業しているロボットとかの機械が多いな」

「ああ……だけど、結局は異常者(ヒール)化して暴走してしまうのだから厄介には違いないけどね」

「愚痴を言っても始まりません……兎に角今は前進あるのみです!」

 有機物だけでなく無機物であるロボットなどの機械にも現われる異常者(ヒール)の症状。それを前に複雑な心境に至るトリコやココに、バーナビーが進言する。

 聖龍隊一行がそれからも異常者(ヒール)化して暴走した機械を相手に抗戦しながら進んでいくと、草木を掻き分けて巨大な作業用メカニロイドが皆の目の前に出現した。

「で、でかいぞ!」

 時にはマン・ヒールズにも参入しているゼブラが、目の前に現れた巨大メカニロイドを見て声を上げる。

 すると其処に、通信士統括官のウッズから助言が入った。

「皆さん、気を付けて! その暴走しているメカニロイドを調べてみました。クラブ(蟹)型のメカニロイドで、相手を捕まえて身動きを封じるタイプです。捕まえられたら、ダメージが酷くなる前に急ぎ救出してください!」

 皆は早速、ウッズからの助言を聞き入れつつも巨大メカニロイドを相手に交戦を開始した。

 連続攻撃で絶えずメカニロイドにダメージを負わせていく聖龍隊だが、メカニロイドは一行に停止する様子を見せずに攻撃してくる聖龍隊をハサミ型のアームで捕まえてしまう。

「きゃあっ!」「る、ルーシィ!」

 メカニロイドに捕まってしまい身動きが取れなくなってしまうルーシィを見て、名を呼ぶナツ。

 するとルーシィの危機に、エルザが颯爽とメカニロイドのハサミ部分を攻撃してルーシィを救出する。

「大丈夫か、ルーシィ!?」「う、うん、ありがとエルザ」

 ルーシィはエルザに礼を返しつつも、すぐに戦闘に復帰した。

 

 一定のダメージを与えると、メカニロイドは爆発してその場に残骸として残った。

 此処で順一はメカニロイドの残骸から発見したサンプルを手に、ウッズに報告した。

「ウッズさん、今の異常者(ヒール)化したメカニロイドのAIサンプルが手に入りました」

「すぐに調べてみましょう。そのサンプルを持ってきて一度帰還してくれませんか?」

「了解……一時帰投します。ミラール、後は君たちに任せて良いかな?」

「もちろんよ! 任せて」

 順一達スター・コマンドーは、入手したサンプルを本部に持ち帰る為に一旦戻り、進軍をミラールたちスター・ルーキーズに一任した。

 順一たちスター・コマンドーが抜けた事で戦力が半分になったスター・ルーキーズ。

 だが彼女達は懸命に前へと進軍し、進路を妨害するメカニロイドなどのロボットを破壊しながら前進する。

「それにしてもなぁ……いくら機械とはいえ、同じ三次元人に生み出された筈のメカニロイドまでも異常者(ヒール)化して暴走しちゃうなんてなぁ……」

「色々と複雑なところよね。でも、私たちが破壊しないと被害が増える一方よ」

「そうだよね。ボク達が戦わなきゃ、誰が弱い人々を護れるかって話だよね」

 自分達とは違い無機物であるとはいえ、同じ三次元人の創造物である敵を倒しながら複雑な心持の鏑木楓に、ブルーローズとドラゴンキッドが進軍しながら話し返す。

 そのままルーキーズが進軍していると、滝に近い洞窟内で異常者(ヒール)化した野生の蝙蝠達が群れで襲い掛かって来た。

「こいつらも暴走してる! 早速全部、叩き落すわよ!」

 ミラールの威勢のいい指示に、ルーキーズは各自己の能力や武器で群集で襲い掛かってくる蝙蝠を攻撃して地面に落としていく。

 そして全ての蝙蝠を叩き落したのだが。

「……なんだか蝙蝠とはいえ可愛そう。いくら異常者(ヒール)化して暴走していたとはいえ、救ってやれなかったのかな……」

「真宮桜、気持ちは分かるが異常者(ヒール)化した生物を元に戻すのは困難……可愛そうだが、一気に死なせて楽にさせるのが一番だと思うぞ」

 暴走していた野生の蝙蝠とはいえ、命を奪う行為に罪悪感を感じる真宮桜に、六道りんねが死神としての価値観を述べる。

 

 と、ルーキーズが暴走した蝙蝠の群れに苦戦を強いられていたその時。

 現場にフロート率いるニュー・スターズが馳せ参じた。

「手間取っているみたいじゃねェか、ミラール」

「遅れてきてそりゃないんじゃないの、フロート!? 本気出したら、この程度のミッション私たちだけでも十分なんだからね!」

「ホゥ、元気がいいことだ……それじゃ、行くぜ!」

 フロート率いるニュー・スターズと合流したルーキーズは、更に前進することに。

 すると一行の前に、巨大な滝とその滝の目前に架けられた吊橋が現われた。

 一行は吊橋を渡って先へと急ごうとした。が、そこに。

 なんと先ほどルーキーズがスター・コマンドーと共に倒したのと同型の巨大メカニロイドが滝の中から現われて、聖龍隊一行に襲い掛かって来た。

「さっさと、こんなポンコツ倒して先に急ぐぞっ!」

 フロートの指示を合図に、一行はメカニロイドへと総攻撃を開始。

 総攻撃を受けるメカニロイドだが先ほどと同様、怯む事も無くハサミ型のアームで掴み掛かって来た。

「きゃあっ!」「王女!」

 なんとアンリエッタがメカニロイドに捕まってしまった。

 だが即行で仲間のマカ=アルバーンが助けに入り、アンリエッタの救出に成功する。

「ほらよ、大丈夫? アンリエッタ」

「は、はい……ありがとうございます」

 マカに礼を述べるアンリエッタは、再び仲間と共闘しながらメカニロイドへ攻撃を開始。

 そして一行は、滝からの水飛沫を全身に浴びながら何とかメカニロイドを破壊する事に成功する。

 その際、ミラールは今し方倒したメカニロイドのサンプルを入手した。

「へへ、楽勝っと。ついでにAIサンプルもゲット!」

「よっし、それじゃお前らはソレを持って一旦本部に戻ってろ……」

「OK! じゃ、後は宜しくね!」

 フロートからの指示で、ミラールたちルーキーズは一旦聖龍隊本部に戻る事に。

 

 

 

[再来する敵]

 

 その後、フロート率いるニュー・スターズは進撃を阻む敵を各個撃破しつつ、前進していった。

 そしてしばらく進んでいくと、一行の前にはヤコブ関連の施設が見えてきた。

「アレだな、敵の反応があった施設ってのは……!」

 フロートは目前の敵を身体に内蔵している武器で迎撃しながら、先に見据える建物屋内へと進軍する。

 すると施設建物の出入り口前で、ウッズの要請で応援に駆け付けてきてくれたマン・ヒールズの面々が揃って合流してきた。

「フロート、状況は?」

「ミスティーハニーか、別に問題なし。これから建物に進入するところだ」

 フロートは状況を確認しに来たマン・ヒールズの隊長ミスティーハニーに今から建物に進攻すると伝えて、共に屋内へと進んだ。

 ニュー・スターズとマン・ヒールズが合流し、屋内に進攻すると内部には案の定、暴走したメカニロイドが襲い掛かって来た。

「チッ、また雑魚か!」

 フロートはうんざりしながらも群がってくる敵を撃ち抜いて行き、ミスティーハニーたちも果敢に応戦する。

 そして全ての敵を倒した一行は、再び前進する。

 

 二組の総力戦を想定したチームが進攻していると、そこに先ほどサンプルを持って一事帰投した村田順一たちスター・コマンドーとミラールたちスター・ルーキーズの面々が駆け付けた。

「みんな、待たせてゴメン! 状況は?」

「問題ないぜジュン……さっ、行こうぜ!」

 順一達の加勢に心強くなるフロートたちは、この勢いで今回の事件を速急に片付けようと意気込んで先を急ぐ。

 そして一行が更に前進していくと、なんと一行の前に衝撃的なチームが現われた。

 施設最深部の出入り口前で合流してきたのは、なんと聖龍隊最高幹部である聖龍HEADだった。

「へ、HEAD!?」

 突然のHEADの来訪に驚く順一達は、即座にHEADに敬礼して出迎えた。

「ご苦労様です!」「うむ」

 順一たちの出迎えに一言返事するメタルバード。

「そ、それにしても……なんで姉さん達が此処に?」

「ちょっとね、今回の異常者(ヒール)……いいえ、案件に少し関心があって……」

「関心?」

 ミスティーハニーからの疑問に姉のキューティーハニーが答えると、デス・ザ・キッドがその返答に疑問視する。

「父さんから今回の異常者(ヒール)反応が今までとは違ってるって報告を受けてね……それで、気になって駆け付けてきた訳」

「何事も無ければ良いんだけど、念の為にね」

「そ、そうですか……」

 ジュピターキッドとウォーターフェアリーの発言に、ローリング・バブルスは不安がる。

「そういう訳だから、此処からは私たちも同行するわ。何事も無ければ幸いなんだけど……」

「これは心強い……! はい、是非お願いします!」

 ミラーガールの不安そうな言動を前に、順一は敢えてHEADの心労を増やさない様にと気を使って激励した。

 

 こうしてスター・コマンドー/ニュー・スターズ/スター・ルーキーズ/マン・ヒールズ/そして聖龍HEADという豪華な、今まで戦前で活躍してきた勇士達が揃って進軍を再開した。

 すると、そんな一行に聖龍隊本部のウッズから通信が入る。

「現場の皆さん、聞こえますか? 大型の異常者(ヒール)反応が近いです……! 分析してみましたが、このターゲットには連携での総攻撃チームアタックが有効みたいです……」

 ウッズからの助言を賜って、一行は施設奥の部屋へと進入した。

 部屋に入ってみると、既に其処は荒らされており、物や瓦礫は散乱、壁は崩落して外から眺められる軌道エレベーターが見えていた。

 と、全員が室内を見渡していると、崩落した壁その向こう側である屋外から先ほども倒したのと同型のクラブ型メカニロイドが顔を覗かせ、一行を急襲してきた。

「怯むな! 全員で攻撃すれば勝機は必ずある!」

 現場で最も位が高い聖龍隊現総隊長のメタルバードは皆に指示しながらメカニロイドへの攻撃を仕掛ける。

「ジュン! オレ達が援護攻撃するから、お前らはあのメカニロイドに接近して連携攻撃を叩き込んでやれ!」

「了解しました、バーンズ総長!」

 順一はメタルバードからの指示で動き、HEADや仲間達が攻撃を仕掛けている間に、自分達スター・コマンドーはメカニロイドに接近し、必殺技である連携攻撃を打ちかまして破壊しようと行動する。

 そして順一達スター・コマンドーがメカニロイドが怯んだ一瞬の隙に、取り囲む様に包囲すると同時に強力な攻撃を一斉に浴びせてメカニロイドに大打撃を与える。

 するとクラブ型メカニロイドは爆発して、跡形も無く吹っ飛んでしまった。

 チーム内で、時にはチーム同士の連携で総攻撃を仕掛けるチームアタックの威力の高さに皆は圧倒された。

 

 大型メカニロイドを倒した一行が、前進して破壊したメカニロイドを調べようとした、その矢先。

 前進してた一行に、崩れた壁から覗く上空から無数の爆撃が降り注いで皆の前進を阻む。

 全員、自分達を襲ってきた存在に目を向けようと、黒煙が舞い上がる崩落した壁の方へと目を向けた。

 すると崩れた壁の上にいた爆撃者が、不敵な笑い声を発しながら聖龍隊に話し掛けてきた。

「ヴェーーへへへへ……また会えたな、聖龍隊」

「お前は……ヴーイ!!」

 目の前の突如として現れたヴーイを前に、順一達が戦闘態勢に入ると、メタルバードが目前のヴーイを睨み付けて呟いた。

「元A級ハンター……だが、今はオレ達の敵……! お尋ね者の異常者(ヒール)!!」

 メタルバードたちHEADも全員がヴーイに敵意を向けていると、ヴーイは戦意のない様子で話し返した。

「お前達とまた遊んでやりたいが……まだ仕事が残っているんでな」

 そう言ってヴーイが視線を向ける先に目を送ると、そこには特製の浮遊拘束装置で身柄を拘束された、気絶しているあのルミネの姿が在った。

「……ルミネ?」

「そう……これで軌道エレベーターは我々の手の内となる訳だ……」

 順一が愕然としていると、ヴーイは不敵な笑みを発しながら答える。

「お前! 何を企んでいるんだ!?」

「ふははは、聖龍隊……始めるんだよ、新しい世界を、な……」

 メタルバードが再度問い詰めると、ヴーイは不敵に笑みながら自分達がこれから何をするか目論見を語る。

「ははは、はははは……」

 そして狼狽える聖龍隊を嘲笑したかのように微笑するヴーイは、次の瞬間には拘束したルミネ共々姿を一瞬で消して逃亡してしまった。

 皆が突然のルミネ管理官の誘拐に動揺していると、本部のウッズから通信が入った。

「皆さん、今は取り敢えず本部に戻ってください! 策を練らない限り、あのヴーイの悪巧みも阻止できません」

 このウッズの助言に背中を押され、聖龍隊一行は一旦聖龍隊本部に帰投する事にした。

 

 

 

[8つの驚異を超えて]

 

 ヴーイが軌道エレベーターヤコブの管理官ルミネを誘拐した行為について、聖龍隊本部は慌しくなっていた。

「ルミネ……ヤコブ管理官の彼をさらったとなると……」

「軌道エレベーターをコントロールするつもりなのかも……でも、何のために?」

 ウッズやミラーガールが懸念している最中、順一がヴーイの発言を振り返る。

「分かりません。だけどヴーイは……新しい世界を始める、とか……」

 新しい世界を始める。一体全体何の事かまったく不明なヴーイの発言に軽く混乱してしまう本部。 

「いずれにしても、異常者(ヒール)たちが何かを企んで動き出せば……あっ!」

 と、此処でウッズが悪人である異常者(ヒール)達が何かを目論んでいると語っていたその時だった。

「各地で異常者(ヒール)反応!」

 なんと世界各地の、それもヤコブ計画関連の施設で突如として働いていた新世代型二次元人たちが反乱。大きな暴動に発展した。

 聖龍隊は急ぎ、この反乱を止める為に全勢力を持って鎮火させようと動き出した。

 と、此処でウッズから新たに配属された通信士の紹介が皆に伝えられた。

「皆さん、今回から新たに加わってくれた通信士の二名を紹介します。一人目は常に冷静沈着なレイ」

「よろしくお願いします」

 紹介されたのは、褐色肌に黒い長髪で目が隠れている青年通信士レイ。

「二人目は、若さでは期待のニューホープ! 今のところ通信士では最年少のパレルです」

「パレルです! 宜しくどーーぞ」

 二人目はまだ子供だというのに、その高い知数から通信士に抜擢された眼鏡をかけた金髪の少年パレル。

「そして最後に……この私、ウッズも相変わらず通信士として皆さんの支援に入ります。まだまだ現役バリバリですよ」

 ウッズ自身も、まだまだ若手には負けないと豪語しながら現場に急行する聖龍隊士に通達した。

 こうして聖龍隊の戦前で戦ってきた戦歴の持ち主達は、世界各地のヤコブ計画に関連する施設で起こった新世代型二次元人の反乱を鎮圧に向かった。

 

 まず一件目の異常者(ヒール)を討伐した直後。

 再び起こってしまった争いに苦渋の思いをしていた順一が悔やんでた。

「………………くそっ」

「ジュンくん……? どうしたのよ、まだ始まったばかりよ」

 ミラーガールが問い掛けると、順一は悔しい思いでミラーガールに打ち明けた。

「そうです……また始まってしまったんです……僕たちは、一体いつまでこんな戦いをしなければ……」

「………………」

 この順一の苦しい思いを感じ取ったミラーガールは何も返す言葉が見付からなかった。すると其処に。

「へっへーーっ、これからいっぱい異常者(ヒール)退治できると思うと、腕が鳴るわねーー」

「こらっ、ミラール!」

 なんとミラールが順一の前で、異常者(ヒール)退治ができると舞い上がった。

 ミラーガールが怒鳴るが、順一は彼女に真情を伝えた。

「いえ、アッコさん……ミラールの言う事も間違っていません……こうしている間にも、異常者(ヒール)達は暴れているんです。悩んでいるヒマなんて、ないんです」

 苦悩している間にも、弱き人々が昏迷に陥っている現実を胸に、順一達は第二の異常者(ヒール)の元へと出動するのであった。

 

 第二の異常者(ヒール)を無事に突破した聖龍隊が本部に帰還すると、新人通信士である黒い長髪のレイが帰還したばかりのミスティーハニーに声をかける。

「お、お疲れ様です、ミスティーハニー、さん……」

「ん? え、ええ……」

 しかしミスティーハニーは、異常者(ヒール)を倒すという責務に没頭していた為にすっかりレイたち新人通信士の事を忘れていた。

 そんなミスティーハニーに、同じく新人である眼鏡をかけた少年パレルが問い掛ける。

「あ、酷いじゃないですかミスティーハニーさん、忘れてたでしょ!? ボクはパレル、こっちはレイ。最近になって新しく配属された通信士(ナビゲーター)です! 忙しいからって、ちゃんと覚えてほしいです……レイなんて、ミスティーハニーさんに言いたい事があるからって、わざわざ待ってたんですよ」

「ああ、ごめんなさいね。それで……?」

 パレルに言われて、ようやく思い出したミスティーハニーはレイに改めて訊ねると彼は戸惑いながらも返答した。

「あああ、あの……調べてみたんですが……ヤコブ管理官ルミネの所在は、未だ特定できてないんです。申し訳ありません……いえ、あの……それだけです」

「そう……ご苦労様。まあ、異常者(ヒール)の連中が何を企もうと修司の様に斬り進めばいい話だけどね」

 ミスティーハニーはレイからの報告を聞き受けると、新たな任務地に向かう為に出動の準備を進めた。

 レイが心中では、ミスティーハニーに気がある事など気付かずに。

 

 そして聖龍隊が3つ目の標的である異常者(ヒール)を倒して本部に帰還すると、ウッズたち三人の通信士が今回の事件について考え込んでいた。

「ふぅ……これで三つ目……だけど、まだ異常者(ヒール)達の狙いが何なのか、分からないですね」

「そもそも、新世代型二次元人が異常者(ヒール)になった原因が分かっていませんからね……」

「シミュレートしていますが、やはり新世代型の対思想概念性能は問題ないようです」

 異常者(ヒール)の真の目的は何のかを考え込むウッズに、ヤコブ関連の施設で働いていた多くの新世代型二次元人が異常者(ヒール)化した原因が不明だと答え返すレイ、そして新世代型の邪念に影響を受けない新世代型の性能に問題はないと説くパレル。

 三人の話を聞いて、ウッズ達に自分達プロト世代も同等だとミラールが語る。

「ヘヘ、一応私たちプロト世代は新世代型の改良前の二次元人だけど……確かに私達にもウイルスや邪悪な思想概念に影響は受けないわ」

 このミラールの話を聞いたパレルは、ふとある疑問が脳裏を横切った。

「ふうん……てことは、ミラールたちプロト世代も新世代型特有の異常者(ヒール)になる可能性があるのかも……プロトタイプだから平気なのかな……ちょっとデータを調べてみようか」

「な、何よ……私達が異常者(ヒール)なんかになる訳ないでしょ!? 私達は異常者(ヒール)を狩る側なの!」

 突然、反乱を起こした新世代型二次元人同様に異常者(ヒール)への変化を疑われるミラールは、あくまで自分達は異常者(ヒール)を倒す側だと主張。

 このミラールの主張を傍らで聞いていた彼女と同じルーキーズのトリコやココは懸念する。

「こりゃあ、ひょっとすると……」

「うん、僕たち以外のプロト世代にも異常者(ヒール)の嫌疑がかけられちゃうかも……」

 新世代型と同様に邪悪な思想概念に影響を受けにくいとされる自分達プロト世代への疑いを晴らす為にも、聖龍隊はすぐさま新たな現場へと出動するのだった。

 

 4人目の大型の異常者(ヒール)を倒して帰還した聖龍隊に、本部で調べていたウッズが異様な面持ちで判明した事実を述べ始めた。

「これまでのデータから、異常者(ヒール)のパターンが解析出来ました……! 新世代型二次元人が、ウイルスに侵されたり、邪悪な思想概念に影響されないのは……変身能力で、DNAの配列を一時的に変える事ができるからなんですが……」

「私達のデータは調べた? 役に立った?」

「ええ……ミラールさん達プロト世代の皆様方のデータを基に異常者(ヒール)化した新世代型のDNAを調べていたら……新世代型のDNAに気になる共通点があったんです」

 ミラール達プロト世代の情報を基に、異常者(ヒール)に変化した新世代型の遺伝子を調べた結果、異常に気になる共通点があった事を述べるウッズ。

 そしてウッズは、本部に集まっている聖龍隊に説明する為に大画面に新世代型の共通点を赤裸々に映し出した。

 それは……「総長!?」思わず画面に映った見覚えのある顔を見て、順一が思わず言い慣れている言葉を発してしまう。

 その新世代型の共通点について、ウッズが映像に映し出した小田原修司の顔を皆に公開しながら説明した。

「そうです。新世代型二次元人の遺伝子配列のパターンは、その全てが修司様の……小田原修司のDNA配列に酷似しているんです……いうなれば、彼ら新世代型は修司様のクローン……コピーに近い種族と言えます。これが何を意味するかは分かりませんが……気になります……」

 新世代型二次元人、その全ての遺伝子配列が小田原修司を基にしており、故に新世代型は全て小田原修司のクローンやコピーに近い種族だという事実を聖龍隊は始めて知った。

 この事実が何を意味するのか。それはウッズにも誰にも解らなかった。

 

 5人目のボスを倒した聖龍隊。その最高位である聖龍HEADのメタルバードとミラーガールがある不安に駆り立てられていた。

「メカルス……やはり奴なのか……ヴーイが現れた時からそんな感じはしていたけど……」

「ええ、いずれにしても軌道エレベーターを狙って管理官ルミネを連れ去ったり……大掛かりな陰謀があるのは間違いなさそうね」

 それはヴーイが現われた時から、この事件の背後には革命軍士との最終決戦で倒した筈のメカルスがいるのではないかという不安。

 そんなHEADの不安を払拭しようと、ウッズがメタルバード達に言った。

「引き続き、調べてみます」

「ああ、頼んだぞウッズ……済まないな、修司がいなくなった後のアニメタウン市長に就任したばかりだというのに、オレ達のナビゲータを続けてくれて……」

「いいんですよ。私は好きで、皆さんのお手伝いをさせてもらっているだけですから!」

 メタルバードからの詫びに、ウッズは自分の意志で聖龍隊の支援をしていると笑顔で報告してくれた。

 そんなウッズに、順一がある質問をぶつける。

「ところでウッズさん、軌道エレベーターの事故の時、新世代型二次元人がメカルスボディに変身してたのを見たんですけど……これは、異常者(ヒール)化と何か関係が?」

 これに対してウッズは真っ当な意見を述べた。

「うーーん……ロボットであるメカルスのボディに変身したからって危険という訳ではないと思うんですが……メカルスのボディは、戦った事のあるジュンさんやアッコさん達が知っている通り……頑丈で優れた設計の機体でしたので」

「そうですか……やはり、残りの異常者(ヒール)を倒してデータを集めるしかないみたいですね」

 ウッズからの返答を聞き受け、順一は残りの施設を牛耳っている反乱を起こした新世代型の司令塔を倒すしかないと踏んだ。

 

 遂に6人目の強敵を倒した聖龍隊。そんな帰還したばかりの聖龍HEADに新人通信士でもあり、同時にミスティーハニーに淡い恋心を抱いているレイがミラーガールに訊ねてきた。

「お疲れ様です、ミラーガール……あの……ここのところ、ミスティーハニーこと葉月聖羅さんが沈んでいるように見えるんですけど……何か……」

「ああ、レイ……そうね、聖羅さんが心配?」

「え、いえ……その……オペレータとして部隊を、その……把握しておいた方が、良いかと……」

 ミラーガールは動揺するレイの素振りを見て、彼がミスティーハニーに気があるとスグに見抜いた。

 そんなレイが、本当の意味でミスティーハニーを支える様になる為に、ミラーガールは敢えて彼にミスティーハニーたちマン・ヒールズが過去に犯してしまった失敗談を語り明かした。

「聖羅さん、ミスティーハニー……いいえ、かつてマン・ヒールズはメカルスにアニメタウンを窮地に追い込む為に利用された事があるの……自分達の判断ミスで、アニメタウンを破滅させかけた事が今も、彼女達に苦悩を与えているの……」

「そ……そんな……ミスティーハニーさんが……マン・ヒールズが……?」

「もちろん、彼女達は十分にその責任を果たしたし、今はもう解決した問題だけど……今回の事件の影に、またメカルスがいるなら……決着をつけるつもりよ。マン・ヒールズも……私たちもね」

 ミスティーハニーたちマン・ヒールズが、メカルスの謀略により判断を誤り、アニメタウンを壊滅寸前に追い込んだ事件を聞かされたレイは衝撃を受け、それを語ったミラーガールはマン・ヒールズや他の皆と同様に、自分もメカルスと決着をつける覚悟を決め込んでいる事を力強く告げた。

 

 遂にボスが最後の一人になったのだが、聖龍隊は素直に喜んではいられなかった。

「ふう……残りの異常者(ヒール)反応は1つ……これで解決なんでしょうか……いえ、まだ……」

「管理官をさらってから、かなり時間が経ったのに……まだ軌道エレベーター本体に異常がないというのが、逆に不気味ですね……」

 残りボスが一人という現状でまだ解決したとは言い切れないウッズに続き、管理官ルミネをさらって時間が経過しているのに軌道エレベーターは通常通り運行しているという現状に逆に不安を感じるレイ。

 そんな考え込む通信士達に、ルーキーズ総部隊長のミラールが力強く述べた。

「考えてたって仕方ないわ……ここまで来たら残り一つの山も片付けて、とにかく先に進まないと」

 このミラールの発言を聞いて、ミラーガールもメタルバードも意思を強く持った。

「…………そうよね、ミラール。悩んでる暇があったら、一つずつでも何かしないとね」

「それ以外、オレ達に道は無い……行こう!」

 こうして聖龍隊は最後のボスの許へと出動するのであった。

 

 

 

[再来する狂気]

 

 遂に全てのヤコブ関連の施設で反乱を起こした新世代型たちを扇動していたボスを倒した聖龍隊。

 しかし聖龍隊の誰もが事件はまだ解決してないと解り切っていた。

「結局、今回の事件もメカルスが引き起こした事なのか……メカルスは何処にいるんだ!?」

 ニュー・スターズ総部隊長のフロートが怒鳴り散らすと、ウッズが冷静に分析した情報を皆に話した。

「メカルスが絡んでいるのは、今となっては間違いないです……ただ、これまでと違うのは……異常者(ヒール)化した二次元人達が何らかの方法で操られていた、という感じではなく……まるで、一人一人がメカルスそのもののような……」

「メカルスのコピーってこと……?」

 ウッズの説明にミラールが動揺すると、ウッズは心配そうな面持ちで話し返した。

「分かりません……それに……反乱を起こしたのが、全てヤコブ計画に関連した施設なのも気になります……」

 と、皆が話し合っているその時だった。

「! 謎の電波ジャック! モニターに映されます……! これは!?」

 強制受信されてきた悪質な電波は、その出力を全て大画面に送り続けた。ウッズが操作する暇も無く、大画面には今は滅んだ革命軍士のロゴで埋め尽くされた映像が流れると、次にそのロゴが一つ一つ消えていくと巨大な影が浮き彫りになってきた。

 そして最終的に大画面に映し出されたその存在の顔を見て、聖龍隊の面々は全員驚愕した。

 それは他でもない、左目の部分だけ機械の部分を曝け出している小田原修司の顔を模した、あのメカルスだったのだ。

「メカルス!」「久しぶり、と言うべきかな聖龍隊」

 順一の呼びかけに、メカルスは実に冷静な素振りで返答した。

「またお前だったんだな、メカルス!」

 メタルバードがメカルスに問い詰めると、メカルスは率直に答える。

「そう、俺だ……そして、長きに渡る俺たちの因縁も、これが最後だ。お前達、古き世界の宇宙開発は……今や全て我がものだ……」

「宇宙、だと……?」

 ゼブラたち聖龍隊の面々が戸惑っていると、メカルスは更に言い放った。

「そう、もはや地上に未来は無い! 古き世界は、もうその役目を終えたのだ!」

 このメカルスの悪意に満ちた宣言に、順一が問うた。

「お前……何を企んでいる!?」

「企む? これは自然の摂理だ、進化なのだ! はははははは!」

「……進化?」

 するとメカルスは、これを自然の摂理で進化なのだと熱弁。それを聞いたミラール達プロト世代の面々は唖然とする。

 

 メカルスからの強制送信での通話を聞いた後、今し方のメカルスの言動を聞いてウッズがある推測を立てた。

「ヤコブ計画が、最初からメカルスに狙われていた……!?」

 ウッズの推測を聞いて驚愕する順一に、ウッズが改めて皆に説明した。

「そう考えると、つじつまが合います……宇宙開発が盛んになった背景と、新世代型二次元人の生誕は無関係ではないですし……」

 ウッズの説明を聞いて、ミスティーハニーも語り出した。

「そこへ来て、新世代型の異常者(ヒール)化、ね……いずれにしても、メカルスをこのまま放っておく訳にはいかないわ……!」

 戦意を満たして出撃する体制を如く聖龍隊メンバーに、ウッズが報告する。

「メカルスからの通信は衛星軌道で世界中に中継されてました……幸い、まだ軌道エレベーターは動いていますので、衛星軌道まで昇れます!」

 

 こうして一行は軌道エレベーターに搭乗して、衛星軌道へと向かいメカルスからの通信を調査する事に。

 何故かルミネがさらわれていながらも軌道エレベーターは通常通り運行しており、普通に上昇していった。

 だが、上昇すると同時に真上から武装した新世代型二次元人達が投下して聖龍隊に襲い掛かる。

 聖龍隊は降り注ぎ、そして各階層から乗り込んで襲撃してくる新世代型を迎撃しながら確実に上へと昇って行った。

 そして軌道エレベーター:ヤコブの頂上に到着した聖龍隊。

 と、其処に。頂上に到着したばかりの聖龍隊の元に宇宙空間から飛来する人影が一体。

 それはルミネをさらった張本人して、メカルスとよく度等を組む異常者(ヒール)、ヴーイであった。

「くくくく……滅び行く世界で相変わらず戦い続けるのか、なあ聖龍隊?」

 この挑発紛いの台詞に、ミラールが強く撥ね返す。

「ええ、その通りよ……! メカルスの前に、子悪党であるヴーイ! あんたを倒しておこうかと思ってね!」

 するとヴーイは聖龍隊にお説教を言い始めた。

「軌道エレベーター、エネルギー、開発資源、ロケットのデータ……この世界が生き延びようとしていた宇宙への路は、今や我らの手の内だ! そんな時に、異常者(ヒール)などなんの意味がある?」

 このヴーイのお説教染みた狂言に、順一がきっぱりと反論した。

「意味なんか無いのかもしれない……! だけど、奪われた未来の為……ヴーイ、お前を倒す!」

 

 そして大勢の聖龍隊士とたった一人で立ち向かうヴーイの戦闘は開始された。

 しかし数的には不利に思われたヴーイであったが、彼はそのアーマーに武装している多種多様の属性武器を用いて聖龍隊を追い詰めていく。

 強力な電撃を周囲に拡散させて痺れさせたり、一瞬で凍て付いてしまう氷の弾丸を発射したり、はたまた灼熱の火炎放射で聖龍隊に地獄の苦しみを与えていくヴーイ。

 必死にヴーイの攻撃を回避していく聖龍隊だが、それでも尚ヴーイは聖龍隊の頭上から爆撃を続け追い詰めていく。

「ヴーイ、卑怯だぞ! 降りて来い!」

 と、順一が上空を滞空して爆撃してくるヴーイに呼びかけるが。

「ぎゃははははっ、甘い、相変わらず甘いなジュン! 敵の殲滅ってのは、頭上からの爆撃が一番手っ取り早いんだよっ!」

 そう高らかに嘲笑しながらヴーイは地上の聖龍隊に爆撃を続ける。

 そんなヴーイにHEADの龍咲海は氷の魔法を舞い上がらせて、頭上のヴーイを一瞬で凍て付かせる。

「ウギャッ」

 攻撃を受けて一瞬でカチカチに氷漬けになるヴーイは地上へと落下するが、落下して数秒も経たない内に復活して再び上空へと滞空すると爆撃を再開する。

 聖龍隊は各自、各々の武器や能力で交代交代にヴーイを攻撃していくが、ヴーイの猛攻が留まる事は無かった。

 しかしヴーイが強力な爆撃を行おうと、一瞬だけ動きを止めた隙をメタルバードは見逃さなかった。

「今だ! 総員、総攻撃!

 メタルバードの指示を受けて、聖龍隊一同は連携攻撃チームアタックをヴーイに叩き込んで大打撃を与える。

「ウグ……ッ」

 聖龍隊の強力な攻撃を連続で叩き込まれたヴーイは悶絶し、地上に降りて跪いた。

 だが次の瞬間にヴーイは予め用意していたと思われる瞬間移動装置でその場から姿を晦ました。

 

 こうして聖龍隊はメカルスが扇動していると思われる新世代型二次元人とヴーイの撃退に成功し、軌道エレベーターを奪還する事に成功する。

 

 

 

[蘇る驚異]

 

 聖龍隊本部に帰還した一行。

 皆が、これからの戦闘にはあの強敵メカルスも加わるのではないかと一抹の不安に駆り立てられていた。

 そんな中、以前にメカルスの策略によってアニメタウンを壊滅寸前に追い込んでしまったマン・ヒールズ隊長のミスティーハニーは険しい顔を浮かべていた。

「ヴーイに、メカルス……あの時の役者が揃ったという訳ね!」

 そんなミスティーハニーの様子を窺って、新人通信士のレイがミスティーハニーに問い掛ける。

「聖羅さん……それは……あのアニメタウン壊滅事件の……?」

「ああ……聞いたのね、あなた……そう、私達はかつて奴らに利用されて、危うくアニメタウンを滅ぼし掛けたのよ」

「………………」

 かつてメカルスの策略に嵌って、アニメタウンを壊滅寸前に追い込んだ状況を今でも悔やんでいるミスティーハニーの心境に、レイはなんて返せばいいのか解らなくなる。

 すると突然、ミスティーハニーはレイの両手を掴んで包み込むように力強く握手すると、レイに言い放った。

「だから私は、奴らとケリをつけなきゃならないのよ……! レイ、お願い! ナビゲートして! あいつらを追うわ!」

 ミスティーハニーはレイの両手を掴みながら彼に通信での補佐を嘆願すると、そのまま立ち去ってしまった。

 ミスティーハニーからの嘆願を、両手を掴まれてお願いされたレイは思わずポォっと赤面しては呟いた。

「こ、この手……一生、洗わない……!」

「えぇ……それってちょっと、エンガチョじゃない?」

 レイの火照った顔を見て、頭に熱が昇ってると直感した順一はレイに思わず呆れてしまう。

 

 本部で怪我の治療と準備を整えた聖龍隊一行は、早速次なる任務へと出動する。

 続いては、あのメカルスからの強制送受信された映像が発信されたと思われる軌道衛星。

 この軌道衛星は、軌道エレベーターと月面を繋ぐ資材中継コロニーであり、月面に資材を運ぶには欠かせない地点だった。

 通称:ゲートウェイに、メカルスの反応が感知された事から聖龍隊は直ちに調査に向かった。

 一行が聖龍隊本部の転送装置で瞬間移動してゲートウェイに到着すると、早速ウッズから通信が入った。

「メカルスの反応があります……皆さん、気を付けて」

 本星であるメカルスの反応があると伝えられ、一同は用心しながらゲートウェイの中心部に向かった。

 そして中心部に向かうと、そこには8つの転送装置が用意されていた。

 聖龍隊は用心しつつも転送装置に入って転送先を調べる事に。

 すると転送装置で飛ばされた先は、先だって聖龍隊が倒した筈のヤコブ関連施設での異常者(ヒール)を扇動していた新世代型二次元人達が待ち構えていた。

 グラビテイト・アントニオン/アースロック・トリロビッチ/ギガボルト・ドクラーゲン/アイスノー・イエティンガー/バーン・コケコッカー/バンプー・パンデモニウム/オプティック・サンフラワード/ダークネイド・カマキール。

 ヤコブ関連施設で倒した8体の新世代型二次元人たちを突破していく聖龍隊。

 すると彼等を倒していくと、聖龍隊は衝撃的な事実を目の当たりにする。

 それはなんと、ゲートウェイで再戦した8体の新世代型二次元人たち全員が、変身能力を有している一般の新世代型二次元人の変身していた姿だったのだ。

 大きさや容姿に至るまで、その細部だけでなく戦闘能力までも完全にコピーして変身していた普通の新世代型二次元人が、聖龍隊の前に立ちはだかったのだ。

 だがどちらにしろ、聖龍隊は変身した新世代型二次元人と戦い、一体一体倒してメカルスの姿を、存在を探し続ける。

 そんな聖龍隊に危機が訪れたのは、一行がヤコブ関連施設を運用してた8体の新世代型二次元人に変身した普通の新世代型を全て倒した直後だった。

 最後の変身してた新世代型を倒した直後、なんと衛星であるゲートウェイが突如として激しく揺れ出し、危険を通告する警報が赤く点滅して鳴り響いたのだ。

「緊急連絡! そこはもうすぐ崩落します! 今すぐ脱出ポイントまで引き返してください! は、早く……!」

 通信士ウッズの通告を受けて、一行は即行で駆け出して通路へと飛び出る。

 すると一行が飛び出ると同時に通路が皆を呑み込むかのように床が崩落して後戻りが出来なくなった。

 崩落する通路をひた走り、聖龍隊は素早く駆け抜けて転送装置が使用可能な地点まで逆走する。

「は、早く早く! 急がないと私たちお陀仏よ!」

 誰よりも早く駆け抜けて皆の先頭を行くミラールが後ろから来る仲間達を急かした。

 と、ミラールが転送装置で移動可能な地点に通じる扉の目の前まで駆け付けた矢先、彼女の顔スグ横を紅い閃光の如き光線が直射して聖龍隊一同の足を止める。

 全員が光線が発射された方へ振り返ると、そこに居たのは聖龍隊がゲートウェイでその存在を探し続けていた驚異が姿を見せていた。

「メカルス……!」

 順一やメタルバード、そして多くの聖龍隊士が愕然とする中、姿を見せたメカルスは異様な雰囲気を醸し出して言い放った。

「そう呼ぶことを許そう……如何にも! 俺は革命軍士総司令官のメカルスである」

「全ての二次元人に……三次元人に……世界に仇なす……お前の狂った野望、ここで終わらせるっ!」

 全ての存在にとって驚異と成り得るメカルスを前に、順一が闘志を奮っていきり立つとメカルスは嘲笑しながら問い返した。

「俺達が月を手にした事か……? くくくく……新たな世界を得た今、地球は滅ぶが定めと言うもの! だがその前に聖龍隊! お前達との決着をつけるとしよう……!」

 メカルスはそう言うと、右手からレーザーサーベルを出現させて聖龍隊に挑んできた。

「全力で来い!!」

 叫んだ次の瞬間、メカルスは瞬間移動で聖龍隊の頭上へと移ると、巨大なレーザーサーベルを一気に振り下ろして聖龍隊に斬りかかる。

 だが聖龍隊はこれを回避。速攻でメカルスに反撃を仕掛けた。

 さくらや獅堂光たちの剣戟を、メカルスはレーザーサーベルで防ぎ切り、怪力で押し返してしまう。

 すると今度は順一が拳を揮ってメカルスに殴り掛かる。メカルスは順一が振り翳す拳を全てかわしてみせると、素手状態の左手で順一の拳を受け止めては持ち上げて、順一を遠くへ放り投げてしまう。

 順一が放り投げられた直後、お次は砲撃が得意なフロートと射撃が得意なミラールが遠距離からメカルスを狙撃。しかしメカルスは二人からの狙撃にビクともせず、悠然と歩いて接近しては左腕でフロートとミラールの両名を軽くあしらって見せる。

 聖龍隊は果敢にメカルスに攻撃していくが、メカルスは以前同様、頑丈な装甲に強力な攻撃で聖龍隊を追い詰めていく。

 マカ=アルバーンも高町なのはもメカルスを倒そうと躍起になるが、乙女の戦力はメカルスに及ばなかった。

 しかもメカルスは以前と同様、瞬間移動で即座に場所を変えて攻撃に転じるので、聖龍隊は攻撃を当てるのに苦労した。

「ふんっ」

 金剛番長たちも必死にメカルスに打撃を与えていくが、鋼鉄のメカルスに傷を付けるのは一苦労。

 そんな中、メカルスは聖龍隊を更に追い詰めるべく、壁際に向かって目から赤いレーザーを発射して壁一面を灼熱の炎で覆い尽くした。

 こうして行動範囲を狭まれた聖龍隊は、更に苦境でメカルスを倒さなければならない事に。

「今や、月は我が物となり計画は最終段階……お前達の下らない使命は終わった。旧き世界と共に滅びるが良い!」

 宇宙という新天地という名の未来を奪われ、旧き世界と言われてる地球と共に滅びろと告げられ、聖龍隊の闘志に火がついた。

 そしてミラーガールを先頭に、ハイパー・ブロッサムにシャナ、葉月いずな達が一斉にメカルスへと総攻撃。

 乙女達の総攻撃を受けて巨体がよろめくメカルスに、追い討ちと言わんばかりに今度はマーメイドメロディーズとブラック・ラヴァーズが連携攻撃を仕掛ける。

 流石に連続で総攻撃を受けたメカルスは頭を左手で押さえ込んで千鳥足になり、バランスを崩す。

 そこへメタルバードが指示を出して聖龍隊一同に命令とも言える合図を告げた。

「今だ! 一気に畳み掛けるぞ!!」

 メタルバードのその声が合図となり、聖龍隊一同はメカルスに向けてチームアタックを仕掛けて総攻撃。

 魔法に科学と、多種多様な攻撃を受けてメカルスは破壊された。

 

「うぎゃあああああああああああッ!」

 爆炎に飲み込まれるメカルスを目撃し、聖龍隊は勝利の余韻に浸る。

「う~~ん……! やっと黒幕だったメカルスを倒すことに成功したわね!」

「ええ、みんなが力を合わせて勝ち取った成果ですわ」

 背筋を伸ばすミラールに、ミルヒオーレ・F・ビスコッティも勝利を大いに喜んだ。

「これで後は……ヴーイと、彼にさらわれた管理官のルミネを捜索するのみね」

「まだ完全に終わった訳ではないけど……けれど、メカルスを倒せたのは大きな一歩ね」

 セラーマーズとセーラーマーキュリーも残りの問題を見失う事無くも、メカルス打倒の成果を喜んだ。

「よし、みんな! 此処はもう危ない……すぐに撤退、だ…………!」

「ん? どうしたのバーンズ?」

 一同に現場からの撤退を告げようとするメタルバードが突然なにかに気付いたのか言葉を失った。そんなメタルバードに気付いてミラーガールが問い掛けると同時に彼の視線を追ってみた。

 すると、皆の視線の先に存在してたのは。

「そ……そんな…………!」

「ウソ、だろ……!」

「こんな事って、あるのかよ……!!」

 ミラーガールもブラック☆スターもトリコも、他の一同も皆が皆言葉を失うほど愕然とした。

 皆が目撃したのは。

「……うぅ……ああぁ……」

 爆炎に飲み込まれたメカルスから、元の一般新世代型二次元人に姿が戻った衝撃の光景だった。

 今まで聖龍隊と互角に戦っていたのは、メカルスに変身しただけの新世代型二次元人だった。

 変身が解除され、力尽きた新世代型を目の当たりにした聖龍隊は己が目を疑った。

 そして全員が凝視する中、ゲートウェイは崩落を続けてた。

「皆さん! 早く脱出しないと……! 全員、その場で転送します!」

 ウッズの機転から、全員はその場で転送装置でアニメタウンの聖龍隊本部に一瞬で転送させられた。

 

 通常の、戦闘型でもない新世代型二次元人がメカルスに変身して戦えた衝撃を忘れられないまま。

 

 

 

[制圧された月面基地]

 

 ゲートウェイで激しい戦闘を続けてた聖龍隊士たちが本部に戻ってきた直後。

 本部に異常者(ヒール)の反応が多数、月面基地に現われた警報が鳴り響いた。

「月面基地に異常者(ヒール)反応多数!! それに、これは……!?」

「メカルス、なんでしょ……?」

 ウッズが建設中の月面基地に大量の異常者(ヒール)を探知した上に、その異常な反応を前にしていると村田順一が言う。

「分かるんですか!?」

「ええ、私達には分かる……この感じ、奴よ」

 新米通信士のレイの問い掛けに、ミスティーハニーは自分達マン・ヒールズもその邪悪なる気を探知していた。

「さっき皆さんが倒したのはコピーだった、って事ですね」

「どうりで、手応えないと思った……」

 同じく新人であるパレルが、先ほどのメカルスは新世代型二次元人がコピーしてた姿だと納得していると、ミラールが以前に戦った事もある古いボディのメカルスだったなと思い返す。

 月面基地を制圧し、完全なメカルス専用の居城メカルス・パレスに造り替えている現状を前に、聖龍隊副長ミラーガールが決意に満ちた表情で言い放つ。

「これで最後よ……メカルス! 決着をつける時よ!」

 そしてミラーガールは最後に、今まで共に戦ってきた聖龍隊の仲間達に告げた。

「聖龍隊! 出動!」

 

 メカルスとの戦いを最後にするべく、聖龍隊は月面へと転送装置で移動した。

 既に月面基地は、メカルスの支配下に置かれていると思われる新世代型の手によって巨大な要塞・居城へと造り替えられており、その周囲を武装した新世代型が配置されていた。

 月面基地改めメカルス・パレスにて、全ての元凶であるメカルスを破壊する為に進軍しようとする聖龍隊。

 と、いつも通り戦前にウッズからの通信が傍受されたのだが。

「こち……ウ……ッズ……皆さん…………聞こ……え…………」

 なんと電波障害か、ウッズからの通信が途切れ途切れになってしまってた。

「メカルスが…………通信の………………妨害を………………」

 そしてこれを最後に、ウッズとの通信は繋がらなくなってしまった。

 ウッズとの通信が不能だと判断した聖龍隊は、通信士の手助けなしでメカルスパレスへと進軍する事に。

 しかし聖龍隊の前には武装して交戦の構えをする新世代型二次元人の軍勢が月面を覆い尽くしていた。

 聖龍隊は、月面を覆うほどの大軍にまで膨れ上がっている新世代型の軍勢を突破しながら、メカルスパレスへと進軍を開始。

 しかし彼等の進軍を阻もうと、武装した新世代型二次元人達が岩場やクレーターなどの障害物に隠れながら攻撃してきた。

「く、くそ……っ! 攻撃が以外と激しい……!」

 新世代型からの銃撃や砲撃の雨に、岩場に隠れながら前進するメタルバードたち聖龍隊は困難。

 必死に岩場から攻めてくる新世代型たちを迎撃していく聖龍隊であったが、メカルス・パレスを防衛する新世代型の数は減る様子が無かった。

 と、メタルバードやミラーガールたちが戦前で戦っていると、戦前の聖龍隊とは別に新世代型たちに攻撃を仕掛ける精鋭が現場に駆け付ける。

 それは、聖龍隊特攻決死隊の隊長を務めるウェルズに、そのウェルズを筆頭に武装した状態で駆け付けたシュウジに白井渚と浜崎雅弘の姿も確認された。

「叔父さん!」「ウェルズ! それにシュウジに渚に雅弘も!」

 四人の姿を目視して、ジュピターキッドやメタルバード達は一驚する。

「俺達も参戦させてもらうぜ! 未来に必要な技術、それを総括しているルミネをさらって悪事を働こうとしている輩を……特に、あのメカルスを倒さなきゃ気が済まねェ!」

 ウェルズの発言に、後ろのシュウジと渚と雅弘の三人も頷いて同意する。

 そんな四人の戦意を視認して、戦前で活躍する聖龍隊士たちは彼等四人の同行を許した。

「こなくそっ!」

 ウェルズが武装しているバズーカで交戦する新世代型達を吹き飛ばし、その後ろからシュウジや渚たちが小銃で新世代型たちを狙撃して排除していく。

 そんな四人の協力を得て、聖龍隊士たちはようやくメカルス・パレスの門前へと辿り付いた。

 しかし、そんな一行にパレス周辺を防衛していた武装状態の新世代型たちが集まり出す。

「ここは俺達が食い止める! みんなは内部に突入して……メカルスを倒してくれ!」

「分かった! 後は任せたぞ、お前ら!」

 ウェルズからの提言にメタルバードは彼等に後を一存させた。

「シュウちゃん、どうか無事で……!」

「ああ、ちせもな……」

「渚! せいぜい、みんなの足を引っ張らないようにね」

「分かってるよ!」

「雅弘さん、みんな……どうか無事で……」

「ええ、リナ達も気を付けて……」

 ちせはシュウジを、波音は渚を、リナは雅弘を心配しながらも仲間と共にメカルス・パレス内部へと突入する。

「4人とも! 無茶だけはしないでよねっ」

 最後にミラーガールも四人の健闘と無事を祈りながら、戦前の仲間達と共に奥へと駆け抜ける。

 

 そして一行はメカルス・パレス内へと突入。

 内部にも、当然の事か武装した新世代型二次元人が配置されており、猛攻という名の抗戦が仕掛けられた。

 突入した聖龍隊は必死に新世代型を撃退し、仕掛けられた罠などを突破しながら奥へ奥へと進攻した。

 そして一行はまっさらで殺風景なパレス内部を進んでいると、ある小部屋へと辿り付いた。

 皆が辺りを警戒しながら突き進んでいると、突然入室してきた背後の入り口も前方の出口も堅く閉ざされてしまった。

 何事かと一同が動揺していると、そこに専用のアーマーライドに搭乗して聖龍隊を始末しに来たヴーイが姿を現した。

「くくくく……そうか。まだあがく事をやめないと言うのだな……まだ、望みがあると思っているんだな?」

 このヴーイの発言に、ミスティーハニーが愛想を尽かした様子で返答する。

「あがく? あなたやメカルスに付き合うのが飽きただけよ」

 するとミスティーハニーに続き、ミラーガールもヴーイに言い放った

「私達が諦めない限り、望みはあるわ! あなたもメカルスも、私達が倒す!」

 そんな二人の乙女の真意を聞いたヴーイは、彼女達を嘲笑しながら戦いという名の宴に迎え入れた。

「ふはは、そうだな……! おとなしく滅びられても、つまらん。破滅の最後の時まで愉しもうではないか!」

 

 

 

[戦いを愉しむ者]

 

 戦闘用ライドアーマーに搭乗したヴーイは、その底知れない戦闘狂な心意を吐き散らす様に聖龍隊へ戦いを仕掛けた。

「ヴェーーへへへっ!」

 聖龍隊を嘲笑いながらライドアーマーで聖龍隊に殴り掛かる。

 それを聖龍隊の面々は素早く移動して回避していくと、村田順一だけが真正面からヴーイに挑んでいった。

 順一はヴーイが操縦するライドアーマーの真正面から迎え撃ち、己の鍛え抜いた拳とライドアーマーの機械仕掛けの拳をぶつけて激しく突き合った。

 一瞬、双方は互角に見える拳の突き合いを見せたと思われた次の瞬間。順一がライドアーマーの強力なパンチに打ち負けて後方へと思いっきり吹き飛ばされてしまう。

「ジュン!」

 明石薫たち仲間の皆の呼びかけに応える様に、順一は何とか踏ん張って停止した。

「ぐっ……流石にライドアーマーのパンチまでは受けられなかったか……!」

「無茶しすぎだよ、ジュン」

 己の拳でライドアーマーのパンチを受け切れなかった結果に残念がる順一に、仲間の白浜兼一が駆け寄る。

 一方でヴーイは、ライドアーマーに搭乗して装備しているバルカン砲で銃撃の雨を戦前の聖龍隊に連射。

 聖龍隊はヴーイが放つバルカン砲の連射を巧みに避けながら、反撃をライドアーマーに被弾させていく。

 しかしライドアーマーに差して損傷は与えられず、ヴーイも容赦なく聖龍隊を砲撃で攻撃していく。

「はーーはっは、ははははは……っ!」

 ヴーイは辺りを自身の攻撃で破壊しながら聖龍隊と交戦している状況を心の底から愉しんでいた。

 そんな戦闘を愉しむヴーイに反感を覚えた聖龍隊は、攻撃目標をライドアーマーではなく操縦者のヴーイに変更して攻撃を再開した。

 するとヴーイは自分が狙われている事を瞬時に察し、素早くライドアーマーから離れると攻撃方法を切り替えて自らが装備している小型の機関砲で聖龍隊を攻撃。

 それをメタルバードが刃に変形した両腕で弾き返し、その隙にセーラーヴィーナスとちせが必殺技でヴーイを狙い撃つ。

「ぐはっ」

 二人からの攻撃を受けて悶絶するヴーイに、今度は別角度からウォーターフェアリーと堂本海斗が武器でヴーイに斬りかかる。

 ヴーイは両者からの剣戟を後ろ手に移動して避けると、ホバリングで浮遊しては再びアーマーライドに搭乗して完全なパワーで押し殺して行こうと再戦する。

 しかしヴーイがライドアーマーから離れている間、ジュピターキッドが操る荊がアーマーライドに巻きついて自由に動けなくしていた。

 ヴーイは何とかライドアーマーを動かそうと滅茶苦茶に操縦桿を弄くるが、その隙にセーラージュピターがアーマーライド目掛けて強力な電撃の技を叩き込んで、ヴーイをライドアーマーごと感電させた。

「ぎゃあっ」

 悶絶するヴーイは、なんとか反撃だけは仕掛けようとライドアーマーの機関砲を狙い済まし、聖龍隊に向けて強力な光弾を放った。

 だが、仲間に直撃する寸前でミラーガールが光弾を鏡の盾で撥ね返し、その光弾はヴーイの顔面その鋼鉄のマスクへと直撃した。

「ぐはぁ!」

 自らの攻撃を跳ね返され、顔面にお見舞いされるという屈辱を味わったヴーイは、怒り心頭で周囲にいる聖龍隊目掛けて滅茶苦茶に弾を乱射して暴れ回る。

 ヴーイが興奮状態で弾を乱射してくる混戦の最中、メタルバードは鋼鉄の体を生かして銃弾の雨の中を前進し、ヴーイが操縦するライドアーマーの前まで歩み寄ると、アーマーの足を蹴り払って体勢を崩した。

 体勢が崩れて一瞬ヴーイが怯んだその隙を、メタルバードは見逃さなかった。

「全員! チームアタックだ!」

 メタルバードがそう言った次の瞬間、現場にいる聖龍隊は総員でヴーイに向かって攻撃。ヴーイと彼が操縦するライドアーマーは爆炎に包み込まれた。

 そしてライドアーマーは爆発し、それに搭乗しているヴーイもぐったりと背もたれに寄りかかって完全に倒したと聖龍隊は判断した。

「あの世で待っていなさい……いずれ元罪人だった私達も行くわ。まあ、まだずっと先だけど」

 自分たち彼と同じ罪人であったミスティーハニーたちマン・ヒールズも先に地獄で待ってろという思いで意識を失うヴーイに言葉を掛けると、メタルバードが皆に言った。

「ようやくヴーイとも決着がついたんだな……それじゃ先を急ごうぜ、みんな!」

 こうして戦闘用ライドアーマーに搭乗して戦いを仕掛けてきたヴーイを突破して、聖龍隊一行は先へと進もうとヴーイと激戦を繰り広げた部屋から退室しようと出口を出て行った。

 だが、最後にメタルバードやミラーガールたち聖龍HEADが部屋から出ようとした、その時だった。

 突如として部屋の出入り口である扉が完全に閉じてしまい、HEADは部屋から出られなくなる。

「お、おい、どうしたんだよ?」

「いや、分からない……扉が急に閉じちまって」

 メタルバードが不思議がる中、男性陣であるエンディミオンや堂本海斗、そして蒼の騎士が扉を強引に開けようとしていたその時。

 皆の背後から巨大な何かが接近してくる気配が。

「な、何っ!?」

 HEADが振り向くと、そこには既に戦闘不能に陥ったライドアーマーを操縦して動かすヴーイの姿が。

「ヴ、ヴーイ……!!」

「ははは、はーーっはっはっはーー……!」

 メタルバードたちが愕然とする中、ヴーイは今にも爆発して玉砕しそうなライドアーマーに搭乗したまま、扉前に集まったHEADに向かって突進。

 そして接近した瞬間、ライドアーマーは爆発。その爆発にHEADは巻き込まれ、室外で立ち往生していた順一たち聖龍隊の仲間達は突然の爆発に激しく動揺する。

「HEAD? ……HEADぉーー!!」

 HEADの無事を確認したくても、通信機は妨害電波で使えず、扉を開けて後戻りしようにも扉は爆発の衝撃で完全に変形して開かなくなっていた。

 順一やミラール、そしてミスティーハニーたち全員がHEADの事を心配する中、順一が皆に切り出した。

「……みんな。ここは一先ず…………僕たちだけで先に進むしかない」

「そ、そんな! アッコおねえちゃん達は?」

「姉さんはどうなるの!?」

 順一の発言にミラールもミスティーハニーも反論するが、順一は皆に正論で返した。

「今、僕たちがしなきゃならないのはメカルスの討伐だ! 急いでメカルスを倒さないと……アイツの事だ、何を仕出かすか」

 順一は更に動揺する皆々に説いた。

「一刻も早くメカルスを倒さないと取り返しのつかない事になる……! 今はHEADを気にするよりも、前進するしか僕たちの選択肢はない」

『………………』

「……大丈夫だ。HEADの人たちが簡単にやられる筈はない。そう信じよう……」

 この順一の必死の説得を聞いて、スター・コマンドー/ニュー・スターズ/スター・コマンドー/マン・ヒールズの面々はメカルス・パレス内を再び進軍する決意を固めた。

 

 果たして聖龍HEADは無事なのであろうか。

 

 

 

[機神の複製と意思を受け継ぐ子供]

 

 ヴーイのまさかの自爆に巻き込まれ、生死不明に至った聖龍HEADと分断された順一たち残りの聖龍隊はメカルス打倒の為に前進するしか選択肢が無かった。

 そして一行は迷いを打ち払い、進軍するのだが、そんな一行の前に立ちはだかったのは新世代型二次元人であった。

 しかも此処から進軍する聖龍隊に攻撃してくる新世代型達に驚くべき現象が現われる。

 それはロボットである筈のメカルスに変身して、頑丈な体と強力な攻撃力で進軍しようと前進する村田順一たち聖龍隊を迎撃してきたのだ。

 新世代型がメカルスに変身して迎撃してくる閃光から身を守る為に一時的に物陰に潜む順一たち。

「い、以前に戦ったのと同じだ……新世代型は、完全に僕たちが昔破壊した事のあるメカルスの機体に変身している」

 物陰に身を潜めながら、新世代型たちが旧式のメカルスボディに変身して数の暴力で迎撃してくる戦況に順一は愕然とする。

 HEADという大きな戦力を失った一行は、物陰に隠れながらも次第に距離を縮めてくるメカルスに変身した新世代型たちに何とか反撃しようかと機会を窺った。

 そして変身している新世代型たちが接近してきたその時、息を殺して潜んでいた聖龍隊士が物陰から遂に痺れを切らして飛び出した。

「はぁッ!」

 最初に飛び出したマカ=アルバーンが死神の鎌を巨大化させた「魔神狩り」で接近してきたメカルスに変身した新世代型を斬り捨てた。

 マカに続けと、ニュー・スターズにスター・ルーキーズの面々も反撃していきメカルスに姿を変えた新世代型たちを一体残らず破壊していく。

 すると聖龍隊の攻撃を受けた新世代型に変化が。なんとメカルスへの変身が解けて、元の姿に戻ったと思いきや傷口から血を噴き出して続々と床に倒れ込んでいった。

「うぅ……」

 実に苦痛に喘ぐ声を発しながら、聖龍隊士に反撃された新世代型達はその場で絶命していく。

 ロボットであるメカルスから、通常の肉体に戻って絶命する新世代型たちを目前に捉え、愕然とする一同。

 今さっきまで機械のメカルスを攻撃していた感覚だったのに、攻撃を受けた途端に元の姿に戻って絶命していく情景を目の当たりにして言葉を失う聖龍隊一同。

 そんな絶句してしまう仲間達を前に、順一が皆に言い聞かせた。

「ここは反撃するしか僕たちが生き残る道は無かった。今は立ち止まっている場合じゃない、先を急ごう」

 順一の説得を受けて、聖龍隊士たちはメカルスに変身してた新世代型二次元人の屍を乗り越えて進撃を続けた。

 

 それからも聖龍隊の前にはメカルスに変身した新世代型二次元人が各所に配置されており、メカルスの攻撃力で迎撃を受けた。

 聖龍隊はメカルスに変身した新世代型を戸惑いながらも反撃しては倒し、苦心の中でメカルス・パレス内を進撃する。

 辛うじてメカルスに変身した新世代型の攻撃を掻い潜り、順一たち一行は最深部の玉座の間に辿り着いた。

 階段を上り、玉座の前まで辿り着いた一行の前には、玉座に座る実に禍々しい容姿のメカルスが一行を待ち侘びていた。

「よく来たな、聖龍隊……一つの世界の、いいや時代の終焉に他ならぬお前達と立ち会えるとは! 実に嬉しい……!」

『………………』

 黒いボディに刺々しい風貌のメカルスを前に聖龍隊一行は立ち尽くしていた。

「俺はな、聖龍隊……俺達の出会いは、この時のため……新しい時代の幕を開ける為の必然であったと思うのだ」

 そんな中、メカルスは絶えず聖龍隊に語り掛け続ける。

「聖龍隊……お前達が振りかざす薄っぺらな理想が、俺にこの世界の過ちを気付かせてくれた……それこそが、全ての始まりであり、全てを終わらせるこの時の始まり。そう思わないか?」

「ふざけるな、メカルス!」

異常者(ヒール)の戯言は、そのぐらいにしてくれないかしら……」

 メカルスの発言に怒りを覚える順一に呆れ果てるミスティーハニーの問い掛けに、メカルスは微笑しながら衝撃的な話を語った。

「くくく……そう怒るな、そして焦らんとも良い。もはや、時計の針を戻す事はできん。お前達には感謝しているんだ……世界が、宇宙にその生きる路を見出した時……こうして、新世代型の二次元人……我が意思を受け継ぐ子供たちが宇宙に、俺たちの新たな世界を創り上げる事ができたのだしな」

「子供……だって!? 何を言っている!」

 新世代型二次元人が己の子供だと説くメカルスの口車に衝撃を受ける順一たち聖龍隊一行。

 そんな衝撃を受けて愕然とする聖龍隊を前に、メカルスは玉座に腰を下ろしたまま衝撃の事実を語り明かし始めた。

「そう……ヤコブ計画を中心に始まった新時代に適応できる新世代型二次元人の生誕段階から、全ての計画・全ての新世代型二次元人は我が手の内にあったと言う事だ」

 新世代型二次元人の生誕から、ヤコブ計画や新世代型達は手中にあったと告げるメカルス。

「お前達も既に知っての通り……ヤコブ計画を発端に生み出された新世代型二次元人その全ての遺伝子には我がオリジナルである小田原修司の遺伝子がモデルにされている!」

 そして聖龍隊も既に知っての通り、新世代型二次元人はメカルスのオリジナルでもあれば聖龍隊初代総長の小田原修司の遺伝子をモデルにされたクローンに近い種族である事を語るメカルスは、最後に聖龍隊に新世代型とは何かを説いた。

「これからの世界を築くのは、我が意思を受け継いだ可愛い可愛いベイビーたち……新世代型の二次元人である俺たちだ! さあ、聖龍隊! お前達はこの古き世界と共に滅びる運命なのだよ!!」

 自らを新世代型二次元人の王だと自称するメカルスは、順一たち戦前で活躍し、今まで自分にたてついて来た聖龍隊士と決着をつけるべく一行の前へと瞬間移動した。

「全力で来い!!」

 右手に巨大な自身と同色の大剣を握り締め、順一達に宣言するメカルスは速攻を仕掛ける。

「そりゃっ」

 瞬間移動で皆の真上に移動したメカルスは、大剣を振り翳して急降下。それを順一達は各自散らばる様に回避していく。

「それっ」

 するとメカルスは続いて聖龍隊に向けて左手のひらからリング状の怪光線を放ち、順一達を襲う。

 飛来してくるリング状の光線を順一達は輪っかの中を潜る様に跳躍して回避した。

 その様に全ての攻撃を難なく回避していく聖龍隊を前にして、メカルスは憤り、巨大な剣を振り翳して応戦する。

「ぐ……っ!」

 そんな剣を振るって猛威を散らすメカルスに、順一は真っ向から向かっていき、己が拳を前に突き出してメカルスが振るう巨剣と拳をぶつけ合った。

 凄まじい衝撃波が発生し、周りの皆もその衝撃波に驚くが、メカルスは一瞬だけ怯んだだけでスグに順一の突き出してきた拳を巨剣で弾き返してしまう。

「うおっと」

 メカルスに己が拳を弾かれてしまい、思わず後ろへよろめいてしまう順一を仲間達が支える。

「ジュン!」「大丈夫?」

「あ、ああ、何とかね。ありがとう、才人、マイちゃん」

 順一は仲間達に例を返すと、再びメカルスに向かって今度は日本刀:純心で立ち向かっていく。

 

 そんな順一同様にメカルスへ攻撃を仕掛けていく他の聖龍隊士たち。

 フロートは懸命に砲撃をメカルスへと放っていけば、ミラールは二丁拳銃を連射してメカルスに猛攻していく。

 しかしメカルスは如何なる砲撃・射撃、そして科学や魔法といった攻撃手段にも怯む事無く巨剣を振り回して周辺の聖龍隊士たちに斬りかかる。

「このッ」

 マカ=アルバーンやブラック☆スターの斬撃がメカルスを襲い、金剛番長やトリコ達の豪腕がメカルスに屈強な体へ叩き込まれる。

 なのは達の魔力での砲撃もメカルスは耐えてみせ、メカルスは次第に聖龍隊の隊士達を追い詰めていく。

 ミスティーハニーたちマン・ヒールズも、メカルスとの戦いに終止符を打とうと躍起になって攻撃に攻撃を重ねる猛攻を撃ちこんで行くが、メカルスは微動だにしなかった。

 メカルスの横暴を阻止するべく、ハンター・スティールを中心としたスパイダーライダーズの部隊と結界師の墨村良守と雪村時音が協力し合って、メカルスに強靭な蜘蛛の糸を絡みつかせた上で結界術で完全に動きを封じた。

 と、そこへ音無小夜が得物を突き出してメカルスへと突撃を仕掛けて攻撃。

 小夜の攻撃を受けてよろめくメカルスに、今度は高所からダイナマイト付きのくないをメカルスの周辺に投げ付ける日向ひまわり達くノ一らが仕掛ける。ダイナマイトは爆発し、その衝撃でメカルスは跪いてしまった。

 そんなメカルスに追い討ちを仕掛けようと白浜兼一と風林寺美羽が格闘術を叩き込もうと仕掛けるものの、メカルスは即座に立ち上がっては両者が繰り出す武術を全て両手だけで受け止めては兼一と美羽を返り討ち、最後は正拳突きで二人を吹き飛ばしてしまう。

 敗られた二人に代わって、セレブナイトと平賀才人が得物でメカルスに斬りかかり、攻撃しようとしたのだが、メカルスはこの二人の剣戟をも己が振り翳す巨剣で軽々と弾き返しては吹っ飛ばしてしまう。

 打撃では勝てないと踏んだユウとニナミは、同じ属性を持つ赤ずきんや白雪と共闘してメカルスに挑むのだったが、メカルスは灼熱の火炎も凍て付く氷も効かずに四人を巨剣で吹き飛ばした。

「このヤローー!!」

 大門大が怒りの鉄拳をメカルスに打ち込もうとするが、メカルスはそんな大の腕を掴んではそのままハンマー投げで床に投げ付けて見せた。

 四人の超能力を合わせれば勝機が見えるかもと思い立った明石薫は、同期の野上葵と三宮紫穂そして年上の梅枝ナオミと協力して強力なサイコパワーをメカルスに放った。だが結局は効かずに、返り討ちにあってしまう。

 シャナとアレン・ウォーカーにリナリー・リー達も奮戦するが、メカルスは皆の善戦を嘲笑うかのように軽くあしらってしまうばかり。

 アラジン/アリババ/モルジアナ三人がかりの連携もメカルスには効かず、メカルスは三人を巨剣で弾いてしまう。

 澤田綱吉たちと奴良リクオたち二つの部隊の合体技を受けても尚、メカルスはその黒い風体に傷一つ負わずに終わってしまう。

 ナツ・ドラニグル/ルーシィ・ハートフィリア/グレイ・フルバスター/エルザ・スカーレット/ハッピー達も、自分達の世界を傷付けて来たメカルスを今度こそ倒そうと全力で挑むのだが、メカルスは嘲笑しながら攻撃を受け流す。

 ヒーローマンに六道りんね、日ノ原革に門脇将人も総力で攻めるが、メカルスは余裕綽々だった。

「ぐふふ、懐かしいな将人。お前が俺の配下にいて、そこのミラールの古巣であるブラッディ・レンジャーズを一緒に利用した時の事を思い出さないか……!?」

「う、うるさい……!」

「ふふふ、否定しなくても良い。お前の中には結局、他人を不幸に誘うだけの才が為りを潜めているだけなのだ……どうだ? 今からでも遅くない、また俺の下で戦いに明け暮れないか?」

「黙れッ! メカルス! 今日こそお前をぶっ壊す!!」

 メカルスの挑発に乗せられながらも、懸命に剣を振るってメカルスを破壊しようと斬り進む将人。

 しかしそんな将人も軽く足蹴にして、メカルスは更に聖龍隊士を傷つけ、追い詰めていく。

「ぐッ!」「きゃあっ」

 ワイルドタイガーやミルヒオーレたち【TIGER&BUNNY】や【DOG DAYS】の面々も容赦なく、慈悲も無く斬り捨てていくメカルス。

「これ以上、あなたの思い通りにはさせない!」

 ミスティーハニーが再びメカルスに攻撃しようとわき目も振らずに直行していくが、彼女の細腕ではメカルスの機械の豪腕には打ち勝てなかった。

「喰らえッ」

 ガイトの指示の元、ブラック・ラヴァーズが黒い渦潮を発生させてメカルスを渦に閉じ込める。そこにマン・ヒールズが総攻撃を放つが、メカルスは自力で渦潮を内部から打ち破り、その際の衝撃波で周囲のマン・ヒールズを吹き飛ばす。

 

 

 

[駆け付ける龍頭と頼れる男達]

 

 圧倒的なメカルスの力を前に、その場の全員が倒れてしまう惨状の中をメカルスが歩む。

 そしてメカルスは右手に村田順一を、左手にミスティーハニーを掴んでは、そのまま握り潰そうと握力を強めた。

「絶望せよ! お前達が守ろうとした世界がすがった計画も、全て我が手の内だった! お前達に残されたものは絶望しかない!」

 傷付き、満身創痍の二人と多くの同士達に冷たく吐き散らすメカルスは、更に握力を強めながら言い放つ。

「ふはははははは、滅べっ! 滅べ、滅べ、滅べ!」

 聖龍隊に、特に握り潰そうとしている順一とミスティーハニーに冷徹な言葉を吐き散らすメカルスに、苦痛で顔を歪ませながらもミスティーハニーと順一が強い心で反論した。

「ふ、ふざけないでメカルス! 私達が動ける限り、あんたに都合のいいエンディングなんて無いわ!」

「くっ……例え、ヤコブ計画が……新世代型二次元人の生誕が、最初からお前の仕組んだ事だとしても……僕たちは最後まで諦めたりはしないっ!」

 最後まで抵抗の意思を示す二人に、メカルスが表情を強張らせていると、そんなメカルスの足元で倒れているミラールも強く言い返す。

「じょ……冗談言わないで!! 此処で私たちが諦めたら、アンタが喜ぶだけでしょ!」

 ミラールだけでなく、他の聖龍隊士一同が同じ気持ちだった。

 そんな一同の闘志を根底から消し去る為にも、メカルスは二人を握る握力を更に強め、順一とミスティーハニーの首をへし折ろうとした。

 

 が、その時だった。

 遠くからロケットランチャーが飛来して、メカルスの顔面に直撃。その衝撃で握られていた順一とミスティーハニーが解放された。

「うっ……」

 床に落下して悶絶する順一達の側に、先ほど離別した多くの隊士が瞬時に駆け付けた。

「間に合ったようだな」「そ、総長!」

 目の前に現れたメタルバードたち聖龍HEADに順一は目を輝かせる。

「良かったわ、何とか間に合って」

「アッコおねえちゃん……!」

 無事に生還してきたミラーガールたちを前に感激するミラール。

「姉さん! 良かった、みんな無事だったのね?」

「ええ、何とかね聖羅……青児さんたちが応援に来てくれて、その道中で負傷した私たちを見つけてくれたのよ」

 ミスティーハニーの問い掛けに返答するキューティーハニーの視線を追うと、そこには新たに今や盲目の剣士へと変わった早見青児が加わったウェルズ率いる決死隊の隊士達が。

 

 実はメカルス・パレスの入り口の前で応戦していたウェルズ/シュウジ/白井渚/浜崎雅弘たちに、応援に駆け付けた早見青児も参戦してメカルス・パレス内を進攻していた。

 その道中で、ウェルズたち四人はヴーイの爆発に巻き込まれて負傷している聖龍HEADと合流し、瓦礫の中から掘り出したという。

 そして最終的には、ナースエンジェルとセーラームーンの治癒能力でHEADは全回復し、改めてウェルズ達と共にメカルスの許へと馳せ参じたというのだ。

 

 ヴーイの爆発に巻き込まれながらも存命していた聖龍HEADを前にしても尚、余裕を感じさせるメカルスは戦場に投下されている聖龍隊の一行に怪しげな微笑を浮かべては言い放った。

「くくく……ようやくHEADの、お仲間の到着か? 無駄な事よ!」

 メカルスは、その禍々しい雰囲気を醸し出しながら聖龍隊に告げた。

「次世代の王たる我が力の前には何もかも無力よ!!」

 そして決死隊の五人に聖龍HEADも戦力に加わった現状で、メカルスも今まで以上に力を解き放った。

「決着をつけるぞォ!!」

 メカルスは全身から刺々しい突起物を出現させ、更には悪意に満ちたオーラを解き放ちながら目前の聖龍隊へと攻撃していった。

「それッ」

 再び瞬間移動して皆の頭上から巨剣を振り下ろすメカルスの猛攻に、聖龍隊は再度散らばって攻撃を回避。

 攻撃を避けられたメカルスは、続いて掌からリング状の光線を射出して聖龍隊に仕掛ける。だが聖龍隊士はこれを俊敏な動きで回避していく。

 リング状の光線を射出して挑んでくるメカルスに、ミラーガールが懐に飛び込んでミラーソードで突き刺そうと試みるが、その寸前でメカルスに防がれてしまう。

「くくく、ミラーガールよ……お前はどうなんだ? お前自身が愛する小田原修司のクローンたる新世代型が、その全てが我が意思を……修司の邪悪なる心の副産物である俺の意思を受け継いだクローンたる事実を……!」

 この問い掛けにミラーガールは目付きを鋭くさせて反論した。

「違うわ! 新世代型の二次元人全てが、あなたの様な邪悪な意思を受け継いでいるとは思わないわ! ……何より、修司の心がコピーされていたとしても……修司の心が全て邪悪な意思ではないのよ!」

 ミラーガールは最後まで小田原修司の意思が全て邪悪なものではないとハッキリとメカルスに言い返す。

 すると其処にメカルスの背後から村田順一も日本刀:純心を振り翳して斬りかかりながら申し渡す。

「その通りだ!」「!」

 順一からの斬撃を寸でのところで回避したメカルスに、順一は述べた。

「総長は……いや、前総長だった修司さんの心は全て闇では、邪悪な心ではなかった! 修司さんの心をコピーされたメカルス、お前には邪心があるんじゃない、心が欠落しているだけに過ぎない!!」

 と、メカルスが順一の話に表情を歪ませていると、今度はメカルスの頭上からメタルバードが飛来しては鋭利な刃に変形させた腕で狙ってきた。

「そうだ!」「ぐふっ」

 頭部に直接斬り込まれたメカルスが頭を押さえると、斬りこんで来たメタルバードが物申した。

「修司はな……! 誰よりも小心者で、いつも仲間であるオレ達の事を……特に女共の事を、まるで父親の様に心配していた小心者だ! そんな他人に気遣いできる点ではメカルス! お前とは正反対なんだよ!」

「ぐっ……!」

 メタルバードに論され、ますます顔を歪ませるメカルス。

 

 と、ここでメカルスは自分に向かって雪崩れ込む様に攻めてくる数多の聖龍隊士を前にして、一同の存在を煩わしく思ったのか行動に移った。

「それっ」

 なんとメカルスは両目から紅い閃光の如き光線を発射して、自身に向かってくる聖龍隊士の足元から巨大な火柱を発生させて進撃を阻んだ。

 そして自身の周囲を取り囲む様に炎の円陣を築き上げたメカルスは、炎の壁に取り残されたミラーガールに村田順一そしてメタルバードと決闘に挑んだ。

「ぐはは、さあ、これでお仲間の助けは来なくなったぞ。今こそ尋常に、お前らの息の根を止めてやるわっ!」

 メカルスは炎の壁を形成する円陣で逃げ場を失った三人に向かって強襲してきた。

 足場が狭くなった円陣の中で、メカルスは掌からリング状の光線を発射してはメタルバード達に攻撃。だがそれをミラーガールが鏡の盾で撥ね返して二人を護る。

 するとメカルスは一気に前へと踏み込んで、三人に向かって巨剣で一気に斬り込んだ。

「そりゃッ」

 だがメタルバードに順一そしてミラーガールはそれぞれの得物でメカルスが振り翳す巨剣を辛うじて受け止め、防ぎ切った。

 そして三人は一斉にメカルスが押し付ける巨剣の刃を押し返し、再びメカルスと対峙する。

「へへへ、その程度か? 聖龍隊……」

 不敵な笑みを浮かべるメカルスを前に、三人は自分達を取り囲む灼熱の炎の円陣で流れる汗を拭う。

 すると此処でメタルバードが両脇の二人に向けて合図を目から送ると、次の瞬間一気にメカルスへと斬り込んだ。

 メカルスはメタルバードの斬り込みを寸前の所で防御し、攻撃を防ぐ。

 と、メタルバードの攻撃をメカルスが防いだ次の瞬間、メタルバードは連続で一気に斬り続け、メカルスの防御を強引に突破してみせた。

 その瞬間、メタルバードの背後で様子を窺っていたミラーガールと順一もメカルスに急接近して総攻撃を同時に仕掛ける。

「行くぜ」

 メタルバードの掛け声と共に、三人はメカルスへチームアタックを打ち込み、メカルスを一気に大破させた。

「ぐおおッ」

 総攻撃を受けて、その強靭な黒い体を一気に大破させられたメカルスは断末魔を叫ぶ。

 それと同時に、メカルスが作り上げた巨大な炎の壁による円陣も消滅し、円陣の外側にいた聖龍隊士達もメカルスの破壊成功を察しては大いに喜んだ。

 

 

 

[表す新世代型]

 

 メタルバード、ミラーガール、村田順一のチームアタックにて破壊されたメカルスは、聖龍隊一同の前で爆発しながら語った。

「ま、まさか……俺がここで倒れるとは……滅びるのは……お前ら……旧世代の…………」

 そんなメカルスは最後に「ぐふっ」と悶えると完全に大破して無残な残骸へと変わった。

 メカルスを倒して一息つく聖龍隊一行。そんな中でミラールがポツリと呟く。

「へっ、何が旧世代よ。自分だって旧世代の産物のくせに」

 皮肉混じりの台詞を吐いたミラールだったが、ここでメタルバードとミラーガールが、まだ作戦終了ではないと皆に告げる。

「みんな! まだオレ達の任務は終わっちゃいない」

「そうよ。まだヤコブ管理官のルミネが見付かってないわ。早く彼を探しましょう……メカルスに何かされてなければ良いけど」

 不安そうに話すミラーガールの言葉を聞いて、全員が捜索活動に入ろうとした、まさにその時。

 

 聖龍隊一同の前に、突然誘拐されてたヤコブ管理官のルミネが姿を現したのだ。

「あなたはルミネ管理官! 良かった、無事だったんですね?」

 突如として現われたルミネを発見し、登場した彼にウェルズたち決死隊の面々が駆け付けるが、そんな一行にルミネは平然と言った。

「無事? もちろんですよ……」

 ルミネは自分の許に駆け付けるウェルズや渚に雅弘シュウジらの隙間を掻い潜るように前へと歩むと、先ほどの戦闘で破壊されたメカルスの残骸その頭部を踏み付けながら聖龍隊に訊ねる。

「皆さんもメカルスを倒せて満足でしょ? お陰で計画も、ここまで順調ですよ」

「ルミネ、管理、官……?」

 まるで全てが計画通りだと言わんばかりの態度を取るルミネの言動に、順一達が唖然としているとミラールが物申した。

「あなた、メカルスに連れ去られて利用されてたんじゃないの」

 このミラールの問い掛けにルミネは目を細めて言い切った。

「利用? ……違いますね」

 するとルミネは自身が踏み付けているメカルスの頭部を見下ろしながら話した。

「彼は、メカルスは役目を果たしたまでですよ……」

 次の瞬間、ルミネは笑みを浮かべてメカルスの頭部を踏み砕くと、目を紅く光らせては聖龍隊に言い寄った。

「私たち新世代型を目覚めさせ、世界を変える、という役目をね」

 そう怪しい笑みを浮かべて告げたルミネは、光を放ちながら宙へと浮かんだ。

 

 そして宙へと浮かんだルミネは、自身の体内から8つの思想概念エネルギーを出現させて、それを自身の周りに浮かばせた。

「あ、あれは……!?」

「あれは……! 今まで私たちが倒してきた異常者(ヒール)化した新世代型二次元人の思想概念よ!」

 高町なのはが驚愕してると、それにコレクターユイが衝撃の事実を返答する。

 ルミネが出現させたのは、此処に来るまで聖龍隊が倒してきたメカルスの軍門に降ったと思われた新世代型二次元人、グラビテイト・アントニオン/アースロック・トリロビッチ/ギガボルト・ドクラーゲン/アイスノー・イエティンガー/バーン・コケコッカー/バンプー・パンデモニウム/オプティック・サンフラワード/ダークネイド・カマキール等がb持っていた思想概念エネルギーであった。

 八体の新世代型二次元人の思想概念エネルギーを自在に操るルミネは、その思想概念から発生する力を巧みに使いこなして聖龍隊に襲い掛かる。

「来なさい」

 ルミネは皆の頭上から巨大な雪の結晶と、強力な雷を燦々と降り注がせた。

「こ、これは! イエティンガーとドクラーゲンの力!?」

 以前に戦い、そして処分した筈の新世代型アイスノー・イエティンガーとギガボルト・ドクラーゲンの力を発揮するルミネを前に愕然とする真紅。

 聖龍隊は事態を飲み込めないまま、ルミネが繰り出した技を無力化するため、頭上からの雪の結晶は電撃で破壊し、雷は水晶を避雷針にして防いで難を逃れた。

 しかし、そんな混乱する聖龍隊にルミネは容赦なく技を連発する。

「屍をさらしなさい」

 冷淡にそう告げたルミネは、皆の頭上に巨大な黒いキューブを発生させてはそれを落下させて聖龍隊を下敷きにしようと目論む。

「コイツは、アントニオンの技じゃないか!」

 頭上から幾度と無く降り注ぐ黒いキューブを必死で回避しながら、メタルバードはこの技がグラビテイト・アントニオンの技だと叫ぶ。

 そして多くのキューブを発生し終わったルミネは、続いて一同に向けて形成した水晶の壁で挟み撃ちにして下敷きにしようと技を発生させる。

「トリロビッチの!? 冗談でしょ!?」

 目前に迫る無数の水晶の壁を必死で跳躍してかわしていくハイパー・ブロッサムは目の色を変えていた。

 辛うじて水晶の壁を跳躍して回避した聖龍隊は、此処でようやく攻撃してきたルミネに抗戦すべく反撃を開始した。

「やむを得ないわ……! みんな、攻撃よ!」

 聖龍隊副長に昇格したミラーガールが皆に告げると、全員ルミネに向かって総攻撃。

 すると総攻撃を受けたルミネは、その体には傷一つ負わなかったものの激しい怒りを聖龍隊に向けた。

「私を怒らせましたね」

 するとルミネは、聖龍隊の動きを制限する為に手から放射する業火で炎の壁を形成しては一同を取り囲んだ。

「この技……コケコッカーのじゃねぇか!」

 異常者(ヒール)処分場で反乱を起こし、そして皆で倒したバーン・コケコッカーの、炎の壁で行動範囲を奪う技を披露するルミネにユウは驚愕する。

「もう、終わりなんです」

 不気味な微笑を浮かべたルミネは、皆の頭上その中央に移動すると其処から特大の黒くて巨大な斬撃を繰り出して地上の聖龍隊を一刀両断しようと画策する。

「カマキールの!? まさか、今まで私たちが倒した新世代型二次元人の能力を使えると言うの?」

 ダークネイド・カマキールが繰り出してきた巨大な黒い斬撃を見事に再現するルミネを目の当たりに、セーラーマーキュリーは必死にかわしつつも分析した。

 そんな聖龍隊を驚かせてばかりのルミネは、最後に皆が立っている床下からと、皆の頭上から強力な攻撃を放ってきた。

 それは地面からは竹型のミサイルを、頭上からはレーザー衛星から放たれるほどの図太い光線を発射して、天と地から同時に聖龍隊を攻撃した。

「パンプー・パンデモニウム……オプティック・サンフラワード……あの二人の大技までも使えると言うのか!?」

 順一はルミネが繰り出してくる大技を前に、愕然とするしかなかった。

 

 過去に聖龍隊が今回の新世代型二次元人の反乱で倒した筈の、各施設を牛耳っていた主将格の新世代型二次元人の大技を平然と使いこなしていくルミネの戦力を前に聖龍隊一同は混戦するばかりだった。

 聖龍隊の特殊能力での攻撃に加え、ウェルズ率いる一般の隊士達が装備している武器でも銃撃していくのだが、ルミネの猛攻は留まる事を知らない。

 ルミネは「自らの姿形を変えずともコピー能力を使用できる」という、新世代型の中でも最高傑作といわれる能力を持っていた。

 それでも聖龍隊はルミネを止めるべく必死に抗戦し、攻撃を当て続ける。

 そして困憊の末、どうにか聖龍隊はルミネを止める事には成功した。

「哀れですね、愚かな者たちよ」

 最後の攻撃を受けて、動きを止めて床に静かに降りるルミネ。

 だが彼は目の前の聖龍隊を見下ろす為か、スグに宙へと浮遊した。

 

 

 

[新世代型の意味]

 

「どういうつもりなの、ルミネ! あなたも、異常者(ヒール)になってしまったというの!?」

 ルミネに問い詰めるミラーガール。するとルミネはそっと微笑むと彼女たち聖龍隊の疑問に答えた。

異常者(ヒール)? そんなものでない事は、あなた方も薄々理解しているのでは? 私にトドメを刺せないのは、それが分かっているからでしょう?」

『……!』

 真意を衝かれ、動揺する聖龍隊にルミネは語り出した。

「私たち、新世代型二次元人のDNAは……数多くの旧世代の二次元人のデータを解析した上で、あの破滅の化身たる小田原修司のDNA、通称D-遺伝子に似せられて作られました……そのデータの中にはもちろん、小田原修司だけでなく多くの異常者(ヒール)達のデータも含まれています……分かりますか、この意味が?」

 このルミネの説明を聞いて、ルミネたち新世代型と同じく変身能力を持つミラールは戸惑い始めた。

「始めから変身能力を持っている新世代型に総長や多くの異常者(ヒール)の情報まで……? ま、待ってよ。それじゃ、新世代型のプロトタイプである私たち……特に変身能力を持っている私も、メカルスみたいに狂っちゃうってこと!?」

 ミラールが激しく動揺していると、そんな彼女にルミネが真理を答え出した。

「残念ですが、プロト世代であるあなた達には其処までの能力はありません……何より、メカルスは決して狂っていた訳ではありませんよ」

『…………?』

 全員がルミネの発言に困惑していると、ルミネは聖龍隊に自分たち新世代型の真意を説いた。

「メカルスは、自らの意思で、あなた方の世界に反逆していました……そして、私たち新しい世代の二次元人は、いつでもメカルスの様になれるのです……」

「どういう事だ!?」

 ルミネが説いた真意にメタルバードが強く問い返すと、ルミネは聖龍隊に新世代型二次元人の本当の能力について説き始めた。

 

「私達は、いつでも自らの意思で、あなた方の様に戦う事もできれば……同時に、あなた方旧世代に反旗を起こして戦いを挑む事ができるのです」

 新世代型は三次元人の思想に影響を受けずに、常に自らの意思で聖龍隊の様なヒーローの様に戦うことも出来れば、同時にそんな英雄たちに反旗を起こして戦いに挑むことが可能なのだと。

「あなた方に分かる様に言えば、私達は自分の意思で……ヒーローになって世界を守る事もできれば、逆に世界を滅ぼすことも可能な異常者(ヒール)にもなれるのです」

 それら全てを解り易く説けば、新世代型二次元人は創造主である三次元人の影響を受けずに自らの意思で、世界を守る事も滅ぼす事も可能な、絶対的な存在に成れるという。

 創造主である三次元人、それは聖龍隊の隊士達の運命を変えてくれた小田原修司も同様だった。だが、そんな三次元人の影響や関与も受けずに、自らの意思と力で運命を創造できる新世代型二次元人の存在を前に聖龍隊一同は深く嘆き、失意に陥る。

 それもその筈。自分達の運命はあくまで三次元人の小田原修司によって変えられた訳で、自らの意思と力で変えられた訳ではない。だが、新世代型は自分たち旧世代の二次元人と違い自らの意思と力で運命を、いや筋書きを変えられるのであった。

「ふふふ、聖龍隊……私達を倒せますか? 所詮は物語の筋書き通りにしか生きれない古い世代の二次元人であるあなた方が……自らの運命を創造でき、進化した私たち新世代型に何ができるというのです!?」

 新世代型に比べて、多くを変えられない旧世代の二次元人である聖龍隊が戦意を失くし落胆する中、ルミネはそんな聖龍隊を嘲笑した。

「くく、ハハハハッ……世界は変わったのです! 生命が、より優れた生命にとって代わるのは自然の摂理……それを否定する事こそ、自然への冒涜! あなた達は大人しく、滅ぶのが道理なのです!!」

 ルミネの言うとおり、自分達は何も変えられない無力な存在として、劣化している存在として滅びるのが道理だと思い知られされたミラーガールたち聖龍隊は全員武器を下ろして戦意を消失しそうになった。

 が、その時。落胆してミラー・シールドを下ろそうとするミラーガールの真横から一発の蒼い閃光が一直線にルミネに被弾した。

「うわっ!」

 蒼い銃撃を右肩に被弾したルミネが、負傷した肩を押さえていると、ミラーガールたち戦前の面々の間を抜けて銃撃を放ったミラールがミラージュ・ガンを構えた実に勇ましい形相で皆に言い放った。

「ジュン、みんな……アッコおねえちゃん、迷うこと無いわ。あいつは悪者……私たちの未来を奪おうとする、敵よ!」

 ミラールから指摘を受けて、順一もミラーガールも他の聖龍隊士も消え掛けていた闘志を微かながらに発火した。

 一方でミラールの銃撃を受けたルミネは、彼女の発言を否定した。

「敵、味方……違う、違うのです、そんな単純な問題ではないのです……!」

 ルミネは負傷した肩を押さえながら自らが説く新説を説いた。

「二次元人の在り方が、生命の在り方が変わったのです……」

 そしてルミネは再び威風堂々とした姿勢で宙を浮かぶと、改めて聖龍隊に告げた。

「もはや新しい時代、新しい世界に……あなた達は必要ないのですよ」

 しかし自分達の存在を完全否定され、挙句の果てには滅ぶのが道理だと説かれた聖龍隊はこれに激昂。

 そして感情が昂ったウェルズが目付きを鋭くさせてはルミネに言い放った。

「滅べと言われて、大人しく滅ぶ輩は聖龍隊にはいない!」

 湧き上がるウェルズの闘志に感化されて、シュウジや青児そして渚と雅弘は武器を身構え、他の聖龍隊士ミラーガールやメタルバードたちも自分たち旧世代の二次元人の命運を懸けてルミネに挑んだ。

 

 

 

[堕天使 降臨]

 

 ミラールの言葉で戦意を蘇らせた聖龍隊は、自分たち旧世代の二次元人を滅ぼそうとする新世代型二次元人ルミネと戦う覚悟を決める。

 すると聖龍隊の戦意を目の当たりにしたルミネはより高く舞い上がり、そこで突如白い光に包まれる。

 古い世代の二次元人を滅ぼそうとし、三次元人に対しては憎悪などではなく純粋に「自然の摂理として」淘汰されるべき存在だと考えているルミネ。

 そして新世代型と普通の二次元人の何が違うかというと、変身能力を持つことではなく「自らの運命を自力で切り開き、創造できる」事だとルミネは説いた。

 光に包まれたルミネ。すると次の瞬間ルミネの容姿は一変し、背中に巨大な翼を生やした実に神々しい姿へと変わった。

 その姿はまるで、堕天使の様な眩くも神々しい姿だったという。

 

 堕天使の様な姿へと一変したルミネは、そのまま聖龍隊の頭上を滑空して宙を飛行・浮遊したまま目前へと移動すると、聖龍隊に攻撃してきた。

「くく、ハハハハ……ッ」

 ルミネは怪しい微笑を浮かべながら聖龍隊に向けて無数の白い閃光で攻撃。

「うわっ」「ぐっ!」

 白い閃光が全身を貫通して避け切れなかったウェルズやシュウジ達に襲い掛かる。

「お、お前ら!」

「お、おれ達雑魚に構うな……! 今はルミネを止める事だけを考えろ……!」

 ウェルズ達を心配するメタルバード達に、ウェルズはルミネの事だけに意識を向けていろと告げる。

 ウェルズ達の必死の思いを汲み取り、メタルバードたち聖龍隊はルミネに反撃を開始。

 メタルバードやセーラーヴィーナス、ちせは光線や閃光でルミネに反撃を仕掛けるが、ルミネは優雅に宙を飛行して攻撃を回避していってしまう。

 ジュピターキッドが茨の植物でルミネの動きを止め、更に氷系の能力者たちが凍て付く冷気でもルミネの動きを止めようと攻撃するが、ルミネは植物をひらりとかわし、凍て付く冷気に直撃しても微塵も動じず効かなかった。

 ウォーターフェアリーを中心とした、セーラーマーキュリーやマーメイドメロディーズの水による技も、ルミネは電撃で水素と酸素に分解した上で攻撃を無力化してしまう。

 トリコや金剛番長の強力な打撃、魔法騎士やエルザ達の苛烈な剣戟をも、ルミネはそれぞれ片手から発生させたバリアーで意図も簡単に防御してしまう。

 と、ここでミラーガールがミラーシールドに光のエネルギーを凝縮させて強力な光属性の砲撃をルミネに直撃させる。

 ミラーガールの砲撃を直撃したルミネだったが、直撃の際の衝撃で発生した硝煙が晴れてみると、ルミネには傷一つ付いていなかった。

「そ、そんな……!」

「くくく、そう驚く事はないですよミラーガール……あなた方の攻撃なんて、新世代型の私には全く意味を成さないだけなんですから」

 愕然とするミラーガールに、ルミネは嘲笑を浮かべ返す。

「くそっ」

 聖龍隊の精鋭達の攻撃が全く効かない現状に苛立ったウェルズたち一般隊士の面々が、装備している銃器で攻撃するが、ルミネに傷一つ負わせる事は叶わなかった。

「くっ、やっぱり……普通の銃火器も効かないのか」

 ウェルズは口元を歪ませて悔しがるばかり。

 そんな全く意味を成さない戦闘を続ける聖龍隊に、ルミネは言い切った。

「くく、聖龍隊……もういい加減、諦めたらどうですか? 所詮は私たち、高度な能力を持つ新世代型より遥かに劣っている、あなた方旧世代の二次元人に勝ち目など最初から無いんですよ」

「ッ…………」

 ルミネの発言にメタルバードが表情を険しくさせていると、ルミネは更に言った。

「あなた方は大人しく滅び、世界の命運……いや、未来は私たち新世代型に委ねるのが得策なのですよ。もう、誰もあなた方……旧い物語には興味すら無くなっている事でしょうし、何より、そろそろ飽きている頃でしょうしね」

 このルミネの発言を聞き受けて、メタルバードは反論した。

「そんな事は無い……! どんなに世代が古くなろうが、時代にその名を残した名作を人々が完全に忘れる事は無ェ……!!」

 そう言うとメタルバードは、ルミネへの攻撃の最中、反撃にルミネが放った閃光を浴びて満身創痍に至った体を奮い立たせて立ち上がった。

 すると他の同様の聖龍隊も、メタルバードの戦意に感化されたのか次々に立ち上がり、その満身創痍に至った体を奮い立たせて再びルミネに挑む姿勢を示す。

 だが、そんな聖龍隊の弱々しい勇姿を前にしたルミネは、聖龍隊を愚弄し出した。

「ハハハハハハハ……ッ、全く、何処まで愚かなんでしょうね、あなた方は! 私たちとは違い、三次元人の力無しでは自分の運命すらも変えられない旧世代の産物が……自力で運命を変えられる私たち新世代型にまだ抗うというのですか?」

 聖龍隊を愚弄するルミネ。だが、そんな彼にミラーガールが蒼い瞳を鋭くさせて言い放った。

「確かに私たちは自力で自分の運命を変えられないのかもしれない……! だけど! みんなで一緒に未来を歩む事はできるわ! ルミネ、あなた達新世代型には理解できないかもしれないけど、この世には完璧な存在なんていない。だからこそ、誰もが支え合って生きていけるのよ!」

 誰もが不完全だからこそ、誰もが支え合って生きていける素晴らしさを説くミラーガールだったが、自らの意思で運命を創造できる新世代型のルミネにはそれが理解できなかった。

「……愚かな。だからこそ人間は未だに不毛な争いを続け、無意味に時間を消費していくのです……そんな人間を導き、過ちを正せるのは自力で運命を創造できる我々新世代型だけなのです」

 次の瞬間、ルミネは眼前に巨大なエネルギーの塊を作り出し、聖龍隊に放とうとしていた。

「さあ、滅びるのです! 哀れな旧世代よ!」

 ルミネは生成した巨大エネルギーを聖龍隊に向けて投げ出した。

 だがその時、ミラーガールの蒼い瞳が煌いて彼女は瞬時に行動した。

 ミラーガールはルミネの放った球体状のエネルギーに急接近すると、それをミラーソードで連続で瞬時に斬り付けて、強引にルミネへと弾き返した。

 自身の放った大技を弾き返されて、ルミネは驚愕したが、それを目撃した聖龍隊の面々も同じく愕然とした。

 エネルギーの球体を弾き返されたルミネは、自分に触れて爆発する寸前に自らの意思で球体を消滅させてエネルギーを自身の中に取り込み直した。

 すると其処に、ミラーガールが短剣であるミラーソードを日本刀の形状に変化させてルミネへと激しく斬りかかった。

 ルミネはミラーガールの斬撃を避けようと、瞬間移動で空間を移動するが、ミラーガールはルミネの動きを完全に読み切っているのか移動先で斬り抜かれてしまう。

(ば、バカな! 私の動きを見切っているだと!?)

 ルミネは心の中でミラーガールが自分の動きを見切っている現状に驚かされていた。

 するとミラーガールは今度は刃を狙撃銃に変化させてルミネへと銃口を向けた。

 ミラーガールは神経を研ぎ澄まして、ルミネの右肩を狙撃した。

「ぐはっ」

 すると右肩を撃たれたルミネは激しく痛み出し、大打撃を受けた様子が窺えた。

 これを視認したメタルバードは、ある事実に気付く。

「そ、そうか! さっきのミラールの狙撃、その古傷がルミネの急所なんだ!」

 メタルバードは先ほど、ミラールが狙撃したルミネの右肩の古傷が彼の急所なんだと察した。

 そしてルミネの急所に気付いた聖龍隊は、本気になったミラーガールと共にルミネの急所を狙っては反撃に乗り出した。

 

 本気になったミラーガールに見抜かれた弱点、其処を中心に狙われて大打撃を受けていくルミネは一気に苦戦に追い込まれる。

 するとルミネは自分に攻撃してくる聖龍隊の頭上へと再び舞い上がると、翼を大きく広げて叫んだ。

 

「パラダイス・ロスト!!」

 

 すると次の瞬間、ルミネや聖龍隊の皆々がいる空間が突如として一変し、特殊な異空間へと変化してしまった。

「こ、コイツは……!?」「どういう、事だ……?」

 エンディミオンや蒼の騎士が動揺する中、ルミネは聖龍隊に再び攻撃を仕掛けていく。

 だが聖龍隊も負けじと反撃に転ずるのだが、ここでルミネにある変化が見られた。

 それはルミネに攻撃が直撃する直前、彼の体に攻撃を撥ね返すシールドバリアーの様な透明な壁が発生するのだ。

 このバリアーでルミネへの攻撃は、全て無力化されてしまう。

聖龍隊は果敢にルミネが発するバリアーを突破しようと様々な攻撃を仕掛けるが、その圧倒的な防御力で如何なる技も効力を示さなかった。

 するとこの状況をメタルバードが逸早く察する。

「ルミネの奴……今オレ達がいる空間を、自分の行動だけが制限がかからない特殊空間に変えやがったんだ……! オレ達の生半可な攻撃技じゃ、今のルミネに傷を負わせる事は叶わない!」

 愕然とするメタルバードの説明を聞いて、周りの聖龍隊もルミネへの攻撃が全て無力化という絶望的状況に唖然とした。

 一方のルミネは、全ての攻撃技を無力化した上で、不敵な微笑を顔に浮かべる。

 全ての攻撃が無力化された戦況に、ミラーガールは諦めずにルミネへと特攻する。

 が、ルミネはそんなミラーガールを嘲笑するかのように彼女に攻撃を仕掛けた。

「ッ!」

 ルミネの攻撃を受けて、膝を着くミラーガールにルミネは不敵な笑みを浮かべてトドメの攻撃を放った。

「アッコ!!」

 爆炎に包まれるミラーガールを見て、メタルバードが絶叫する。

 しかし、ミラーガールはまだ倒れてはいなかった。

 彼女を眩い蒼い光が包み込み、ルミネの強力な攻撃を防いでくれてた。

 そして何よりも、その蒼い聖なる光はミラーガールの姿を変えており、彼女をより強力な戦闘力を秘めた二次元人の始祖へと一変させていた。

 すると容姿が一変したミラーガールは宙へと跳び上がると、そこで全身を大の字にして強力な爆発からの衝撃波を繰り出した。

 このミラーガールが発した衝撃波を受けて、如何に強固なバリアーを持っているルミネであろうと大ダメージを受けてしまった。

 だが、ミラーガールはこの大技を発した直後、一気に大量の精神力を消耗してしまったのか意識が低迷して地へと降りてしまった。

「アッコ!」

 メタルバードがミラーガールに駆け寄ると、彼女は意識を失ってはいなかったが既に大量の精神力を消耗し切ってしまった後だった。

 そんなミラーガールに怒りか恐れを感じたルミネは、彼女に向かってトドメの攻撃を仕掛けようと神経を昂らせる。

 ミラーガールはメタルバードに支えてもらいながらも、やっとの思いで立ち上がると真っ直ぐルミネの方を見据えた。

 一方のルミネはミラーガールにトドメを刺そうと身構えていたが、まさしくその時だった。

「ミラーガール!」

 その声にミラーガール本人が振り返ると、彼女の背後ではそれぞれ身構えているセーラープルートと木之本桜の二人の姿が。

「はあァッ!」「タイム(時)!」

 時を司るセーラープルートの力と、さくらの意思で発動する時を操作するタイム(時)のカードの二重効果で、ルミネが作り出した特殊空間内の時間が一時的に止まった。

 凍て付く様に止まった僅かな時の中で聖龍隊士たち全員がミラーガールに言った。

『今だ! ミラーガール!!』

 その声に背中を押され、ミラーガールはルミネへ向けてミラーシールドを構えると其処から強烈な光の砲撃が繰り出された。

 そして他の聖龍隊一同も、ミラーガールに続けと各自強力な攻撃技でルミネへと一斉攻撃を仕掛ける。

「俺たちも行くぜ……ッ!」

 目の前で特殊能力でルミネへ一斉攻撃する聖龍隊の仲間達を目の当たりにして、ウェルズたち一般隊士達もルミネに向けてバルカン砲などの強力な隠し玉というべき銃火器で果敢に攻撃した。

 聖龍HEAD/スター・コマンドー/ニュー・スターズ/スター・ルーキーズ/マン・ヒールズ/そしてウェルズ達の総攻撃をマトモに浴びて、ルミネは全身の各所が爆発していった。

 

「う、うわ…………うわあああああーー…………っ!!」

 聖龍隊一同の総攻撃を浴びて爆発するルミネは、そのまま力尽きて聖龍隊の目前で天を見上げた様な姿勢で両肘を跪かせた。

 

 

 

[新世代型からの警鐘]

 

 聖龍隊一同からの総攻撃を浴びて、遂に倒されたルミネ。

 しかしルミネは意識が遠のき、完全に息を引き取る直前にも聖龍隊に警鐘を告げる。

「ぐふ……愚かな……私一人を倒したところで、もはや流れは戻らない…………」

 このルミネの警鐘に、ミラールがきっぱりと答を返した。

「大丈夫よ。また、あなたみたいに可笑しな奴が出てきたら何度でも倒すだけよ」

 だが、この返答を聞いたルミネは呆れた様子で最後の言葉を言い残す。

「くくく……本当に何も見えてないのですね……まあいい……いずれ分か……」

『………………』

 聖龍隊に最後の警鐘を告げようとしたルミネだったが、彼はその途中で息絶えてしまった。

 ルミネの警鐘を聞いて、聖龍隊は各々と考え込み、思慮に浸った。

 

 そして全員が、軌道エレベーターに搭乗して地球へと帰還しようとする、その道中。

 その道中で聖龍隊の各隊士はルミネが言い残した言葉を、そして今回の事件を振り返って思っていた。

 

 スター・コマンドー総部隊長、村田順一は。

(覚醒……ルミネはそう言った……これは進化だ、とも。もし、その言葉が本当だとしたら……僕たちがやっている事は、一体なんだと言うんだ……!)

 順一は、二次元人の異常者(ヒール)化が一種の覚醒に近い現象であり、進化だと提唱していたルミネの言葉に揺らいでいた。

 果たして、異常者(ヒール)を倒している自分達が仕出かしている血で血を洗う戦いは、今までの長きに渡る戦いは何だったのかと疑問を重ねて。

 

 ニュー・スターズの方は。

(……おれ達は、異常者(ヒール)を倒すことが正しい事だと……正義だと今まで信じて疑わなかった。だが……そんな異常者(ヒール)に進化の可能性があったとしたら、その異常者(ヒール)を倒してきた、おれ達のしてきた事は、果たして本当に正義だったのか?)

 総部隊長フロートは、今まで何の迷いも無く異常者(ヒール)を討伐してきた自分達の正当性を疑わざるを得なかった。

 

 倒したルミネ、その新世代型のプロトタイプであるミラールたちプロト世代はというと。

(……私たちの体の中にも、前総長小田原修司ではないにしろ、三次元人の遺伝子が組み込まれている。三次元人……時には二次元異常者(ヒール)よりも凶悪かつ陰湿な悪人に変化する事もある存在の遺伝子パターンと酷似した遺伝子を持つ私たちプロト世代は……果たして、安全だと言えるのかしら……)

 ミラールは、自分達の体内の遺伝子モデルにされている三次元人の遺伝子について色々と思想を募らせていた。

 三次元人に近い肉体を持つ自分たちは、果たして危険思想を持つ存在に、異常者(ヒール)にならないのかと。

 

 元悪役・敵役で構成された特殊部隊マン・ヒールズは。

(ルミネ……彼の言うとおりなら、メカルスはもう現われる事は無い。それだけでも安心できる事だけど……)

 しかしミスティーハニーは、心中で更なる不安を掻き乱していた。

(……だけど、この不安……果たして、もうルミネやメカルスの様な二次元人は現われないと言い切れるのかしら……)

 ミスティーハニーは不安だった。果たして、あのルミネやメカルスの様な異常者(ヒール)に変化する二次元人はもう現われないのだろうかと。

 

 そして最後に聖龍HEADは。

(ルミネの言っていた事が正しけりゃ……もうメカルスが現れる事はないだろう)

 メタルバードもまた、ルミネの発言が正しければ驚異であったメカルスが再出現する可能性は潰れたのではと密かに安堵していた。

 そして(…………いい、潮時なのかもしれないな……)と、メタルバードも、そして他の聖龍HEADも戦士としての責務から引退すべき時ではないかと静かに考え込む次世代の英雄、村田順一を見据えた。

 

 そんな各々が反乱の本当の首謀者ルミネからの遺言を思い返して、思慮に耽っている最中の事。

 ふとメタルバードが軌道エレベーターから観望できる宇宙の、そして青い地球を一人見詰めて考え込んでいる村田順一に歩み寄って声をかけた。

「大方、ルミネの言っていた事でも考えたんだろ……?」

「………………」

 メタルバードからの問い掛けに順一は無言ながらも反応する。

「メカルスの様な異常者(ヒール)になる事が……進化なんかであって堪るか」

 そんな順一にメタルバードはその場の皆にも聞こえる様に言い切ると、順一は小さく頷いた。

 そしてメタルバードは変身を解き、バーンズの姿へと戻ると更に回りの皆々に言い聞かせる様に順一に語り掛けた。

「それにな、ジュン……本当に進化の時が来て、オレ達が滅ぶのが運命だったとしても……」

『!』

「オレ達は、戦い続けなきゃならない。その滅びの運命って奴と、永遠にな……!」

 自分たち二次元人が滅ぶのが運命だとしても、その運命と永遠に戦い続ける事で運命に抗い続けるのだと説くバーンズの重い言葉に順一達は感化された。

 

 どの様な生命体にも必ず終わりの時がやってくる様に、滅びの運命は避けられない筋書きなのかもしれない。

 だが、どの様な命もそんな運命と向き合い、そして抗う力強さを持ち続ければ、その運命を少しは変えられるかもしれない。

 そう聖龍隊は信じようと心に打ち込んだ。

 

 

 

 

[エピローグ]

 

 

 

 ルミネの異常者(ヒール)化を受け、三次元政府は変身能力を持つ新世代型二次元人の初期生誕ロットを破棄……一時期まで新世代型二次元人の生誕は中断された。

 

 

 しかし、宇宙開発及び時代に適応した二次元人生誕の要請は尽きず……1ヵ月もしない内に、厳重なプロテクト及び監視体制を布いて、新世代型二次元人の生誕を再開した。

 

 

 以前、小田原修司は以下の言葉を聖龍HEADに伝えていたという。

 

「二次元人と三次元人。相容れぬ二つの生命が互いを尊重し合い、共存共栄する世界こそ、この俺が望んでやまない理想郷だ」

 

 

 

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