聖龍伝説:現政奉還記 創生の章:昔語り編   作:セイントドラゴン・レジェンド

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 クライム・ファイターとして修司から直々に訓練される話を聞いて、新世代型たちは騒然とした。
「め、目隠しした状態でも勝っちまうとは……末恐ろしい程の戦闘力だな、小田原修司は」
 自分達の始祖である小田原修司のずば抜けた感覚による戦闘力を聞いて愕然とする幸平創真。
「闇夜での闘いに備えている修司ならではの鍛え方だからな」
 そんな一驚する新世代型たちにバーンズが説く。
「マン・ヒールズの戦いは、いつも罪滅ぼしの戦いなんですね……少し複雑です」
 贖罪の戦いに身を投じるマン・ヒールズの日々を聞いて、複雑な心持になるプロト世代のチョコにミスティーハニーが返した。
「私達に課せられた贖罪の戦いは今に始まった事じゃないとはいえ、責務には違いないわ」
 ミスティーハニーがそう答え返すと、新世代型達は更に衝撃を受けた話題をぶつけた。
「だけど、あの今では国連軍が多用しているデモンドロイド……それの開発者がMrフェイクだったとは驚きだな」
 国連軍が多用している小田原修司型戦闘マシン「デモンドロイド」を開発したのがMrフェイクだと知って驚きを隠せない磯貝ゲンドウ。
「今、国連が使用しているデモンドロイドは、Mrフェイクが設計したのを国連の科学者達が改良したのを使っているんだ。修司の姿を模した兵器を欲する国連ならではの対応だな」
 Mrフェイクが設計したのを改良したデモンドロイドを多用している国連軍の現状を述べるバーンズ。
「他人からの愛情を感じられない修司さんにも、贖罪の為に戦い続けるマン・ヒールズにも救いの時が来るのでしょうか……」
 愛を感じない修司や贖罪のマン・ヒールズに、いつの日か贖罪の日が訪れるのか気落ちするイオリ・リン子。
「そうだな……マン・ヒールズの贖罪は未来永劫終わらないかもしれないし、修司の障害は治せるものじゃないし、難しいとこだな」
 そんな修司やマン・ヒールズの気遣いを耳にし、バーンズは思慮にふけながら答える。
「それはそうとして、目的の為に手段を選ばない小田原修司の思考は何だか……同意しにくいですよ」
「それはそうだが……それでも有効な手段で物事を解決する修司の策は、どれもこれも賛同しにくくも有益だったのは確かだしな」
 目的達成の為に手段を選らばない修司の思考に賛同しにくいと述べる瀬名アラタに、バーンズはそれでも有益な作戦だったと返した。

 そして今回、ミスティーハニーやマン・ヒールズの面々が語るのは。
 彼らと革命軍士総司令官メカルスとの激戦、その序章たる物語。
 二次元人の可能性を左右する、激戦の始まりともいえる物語である。


現政奉還記 創生の章 昔語り ヒールハンター/マン・ヒールズ プロローグ

[狩り]

 

 ある晴れた青空に。

 アニメタウン上空を一機の移送ヘリが飛んでいた。

「投下地点到着まで45秒」

 ヘリの電子ナビゲーターが経過を報告する中、機内にいる聖龍隊士に通信が入った。

「聞こえるかミスティーハニー? 目標が有効射程に入り次第、すぐに叩け」

 そしてヘリは投下地点上空に達するとドアが開き、中から紫色を基調としたコスチュームを着た女性が姿を現す。

「投下地点到着」

 その女性は投下地点上空に達した瞬間、ヘリから飛び降りて地上へ真っ逆さまに落下した。

 

 その頃、地上では。

 とある工事現場で巨大なマシンが暴走していた。

 現場を指揮する聖龍隊総長小田原修司は、同じく現場に駆け付けた決死隊であるウェルズ隊長やペンギン型の獣人タイプの二次元人のアイシー・ペンギーゴを指揮していた。

 その中には、B級ハンターであるマン・ヒールズの姿も確認された。今回のマン・ヒールズには他の総合部隊にも属してるニュー・スターズの卑怯番長、そしてスタールーキーズの門脇将人/ミヤビ/ゼブラ。そしてゼブラ同様に小田原修司の圧力と多額の保釈金でマン・ヒールズに加盟した【FAIRYTAIL】のジェラール・フェルナンデスの姿も確認された。

 彼らは皆、現場の指揮を執る修司の指示の元、標的の周辺に待機する。

 すると工事現場の崩れる瓦礫の中から、大型作業用自立型マシン「メカニロイド」が姿を現す。

 メカニロイドは完全に暴走しており、辺りを無造作に破壊していく。

 そんなメカニロイドの上空から、移送ヘリから飛び降りたマン・ヒールズ隊長ミスティーハニーが右腕のブレスレットにエネルギーを溜めながら急降下していた。

 そしてエネルギーを最大まで貯蓄したミスティーハニーは、全エネルギーを地上の暴走するメカニロイドに向けて発射。

 ミスティーハニーの超火力のエネルギーを直撃したメカニロイドは、硝煙に呑み込まれた。

 それを視認した小田原修司は、即座に突撃部隊に命令を下す。

「ペンギーゴ隊、突撃開始!」

「行くぞ! 確保するクワッ」

 修司の指示を受けて、ペンギンの獣人アイシー・ペンギーゴがメカニロイドに向かう。

 だが、メカニロイドはミスティーハニーの高火力の攻撃を受けてもビクともせず、未だ活動していた。

「あの攻撃を受けて何ともないのか……!?」

 動揺するペンギーゴ。するとメカニロイドはペンギーゴが指揮する部隊に向かって攻撃してきた。

「来るぞ! かわせっ」

 暴走を続けるメカニロイド。ペンギーゴはこれを抑制しようと攻撃に出る。

「クソッ、奴の足を止める!」

 接近するペンギーゴ。その間、修司は暴走するメカニロイドの近くで攻撃の機会を窺うウェルズに通信機で問い掛ける。

「ウェルズ、そちらから目標のメインジェネレーターを補足できるか?」

 現場の指揮を執る修司は、特攻部隊隊長のウェルズにメカニロイドの活動を制御している核であるメインジェネレーターを破壊できるか問う。

 しかし「ダメだ! 奴の動きが早くて、近づく事も侭ならない」とウェルズはメカニロイドに接近すること事態が困難だと返す。

 その間もメカニロイドは暴走を続け、アーム部分の手で隊士を掴み上げると、そのまま投げ飛ばして他の隊士たちに向けて放り出す。

 すると此処でペンギーゴが暴走するメカニロイドの足に向けて、氷の弾丸を発射。足を凍て付かせて動きを封じる。

 ペンギーゴが足を固定させた直後、その隙に周囲に展開していた隊士たちは特殊な拘束武器を発射して、鋼鉄製のロープを張り巡らせて暴走するメカニロイドの動きを完全に押さえ込む。

 しかしメカニロイドのパワーは凄まじく、拘束する隊士たちと彼らが張り巡らせた鋼鉄のロープを引き千切ろうと暴れ出す。

「なんてパワーだ!」

 この状況を目視したペンギーゴまでも表情を険しくさせる。

 と、そこに上空から先制攻撃を仕掛けたミスティーハニーが駆け付けた。

「総長! 奴のパワーは想定以上です、援護に回ります!」

 ミスティーハニーが駆けつけてくる間、メカニロイドは作業用とはいえ高威力のレーザービームを発射して周囲を攻撃。多くの隊士が巻き込まれる中、修司のみはずば抜けた跳躍力で攻撃が届かないビルの上へと移動した。

 そして修司が戦闘が続行している現場を見下ろす形で傍観するその時、メカニロイドは更に猛威を振るおうとボディに張り巡らされた鉄製のロープとペンギーゴが凍て付かせた足を動かそうとする。

 遂にメカニロイドは張り巡らされたロープを振りほどき、さらにペンギーゴが凍て付かせた足を自力で砕いて自由となってしまう。

 すると自由となったメカニロイドは背中に設置されているアームを伸ばして、ペンギーゴが指揮する部隊にアームを伸ばした。ペンギーゴは避けたが、彼の背後にいた隊士がアームに捕まってしまい、捕らえられてしまった。

「っ……助けてくれ!」

 必死に助けを求める聖龍隊士。

「野郎!」

 助けを求める隊士を見て、思わず汚い言葉を吐いてしまうペンギーゴ。

 と、そこにミスティーハニーが駆け付けてエネルギー弾を発射。しかし頑丈な脚部に攻撃は直撃し、跳ね返ってしまう。

 しかし暴走するメカニロイドを破壊しようと、ウェルズが特攻した。

「いつまでも好きにさせてたまるか!」

 ウェルズが放った砲撃は、ちょうどメカニロイドの関節部分に直撃し、メカニロイドの動きを鈍らせた。

 すると動きが鈍ったメカニロイドの腹部に見られるメインジェネレーターを捉える事ができた。

「ジェネレーターだ!」

 ペンギーゴがミスティーハニーにジェネレータを撃つよう急かす。

 しかしミスティーハニーは撃つ事に抵抗を覚えた。何故なら先ほどメカニロイドに捕まった仲間の隊士が射程内に入ってしまい、しかも助けを求めながらジェネレーターへの狙撃を阻んでしまっていた。

「助けて、くれ!」「!」

 ジェネレーターに狙いを定めようとするミスティーハニー。しかし助けを乞う仲間の姿を直視して、射撃を躊躇ってしまう。

「ジェネレーターだ! ミスティーハニー、ジェネレーターを撃て!」

 そんな躊躇うミスティーハニーにペンギーゴが被害拡大を阻止する為に射撃を促し続ける。

 だがジェネレーターを撃とうとすれば仲間の隊士に当たる可能性もある。ミスティーハニーは躊躇った。

「早くしろ、ミスティーハニー!」

 そうペンギーゴが焦燥していたその時、黒い閃光が現場の隊士たちの前に現れた。

 その閃光は一本の日本刀を携えた小田原修司であった。修司はメカニロイドの目前に踏み込むと、隊士を捕まえているアームごとメインジェネレータに斬りかかった。

 修司の一太刀の元、捕らえられていた隊士は地面に落下し、メインジェネレーターは壊れて機能停止した。

 すると弱点であるメインジェネレーターを斬られた事で、メカニロイドは完全に機能を停止して活動を停止した。

 凄まじい修司の攻撃力と、的確な判断力を目の当たりにして、ミスティーハニーもウェルズも、そして多くの隊士やマン・ヒールズの面々が驚愕すると共に安堵した。

「救護班は!?」

「損害状況の確認、撤収の用意を!」

「安全装置の確認を忘れるな」

 メカニロイドに捕獲された仲間の救護、そして周辺区域の被害状況の確認、さらに完全停止したメカニロイドの安全装置の確認を聖龍隊は怠らなかった。

 

 事件が無事に収束し、撤収しようとするマン・ヒールズの部隊。するとそんな彼らに、いや隊長であるミスティーハニーをアイシー・ペンギーゴが呼び止める。

「ミスティーハニー! なんで撃たなかった!?」

「ペンギーゴ、あの時は……」

 ミスティーハニーはジェネレーターを撃たなかった理由をペンギーゴに問われたが、返す言葉が見つからなかった。そんな彼女をペンギーゴは激しく非難。

「修司総長が居たから良かったものの……あそこで倒しておかなかったらどれだけ被害で出ていたか」

 そんな激しくミスティーハニーを非難するペンギーゴ。すると彼は攻撃を躊躇ったミスティーハニーや彼女が指揮するマン・ヒールズに言葉を浴びせた。

「まさかお前ら……元は同じ異常者(ヒール)だという考えで、攻撃を躊躇った訳じゃあるまいな」

「な、何だと……!」

 このペンギーゴの発言にマン・ヒールズの隊士である門脇将人が文句を返そうとするが、その瞬間マン・ヒールズに向けられる多くの白眼視を彼らは感じ取っていた。

 すると、そこに先ほどメカニロイドに捕まった仲間の隊士が、担架に運ばれる途中でミスティーハニーに声を掛けた。

「ミスティーハニー……メカニロイドに捕まったのは俺のミスだ。それに総長はちゃんと俺を外して攻撃してくれた。気にしないでくれ……」

 心優しい仲間からの気遣いに、ミスティーハニーの心は微かに痛んだ。

 と、そこに今度はマン・ヒールズを責めるペンギーゴの背後から総長の小田原修司がやって来て、ペンギーゴに話し掛けた。

「ペンギーゴ」

「クワっ?」

「お前の言いたい事は解る。だが、お前にマン・ヒールズを責め立てる権限はない筈だぞ」

「し、しかし……!」

「聞こえなかったのか?」

「! ……くっ」

 修司の迫力に押され、ペンギーゴは渋々その場から立ち去った。

「フン!」

 負けん気の強いペンギーゴからの悪態から救われたマン・ヒールズ。ミスティーハニーは修司に礼を言った。

「総長、ありがとございます」

「ミスティーハニー、俺は別にお前を助けたつもりはない。実際にペンギーゴの意見は間違っていない」

「……!」

 すると修司は、ミスティーハニーに忠告した。

「ミスティーハニー、なぜ撃たなかった? お前の高い射撃能力なら確実にジェネレーターを撃つ事ができた筈」

「………………」

「盾にされた仲間に攻撃が当たる確率が、ホンの数パーセントあった……だから撃てなかった。違うか?」

「はい、総長。私は……」

「いいか、ミスティーハニー。それに他のマン・ヒールズにも伝えておく」

『………………』

「俺たち聖龍隊には攻撃を躊躇ってはいけない時がある」

『!』

「それが……力なき者の剣となり盾となる俺たち聖龍隊の……戦士としての宿命だ。それを忘れるな」

「総長……!」

 そうミスティーハニーたちマン・ヒールズが修司のこの言葉に衝撃を覚えた直後、修司はそのまま現場から離れようとする。

「損害状況の確認が終わった班から撤収!」『はい!』

 現場への指揮も忘れずに執る修司は、早々に本部へと足を向かわせた。

 修司から厳しくも戦士としての在り方を指摘されたマン・ヒールズ。すると其処に戦闘に徴集されたウェルズが歩み寄り、落ち込むミスティーハニーを励ます様に彼女の肩を軽く叩いた。

 こうしてメカニロイド暴走事件は解決された。

 

 

 

[共存する種族]

 

 時は西暦2010年、世界史に登場した二次元人は急速に世間体に普及していった。

 しかし平和は長くは続かず、限りなく人間である三次元人に近いゆえに犯罪を起こしたり、人間に背く異常者「ヒール」が現れるようになった。

 そのような二次元人を矯正・処分するための治安維持組織として「聖龍隊」は再構成され、マン・ヒールズもB級のヒールハンターとして活動していた。

 聖龍隊総長にして異常者(ヒール)認定を下す小田原修司は、先の大戦で聖龍隊と衝突したJフォースにならって獣人型の二次元人をハンターとして多く起用した。

 一方、元来の優しい性格と過去の行いによる罪悪感が災いし異常者(ヒール)の処分をためらうミスティーハニーたちマン・ヒールズは同僚たちの嘲笑の的であったが、同僚であり友であるウェルズや上官の修司は彼女たちの潜在能力に気付いている節が見られた。

 

 処は変わって、聖龍隊本部。その本部が在る総本山。

「メカニロイドを使ったテロ、今月でもう5件目だな」

「総長はその件でミセス手塚に?」

「ああ、そうらしい」

 本部内で二人の隊士が会話しながら歩いているのを傍らに目撃した帰還したばかりのマン・ヒールズとウェルズ。

 するとミスティーハニーが思わず一つの疑問を呟いた。

異常者(ヒール)か。どうして異常者(ヒール)は発生してしまうのかしら?」

 このミスティーハニーの疑問に、同行しているウェルズが答えた。

「感情の情状不安定、三次元人からの憎悪やマイナスな思想に対する感化での肉体の突然変異……俺たち二次元人は所詮、三次元人の思想概念から生み出された存在。多くの感情を形にされた歪な存在……いわば、その大きなツケって奴だな」

 そうミスティーハニーたちマン・ヒールズに説き語ったウェルズは、愛用のボトルから愛飲している酒を飲もうとした。

 が、ウェルズが酒を飲もうとしたその時、彼のボトルを取り上げてウェルズの飲酒を妨害する者が。

「ほら、勤務時の飲酒喫煙は厳禁よ」「あ、アッコ……!」

 ウェルズのボトルを取り上げたのは、加賀美あつこことミラーガールであった。ウェルズはミラーガールを見て愕然とした。

 ボトルを取り上げたミラーガールは、ウェルズが基地内で飲酒しない事を受諾した事でボトルを返すと帰還したばかりのマン・ヒールズに話し掛ける。

「お帰り、ミスティーハニー。それにマン・ヒールズのみんなもお疲れ様」

「ただいま、ミラーガール」

 笑顔で出迎えてくれるミラーガールに、ミスティーハニー達も笑顔で挨拶する。

 するとミラーガールに続いて修司以外の聖龍HEADもマン・ヒールズに歩み寄って来た。

「お疲れさん、お前ら。またメカニロイドを利用したテロが横行してた様だな」

「バーンズ……」

 聖龍隊副長バーンズからの言葉に、穴戸レナが反応する。

「激しい戦闘だったみたいだね。被害状況を聞いて、いつも驚かされてるよ」

 更にバーンズに続いて、参謀総長のジュニアもマン・ヒールズに問い掛ける。

「みんなおっ疲れ様ーー!」

 マン・ヒールズを笑顔で迎えるセーラームーン。

「聖羅、またペンギーゴが愚痴を言って来たわ。ミスティーハニーが判断を鈍らせたって……」

 妹の愚痴を言われたとミスティーハニーに報告するキューティーハニー。

「兄貴、そっちも異常者(ヒール)の対応に追われているみたいだな」

「海斗……ああ、その通りだ」

 更にHEAD以外にも歩み寄ってくれたマーメイドメロディの面々に、双子の弟である堂本海斗と会話するガイト。

「また多くの負傷者が出た様ね。けが人の介抱で忙しいわ」

「りりか、そっちも相変わらず大変だね」

 異常者(ヒール)の事件多発で負傷する隊士が続出する現状を語り合うナースエンジェルとデューイ。

 そんなHEADやマーメイドメロディーズ、そしてマン・ヒールズの面々を前にウェルズは隠れてお酒を愛飲しようとするが。

「コラっ、お酒はダメだって言っているでしょ」とミラーガールが再度注意する。

「ウルセェ! 酒は俺のジャスティスなんだ」

「酒好きが良く言うセリフだな」

 皆がウェルズの言動に笑顔を浮かべていると、その時ウェルズが一方向を見て表情を一変させた。

「おい、アレ見ろよ」

 ウェルズの言葉で皆が目を向けてみると、その視線の先には屈強な隊士によって連行される一人の二次元人の姿が。

 紫色のボディに、素顔を隠したヘルメットには視力を通す為のT字の目通し穴が。そして背中には強力な機関銃が装備された姿で連行される者を見て、ウェルズが言った。

「ヴーイだ。大方、また揉め事でも起こしたんだろう……」

 連行されるハンターの名はヴーイ。彼はその圧倒的火力に任せて行動し、周囲の被害も考えず暴れまわる危険人物であった。任務においても本来最小限に食い止めるべき被害を逆に拡大させてしまうことも度々あり、任務を遂行するというよりは純粋に異常者(ヒール)を「狩る」ことを目的としているような思考をしている。この事から揉めことが絶えなかったために、とうとう聖龍隊本部に留置されることとなったのだ。

 そんな連行されるヴーイを見て、ウェルズがミスティーハニーに呆れた笑みで零した。

「同じ異常者(ヒール)ハンターでも、ミスティーハニーの様にいつまでも躊躇いが生じる奴もいれば、ヴーイの様に異常者(ヒール)スレスレの奴もいるって事だな」

 ウェルズに指摘され、ミスティーハニーは連行されるヴーイの背中を再び見詰めた。

 

 再び処は変わって、ここは三次元政府が二次元界に滞在している際に使用する宿泊施設。

 ここに今、三次元政府の重鎮達と二次元人を産み出した人物の娘達が滞在していた。

 その部屋の一つ。会議室の様な大きな部屋の壁に多数のロボットや人形などのオモチャが並んでいる部屋に重鎮達や修司はいた。

「最近、外が騒がしい様だけど……」

「はい、ミセス手塚。異常者(ヒール)達による犯罪は増加傾向にあり、大型メカニロイドを用いたテロ活動も数件発生しています」

 ある女性に車椅子を支えながら、車いすに乗りながら食事をする女性からの問いかけに修司は答える。

 すると食事をしていた車椅子の女性は食事を一旦やめ、修司に再度問い掛けた。

「マン・ヒールズは、どうしてるかしら……?」

 するとこの発言に、会議に出席していた他の三次元人の重鎮達が騒ぎ出した。

「あいつ等を信じていいのか? 元は異常者(ヒール)だった連中だぞ」

 元悪役や敵役であるマン・ヒールズに不信感を抱く三次元人たちに、車椅子の女性は宥めつつ再度修司に訊ねる。

「それで、彼女たちの活躍は? 修司くん……」

「はい、みな隊長のミスティーハニーを筆頭に目覚ましい成長を遂げています。状況分析、戦闘能力ともに極めて高いです。が、時に悩み、判断を遅らせる事が多々あります」

「悩む、悩むか……まさしくそれこそが彼女達の、いいえ二次元人の可能性なのよ」

 悩みや葛藤こそ二次元人の可能性だと説かれ、修司は表情を固め女性の話に耳を傾ける。

「修司くん……あなたは悩む事が余りないわ。戦闘に置いては、悩みではなく直感的な行動と的確な判断を下せるあなたは、まさに戦士としては万能ではあるわ。……けれど人として、そして生物としてはどうかしら? 悩み、自問自答を繰り返す二次元人は一つの可能性を示唆しているけれど……」

「悩む事が長所? 弱点ではなく……」

「ふふ、普通はそうだわ。だけど思い悩む事が、これまでにない二次元人と三次元人の新たな関係を生み出すのだと私は自負してるわ。だけど……今はその可能性が希望となるのか、そうでないのか誰にも分からない」

「………………」

「私はお父様が生み出した二次元人の未来を見届けようと、こうして延命を続けてきたけど……間に合わないかもしれないわ」

 そう修司に思いを語る手塚るみ子氏。彼女は二次元人を多く生み出した漫画の神様、手塚治虫の娘であった。

 

 そんな手塚るみ子氏への報告を終えて、廊下に出た修司は人知れず笑みを浮かべていた。

「ふふ、二次元人の可能性、か……」

 修司はるみ子氏が語った二次元人の可能性に、多大な喜びを感じていた。彼もまた二次元人の可能性を強く信じているからだ。

 と、廊下を進む修司だったが、突然彼を目眩が襲った。

「うっ、どうしたんだ……」

 突然の目眩に立ち眩みを起こす修司。すると突然、修司の視界が暗くなった。

「? どうしたんです、総長」

「んっ、いや、何でもない。スグに戻る」

 廊下の真ん中で突っ立っていた修司に、隊士が声をかけた。修司は何もないといって歩き出した。

 だが、修司が隊士と共にその場から離れていく中、その近くの誰も使用しない部屋に何者かが運び込まれている事に誰も気付いてはいなかった。

 

 

 

[不穏]

 

 その頃、聖龍隊本部では。

 今日起こったメカニロイドの暴走事件の現場を再現した立体映像訓練所で、ウェルズが訓練を行っていた。

 メカニロイドと、それに捕まり盾にされた隊士を再現した環境で、ウェルズは銃をメインジェネレーターに直撃させようと狙いを付けていた。

「ウェルズさん、しっかり!」「頑張って!」

「わ、分かってる! ここは慎重に……」

 穴戸レナと森あいからの声援を受けつつも、ウェルズは慎重に狙撃を試みた。

 そして意を決してウェルズは引き金を引いたが、弾は盾にされた隊士のホログラムに直撃してシュミレーションは終了した。

「ザンネン シュウリョウ」

 コンピューターからシュミレーションの終了を告げられ、ウェルズは非常に残念がりながら射撃の精度指数を確認する。

 結果は95%で、5%をウェルズは失敗してしまってた。

「ッ、5%もミスっちまったか」

 自分のミスを不甲斐なく思うウェルズ。するとそこに一人の二次元人がやってきた。

「それでも95%も射撃の精度が高いとは。大したもんですよ、ウェルズさん」

「イーグリード……!」

「我々は完璧ではない。だが、完璧でないからこそ成功するのかもしれん」

「いいこと言うな、お前」

 訓練場にやって来たのはストーム・イーグリード。紳士的な振る舞いをする鷲の獣人型二次元人イーグリードにウェルズは訊ねる。

「ところでイーグリード。お前、ミサイル基地の守備任務はどうしたんだ?」

「自動警報装置が完成したんで、守備隊は縮小されたんだ。今日からまた、通常のハンター業務さ」

「そうか」

 ウェルズ達に事情を話したイーグリードは、続けてウェルズ達に報告を伝える。

「で……早速メカニロイドの暴走事件で招集だ。行こうぜ」

 イーグリードの報告の元、ウェルズ達も彼と共に作戦指令室に向かった。

 

「解体中のビルで起こったメカニロイドの暴走ですが、コントロール系のシステムが何者かにハッキング、乗っ取られていた事が判明しました」

 作戦指令室に招集された異常者(ヒール)ハンター達に、オペレーターが報告。この内容にハンター達は騒然とした。

「中には誰も乗っていなかった。つまり、遠隔操作されていた訳ね」

「その通り」

 ミスティーハニーの質問に答えるオペレーター。彼女の言う通り、暴走したメカニロイドには誰も搭乗してない事実が挙げられた。

 しかし、この事実にウェルズが異論を告げる。

「ちょっと待ってくれ」

「!」

「メカニロイドの警戒プログラムは?」

 このウェルズの提言にペンギーゴも同意した。

「そう簡単にハッキングされる代物じゃない筈だクワッ」

 これ等の疑問にオペレーターは返答する。

「はい、犯人は此方の警戒体制に精通していた可能性があります」

「で、犯人は何処から操作を?」

 イーグリードも訊ねると、答えが返ってきた。

「いくつもの衛星を経由してカモフラージュしていましたが……犯人はアニメタウン、東16番地区からハッキングしていました」

「すぐ近くじゃねえか! ふざけやがって」

 オペレーターの報告にウェルズが怒声を上げると、その傍らのミスティーハニーがオペレーターに訊ねた。

「この事は総長に知らせたの?」

「はい、連絡済みです。ミスティーハニー率いるマン・ヒールズと、ウェルズ隊長が指揮する特攻決死隊は、この会議終了後直ちに偵察せよとの事です」

「「了解!」」

 総長から与えられた任務に、ミスティーハニーとウェルズは承知した。

 

 そして日が沈んだ東16番地区。

 ミスティーハニー率いるマン・ヒールズと、ウェルズが指揮する特攻決死隊は敵の拠点近くまで接近していた。

 荒廃した街並みの中、マン・ヒールズと決死隊は敵の拠点を前に違和感を感じていた。

「変ね……静か過ぎない……?」

 ミスティーハニーが違和感を呟くと、不気味なまでの静寂を漂わせる現場でウェルズがマン・ヒールズに言った。

「ここは俺たち決死隊に任せて、お前らは後から来てくれ」

「そんな! 危険すぎるわ……!」

 ウェルズの提案に反対するハルカ・ヘップバーンだが、ウェルズは同じ決死隊である隊士達と共に笑顔を浮かべて申した。

「大丈夫だって。たまには俺たち決死隊にも良いとこ見させてくれよ」

 そう笑顔でマン・ヒールズに申すと、ウェルズは決死隊を引き連れて廃墟と化した建物内へと侵入していった。

 しかし廃墟に潜入直後、ウェルズは言葉を失った。

「!」「? どうしたの、ウェルズさん?」

 通信でウェルズの様子を窺っていたミスティーハニーが声を失うウェルズに訊ねると、彼は動揺しながら彼女たちマン・ヒールズに伝えた。

「ちょ、ちょっと来てくれ」

 只事ではない様子に、ミスティーハニーたちマン・ヒールズも廃墟へと踏み込んだ。

 すると廃墟内では、多くの今や異常者(ヒール)と化した二次元人の惨殺自体が大量に転がっていた。

 すぐさま応援が駆けつけ、現場検証が行われた。

 しかしメカニロイドを陰で操作していた異常者(ヒール)は全て殺害されており、生存者はいなかった。

 ミスティーハニーは聖龍隊の仲間に敵が使用していたコンピューターを調べさせた。

「そっちはどう?」

「ダメですね。おそらく、重要なデータは既に持ち出された後でしょう」

 しかしハッキングに使用したデータは抜き取られていた。

「かなりの手練れだな」

 異常者(ヒール)を全て一撃の下で斬り捨てた腕前から、斬った当人がかなりの熟練した剣術使いだと判断するウェルズ。

 すると其処に修司も駆けつけてきた。

「状況は?」

 駆け付けた修司に、隊士が駆け寄り報告する。

「はい。仲間割れ、でしょうか? メカニロイド暴走事件のすぐ後にやられた様で……」

 報告を受けた修司は、現場見分をしていたウェルズとミスティーハニーに歩み寄り、ウェルズの意見を聞いた。

「ウェルズ、どう思う?」

「さあ。ですが、どちらにしろやったのは相当な手練れには違いない。全員、急所を一撃だ」

 ウェルズの見分に修司は「うむ」と一言返すと、修司はミスティーハニーたちマン・ヒールズに目を向けた直後に現場から立ち去ってしまう。

 そして外に出た修司は、駆け付けてきたイーグリードに指示を出した。イーグリードは頷くと、即座に行動に移した。

「仲間割れを起こした犯人の残りが、ハッキングデータを盗んで逃走中だ! イーグリード隊は、周辺の捜索を開始!」

『はい!』

 イーグリードの指示の下、隊士達は命令に従い周辺地域の捜索に乗り出した。

「ペンギーゴ隊は別地区を捜索だクワッ」

 それに伴いペンギーゴも自分が指揮する隊を引き連れて、別地区の捜索に乗り出す。

 そんな出動する二つの部隊を視認して、修司は有無も言わない顔付きで見届けていた。

 

 

 

[混乱]

 

 それから3日後。

 聖龍隊本部。

「イーグリード隊A班は直ちに現場に急行せよ!」

「西南地区でまた暴走!?」

「待ってくれ、まだ逆探知が……!」

 本部は非常なまでに混乱していた。

 この日に限ってメカニロイドの暴走事件が立て続けに発生したのだ。

 本部が通報に対処しきれない現状に喘いでいる最中、事件現場はアニメタウンの至る所で起こっていた。

 多くの市民が暴走するメカニロイドに恐怖し、街は大混乱してた。

「この先には行かせない!」

 現場では、コレクターユイたち聖龍HEADも総動員して、暴走するメカニロイドを自力で制圧しているまで状況は悪化していた。

 

 その戦闘に置ける地響きは、あのヴーイを拘束している地下留置所にも届いていた。

 手かせ・足かせを付けられ、拘束されるヴーイ。だが、そんな彼の元に一人の人物が訪ねてきた。

 その人物を一目見たヴーイは一言発した。

「直々にこの俺を処分しに来たのか?」

 

 一方、地上では。アニメタウン各所で続々と発生するメカニロイドの暴走事件に、ウェルズとマン・ヒールズは対処に追われていた。

「っ……どうしてこんな事に!」

 表情を歪ませるミスティーハニーに傍らのウェルズが自分なりの解釈を述べた。

「メカニロイドの暴走……俺たちをかく乱させているだけの様にも思える」

「犯人には、別の目的があるって事か?」

 ウェルズの主唱を聞いて門脇正人が訊ねる。

 と、そんな事件現場に向かおうとしているウェルズとマン・ヒールズに通信が届いた。

「ウェルズ、マン・ヒールズ! 緊急事態です! 留置されていた元ハンターのヴーイが脱走しました!」

「何ですって!?」

 この通信にミスティーハニーたちマン・ヒールズは一驚。さらに通信士が告げる。

「最優先で現場に急行してください!」『了解!』

 ウェルズとミスティーハニーたちは、大急ぎで現場である地下留置所に向かった。

 

 その頃、本部では。

「もうすぐだ。もうすぐハッキングの特定が割り出せる……!」

 あと少しの所まで、ハッキングの地点が割り出せるところまで行き付いていた。

「留置所には、ウェルズとマン・ヒールズの面々に向かわせました。ウェルズ氏への指令は? ……総長? 修司総長!?」

「どうした!」

「おかしいの。修司総長と連絡が付かなくなったの」

 総長である修司との連絡が取れなくなった本部は混迷を極めていた。

 

 そしてヴーイが逃げ出した留置所では。

 看守に当たっていた隊士の全員が、急所を一撃で斬り捨てられるという惨殺死体として転がっていた。

 駆け付けたウェルズとマン・ヒールズ。ウェルズが見分すると、彼はマン・ヒールズに述べた。

「違うな。拘束されていたヴーイに、これほどまでの戦闘力はなかった筈だ。どいつも急所を一撃……殺ったのは、相当高い判断力と戦闘力を持った剣術使い……」

 と、ウェルズはハッキングデータ持ち去り事件の時の事を思い出した。データを盗み、仲間割れを起こしたと思われる犯人も同じ熟練の剣術使いだったからだ。

 ウェルズがこの事実を現場の皆に伝えて懸念していると、ミスティーハニーがウェルズに問う。

「じゃ、ヴーイを逃がした犯人は、ヴーイの逃亡を手助けする為にメカニロイドを暴走させているってこと?」

 そしてウェルズもミスティーハニーも他のマン・ヒールズの面々も考えていると、そこにまたしても通信が。

「こちらウェルズ」

「ウェルズ! マン・ヒールズ! ハッキング地点の逆探知に成功したわ! 暴走メカニロイドの操作信号を発しているのは、ミサイル基地。全部隊に連絡しましたが、通信妨害なのか殆ど反応が途切れています。修司総長とも、連絡が付かないんです!」

 この指示を受けて、ウェルズとマン・ヒールズはミサイル基地に急行。

「嫌な予感がする」

 しかしウェルズは不吉な予感を覚えていた。

 

 そして一行はミサイル基地へと到着。

 早速、基地内を探索していくとミサイル発射制御室に何者かが居る痕跡が。

「誰かいる」

 ウェルズとマン・ヒールズは制御室に急行。そして部屋に武装した状態で突入した。

「動くな! !? 修司……?」

 しかし制御室にいたのは、連絡が取れなくなっていた修司総長だった。

「ウェルズ! マン・ヒールズ! どうやら敵は、ここの警備システムを使ってメカニロイドを制御していたらしい」

 修司から報告を受けた一行は、すぐさま警備システムのチェックを行う。

「警備システムでカモフラージュされていた訳か」

「逆探知に手間取る訳ね」

 ウェルズとミスティーハニー率いるマン・ヒールズが端末を操作して、メカニロイドの暴走を停止させようとしていた時、ウェルズが修司に操作しながら問い質す。

「修司……司令部と連絡が付かなくなっていたらしいが、どうしてた?」

 質問を受けて修司はウェルズに歩み寄りながら答えた。

「敵に気付かれたくなかったんでな、通信は切っておいたんだ。まあ何、通信などもう大して意味をなさない……」

 次の瞬間、修司は日本刀を抜刀してウェルズに襲い掛かった。だが、それをウェルズは寸でのところで剣戟を防いで我が身を守った。

「総長!? 何をしているの!?」

 ミスティーハニーたちマン・ヒールズが驚愕する中、修司は己が抜刀した刀を受け切ったウェルズに問うた。

「ほう、なぜ分かったウェルズ?」

 ウェルズは修司の腕を掴んだまま、険しい顔で答えた。

「犯人の戦闘力……あれだけの事ができる二次元人は聖龍隊でもそうそう居ない! それにお前さんには火薬とかの現場でこびり付いた臭いがプンスカ漂ってくる! 綺麗好きの修司なら毎日シャワーの一つぐらい欠かさない筈だ! そうだろ……メカルス!」

 次の瞬間、ウェルズは掴んでいた腕を投げ飛ばすと同時に、腰に携えてたサバイバルナイフで顔を切りつけた。

 すると修司の顔面の塗装が剥がれて、機械の部分が曝け出された。

 その機械の顔を見て、マン・ヒールズも修司がメカルスであった事に気付く。

 

 メカルス。革命軍士総司令官。元は政府が小田原修司の闇の心、ダーク・ソウルを研究するべく、電子的に彼の能力をコピーしたコアが元となっている戦闘用ロボット。闇の力が暴走した事で、研究所で爆発を起こしたメカルスのコアは、何故かその場に居合わせた革命軍総元帥ブラッディ・ドラゴンの手元に渡ってしまう。その後、革命軍士の元で自らの体を得たメカルスは己が小田原修司のコピーである事を率直に受け止め、本物と偽物という区別を強いている世界に対して革命軍士の下で反逆行為を行うまでに至った。

 

 そんな強敵メカルスを前に、ミスティーハニー率いるマン・ヒールズはメカルスに敵意を向ける。

 

 その頃、アニメタウンがメカニロイドの暴走で混乱している最中、三次元人専用の施設では多くの重役達が恐れをなして国外に逃げ出す準備を進めてた。

 そんな中、とある一室。誰もほとんど使わない部屋に一人の人物が監禁されているのが発見された。

 それは大量の薬を投薬され、意識低迷にまで陥っていた本物の小田原修司だった。

 彼はメカルスの協力者の手によって薬を打たれ、意識が低迷している間に拘束され、その間にメカルスと入れ替えられていたのだ。

 

 

 

[発端]

 

 その一方で、メカルスは攻撃を防いだウェルズに唱える。

「流石はウェルズ、と言いたいところだが……俺という存在を全く警戒していなかったマン・ヒールズの甘さこそが、二次元人の未来に繋がると思うな!」

 次の瞬間、メカルスはウェルズの頭を鷲掴みにして、彼の頭部を力強く握り始めた。

「ぐあああああっ……!」「そう思わんか、ウェルズ」

 メカルスに捕まえられたウェルズは、頭部を握り締める強力な握力で激痛に苦しむ。

「メカルス! もう其処までよ! ウェルズさんを離しなさい!」

 ミスティーハニーが攻撃態勢でメカルスに訴えるが、そんな彼女たちを嘲笑うかのようにメカルスは言った。

「そうだ、ミスティーハニー良く狙え。この俺を止めたければ今すぐウェルズごと俺を撃ち抜くしか方法はないぞ」

「!」

 ウェルズの体を盾にされたマン・ヒールズは攻撃することが出来なかった。

「どうした? 撃て!」

 メカルスの挑発を受けながらも、攻撃することを躊躇ってしまうマン・ヒールズ。

 そんな攻撃を躊躇うマン・ヒールズを前に、メカルスは嘲笑を上げる。

「どうだ、マン・ヒールズ? やはりお前達はそうなのだ」

 マン・ヒールズが攻撃できない現状に余裕を見せるメカルスは、次の瞬間ウェルズを離した瞬間に彼を切り付けた。

「うわあっ!」

 この一太刀でウェルズは気絶してしまう。

「ウェルズさん!」

 床に倒れるウェルズを見てミスティーハニー達が目を奪われていると、メカルスは即行で今度はミスティーハニーを片腕だけでベアハッグを仕掛けた。

「ぐあああああっ」

 今度はミスティーハニーを捕らえて盾にするメカルスに、マン・ヒールズは攻撃できずにいた。

 そんなマン・ヒールズを嘲笑するかのようにメカルスは告げた。

「ふふ、修司から言われただろうマン・ヒールズ。攻撃を躊躇ってはならないと! お前達が俺を攻撃できるチャンスはもう潰えたのだ」

 そう言うとメカルスは小さな棒状のスイッチを取り出しては、それを躊躇いなく押した。

 するとミサイル基地のミサイル発射口が開き出し、全ミサイルが発射体制へと移行された。

「次にこのスイッチを押せば基地の全ミサイルが発射される……目標はお前たちの街、アニメタウンだよ」

 ミスティーハニーを捕らえ、マン・ヒールズに迫るメカルスは更に彼らへ問い掛けた。

「さあ、どうする? 街を賭けてミスティーハニーを人質にとっている俺と戦うか? できなければ武装解除しろ!」

 マン・ヒールズの隊士は皆、人質にされているミスティーハニーを見捨てる事はできず、メカルスの言うがままに武装を放棄してしまう。

「! みんな!」

 武装を放棄する仲間を見て愕然とするミスティーハニー。そんな彼女にもメカルスの冷酷な言葉が突き刺さる。

「さあ、ミスティーハニー。お前も変身を解いて武装解除してもらおうか! でなけりゃ、マン・ヒールズの誰かが死ぬことになるぞ!」

 この忠告を受けて、ミスティーハニーは変身をやむなく解除。葉月聖羅の姿へと変わる。

 このマン・ヒールズの状況を前にメカルスは高々と嘲笑する。そして彼は変身を解いた聖羅を床へと放り投げた。

「聖羅さん!」「ミスティーハニー!」

 床に放り出された聖羅にマン・ヒールズ隊士達が駆け寄る。そんな彼らを見てメカルスは絶えず嘲笑を浮かべる。

「何故なの……? 何のために、こんな……!」

 打ちひしがれる聖羅からの問いかけに、メカルスは真剣な顔で答えた。

「お前達の為だ。お前たち二次元人の可能性を真に試すためだ!」

「その為に全て仕組んだ訳なの……!? メカニロイドを暴走させ、罪のない者を……私達の仲間達を次々に殺して……!」

「いいや、今回は俺だけの力だけではない。実際に賛同してくれた者も多くいる。マン・ヒールズよ、犠牲のない進化など……」

「!」

「ない」

 メカルスが発した次の瞬間、彼はミサイル発射のスイッチに抵抗なく指をかけた。

「やめろーーっ!!」

「あ、ポチっとな」

 聖羅たちの悲痛な声が木霊する中、メカルスはボタンを押した。

 そしてマン・ヒールズの想いとは裏腹に、基地から大量のミサイルが全機発射されてしまった。

 

 このミサイル基地からのミサイル発射は、聖龍隊本部の司令室にも伝わった。

「な、何ですって……! ミサイル基地から!?」

「ミサイルが発射された! 目標、軌道計算!」

 司令室が混乱する中、三次元人たちが利用する宿泊施設では手塚るみ子氏が一人残っていた。

「人が生み出し……人を超える可能性を持つもの……二次元人」

 

 一方のミサイル基地では。

 マン・ヒールズはミサイルを発射したメカルスに最後の抵抗を示していた。

 しかしメカルスは右腕を変形させて強力なバルカン砲に変えると、それを勢いよく連射してマン・ヒールズを銃撃。

 マン・ヒールズはメカルスからのバルカン砲を受けて全身が穴だらけとなり、次々に血の海へと倒れていく。

 

「ミサイル到達まで、46秒……目標は、アニメタウン……!」

 司令室では、ミサイルが全機アニメタウンへと放たれる事実が判明し、一同は愕然としていた。

「な、何アレ……!」

 自分達の頭上を続々と通過するミサイルを見上げて、セーラームーンたちHEADは顔を蒼褪めた。

 無数のミサイルがアニメタウン上空を滑空し、次々と街へと着弾、爆発していった。

 

 その衝撃は、三次元人用の施設にも届いていた。

「人の傲慢、エゴ……いいえ」

 手塚るみ子が思いに浸っている最中、施設にもミサイルは着弾してるみ子氏は爆発の爆炎の中に消えていった。

 

 こうしてアニメタウンの被害は見るも無残なものへと変わり、多くのものが息絶えた。

 そしてミサイル基地。メカルスに反抗しようとマン・ヒールズが一斉に飛び掛かるが、全員がメカルスのバルカン砲で致命傷を受けていた。

 全員が血の海に沈む中、聖羅は遠のく意識の中、メカルスの言葉が耳に飛び込んできた。

「マン・ヒールズ、全てはお前達が招いた結果なのだ。無限の可能性と危険、そのどちらも兼ね備えたお前たち二次元人が引き起こしたな……!」

 全ての災いは躊躇いや迷いを持つマン・ヒールズが招いた結果だと冷徹に告げるメカルスは、さらに血の海に倒れるマン・ヒールズに告げる。

「それで終わりかマン・ヒールズ? 違うだろ……此処から始めるのだろう、俺たちの世界を!」

 最後のミサイルが発射され、その炎が制御室を照らす中、メカルスは革命軍士が開発したテレパシービジョンという視力でマン・ヒールズの深層心理を覗いた。

 

 

 

[想い]

 

 マン・ヒールズの深層心理を覗くと、彼女らの過去が視えた。

「君たちが、マン・ヒールズかい?」

「あなたは……?」

 ある日マン・ヒールズの許を訪れた一人の老人。マン・ヒールズは、そんな老人と他愛もない会話をして交流を深めた。

 そしてその老人が帰っていった後、ミスティーハニーが修司に訊ねる。

「総長、あの人は……?」

「あの人は手塚眞……お前たち二次元人を生み出した漫画の神様、手塚治虫の息子さんだよ」

「手塚治虫の、息子……!?」

 修司から真意を聞かされ、マン・ヒールズは驚愕した。

 そしてまた別の日。この日、マン・ヒールズに会いに来てくれた手塚真は少し疲れ気味であった。

「どうしたんです、手塚先生? 少しお疲れの様子ですが……」

 様態を気にして心配するミスティーハニーに、手塚眞は疲れた様子で答えた。

「マン・ヒールズ、君たちは本当に……いや、全ての二次元人はやはり人間である我々三次元人に限りなく近い様だね……ゴホッ、ゴホッ。でもそれだけに君らが自分達に近いものを受け入れるには……人類はまだ幼いのかもしれない」

 二次元人と三次元人の関係を懸念する手塚眞。

「人は、君たち二次元人の可能性を危険視するかもしれない。無限の可能性、それは無限の危険も意味している」

 彼の言葉をマン・ヒールズは一生忘れなかった。

 そしてそんな手塚眞氏との離別の時が。

「総長!」

「おおっ、お前たち! 来てくれたか」

「眞さんの様子は?」

「……今夜が峠だそうだ。お前達に会いたがっている。会ってくれ」

 病院の待合室。そこで合流した修司からマン・ヒールズに手塚眞氏との最後の面談を嘆願される。

 手塚眞氏は、長年二次元人の可能性を世に訴え続ける、いわば二次元人の人権運動を起こしていたため、疲労が重なりその肉体を酷使していた。

「許してくれマン・ヒールズ……三次元人である私が、君たち二次元人が如何に世の中に必要か説くには、時間が足りなかった……! ゴホッ、ゴホッ」

「手塚先生!」「手塚先生……!」「おい、オッサンしっかりしろよ!」

 病院のベッドに横たわる衰弱した手塚眞氏を見て、ミスティーハニーや沙羅そしてゼブラが声を掛け、励まそうとする。

「私は君たち二次元人の、考え、悩み、そして行動するという生物の進化する可能性を見出した。だが、その進化という争いを戦い抜く力が本当に世界の為になるのか、私は上手く言えない」

 この病弱し切った手塚眞の言葉に、ミスティーハニーは力強い面魂で宣言した。

「手塚先生、私達は自分たちの力を正しい事の為に使います……希望の為に!」

「ああ、私も信じているよ……君たちが過去の贖罪に押し切れず、正しい心を持ち続ければきっと……未来が、世界の人々が希望を願っている事を」

「手塚先生……!」

 ミスティーハニーは手塚眞の手を取り、彼の言葉に耳を傾けながら看取った。

「さようならマン・ヒールズ。私の……いいや、お父様が残してくれた世界の希望……」

 

 マン・ヒールズの深層心理をテレパシービジョンで拝見したメカルス。

 と、その時。消えかけていたマン・ヒールズの闘志が再び燃え出したのをメカルスは察した。

 さらにマン・ヒールズの銃弾が貫通したいくつもの傷が瞬く間に再生していくのをメカルスは目撃した。

(! バカな! こいつ等に再生能力はなかった筈……!)

 急速に銃撃で受けた無数の傷口を再生していくマン・ヒールズの面々を見て、焦るメカルス。

 そして再生すると同時にマン・ヒールズはメカルスに突っ込んだ。

 雄叫びをあげながら突っ込んでいくマン・ヒールズは、メカルスの超合金の体にしがみ付くと、信じられない力で装甲を剥がし取った。

「うう……っ!」

 全身の至る箇所の装甲を剥がされて、激しく損傷するメカルスの形相は塗装が剥がれ落ちたのと損傷によって悪魔の様な形相へと変わった。

「マン・ヒールズ!!」

 自分に向かってくるマン・ヒールズに、メカルスも攻撃態勢で迎え撃とうとする。

「め、メカルス……!」

 しかしマン・ヒールズは先ほど受けた銃撃の傷がまだ完治していないのと、大量に出血したのが原因で、全員が再び意識を失ってしまう。

 これを見たメカルスは高々に笑い出し、気絶したマン・ヒールズに言った。

「そうだ、それがお前達の力。お前達の、二次元人の可能性なのだ!」

 そう言い残すとメカルスは、これから起こる戦いの始まりを喜ぶかのように高笑いしながら去っていった。

 

 そしてメカルスが去っていった後、最初メカルスに斬り捨てられたウェルズが傷を押さえながら意識を取り戻した。

「うっ……メカルス、マン・ヒールズ……!」

 しかし起き上がったウェルズの目には、完全に意識を失っているマン・ヒールズの横たわる姿が飛び込んできた。

「! マン・ヒールズ……マン・ヒールズ!」

 ウェルズは急ぎ、救護班を要請。その後、駆け付けた救護班によってマン・ヒールズは移送された。

 

 そしてメカルスは。

 自身が放ったミサイルで壊滅寸前にまで陥ったアニメタウンを見下ろしながら笑っていた。

「立ち上がってこいマン・ヒールズ! お前達の戦う相手は此処だ! 俺は此処にいるぞ!」

 メカルスは街を見下ろしながら宣言した。

「さあ、戦いを始めようではないか。二次元人の可能性を賭けた戦いをな!」

 

 こうして革命軍士総司令官メカルスとマン・ヒールズの戦いは火ぶたを切ったのだった。

 

 

 

[監視]

 

 その頃のマン・ヒールズは。

 ウェルズの要請の元、マン・ヒールズは病院へと緊急搬送された。

「心肺停止!」「電気ショックの準備を……!」「1,2……3!」

 しかし病院に担ぎ込まれたマン・ヒールズは、全員が大量の血を失い、時には心肺停止を起こしながら意識すら失っていた。

(俺が……俺がもっと、しっかりしていれば……!)

 病院の待合室で待機するウェルズは、自分の不甲斐無さがマン・ヒールズを瀕死に追い込んだのかと自責の念に駆られていた。

 すると其処に。マン・ヒールズの身内ともいえる隊士達が大勢駆け付けてきた。

「ウェルズさん!」「は、ハニー……!」

 一番に駆け付けてきた如月ハニーに声をかけられ、ウェルズは蒼然とした面持ちを向ける。

「ウェルズさん……デューイは? マン・ヒールズのみんなは……!」

「りりか……まだ手術中だ」

 森谷りりかからの問いかけに、ウェルズは気落ちした様子で答える。

「済まない! 俺が不甲斐無いばっかりに、メカルスの企みを止められないばかりがマン・ヒールズも全員……」

「そんなに落ち込まないで、ウェルズさん。あなただって深手を負ったんでしょ」

 頭を深々と下げるウェルズに【ふしぎ遊戯】の夕城美朱が気遣ってくれた。

「ゆ、ユーリさん……! い、いいえ、ブラック・ラヴァーズの皆さんは!?」

 最初は恋人の事だけを考えていたヒッポは、すぐに言葉を訂正した。

「み、みんなは無事なんですか? ウェルズさん……!」

「………………」

 七海るちあからの問いかけに、ウェルズは何も答えられなかった。

 すると、ここでウェルズはずっと気にかけていた疑問を皆に問い返した。

「と、ところで……本物の修司は結局、どこなんだ?」

「本物の修司さんなら、先ほど発見されて此処の病院に搬送されました。かなり大量の薬を投与されて、意識低迷だとの事です」

 ウェルズが本物の修司の行方を尋ねると、本物は先ほど発見されてマン・ヒールズが搬送されたのと同じ病院に意識低迷のまま搬送されたと堂本海斗が答える。

 

 すると其処に。

 多くの三次元人の重鎮がなだれ込んできた。

「小田原修司は!」「国連所有の人間兵器は無事なのか?」

 誰もが兵器である小田原修司の心配をする中、そこへマン・ヒールズの手術を請け負った一人の医者が手術室から出てきた。

「ぶ、ブラック・ジャック! マン・ヒールズは……みんなは!?」

 ウェルズたち聖龍隊の皆が問い質すと、ブラック・ジャックは素っ気なく答えた。

「……もう大丈夫だ。全員、なんとか峠だけは免れたよ」

「よ、良かった……」

 ブラック・ジャックの返答に、ウェルズ達は心より安堵した。

 しかし其処に三次元界の重役達がやって来て、ブラック・ジャックに申し渡す。

「ブラック・ジャック! 小田原修司の治療を最優先に行ってもらわなければ困るんだが……!」

 するとブラック・ジャックは手から薄い手術用のゴム手袋を外しながら言い返した。

「無理だな」「な、何だと!」

 修司の治療を無理だと返すブラック・ジャックの返事に三次元界の重役達は腹を立てた。

「国連所有の絶対的兵力、小田原修司の治療が無理で……生きていても仕方のないマン・ヒールズの手術を優先するとは何事だ!」

 このマン・ヒールズの命を軽視する三次元人達の発言に、駆け付けていた海斗たちマン・ヒールズの身内達は怒りで三次元人達に迫ろうとする。と、それをウェルズたち周りの隊士が制止する。三次元人に反論または抵抗すれば異常者(ヒール)にされかねないからだ。

 するとこれに対してブラック・ジャックは三次元人達に真実を伝えた。

「小田原修司の場合、大量の薬を投薬された、いわば精神内科の問題だ。外科医である私がどうのこうのと出来る問題ではない。マン・ヒールズの様に重傷を負って運ばれてきた患者とは違う」

「し、しかし……!」

「何なら……私の知っている内科医を紹介しましょうか? ま、最もその医者は患者を治すんじゃなく安楽死させる事で満足する医者ですが」

 ブラック・ジャックのこの言葉を聞いて、三次元人達はもう一人の黒い医者を思い出して背筋を震わせた。

「わ……我々を脅すつもりか……!?」

「とんでもない。天下の三次元政府のお偉いさん方を脅すほど、私の神経は図太くない」

 動揺する三次元人達に、ブラック・ジャックは平然とした態度で言い返す。

 

 と、そこに新たな訪問者が。

「皆さん、其処までにしましょう。修司くんは安静にしていれば大事ないと聞いていますからね」

「るみ子さん! 無事でしたか」

 訪れた人物は、ミサイル爆破に巻き込まれていたと思われた手塚治虫の娘、るみ子氏だった。

 彼女が最後まで居続けた施設は、テロリストなどの攻撃も防ぐ様にと頑丈な造りになっていた為、ミサイル爆発の衝撃にも耐えられたのだ。

 そんな手塚るみ子氏は今の現状を述べた。

「……メカルスが小田原修司と入れ替わって、そこからアニメタウンを混乱に陥れ……挙句の果てにはミサイルを発射して二次元人達の国を壊滅寸前に追い込んだ。何とも嘆かわしい事だわ」

 皆は手塚るみ子氏の話に、多大な懸念を募らせた。

 するとブラック・ジャックにウェルズが弱々しく歩み寄って言葉をかける。

「ぶ、ブラック・ジャック……マン・ヒールズは、本当に無事だったのか? あのメカルスを前にして、生き抜いてくれたのか……?」

「ああ、彼らなら全員大事ない。信じられない事に、彼らの傷口はどんな理由かは知らないが、再生していた。まあ、傷口から流れた大量の出血で意識を失ってしまったがね」

 マン・ヒールズの傷口が再生した現象に、誰もが信じられない顔を浮かべる中、ブラック・ジャックが言った。

「どちらにしろ、私の診たところ小田原修司もマン・ヒールズも全員命には別状はない。それで何よりじゃないか」

「ああ、そうだな……に、してもメカルスめ。こんな派手なテロをアニメタウンに仕掛けるとは……!」

 ブラック・ジャックの話に賛成しつつも、メカルスの仕掛けたテロ行為に怒りを募らせるウェルズ。

 

 その後、先立って小田原修司が増員した獣人型の二次元人達が揃って行方知れずになる事態が起きた。

 その全員が、メカルスの軍門に降って傘下に加わっている事が後に判明した。

 そして奇跡の生還を果たしたマン・ヒールズは、同僚である獣人型二次元人達が失踪する中、今回のミサイル発射に基づく失態の罰として24時間体制の監視を付けてながら任務を行わざる得なかった。

 

 

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