聖龍伝説:現政奉還記 創生の章:昔語り編 作:セイントドラゴン・レジェンド
新世代型たちは、常日頃から行われている異常者狩りの実態と、過去の贖罪から攻撃を躊躇ってしまうマン・ヒールズの心境を察して胸が締め付けられた。
「マン・ヒールズの皆さんは、日ごろから偏見の眼差しを浴びながら職務に就いていたんですね」
新世代型の星原ヒカルが問い掛けると、ミスティーハニーは舌を俯いたまま話してくれた。
「所詮は私たちも昔はヒールだったから、偏見を受けても仕方ないと覚悟していたわ。けれど、このメカルスによる爆撃は私たちの躊躇いが生み出した大いなる失態という意味では心苦しさがあったわ」
過去の罪状から偏見を受けても仕方ないと思ってはいたが、メカルスに対する躊躇いが悲劇を生み出した切っ掛けを作った自分たちの過ちは取り返しがつかないものだと言う事をミスティーハニーは語った。
「あの手塚治虫の娘さん……いいや、お子さん達である真氏やるみ子氏と前々から親睦があったのですね」
「二次元人という混沌の象徴を生み出した一族の末裔ということで、るみ子氏も真氏もよく二次元人を贔屓してくれてたんだ」
イオリ・リン子からの問いかけにバーンズが悲壮な面持ちで語る。
「メカルスの経歴は以前にも聞いていたけど、ここまで躊躇なく大惨事を引き起こせるほど凶悪だったなんて……!」
「本物を超えた偽物として武勇を利かせていたメカルスは、自分のオリジナルである修司と張り合うために、修司とは違う形で二次元人を導こうとしていたんだ」
瀬名アラタの驚愕の発言に、バーンズはメカルスの真意を語り明かした。
「で、でもマン・ヒールズの皆さんが重傷を負ったのにも関わらず、その傷が再生したというのは……?」
「それこそ二次元人の進化の可能性なのかもしれない。メカルスが語っていたように、悲劇の中でこそ二次元人は成長し、悲劇こそ進化の糧になるのかもしれん」
「そ、そんな……」
御舟百合子の指摘に、二次元人の可能性を示唆するバーンズの重い台詞を聞いて衝撃を隠せない琴浦春香。
「そ、それで……メカルスは? メカルスの側についた元ヒールハンターの連中とは、どうなったんだ!?」
「慌てるな。順を追って説明する……そう、この悲劇は発端に過ぎなかった。俺たちマン・ヒールズに見出された二次元人の可能性を賭けられた戦いの、始まりにな……」
メカルスとその側についたヒールハンターの動向が気になって、やや興奮気味になる真鍋義久の問い掛けに、月詠イクトが語り始めようとする。
そう、本当の戦いはこれからだった。
メカルス率いる反乱軍が、自分たち聖龍隊と、そしてマン・ヒールズと激しい攻防を展開していくあの日々の始まりを……。
[開戦]
2010年
人間の思想概念から生み出された新しい種、二次元人が存在する時代。
三次元人と二次元人は、共に暮らす道を探り続けていた。
しかし二次元人の社会が広がるにつれ、二次元人による犯罪が増大。
これに対抗するため、三次元人小田原修司が結成した組織、聖龍隊は軍事警察機構として再構成されていた。
そんなある日の事。
先のミサイル発射テロでの被害地帯で作業している二次元人。彼の頭上には何気ない日常で人々が往来する高速道路が在った。
しかし、その高速道路の支柱にタイマー付きの設置物が仕掛けられている事に誰も気付いていなかった。
人々が、時には起こってしまう災厄の中から微かな共存の道を探りながら日々を過ごしていたその時。
高速道路の支柱に仕掛けられた設置物が、タイマーが0になった瞬間に爆発。高速道路は分断されてしまう。
と、爆発には高速道路下で作業していた二次元人も気付くが、気付いた次の瞬間には分断された道路からタンクローリーが頭上に落下した。
不幸中の幸いか、タンクローリーは既に燃料を運び終わって空になった状態で走行していた為、爆発はしなかった。だが、そのタンクローリーの下敷きになった二次元人は絶命してしまう。
その事故現場に、ミスティーハニー率いるマン・ヒールズが駆け付けてきた。
ミスティーハニーは、タンクローリーの下敷きになった二次元人を確認すると、居た堪れない心境に駆られた。
と、現場検証を始めたばかりのマン・ヒールズは、高速道路を爆破した設置式爆弾の破片を発見してミスティーハニーに報告した。
爆弾の破片には、革命軍士の紋章がはっきりと刻印されていた。
この事実から、マン・ヒールズはこの爆破テロが革命軍士の手による者だと直感。
更に直感的にマン・ヒールズは分断された高速道路へと壁伝いに跳躍して、頭上の道路へと上がっていった。
「あ、マン・ヒールズ! たく、また勝手に……」
そんなマン・ヒールズを見て、同じく現場に駆け付けていたウェルズ・J・プラントは呆れてしまう。
これは[[rb:異常者 > ヒール]]ハンター、マン・ヒールズの物語である。
高速道路に上がったマン・ヒールズは、道路で混迷に入り混じっている車両や乗車する人々を目撃していると通信が入った。
「マン・ヒールズ! そのエリアの暴動も[[rb:異常者 > ヒール]]が誘導されている可能性が高いです……!」
「誘導……やはりメカルスの様ね」
高速道路を中心に起きている暴動をしている[[rb:異常者 > ヒール]]が誘導されていると聞いて、ミスティーハニー達はメカルスの作戦だと直感する。
ミスティーハニーたちマン・ヒールズは、高速道路で暴動を起こす[[rb:異常者 > ヒール]]を倒しながら直進した。
そんなマン・ヒールズの後を、いくつもの飛行カメラが付いていく。
「チッ、あくまで俺達の事を監視しなきゃ気が済まないらしいな」
先のミサイル発射を阻止できなかった罰則として、マン・ヒールズを監視する為の飛行偵察カメラを同行させる動きが此処でも見られる事態に門脇将人は苛立つが、自分達の落ち度が元々の原因ゆえに強く反発する事もしなかった。
マン・ヒールズはこうして監視付きで任務を遂行する破目に至った。
そんな[[rb:異常者 > ヒール]]の暴動が発生する高速道路、そのマン・ヒールズとは反対側の方から一人の男が歩いていた。
(マン・ヒールズ……! 何故お前達なんだ……!)
頭上をハチ型ビーグルが飛行する中、その男ヴーイは人知れず苛立っていた。
ヴーイは先日起きたメカニロイドの暴走事件で、聖龍隊が混乱に喘いでいる最中、それに乗じて修司と入れ替わっていたメカルスによって脱獄されていた。
すべては、あの日のあの時から始まっていた。
「直々にこの俺を処分しに来たのか」
留置所に拘束中のヴーイの元に、修司と入れ替わったメカルスが来訪してヴーイの手枷と足枷を刀で切断した。
「お、お前は……!」
そんな修司の目を凝視したヴーイは、即座に生きた修司ではなくロボットのメカルスであると察する。
「お前、メカルスか!? ちょうどいい! 俺も革命軍士に入れてくれ! もうチンケなハンター稼業はウンザリなんだ!」
ヴーイは聖龍隊からも見放された[[rb:異常者 > ヒール]]認定寸前の存在。ゆえにメカルスに革命軍士志願を訴えた。
するとメカルスはヴーイに言った。
「ならば力を貸せ、マン・ヒールズを倒す」
「マン・ヒールズを倒す!?」
メカルスの発言にヴーイは愕然とした。
「そうだ。引いては、それが二次元人の進化に繋がるだろう」
メカルスの言葉を聞いて、ヴーイは思わず思わず笑ってしまう。
「クク、クククク、何を言い出すかと思えば……」
ヴーイは立ち上がってメカルスに言い放った。
「あの悩んでばかりの三流ハンター共が俺達に何をしてくれるというんだ!!」
これにメカルスは平然とヴーイに答えた。
「悩む? そう、悩みこそ知的生物の進化に必要なものだ。深く悩み、考え、過去の贖罪に生きる善と悪の境界線にいる二次元人、マン・ヒールズこそ他の二次元人が辿り着けない結論に辿り着く。だが、マン・ヒールズは皆、己の真の実力にいまだ気付いてはいない」
「そのマン・ヒールズの真価を引き出す為に、自ら赴いてこの事態を引き起こしたというのか」
「そうだ」
「俺にも、その手伝いをしろと?」
「だから俺はここに来た」
真顔で返答し続けるメカルスを前に、ヴーイは一言愚痴った。
「狂ってやがる!」
その一言に、口元に微笑を浮かべるメカルスはヴーイに告げた。
「強制はしない。誰にでも出来る事ではないからな」
そして去り際にメカルスはこう言い残した。
「自らの意思で狂うことの出来る者ではなければ、この大義は任せられん……!」
そう言い残してメカルスはヴーイの前から去っていった。
そんな以前の事を思い出しながら、ヴーイは暴動が今まさに起きている高速道路に赴いていた。
「悪いが、世界を変えるのは……この俺だ!」
そう宣言したヴーイは戦場と化した高速道路に飛び出した。
「ふん……[[rb:異常者 > ヒール]]を扇動し、暴動で聖龍隊の奴らの勢力を分断。マン・ヒールズを追い込む手か……だがメカルス、俺が[[rb:切札 > ジョーカー]]だ!」
こうしてヴーイは荒れ狂う高速道路に出陣してはマン・ヒールズを自分の力だけで倒そうと戦意をむき出しにした。
「俺の力を見せてやる!」
マン・ヒールズが高速道路上の敵を倒しながら突き進んでいると、同じく道路で横行する[[rb:異常者 > ヒール]]を排除しながら前進していたヴーイと鉢合わせしてしまう。
「あなた……ヴーイ! あなたもメカルスの反乱に加わっていたのね!」
ヴーイもまたメカルスの傘下に加わっていると思っていたミスティーハニーが問い詰めると、ヴーイは不敵に微笑しながら強く反論した。
「反乱……? クククク、そんなもの知ったことか!」
「!?」
ヴーイの発言に困惑するマン・ヒールズ。そんな彼女達にヴーイは眼光を紅く光らせて言った。
「俺はお前達が気に食わないだけだ……いくぞ!」
ヴーイはここまで来る道中で偶然にも入手した作業用のライドアーマーに搭乗したままマン・ヒールズと交戦を開始。
「行くぜ、マン・ヒールズ!」
ヴーイは強力なライドアーマーでマン・ヒールズを殴り倒そうと仕掛ける一方で、背中に装備している機関銃から電撃や氷の弾丸などの特殊武器を放ちながら交戦。これにマン・ヒールズは回避しながらヴーイに向けて攻撃。ライドアーマーへの攻撃は意味がなく、直接搭乗者のヴーイを撃破する狙いだ。
そしてマン・ヒールズの必死の抵抗が功を奏し、見事ヴーイの撃破に成功。
しかしミスティーハニーは、攻撃を受けて気絶するヴーイを見て気になったのか彼に駆け寄ってしまう。
だが、それが仇となった。ミスティーハニーが接近した瞬間、これを狙ってたヴーイはライドアーマーでミスティーハニーを捕まえてしまう。
「ぐあっ!」
強力な握力で胴体を絞め付けられて悶絶するミスティーハニーに、ヴーイはいら立ちを覚えながら言い放った。
「……お前のこの甘さが気に入らない……ミスティーハニー、マン・ヒールズ……! お前達は何もできん! お前達を倒し、メカルスを倒し、世界を変えるのは、この俺だ!」
「うわああぁっ!」
次の瞬間、ヴーイはライドアーマーを操作してミスティーハニーを握り潰そうと彼女を絞め付けた。
が、その時。遠方から強力な対戦車ライフルで、ミスティーハニーを捕えているライドアーマーの肩を狙撃して彼女を助けた者たちが現場に駆け付けた。
「ミスティーハニー、大丈夫か!?」
それは対戦車ライフルを担いだ小田原修司と、完全武装したウェルズの二人だった。二人を見て、邪魔をされたヴーイが問い詰める。
「く……修司……ウェルズ……何故お前らほどの実力者がマン・ヒールズに肩入れする……? そいつらは所詮は元[[rb:異常者 > ヒール]]のB級ヒーローだぞ!?」
この問いかけに、修司は真顔でヴーイに言い切った。
「ヴーイ、お前は所詮ただの[[rb:異常者 > ヒール]]だ」
「ッ……」修司のこの台詞にヴーイは苛立った。
そして修司が改めてヴーイに向けて対戦車ライフルを向けた瞬間、ヴーイはこれ以上の戦闘はマズイと判断したのか高速道路から飛び降りた。
飛び降りたヴーイが着地したのは、今やメカルス率いる反乱軍の空中要塞と化している第7部隊旗艦のデスログマーであった。
修司はどうにか自分が装備している対戦車ライフルで撃墜しようと試みるが、デスログマーに強力な銃撃は無意味だった。
デスログマーはそのままヴーイを乗せたライドアーマーごと何処かへと飛び去っていってしまった。
「くっ!」
ヴーイを取り逃がした事に腹の虫が納まらない修司に、ミスティーハニーが訊ねた。
「修司、ウェルズさん……ヴーイはいったい何を……?」
これに修司は真顔でマン・ヒールズに言った。
「分かっているのは、奴が俺たちの敵だという事だけだ……」
「……」
「マン・ヒールズ、俺とウェルズはもう少しメカルスの足取りを追ってみる……お前達はいったん聖龍隊本部に戻れ」
「分かったわ……後で合流しましょう」
修司から言伝されて、ミスティーハニー達が修司やウェルズとは別行動をとる事に。
言伝した修司とウェルズは、そのままマン・ヒールズとは別行動をとろうと歩き出そうとしたその時。ミスティーハニーが二人に声をかけて呼び止めた。
「あ、修司、ウェルズさん……」
振り返り、立ち止まった二人にミスティーハニーは笑顔で言った。
「ありがとう……またあなた達に助けられたわ」
ミスティーハニーからの感謝の言葉に、ウェルズは少し照れた。
「へへ、別に。どうって事ないよ。なっ、修司……」
と、ウェルズが側の修司に声をかけようと目を向けてみると、既に修司は自分の天敵であるメカルスの動向を探る為に何処ぞへと姿を消していた。
「……たくっ、相変わらず照れ屋なんだから」
ウェルズは真っ先に姿を消した修司を見て、呆れ果ててしまう。
そしてウェルズも現場から立ち去ると、マン・ヒールズも聖龍隊本部へと帰参していった。
しかし本部に戻ったマン・ヒールズを待ち受けていたのは、新たな危機だった。
「各地で大規模な[[rb:異常者 > ヒール]]の活動を確認!」
「っ! メカルスの部下たちね……!」
「反乱が本格的に動き出したようです」
「メカルスを追うより、こっちを止める方が先ね!」
ミスティーハニーたちマン・ヒールズは休む暇もなく、各地で勃発した[[rb:異常者 > ヒール]]の暴動を鎮める為に現場へと急行した。
[バーニン・ナウマンダー]
アニメタウン郊外に在る工場地帯。
反乱軍はこの工場地帯を大規模な兵器生産工場へと作り変えていた。
マン・ヒールズは兵器生産工場へと潜入して、工場地帯を占領している元ハンターの許へと進撃した。
兵器生産工場へと作り変えられた工場内を突き進むと、マン・ヒールズの前に革命軍士の傭兵や、工場で生産された兵器が待ち受けていた。
マン・ヒールズはそれらを突破して、工場の最深部へと進攻する。
と、マン・ヒールズが工場地帯を進攻していると、彼女らの目の前に見た事のない人工物が入ってきた。
「これは……何なの?」
ミスティーハニーが謎の人工物に近寄って見ると、その瞬間その人工物が突如上下に分かれて分裂。
皆が驚く中、更に驚く事態が。それは上下に分かれた人工物の中から、今や二次元人の人権を訴え続けた為に過労死してしまったあの手塚眞氏の姿が投影された。
「私は、手塚眞……このメッセージをマン・ヒールズ……君たちの未来に託す……」
「手塚先生……!? どうして、手塚先生がここに……?」
ミスティーハニー達が、生前自分達によくしてくれた手塚眞の姿を目視して戸惑う中、人工物の中の手塚眞は語り続けた。
「このカプセルに辿り着いたと言うことは……既に、逃れられない戦いの渦中に居るのだろう、マン・ヒールズ……私が遺した4つの力を……君たちが正しく使ってくれると信じているよ……。ここに遺したのはフットパーツだ。カプセルに入り、これを装備すれば……移動速度が格段に上昇する。この力で、未来を正しい方向に導いてほしい……人類の希望、二次元人よ……!」
手塚眞がおそらく生前に遺しておいてくれた装備品に、マン・ヒールズは感激した。
それと同時に、手塚眞の意志を尊重して彼が遺した装備品をカプセルに入って装備した。
煌めく装甲に手塚プロダクションのロゴが入った武装、マン・ヒールズは感謝しつつもスグに任務に戻った。
立体映像の手塚眞の話した通り、フットパーツを装備したマン・ヒールズの隊士は皆、移動速度が格段に上昇していた。
手塚眞氏が遺してくれたフットパーツによって快進撃を続けるマン・ヒールズ。
そして一行は遂に、工場を占領している元ハンターが待ち受けている最深部、巨大ベルトコンベアーへと到達した。
マン・ヒールズが辿り着いてみると、そこには巨体のナウマン象型二次元人にして火炎系の能力者バーニン・ナウマンダーがマン・ヒールズを待ち受けていた。
「ふわはは! どんな奴らが来るのかと思ったら……B級ヒーロー様のご登場か!」
「ナウマンダ-、どういうつもりなの? 反乱なんて馬鹿げたことを……!」
ミスティーハニーがナウマンダーに何ゆえ二次元人の反乱に加わっているのか訊ねると、ナウマンダーは睨みを利かせて言い切った。
「ふはは! 俺はな……お前らみたいに弱いくせに粋がっている奴らを、踏み潰すのが大好きなんだよ」
この残忍極まりないナウマンダーの発言を受けて、マン・ヒールズは迷いを打ち消し、ナウマンダーに敵意を向けた。
「……バーニン・ナウマンダー、[[rb:異常者 > ヒール]]認定する!」
そしてマン・ヒールズとナウマンダーの戦闘が始まった。
「行くぞぉ!」
巨体を唸らせ、マン・ヒールズへ青い炎を鼻から噴き出して焼き尽くそうと図るナウマンダー。
バーニン・ナウマンダー、別名:灼熱の巨漢
反乱以前は第4陸上部隊の隊長として中東などで活躍していた。
動きこそ鈍重だが、その圧倒的な戦闘力と火炎系能力を持ち、その武力を以って第4陸上部隊を束ねていた。
しかし、その実力を今まで以上に試す機会だと判断し、メカルスの反乱に加わり、工場地帯を大規模な兵器生産工場へ変えてしまった。
トボけた外見とは裏腹に、自分より力の劣る相手は徹底的に潰すという残虐な面が目立っていた。
そんなナウマンダーと激しい戦いを繰り広げるマン・ヒールズ。
彼女たちはナウマンダーを包囲し、周囲から地道に痛手を与えて行く作戦を敢行。しかし巨体でかつ体力の余るナウマンダーには余り攻撃が効かなかった。
「ふわはは! どうしたどうした? その程度の力か、マン・ヒールズ!」
ナウマンダーは宣言通り、自分よりも弱いと認識したマン・ヒールズの隊士をその巨体で踏み潰そうと跳躍。間一髪でナウマンダーの踏み付け攻撃を回避したマン・ヒールズだったが、ナウマンダーが着地した際の衝撃で足元がすくわれてしまう。
その隙にナウマンダーは今度こそ踏み潰してやろうと、片足を上げて目に付いた穴戸レナへ振り上げた足を下ろした。
「危ないッ」
と、そこに間一髪マン・ヒールズ隊長のミスティーハニーがレナを救い出し、レナは危機一髪のところで踏み潰されずに済んだ。
そんな足元の周りをちょこまかと逃げ回るマン・ヒールズを見下ろして、ナウマンダーが呟いた。
「ふん! どうしてメカルスは、お前らみたいなB級ヒーローの相手をしろなどと……」
そんなナウマンダーの愚痴にハルカ・ヘップバーンが答えた。
「メカルスは[[rb:異常者 > ヒール]]よ。そして、あなたも……」
するとナウマンダーはマン・ヒールズの面々を見下して言い返した。
「確かにメカルスはおかしな奴だよ。マン・ヒールズ……お前達が二次元人の未来だとか抜かしてやがるんだからよ……」
「……」
「ふはは! では未来を踏み潰してやるとしますか!」
蔑んだ目でマン・ヒールズに言い切ったナウマンダーは、宣言通りにマン・ヒールズへ再度踏み付け攻撃を仕掛けた。
例え、直撃は免れても着地した際の衝撃が地面に伝わり、その衝撃で怯んでしまう戦況に苦戦するマン・ヒールズ。
「行くぞぉ!」
すると怯んだマン・ヒールズにナウマンダーは超火力の炎を鼻から吹き出し、周辺のマン・ヒールズ隊士を焼き尽くそうと図った。
と、そんなナウマンダーの攻撃手段が鼻からの火炎が中心だと察したミスティーハニーは咄嗟に必殺技を放った。
「ハニーブーメラン!」
放たれたⅤ字型のブーメランがナウマンダーの鼻に直撃し、ナウマンダーの長い鼻を切断する事に成功。
「ぬおおおおっ!」
自慢の長い鼻を切断されて、苦痛に悶えるナウマンダー。
すると彼の怒りは最高潮に達した。
「お、お前ら……! よくも俺さま御自慢の鼻を切りやがったな……もう許さねえ!」
ナウマンダーは自身の怒りを身体で表すかのように、その巨漢を跳躍させてマン・ヒールズを踏み潰そうと躍起になる。
しかし何度もナウマンダーの跳躍を見届けたマン・ヒールズは、そのパターンを完全に覚えて容易に跳躍からの踏み付けから逃れる。
「ナウマンダーが着地した瞬間に隙がある……そこを狙うのよ、みんな!」
何度も跳躍するナウマンダーを捉えて、ミスティーハニーはマン・ヒールズの皆に着地した際の隙を狙って攻撃するよう密かに伝言する。
そしてナウマンダーが着地したその瞬間、マン・ヒールズはナウマンダーの巨体へと集中砲火を浴びせ、ナウマンダーを倒した。
「パオォッ!?」
雄叫びを上げて、その場に山の様な巨体を沈ませるナウマンダー。
「へっ、見たか! このパワー馬鹿が!」
目の前に倒れ込むナウマンダーを視認して、門脇将人が不満を吐き出すが、そんな彼にナウマンダーは薄れゆく意識の中言った。
「な……なにを言っている……! 力に溺れ、友を……周りの者を傷付けてきたお前らと俺……何の違いがあるんだ……!」
「……!」
ナウマンダーの発言に衝撃を受けるマン・ヒールズ。
そして最後にナウマンダーはマン・ヒールズに告げた。
「俺さま以上に残忍で、かつ……非道だったお前らに、[[rb:異常者 > ヒール]]呼ばわりされる上に消されるなんて……とんだお門違いだ……」
それを言い残して、ナウマンダーは絶命した。
ナウマンダーを撃破して、彼の最後の台詞を聞いたマン・ヒールズは行き場の無い心痛を胸中に感じていた。
「……チッ、言ってくれるじゃねえか」
門脇将人が舌打ちをすると、ミスティーハニーが残酷な事実を口にした。
「所詮は私達も……ナウマンダーと同じだったという事。私たちはナウマンダーと……昔の自分と同じだった輩をこの手で、処分の名目で殺めているに過ぎない」
このミスティーハニーの発言に誰もが愕然とした。
自分達は所詮、昔の自分と同じ[[rb:異常者 > ヒール]]を自らの手で殺めているに過ぎない。
「力無き者の剣となり、盾となるのが聖龍隊士の……戦士の宿命である」
かつて修司から言われた言葉を思い出しながらも、マン・ヒールズは次の[[rb:異常者 > ヒール]]発生区域へと向かった。
[アイシー・ペンギーゴ]
ところは随分と変わって、南極。
世界中の研究機関や基地が在るこの南極にも、聖龍隊の基地が在った。
しかし反乱を起こした[[rb:異常者 > ヒール]]が聖龍隊の南極基地を占拠し、其処を中心に他の国の基地にまでも進軍を開始してた。
そんな戦況を食い止めようと、マン・ヒールズは戦火激しい南極へと降り立って進軍した。
今回の南極基地を占拠した[[rb:異常者 > ヒール]]にして、元ハンターはあのアイシー・ペンギーゴ。
以前までミスティーハニーたちマン・ヒールズと共に任務に就いていたペンギン型二次元獣人。
元々は第13極地部隊に所属していたが、変化のない極地暮らしに退屈し切っているところを修司の応援要請を受け、アニメタウンで活動していた。それ故にミスティーハニーたちマン・ヒールズとも顔馴染みで、[[rb:異常者 > ヒール]]に対して甘さや同情などを見せていた彼女達に苛立ちを覚えていた。
先に倒したパワータイプのナウマンダーとは犬猿の中であり、彼と違い小さな体でも任務がこなせるよう柔軟な思考の持ち主だが、それが周囲にはひねくれ者と思われる原因となっている。
そんな環境下で過ごしてきたペンギーゴをメカルスが招き入れると、マン・ヒールズに対抗する為にもメカルス革命軍士側につく事となる。
マン・ヒールズは白い大地を突き進み、雪原の皇帝と呼ばれているアイシー・ペンギーゴの許へと急ぎ向かう。
と、進攻するマン・ヒールズの前に、またしても手塚眞氏が遺したと思われるカプセルが在った。
「このカプセルにはヘルメットを遺した……カプセルに入り、パーツを装備すれば……頭上のブロックを破壊できるようになる筈だ。頼んだよマン・ヒールズ……世界の、人類の希望よ……」
カプセルに近づき、手塚眞氏のメッセージを聞いた上で、マン・ヒールズはカプセルに入り、特注のヘルメットを装着した。
装着したヘルメットのお蔭か、道中に仕掛けられた罠である氷柱が頭上から降り注いでも、マン・ヒールズを貫く事は無かった。
そして南極基地最深部。
身も凍る程の氷室に、アイシー・ペンギーゴはマン・ヒールズを待ち構えていた。
「ペンギーゴ……なんでメカルスに従うの!?」
反乱軍に寝返ったペンギーゴにミスティーハニーが問い掛けると、ペンギーゴはしたり顔で答えた。
「メカルス様は俺の力を買ってくれた。何もない南極でくすぶっているよりは、こっちの方がはるかにいいぜ」
「あなたは間違ってる! メカルスのしている事は反逆よ!」
するとミスティーハニーに続いて、ブラック・ラヴァ―ズのユーリがペンギーゴに問い掛けた。
「ペンギーゴ……なぜ……!?」
「なぜ……か……きっとお前達がそんな風だからだ」
「……」
ペンギーゴの返答に唖然とした顔で困惑してしまうマン・ヒールズの表情を見て、ペンギーゴは言い放った。
「その顔さ、マン・ヒールズ……自分達だけが何か分かっているつもりの、その顔が気に食わないクワッ!」
そしてペンギーゴは戦闘を開始した。
「やってやるクワッ」
ペンギーゴは氷室の床が氷上である事を利用し、腹這いで高速で移動しながらマン・ヒールズをかく乱させる。
マン・ヒールズはペンギーゴを追おうとするが、氷上の床では思うように動けなかった。
「す、滑る……!」
危うく転倒してしまう様な状況に悪戦苦闘するマン・ヒールズ。
すると、マン・ヒールズが先に入手していた手塚眞氏からのフットパーツが反応し、足底にスパイクが備わった。
「わっ、これは……!」
「手塚先生だわ……こんな素晴らしい機能をくれて、感謝します!」
ミスティーハニーたちマン・ヒールズは天国の手塚眞氏に感謝しつつも、ペンギーゴへと進軍した。
しかしペンギーゴは、戦場に自分の氷像を作り出しては、マン・ヒールズの移動範囲を狭めてけん制。さらに氷の弾丸、ショットガンアイスでマン・ヒールズを攻撃。
挙句の果てには部屋中に人工の吹雪を発生させて、マン・ヒールズを凍て付かせて苦しめる。
「そのまま冷凍食品になっちまいな! クワワッ」
元は深海魚であるブラック・ラヴァ―ズの面々を見て、氷漬けになれと嘲笑するペンギーゴ。
しかしガイトは負けじと、ペンギーゴが作り出した氷像を剣で切り刻み、移動範囲を取り戻す。
だがペンギーゴは、そんな自慢の氷像を切り刻むマン・ヒールズ隊士に腹這いで突進して、捨て身の攻撃を仕掛ける。
ペンギーゴの突進を受けて転倒するマン・ヒールズ隊士。
そんな吹雪に氷系の攻撃を受けて、心身ともに冷え切ったマン・ヒールズを見て隊長のミスティーハニーは思い悩む。
ペンギンの獣人であるペンギーゴとは違い、人間の姿を模して生み出された自分たち人型の二次元人は寒さには強くない。このまま戦闘が長引けば、自分達は劣勢に追い込まれ、窮地に立たされてしまう。
これらの状況判断から、ミスティーハニーは苦肉の策をとった。
それは姉とは違い、半端な性能しかない自分の空中元素固定装置を用いて、強力な火炎をペンギーゴに向けて放つ作戦だった。
いくら今は敵とはいえ、つい最近まで共に[[rb:異常者 > ヒール]]ハントをしていた仲間だったペンギーゴを火だるまにする行為は避けたかったミスティーハニーであったが、攻撃に躊躇の無いペンギーゴを前にして戦意を改めた。
「……やるしかない!」
ついにミスティーハニーは決断した。
そして彼女はペンギーゴに向かって超火力の炎をブレスレットから放射して、ペンギーゴを火だるまにした。
「グワグワグワッ……!」
火だるまになって転げまわるペンギーゴは明らかに苦しそうだった。そんな元同僚の姿を見て、胸を痛めるマン・ヒールズ。
「よ、よくもやりやがったな!」
火達磨にされて怒り心頭のペンギーゴは、そのままの状態でマン・ヒールズに突進。
ペンギーゴの突進攻撃を跳躍して回避するマン・ヒールズに、ペンギーゴは再び場にペンギンの氷像を作り出して移動範囲を狭めようとする。
しかしマン・ヒールズはペンギーゴが作り出す氷像を次々に刀や剣といった得物で切断して破壊。
そして先ほどの火炎攻撃で重傷を負ったペンギーゴは、次第に優勢をとるマン・ヒールズに己が心境をぶつけた。
「何故クワッ! 何故、お前らみたいな半端者が……元[[rb:異常者 > ヒール]]の分際の貴様らばかりが過大評価されるクワッ!」
このペンギーゴの真意を聞いたマン・ヒールズは衝撃を受けた。
ペンギーゴにも、自分を認めてもらいたいという欲求が、強い思いが在ったのだと知ったからだ。
そんな焦燥のペンギーゴに、マン・ヒールズは隙をついて最後の攻撃を打ち込んだ。
「グワッ……! クワワ……」
苦しそうに悶えるペンギーゴは、最後にマン・ヒールズに向かってこう告げた。
「ちょ、調子に乗るなよお前ら……! ど、どんなに理解者が居ようと……クワ……お前達が世間から白い目で見られる[[rb:異常者 > ヒール]]だった事を忘れるな……クワッ……!」
そう言い残してアイシー・ペンギーゴは息絶えた。
ペンギーゴの最後の言葉を聞いて、マン・ヒールズは強い面魂で決意していた。
「そんなの分かってる……! 分かっているからこそ、自分達は贖罪の名目で戦いを続けるんだ」
マン・ヒールズの決心が改めて固まった一戦だった。
[スティング・カメリーオ]
続いてマン・ヒールズが出動したのは、東南アジアの密林地帯だった。
この密林地帯の奥地には、敵の前線基地があるとの情報を掴んだ聖龍隊本部は、前線基地を早々に陥落させる必要があると判断。
しかし敵の猛攻により、前線基地への進軍は困難を極めていた。
この状況を報告されたマン・ヒールズは、密林奥地へと歩を進ませた。
密林に隠れ忍ぶ敵の軍団のゲリラ戦法に苦戦を強いられる中、必死に奥地へと突き進むマン・ヒールズ。
そんな彼女達が進攻する為に崖を登っていくと、その道中で岩なだれが発生。マン・ヒールズは後退する道を失ってしまう。
すると、そんな彼女たちの前に、一見するとひょうきんな姿の戦闘ロボットが現れてマン・ヒールズに向かってきた。
「侵入者発見! ドスコイッ」
しこ股を踏み、マン・ヒールズに向かって張り手攻撃を仕掛けてくるロボット。
マン・ヒールズはこの場で時間を失いたくない一心から、ロボットに向かって総攻撃を仕掛けて早々に処理しようとする一同。
張り手を仕掛けると同時に、その巨体で体当たりを仕掛けてくるロボットには何故か手塚プロダクションのロゴが光っていた。
そんなロボットを、どうにか無事に撃破したマン・ヒールズの面々。
すると、彼らの目の前に地面の中からあのカプセルが出現して、ホログラムの手塚眞が姿を現した。
「ここには、両腕の装備を遺しておいた……カプセルに入り、パーツを腕に装備すれば……君たちの攻撃力は遥かに強化されるだろう。力が上がると言う事は危険な事だが……君たちが正しい心を持ち続ければ、きっと……」
攻撃力や戦闘力が上昇する装備を与えられたマン・ヒールズは、手塚眞氏の想いを胸に自分達の力を慎重に使おうと決断した。
戦力が上昇したマン・ヒールズは、その調子で快進撃を続け、密林奥地の前線基地に辿り着いた。
そんな到着したマン・ヒールズを待ち受けていたのは、図らずも草木が生い茂る壁に張り付いて、壁と同色化して擬態していた特殊な能力を持つ獣人型二次元人であった。
「にににに! 可哀想に! マン・ヒールズ! 皆に裏切られて……」
「あなたも……メカルスに唆されたのね、カメリーオ!」
不敵な笑い声と共に姿を現してマン・ヒールズを嘲笑うスティング・カメリーオにミスティーハニーが問い詰めると、カメリーオは強気な態度で言い返した。
「メカルス様、と呼べよ、バーーカ! 新しい世界の王となるお方よ」
「そんな世界、私たちは認めない!」
メカルスを新たな世界の王と自称するカメリーオの登場に、マン・ヒールズは戦闘を開始した。
幽林の妖撃手、スティング・カメリーオ
カメレオン型の獣人二次元人。第9特殊部隊「別名:レンジャー部隊」の元副隊長。
いかなる場所にも適応可能な保護色能力を持つ部隊きっての実力者だが、任務遂行のためには手段を選ばず、その行き過ぎた合理主義思想から卑怯者扱いを受けていた。
だがメカルスにその実力を純粋に買われ協力を持ちかけられたことから、反乱軍へ身を投じることとなる。
そして現在、密林の前線基地の警備を担当している次第。
そんな手段を選ばない合理主義思想者のカメリーオは、極力戦力や体力を消耗しない様にと、お得意の保護色能力を駆使して体を自在に隠しながらチマチマとマン・ヒールズを攻撃していく。
「ッ、くそ! おい! 隠れてないで姿を見せやがれ!」
姿を隠しながら微々と攻撃をしてくるカメリーオにマン・ヒールズのゼブラが裂けた口を大きく開けて怒鳴るが、そんな彼にカメリーオは姿を消したまま言った。
「ににに! お前みたいなバカなパワータイプの奴と真正面から戦うほど、俺様は無知じゃないんでね……それに、微小とはいえ確実にダメージを与えられる戦法の方が性にあっているんでね」
「そこか!」
そんな不敵な発言を述べるカメリーオの声を頼りに、門脇将人が得物である剣でカメリーオを突き刺そうとする。
しかしカメリーオは既に移動してた後で、直撃は避けられてしまう。
「ににに! 単純バカほど戦いやすい奴ほど、楽な戦闘は無いぜ」
「くっ……卑怯者め!」
「合理的って言えよ、ガイト!」
カメリーオは自分を卑怯者呼ばわりしたガイトに向かって、保護色能力から派生する怪光線を尻尾から発射した。
怪光線はガイトに直撃し、その眩い光でガイトの目は一時的に見えなくなってしまう。
するとカメリーオは其処に、天井に仕掛けている無数の棘を降らして、地上のマン・ヒールズに棘の雨を降らせる。
カメリーオの仕掛ける戦術に悪戦苦闘するマン・ヒールズだったが、そんなカメリーオに姉妹であるシェシェとミミが問い掛けた。
「何故あなた達はメカルスに従うの……!?」
「にににに! さーーな。中には人質をとられて仕方なくってのも、いるかもしれねーーがな……」
「自分たちのしている事が、[[rb:異常者 > ヒール]]だって分かっているの!?」
「[[rb:異常者 > ヒール]]でも何でも、のし上がれればそれでいーーのよ!」
反乱軍の中には人質をとられて仕方なく軍門に降っている者、そして出世する為に[[rb:異常者 > ヒール]]へと敢えて身を落としたカメリーオの発言にマン・ヒールズは微かな怒りを覚える。
「お前らだって[[rb:異常者 > ヒール]]だった頃は、俺と同じ事してたんじゃねえのか?」
カメリーオから指摘されて愕然とするマン・ヒールズ。
それでも一行は姿を隠しながら戦うカメリーオと攻防を交える。
と、天井に急速で張り付く際に使用する長い舌に向かって、ミスティーハニーはハニーブーメランでカメリーオの舌を攻撃。
「ににッ!」
舌を攻撃されて、思わず地面に落下してしまうカメリーオ。
しかしハニーブーメランでカメリーオの舌を攻撃するも、カメリーオは驚異の回復力で傷を再生してしまう。
「ににに! 獣人特有の回復力の速さ、だてじゃないぜ!」
獣人タイプの二次元人は、その身体能力の高さから回復力もずば抜けて高く、故に現在は多くのハンターが獣人タイプに位置付けられている現状だった。
「ににに! それそれッ」
そして再び天井近くの壁に張り付いた高所から、カメリーオは尻尾から特殊怪光線を斜線上に発射して地上のマン・ヒールズに攻撃する。
さらにカメリーオは、マン・ヒールズが使う武器を長い舌で奪い取ってから攻撃するという作戦にも出た。
一見、卑怯にも思えるこの戦法も、カメリーオにとっては合理的な戦法だった。
しかしマン・ヒールズも負けず劣らず、カメリーオを討ち取ろうと部屋の各所に散らばって、各自カメリーオを攻撃して少しずつ追い込んでいく。
そして一瞬の隙を突いて、カメリーオの長い舌を完全に刃物で切断してから、地上に落下したカメリーオを取り囲んで一気に剣で貫いてトドメを刺した。
だが、このマン・ヒールズの作戦および戦術にカメリーオは告げた。
「ににに……! し、集団で殺しにかかるお前らの方が……よっぽど卑怯じゃねえか……!」
カメリーオの口から卑怯という言葉が出た事に、マン・ヒールズは複雑な心境に駆られた。
そしてカメリーオは完全に絶命した。
[ストーム・イーグリード]
次なる出動場所は、アニメタウンの国際空港だった。
外界との交流を育む重要な空路であったが、反乱軍はその空路を遮断した上で空港を制圧したのだ。
この空港を制圧したのは、あのヴーイが逃走に使った旗艦デスログマーを指揮するストーム・イーグリードだという。
通称、天空の貴公子とも呼ばれるストーム・イーグリードは、鷲型の獣人型二次元人であり、マン・ヒールズとも友好的であった英国紳士をモデルに生み出された二次元人だった。
人望と正義感に厚く、人命を大切にする良心的な二次元人である筈のイーグリードが何ゆえ反乱軍の、メカルスの軍門に降ったのかマン・ヒールズは理解できなかった。
マン・ヒールズはイーグリードに出向き、直接問い質そうとする為にも空港内を進撃した。
手塚真氏から託された武装からのエネルギー弾発射に加え、聖龍隊で培われた剣術を中心に、元からあった能力や戦術を基礎として進軍するマン・ヒールズ隊士。
既に空港を完全制圧した反乱軍は進撃するマン・ヒールズを迎え撃つ。が、その砲撃を掻い潜り反撃すると共に突破するマン・ヒールズの快進撃は止まらない。
そんなマン・ヒールズの前に、またしても、いいや最後のカプセルが姿を現した。
空港内の人気のない空間に設置された、そのカプセルに近付くと例の如くホログラムの手塚眞氏が姿を見せた。
「このカプセルに遺したのはボディパーツだ……カプセルに入り、パーツを装備すれば……敵からのダメージを半減させることができる。戦いが始まってしまったのは哀しい事だが……君たちならそれを終わらせる事ができるはずだ、マン・ヒールズ……」
始まってしまった戦いを終わらせられる筈だと優しく告げてくれた手塚眞氏の想いを胸に、マン・ヒールズは最後の武装を装備した。
胴体部分の装備を武装したマン・ヒールズは、そのまま敵陣の中に突撃してイーグリードの許へと直行した。
空港内の敵をほぼ殲滅したマン・ヒールズは、今や反乱軍の空中要塞になってしまったイーグリードの乗艦である旗艦デスログマーに辿り着く。
しかしデスログマーはマン・ヒールズに追い詰められたのか、突如として発進してしまう。
「追うわよ!」
発進するデスログマーを前に、ミスティーハニーは逃がさない想いでマン・ヒールズの皆と共にデスログマーの上へと乗り上がった。
ゆっくりと前進するデスログマーの上で、マン・ヒールズは艦内に入り込んでデスログマーを停止させようとした。
「早く中に入って、イーグリードを探すわよ……!」
ミスティーハニーがマン・ヒールズに指示を出した、その時。
「その必要はない」
と、上空から声が聞こえてきた。
マン・ヒールズが見上げてみると、そこには探していたストーム・イーグリードの姿があった。
「……始めるか」
イーグリードはマン・ヒールズの目の前に着地すると、黙然としてしまう。
「イーグリード! どうしてあなたまで!?」
「……」
「答えて、イーグリード! あなたは、こんな事をする二次元人ではない筈よ」
「……許せ、マン・ヒールズ。お前達を……倒さねばならん!」
ミスティーハニーがイーグリードに問い掛けるものの、イーグリード本人は明確な返答を返さず、不意にマン・ヒールズへ攻撃してきた。
「ストームトルネード!」
強力な竜巻が横方面から放たれ、マン・ヒールズを襲う。
そんな突然に襲ってきたイーグリードに戸惑いながらも、マン・ヒールズの一人ハルカ・ヘップバーンがイーグリードに問い掛ける。
「イーグリード! 誇り高い英国紳士をモデルに生み出された、あなたまでも[[rb:異常者 > ヒール]]だというの……!?」
「……それは、否定すまい」
この返答を受けて、ハルカは力強い表情でイーグリードに返事した。
「ならば私たちは、あなたを倒さなくてはならない。[[rb:異常者 > ヒール]]ハンターとして!」
「……せめてもの罪滅ぼし、全力で相手しよう。来い! [[rb:異常者 > ヒール]]ハンター、マン・ヒールズ!」
イーグリードもまた、[[rb:異常者 > ヒール]]に成り下がってしまった理由から、贖罪の気持ちでマン・ヒールズと真剣勝負をする決意をする。
「来い!」
イーグリードからの開始の宣告を受けて、マン・ヒールズもイーグリード同様に戦意を示した。
本来は双方とも平和を望んでいる筈の二次元人であるにも関わらず、今こうして戦いを始めてしまう。この現状にマン・ヒールズは複雑な心境だった。
イーグリードは高速で空中を飛行してマン・ヒールズをかく乱させながら突撃。マン・ヒールズはこれを寸での所で回避しながら反撃の機会を窺う。
「今だ!」
イーグリードの動きを見切ったつもりの門脇将人が剣を振るうが、イーグリードは素早く方向転換してこの剣戟を回避してしまう。
更にイーグリードは高速移動を用いた分身を作り出し、マン・ヒールズを余計にかく乱させて彼女らの心に迷いを生じさせる。
「どうした? お前達の実力は、その程度か!?」
まるでマン・ヒールズを試すかのような言動を発するイーグリード。彼の言葉を受けてマン・ヒールズは俄然とやる気を引き起こす。
と、マン・ヒールズは高速で飛行するイーグリードの分身を剣戟でかき消し、更に武装しているアームパーツから発射される怪光線でイーグリードを攻撃。この怪光線はあのカメリーオが発していたのと同じ類の光線で、相手の目を眩さで目晦ましに使える光線だった。
飛行移動する際に欠かせない視力を光線で奪われ、一時的に動きを止めてしまうイーグリード。
しかしイーグリードは目が見えない状態でも反撃しようと、マン・ヒールズに向けて最大火力のストームトルネードを発射。デスログマーに飛び乗っているマン・ヒールズは危うく吹き飛ばされて旗艦から振り落とされてしまう所だった。
だが腰に力を入れて、踏ん張っては吹き飛ばされない様にしたマン・ヒールズは風が止んだ瞬間にイーグリードに踏み込み、鋭い一撃をイーグリードにお見舞いした。
「ぐはっ……!」
苦戦の末、どうにかイーグリードを突破したマン・ヒールズ。
と、イーグリードが遠隔操作していたデスログマーが停止して地上にゆっくりと不時着した。
マン・ヒールズは反乱軍の空中要塞が停止した結末に少し安堵感を覚えた。
すると其処に、一人の聖龍隊士が駆け付けてきた。
「ま、待ってくれーーーー!」
突然の来訪者である隊士にマン・ヒールズは目を向けた。
その隊士は先ほどマン・ヒールズが倒したばかりのイーグリードの許に駆け寄ると、必死でイーグリードに呼びかけた。
「隊長……イーグリード隊長!」
「お、お前……無事だったか……」
イーグリードの方も隊士の顔を見るなり驚く様子。
この様子から、駆け付けてきた隊士はイーグリードが隊長を務める第7空挺部隊に所属している隊士だという事が窺える。
その隊士が何ゆえ戦闘が終わったばかりの現場に駆け付けたのか、その真意を確かめる為にミスティーハニーが問い掛けた。
「ど、どういう事なの……? あなたは、一体……」
「隊長は……イーグリード隊長は、反乱軍に人質にされた我々空挺部隊の隊士の為に、反乱軍に寝返るしかなかったんです!」
「な、なんですって……!」
隊士の発言に、本郷唯たちマン・ヒールズの誰もが驚愕した。
その隊士から更に詳しい経緯を聞いてみると、メカルス率いる反乱軍に部下達を人質にされたイーグリードは当初メカルスと対立したが、直接対決で敗れてしまった。そして捕虜となった部下達の命を助けたければ反乱軍の戦力に加われと脅され、自分の意志とは裏腹に反乱軍に寝返り、メカルスの軍門に降ってしまったのだという。
そして捕えられていたこの隊士は、マン・ヒールズの進撃後に続投された部隊によって救出されて、真相を報告する為に駆け付けたという。
この話を聞いて、マン・ヒールズはあのカメリーオが話していた事を思い出した。中には人質をとられて仕方なく軍門に降っている者も少なくないと。
マン・ヒールズは今し方、自分達と戦い合ったイーグリードに駆け寄り、彼に問い掛ける。
「イーグリード! なんで真実を話してくれなかったの? 話してくれれば、力になれていたというのに……!」
「うっ……た、例え人質がいたとしても、私が反乱軍に寝返り……メカルスの軍門に降って、[[rb:異常者 > ヒール]]の一員として君らと戦ったのは事実……」
「そ、そうだけど……」
どんな理由があるにしろ、自分は[[rb:異常者 > ヒール]]の一員だったと語るイーグリードの言葉にジェラール・フェルナンデスたちマン・ヒールズは愕然としてしまう。
そんな場の空気が重くなる中、イーグリードは薄れゆく意識の中でマン・ヒールズに告げた。
「ま、マン・ヒールズ……贖罪の、過去の過ちを償う戦士よ……強くなれ、そしていつの日か平和な世を……導いて、く、れ…………」
そう言い残して、イーグリードは絶命した。
「た、隊長ーー……!」
イーグリードの部下だった隊士は、悲痛な叫びを上げる。
そして真相を聞いたマン・ヒールズは、望まない戦いの、対立の道へと引きずり出したメカルスのやり方。そして思わずも[[rb:異常者 > ヒール]]へ身を落としたイーグリードのやりきれない気持ちを察して心中を激しく痛めた。
「こんな戦い……終わらせる……!!」
戦火を広げる反乱軍との戦いを一刻も早く終わらせようと堅く決意するマン・ヒールズだった。
[スパーク・マンドリラー]
次にマン・ヒールズが向かったのは、アニメタウンの電力をほぼ全て供給している巨大発電所。
既に反乱軍により占拠された発電所に突入したマン・ヒールズは、多くの傭兵や兵器、そしてトラップを突破して最深部へと突き進む。
何でも、この巨大発電所を占拠したのは一人の獣人型二次元人の圧倒的戦力のみだという。
流石は発電所といった感じで、多くの兵器やトラップは電力を用いている物が多かった。
一行は激戦の末、巨大発電所最深部に辿り着いた。
マン・ヒールズが最深部の部屋に突入すると、そこは真っ暗闇。だが、電灯が点滅する中、天井で点滅する彩豊かなネオンが輝いていた。
そのネオンを全身の装具に飾っているのは、この巨大発電所を圧倒的戦闘力で占拠したマンドリル型二次元人、通称、豪速拳の雷王スパーク・マンドリラーであった。
拠点制圧は部下に任せ、自分はごろ寝を決め込んでいるという態勢でマン・ヒールズを待ち構えてたマンドリラーは天井のケーブルを伝ってぶら下がっていた。
「おっぱじめようかね?」
最深部の部屋、その天井に張り巡らされたケーブルを伝って床に降りるマンドリラー。
「……来ちまったか、マン・ヒールズ」
「マンドリラー、おとなしく投降して……」
そんなマンドリラーに投降を進めるミスティーハニーだが、マンドリラーの返事は予想通り残念なものだった。
「すまんが……歯向かうんなら潰すよ、マン・ヒールズ」
「完全に[[rb:異常者 > ヒール]]になってしまったの、マンドリラー!」
「……難しいことは分からん。ただ、メカルスは間違ってない気がするんだよ」
反乱を指揮する革命軍士総司令官メカルスは間違ってないと返答するマンドリラーの返事に釈然としないマン・ヒールズ。
すると彼女たちマン・ヒールズにマンドリラーは再び指摘した。
「……メカルス総司令官が、狂ってると思うかいマン・ヒールズ?」
「奴は正しい存在じゃない……[[rb:異常者 > ヒール]]よ!」
メカルスは正気ではないとハッキリ告げるマン・ヒールズに、マンドリラーは誰もが抱いている疑心をついた。
「なあ、マン・ヒールズ……メカルスが正しくて、お前達が間違っていると思ったことはないか……?」
「……」
マンドリラーの問い掛けに言葉を失うマン・ヒールズ。そんな彼女たちにマンドリラーは言った。
「いや、やっぱりやめよう。俺も、考えるのは苦手だ……答えは、戦ってみれば分かるのかもしれんな……」
全ての答は戦えば分かるかもしれないと告げたマンドリラーは、マン・ヒールズと戦闘を始めた。
「ブアァーーッ!」
獣の如く雄叫びを上げるマンドリラーは最初の攻撃として、腕に装着した武装をドリルに変形させてマン・ヒールズにそのドリルを向けて突撃した。
まずは先制攻撃と、マンドリラーは腕に装備している武具を拳に装着すると、その武具をドリルに変形させて突撃してきた。
「ウオオオーー!」
豪速のドリル突撃にマン・ヒールズは命辛々回避して難を逃れる。
マンドリラーは向かい側の壁にまで突進すると、ドリルからは激しい火花が散った。
この隙を逃さんとマン・ヒールズはマンドリラーの背後から全面攻撃。しかし屈強な肉体を誇るマンドリラーに生半可な攻撃は皆無だった。
するとマンドリラーは超人的な跳躍力で跳び上がり、再び天井に張り巡らされたケーブルを伝って、天井伝いに移動を開始。
そしてその巨体でマン・ヒールズの真上まで来ると、一気に落下してマン・ヒールズに体当たりを仕掛ける。
巨漢のマンドリラーの落下を回避したマン・ヒールズに、マンドリラーは自身の周辺に電撃を放電して周りのマン・ヒールズ隊士を痺れさせる。
「うわあああ!」「きゃああっ!」
卑怯番長やハルカ・ヘップバーンなどのマン・ヒールズ隊士が電撃で痺れる中、マンドリラーはそんな痺れて動けなくなるマン・ヒールズ隊士にドリル突撃を仕掛けた。
「オラオラオラオラオラオラッ」
高速で回転するドリルで仕掛けてくる豪速の拳での突撃に、マン・ヒールズ隊士はドリルの回転に巻き込まれながら弾き飛ばされてしまう。
「うっ……!」「みんな!」
ミスティーハニーが弾かれる仲間達を見て声をかけるが、そんなミスティーハニーにもマンドリラーは電撃の球を放出して攻撃。
だが、この電撃をミスティーハニーは剣で辛うじて弾き返して、我が身を防ぐ。
するとマンドリラーは剣で電撃の球を弾いたミスティーハニーに強力な物理攻撃を仕掛けようと、豪速のドリルを彼女に向かって打ち込んだ。
「オラッーー!」
しかし、この豪速のドリル攻撃もミスティーハニーは剣で防ごうと必死に抗戦。高速回転するドリルと剣がぶつかり合い、激しい火花が両者の目前で散り合う。
と、そこに。マンドリラーの死角から特攻を仕掛けようと、門脇正人や本郷唯が刀で斬りかかる。が、背後から接近する二人の気配を察し、マンドリラーは跳び上がって天井のケーブルに掴まって軽々と皆の真上を移動する。
攻撃を仕掛けても、上の天井へ回避してしまうマンドリラーの移動方法に悪戦苦闘するマン・ヒールズ。
するとそんな床上を移動するしかないマン・ヒールズに、マンドリラーは拳を振り上げて其処に電気エネルギーを貯めてからそれを一気に振り下ろして床上に強力な電気の波を流した。この攻撃にマン・ヒールズは、電気の波を回避しようと跳び上がって避けていく。が、中には避けきれず強力な電撃が体に流れてしまう者もいた。
それでもマン・ヒールズは諦めずにマンドリラーに向けて攻撃を続行。マンドリラーがマン・ヒールズに向かって跳び上がってからの伸し掛かり攻撃を仕掛ける中、マン・ヒールズは果敢に攻撃していく。
そんな激戦の中、戦いながらマンドリラーに弱点はないものかと思案にふけるミスティーハニー。
(どこか……マンドリラーに弱点は無いの?)
獣人型にして様々な特殊能力を使える二次元人には、何処かしら何らかの弱点がある筈。ミスティーハニーは考えた。
すると、その時。ブラック・ラヴァーズが仕掛けた氷の攻撃技に、マンドリラーが一瞬激しく動揺しながらも回避した瞬間をミスティーハニーは見逃さなかった。
「みんな! マンドリラーに氷系の技や武器を使って!」
ミスティーハニーからの指示に、マン・ヒールズは皆同意し、それを聞いたマンドリラーは少し焦った様子を窺わせた。
そしてブラック・ラヴァーズがマンドリラーに氷系の技を放つと、マンドリラーにそれが直撃。マンドリラーは物の見事に凍ってしまった。
だがマンドリラーは一瞬動きが停止しただけで、意図も簡単に氷を玉砕して活動を再開する。
しかし氷系の技が弱点だと見切ったマン・ヒールズは、温存させていた聖龍隊開発の氷系武器も多用してマンドリラーを総攻撃。
「うが……ッ!」
氷系の技を受けて、氷漬けになるマンドリラーであったが、何度も攻撃を受けて堪るかという一心で天井まで跳び上がって避難。
そして天井のケーブルを伝って移動すると、再び態勢を立て直して床へと着地し豪速のドリルをお見舞いしようと仕掛ける。
「悪いが……ここで死んでもらうよ」
「きゃあっ」
マンドリラーからの一言を聞いて、彼の目前に居るミヤビは悲鳴を上げる。
と、ミヤビの危機に門脇将人が腰に装備していた冷却式の手榴弾をマンドリラーの右腕に向けて投げた。
すると手榴弾は爆発、中に詰められていた液体窒素などの冷却材がマンドリラーの右腕に降りかかり、真っ白に凍らせてしまった。
「今だ!」
この好機を逃さんと、将人はマンドリラーの凍った右腕に斬りかかった。
するとドリルの武具を着けていたマンドリラーの右腕は、武具までも完全に凍り付いたからか簡単に切断されて、砕けるように切り離された。
「うおお……ッ!」
凍らされた右腕が簡単に切断されてしまい、マンドリラーは悶絶してしまう。
そして利き腕である右腕を切断されたマンドリラーに、ミスティーハニーたちマン・ヒールズは再び投降を進めた。
「マンドリラー、もういいでしょ。投降して……!」
同僚であったマンドリラーとこれ以上の戦闘は避けたい一心で嘆願するマン・ヒールズだったが、そんな彼女達にマンドリラーは言った。
「お、お前達の力は……こんなもんか……!?」
『!』
マンドリラーの力強い瞳に訴えられ、言葉を失くすマン・ヒールズ。
そんな意味深な発言を口にしたマンドリラーは、反対側のまだ無傷の左腕からも同様のドリルを展開させてマン・ヒールズに突撃してきた。
「マンドリラー……!」
未だ戦意を失わず、向かってくるマンドリラーの特攻にミスティーハニーたち剣戟を得意とするマン・ヒールズは動いた。
そして豪速のドリルで突撃してくるマンドリラーに、ミスティーハニーを筆頭とした剣を扱えるマン・ヒールズ隊士は一瞬でマンドリラーを斬り付けた。
勝負は一瞬で終わった。全身に無数の剣での切り傷を負ったマンドリラーは雄叫びに近い断末魔を上げた。
「うぎゃあああっ!」
そして斬り倒されたマンドリラーはその場に倒れると、爆発四散して消滅。
こうして辛くもマン・ヒールズは、またも自分と同じ二次元人を、仲間だった存在を倒して先へと進むのだった。
[アーマー・アルマージ]
次にマン・ヒールズが向かったのは、革命軍士メカルスが製造する兵器の原料が豊富に調達できる鉱山。反乱軍はこの鉱山を占拠していた。
土臭い坑道を下へ下へと突き進むマン・ヒールズに、地下道を掘り進む掘削機や反乱に加わっている多くの作業員の二次元人が向かってくる中、マン・ヒールズは心を鬼にして自分達と同じ二次元人を倒していく。
坑道を突き進むと、常備されていたトロッコにマン・ヒールズは乗車し、急速に動き出すトロッコの上から敵を攻撃しながら邁進していく。
しかしトロッコが予想以上の速度で進んでくれたお陰で、マン・ヒールズは予想以上の早さで鉱山最深部に到達した。
鉱山最深部に辿り着いたマン・ヒールズ。すると彼女らの目の前に一体の獣人型二次元人が地中から姿を現した。
それはアルマジロ型の獣人型二次元人、鋼鉄の甲弾闘士アーマー・アルマージであった。
元第8機甲部隊の隊長を務めていたアルマージは、鉄壁の防御力を誇る装甲を纏う武人肌の堅物。
そんなアルマージは最深部にまで到着したマン・ヒールズを前に、毅然とした態度で告げた。
「この鉱山を守備するよう命令を受けている……特にマン・ヒールズ、お前達が来たら倒すよう命令を受けている。悪いが、ここで消えてもらおう……」
「狂ってるメカルスの命令なんて……アルマージ、目を覚まして!」
「狂ってるメカルスの命令で、私たちと戦うの……!」
守備任務を任せられているアルマージの忠告に、ミスティーハニーと穴戸レナが訴えるものの、アルマージの意志は曲がらなかった。
「戦うのは自分の使命、軍人としての使命なのだ」
「それは[[rb:異常者 > ヒール]]の考えよ、アルマージ!」
「自分は命令を実行するのが[[rb:異常者 > ヒール]]だとは思わない。つまり我々は、どちらも間違ってはいないと言う事だ……」
戦場で戦い尽くすのが戦士として、軍人として筋が通っている事だとして道理を曲げないアルマージは、同時に自分たち双方はどちらも間違った行為はしてないとマン・ヒールズに伝えた。
そしてアルマージは手に装着している盾を回しながらマン・ヒールズに言い放った。
「これ以上は問答無用!」
そしてアルマージは苦悩に葛藤するマン・ヒールズへ攻撃を開始した。
アルマージへの攻撃は、非常に難しかった。アルマージが装着している全身の装甲は生半可な攻撃を全て撥ね返し、無効化してしまうからだ。
だがマン・ヒールズは果敢にアルマージに斬撃を打ち込んでいく。
「やるな!」
マン・ヒールズからの攻撃を全て受け止めて防ぐアルマージは称賛の声を掛ける。
更に装備している額の兜を開いて、前方に向けてレーザービームを発射。マン・ヒールズを退かせる。
マン・ヒールズが光線を回避し、その直後にアルマージに向けて攻撃を再開。
しかしアルマージは両手に携えている盾で防御して、マン・ヒールズの攻撃を全て難なく回避してしまう。
(ッ……! どうにか、アルマージの装甲を破壊しないと……)
ミスティーハニーはアルマージの装甲を破壊して、戦況を突破する策を練っていた。
そんな思考に耽っているミスティーハニーなどを尻目に、アルマージは丸まってからの高速移動ローリングアタックで部屋の周りを移動しながらマン・ヒールズに体当たりを仕掛ける。
鋼鉄以上の強度を誇る装甲を身に付けたアルマージの体当たり、ローリングアタックは驚異的な威力で、マン・ヒールズは直撃は免れたものの掠っただけでも手痛い痛手を負ってしまう。
マン・ヒールズは必死にローリングアタックのジグザクに跳ね回る動きを見切りながら、次の攻撃の機会を窺う。
そして動きを止めたアルマージにマン・ヒールズはすかさず総攻撃するが、アルマージは全ての攻撃を跳ね返すガーディングという防御技で身を護りながらエネルギーを溜める。
「これで……どうだ!」
そして溜めたエネルギーを全方向弾として拡散させて反撃。このアルマージの反撃に、マン・ヒールズは直撃してしまい困惑してしまう。
そして全方向弾を周囲に発射したアルマージは、再び部屋の周りを高速で移動するローリングアタックでマン・ヒールズを圧倒する。
ローリングアタック中のアルマージに全ての攻撃は無力化されてしまう現状に、ミスティーハニーは苦悩する。
と、激しいローリングアタックの最中、考え込んでいたミスティーハニーは鉱山の坑道内に巡らされた電力供給ケーブルを見て、一つの案を閃いた。
「そうだわ……!」
ミスティーハニーは電力供給ケーブルを切断して、切ったケーブルの片方を持ち上げる。
そして激しく室内を動き回っていたアルマージが動きを止めたその瞬間、ミスティーハニーはアルマージに向かって駆け出した。
「ふっ、ミスティーハニー……何かを閃いたみたいだな。だが、私の装甲は簡単には打ち破れないのは知っているだろ」
アルマージは直進して来るミスティーハニーの攻撃をまた防ごうと、盾で防御態勢に入った。
するとミスティーハニーは持っていた電力ケーブルをアルマージの盾に向けて突き出した瞬間、高圧電流がアルマージの体を襲う。
「ぐおおおおおっ!」
アルマージは感電してしまい、一時的に身動きが取れなくなってしまう。
すると、どうだろうか。アルマージの装甲はバラバラに分解してしまい、アルマージは無防備になってしまった。
「あ、アルマージの装甲が砕けたぞ!」
マン・ヒールズのジェラール・フェルナンデスが装甲が砕けた情景を目の当たりにすると、森あいが続けて叫んだ。
「アルマージの装甲に搭載されていた高性能で精密なセンサーが高圧電流に弱かったのよ!」
装甲に搭載されていた高性能かつ精密なセンサーが高圧電流に非常に弱かったのだと皆が気付くと、アルマージ本人が装甲を失った状態で
「ぐ、ぐふっ……み、ミスティーハニー……まさか短時間で私の装甲の弱点を見破るとは。流石は聖龍HEADキューティーハニーの妹だ……」
黒こげになりながらも、ミスティーハニーの機転に称賛の言葉を掛けるアルマージ。
だがアルマージの戦意は削がれていなかった。
「しかし、まだ私は任務を敢行できる!」
「アルマージ! 防御ができなくなった、あなたはもう存分に戦えない筈よ! お願いだから、もう無駄な争いはやめてちょうだい!」
アルマージに嘆願するミスティーハニーだが、アルマージは力強い面魂でマン・ヒールズに申した。
「私はまだ戦える! 軍人として、武人として……この身が果てるまで戦い続ける! それが私の宿願!」
「無益な戦いは間違っています……どうか、お願いですから戦いは……!」
ミヤビもアルマージに投降するよう図るが、アルマージの信念は堅かった。
「いいや! この際、ハッキリと言わせてもらおう……! 私達は戦う宿命にある武人である存在……武人としての誇りが君たちとの真剣勝負を望んでいる! ……此処まで私に喋らせたのだから、君たちも覚悟を決めて私と最後まで戦ってもらおうか」
「アルマージ……!」
アルマージの決意の堅さに、ミスティーハニーたちマン・ヒールズは戸惑いを拭い切れなかった。
そしてアルマージは無防備な状態のまま、部屋を駆け巡るローリングアタックを仕掛けてきた。
先ほどとは違い、装甲が外れたアルマージには如何なる攻撃も効く様になっている。
そんな状態でアルマージは方向を急転させてマン・ヒールズの方へと直進、特攻を仕掛けてきた。
無防備なアルマージへの攻撃を躊躇うマン・ヒールズ、そんな彼女らに特攻するアルマージ。双方の思想が激しく衝突する中、アルマージにマン・ヒールズは苦渋の決断をした。
アルマージの特攻を避けたマン・ヒールズは、避ける瞬間にアルマージに鋭い反撃を打ち込んだ。
特攻する瞬間に反撃を受けたアルマージは激しく悶絶した。
「ぐおおっ……!」
「アルマージ! しっかりして……」
倒れるアルマージにミスティーハニーたちマン・ヒールズが駆け寄り声を掛けるが、アルマージは既に急所に深手を負って虫の息だった。
「もう、満足だ……君らは、もう私をも超えた武人として……いいや……[[rb:異常者 > ヒール]]ハンターとして成長を遂げたようだ……」
「アルマージ……」
誇り高き武人として最後まで戦い抜き、相手の成長を心から称えてくれるアルマージの心意気に感激するミスティーハニーたち。
そして最後に、アルマージはマン・ヒールズとの戦いを心より感謝した。
「いい、戦いだった……!」
そうマン・ヒールズに伝えた直後、アルマージは息絶えた。
マン・ヒールズに最後まで武人の誇りを貫き通したアルマージ。
彼の気高き闘志を看取ったマン・ヒールズは、苦心の最中、次の戦いの場へと赴いた。
[[rb:異常者 > ヒール]]ハンターとして、聖龍隊士の一員として、戦うのが自分の宿命なのかと自問自答を繰り返しながら。
[ブーメル・クワンガー]
マン・ヒールズが向かったのは、都市のシンボルになる筈だった巨大タワー。
このタワーを制圧した二次元人によって、侵入者を迎え撃つ要塞に作り変えられてしまった。
この要塞と化したタワーをマン・ヒールズは一心不乱に上へ上へと上って行った。
全ては、このタワーの最上階、その制御室で自分達を待ち受けている獣人型二次元人の許へと向かう為だった。
最上階の制御室に到達したマン・ヒールズは、そこで天井から現れたと思いきや、目にも止まらぬ速さで床へと移動する二次元人と向き合った。
その人物は、クワガタ型二次元人にして、マン・ヒールズとは同僚であるあの第17精鋭部隊所属だった時空の斬鉄鬼ブーメル・クワンガーだった。
その素早い動きから、以前より[[rb:異常者 > ヒール]]達から恐れられていたクワンガーも、今や立場が逆転し、[[rb:異常者 > ヒール]]の側に。
するとその目にも止まらぬ素早い動きで天井から床上に移動したクワンガーはマン・ヒールズを前に自分の見解を述べた。
「ここまで上ってくるとは……やはり、あなた達は単なるB級ヒーローではなさそうですね」
「クワンガー……同僚だった、あなたと戦いたくないわ」
ミスティーハニー達からの切実な想いを前に、クワンガーは思慮深い笑みで答えた。
「戦いたくない、ですか……ますます興味深い。[[rb:異常者 > ヒール]]ハンターは、戦うために生きている二次元人では?」
「どうしても……戦わなくてはいけないの……!?」
今では平和を愛するエリルたちブラック・ラヴァーズの切なる顔を視認すると、クワンガーはハッキリと言い切った。
「もちろん。こんなに楽しい戦いは、滅多にあるものではない!」
二次元人の可能性を探る戦いだと説いたクワンガーは、マン・ヒールズと戦闘に突入した。
「あなた方のスペックを拝見させてもらいましょう」
次の瞬間、クワンガーは残像が見えるほどの高速移動でマン・ヒールズに向かって来た。
「迎え撃て!」
向かってくるクワンガーにミスティーハニーは迎撃せよと指示を出す。
しかし高速で移動するクワンガーはマン・ヒールズの攻撃を全て難なく回避してしまい、急接近してきた。
「散るのよッ」
再びミスティーハニーはマン・ヒールズに指示を出し、その通りにマン・ヒールズは部屋の各所へと散らばる。
この状況を把握したクワンガーは、頭部のハサミをブーメランの様に投げつけて攻撃してきた。
「避けられますか?」
鋭い指摘を問い掛けながら必殺技ブーメランカッターを放つクワンガー。すると、この攻撃を回避し切れなかったミヤビと穴戸レナがブーメランカッターに捕まって切り付けられる。
「ミヤビ! レナ!」
仲間の危機に、ミスティーハニーはハニーブーメランでクワンガーの攻撃に応戦。ミスティーハニーのハニーブーメランとクワンガーのブーメランカッターは空中で激突して、捕えられていたミヤビとレナは解放された。
このミスティーハニーを始めとするマン・ヒールズの機動力や戦闘力を目の当たりにしたクワンガーは、頭部のハサミを頭に戻して彼女達に語った。
「ここまで成長しているとは……やはりメカルス総司令官の仰るとおり、あなた方には可能性がありそうですね」
「可能性? 何を言ってるの……争い合って、どうなると言うの?」
同じ二次元人、いやハンターとして争い合う現実に異論を唱えるミスティーハニーに、クワンガーは丁寧に述べた。
「B級ハンターのあなた方が戦いの中で悩み……凄いスピードで成長している」
「それが私たちの可能性? そんなまさか……戦う以外の道も……」
ミスティーハニーが戦い以外の道もあるのではと説き返そうとするが、これにクワンガーはハッキリと告げた。
「いいえ! 私たちには戦う以外の可能性など無いのです!」
二次元人の可能性は戦い以外の道しかないと強く主張するクワンガーは、ミスティーハニーに急接近して頭部のハサミで彼女を捕まえると、そのまま天井に向けて放り投げた。
「ぐはっ」「ミスティーハニー!」
天井に叩き付けられるミスティーハニーを見上げて、ゼブラたちは愕然とする。
クワンガーはその細身に似合わず、怪力の持ち主なのだ。
そしてミスティーハニーをデッドリフトと呼ばれる必殺技で天井に投げ飛ばしたクワンガーは、再度マン・ヒールズに急接近してミスティーハニー同様に投げ飛ばそうと向かって来た。
「そう簡単には投げられねえぞ!」
怪力で投げ飛ばそうとするクワンガーの目前に、同じく力には自慢があるゼブラが立ちはだかった。
ゼブラはクワンガーのハサミを掴んで離さないでいると、クワンガーはゼブラに問い掛けた。
「ゼブラ、あなたも少しは二次元人の未来について真剣に考えてみたら如何ですか?」
「ウルセェ! 未来だとか何だとか、俺には関係ねぇ! 目の前の敵を倒さなきゃ、俺は満足できねえんだ……!」
「ほう、それがあなたが出した答え……随分と荒っぽい思想ですが、それもまた我々二次元人の未来を創造する意志の一つなのかもしれませんね」
「お前も……あのメカルス同様に俺たちの可能性を探る為、こんな下らない争いに加担した訳か……!」
「どちらが二次元人の未来のためとなるか、冷静な分析の結果判断したまでの事」
両者一歩も退かない力押しの鬩ぎ合いを削るゼブラとクワンガー。
すると其処に他のマン・ヒールズが動きを止めているクワンガーに攻撃を仕掛けようと接近。しかしクワンガーは死角から来るゼブラ以外の隊士の存在に逸早く気付いて上空へと退避。
そして皆の頭上に飛び上がったクワンガーは、頭上からブーメランカッターを投げ付けて下方のマン・ヒールズに攻撃。
マン・ヒールズは素早い動作で此方をかく乱するクワンガーの動きを見切ろうと、目を凝らして集中するが、それでもクワンガーの動きを見切るのは至難の業だった。
クワンガーは素早い動作で容赦ない攻撃を続けて、マン・ヒールズを徐々に徐々に追い詰めていく。
「私の攻撃、簡単には避けられませんよ」
時おり此方に挑発を掛けるかのように不敵な言葉をぶつけてくるクワンガー。
だが何度も攻撃を受けて堪るかと、マン・ヒールズは自分達に向けられてくるブーメランカッターを剣などの得物で弾き返して応戦する。
しかしクワンガーも負けじと、相手の動きを見切って細身の体でマン・ヒールズを頭部のハサミで捕まえて天井に投げ飛ばすなど善戦した。
と、クワンガーのデッドリフトを受けて天井に叩き付けられそうになる穴戸レナを、強力自慢のゼブラが空中で捕まえて助け出す。
ブーメランカッターとデッドリフト、そして目にも捉えられない俊敏な動きでマン・ヒールズを翻弄するブーメル・クワンガー。
そんな俊敏な動きで移動するクワンガーと向き合ったミスティーハニーは一騎打ちに持ち込んだ。
そしてクワンガーが俊敏な速さで駆け出すのと同時に、ミスティーハニーが剣を手に前へ踏み込んだその瞬間。
二人の位置が入れ替わった。お互い前へと踏み込み、ほぼ同時に相手に攻撃したクワンガーとミスティーハニーの結末は。
ミスティーハニーが膝を着き、呼吸を荒くする中、クワンガーにも変化が表れた。
「こ、この力は……!!」
クワンガーはミスティーハニーの、戦いの中で急成長した力に負けてその場に倒れた。
そして眩い光と共に消滅居した。
こうしてマン・ヒールズは辛くもまた同僚であったブーメル・クワンガーを撃破する事に成功した。
先の見えない戦いに疑問を抱きながらも、マン・ヒールズは次の任務へと赴くのだった。
[ランチャー・オクトパルド]
最後にマン・ヒールズが向かったのは、海上都市ジャッジ・ザ・シティを襲撃した二次元人の許だった。
海上都市ジャッジ・ザ・シティを襲うことで海路を遮断している二次元人の許に急ぎ、反乱を止めるべく向かう事となったのは、水中の戦闘に特化したブラック・ラヴァーズであった。
海路を遮断した二次元人は、海底を拠点に行動していた為に水中を自在に活動できるブラック・ラヴァーズに白羽の矢が立った。
「それじゃ後はお願いね……あなた達だけに任せるのは心苦しいけど」
「いいって事ですよ、ミスティーハニー! 海の事なら俺たち、ブラック・ラヴァーズに任せてください」
海中での任務を一任させてしまう経緯に心苦しさを感じるミスティーハニーたち仲間のマン・ヒールズに、ガイトたちブラック・ラヴァーズは快く承諾していた。
そしてガイト達は早速、海中に潜って最後の反乱軍指揮官に向かって進撃して行った。
海中には思った通り、多くの敵が潜んでおり、ブラック・ラヴァーズは各々の攻撃技で海中の敵を確固撃破していく。
しかし、そんな海中を前進するブラック・ラヴァ―ズの前にウミヘビ型の戦闘特化のメカニロイドが度々出現し、ブラック・ラヴァ―ズの行く手を阻む。
だがガイトや沙羅を筆頭にしたブラック・ラヴァーズはウミヘビ型のメカニロイドを苦戦の末、撃破して先へと急ぐ。
海底を進行する一行は、海底が完全に要塞化している現状に嘆いた。
そんな海底を突き進んでいると、ブラック・ラヴァーズの目の前に一体の獣人型二次元人が待ち構えているのが目に飛び込んだ。
その二次元人は、タコ型の獣人型二次元人である元第6艦隊所属の通称深海の武装将軍ランチャー・オクトパルドであった。
銃火器で全身を武装し、狙った獲物は決して逃さない、常に「手数の多さ」で多くの[[rb:異常者 > ヒール]]達を圧倒してきたオクトパルド。
そんなオクトパルドにブラック・ラヴァーズのシェシェとミミが訴えた。
「オクトパルド、馬鹿な真似はここまでにするのよ!」
「わたしの指揮官はメカルス総司令です。君たちの指図は受けませんよ、ブラック・ラヴァーズ」
「あなたのしている事は[[rb:異常者 > ヒール]]なのよ!」
「[[rb:異常者 > ヒール]]? わたしの芸術的作戦をそんな風に呼んでもらいたくはないですね!」
作戦や戦闘に美しさを求め、美しく戦う事に至上の喜びを感じるオクトパルドは、そのままブラック・ラヴァーズと死闘を展開する。
「始めますよ?」
するとオクトパルドは両肩に装備した発射口から小型魚雷を発射。多くの小型魚雷がブラック・ラヴァーズを襲うが、誘導性能が低い為に容易く避けられた。
(まずは、あの手数の多い戦術をどうにかしねえと……!)
ガイトは手数の多いオクトパルドの戦術を何とか出来ないかと思考した。
しかしオクトパルドは、小型魚雷を全て撃ち落とされた事に慌てる事もなく、お次は触手から発射する4つの中型魚雷を放った。
若干の誘導性能で細かく軌道修正しながらブラック・ラヴァーズに向かってくるピラニア型の魚雷。
ブラック・ラヴァーズは弾速が非常に速いこのピラニア魚雷を何とか撃ち落としたり上手く誘導して回避していくが、それでもピラニア魚雷は命中してしまう。
「きゃっ」
あららやレディー・バットにピラニア魚雷が命中し、手酷く痛め付けられるブラック・ラヴァーズ。
「オクトパルド、どうしてこんな事を……」
この戦況に沙羅が再びオクトパルドに反乱への加入を問い掛けると、オクトパルドは己の真意を説き明かした。
「わたしは水中戦闘のアーティストですよ、ブラック・ラヴァーズ……しかし長らく、そのことは誰にも評価されなかった」
「メカルスが、それを認めたと?」
「そのとおり。わたしたち二次元人が正しく評価される世界を作るために……この戦いは非常に意味があるのです!」
沙羅たちブラック・ラヴァーズに真意を説き明かしたオクトパルドは、更にブラック・ラヴァーズを追い詰めようと仕掛ける。
「芸術的な力、見せてあげますよ」
するとオクトパルドは体を回転させながら渦を起こして、ブラック・ラヴァーズを引き寄せようとする。
「う、うわっ」
オクトパルドが起こした渦に引き寄せられてしまうマリア。
すると引き寄せたマリアを触手で捕まえたると、オクトパルドはマリアの体力を吸収し始めた。
オクトパルドの必殺技エネルギードレインを受けて、体力を失っていくマリア。
と、そこにエリルがオクトパルドに攻撃を撃ち込んで、オクトパルドのエネルギードレインを中断させる。
「ふふふ……わたしの攻撃手段は、まだまだ残っていますよ」
不敵な笑みを浮かべるオクトパルドは、再び弾速の速い誘導性能抜群のピラニア魚雷を発射してブラック・ラヴァーズを困惑させる。
するとブラック・ラヴァーズが困惑している最中、再びエネルギードレインを仕掛けようと体を回転させて渦を発生させる。
「そう思い通りにさせるか!」
ガイトと沙羅の二人がオクトパルドに攻撃を仕掛けていくが、発生中の渦潮は如何なる攻撃をも跳ね返してしまい渦の中にいるオクトパルドに攻撃を当てる事は叶わなかった。
しかし今度の渦潮には、必死で呑み込まれない様に泳いでいた為、オクトパルドの渦には引き込まれずに済んだ。
回転して渦を発生させる事で相手を引き寄せようとしていたオクトパルドは回転を止め、再び両肩からは小型魚雷を、触手からピラニア魚雷を同時発射してブラック・ラヴァーズを襲撃する。
するとガイトは迫ってくる魚雷の大群に突っ込み、わざと直撃を喰らった。
「ガイト!」
直撃するガイトは爆発で生じた泡の中に呑み込まれ、それを見た沙羅たちは愕然とする。
泡の中に姿を消したガイトを見上げるオクトパルド。と、オクトパルドが見上げてたその時。
水泡の中からガイトが深手を負いながらも、海底のオクトパルドに向かって斬りかかった。魚雷に突っ込んだのは、敢えて水泡を発生させてその泡でオクトパルドの目を欺く狙いだった。
そしてオクトパルドに斬りかかるガイトは、オクトパルドの6本ある触手のうち4本を斬り落とす事に成功した。
「わっ、わわわ……! わたしの触手を、よくも……!」
4本の触手を切断されたオクトパルドは動揺しながらもスグに態勢を立て直してガイトに向けてピラニア魚雷を発射した。
ガイトはエネルギー弾を発射して、自分に向かって発射されたピラニア魚雷を全て撃ち落とした。
4本の触手を失い、手数を減らされたオクトパルド。そして傷を負いながらもオクトパルドと対峙するブラック・ラヴァーズ。
すると其処にオクトパルドの支配下にあるウミヘビ型のメカニロイドが接近し、ブラック・ラヴァーズを背後から襲いにかかる。
「! ぐふふ、わたしの芸術的戦術を見せて差し上げますよ」
そう不敵にオクトパルドが語ったのを目前としたブラック・ラヴァーズは、背後から接近してくるメカニロイドの存在に気付く。
するとメカニロイドの存在に気付いたブラック・ラヴァーズにオクトパルドはピラニア魚雷を発射して迎撃。
ブラック・ラヴァーズは前方と後方に分かれて自分達に向かってくる魚雷とメカニロイドに攻撃を仕掛けた。
前方から放たれる魚雷は全て撃ち落とし、後方から迫るメカニロイドにはエリルが頭部に捕まり、エネルギー弾をメカニロイドの頭部に放つ。
エリルのエネルギー弾はウミヘビ型のメカニロイドの頭部を貫通し、そのまま海底へと落下していく。その落下先にはあのオクトパルドの姿が。
「!!」
目前に迫るメカニロイドに気付くオクトパルドだが、時すでに遅くオクトパルドはメカニロイドの下敷きとなってメカニロイドの爆発に呑み込まれてしまう。
メカニロイドの落下に巻き込まれたオクトパルド。と、そこにブラック・ラヴァーズが集中砲撃を仕掛け、オクトパルドにトドメを刺す。
「芸術は、爆発なのです……!」
集中砲火を受けて、爆死するオクトパルドは最後まで自分の戦術を芸術と評しながら最後を飾った。
こうして各地で蜂起された反乱は全て片づけられた。
8カ所の反乱蜂起を無事に収めたマン・ヒールズ。
すると彼女達に通信士から連絡が入る。
「通信入ります……総長です!」
それは聖龍隊総長小田原修司からの通信だった。彼との通信はスグにマン・ヒールズに繋げられた。
「マン・ヒールズ、手短に話す……メカルスの基地を発見した。座標データを送る……」
「総長、場所を確認しました。すぐに其方に向かいます……!」
「ああ、だが思った以上に守りが堅い……敵戦力を分散させるため、お互い別ルートで侵入だ」
小田原修司からの連絡を受けて、マン・ヒールズはすぐさま革命軍士総司令官メカルスが本腰を据える居城へと出撃した。
[突入! メカルスパレス]
メカルスの居城、メカルスパレスに進攻するマン・ヒールズ。
すると其処に再度、通信士からの連絡が入った。
「マン・ヒールズ! 大変です、先陣を切って突入した特攻決死隊と連絡が途切れてしまいました」
「ウェルズさんと!?」
自分たちマン・ヒールズの良き理解者であるウェルズが率いる特攻決死隊と連絡が途切れた事態に焦燥の顔を浮かべるミスティーハニー。
「はい、皆さんは至急、決死隊と最後に連絡がとれた地点に急行してください!」
『了解!』
通信士から連絡を受けて、マン・ヒールズは決死隊が最後に連絡をとった地点へと急行した。
決死隊が連絡を途切れさせた地点、そこはメカルスパレス目前の荒野だった。
海を渡り、居城がある島へと上陸したマン・ヒールズは決死隊の許へと急行する。
その道中、彼女らの目に飛び込んできたのは無数の二次元人の死体だった。
更に進んでいくと、その死体の中には決死隊と思われる聖龍隊士の屍も目撃された。
懸命にウェルズや知人達の姿を探し回るマン・ヒールズ。すると彼女らの前に生き残っている反乱軍の傭兵が攻撃してきた。
マン・ヒールズは反乱軍の残党を排除しながら前進、ウェルズの姿を探し回る。
すると、マン・ヒールズの視界に見覚えのある顔が飛び込んできた。
「! ウェルズさん!」
放棄された戦車に寄りかかる様に力尽きていたウェルズを見て、ミスティーハニーが叫んだ。
そして皆は急いでウェルズの許に駆け寄ると、必死に声を掛けた。
「ウェルズさん、ウェルズさん、しっかり!」
「うぅ……お、お前さん達か……へへ、悪いな。先陣は今度こそ、俺たち決死隊が務めさせてもらったぜ……」
ミスティーハニーの呼び掛けに苦笑しながら返すウェルズの負けん気な台詞を聞いて、ガイトも語り掛ける。
「ウェルズ、そんなに無理すんなよ。スグに治療を受けさせてやるからよ……」
「へ、へへ……そんな暇はないぜ、マン・ヒールズ……メカルスの本拠地は、もう、すぐ其処だ……あの日の借りを返す時だぜ。アニメタウンを……俺たちの故郷を襲った報いを、今こそ……!」
「でもウェルズ! 君たち決死隊を……重傷を負った仲間を見捨てる事はできないよ!」
苦し紛れの台詞を呟くウェルズにデューイが訴えるが、ウェルズはマン・ヒールズを後押しするかのように語り掛けた。
「へへ、俺たち決死隊は、これぐらいの傷なんて……どうって事ないさ。それよりもメカルスを……俺達の敵を、一刻も早く……!」
「ウェルズさん……」
ウェルズからの言葉を受けて、ミスティーハニーたちマン・ヒールズは思慮に打ちひしがれる。
するとウェルズは、自分の懐から愛用のタバコを取り出そうと手を伸ばすが、震える手から煙草が零れてしまう。
そんな煙草をミスティーハニーは拾い上げ、ウェルズの口に咥えさせると火をつけて煙草をふかさせてあげた。
「へ、へへ……美人につけてもらった煙草は旨い、ぜ……」
そう言い残すと、ウェルズは力尽きて気を失ってしまった。
気を失ってしまったウェルズをその場に優しく寝かせてあげたミスティーハニーは、眠りに就くウェルズに言葉を掛けた。
「ウェルズさん、私達も必ず生きて帰ります。だからあなたも、どうか無事に生きて……!」
ウェルズに互いの生還を約束したミスティーハニーは、マン・ヒールズを束ねてメカルスが潜んでいる居城メカルスパレス内へと進攻した。
その道中、メカルスパレス内に潜入するには水中を進まなければならない事態に発展したマン・ヒールズは、例の手塚真氏から託されたアーマーを聖龍隊本部でパワーアップさせて、水中でも呼吸ができる様に改良してもらっていた為、水中からの進軍が可能となっていた。
そんな水中からの進軍を遂行していると、マン・ヒールズの目の前に信じられない姿が出没した。
「オクトパルド!?」
目の前に現れたのは、先だってブラック・ラヴァーズによって倒された筈のタコ型二次元人ランチャー・オクトパルドだった。
しかし現れたオクトパルドは様子がおかしかった。
「私、は、ランチャーオクトパルド。ここで、侵入者を、排除するよう、命令されています」
「こいつは……クローンロイド!」
門脇将人が叫んだクローンロイド。それは二次元人の肉体と特殊能力をコピーする意志のないアンドロイド。メカルス率いる反乱軍は、このクローンロイドを多用していたのだ。
「メカルスめ……オクトパルドのボディと能力だけを再生したな……!」
ガイトが口元を歪ませている最中も、オクトパルドのクローンロイドは植え付けられたプログラム通りに侵入者を排除しようと行動を起こした。
「排除するよう、命令されています」
そしてオクトパルドのクローンロイドはマン・ヒールズに襲い掛かった。
「逝きなさい……!」
だが以前のマン・ヒールズでは無かった。彼女たちは聖龍隊の科学班の努力によって、手塚真氏から託されたアーマーを改良してもらい、今では様々な特殊能力を武器として使用できる特殊武器が使えていた。
そしてランチャー・オクトパルドの手数を減らす為に、ガイトはあのクワンガーの必殺技であるブーメランカッターを発射。その隣でミスティーハニーが水中でも息が出来る様になったアーマーの状態でハニーブーメランを放った。
二人のブーメランがクローンロイドのオクトパルドに直撃して、彼の触手を4本断ち切った。
そして触手を失い、攻撃の手数が激減したオクトパルドのクローンロイドにマン・ヒールズは総攻撃。
たちどころに瞬殺してみせた。
この攻撃力の上昇に、マン・ヒールズは改めて手塚真氏から受け継がれたアーマーに感謝した。
それからもマン・ヒールズは、迫りくるクローンロイドを返り討ちにしてメカルスパレスに進攻した。
[ヴーイ]
迎え撃ってくるクローンロイドの襲撃をパワーアップしたアーマーで迎撃していくマン・ヒールズ。
そして今まで倒した8体の獣人型二次元人のクローンロイドを倒したマン・ヒールズがメカルスパレスの最深部に辿り着こうとしていた時。
彼女たちの進攻先に一人の人物が倒れているのが目に付いた。
「……総長!?」
それは他でもない聖龍隊総長の小田原修司であった。修司は前のめりに倒れ込んで、ピクリとも動かなかった。
ミスティーハニーたちマン・ヒールズは急いで修司の許に駆け寄ろうとする。が、その時。
「うわっ!」
前進する先頭のミスティーハニーを、頭上から戦闘特化型のライドアーマーに搭乗したヴーイが出現し、ライドアーマーで捕まえてしまったのだ。
「ククク……修司といい貴様らといい……メカルスばかりを見ているから足下をすくわれる」
「ヴーイ! ……あなたっ!」
不敵な笑みを零しながらライドアーマーでミスティーハニーを捕えるヴーイに、ミスティーハニーは痛みに悶えながら問い返す。
するとヴーイは何を思ったか、突如として捕えていたミスティーハニーを前方に放り投げ、それと同時にライドアーマーでうつ伏せの修司を踏み付けて押さえ込む。
「ふん……ここで貴様らを潰すのもメカルスの計画かと思うと、気に食わんが……」
ヴーイはライドアーマーの足で修司を押さえ付けると、そんな修司を気に掛けるマン・ヒールズに言った。
「お前ら! 緊急用に常備されている拳銃を持っているな。それを取り出せ!」
ヴーイは聖龍隊から支給された拳銃を取り出すようマン・ヒールズに言う。これにマン・ヒールズは戸惑いながらも押さえ付けられている修司の安否を保持する為に言う事を聞いた。
そして拳銃を懐から各自取り出したマン・ヒールズに、ヴーイは信じられない要求を告げた。
「ククク、そうだ、それでいい……この死にかけた小田原修司を助けたくば、その拳銃を己の頭に突き当てて引き金を引け」
『!』ヴーイの要求にマン・ヒールズは愕然とした。
ヴーイはマン・ヒールズに自殺するよう要求したのだ。
「な、何ですって……!」
衝撃を受けるミスティーハニーたち。
するとヴーイが操作するライドアーマーに踏み付けされている修司が、マン・ヒールズに言った。
「ま、マン・ヒールズ……! 俺の事はいい……早くヴーイを倒せ……!」
「チッ、死にぞこないが」
ヴーイはライドアーマーを操作して、修司を踏み付ける足の力を更に強めた。
「ッ……!」「総長!」
踏み付けられる力を強められても堪える修司だが、彼の苦痛に歪む表情を見てミスティーハニーが声を上げる。
「さあっ、お前達は三次元人を護る正義の味方だろ? さっさと自分で自分の頭を撃ち抜け!」
絶えずマン・ヒールズに自殺を要求するヴーイ。彼の悪態にマン・ヒールズは皆、怒りを覚えるが、どうする事もできなかった。
と、苦境に追い込まれるマン・ヒールズを見て、ヴーイは要求を突然変えた。
「いや、やっぱやめよう……頭でなく、口ん中に銃口を突っ込んで引き金を引け。ヒヒッ、その方が肉片の散り方がよっぽど見応えがある」
「ッ……!」
頭部ではなく口内に銃弾を撃ち込んで自殺しろと告げるヴーイの要求に再び愕然とするマン・ヒールズ。
「ヴーイ……! あなたと言う人は……!」
怒りでヴーイを睨み付けるミスティーハニーの言葉を受けて、ヴーイはマン・ヒールズに平然と言った。
「ククク、マン・ヒールズ……面白いと思わないか? たった一発の弾丸で世界を壊せると思うと、ゾクゾクしないか?」
破壊狂らしい言葉を吐いて、マン・ヒールズに苦渋の思いを噛み締めさせるヴーイ。
「あなた……狂ってる!」
ミスティーハニーがヴーイを指摘するが、一方のヴーイは不敵に嘲笑しながら吐き散らした。
「ああ、俺は狂ってるよ……そしてお前達と同じ、二次元人だ!」
自分は狂っているが同時にマン・ヒールズと同じ存在だと主張するヴーイの発言に、マン・ヒールズは何も言い返せなかった。
そんなヴーイの要求を、修司を救う為に聞くしかできないマン・ヒールズは悔しさでいっぱいだった。
「ククク、ほら、なに泣いていやがるんだ! テメェらも所詮、俺と同じなんだよ!」
自殺しなければ修司を助けられない、自分達もヴーイと同じだと指摘されて、銃口を口に突っ込むエリルは悔し涙を流していた。
そんな悔し涙を流すエリルの姿を目視した小田原修司は、いくら愛情を感じない障害持ちであっても、自分を慕ってくれるエリルやマン・ヒールズの面々が苦境に追い立てられる現状を目の当たりにして、遂に堪忍袋の緒が切れた。
「もう頭に来たぞ……!」
修司は着用していた防護アーマーを脱ぎ捨て、それによって生じた隙間から抜け出すと素早くライドアーマーの背後に回ってしがみ付いた。
「ぬおっ!? くっ、修司! この死にぞこないが……!」
ライドアーマーの背後に飛びついた修司を振り解こうと、ヴーイは振り払う様に操作する。
「そ、総長!?」
ライドアーマーにしがみ付く修司を前に、ミスティーハニーたちは愕然とする。
そんなライドアーマーにしがみ付く修司は、マン・ヒールズに言い放った。
「マン・ヒールズ! お前達にしてやれるのは、ここまでだ!」
次の瞬間、修司はヴーイが搭乗するライドアーマーの給油バルブを素早く開けて、その中に安全ピンを外した手榴弾を放り込んだ。
「やめろーーッ!」
ヴーイが叫び上げる中、手榴弾を放り込まれた給油タンクからライドアーマーは大爆発。ヴーイは寸前で離脱したが、修司はライドアーマーの爆発に吹き飛ばされてしまう。
「総長! 総隊長ーーッ!」
爆発に吹き飛ばされる修司を目撃してミスティーハニーは叫んだ。
そしてライドアーマーを失ったヴーイは武器を装備した状態でマン・ヒールズと対峙した。
「行くぜ、マン・ヒールズ!」
戦闘経験が豊富なヴーイは、多彩な銃火器でマン・ヒールズと応戦。
しかしマン・ヒールズも今まで溜めていた憤りを解放するかのようにヴーイと戦闘を開始した。
マン・ヒールズとヴーイ、双方は互いの出せる戦術を全て出し切って激しい攻防を展開。
そんな激しい接戦の中、ミスティーハニーは今までヴーイに対して思っていた疑問をぶつけてみた。
「ヴーイ、あなたは……メカルスの仲間ではないの……!?」
するとヴーイは機関銃を連射しながら返答した。
「仲間……? そんなもの俺にはない……今も、昔もな……!」
自分には仲間など存在しない。そう告げるヴーイは次の瞬間、マン・ヒールズに言い放つ。
「唯一、確かなのはマン・ヒールズ……お前らが俺の敵だって事だ!」
マン・ヒールズや修司も思っていた通り、ヴーイも此方を敵だと認識していた事が判明した。
マン・ヒールズとヴーイの激戦は長々と続いた。
今まで蓄積してきた経験値から多彩な攻撃が可能となったマン・ヒールズ。それに対してヴーイも多彩な銃火器で応戦するが、戦闘経験ではヴーイの方が少し勝っていた。
その少し勝っている経験値から、戦況は次第にヴーイが有利に立ち始めていた。
「喰らいな!」「きゃあ!」
強力な砲撃でブラック・ラヴァーズの大半を吹き飛ばすヴーイ。
屈強な戦士も混じっているマン・ヒールズに、ヴーイは圧倒していた。
そんな有利に立っているヴーイに、ミスティーハニーは立ち回った。
「ヴーイ、メカルス同様にあなたも許せない!」
「ククク、何を言い出すかと思えば。俺を許さない? 俺と同じく許されざる者である自分達はどうだ!」
ミスティーハニーとヴーイは、互いに一定の距離を取って接戦した。
そんな自分と接戦するミスティーハニーに、ヴーイは動揺を呼び起こそうと彼女に言葉を掛けた。
「ミスティーハニー! 貴様らも所詮、俺と同じで此処まで来る間に多くの同胞を……同じ二次元人を大量に殺めてきた事実は変わらねえだろう!」
ヴーイから鋭い指摘を受けたミスティーハニーの脳裏に、今まで倒してきたペンギーゴやイーグリード達の姿が過ぎった。
「ち、違う! 私達は……!」
と、弁論しようとしたミスティーハニーが目の前のヴーイを攻撃しようとした瞬間、既にヴーイの姿は目前には居なかった。実はヴーイはこの時、素早くミスティーハニーの背後に回っていた。
「その甘さが、命取りなんだよ……!」「……!」
次の瞬間、ヴーイは至近距離で銃火器を発射してミスティーハニーを攻撃した。
遂にヴーイの多彩な銃火器によって、マン・ヒールズは全滅寸前に追い込まれてしまった。
満身創痍で倒れていくミスティーハニーたち。そんな彼女達をヴーイは嘲りながら歩み寄る。
「マン・ヒールズ。お前達は確かに強くなった……だが、死んでしまっては世界を変える事はできんぞ」
そう不敵に告げたヴーイは、傷つき倒れたマン・ヒールズを蹴り飛ばすなどの暴力を振るい始めた。
ヴーイに足蹴にされて悶絶するマン・ヒールズたち。そんな彼らを甚振りながらヴーイは吐き散らす。
「どうしたマン・ヒールズ! お前達の真の力って奴を見せてみろよ!」
そして期の赴くままにマン・ヒールズを甚振ったヴーイは、彼らにトドメを刺そうと武装している機関銃の銃口を向けた。
「所詮マン・ヒールズはマン・ヒールズだ。終わらせてやる……!」
と、ヴーイは肩に装備している機関銃の銃口を、床に横たわるマン・ヒールズに向けてトドメを刺そうとした。その瞬間。
なんとヴーイの足元に、先ほどヴーイのライドアーマーと共に自爆した小田原修司が重傷を負いながらもしがみ付いていたのだ。
「世界を変えるだと! 頭の狂った[[rb:異常者 > ヒール]]の考える事じゃないだろ!」
「くっ、放せ……!」
自分の足にしがみ付く修司を振り解こうと、修司を足蹴にするヴーイ。
すると修司は次の瞬間「ミスティーハニー、今だ打て!」と声を発した。
ヴーイが「何!?」と振り向いてみると、その視線の先ではミスティーハニーが腕のブレスレットに高濃度のエネルギーを溜めているのが目に飛び込んできた。
「まさか……! 気付かれないよう、チャージしていたのか!」
ヴーイがミスティーハニーの不意打ちに気付いたが、既に彼女のエネルギー弾は最大値まで貯蓄され、ヴーイに向けられ発射された。
ミスティーハニー渾身の不意打ち攻撃に、ヴーイは吹き飛ばされてしまう。
「マン・ヒールズ、如きにィ!」
エネルギー弾に吹き飛ばされたヴーイは戦闘不能となり、力尽きた。
そして苦戦の末に、どうにかヴーイを倒したマン・ヒールズは急ぎ修司の側へと駆け寄った。
「総長! しっかりしてください、総長!」
「マン、ヒールズ……いつも、お前たちに……油断するなと……言っておきながら……俺自身、このザマとは……!」
「もう喋らないで、総長……いいえ、修司。すぐに治療を……」
ミスティーハニーは修司をスグに外に連れ出して治療を受けさせようとするが、修司はこれを拒否した。
「く……そんな……ヒマは……ないぜ、マン・ヒールズ……メカルスは、もうすぐそこだ……!」
「修司……」「修司さん……」
そんなメカルス打倒に燃える修司の信念を目の当たりにして、ゼブラやエリルは言葉を失くす。
すると修司は震える腕で、腰に携えている日本刀を差し出すと言った。
「み、ミスティーハニー……俺の聖龍剣を持って行ってくれ……これで、メカルスを……忌まわしき、俺のコピーを……!」
修司はメカルスを倒す意志と共に、一時ばかし自分が愛用してる日本刀、聖龍使いの頃から使っている聖龍剣をミスティーハニーに託した。
「だ、だけど……総長を、修司くんを放ってはおけないわ」
「そ、そうだよ! このままじゃ、このままじゃ……修司さん死んじゃう!」
悲痛な表情で修司を放置できないと訴えるミスティーハニーとエリルの言葉を聞いた修司は、次の瞬間マン・ヒールズに所持していた拳銃を向けて怒号を放った。
「早く行け! でないと、全員命令無視でこの場で射殺するぞ!」
「し、修司くん……!」
修司の力強い意志と信念を前に、ミスティーハニーたちは愕然とした。
そして最後に修司は、振り上げた拳銃を静かに降ろしながらマン・ヒールズに言い伝えた。
「さあ……行け……[[rb:異常者 > ヒール]]ハンター、マン・ヒールズ……俺の、手塚先生たちが信じた、希望……!」
障害者ゆえに、他人からの愛情はもとい信頼も築きにくい修司であったが、多くの漫画家たちが生み出し、信じてきた二次元人と言う名の希望だけは信じられた。
そんな二次元人に、自分の意志を託した修司は静かに瞼を閉じた。
深い眠りに就く修司を見て、ミスティーハニーは優しく修司を寝かしつけてあげると、彼にこう言った。
「どうぞ、ゆっくり休んでください総長。ですけど、あなたを必要としている二次元人がまだ多くいる事を忘れないで。どうか死なないで……」
そう修司に言い残すと、マン・ヒールズは遂に最後の敵メカルスへと進攻するのであった。
そしてマン・ヒールズ一行が修司から聖龍剣を託され、大敵メカルスの許へと急行していた間。
「……修司……修司……修司!」
暗闇の如き意識の中、自分の名を呼び続ける聞き覚えのある声の数々に修司の意識は覚醒した。
「修司……修司!」
修司が目覚めてみると、目の前には相棒のメタルバードやミラーガールの姿が飛び込んできた。
「お、お前ら……」
今だ霞む意識の中、仲間の存在に気付いた修司は重体の状態で起き上がると、彼の視界には自分と同じ聖龍HEADであるセーラー戦士/キューティーハニー/ナースエンジェル/木之元桜/コレクターズ/魔法騎士/最終兵器ちせ達の姿が映った。
「お前たち、なんで此処に……?」
修司がHEADに問い掛けると、セーラープルートが訳を話した。
「マン・ヒールズを監視する飛行型カメラで、あなたの窮地を知って、国連から緊急出動するよう指示が下ったから助けに来たのよ」
「な、なるほど……俺なんかの為に、お前らが駆り出されたって訳か。はは、おかしな話だぜ……」
セーラープルートの話を聞いて微笑を浮かべる修司の台詞を聞いて、ウォーターフェアリーが話し掛ける。
「そんなこと言わないで。みんな修司さんの事が心配で、駆け付けたんだから……」
その言葉を聞いて、修司はハッと思い出した。
「そ、そうだ……! マン・ヒールズ……あいつらの許に急がねえと……! メカルスは強敵だ、増援として駆け付けねえと……」
「その前に修司さんの応急処置が先です」
そう言うとナースエンジェルは、修司の負傷した箇所を包帯で撒いて応急処置を施した。修司の闇の能力で、彼女の治癒能力は無力化されてしまうので基本的な治療しか施せないのが現状なのだ。
ナースエンジェルが修司の応急処置を施している一方、ミラーガールはマン・ヒールズとの戦闘の末に打ち倒されたヴーイの前に立ち尽くして、彼を悲哀な眼差しで見詰めていた。
「ミラー、ガール……」
ヴーイの方も、修司同様にまだ意識があり、霞んでいく意識の中でミラーガールに問うた。
「マン・ヒールズと戦ってみたが……結局、俺には解らなかった。なぜアイツらなんだ……あいつ等に、どんな力があるというんだ……!」
このヴーイの問い掛けに、ミラーガールは哀愁の眼差しでヴーイに訊ねた。
「ヴーイ、どうしてあなたはこんな事を仕出かしたの? 何が、あなたを其処まで追い詰めたの?」
この訊き返しにヴーイは微笑しながら答えた。
「どうするつもりだったかと? フフ、フハハ……さあな、今となっては俺にも分からん。クッハハハ……」
微笑するヴーイに、他の聖龍HEADも歩み寄る中、ヴーイは更に語った。
「世界がどうなろうと、俺の知ったことではない……マン・ヒールズを倒し、俺の存在が認められれば良かったのだ……」
「ヴーイ……」
ミラーガールがそうヴーイの名を呟くと、ヴーイも己の名を訴えかけてきた。
「……そう、俺の名はヴーイ……お、おれ……おれ……俺は…………」
そう呟いたのを最後に、ヴーイは誰からも認められた聖龍HEADに手を差し向けたまま力尽きた。
破壊に餓えたハンターヴーイ。
彼もまた、己の存在を、実力を評価され、認めてもらいたかったのかもしれない。
[メカルス]
その頃のマン・ヒールズは。
メカルスが待ち受けているであろう居城の最深部へと続く赤い絨毯が敷かれた長い廊下を突き進んでいた。
姿は捉えられなくとも、メカルスが発する禍々しい狂気や思想を感じられたマン・ヒールズ。
そして最深部の機械仕掛けの、それも多くのモニター画面が設置された部屋に突入したマン・ヒールズの前には、予想通りメカルスがその姿を晒していた。
何故かメカルスは、ミサイル発射基地で一時的に覚醒したマン・ヒールズの無我夢中の掴み付きで外部の塗装などが剥がれて、機械の部分が垣間見える状態でマン・ヒールズを待ち受けていた。
「……」
メカルスと正面から向き合い、睨み付けるマン・ヒールズ。そんな一行を前にし、メカルスは余裕を感じさせながらマン・ヒールズに言った。
「ほう……いい目をするようになった。迷いがない!」
「メカルス、あなたを許さない……」
自分達を欺き、アニメタウンを爆撃し、更には多くの二次元人達を戦いの渦中に巻き込んだメカルスを決して許さない意志を見せるミスティーハニーたち。
そんな力強い目付きで眼光を鋭くさせるマン・ヒールズを見て、メカルスは提言した。
「その目をしたお前達なら、マン・ヒールズ……俺と戦う資格があるのかもしれん。だが……まずは、これを試してもらおう」
するとメカルスは「来い、ラファエル」と呼び付けると、部屋の奥その闇の中から一体のロボット犬が出現した。
「さあ、えさの時間だ。思う存分、喰い尽くすといいぞ」
そうロボット犬ラファエルに告げると、メカルスはラファエルをマン・ヒールズに仕掛けた。
狂気のロボット犬ラファエルは、唸り声を発しながらマン・ヒールズに向かってきた。
ラファエルには様々な特殊武器が内蔵されており、多彩な技を豊富に使える危険なメカルスの護衛犬。
しかし此処まで培ってきた多くの戦闘経験から、マン・ヒールズはラファエルの動きを完全に掌握し、華麗に回避しながらラファエルに攻撃を当てていく。
そしてマン・ヒールズは、ものの数分でロボット犬ラファエルを打倒。ラファエルは爆発消滅した。
そんなものの数分でラファエルを破壊したマン・ヒールズに、メカルスは部屋に設置された多くの画面モニターに拍手の映像と音を流しながら自らもマン・ヒールズに拍手を送った。
「見事だ、マン・ヒールズ……やはりお前達には、俺の見込んだとおりの可能性があるようだ……俺たちの無限の可能性が……!」
だが、このメカルスの発言にミスティーハニーは真っ向から否定した。
「メカルス……狂ったあなたに、可能性なんてない!」
しかしメカルスはマン・ヒールズたちに真顔で告げた。
「マン・ヒールズ、それはお前達が本当に考えている事ではない」
「……」
「お前達が正義だと信じているもの……いいや、信じ込まされているものが……お前達にその様な幻想を見せているに過ぎない!」
マン・ヒールズが抱いている思想そのものが幻想だと説くと、メカルスはマン・ヒールズの目前に颯爽と戦闘態勢で対峙した。
「俺が相手になろう……いくぞ、マン・ヒールズ!」
メカルスは部屋の壁を蹴り上げて、上へ上へと上がって行くと、それを追ってミスティーハニーたちも追撃する。
しかしメカルスは空中で態勢を立て直し、体を横へと回すと向かってくるマン・ヒールズの隊士を次々にビームサーベルで弾き落としてみせる。
メカルスとの空中戦で弾き落とされるハルカ・ヘップバーンや穴戸レナ、そして本郷唯に対し、ミスティーハニーやデューイは部屋の中央に位置する高所その空中でもメカルスと接戦を繰り広げる。
一方のメカルスは、自分の[[rb:本物 > オリジナル]]である修司が愛用していた日本刀『聖龍剣』をミスティーハニーが使用しているのを見て、彼女に言った。
「ほう、ミスティーハニー……! 修司から、その聖龍剣を託されたのか? その刃でこの俺を叩き斬るつもりか!」
「そうよ! 修司君だけじゃない……この戦いに巻き込まれた人々、この戦いで死んでいった多くの二次元人の為にも……メカルス、あなたを斬る!」
「フフフ、少し違うだろミスティーハニー。この戦いを起こした切っ掛けも、そして死んでいった二次元人も、全てお前達が手を下したのだろう!」
「ッ!」
メカルスからの指摘に、激戦していたミスティーハニーたちは表情を歪ませる。この戦いの発端であるミサイル発射は自分達の落ち度が原因であり、そして戦いの中で死んでいった二次元人の大半は自分達が敵として殺めたのが事実だったからだ。
そんな自分達の落ち度で多くの人命が失った事実を突き付けられたマン・ヒールズに、メカルスは更にビームサーベルを巧みに振り回して告げた。
「今の世界は、俺の[[rb:本物 > オリジナル]]である小田原修司が二次元人達を扇動して次々と変革されている。もはや小田原修司無しでは世界情勢の均衡は保てないのが現実だ!」
『………………』
メカルスの話に釈然としないまま立ち回るマン・ヒールズに、メカルスは更に根本的な事実を告げた。
「一人の人間が死んだだけで壊れる様な世界、護る価値があるというのか」
小田原修司と言う、世界の均衡を保つ人間が一人死んだだけで崩落するような世の中は護る価値があるのかと説かれ、何も言い返せないマン・ヒールズ。
激しい接戦の中、メカルスは壁伝いに移動してマン・ヒールズと距離を置いた地点に立つと、いきなり加速してマン・ヒールズとの距離を縮めて刃を斬り付けていく。
その加速からの斬り合いを避けて、マン・ヒールズはメカルスと距離を置いた状態で反撃に転ずる。
マン・ヒールズは接近戦と遠距離戦の二つを巧みに使い分けながら、メカルスと応戦。するとメカルスは自分より離れた地点からマン・ヒールズに攻撃せんと、目からレーザービームを直射してマン・ヒールズに攻撃。
メカルスの機械の目から放たれる光線を避けつつ、マン・ヒールズは絶えずメカルスに攻撃。
メカルスは自分から離れて戦っているマン・ヒールズに攻撃せんと、再び一気に加速して距離を縮めると同時に斬り付ける。
そんな激戦を展開するメカルスを前に、ミスティーハニーが動いた。彼女は修司より託された聖龍剣を握り締め、メカルスと一気に距離を縮めて一瞬の隙に斬り合った。
両者は互いに入れ違いとなり、一瞬の間に勝負はついた。
激しい接戦の末、マン・ヒールズは後一歩のところまでメカルスを追い詰める事が叶った。
「流石はマン・ヒールズ……!」
本物である修司の肉体を基に作り上げられた機械の体が限界に達し、床に跪くメカルス。
するとメカルスは自分を追い詰めたマン・ヒールズを称賛しながら笑い出した。
「素晴らしいぞ、マン・ヒールズ! お前達はもはやB級ヒーローではありえない! はははは!」
メカルスを追い詰めたミスティーハニーは強気な面魂で言い放った。
「[[rb:異常者 > ヒール]]メカルス! あなたの企みも、ここまでよ!」
「わはははは! はーーっははは!」
それでも笑い上げるメカルス。すると部屋の壁から一本の太いケーブルが生き物の様に飛び出しては、メカルスの頭部後ろに接続。メカルスの頭部は胴体から引き千切られ、頭部はそのまま壁の中へと引き込まれ、胴体は爆発消滅してしまう。
マン・ヒールズがメカルスの頭部が消えた壁の真ん前に駆け寄ると、目の前の壁が真っ直ぐに割けて奥から巨大な影が現れた。
それはメカルスの頭部を額の中に埋め込んだ、巨大なオオカミ型の破壊兵器であった。
メカルスは、未だ製造中のオオカミ型巨大ロボットの中枢に自分の格ともいえる頭部を内蔵して一体化する事で、マン・ヒールズと第二戦を開始しようと目論んだのだ。
「さあ、続けようではないかマン・ヒールズ! 戦いを! 苦悩を! 破壊を! その果てにお前達は二次元人の真の可能性に目覚めるだろう……!」
巨大ロボットと一体化したメカルスを前に、マン・ヒールズは怖気づく事なく第二形態のメカルスと対峙する。
「戦いは、ここで終わらせる! あなたを……倒す!」
信じるべき修司の忌わしきコピーであるメカルスを今度こそ倒すべく、ミスティーハニー、いやマン・ヒールズは全員闘志を燃やした。
メカルスの不敵な笑い声が響く中、オオカミ型巨大ロボットと一体化したメカルスは大きな口から灼熱の業火を吐いた。
マン・ヒールズは口から吐かれる炎を回避しながらマン・ヒールズは必死に弱点であるメカルスの頭部が納められた巨大オオカミロボの額に集中攻撃を仕掛ける。
更に第二形態メカルスは、両肩からV字の稲妻を発生させて、マン・ヒールズを攻撃。部屋の片隅に避難したため、マン・ヒールズはこの攻撃を回避できた。
と、そんな壁に張り付くマン・ヒールズを攻撃しようと、第二形態メカルスは両手から夥しい電撃を放出して上下に稲妻を発生させ、両壁に張り付くマン・ヒールズを攻めた。
しかしマン・ヒールズはこの攻撃を耐え凌ぎ、再度第二形態メカルスの額を狙い撃つ。
そんな床上から攻撃を仕掛けてくるマン・ヒールズを、第二形態メカルスはその巨大な腕を振り上げて渾身の力で殴り掛かった。
第二形態メカルスの渾身の殴打を寸前で回避するマン・ヒールズは、迷いなくメカルスの弱点を狙撃し続ける。
そして最終局面、第二形態メカルスの額を狙って、ミスティーハニーは第二形態メカルスの巨大な腕に乗り上がり、それを伝って第二形態メカルスの額に修司から託された聖龍剣を突き刺した。
「ぐあああッ!」
巨大ロボの、それも自身の頭部に直接刀を突き刺され、絶句するメカルスの意思。
と、そこに修司救出と共に増援として駆け付けた聖龍HEADが到着する。
「マン・ヒールズ! みんな無事か!」
「バーンズ、それに姉さんにみんな……!」
増援として駆け付けてきたHEADを見て、ミスティーハニーたちは一驚する。
そのHEADの中には、先ほど応急処置をしてもらい助け出された修司の姿も見受けられた。
「マン・ヒールズ! メカルスは……奴は倒せたのか!?」
怒鳴りこんでくる修司の言葉に注目するマン・ヒールズに、メカルスが悪魔の囁きを唱えた。
「マン・ヒールズよ。所詮お前達は過去に悪事を働き、友を裏切り、欺き、傷つけた異端なる存在。そう、俺たち[[rb:異常者 > ヒール]]と何ら変わりない。そんなお前達を真に受け入れ、そして迎えてくれる存在は修司か俺か、どちらか理解できる筈だ」
こう唱えられたマン・ヒールズの心境に、変化が現れた。
「ま、マン・ヒールズ……!?」
なんと突然、マン・ヒールズは駆け付けてきた聖龍HEADに刃や敵意を向けたのだ。
「でゅ、デューイどうしたの!?」
「エリル、それに他のみんなも……どうしちゃったの?」
ナースエンジェルやミラーガールが自分達に突如として敵意を向けるマン・ヒールズに戸惑う中、マン・ヒールズは変わらず聖龍HEADに刃を向けていた。
そんな突如として敵意を向けてきたマン・ヒールズを前に、黙然と彼女達を見据える修司。彼は目前で自分達に敵意を向けるマン・ヒールズ、特にミスティーハニーに視線を向けていた。
「ガハハハッ! いいぞマン・ヒールズ! 己が進むべき道を理解したようだな! ハハハハ……」
そんな敵意をむき出しにするマン・ヒールズを見て高々と嘲笑を上げるメカルス。
すると次の瞬間、メカルスに対して背を向けて聖龍HEADに敵意を向けていたマン・ヒールズに変化が。
ミスティーハニーと月詠イクトがそれぞれハニーブーメランとレーザービームを発射して、第二形態メカルスの目を潰した。
「ぐわッ!」
視力回路が潰され、完全に視界を奪われてしまうメカルス。それを尻目にイクトとミスティーハニーが叫んだ。
「修司!」「今よ! メカルスを……!」
二人の合図を受けて、マン・ヒールズの意思を受け取った修司は跳び上がり、第二形態メカルスの額に突き刺さっている聖龍剣目掛けて跳びかかった。
「マン・ヒールズが作ってくれたこの好機……無駄にはしない!」
この時の為に。修司が直々にメカルスに印籠を渡せる機会を作るために、マン・ヒールズが設けてくれた大芝居だった。
そして跳躍した修司がメカルスに突き刺さっている愛用の聖龍剣を掴むと、一気に力を入れて刃を振り下ろした。
「消えろメカルス!」
毎度毎度、自分のコピーであるメカルスに苛立ちを抱いていた修司は、その鬱憤を晴らすかのようにメカルスの頭部を縦に切り裂いた。
「ぐああああ……ッ!」
弱点である頭部を切り裂かれたことで、メカルスも彼の頭部が納められたオオカミ型の巨大ロボットも火花を散らし、音を立てて崩れ始めた。
そして修司は聖龍剣でメカルスの頭部を切り裂くと、颯爽と床に着地する。
「マン・ヒールズゥ……ッ!!」
最後は巨大オオカミロボに頭部を搭載して猛威を振るっていたメカルスは、悪の道に戻ってこなかったマン・ヒールズの言葉を叫びながら瓦礫の中にその巨体を埋めていった。
「総員、帰還せよ!」『了解!』
総長修司からの指令に、聖龍HEADもマン・ヒールズも修司と共にメカルスパレスから脱出し、島の外へと退避した。
[エピローグ]
遂にメカルスを倒した修司とマン・ヒールズ一行は、増援として駆け付けた聖龍HEADと共にメカルスパレスより脱出。
そしてメカルスパレスが在る孤島を見渡せる対岸で、一同は主であったメカルスが倒された事で爆発し、崩落すると同時に海へと沈んでいく居城メカルスパレスと島を見届けた。
居城メカルスパレスが島と共に海底へと沈んでいく様を見届けて、小田原修司は一同に言い渡した。
「さあ、帰るぞ」
全てが終わり、アニメタウンの聖龍隊本部へ帰参しようと告げる修司の言葉に、一同は従い歩を進ませる。
するとその時、修司たちHEADが自分たちに背を向けた瞬間、マン・ヒールズは自然と銃口を修司に向けてしまう。
世界の均衡を保ち続ける修司の死の意味を知っているマン・ヒールズは、修司に向けて銃の引き金を引こうとした。
と、その瞬間。マン・ヒールズの脳裏に自分達を信頼してくれる多くの友や身内、そしてあの手塚真氏の顔が浮かんだ。
「? どうした、お前たち。さっさと帰るぞ」
そんな背後で構えていたマン・ヒールズに再度声を掛ける修司。彼が声を掛けた時には、マン・ヒールズは皆、銃を仕舞い終わっていた。
そして再び前進する修司とHEADを目前に捉えながら、マン・ヒールズ、いやミスティーハニー達は先ほど修司に向けてしまった拳銃を見詰めて、あのヴーイやメカルスが言った発言を思い出した。
「たった一発の弾丸で世界を壊せると思うと、ゾクゾクしないか?」
「一人の人間が死んだだけで壊れる様な世界、護る価値があるというのか」
たった一発の凶弾で脆くも壊れてしまう世界、そんな世界は一人の人間が死んだだけで崩壊してしまう現実を突き付けられ、ミスティーハニーたちは居た堪れない心境に至る。
戦いは終わった。
明日になれば、再び平和な朝が訪れる事だろう。
しかし傷つき、倒れ、夜の闇へと消えていった者たちが、その朝を迎える事は決してない。
理想と現実、善と悪の狭間で立ち尽くすマン・ヒールズの姿は、爆発の光に照らされて、今にも消えてしまいそうに見えた。
何故、自分たち二次元人が戦わなくてはならないのか。
しかし誰にも、その答えを導いてくれる者はいない。
休みヒマもなく、どこかで[[rb:異常者 > ヒール]]たちが発生し、再び彼女達は戦いの渦へと巻き込まれていくのだろう。
優しさと過去の贖罪を捨て切れぬヒールハンター、マン・ヒールズ。
彼女達の戦いは、どこまで続くのであろうか。
彼女達が振るう武士の魂ともいうべき冷たく光る日本刀の輝きと共に。
そして修司たちが聖龍隊本部に帰ってから数日後の事。
この日、聖龍隊本部のHEADの許を一人の女性が訪問していた。
彼女の名は手塚るみ子。二次元人の人権運動を行ったが為に過労死してしまった手塚眞氏の妹である。
手塚るみ子は修司たち聖龍HEADに一つの映像を持ち込んできた。
「これは……!?」
修司たちHEADが映像を見据えていると、映像にはあの手塚眞氏の生前の姿が映し出された。
「私の名は手塚眞。二次元人を生み出した漫画の神、手塚治虫の息子である。ゴホッ、ゴホッ……私は、二次元人達に新たな可能性を見出した。それは考え、行動できるという事だ……」
一方、マン・ヒールズはというと。
今夜もまたアニメタウンのパトロールに向かおうとしている所で、待機しているウェルズと遭遇した。
「よっ、マン・ヒールズ。今回はお前達にデカい借りを作っちまったな。それに今回の戦いでB級から一気にS級のハンターに昇格したらしいな、おめでとう」
今回のメカルス率いる反乱軍を討伐した事でS級の[[rb:異常者 > ヒール]]ハンターに昇格した経緯を称賛するウェルズ。しかしマン・ヒールズの顔は浮かばれない顔色であった。
「? どうしたんだ、お前ら」
冴えない顔色のマン・ヒールズに問い掛けるウェルズ。するとミスティーハニーがウェルズに訊ねた。
「ウェルズさん、いったい私たち二次元人は何処に向かっているんでしょうか……多くの同胞を、同じ二次元人と争い合い、殺し合う日々……毎日、終わらない戦いの日々」
「………………」
「私たちは良い。過去の贖罪として、戦いを続けるのは覚悟している。けれど、終わらない戦いの日々を……平穏な日々を二次元人がずっと過ごせないのは、どうなのか……私たち、時々分からなくなって……」
ミスティーハニーたちの辛い心境を察するウェルズは、一時ばかし真顔で彼女の言い分に耳を傾けるとマン・ヒールズに語ってやった。
「……確かに、俺たち二次元人が同族の二次元人を狩ってばかりの……争い合う日々を過ごすのは可笑しな話だ。……だけどな。俺たちが力のない人々に代わって戦い続けなきゃ、それこそ平穏な日々は取り戻せない。俺たちの戦いに終わりなどない。だけど、戦い続けることで守れる平穏な日々があるのだけは忘れちゃいけない」
ウェルズから説かれたマン・ヒールズは、彼の話を聞き終わると再び歩き出し、夜のパトロールを行うために漆黒に包まれた街へと足を運んだ。
マン・ヒールズがウェルズと自分たち二次元人の先行きについて語り終わり、夜のパトロールに向かう中、修司たちHEADは手塚眞氏が遺したメッセージ映像に目を向けていた。
「これは、生命体と同じく進化できる可能性を秘めている……残念ながら人の一生は短い。私には、二次元人たちが持つ力の安全性を確かめる時間はなかった。よって此処に、私の意志を受け継いでくれる者の為にメッセージを遺す……遠い未来、二次元人と三次元人が協力して作り上げた世界が……二次元人によって平和が訪れている事を祈っている……だが、同時に不安もある。二次元人たちが進化という争い巻き込まれ、その力が暴走してしまったとき……世界から安寧が消え失せてしまうのではないかと……」
そしてメッセージの最後に、映像の中の手塚眞氏はこう言い残していた。
「だが未来の諸君、これだけは胸に留めて欲しい……二次元人は我々の、いや世界の希望である事だけは忘れないでほしい……!」
マン・ヒールズの、いや二次元人たちの戦いが終わることはない。