神は細部に宿れり   作:でかい骨髄

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許してクレメンス

テストが忙しくってぇ
全然描けなくってぇ…

勝谷くんの視点は弟君の1,5メートル範囲を
自由に見て回れると思ってください


自我の起こり

 

それなりに長い月日が流れ年齢約1歳と半年、

 

俺はあんよをほぼ自在に操る弟くんと一緒に寝台を

抜け出して家の中を徘徊していた。

 

広さは中々、やはり彫刻はあって当たり前のものらしく

当然のように短い廊下の巾木や時折ある窓枠にも

所狭しと刻んであった。執念を感じますわぁ…!

 

どこ見ても彫り込みがあるのは見事だが、少〜し、

少し、飽きる というかクドい 

このアラベスクが一番スタンダードでオーソドックス

なのは分かるが、もうちょっとバリエーションが

欲しいよね〜?

 

この家の中だけでの推察にはなるが、多分この世界、

新しいデザインの開発に消極的なのだ。

 

そりゃあそうだよね、妖精パワーだもん

何が起こるかも分からんのだから

もしも妖精が悪心を抱いて、とか予期せぬ効力を発動するだとかの危ない橋を渡るのを避けたいのだろう。

あとは求めるものが違うとかだろうな

家に「繁栄(アラベスク)」をミッチリほっといたほうがなんか良さそうだし

 

妖精さん達からかわいい抗議の視線が飛んでくるので

 

ふん、必殺の口撃で返り討ちにしてくれる!!

 

(ち、違うんすよ、

あっしは物を知らんだけで、ヘヘッ)

 

妖精は一応納得してくれた。

チョロいもんよ!

 

弟くんの視線と自分の視界を重ね合わせる

 

この技術は彼の自我が成長するとともに少しづつ

体の主導権を部位ごとに借りれるようになったので、

その応用で弟君と同じ視界を見ているのである。

 

ほほぉ、進路的に向かっている場所は居間だな。

コケたら直ぐに主導権を握って手を付けるように

構えながら、弟くんと一緒にゆっくり歩く。

 

途中、甘やかし系おじいちゃん使用人 アルバートさんにすれ違い 目的地までチート(抱っこ)で運ばれそうになったが

弟くんのイヤイヤで撃退

 

俺と弟の二人三脚に不足が有るわけないだろ!!

赤ちゃんの足の運動の機会を奪うな!!

お前はアウレリオにとってのお荷物なんだよ!!

パーティーから追放する!!

 

数分後、そこには疲労困憊で膝を笑わせ

愚図る赤ん坊の姿が!!

 

すまんかった使用人さん!戻ってきてくれ

俺にはあんたが必要だ!!

 

運良く現れた別の方に、指を目的地の方に向けて

抱っこで連れてって貰う。テンションアガる弟くん

 

お、俺だって前世の体があればそ、それぐらいして

あげられっし! チョーシのんなし!!

 

弟くんを抱き上げる人を恨めしく睨みつけながら

俺達は居間へ向かった

ある程度の所で降ろしてもらい、あんよで向かう

普段は当然単独行動は許されないが

アルバートさんは甘いので微笑まば楽勝也

 

居間にたどり着いてドアに手を掛ける弟くん

あっ、幼児のパワーじゃ開かねぇわ

だがしかしそこに俺の新技が炸裂!!うぉぉぉぁ!!

謎力を送り込み!!

弟くんの基礎パワーを大きく引き上げるッ!

これによってぇッ フルパワー開扉を可能とするのだ!

 

開けた先では父さんお母さんが激しめに

いちゃついてた。開く扉すら気にもとめずに

そっ閉じ。全力でそっ閉じ

 

教育に悪い…しかし……

弟妹が出来るのもこの調子では近いな…

俺は胸中(弟の)で密かに微笑んだ。

 

アウレリオ君は夜は俺があやすし昼も何か

要求があると俺が変わって比較的軽めに泣くので

かなり世話はしやすかったはずだ。

 

子育てのハードルが下がったんだよ 俺のおかげだぜ!

ホントホント けして元より静かだった訳では無い。

決して、そう絶対に俺のおかげなんだ!!

 

 

ウソです何もしてませんでした

物静かな子でした。俺が悪かったです

 

いちゃつく両親を尻目に俺達は、家中の探検(6回目)

に向かった。

 

今までの探検では良さげな雰囲気漏れる部屋に入ろう

とした途端にどこからとも無く邪魔(大人)が、

特に両親からの介入が入り、すぐにベッドへ

戻されていた。

 

 

しかし今日は違う!!

父母はいちゃつき、俺の最大限の視界でも使用人を

確認しておらず、更に使用人共はお昼の休憩タァイム…

これにより

 

多分赤子には触らせられないようなものが有る部屋

なのだろう。血が騒ぐわ!!

大丈夫だってぇ父上、妖精さん(と俺)もいるし

ヘーキヘーキ

 

いつもの彫りの入った木だけではなく、

真鍮板が打ち付けられ、ともすれば神聖さを感じさせる

厳かな扉を開ける

 

少し涼しく、金属特有の香りが鼻をくすぐった。

 

部屋の中心に位置する扉を開けて右前方の床には大きな立ち仕用の金床があり、上に大中小様々な鎚や鑢が乗っかっている。そして扉からまっすぐ向かいの部屋の壁に、金属が打ち付けられた作業台があり、机の棚の取っ手が銀製のまばゆき光を放つ。

 

此処はやはり父上の仕事場であろうな。

堅苦しい考えは少し控えて

さてさてお待ちかねのぉ〜!!

 

物色タイムだッ! 俺だけでだが。

やはり室内に鍛治用の火床はなく、何処か別の場所で

鉄を打っているらしい もしくは彫金専門かな?

 

うん? このノミ…金槌も… それによく嗅げばこの匂い

 

ととっ アウレリオ君の反応は?

 

またも独り言に熱中する前に、弟君のことを気に掛ける

俺の趣味より弟の機嫌だ

 

 

俺はこの匂いを気に入っているが、幼児には不快な匂いかもしれない。

 

この金属のテカリなども、何処か本能的なものでおぞましいと思うかもしれない。

 

やはりできれば弟にも俺も同じ趣味を好んでほしいし、

そうなったら方法は分からんが力を貸すつもりだ

 

しかし、もしもそうはならなかった場合

俺は諦める

正直言って悔しいがまぁ仕方なし

恐る恐る、我が弟の顔を確認する。

 

アウレリオは、破顔していた

 

この世で最も気に入りのおもちゃを見初めたように

掴んで離さぬと決めたように。

 

獰猛に 純粋に にこやかに 破顔していた。

 

クフ、クフフフフフ…

俺がどうとするまでも無かったのう

彼は確かに彼の両親の子で、やっぱり俺の弟だ。

 

血、繋がらざれど俺の弟だよ。今そうと決めた。

 

気分良さげに唸る弟くんを妖精に任せ、部屋を物色する

やはりそうだ。この部屋には少し、おかしな点がある

 

先程からこの部屋、匂いがなかったのだ。

正確にはある。あるのだが違う 普通ではない

 

通常、彫金や金属を加工する場所では鉄の芳香がある

鋼材の削り出し時に発生する削りカスやこすれたヤスリの

鉄粉 それらが醸す錆びた鉄の匂いが。

 

しかし此処にはそれが無い

まるでこの部屋では、鉄を一度も扱ったことがないかのように。ただ匂いが落ち着いているだけかもしれない。

 

しかし此処で次の思考材料が見つかる

道具類だ

 

ハンマー 黒ずんだ金  よって真鍮と推定

ヤスリ  黒ずんだ金  同じく真鍮と推定

金床    同上       同上

木工ノミ  同上       同上

タガネ  白っぽい銀色   銀と推定

木工鋸   同上       同上

 

ざっとこんなものか 此処から分かる違和感は

 

鉄鋼製品がないのだ。

はぁ?必須だろうが?! なぜ????

考えるまでもないが鉄製工具は金工に於いての必須、

というか前提条件だ。

真鍮も金銀銅も全て鉄には工具として利用する場合

敵わない 耐久性 埋蔵量 価格 全て鉄が上

ならば何故柔い真鍮などを用いる?

その答えは直ぐに勘づいた

思考材料その3

 

全ての金属製品にある緻密な彫金

しかもハンマーの場合は打撃面、ヤスリは肝心の鑢目、

ノミや鋸は刃先ギリギリまで糸のような物が入っている。

 

これらから分かることはつまり

この世界の金属加工は妖精だよりってことだよ!!

あぁ嘆かわしい…

 

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