守護龍として造られたらしいけど、特に護る義理はないので好きに生きます 作:シェリーザ
それと劇場にて鉄血のオルフェンズのウルズハントと幕間の楔を見てきました。…いやー、凄かったです。鉄血のデザインってやっぱ素晴らしいです。それだけにあのストーリーになったの許せねえ…
…それと評価がいつの間にかオレンジバーになっててビックリしました。お気に入りの方も増えて…これからも頑張らせていただきます。
「…おい、龍護の偽物。本物の龍護をどこへやった」
「白ヲ何処へヤッタカッテ?ンナモン、コノ
「…この感じ、嘘じゃないみてぇだけどこれはこれでウザいし殺したいな…!」
「オ?殺シ合イヲ御所望カ?ナラ遠慮ナクヤッテヤロウカ!!マア、目ノ前ノ龍ガドウデモ良イナラノ話ダガナ!」
久しぶりに表へ出た黒龍護に、警戒を最大まで高める勇儀、ミニ萃香。今の彼は先程までぐったりしていた様子と違い、今は立ち上がり萃香と睨み合っておりまるで嘘のようにピンピンしている。それはそうと、勇儀が彼をマジマジと見つめた後に、とある事を彼に尋ねる。
「だー!アイツの攻撃が激しくなってきたから暫く抜けるぞ!」
「…なあ龍護の偽物…いや、この際偽龍護で良いか。龍護は生きてるよな?」
「俺ハ別ニ白ノ贋物ジャネエケドナ…ソレハサテオキ、ソノ問イハ愚問ダナ。奴ガ死ネバ、俺モ死ヌ。謂ワバ運命共同体ッテ奴ダナ」
「…白…つまり龍護は無事、って事だな。…ふぅ、危うくぶっ飛ばすところだった…」
ミニ萃香の姿が消え、背後を振り返る勇儀。背後では本物の萃香を筆頭にして鬼達がナルハタを抑えているが、ナルハタも激しく抵抗しておりこのまま長引くと全滅してしまう可能性が高まる。龍護の無事が確定したわけではないが、それでも嘘を吐いている雰囲気もない。なので彼を無視してさっさと自分も加勢に入ろうとする…が。此処で黒龍護が気になる事を言い始める。
「…コイツァ俺ノ独リ言ダガナ、俺ハ白ノ破壊衝動ノ持ツ意思ガ具現化シタモノ…テメェ等デ言ウ付喪神ミテェナモノダ。ソレトテメェ等ハオカシイト思ワナカッタノカ?白ハ元々、兵器トシテ生ミ出サレタンダゼ?ソンナ奴ガ何故大人シクシテルカ気ニナラネェカ?」
「…」
「元兵器、今ハ生物トシテノ自我ガ芽生エテイル白ガ、何故物ヲ壊ス、破壊スル、アルイハ生物ヲ殺ストイウ意思ヲ持ッテイナイッテノヲ異常ニ思ワネェカ?…今回ノ奴ハ例外ダガ」
黒龍護が独り言として話した内容は『何故龍護が破壊・殺戮衝動を持たないか』についてだった。勇儀は黙って聞き流すつもり立ったが、龍護が(無意識か不明だが)隠していた非常に重要な情報だ。彼の方を向いてはいないが話に耳を傾けている。黒龍護もそれに気づいているか、何処か戯けるような感じで話を続ける。
「…マ、アイツガ勝手ニ暴走シヨウガ、俺ニハ関係ナイ話ダガナ。俺ノ役目ハ白ノ破壊・殺戮衝動ヲ纏メテ抑エル事…白以外ノ人造種共ハ破壊衝動ニ呑マレテイタガ、白ノ場合ハ俺トイウ存在ノオカゲデ今モ生キテイルカラナ」
「…どう言う意味だ、お前が居なかったら龍護は死んでいた…って聞こえるが?っつーか、さっさと萃香達の所行かねーと…!!」
「ソノママノ意味ダ…オ前ハ前ニ、白ガ自分ノ同族ヲ皆殺シニシタ話ヲ聞イタヨナ?」
萃香達の奮闘によってナルハタはギリギリ抑え込まれているが、それでも長い話をしそうな黒龍護に怒りが積もっていく。龍護の偽物(と思い込んでる)が自分にしつこく話し続けてるのだ、そりゃ怒りが溜まったって仕方ない。勇儀は黒龍護の質問に怒りを込めながら返答する。
「ああ、前に聞いたよ!!それが今とどう関係あるって言うんだ!?」
「………イヤ、面倒ダカラヤッパコノ話ハアノ龍ヲ殺シテカラニスル…ボサットシテタラ置イテ行クカラナ!!」
「はあ!?テメェから言っといてそりゃないだろ…って早!?…くそッ、後でぶっ飛ばしてやる…!!」
返答して話をしようとしたら黒龍護は突然話を切り上げてくる。この暴挙には流石にキレたらしく、黒龍護に拳を向けた所…彼は既にナルハタの方に向かい翔蟲を飛ばして勝負を挑みに行っており、そんな自分勝手で自由奔放な黒龍護を後でぶっ飛ばす決意をして戦いに臨む勇儀だった。
「CYUOOOOON!!!」
「避けれない…!!ぐわあああ!!」
「おいっ!しっかり…って、ぎゃあああ!!」
「お前等!!…くそッ、華扇の右腕をやってくれたんだ、それなりの力があると思ってたが…やっぱ生かして置けねえな!!」
一方ナルハタを抑える鬼達。彼等は自慢の怪力を使って肉弾戦を挑むも、ナルハタも古龍であるが故に身体能力は高く、尻尾の叩きつけを受ければただでは済まないし加え雷を利用した攻撃も使ってくる。雷輪やレーザーにやられた鬼や、物理攻撃でやられた鬼など鬼側の被害はどんどん増えていく。しかしそこに介入する者が現れる…
「叩キ殺シテヤラァ!!」
「CYIAAAAA!!?」
…妙な憎悪と殺意が篭ってるが今は無視しておこう。黒龍護が翔蟲での疾翔けで空を飛んでたのだろう、ナルハタの頭部に引っ付き演奏機関が死んでる狩猟笛を鈍器運用して頭を殴る。最早扱いが狩猟笛ではなくハンマーなのだがそれは置いておき黒龍護には何か狙いがあるらしく、狩猟笛から手を離さない。ナルハタは彼を振り下ろそうと撃龍槍が埋まってる壁に近づいた後、自分の頭に引っ付いてる黒龍護を落とす為に叩きつける。対する黒龍護はナルハタの頭にしがみついて振り解きを耐えた後に、再び狩猟笛を握り頭を何度も殴る。
「サッサトクタバリヤガレ…!!」
そう言ってもう一度狩猟笛を振り下ろしたその時。
「GYUIAAAAAA…!!!」
ナルハタが苦しそうな息を上げた後、地面に叩き落とされる。目がぐるぐる回っておりどうやら気絶しているらしい。狩猟笛というのは元々は打撃武器、演奏機関が死んでたとしても鈍器として運用することは問題なしなので気絶させる武器として機能したようだった。
「雷神竜が落ちた!!」
「やったか!?」
「マダ死ンデネエカラ黙ッテ殴ッテロ!!」
フラグを立てられてはたまったものでは無いので叱咤しつつ黒龍護は狩猟笛を仕舞った後、太刀を取り出し練気を回収する為にナルハタを踏みつけながら振り回す。一連動作を省くために力を溜めての気刃大回転斬を3回、集中のスキルでも付いているのかと疑うかの速さで放つ。
「ってかアイツ誰だ!?」
「アイツは私等を助けてくれた奴の偽物だ!!うぜぇ奴だけど強さだけは確かだ、お前等も意地だけでも良いから喰らい付いていけよ!!」
『お、おうっ!!』
未だ偽龍護と思われている黒龍護君。まあ強ち間違いとも言い切れないので仕方ないし、その弁解をしてくれる白…本来の龍護は現在意識不明。なので彼は鬼達の中で『偽龍護』として通ってしまった。合掌。それはともかく、自分達を助けてくれた者の偽物(と本物)が龍相手に孤立無援の中でここまでやったのだ、鬼達も士気が上がったようで気絶しているナルハタを殴り続ける。なお黒龍護は不名誉を被っているがどうでも良い話だ。
「居合抜刀気刃斬リ3秒前ェ…行クゼェ!!!」
鬼達が殴り込んでる間にも黒龍護は黒に染まった太刀を鞘に納めて構え、全てを斬り捨てるかの如くの三連撃をナルハタに浴びせ、気刃大回転斬りで締める。しかしナルハタは鬼達の援護に加え、ここまでやったにも関わらずまだ息絶える様子はない。そしてここまで殴られればその痛みで気を取り戻したのだろう、浮上し始める。
「チッ、また浮かび上がったか!お前等、後は私と勇儀、偽龍護に任せて退がれ!!」
『…了解しました、頭!!』
これ以上は取り巻きの鬼達では対処できないと感じた萃香が、自分達の足を引っ張った、と言う罪悪感に呑まれない為にも周囲の鬼達に下がるよう命ずる。周囲の鬼達はまだ戦えると言う表情だったが、先程黒龍護の戦線復帰までに何人かやられたのを確認したし、自分達が足手纏になる可能性の方が高いと気づいているからか、苦虫を噛み潰したような顔で華扇と言う人物が飼う動物達に乗って龍護が先刻に準備に使ってた小島に引き返した。
「…アン時ノ神様ヨリモ使エル奴デ助カッタゼ」
「あん時の神様って…偽龍護、お前はいつの時代から生きてんだ?」
「白ノ裏ハ俺デアリ、俺ノ裏ハ白ダ…白ノ生キタ年月ハ、俺ノ生キタ年月デモアル…サッキ話シタンダカラ聞イテロ馬鹿ガ」
「…つまり本物の龍護もお前も、結構長く生きてる訳か」
萃香の質問に黒龍護がぶっきらぼうに返し、急いで駆けつけて来ただろう勇儀がその回答から導き出された結論を呟く。黒龍護は黙って勇儀の呟きに頷きつつ、体勢を立て直したナルハタに突きの構えで白みを帯びた黒の刃を向ける。
「…マ、重イ話ハ後ニシヨウゼ。今ハ…アイツヲブチ殺ス!!」
「お前にだけはそんな事言われたくないけど…そこだけは同意見だねぇ!」
「…んじゃ、行きますか!」
「CYUOOOOOOOOO!!!」
3人の無駄話が終わったと同時にナルハタが咆哮をあげる。普通は怯むところだが、黒龍護は鼓膜を自己破壊、萃香・勇儀は無骨な耳栓を着けて対策しており怯む事なくナルハタに走り出す。
「勇儀とお前のさっきの居合からの攻撃で勝負を決めるよ、私が囮になってやるから勇儀と偽龍護は力を溜め始めろ!!」
「ダカラ俺ハ白ノ贋物ジャネエツッテンダロ酔ッ払イガァ!!」
「無駄口叩いてんじゃねえよお前等!!」
龍護の体調を気にしたのだろうか、勇儀と黒龍護に短期決戦で決めに行くと宣言する萃香。黒龍護は龍護の偽物という認識を変えられてないようで、それに対してキレる。そんな2人に対して力を溜めながら怒る勇儀…彼女の軸足である左足が置かれる地面が大きくひび割れているのは力を溜めている為だと信じよう…。
「くそっ、アイツに言われるならまだしもアイツの偽物のお前に言われるのは腹立つ…!!私がただの酔っ払いじゃないとこ見せたげるよ!!」
「認メテンジャネエカ」
「黙ってろ!!」
「CYUR…RAAAA!!!」
憎まれ口を叩き合う2人だったが、それなりに互いの理想の動きを実現する為にある程度協力しているようで、黒龍護は手取り早く練気を回収できる桜花鉄蟲気刃斬を放ち、萃香は瓢箪の中身を飲んだうちに、口からゾシアの時に放つ劫火擬よりかは幾らか弱くも龍の身体の一部を焼くだけなら十分な火力の火炎を吹く。…どこの大道芸師なんだアンタ。
それはともかく黒龍護は前脚、萃香は背中の触手のような器官を攻撃しておりナルハタはうざがったのだろう、雷輪を縦に重ねて3つ生成、数秒の差をつけて自分の真下に落としていく。黒龍護はそれに対して翔蟲1匹を使って反撃を行う技、『剛・気刃斬り』を放ち練気を回収して刃が赤みを帯びる。萃香はギリギリで回避し、額に冷や汗を流して言葉をこぼす。
「わっと!?コイツは雷だからな、霧散して避けても痺れちまうし、受けたらただで済まないんだよねぇ…」
「霧・霞ハ大半ガ水デ構成サレテイルカラナ。純水ナラマダシモ、テメェノ身体ヲ霧ニシテルナラ感電スルダロウヨ」
「お?お前その辺り詳しそうだな?何処でその知識を得たんだ?」
「ンナモン俺ガ………雷ヲ扱ウ別ノ竜ガ居テナ、ソイツトノ
自分が雷を扱うから、と言おうとした黒龍護だったがそれを言うと後で問いただされることになるので黙っておく事を選択して代わりに彼と戦った事がある雷を扱う竜…あの雷狼竜に全てを擦りつける(尚彼とは水場で戦った訳ではない)。これであの雷狼竜の、(黒)龍護に対して恨みがまた一つ増えてしまった。…因みに某海竜が1番分かりすい例なのだが、彼等が出会う機会は少ないし、黒龍護も知らなかったので話されることはなかった。
「別の雷竜と戦った事がある、ねぇ…アイツの偽物である事が腹立つけど、頼りになるな!」
「ダカラ俺ハ、贋物ジャネエッテ言ッテンダヨ!!コノ酔ッ払イババア!!」
「あぁ!?誰が酔っ払いババアだこの野郎!!」
「CYURUOOO!!!」
ナルハタの雷輪落とし、雷ブレスに空中タックルを巧みに混ぜた猛攻を回避しながらお互いの頭をぶつけ合って黄金色の瞳と閉じた瞼で睨み合うという一種の漫才芸を披露する2人。そんな2人に苛立ったのか左前脚を地面に刺し、岩を空中浮遊させ雷輪を落とし落雷も発生させる。そんなナルハタに舌打ちして、笛としての役目を終えた狩猟笛をぶん投げナルハタの腹に命中させるが意に介してなかった。
「ッチィ、俺ノ方ハ準備ソロソロ終ワルゾォ!テメェハドウダ、星熊ァ!!」
「こっちももう行ける、後はお前に合わせてやるから好きな時にやれ!!」
「…ソウカァ、ソリャアリガタイ…ナラ…サッサト決メニ行クカァ!!」
そう言って翔蟲1匹を使って空中足場となった岩に登り、戻ってきた翔蟲1匹を使い桜花鉄蟲気刃斬を放ち、黄色の刃に戻った太刀に纏わせる気を最大まで練り上げる。そして…地面に降りてる間に居合の構え取って納刀、練り上げた気を力に変換し始める。
「おっ、その構えは…じゃあ私はアイツを止めてやるかぁ!」
「CYRUO!!?」
黒龍護の構えを見て萃香は自分の手枷についてる鎖を伸ばし、ナルハタの身体に絡めて動きを抑制する。ナルハタは突如自分の動きを制限されたことに驚いており、萃香の鎖を引き千切るように暴れ狂う。しかし萃香はそれなりの怪力がある、引き摺られながらも抵抗・拘束自体は出来ていた。
「うぉっ!?力凄いなコイツ…!でも張り合い甲斐があって嬉しいよ私ゃ!!おい偽龍護、勇儀!私が止めれてる内にさっさと頼んだぜ!!」
「ヤルジャネエカ、アノ酔ッ払イィ!「だから酔っ払いじゃねえって言ってんだろ!ぶん殴るぞ!!」ハッ、勝手ニ吠エテロ!合ワセロ星熊ァ!!」
「はいはい、そっちこそアタシの足引っ張ったら承知しないからね!!」
「誰ガ足引ッ張ルッテ!?笑ワセル!!」
一々喧しいなコイツ。それはさておき黒龍護はいつもの摺足のような移動ではなく、翼脚を解放。翼脚に太刀を持たせ、空いた両手を器用に使って疾翔での移動を行い距離を縮める。
「…はぁぁぁ…!人間も竜も、一撃では倒せない…だが、三歩あれば十分!一歩目で崩し、二歩目で撃ち、三歩目で…ぶちのめす!!」
「わたしゃ巻き込まれたくないからね、そろそろコイツを放すぞ!!?」
「サッサト離レロ伊吹ィ!!」
「だから伊吹じゃなくて酔っ払い…って、普通に呼んだのかよ!?…まあ良い、もう放すぞ!!」
「CII…!!CYUIAAAA!?」
萃香が巻き添えを嫌ってナルハタを自由にする許可を得ようとすると、黒龍護は普通に居たら邪魔だったからだろう。ここで口喧嘩を避けるために苗字で叫ぶ。萃香はいつものノリで返そうとしたが、自分の苗字を呼んだことにやらかした、と言った表情をしていたがそれは一度無視。鎖で縛りつけてたナルハタを解放して離脱する。
そして解き放たれたナルハタはと言うと…自分も全身を使って萃香の力に抵抗していたのだ、ストッパーとなっていた萃香の力がなくなればその力は何処へ行くのか。…答えはただ一つ、抜け出そうとした方向へ飛んでゆき、勢い余って地面に激突する。その際地面に少し大きい罅が入るが今彼女の命を刈り取ろうとする者達には見えていない…
「一歩目…!!」
「ハァッ!!」
「CYIAAAA…!?」
そして地面に激突し、体勢が崩れている所を2人は見逃さず。黒龍護は居合抜刀気刃斬りの一振り目を、勇儀は大きく一歩を踏み出し地面の罅を大きくしながら右拳を其々ナルハタの腹に当てる。
「二歩目…!!」
「マダ終ワラネェ!!」
「GYUAAA…!!!」
2人はそのまま止まらず立て続けに太刀の二振り目の刃を、自身の体格相応の二歩目を踏み出して左拳をナルハタの腹に再び命中させる。ナルハタはその痛みと苦しみからか、呻き声の様な唸りをあげる。
「そしてぇ…三歩目ぇぇぇ!!!」
「一刀、両ダァン!!!」
これで終わりだ、そう言わんばかりに黒龍護は戦闘用に発達した両腕よりも遥かに強い力を持つ翼脚による最後の三振り目、勇儀は一歩目、二歩目を遥かに超える衝撃と揺れを起こして地面を踏み抜き、最大の一撃を腹に当てる。そして止めに気刃大回転斬りをナルハタの腹に当て、納刀する黒龍護。…その刹那。
「CYUAAAAAA!!?」
ナルハタは絶叫の様な、断末魔の様な叫びをあげ空をのたうち回る様に暴れ、空中足場を破壊しながら荒れ狂う。周りの空中足場も彼女の力が暴走しているからか、地面となる岩盤から抉り取ったりして徐々に浮上しておりナルハタはこの場から逃げようと必死に空へ昇り足掻こうとする…が。その抵抗虚しく彼女の全身にある発電器官の光が消え、浮遊ができなくなる。なら…雲に差し掛かろうとする高さへと上昇していた彼女の運命は既に見えた。
「CYAAAAAAAA…!!!」
空を飛ぶ、と言うより漂う事ができなくなった彼女は地面に叩き落とされる。これが普通の生物や、人間なら即死だがナルハタは古龍、死ぬことはなかったが…不幸にも地面がそれで限界を迎えてしまったのだろう。彼女と罅を中心に、地面が凹みナルハタはそれに気づいたか慌てて這いつくばってでも逃げようとしたのだが…彼女が荒れ狂ってた際に抉り出した空中足場が彼女の力が失われた事により、重力に従い雪崩の如く降り注ぐ。そんな岩の雨霰を受ければ彼女は無論、彼女の下の地面も無事でない。
「CYIAAAAAAAAAA………!!!」
それがトドメとなり、地面はナルハタの巨体すらを呑み込む大穴へとなりナルハタや落ちてきた空中足場を呑み込んでいく。
「うわっ!?ちょっと流石にこれは私でも全部纏め上げるのは厳しいぞ…!!」
戦線離脱して龍護の狩猟笛を回収していた萃香は、龍護が起動させた破龍砲の起動スイッチのそばに避難しており幸い其処は巻き込まれなかった…が。この場にいるのは何も、ナルハタと萃香だけじゃない。
「チッ、アノ野郎散々暴レヤガッテ…!!逃ゲルゾ星熊ァ!!」
「あ、ああ!!」
ナルハタに攻撃していた黒龍護と勇儀、彼女等もこの崩落には巻き込まれており2人は全力疾走して崩落していく岩や足場を器用に渡っていきなんとか巻き込まれない端まで近づけた…と思ったその時。
「…わっ!?」
「ッ!!腕伸バセ星熊ァ!!」
「!…届…いた!」
勇儀が渡った足場が、勇儀の力に耐えきれず割れてしまい体勢を崩してしまう。このまま彼女はナルハタと共に奈落への旅をする…と思われたその時、黒龍護が彼女を助けようと勇儀の腕を掴む為に自身の腕をめいいっぱい伸ばす。手を差し伸べられた彼女もそれに応える為に自身の限界まで腕を伸ばし…彼の手を取る。
「…口閉ジテロ、舌噛ミ切リタクナイナラナァ!!」
そう言って彼女を自身の元に抱き寄せてから翼脚を広げ、岩の隙間を縫う様に飛翔する黒龍護。翼脚に岩の破片や小さくはない岩がぶつかるも動じる事なく飛び続け…崩落していない足場まで到着。すぐに彼女を放す。
「…柄ニモネェ事シチマッタ…コウイウノハ白ノ役目ダッテノニヨォ…」
「…なぁ、偽…いや。龍護」
「俺ハオ前ノ知ル白ジャナイ、…黒トデモ呼ベ」
黒龍護は勇儀が龍護と呼んだ事に拒絶、と言うより自分は彼女の知る龍護…白ではないので龍護と呼ばせず、黒と呼ばせる事にした様だ。勇儀もそれが助かったのか、すぐに彼が提案した呼び名で呼び始める。
「そうか…黒、さっきは助けてくれてありがとうな。私…死んだかと思ったよ」
「俺トシテハ見捨テテモ良カッタガ、ソウナルト白ガブチギレテ止メレナクナル…ダカラ助ケタ、最低ナ奴ダゼ?感謝ナンテシナクテ良イ」
「…お前が最低な野郎だとしても、見直しはしたよ。お前はなんと言うか…命をなんとも思ってない感じがしたから腹が立ったんだ。生き物を殺す事に忌避感とかがない様に思えてな…そう言う観点からお前は龍護の鏡写し、ってか中身みたいな奴の癖に気に食わないかったからだけど…本当にありがとうな」
「…俺ハ其処マデ立派ジャネーヨ…ハッ、ソレハ白ニ言ッテオキナ…一応アリガタク受ケ取ッテヤルガ、ソレハ俺ミタイナ奴ニ掛ケル言葉ジャネェ」
黒龍護は自身が破壊衝動を具現化した存在だと完全自覚しているからだろう、そんな自分は感謝されることはお似合いじゃないと感じつつ勇儀のお礼を受け取りはするが、本来の龍護の方にも言っておけと語る黒龍護。勇儀もそれはわかっているか、頷いて返す。
「…ハア、久々ノ戦イダッタガ、白ガ予想以上ニ奮闘シタカラナァ…少々ツマランナ…」
「お?それなら私と組手でもするか?」
「…イヤ、諸事情デ遠慮シテオク」
「そうか、…それと龍護の事についても話してもらうぞ」
「…ハイハイ、ワアッータヨ」
少し空気が冷えたがこうして雷神龍、ナルハタタヒメの討伐に護龍、そして鬼達は成功したのだった。そして萃香と合流し、大穴の付近にナルハタの触手?発電器官?の様なものが落ちていたので戦利品としてそれを回収。大翔蟲を(彼等の好物で上手い事釣って)使って龍宮砦跡を立ち去った。…尚狩猟笛は黒龍護の想定外で乱暴な扱いに耐えきれず、完全にひしゃげてしまっていた…。こりゃ鍛奈さん怒るよ。
場所は変わって砦跡に出来た大穴の底…其処には1匹の龍が死んだかの様に横たわっていた。しかしよく見ると、その龍の目には光が灯っており、まだ死んでいない様だ。彼女は自分をこんな大穴に叩き落とした3人に対して大きな恨みを募らせており、その3人に悟られぬ様に、静かだが怒りを込め前脚で地面を削る様に引き裂く。
「CYUII…CYUOO…!!!」
彼女は自身の失った力を取り戻す為、自身の番となる龍を呼び寄せ待ちながら、忌々しい3人の顔を自身の記憶に刻みながら眠りに就く…厄災の淵源と化するその日まで、空いた大穴を微かに戻った磁場操作の力で空中足場や周囲の岩を使って埋めて自身の存在を秘匿した。
と言うわけでナルハタ戦は完結。次回は黒龍護君が龍護や自分の事について語ってくれるそうです。喧しい子だからなぁ、変な事言わなきゃ良いけど…
因みに龍護にはメインヒロイン&候補の方々が居ますが、黒龍護君には居ません(これにはちゃんと訳ありだったりする)。
もこたん♂の番外編を書いた方が良いですか?
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書いてもOK
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前作で書いて
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書かなくて良いから話を進めてくれ
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新しくそれ用の小説を作って書こうぜ!
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あの馬鹿に託そうぜ!
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(書けば)止められんよ、流れ始めたry