守護龍として造られたらしいけど、特に護る義理はないので好きに生きます   作:シェリーザ

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エアライダーの魔力に魅入られて爆走していたシェリーザです。ハイドラで他人のマシン破壊するのは実に気分が良い…!!最高にハイって奴だァ!!

それと作者が試験期間に入りましたので投稿遅れました。次回も恐らく遅れます。


【幕間】西欧の爵銀龍と紅の吸血鬼一族(後編)

「…QUAAA!!」

 

「「「…!!」」」

 

「GYAOOO!!?」

 

「GYIAAA!!?」

 

「CUAA!!?」

 

戦場に舞い降りたメルゼナは、早速と言った様子で3匹の竜…バゼルギウス、ブラキディオス、ディノバルドにまるで命令を出す様に翼で指し、自分についてきているキュリア達を飛ばす。3匹の竜はそれぞれの武器である爆鱗、前脚とそれに纏わりつく細菌粘液、尻尾を使ってキュリア達を容赦なく殺していくが、何匹かは抜けて竜の体に付着する…すると次の瞬間、竜達は痛みを訴えるかの様に狂った様に暴れ始める。

 

「な、なんだ!?あの竜は何をしたんだ!?」

 

「いや、竜自体は何もしてねぇ!多分あの赤い蛭が竜達の正気を失わせている!!」

 

その様子を目の当たりにした吸血鬼の一匹が動揺しながら自分の疑問を吐露し、その質問に竜達の容態を注視していた吸血鬼がメルゼナ…いや、キュリアが何かをしたと答える。

 

メルゼナ達を観察していた吸血鬼のその推察は見事的中している、キュリア達は基本的に生物の持つエネルギーを吸い尽くして殺す…または自分の宿主に還元すると言う生態を持っているのだが、その吸血に似た行動の際、吸血対象に毒を流し込んでいるのだ。蚊が人間の血を吸う時、自身の唾液を人間の肌に注入する様に。

 

しかし此処で厄介なのが、蚊は刺された部分が痒くなると言う軽い後遺症で済むのに対し、キュリア達が流し込む毒はそれ程度では済まされない。キュリア達が流し込む毒というのは特殊な神経毒であり、これを注入された生物は体に異常をきたして非常に獰猛になり、吸血された生物が獰猛化するとその毒が完全に血液中に溶け込み暴走する…という悍ましい効力を持っている。無論人間が吸血対象に選ばれると最悪死が待っているわけである。

 

「…QUOO」

 

「…此奴等を倒せ、って事か?」

 

「…『コクッ』」

 

「…凶暴になっているが、逆に好都合だ!正気を取り戻す前に討伐する!!」

 

キュリアをバゼル達に嗾けたメルゼナは、自分の近くにいた吸血鬼を一瞥する。吸血鬼は彼の意図を汲み取ったのか、その言葉を口にすると…その言葉を肯定する様に首を軽く縦に振るメルゼナ。冷静さというのは戦いの上では非常に重要なものだ、それを失ってるバゼル達を狩猟しろと、メルゼナが自分達に言った様な感覚になった吸血鬼は、周囲に残っていた数が少なくなってる吸血鬼と共にキュリアの毒に侵されているバゼル達の討伐に向かう。

 

そんな吸血鬼達を見届けたメルゼナは、今度は自分の目の前の風神龍イブシマキヒコに視線を向ける。イブシは恐喝紛いの咆哮でメルゼナを袋叩きにする予定だったのだろうか、3匹の竜に対し何処か惜しそうな雰囲気を見せているが…メルゼナには、そんな事は一切関係ない。早速右翼を地面に叩きつけた後、大地を引き裂く様に振り上げて岩と共に衝撃波を飛ばす。

 

「CYUOO!!」

 

「…QUAA!」

 

対処する側のイブシは自身の力で岩を浮遊させ、それを器用に動かして飛んできた岩を防ぐのと同時に高く浮上して衝撃波を躱している。しかしメルゼナは既に次の手を打っており、イブシと似た様な錐揉み回転でのタックルをイブシにお見舞いする。イブシはタックルを受けて吹き飛ばされはするも、自身の光る器官を巧みに使い空中で見事に停止、反撃に気龍弾を数発放つ。

 

「…QUO!」

 

『…!!』

 

「CYAO!?」

 

気龍弾を受けるつもりがないメルゼナは、先程3匹に飛ばしたキュリアを十数匹呼び戻した後自分の周囲に飛んでたキュリアも併せて赤色のエネルギー弾を、飛んできている気龍弾と同じ数だけ作り出す。そしてそのエネルギー弾を翼で打ち出し、気龍弾にぶつけてそれぞれを相殺させていく。自分の攻撃をいとも簡単に打ち消した様な様子に、イブシは動揺しており、メルゼナはその動揺を見逃す事なく龍にしては非常に華奢な細身の身体で地面に亀裂が入るほどの力で飛翔しイブシに追いつき…

 

「…QUA!!」

 

「CYIAAAA!!?」

 

白銀の翼についている金色の爪でイブシの頭を掴み、そのままフリーフォール。彼等に待ち受けるのは…先程まで自分達がいた大地。このままでは2匹は地面と激突するわけだが、メルゼナは古龍にしては比較的小さめの体格を利用してイブシの上に乗っており、対するイブシは見た目以上の力で己を制圧してくるメルゼナの爪を剥がせず、地面に叩きつけられる。

 

己の身体を駆け巡る激痛に、イブシは悲鳴を上げているがメルゼナはそのまま追撃に入る。イブシの頭を掴んでいる方の翼をイブシごと引き摺り、そして振り払う様に振り抜く…と。イブシを投げ飛ばすのと同時に、翼を振り払った衝撃であろう地面をも穿つ衝撃波も放ちイブシに傷を負わせていく。

 

「…QUAA?」

 

「CYI、CYUOOOON!!」

 

そこら辺の岩盤に叩きつけられ、地面に倒れ伏すイブシ。そんな彼の元に高貴な歩みで近寄り、まだやるつもりか、という様に鳴くメルゼナ。対するイブシは自身のプライドか、或いは古龍としての意地か、兎に角退くつもりはない様で直ぐに起き上がって威嚇する。メルゼナはその様子にやれやれと首と翼を振っており、首をとある方角に向ける。イブシもそれに釣られて見てみると…

 

 

 

「あの竜の仲間?の蛭のお陰で、此奴等を楽に倒せたぞ!」

 

「生命エネルギーを吸ってくれてたのでしょう、かなり動きが鈍くなってました」

 

どうやら自分が呼んだ取り巻き達…バゼル、ブラキ、ディノの3匹は吸血鬼達に全員討伐されており、3匹に張り付いていたキュリア数十匹がメルゼナの元に飛び立ち、彼の紅い毛らしき部位に止まる。イブシがまだ動き出していなかったので、メルゼナは彼等が吸ってきた生命エネルギーやらなんやらを今のうちに受け取っている。

 

「しかしそれでも結構な数がやられてしまった…」

 

「冷静さや持ち前の体力の高さを失っていたが、その分力などが驚異的に跳ね上がっていたな…」

 

しかし吸血鬼側にも犠牲は出ていた様で、もう残り十数人と肉眼で数えれるぐらいにしか残っていない。加えてその生き残った吸血鬼達も殆どが戦闘不能であり、仮に戦闘可能だとしても龍同士の戦いに横槍を入れれば死は確実…そう直感していたので下手に動かず、此処は大人しく撤退を選んだ様で生きている吸血鬼達を負ぶったりして戦場から逃げていく。

 

無論イブシは見逃すつもりは一切ないのたが、メルゼナは彼等を守る様に立ち塞いでいる為、追い討ちを掛けようにも掛けれない…逆にこっちが下手に仕掛ければ、一気に倒される可能性があったからだ。イブシは自身の脅威になり得よう吸血鬼達が逃げる様を悔しそうに睨んでおり、メルゼナはキュリア達からの供給を終え、翼を構えた…その時。

 

「貴方達、だぁれ?」

 

龍達の戦場に響く、戦場に似合わない無邪気な声が響く。メルゼナも、イブシも、驚きの余り自分達の状況をも忘れてその声の源に向かうと…そこには木の枝の様な翼に、虹を構成する7色の宝石の装飾を付けてる金髪の少女が居た。2匹の龍はそれを見て、恐らく吸血鬼ではないのか?と考える。

 

先程の吸血鬼達の中に、この少女はいなかったのだがこの近くには人間やら人型の生物というのはあまり存在していない。メルゼナはそれを分かってるからこそ、その少女が吸血鬼だと確信を持てた…だが、それはそれで問題が起きてしまった。

 

「……!!」

 

「!?QUAO!!」

 

「え…」

 

イブシは後の自分の脅威であろう吸血鬼と思われる生物を見つけたのだ、無論今は子供だろうと成長して己が起こした騒動を知れば己を殺しにくる可能性が高い。なら、今この場で叩き潰そう…そう思考したイブシの行動は早かった。イブシはメルゼナを無視して少女の近くまで泳ぐ様に空を漂い、直ぐ様少女の目の前に辿り着く。金髪の少女は突如自分からある程度離れてた筈の蒼い龍が目の前に来ている事に、動揺している様で動きを止めていた…メルゼナはその少女を守る為、右翼を少女を庇う様に伸ばした…次の瞬間。

 

「CIAAAAA!!!」

 

「…QUAA…!!!」

 

「白い竜…さん…?」

 

イブシの赤黒い稲妻…龍属性のエネルギーを纏った尻尾の叩きつけが少女を庇ったメルゼナの右翼に見事命中。更にはメルゼナの弱体化を図り…

 

「CYII…CYUOAAAAA!!!」

 

「QAOOO…!!?」

 

「…っ!?白い竜さん…!?」

 

右翼の根本を龍属性特有の赤黒い稲妻を纏った右前脚で掴み、左前脚でメルゼナの胴体を抑えつけ…イブシが持つ全力を以て、メルゼナの右翼を引き千切った。メルゼナは激痛に顔を歪めるも、自身の近くにいる金髪の少女を隠すようにイブシとの間に立ち…

 

「QYUOOOO……!!!」

 

「CYUO…CYUAAA!!!」

 

引き千切られた激痛で苦しそうに地面に倒れ伏しており、左翼を使い右翼があった部位を抑えている。イブシは『どうだ、やってやったぞ!!』と言いたげな雰囲気を出しており不適な笑みを浮かべているように幻視する…が、龍属性を自分の腕や尻尾に纏った影響か、両前脚と尻尾が痙攣する様に震えており、これ以上は吸血鬼達を根絶やしにしたくてもまともに戦えないと判断したか、逃げるは勝ちとでもいうかの様に空へと昇りどこかへ姿を消したのだった。

 

「……っ!!そうだ、姉様にこの事を…!」

 

そしてメルゼナによって姿を隠された金髪の少女はメルゼナをその場に置き、どこかへ走り去るのだった。

 

〜〜〜〜〜

 

「ただいま帰還しました、お嬢様」

 

「…よく、よく生きて帰ってきた。…帰ってきたのはお前達だけか?」

 

「ええ、私と先程の11名だけです、…とはいえそのうち3人は恐暴竜が持つ力にやられてて危篤状態ですが」

 

…最初は何人かだけが死ぬ運命だったというのに…あの蒼の竜のせいで、もう12人しか居ないじゃない…いえ、泣き言は言ってられない…お父様とお母様が死んだということは、私がこの紅魔館の次期当主となる。…今は仮当主であるが、それでも戦いに行かなかった私が従者に情けない姿を見せるわけにはいかない。

 

「…いや、生きて帰ってきてくれただけで私は満足だ。…父上と、母上が使っていた武具は…」

 

「無論、回収してきています…」

 

「…そうか、ご苦労だった…あとはゆっくり休んでくれ…」

 

「はっ!」

 

……そう言ってお父様が使っていた執務室から出ていく今の紅魔館で戦闘が行える吸血鬼の1人。今紅魔館で戦えるとは彼を含めた9人の吸血鬼だけで、今竜の群れなどに来られれば今度こそ紅魔館は完全に滅ぼされる…私も戦える様にならねばならない。とはいえ私は槍が得意ではあるが、お父様が扱ってた突撃槍は大きすぎて無理だが。それに経費や給料、恐らくこの戦いで紅魔館からの退職をする者もいるだろうしその退職金を…

 

「お姉様!!」

 

「ん?どうしたの、フラン?」

 

当主としての責任を果たそうと深く考えようとしたところで、私の残る肉親、妹のフランドールが執務室に大きな音を立てて入ってくる。もう少し静かに入りなさいよ…

 

「そんなに慌ててどうしたの、まさかまた竜が攻めてきたりなんて…」

 

「違う!お姉様、紅魔館に医者の人居たよね!?」

 

い、医者か?医者の者は一応いた筈だが…何故医者なの?貴女は別に怪我してるとは思わないのだけど…

 

「え、ええ、今は皆の治療に専念してるけど…」

 

「その中で、竜に詳しい医者はいない!?」

 

「りゅ、竜に詳しい医者!?それまたどうして…」

 

竜に詳しい医者!?…確か竜の毒を使った解毒薬を作ったりする医者の吸血鬼はいたけれど………ちょっと待って、まさか…フランは…!!

 

「…ねえフラン、怒らないから答えてちょうだい…貴女、白銀の竜と会った?」

 

「……うん、会ったよ。会ったけど…」

 

「けど?」

 

「…その竜が、私を庇ったせいで…右の翼を青い竜に捥がれて…!」

 

……やっぱりそういうこと。…これは医者を連れて行かない方が良いわね、無駄な犠牲を出すわけにはいかない。

 

「…フラン、医者は要らないわ」

 

「え!?でも…」

 

「…謝りに行くわよ、白銀の竜さんに」

 

〜〜〜

 

金髪の少女…フランが自身の姉であるレミリアを連れて、戦場だったこの地に戻ってくる。2人は白い竜…メルゼナの身を思案していたが、

 

「…QUOO…」

 

激痛はもう治ったのか、今は大人しくしており右翼があった部位にはキュリアが群がっておりそれでうまく止血措置をしたようだ。さてそんなメルゼナはレミリアとフラン…自身の翼を捥がれる事となった間接的な原因となるフランを静かに見つめていた。

 

「…白い竜さん、この度は私の妹が貴方達の戦いに出しゃばり、貴方に要らぬ負傷を負わせた事、お詫び申し上げます。…ほら、フラン。貴女も」

 

「…ごめんなさい、竜さん」

 

そんな静かなメルゼナの様子に恐怖を覚えつつ、メルゼナに本来なら負う必要の無かった大怪我を負わせた事を謝るレミリアとフラン。メルゼナはそんな2人を変わらず静かに見つめていたが…突如、左翼を広げ、2人を隠すように翼を自身の前に持ってくる。

 

「え…」

 

まさか喰われるのでは、恐怖からそう思い目を瞑るレミリア…だったが、彼女に襲ってきたのはメルゼナの血に塗れていそうな牙ではなく、首筋への一瞬の痛みだった。そう、彼が取った行動は吸血、自分達と全く同じ行為をしたのである。とは言え人間の子供の体格であるレミリア達に対してメルゼナは人間の2倍以上の大きさを持つ龍、ちょっと(レミリアにとっては4、5割だが)吸った程度では満腹にならなかった様で、フランにも吸血を行なっている。

 

「…一体どういう…」

 

「…QUA、QUA、…オ前達ニ、聞キタイ事ガアル…」

 

レミリアがメルゼナに『どういうつもりだ』、そう尋ねようとした時フランの血を吸い終えたメルゼナから片言の人間の言葉が響く。レミリア、そしてフランはその言葉に驚きメルゼナの方に振り向き彼の頭をみている。恐らく彼は血と同時にレミリア達の妖力も吸っており、故に声を出す器官が無くとも話す事を可能にしたのだろう。実際とある護龍は妖力を扱える(扱ってない)ようになってから喋っている。

 

「…な、何かしら…」

 

「…私ハ本来、オ前達ナド守ル必要ハナカッタ。守ル必要ナドナイトイウノニ…何故カ、オ前達ヲ守ラネバト、此処数年間ハソウ思ワサレタ…オ前ハアノ時、私ニ何ヲシタ?」

 

メルゼナが尋ねたのは何故レミリア達を守ったかについて、側から見れば彼が勝手に吸血鬼達を守ってるように見えるだけだが、よく考えてみるとメルゼナが吸血鬼を守るメリットなんてあまりない。強いて言うなら吸血鬼達からの信頼や信用を得るぐらいだが、彼からすれば不要な物だ。

 

そうであるにも関わらず彼は今回の戦いに介入し、結果犠牲は大きものも吸血鬼を守っている。彼からすれば吸血鬼など有象無象の塊に過ぎない、しかしそれを守らされる…そんな時に彼はとある結論に至った。それが自分が偶々助けた人間…いや、吸血鬼だろう。その者が自分に暗示やらなんやらを掛けているのではないか、そう考えた彼はあの時助けた赤子であったろうレミリアに問い詰める。これにレミリアは…

 

「…ええそうよ。私が、私が…私達が生き延びる運命を掴むために、貴方の運命を操ったわ…それを今変えようにも、あの時の私は死に物狂いだった、生き延びる為にその運命を非常に強く手繰り寄せたみたいで今の私でも変えれないわ…ごめんなさい…」

 

「…ソウカ、ナラ…オ前ヲ殺セバ、私ハコノ呪縛カラ解放サレル訳カ」

 

正直に返答をする。この返答を受けたメルゼナは、自身をそうさせている原因がレミリアということが判り、その呪縛から解放される為残る左翼をレミリアに向ける。レミリアはその翼を向けられてもこれは自分の受け入れるべき罪だと理解してるからか、動じることなくその場に立ち尽くしている…だが…

 

「待って!!」

 

「フラン…?」

 

「…邪魔ヲスルナ、オ前モ本当ナラ殺シタイガ、コノ者ガ原因ダト自明シテイル。今ナラ見逃スガ…邪魔スルナラ容赦ハシナイゾ」

 

その間に割って入ったのは…なんとフランだった。フランはレミリアを庇うように立っているが足は震えており、メルゼナに恐怖しているのは聞くまでもない。メルゼナは不気味に紅く光る眼光でフランを睨むも、フランは怯む事なくレミリアの前から動かない。

 

「フラン!貴女は下がってなさい、これは当主命令よ!!」

 

「嫌!確かに私が生まれる前に、お姉様は竜さんに手を出してたのかもしれない、でも今回は私のせいで翼を無くしたってのに、私じゃなくてお姉様を殺す?そんなの駄目よ!!殺すなら私を…!!」

 

「馬鹿な真似はやめなさいフラン、私は貴女の将来を思って…!!」

 

このままでは口喧嘩が始まる、そう思われた時。暗かった周囲が段々と明るくなり始める。悲劇の夜が終わり、朝を迎えようとしてる訳だが…レミリア、フランにとってこの状況は全くよろしくなかった。

 

「!?日光が…」

 

「しゃがんで、フラン!!」

 

そう、吸血鬼の中でも代表的で、そして最も確実に殺せる方法である太陽光。辺り一帯を照らし始め、太陽が登ってくるのも見える。こうなると日傘が欲しいが、そんなのは持ってない。苦肉の策、というわけでレミリアが日光に焼かれることを覚悟して自分の身体でフランの身体を庇い、日光に焼かれ始める…と思われていたが、その痛みはない。レミリアが恐る恐るで頭上を見ると…そこには紅い翼膜があった。どうやらメルゼナが自身の翼を日傘代わりにしてくれた様だ。

 

「…なんで私達を助けるの…?」

 

「…少シ気ガ変ワッタ。此処デオ前ヲ殺シテモ、ソノ小娘ガ私ニ復讐シテクルダロウ。ソレニ…オ前達ヘノ殺意ガ湧イテモ、イザ行動ニ移ストナルト私ノ中デ抵抗ガ起キル……無理ヤリ殺シテモ構ワナイガ、オ前達ガ死シタ後ニ私ノ生涯ニ介サレテモ面倒ダカラナ」

 

メルゼナとしてはレミリアを殺しても構わないが、そうなると今度はフランが自分に姉の敵討ちをしてくる可能性が出てくる。どちらもまとめて殺せば良い話であるが、彼はレミリアに『()()()()()()を助けてもらう』という運命にされている。それのせいで殺意があっても殺したくないという状態にされており、これで変に目の前の2人を殺した後、他の吸血鬼を相手にした時変に自分が狂っては目も当てられなくなる。故に彼は…

 

「…オ前ガ私ノ運命ヲ変エレルマデ、暫クオ前達ヲ守ッテヤル」

 

レミリアが自分の運命を変えれるようになれるその時まで、彼女を守ることを選んだようだった。この言葉にフランは純粋に喜んでおり、レミリアは固まっていた。

 

「それって…お姉様を殺さないって事…?……やったー!!これでお姉様と一緒に生きられる!」

 

「…え、本当に良いの…?貴方は別に私と関わらなくたって…」

 

「結局オ前達ガ窮地ニ陥レバオ前ノ元ニ来サセラレルカラ関係ナイ、一先ズ…オ前達ヲ屋敷ニ連レ戻スゾ」

 

「うっ…それは確かに…じゃあお願いするわね。…それとなんだけど、貴方の名前は?私はレミリア、レミリア・スカーレット。こっちは妹のフランドールよ」

 

「フランだよ!よろしくね!」

 

「…私ノ名ハメル・ゼナ…ソレダケダ」

 

「…分かったわ、それじゃあメル。これきらもよろしくお願いするわ。さて、私の従者達には…」

 

〜〜〜

 

そしてその日の夜…

 

「紅魔館に勤める皆に、報告がある。先日の竜の進行を受け、我々が受けた人員への損害について頭を悩ませていたが…その問題を解決してくれる者がこの紅魔館に来てくれた。少し外へ出てくれ」

 

「1人なのか…?」「先日受けた被害は戦闘員100名以上…それを補うってのか?」「もう此処もダメそうだな…」

 

 

 

「…皆に紹介しよう、此度我々に力を貸してくれ、私の専属従者となった…」

 

「…メル・ゼナダ。以後ヨロシク頼ム」

 

「…というわけで、これからメルと仲良くしてもらいたい…それが無理だと思うならば、此処を辞めてくれても構わない。選択は君達に任せる」

 

『…此処に居させてください』

 

「そうか、…ではこれからも頑張ってゆこうか」

 

「…オ前ガ私ノ運命ヲ操レル様ニナルマデダカラナ」

 

「無論、それは理解してるさ…」

 

 

 

そうして紅魔館には後に七色を扱う魔法使い、気を扱う無名の妖怪、そして時を操るメイドが住人として加わることとなるのだった。

 

〜〜〜〜〜

 

メルゼナが実質的に紅魔館の番龍となったこの頃…メルゼナが見張ってた大穴にはメルゼナが従えているキュリアとはまた別の、キュリアの大群が穴の中に入り込んでいた。

 

穴の底は非常に深いらしく、このままでは地球の中心に行くのでは…?と思われたがそこまでには至らなかった様で、キュリア達は穴の底にたどり着いた。そしてそこにいたのは…

 

全身が灰色に近い藍色で、あの護龍と戦った嵐龍よりも更に大きく、背中や前脚、尻尾などに血の様に紅い結晶が大量に生えているまさに深淵の悪魔とも呼べる龍。その龍は穴の底に飛び込んできたキュリアの達を…巨大な口で吸い込み、なんと喰らい尽くす。どうやら彼等は龍に使役されていた様で、喰われる寸前であっても逃げる様なことはせずにそのまま飛んでただけであったのだ。

 

キュリアの捕食を終えた龍は近くの手掘りと思われる大穴に振り向き、採掘を開始する。そして…狙っていたのだろうか、その大穴の辿り着く先は、とある東洋の島に埋められている無限のエネルギーを秘める資源を生み出す源泉へと向かっていた…




というわけで紅魔郷か地霊殿の大ボスが決定しましたね。地霊殿で出てきたとしても、これに関しては守矢は本当に悪くありませんからね。

因みにメルゼナが喋れて、自分の名を理解してる理由は古龍特有(?)の高度な知能を所有してるからです。何処かの護龍と違って天然産の古龍ですからね。

何かしら人気ありそうな方々で人気投票をやってみた

  • 白崎龍護
  • 八雲蒼焔
  • クロ君
  • メル・ゼナ
  • 怨嗟マガイマガド
  • ヌシジンオウガ
  • 藤原妹紅♂
  • 鋼華刹那
  • マガイマガド(コテハンニキ)
  • ゴルベーザ
  • ハン
  • イストワール(図書院長)
  • シン
  • 霍青娥(やべー方)
  • 作者「え?」
  • ラインハルト卿
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