守護龍として造られたらしいけど、特に護る義理はないので好きに生きます 作:シェリーザ
最近面白いハーメルン小説が多くて困る、話にめり込んじゃうね。
雷牙、華扇が様子見で離脱し代わりに殺意が溢れてる幽香とエスピナスが加わったアトラル・カとの戦い。龍護はエスピナスの全身に血管が浮かんでる事から激怒しているのだろうと察し、彼が攻める時は援護に努めようと言うわけで円月の構えを解放。戦場に翔蟲の糸が円状に展開され、龍護がそのままの勢いで踏み込んで斬りかかる。
アトラル・カは彼の太刀を受けるわけにはいかないので担いでいた撃龍槍を下ろして防ぎ、両鎌に撃龍槍を抱えてぶん回す。それに対して彼は納刀して抜刀して見切り、アトラル・カに刃を当て…ようとするが撃龍槍の先を地面に叩きつけ、それを基点にして自分が遠心力で振り回される事で回避。そのまま着地して速射砲で彼を撃とうとするが…
「へえ…貴方、意外と頭が回るのね。…まあ、視界があんまり広くないのは減点だけど」
「ルカ、左側面から花妖怪の攻撃がくる!!」
「キィ…!!」
「あら、上の貧乏神…で死角を補ってたの。…でも私ばかりに目を向けちゃダメよ」
「GUOOOO!!!」
着地地点の近くに幽香が傘を構えて待っており、紫苑の言葉でアトラル・カはなんとか大型弩を犠牲に防ぐが…幽香に気を取られていた彼等は背後から来ていたエスピナスに気付けず彼の尻尾によるムーンサルトを無防備に受け吹き飛ばされて岩柱に激突。衝撃で土煙が発生し龍護は幽香達の元に駆け寄り、円月の構えの都合上ギリギリのラインからアトラル・カ達の様子を見るが…
土煙が晴れそこから見えたのは…紫苑を両鎌で庇い、地面に座り込むように倒れているアトラル・カ。紫苑は彼の両鎌から抜け出して両目が潤んでいるのが遠目でも分かるぐらいに彼を心配しており、彼の顔部分を揺さぶっている。今の彼は背中の王冠の様な飾りが欠けており、腹部の先も同じく欠けていた。紫苑の声掛けの甲斐もあってかアトラル・カは立ち直るも顔色が悪くなっており、少し青くなってる様にも見える。
「ルカ、大丈夫!?私を庇わせてごめんなさい…!!」
「…ギギ、お前は不要な心配をするな…それよりまたアトラル・ネセトを作る…あれも引っ張りあげるから頼むぞ」
「…うん」
アトラル・カは少し動きが鈍いながらも地面に大量の糸を放ち再び瓦礫の山を引き上げ、再び自分の周囲に糸を放って繭を作り出す。龍護はそれを見て今のうちにダメージを与えておこうと思い、太刀を投げ命中。だが繭の内部から抜かれて地面に落ちそれと同時に円月の構えも一度解除、瓦礫の山が糸によって意思を持ったかの様に組み上がっていき…再び瓦礫の巨竜アトラル・ネセトが降臨する。
幽香とエスピナスは初めて見たアトラル・ネセト形態に少しばかり驚きを露わにしており、龍護は攻略方法を先程理解した為破壊しようとするが…問題は彼の武器である太刀がアトラル・ネセトの糸に巻き込まれてしまい、アトラル・ネセトの頭部辺りに柄が出てる状態になっている。彼は困った表情になりそれを横目に見た幽香は彼に尋ねる。
「…どうかしたの、慌ててるみたいだけど。ってか貴方も前と変わったわね、前会った時は全身真っ白なのが白黒になってるし顔も出てるじゃない」
「それは良いんだが…奴の頭部に太刀を巻き込まれてしまってな、あそこ迄無理やり登って取りに行ってもいいんだが…」
「その間に彼奴等が暴れるのを杞憂してる…ね、そうねぇ…多分あの瓦礫の竜って、糸で動かしてるでしょう?ならそれを潰してあげるわ。あとは…分かるわよね?」
「…すまん、感謝する」
「言葉はいいからさっさと行動しなさい、…緑竜さん、あの糸を破壊するわよ。一度その怒りを鎮めて私に協力してちょうだい」
「…GWAOOO」
彼の言葉から即座に自分のアトラル・ネセトへの予想を立て、それを早速実行に移そうと決定する幽香。彼女等に龍護は感謝を述べ、一時的に白く輝く結晶…神竜結晶で簡単な太刀を作りアトラル・ネセトへ直行。幽香も瓶を取り出して蓋を開け、その中身をエスピナスに嗅がせ…彼を落ち着かせる。恐らくアロマなどの類だろう。
ドゴオオオオン!!!
冷静になったエスピナスを率いて、アトラル・ネセトの攻略に向かおうとする幽香達…だったが。その時戦場に轟音が響いた。龍護は一度足を止めて周囲を見渡すと…上空に巨大な砲弾が放たれておりそれの大まかな着弾地点を予測すると…幽香達の現在地に落ちる事を理解する。それはまずいと思った龍護は彼女等の方に振り向いて大きく叫ぶ。
「今すぐそこから離れろ!!爆撃が来るぞ!!」
「っ…!聞いたわよね、今すぐ逃げるわよ!」
「GUOAAA…!!」
龍護の叫びを聞き幽香も一瞬上空を向くが確かに自分達に向かって砲弾が落ちてきており、彼女は急いでエスピナスを急かして離脱をする。その間にも砲弾と彼女等の距離は縮まっていたが…なんとか彼女等は離脱に間に合い、その直後に砲弾が着弾。そしてその刹那。砂漠地帯を吹き飛ばす勢いの大爆発が発生。龍護は火耐性に全振りした妖竜結晶で爆風と衝撃を防ぎ、幽香達はそれ等の影響で吹き飛ばされたが軽く済んだ。
「無事か幽香、エスピナス!?」
「私達の心配は良いわ…それよりこの緑竜さんはエスピナスっていうのね…なら今から貴方の事をエスナって呼ぶわよ。エスナ、あの蟷螂を絶対に殺すわよ…!!」
「…GUOAAA」
吹き飛ばされた彼女等の方を向き安否を確認する龍護、そんな彼の言葉に幽香は…笑みが消えた殺意を宿らせた真顔で傘を握りながら立ち上がっており、彼女の横にいたエスピナス改めてエスナは彼女の見せた殺意に少し畏れを露わにしたが…それで怯んでは竜の名が腐るので畏れの感情をすぐ消して、アトラル・ネセトの方に向き合う。
よく見るとアトラル・ネセトの背中に巨大な砲塔…破龍砲が架けられておりそれの発射口から煙が噴き上がっている事から、先程の爆撃は破龍砲の一撃だと判明する。破龍砲はその威力故に次の発射までの猶予があるので一先ず連続で飛んでくる心配はないのだが…龍護はアトラル・カの貯めていた兵器の種類や数に言葉が出なくなっていたが、アトラル・カの制止の為結晶の太刀を携えてアトラル・ネセトの前脚の糸を破壊しに向かう。
「奴の足元に潜り込めば砲撃は来ない、踏みつけや突進に警戒しながら来い!!」
「ええ、こんな鈍重そうな奴の動きなんて見えるわよ!エスナ、私を奴の所まで飛ばしなさい!!」
「GYAOO!!?…GUAAAA!!!」
ひと足先にアトラル・ネセトの足元に潜り込むことに成功し、攻撃を開始する龍護。幽香達も向かおうとするが…やはり紫苑の援護射撃が厄介なわけであり、それを鬱陶しく思っていた幽香はエスナに自分をアトラル・ネセトに届くまで投げ飛ばせという。
勿論その言葉にエスナは驚きを示すが…彼女の目を見て自分が何を言っても無駄だと察したか、彼女を自身の頭部に乗せた後全力で上向きに振り抜いて彼女をぶん投げる。かなりの速度と勢いがつくが幽香はそれを気にせず、空中で受け身を取って体勢を整えアトラル・ネセトの脚を破壊どころか崩落させる衝撃と共に着陸する。
「…何というか、野生的だな」
「そう?私は面倒と手間が嫌いだから、手っ取り早く済ませたいだけよ」
「…それは良いが、エスピナス…エスナ殿は?」
「あの子にはごめんだけど、弾除けになってもらうわ。ガラクタの上にいる奴の視線を引いて頑張らせるだけよ」
「かなりえげつないな…」
幽香が奇想天外な方法で到着した事にドン引きしている龍護、そんな彼に自分の意見を伝えてすぐさま愛用の日傘でアトラル・ネセトの糸を攻撃して解いていく。幽香の攻撃を横目に自身も桜花鉄蟲気刃斬と気刃兜割で攻めつつ、彼女を投げ飛ばさせたエスナについてどうするかを尋ねたが…恐ろしい言葉が気のせいでなく真面目に聞こえたので苦笑いが出た。
それはさておき幽香の全力の攻撃もあってアトラル・ネセトの右前脚の糸が切れて、アトラル・ネセトが機能停止する。彼女は直様アトラル・ネセトの脚を伝って背中へと登り詰め、龍護も脚を伝ってアトラル・ネセトの頭部付近へ移動し刺さっていた神斬・雷禍滅裂を回収し幽香の元へ合流する…だがアトラル・カ達は無抵抗なわけではなく、アトラル・カが復旧に努めている間紫苑が代わりに動く。
「…花妖怪である貴女の話は聞いてるわ、私なんかより遥かに強いって事も。…でも、ルカの事を殺すというなら…私は貴女、いえ…貴女達を許さない!!スペルカード発動、龍禍『シールイロゥジョン』!!」
「…この力にスペルカード…成程、道理で霊夢がやられるわけだわ」
「回収が完了したが…タイミングが悪かったな、まさかスペルカードを使用してたとは」
「私は彼女の面倒を見といてあげるから、貴方は
「…了解した」
紫苑が自分を蝕んでる龍属性の力を乗せた弾幕を放ち、幽香達を抑制する。龍護は先程拾った神斬・雷禍滅裂で防ぎ、幽香は日傘で弾幕を弾いているわけだが紫苑は弾幕の出力を調整してないのだろう。明らかに異常な龍属性を纏った弾幕が、異常な密度で放たれており流石の幽香と龍護も防戦一方…だったので、幽香がアトラル・ネセトの破壊を龍護に託す。託された彼はと言えば幽香が日傘を差してるのを確認した上で、とある玉を手から取り出しそれを紫苑の方に投げる…と。
「!?目が、目が痛い…!!」
「…貴方ね、私が日傘差してるからって遠慮なしに目潰し仕掛けないでよ」
「それはすまなかった、では相手を任せたぞ「本当に申し訳なく思ってる?」…無論思ってるぞ」
それが破裂して周囲に過剰な光を放つ、なんの対策もしてなかった紫苑は光…いや閃光の影響をモロに受けて膝をついて目を庇っていた。幽香は勘で咄嗟に日傘の影に隠れて閃光をやり過ごしたが…彼に苦情を申し立てており、龍護も彼女に一言謝ってからアトラル・ネセトの破壊に移行。蜘蛛の巣のように形成された金色の糸を結晶の爆破を利用して速やかに破壊し、アトラル・ネセトを構成する中枢機関の繭玉を発見。結晶を投げて赤い閃雷を当てて爆破するが…それだけでは壊れず反撃にアトラル・ネセトが揺れ始め、全身からガスが噴き出す。
龍護はそれを見てまずガスを剛気刃斬りでいなすと同時に気を練り上げていきその後直様太刀を納刀して翔蟲で上空へ移動。アトラル・ネセトの激しい揺れを無力化した後少しだけ観察をし、太刀を下向きに構えて兜割の要領で降下しながら繭玉を攻撃。繭玉の威力を優先して力を溜め気刃無双斬りを放ち刃が黄色味を帯びて、間髪入れず桜花鉄蟲気刃斬を放って刃を赤く染める。そして居合の構えで納刀して練り上げた気を刃に纏わせ、鞘から解放…3連撃を放ち締めの気刃大回転斬りで練り上げた気の少しを回収すると…
「…!あれが本体か…」
「どうやらこの竜を崩せたようね、やるじゃない」
「お褒めいただきありがたいが…あの貧乏神は?」
「彼女には少し寝てもらってるわ、…勿論安心して、無益な殺傷は嫌いだから」
「貴殿がそう言うなら信じるが…ああ、成程な。兎に角気を引き締めて行くぞ」
アトラル・ネセトが音を立てて崩れ落ち、アトラル・カが籠る繭玉を捕捉。アトラル・ネセトが崩れたと同時に幽香が紫苑を眠らせて合流したようで、殺しはしていないと言う事で一先ず安堵。幽香が証拠にエスナの方を指差すと彼の背中に眠ってた紫苑が居た。龍護は幽香が無駄に殺しをしないことに安堵しつつ、太刀を構えて…アトラル・カのいる繭玉に刃を突き立てた。
ギィ…!!くっ、あの男に脇腹を刺されたな…これ程度なら糸を巻いて塞げば良いが…だがこのまま奴等の好きにさせてはならない、これ以上攻撃を受ける前に離脱せねば………紫苑は、紫苑は何処だ!?奴等、紫苑を何処に…!!
…緑竜の背中に乗せられていたか、気絶はしているが無事ならまあ良い…だがどうする、不利な状況は結局変化していない。このままでは狩られるのも時間の問題…待てよ?
我は竜が最強の種族だと思っている、それは変わらない。現にあの男は人の形を取ってるといえど、竜らしいからな。竜が最強だと考えていたからこそ、我はこのアトラル・ネセトを竜を模した形にした。…だが竜が唯一最強の種族、と考えるのは今理解したが安直過ぎた。
竜には勿論強力な点が幾つも存在する、だが…それと同時に欠点が幾つもある。だが目の前の人間や妖怪はどうだ?竜に比べれば貧弱であり、有象無象の集合であるのは違いない。…だがその者達の強みは格上相手にも恐れず、怯まずただ勝つ為に全てを使って全力で挑む…と言ったところか。その果てが死だろうがなんだろうが、構わず突き進めることもそうだろう。
昔の我も似たものだ、生きる為に、強くなる為に。時には竜、時には人間や妖怪を利用してでも生き延びて力をつけ、喰らった。…今まで記憶に埋もれていたが、今こうして此処に立っているのもそのおかげだ。紫苑の身体のことも重要だが…我を許してくれ、紫苑。我も…この者達に、己の限界を超えてでも挑みたくなった。
「まだ崩せぬか、なら…」
「…!待ちなさい、このガラクタ…崩れるわよ!!」
龍護がかなりの力を込めて突きを繰り出しても、アトラル・カは反応せず繭に籠っており龍護はこのまま兜割まで行こうとしたが…此処で幽香がアトラル・ネセトの振動から、この瓦礫の竜が崩壊する事を察知し彼に引くように呼びかける。
龍護も彼女に呼び止められた瞬間、アトラル・ネセトからの振動を大きく感じている為兜割を止め、幽香と共に崩落に巻き込まれないよう翔蟲を駆使してアトラル・ネセトから離脱。幽香も飛び降りて離脱してアトラル・ネセトから距離を取った為2人は崩落に巻き込まれず、そのまま静かに様子を見ていたが…
「…あの感じ、どうやら最終手段みたいね」
「…撃龍槍の時点で分かってたが、彼奴の兵器への理解はやはり驚異的だな…!?」
アトラル・ネセトの崩落が終わり、反対であるアトラル・カが姿を現すのだが…背中にXを角度を変えて2つ合体させたような、彼の体格の2倍以上もある超巨大な車輪を背負い、右鎌にはかつてアマツマガツチ討伐にて使われた収束破龍砲の残骸、左鎌に盾…と言うより、大銅鑼と呼んだ方がしっくり来る金属の円盤を糸で括り付けたまさにハンターのような、武装を施した姿へと変わっていた。
幽香はアトラル・カの姿を見て警戒心を最大まで高めており、だがそれと同時に龍護はアトラル・カへ驚愕の視線を向けている。無理もない、収束破龍砲はこの幻想郷に一つしか存在しない兵器…アトラル・カがそれを有している、という事はかなり厳重だった収束破龍砲の警備を抜けて盗った、という事を示している。だが…
「奴が収束破龍砲も盗んでたか…だがあれは修復していない、更には燃料もないからまともに動く筈が……!来るぞ!!」
「分かってるわ、よ!!」
「キシャァァァァァアアア!!!」
収束破龍砲は龍護の言う通り、製造時より砲身がボロボロで撃てるか怪しい…いや、そもそも燃料となる竜乳がない為撃てるはずがない。そう考えていたがアトラル・カが両目を赤く光らせながらの咆哮と同時に背中に懸架していた車輪を外し、転がし始めた為幽香に警告を飛ばして2人で車輪を躱したが…先程まで居たアトラル・カの姿はなく龍護と幽香は急いで彼を探す…。
するとアトラル・カの姿を見つけたのだが、なんと彼は転がってる車輪の上に器用に立っており4本の脚を使って車輪の向きを変えていく。車輪の軌道の先に居ると言うのが…そう、アトラル・ネセトの弾除けとして2人から離れていたエスナだ。エスナは眠らず戦況を見守っていたのだが、突如車輪が此方に向かってきたのだ。勿論彼は右に飛んで躱すが…
「キキッ、紫苑は返してもらうぞ…!!」
「GUWAOOO!!?」
「追うなエスナ、今の奴は止めようとしたら死ぬぞ!!」
「彼奴の狙いは貧乏神だったのね…!それは良いわ、此処からは貴方の力も借りるわよエスナ!!」
「…GYAOOO!!!」
そこで生まれた隙を突いて、アトラル・カは車輪の側面に掴まりながら降りて、腹からエスナの背中…正確には紫苑に向けて糸を放ち彼女の身体を捉える。そしてそのまま釣りの要領で紫苑を引っ張り上げて自分の背中に乗らせ、車輪の回転も糸を使って止め再び背負い直す。
その流れでエスナは一度龍護達と合流、一気に手強くなったアトラル・カを相手取る為2人と1匹が本格的な協力を開始する。…と言っても全員が前衛を務めているので協力も何もないが…それはさて置き、龍護が円月の構えを解放し、桜花鉄蟲気刃斬でアトラル・カに刃を当てつつ接近。アトラル・カの敵視を取ろうとするが…
「クク、そう易々とは受けん…!!」
「ちっ、防がれたか…」
アトラル・カが左鎌を掲げて桜花鉄蟲気刃斬の二撃目を盾…いや大銅鑼で対処する、のと同時に大銅鑼が鳴り響きその音で紫苑の目が微かに動く。龍護はそのまま溜めの構えに入り、気刃大回転斬りを決めようとするがアトラル・カは先程その構えを見ていた為受けないよう左鎌を叩きつけて砂煙を起こし姿を消す。
「…紫苑、起きたな?」
「…う、うん。今銅鑼の音で起きたよ…それで、私は何をしたら良い…?」
「…コイツの線を握ってお前の身に掛かっている力を込めててくれ、それで何か起きたら我に知らせてほしい」
「…分かった!」
そして姿を消してる間にアトラル・カと紫苑が作戦会議を開いており、アトラル・カがどうやら右鎌のものから伸びてる線を紫苑に握らせているようだ。作戦会議も直ぐに切り上げられ再び車輪を転がし、それと同時に糸を戦場に張り巡らせ龍護達の行動を制限していく。龍護と幽香はまだいいがエスナは体格的に糸の回避が難しく、身体に少しずつ絡みついていっている。
エスナは火炎ブレスで糸を焼き切ろうとするも、アトラル・カが誇ってた通り糸の耐火性が高く焼き切れていない。だが彼は発想を切り替えて火力を弱め、超猛毒の方に特化させたブレスを糸に放ち…毒の腐食効果で糸を破壊、そのまま身軽になって車輪を回避しアトラル・カとの戦闘に参加できるという事を示す。
「意外とやるじゃない、エスナ。見直したわ」
「一先ず車輪と盾を離させるぞ、アレがある限り下手に近づけんからな」
「GUOAAAA!!!」
「紫苑、掴まってろよ…!!」
「私のことは気にしないで、好きに暴れちゃってルカ!」
龍護達は車輪を遠ざけ、大銅鑼の破壊を最優先にして行動を開始。アトラル・カも紫苑の言葉から遠慮する事なく地面に糸を放ち、中から撃龍槍の鋒を3本掬い上げそれらを自身の周囲を廻る様に展開。心なしか2回目のアトラル・ネセトの前に使ってた撃龍槍よりも回転速度が上がっており威力がさらに増している。
撃龍槍を対処するのも含め、龍護は此処で太刀を幽香に託して龍の姿…ゾ・シアへ変わる。そしてすぐさま結晶が割れていき黒の肉体、暴蝕形態へ移行して両翼脚で撃龍槍2本を無理やり止め逆にそれでアトラル・カを刺そうとする…がアトラル・カが大銅鑼で1本目は弾き、2本目はそのまま大銅鑼で防ぎ残る1本の撃龍槍に糸を絡めて勢いと速度を上乗せして射出、逆にゾシアに反撃していく。だがゾシアも受けるつもりはなく両翼脚の撃龍槍で上手く撃ち出された撃龍槍を止め、その衝撃で壊れたのでそのまま殴りかかった。
「今だ紫苑、放て!!」
「うん、行くよ…!!」
「…!?グゴアァァ!!」
するとその時、アトラル・カが紫苑に合図を飛ばし紫苑もそれに応える。アトラル・カがゾシアの翼脚を1発受けたがその衝撃を利用して彼から離れ、右鎌…右鎌の収束破龍砲を構えそして紫苑がそれに飛び乗って少し複雑そうな操作をした後に…龍属性特有の赤黒い稲妻を纏った属性弾が放たれる。
ゾシアはそれに面食らったかの様に驚いていたがすぐに気を取り直し、龍属性耐性に振った妖竜結晶を生成しそれで上空に打ち上げる。その直後龍属性弾は上空で爆発、一息ついたゾシアだったがアトラル・カ達は彼に余裕を与えず収束破龍砲から龍属性の弾を収縮した刃を生み出して彼に斬りかかる。
「貴様…それを何処で手に入れた!?それにもう使えないはず…!!」
「確かに砲身がボロボロで使い物にならないし、内部の変換機構は死んでいた。…だが圧縮機能だけは生きていたからな、それに紫苑の身を蝕む力を流して圧縮させて使ってる…と言うのが答えだ」
「…成程な、何処から盗んだとかは一旦不問にしてやる…その大銅鑼を壊させてもらうぞ!!」
「キキキ、やれるものなら…やってみるが良い!!紫苑、何か異変が起きたら隠さず我に言え!」
「今は大丈夫だよ、だからルカも心配せずにやっちゃって!」
収束破龍砲からの圧縮された龍属性エネルギーの刃を妖竜結晶でなんとか受け止め、四脚を伝って発生させた結晶で反撃。ゾシアの反撃を大銅鑼で受け攻勢に回ろうとするアトラル・カだが、その瞬間彼の左鎌が引き千切られその痛みで彼は転倒してしまう。
「今のは一体…!?」
「貴方の盾、邪魔だったから壊させてもらうわよ」
何事かと失った左鎌の方を見ると先程から潜伏していた幽香が、アトラル・カの左鎌を大銅鑼ごと引き千切ったのだ。そしてすぐさま大銅鑼に拳を振り下ろして罅を入れ、2回目の振り下ろしで…大銅鑼を鎌ごと叩き割った。悲鳴の様な響きを鳴らして大銅鑼は砕け散りそれを見たアトラル・カは舌打ちの様な音を出し、地中に糸を出して撃龍槍の鋒を引っ張り出しそれを糸で巻いて左鎌代わりにする。
その後は背負っていた車輪を外して先程の様に転がし始め、ゾシア達は一度引き下る…のと同時にアトラル・カ車輪に引っ張られる様にして浮遊、その状態で彼等を追撃する為に収束破龍砲から龍属性弾を連射。車輪の不規則な軌道と揺れがあるにも関わらず、2匹と1人を正確に狙えているのは蟷螂類の目が有るからだろう。
「…仕方ない、俺が車輪を止める。幽香とエスナは奴を叩け!」
「分かったわ、しくじったら覚えておきなさいよ」
「GUAOOOO!!!」
「無論、しくじるつもりはない…!!」
ゾシアが妖竜結晶の鎧を翼脚に纏って龍属性弾を防いでたが、このままでは押し切られる可能性があると判断したのだろう。彼は一か八かで車輪へ挑む事にし、幽香とエスナにアトラル・カを攻撃する様に言ってから車輪を止めに掛かる。
無論アトラル・カは馬鹿ではない、だが彼はゾシアに挑むことを選んだらしく車輪を止めて着地。その際の勢いを利用して車輪を持ち上げ…ゾシアへ叩きつける。自身の体格よりも遥かに大きい車輪を叩きつけられそうになれば普通は避ける、だが彼は結晶生成を使って勢いをある程度相殺。そして翼脚で受け止めて四脚で踏ん張り…車輪に巻き付いている糸を引き千切ろうと引っ張る。
「ギギ…!?離…せ…!!」
「離…さんぞ…!!」
「ルカ、あの花妖怪と竜が来てる!」
「突っ込みなさいエスナ、私が叩き込むわ!」
「GYAUOOOOO!!!」
「…なら…!!」
片鎌しかないアトラル・カがゾシアの力に対抗するのは難しく、徐々にゾシアが優勢になっていき更には幽香達が接近しており悩むアトラル・カ。そこで彼が選んだのは車輪の糸を外し、車輪を一時的に捨てる事にした様だ。車輪を引っ張ってたゾシアは対抗していた力が消えた事で体勢を崩し転倒、逆に解放されたアトラル・カは右鎌の収束破龍砲から龍属性の刃を発生させて義手代わりの撃龍槍と共にエスナと幽香に振るう。
それを見た幽香はエスナの角を引っ張って無理やり止め、撃龍槍の叩きつけを回避。だが収束破龍砲の龍属性弾を被弾してしまいエスナは怯み、幽香は龍属性やられになる。ゾシアは彼女等を見て急いで体勢を立て直して時間稼ぎ、引いてはアトラル・カの制止の為に結晶を生成して両翼脚に握りしめて攻めかかる。
「…その結晶、さっきの白いやつと性質が違うようだな。どうやら
「頭が回る蟷螂だな、お前は…だがお前のようなあらゆる武器を駆使して戦う奴は、今まで居なかった。本音を言えばもっと戦いたいが…終わりにするぞ」
「!!紫苑、線を離せ!!」
「う、うん!?」
アトラル・カが撃龍槍で結晶を受け拮抗し合う、両者火花を散らして様子を見ていた訳だが…龍護が力を込めて結晶を振り抜いた事でアトラル・カは弾かれたように後退、そしてその隙に妖竜結晶を収束破龍砲の隙間に刺して圧縮機関を破壊。その衝撃で暴発して赤黒い爆発が発生しアトラル・カは紫苑を庇うように身を屈めていたが…
爆発の衝撃が強過ぎたからか右鎌が吹き飛び彼が四脚の内に二脚の節を地に付ける、アトラル・カは荒い呼吸をしており体力が限界に近いのは明らかだが彼の目にはまだ闘志が宿っている。両鎌を失い戦闘続行がほぼ絶望的にも関わらず戦おうとするルカを、ゾシアと庇ってもらった紫苑が制止する。
「ルカ!もう良いよ、もう貴方がこれ以上傷つかなくても良いんだよ…!!」
「…降伏しろとは言わん、だが…それ以上戦えばお前の身が持たないぞ」
「…キキ、そんなの我だって判っている…幾ら兵器を義手にして戦っても兵器の質量に負けてるからな、いつか自滅するだろう…まあそうだな…降伏だ、我と紫苑、女苑は…お前達に降伏しよう。あの緑髪の女に言っておけ、我を殺したいなら好きにしろと」
「…お前の殺傷については俺達が決める事じゃないから兎も角、降参については問題なく受け入れよう。…所で1つ聞きたい、何故お前はその…紫苑?を連れてずっと戦ってたんだ?」
彼等の制止を受けた上で、自分の容態を顧みてこれ以上戦えば鎌だけでなく残りの脚も失うと考えたアトラル・カは四脚の内前脚に当たる2本を上に上げて降参の構えを取る。アトラル・カが戦うのを放棄すると言う宣言に紫苑は表情を明るくし、ゾシアも一息ついて龍の姿から龍護へと姿を戻す…のと同時に彼等に質問を飛ばす。
それは何アトラル・カと紫苑がずっと共に戦っていたか、だ。確かにアトラル・カ単体でも十分強いのに何故彼は紫苑を連れていたのか。その答えは彼からではなく、紫苑から返答が来た。
「それは私がルカの持ってる兵器?を全部使えるから…です。私の妹はちょっと不器用だから一部のしか使えないけど、私なら殆ど使えるから…」
「…見た目に反して凄い操者だった訳か…それともう一つ聞かせて欲しい、何故お前達はあの兵器、収束破龍砲を使えたのかを。あの時簡単な説明は聞いたがそれでもアレは竜乳と言うエネルギーの塊を燃料にして使う兵器だ、紫苑の身を蝕む力…龍属性エネルギーでは到底足りないのではと思ってな」
「…それには訳がある、紫苑は自身を含めた他者をも不幸にする力を持っているのだが…それを封じる為に我はとある木の実を紫苑に食わせた、その結果力を封じることには成功したのだが…彼女はその木の実に依存してしまってな。故に通常では絶対にあり得ないエネルギーが、彼女の身体に溜まってたのだよ…」
「…そう言うことか、分かった。俺の妻がそう言う分野にも詳しい医者なんでな、治療出来るか分からんが…お前達の事も診てもらうよう頼んでおこう」
「本当か!?…感謝する…!!」
紫苑からの返答、そして自分が思ってた疑問にアトラル・カから追加の返答が来た事で龍護は全て納得し、彼等の容態を永琳に見てもらう事を伝える。今まで紫苑の身体のことを診てくれる医者が居なかったが、漸く見つかった事でアトラル・カは彼に感謝を述べ紫苑は首を少し傾げていたが…彼が喜んでいたのを見て一先ずは彼に同調する事を選択。こうして憑依異変から発展した戦いは終わりを迎え…
「待ちなさいな…何良い感じで終わらせようとしてるのよ…?」
「…ギ」
「…GAUUUUU…」
「ねえ蟷螂さん…今は治ったけどあの赤黒い稲妻のせいで私は今、ちょっーと…不機嫌なのよね」
「…すまん、ルカとやら。俺では彼女を止めれん」
「ごめんルカ、流石に私も無理…」
「…そうねえ、貴方の身体も少し限界に近いみたいだし…手加減しなくても良いわよね」
「ギギ!?」
…だが平和に終わると思われた戦いは後半龍属性弾を受けて吹き飛ばされた幽香が、怒りと不機嫌オーラを全開にしてアトラル・カに叩きつけた事でアトラル・カだけは平和に終わることが出来ず、燃え尽きて灰みたいになったのだった。そして後日…龍護の紹介で永琳に診療してもらった紫苑とアトラル・カは…
「…依神さんの身に掛かっていた力を封じる力のエネルギーは、アトラル・カさんの供述によれば昔は酷いレベルで侵食されていたようですが…現在はその時の状態に比べて、非常に落ち着いています。理由は恐らく貴方が盗んだ収束破龍砲でエネルギーを外に放出し続けていたからでしょう」
「確かに戦闘中、お前達はずっと収束破龍砲をかなりの出力で剣に転用して弾もかなり撃ってきてたからな。そう考えれば身体からかなり放出されていても不思議ではないな」
「…それってつまり」
「はい、このままこの竜殺しの実を適切な量を2ヶ月に一回服用すれば、貧乏神としての存在の揺らぎがなくなるでしょうし、身体能力の低下も起きなくなる筈です。ただ貴女の侵食度ははっきり言って異常なので、暫く服用しちゃ駄目ですよ」
「…良かった、良かったぞ紫苑…!!」
「私、消えなくて良いんだね…!…でもあの木の実美味しいから、それを食べれなくなるのはちょっと残念かなぁ…」
「良い雰囲気だったのだからそれで終わらせろよ…」
アトラル・カは全身包帯巻きだが鎌が新しく生え変わり始めており、紫苑の方は収束破龍砲で龍属性エネルギーを高出力で放出し続けていたのが功を奏し、なんとアトラル・カが手遅れだと感じていた時期よりも遥かに良くなったらしい。紫苑の最後の言葉で龍護が転げかけたが、1人と1匹共に無事に幻想郷で過ごせることとなった。
「盟友が犯人を頑張って探してんだ、私も痕跡を辿る発明作って盟友の手伝いに行かないと!」
…そして龍護はにとりから依頼があった事を完全に忘れていたのであった。
おまけ その頃ののマガド君とメル君とクロ君
…メルside…
「メル、私の伴侶になって私が死ぬまでの専属執事になってもらえないかしら?」
「畏ま………はい?」
「今、畏まったわね!?皆ー!今日からメルはメル・スカーレットに変わるわよー!!」
「ちょっお嬢様!?今のは言葉の綾ですから!もう一度考え直してください!!」
「…メルさんって、普段は弄ってるのに不意打ちには弱いですね」
…マガドside…
「にゃーん♪」
「…地底に遊びにきたは良いが、妙なのに懐かれたな…」
「お、マガドじゃん!久しぶりだなあ、言葉もしっかり話せるようになってるし!そうだ、華扇と龍護は元気か?」
「ああ、2人共元気だぞ。…それより勇儀、俺の頭の上の奴をどうにかしてくれ」
「んー?コイツは地霊殿のとこの猫か、…お前って虎っぽい所あるよな?多分それにコイツ惹かれたと思うから……ま、頑張りな」
「…幻想郷に一夫多妻制が「よし、助けてやる」…真っ赤な嘘だが良いか…」
…クロside…
「坐禅きついよー…」
「精進料理飽きたよー…」
「宝塔なくなったよー…」
「!GYAUAA!!」
「あー…気持ちいい…クロさんの肩叩きは素晴らしい…」
「…クロさん、お肉は嬉しいのだけど…生で食べるのはちょっと…」
「あ、宝塔!ありがとうございます、クロさん!」
「…やれやれ、クロ君。寺の皆の為に動くのは素晴らしいが、ご主人の宝塔については君が探さなくて良いんだぞ?」
「GYUAA?」
「何故なら「ナズー!クロさーん!また無くしちゃいましたぁぁぁ!!」…ほらね?」
「…GYAOO」
そんな訳で実質アトラル・カ編の終わりです。紫苑ちゃんは収束破龍砲のおかげで無事過ごせる事が判明(ただし貧乏神の性質を止めてるのでただの一般人みたいな感じだが)。
そんなわけで思いついていた後日談が尽きたので暫くは読専とか不定期投稿になりますね。…冥淵龍さん?そんな方は…知らないかなぁ…。ただ1つ後日談ネタがありまして…軽く触れておくと、冥灯龍戦においての没ネタで出したモンスター(?)の登場を望まれてる方が居まして…ストーリーが思いつけば書こうかと思います。
何かしら人気ありそうな方々で人気投票をやってみた
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白崎龍護
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八雲蒼焔
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クロ君
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メル・ゼナ
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怨嗟マガイマガド
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ヌシジンオウガ
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藤原妹紅♂
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鋼華刹那
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マガイマガド(コテハンニキ)
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ゴルベーザ
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ハン
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イストワール(図書院長)
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シン
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霍青娥(やべー方)
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作者「え?」
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ラインハルト卿