もしもジークアクスがナンバーワン戦隊ゴジュウジャーみたいなノリだったら 作:岩ノ森
その日、全ての戦隊の歴史は終わった。
突如現れた厄災が巨人たちを打ち倒し、あらゆる世界、あらゆるユニバースは破滅を迎えるかのように思われた。
しかし、巨人たちは最後の力で闇を祓い眠りに着いた。
ロボの墓場・・・。
最後の巨人“テガソード”はそこで待っている。
救世主の到来を・・・・・。
[Let‘s get the Beginning.]
[誰?]
「何これ?いたずら?」
変なラインが届いて気を取られているうちに、電車のドアが閉まりそうになったので慌てて駆けだす。駅のアナウンスを聞きながら、そのままカムデン駅の改札口から出ようとした私だけど、そこで軍警の怒鳴り声を聞いた。
「オーイ待て!止まりなさい!!」
「逃げるなおい!!」
何だろう、と声のする方をじっと見ていたら、軍警に追われている細身の女の子が私の方目掛けて走ってきて・・・。
「はっ!」
「うわっ!」
改札口をそのまま乗り越えた例の女の子が、勢い余って私と衝突。おかげで転んでしまって体が痛い。
「いっつ~・・・」
「う・・・」
その女の子は制服を着ていた。でも何となくだけど学生ではない気がする。
そいつは痛そうにしながらこっちの方を睨んでいた。ぶつかってきたのはそっちだってのに。
と思ったら急いで飛び起きて、一目散にまた逃げだした。
「ちょっと!!」
「邪魔だ!!」
「ぐえっ!!」
その子を追う軍警に勢いで蹴り飛ばされてまたも転ぶ。そのうえ、スマホも落ちて画面にひびが入ってしまった。
今日は何?厄日?
直径6.4キロメートルのスペースコロニーは、113,5秒に1回回転し1Gの遠心力を生み出している。
私たちを地面に押し付けているこの力は、本物の重力じゃない。
空は頭の上じゃなく、足の下にあるんだ。
コロニー生まれの私たちは、本物の重力も本物の空も知らない。
もちろん本物の海も。
「アーマテさんっ」
「あ、タヌポン生徒会長」
「そのあだ名やめてよー」
学校のベンチで黄昏てる私に話しかけてきたのはホシコ・ヒノ生徒会長。太眉と丸っこい顔立ちが地球のタヌキって動物に似てるから、タヌポン生徒会長って言われてる。
「はいこれ」
「ん、ありがと」
手渡してきたのは缶のトマトジュース。会長よく飲んでるけど好物なんだろうか。
「見てたよ。プールの飛び込み台で逆立ちして落ちたんだって?」
「んー」
トマトジュースを飲みながら聞いてくる。何だろう。生徒会長の立場からして咎めたいんだろうか。
「もしかして、学校とか勉強とか馬鹿らしくなっちゃった?」
「別にそういうわけじゃ・・・」
そうなのかどうなのか、自分でもよく分からない。ただ何か心の中のモヤモヤがああさせた、と言っても納得してもらえないだろう。
「会長はさ、進路とか考えてるの?」
手渡されたトマトジュースを飲みながら聞き返す。
「んー、とりあえず進学かなー」
生徒会長くらいの実績と学力があれば、どこの大学だろうと引く手あまただろう。嫌な言い方だけど人生の勝ち組、みたいな。
「私のやりたいこととはちょっと違うけどね。ただとりあえず大学は行っといた方がいいってお母さんがね」
「会長は、それでいいの?」
「んー、正直もうちょっと自由にやらせてよって思わないでもないけどさ、大学出ないと就職先見つけるのもしんどいって言うなら仕方ないかなって」
将来、進路、就職。
私たちを縛り付けるのはコロニーの重力だけじゃない。
「ほいっと」
会長は空になったジュースの缶を傍にあったごみ箱に投げた。一発で入ったホールインワンだ。
「まあ、あまり考えすぎずにさ。気楽にいこうよ」
私の背中をポンと押して、会長は手を振りながら去って行った。
「あーあ・・・ん?」
駅のトイレでひびの入ったスマホを見てると、バックから何か飛び出している小包みを見つけた。こんなの私は持っていなかったはず。
(さっきの奴の荷物が混じったのか・・・)
ガサガサと中を探ると妙に平べったい何かの機械が出てきた。
「まさか・・・爆弾じゃないよね?」
警戒しながら調べると後ろの方にナンバーが書いてあるのを見つけた。
幸い、機能には問題なかったスマホでナンバーを検索して調べると結果が出た。
「インストーラデバイス?」
モビルスーツの戦闘コンピュータ用と書いてある。
「非合法の・・・密輸品だ・・・・・!」
間違いなくヤバいものと脳が警告している。
でもそれと同時に、何故かワクワクに似た高揚感みたいなものが胸の奥から湧き出ていた。
「あれ?」
小包の中にまだ何か入ってる?
恐る恐る取り出してみると・・・。
「指輪・・・?」
変な形をした指輪が出てきた。
黒色で一本角が生えている、お祭で売ってる安っぽいヒーローのお面をそのまま指輪にしたような。
試しに画像検索してみるけど全く引っかからなかった。
これもあの子のだろうか?だとしたら趣味悪・・・。
でも何となく惹かれて眺めていると。
ナンバーワン・・・ ナンバーワン・・・
「誰?」
誰かに呼ばれたような気がした。辺りを見回すけど私以外はトイレに誰もいない。
「・・・?」
ストレスだろうか?それとも何かに取り憑かれた?
変に思いながら私はそのまま駅を出た。
スマホのGPSで確認すると、荷物はあの赤い髪の子のバックから出ている。
「うおっ!!」
人ごみに紛れてひったくり、私は逃げ出した。
逃げ隠れたのは屋上にある小さな神社。ここならあの子も来ないだろう。
よし、上手くいった・・・。荷物を確認・・・・・。
「何これ・・・?」
入っていたのはデバイスじゃない。地球へのガイドブックと・・・発信機?
「これ、民間のモビルスーツでも武器が使えるようになるってヤバいやつ?」
発信機を辿って着いた神社にあいつはいた。
デバイスを持った私の姿を見て、ササっと陰に隠れた。子猫か何かか。
「とりあえず謝ってほしいんだけど・・・なっ!」
「ああっ!」
勢いよくデバイスを放り投げると、そいつも反応して飛び出してきた。
そいつがデバイスを掴むより早く、私はジャンプしてデバイスを先に取り上げた。
「君、テロリストなの?」
「違う・・・。テロじゃない・・・。クラバの・・・・・」
「賞金をかけてモビルスーツでバトルするクランバトル?」
結構ヤバい・・・というかアウトローなことに首を突っ込んでるらしい。
「違法だってのに随分流行ってる・・・うわっ」
飛び乗っていた灯篭から足を滑らして、そのままそいつに抱き着いて倒れこんでしまった。
「いつつ・・・ん?」
その子の顔をよく見ると、頬に痣があった。
「デバイスを届けるだけ・・・。バイトだよ・・・・・」
「バイト?ならこれ弁償してよね?」
壊れたスマホの修理代くらいは払ってもらわなきゃ。
「あとさ」
「ん?」
「これ何?」
「・・・あっ!!!!!」
例の趣味悪い指輪を見せた途端、その子は血相を変えて飛びかかってきた。
「返して!!それだけは!!!」
奪い取ろうと手を伸ばしてくるけど、身体能力の差で紙一重でかわす。
「何?これも届けるの?」
「違う!!違うけど・・・・・!!!」
顔つきがさっきまでと全然違う。そんなに大事なものなんだろうか、これ。
「・・・・・ほいっ」
「あっ」
見てられなかったので投げ返してやる。
「あ、ありがと・・・・・」
「別に」
もしも親の形見、とかだったらこっちが悪者になっちゃうし。
「その代わりさ、着いてっていい?」
「え・・・」
「大事な指輪届けたお礼と、スマホの代金の一部負担ってことで」
非日常に踏み込みたいって気持ちも正直あった。
でも、それよりこいつの顔の痣が頭にこびりついていて、このままじゃ眠れそうになかったからだ。
「アマテさん・・・?」
人ごみを行く二人の少女は、赤髪の女性が彼女達を目で追っていたことに気づかなかった。
「運び屋ってさ、何かかっこいいね」
「学生の方が目立たないから」
「でもさっき警察に・・・」
「あいつら難民だけは目ざとく見つけるんだ」
「・・・・・・・」
声に陰りがある。それくらい私にだって分かる。
そのまま進んでいくと、難民たちの居住区に出た。狭っ苦しくて意外とガヤガヤと騒がしい。
物珍しくて思わずキョロキョロと見渡す。小さな子供を連れているお母さんらしき人もいた。
「こんなところにあるんだ」
こいつのバイト先。錆びついている小さなビル。明らかに訳アリって感じ。
「クラバなんてまともな奴はやらない」
「・・・・・」
インターホンを押すのを渋っている。じれったくなって私が押そうとしたら。
「アマテさん何やってんの!!」
「ひっ!?」
大きな怒号が辺り一面響いた。
後ろを振り向いてそこにいたのは。
「タヌポン生徒会長!?」
赤毛に太眉、うちの学校の生徒会長「ホシコ・ヒノ」だった。
「こんな難民の居住区まで来て!危ないんだよここは!!」
可愛らしい顔を吊り上げてすごい剣幕で怒っている。あまり怒らない人だから珍しい。
「・・・会長には関係ないじゃん」
「関係あるよ!同じ学校の生徒が危ないことに巻き込まれてるって言うんじゃさ!!お母さんだって心配するよ!?」
会長の言うことは正しい。正しいんだけどそれ故にムッとする。
「とにかく帰ろう!!君も!!こんなところにいたらただじゃすまないよ!!?」
「ああっ」
会長は長髪の方まで連れて帰ろうとした。ここまで来ると筋金入りのお節介だ。
ガチャンッ
「うるせーぞ事務所の前で!!用がないならとっととどっか行きやがれ!!!!」
言い争っているうちに、ビルの中の人がすごい形相で出てきた。
「あ・・・あ・・・・・」
突然のことに硬直する私たち3人。
「コンニチハオイソギデスカ・・・?」
「「・・・・・は?」」
バイトの奴が変なことを言い始めて、二人してあっけにとられた。
「冗談じゃねえ!!こっちまで巻き添え喰らう所だったんだぞテメエ!!!」
さっきの眼鏡をかけたガラの悪い男が怒声を響かせている。
「アンキー、こいつです。駅で軍警に追いかけられてた」
「まだ子どもじゃん」
「たくっ、デクの坊が!!運び屋がサツに見つかってんじゃねえぞ!!!」
「それに直接来られちゃ困るんだよ」
「でも今日中に受け取り希望ってね」
「ちょ、アマテさん!!」
「先払いしてんだから当然でしょ?」
「というか、テメエらは誰なんだ!ああ!?」
「キャンキャンッ!!」
「おおっ、よーしよし」
ポメラニアンがガラの悪い男に懐いてる。漫画とかじゃよく見る光景。
「付き添いって言うか・・・マヴって言うか」
「マヴ?」
「ああすいません!私たちは何の関係もない部外者なので!ほらアマテさんもう帰ろう!!」
会長が私の首根っこを引っ張って連れて行こうとする。優秀になると事なかれ主義になるんだろうか。
「あの、これ・・・」
バイトが件のデバイスを恐る恐る差し出した。
「これさえありゃあ、バトルできる!!」
ガラ悪眼鏡が乱暴にブン獲った。何か腹立つ。
「あんた、クランバトルに興味あるのかい?」
「子供相手に何言ってんすか」
「無いに決まってますよそんな違法なもの!!」
会長って意外とこういう奴らにも物怖じしないんだ。見直したというか新しい一面を見れた気分。
クラバ・・・。宇宙に出る・・・・・。
「宇宙(そら)って自由ですか?」
「アマテさん!?」
「ジユウ!ジユウ!」
帽子をかぶった白いハロが私の足元へ来て叫ぶ。
機械だから考えすぎだろうけど、何かの導きのようにも聞こえた。
ゴトゴトゴト・・・
「ん?」
「モビルスーツだ!地下から来る!!」
振動とともに地面を突き破って現れたのは、カラフルなのと真っ赤なモビルスーツの2体。
「モビルスーツ・・・」
「どっちもガンダムじゃないのか!?」
「ガンダム?」
カラフルな方のは、赤い方のビットに翻弄されてる。その度に地響きがお腹の奥まで響いてくる。
「うわあ!!」
赤いビットがこっちのほうに迫ってきて、危うくジェットで焼かれそうになる。
「何やってんだバカ!死にたいのか!!」
もみ合っていた二体のモビルスーツは、爆発に巻き込まれて居住区に墜落した。
そして飛ばされた赤いシールドがこっちに迫ってくる。
「あ・・・あ・・・・・」
死ぬ?
私たち、死ぬ?
「わああっ!!!!!」
ガコンと鈍い金属音がした。
(あれ?まだ死んでない・・・?)
見上げてみると赤い方が自分の手で私たちを守ってくれていた。
怖い顔立ちだけど、気のせいか瞳の奥に優しさを感じたような気がする。
「ああもうダメ!!アマテさん!!君!!逃げるよ!!!!」
「ええっ、ちょっ!」
会長の手に引かれたかと思うと。
カラフルな奴が煙幕を発射して何も見えなくなった。
ドシンッと軍警のザクが降りて来て、居住区の屋根を引っぺがす。まだ人がいるにもかかわらず、町を破壊していく。
「ひどい・・・」
私だけじゃなく、バイトもその光景を見て佇んでいた。生徒会長さえも。
「ジオンが戦争に勝ったって、スペースノイドは自由になれない。いつまで経っても苦しいままだ」
「・・・・・・・・」
そう言うアンキーって人は、妙に哀しそうだった
「ザクを隠せ」
「戦わないの?」
「軍警とやり合うバカがいるか」
「そもそもデバイスが壊れててバトルできないんだよ」
横を見るとバイトがまだ佇んでいる。
頬の痣が、さっきよりも腫れてきている。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
心の中が、モヤモヤする。
いや、それよりもメラメラ燃え上がる、炎が。
ナンバーワン・・・ ナンバーワン・・・
またあの変な声が聞こえた、と思ったら。
「お、おい・・・何だあれ!」
居住区の丸い窓の中から、いきなりデカいロボが現れた。
軍警用とは明らかに思えない、炎が燃えてるような真っ赤なモビルスーツ。
いや、モビルスーツなの・・・?あれ・・・・・?
そのロボットは両腕から炎を出して、軍警ザクごと居住区を焼いていった。
「これが・・・俺達を生成した世界か」
専用ドレスガード、キングキャンデラー内部に搭乗してる搭乗者「ファイヤキャンドル」は燃え盛る難民居住区を見て呟く。
「キャッキャッキャッ!綺麗なキャンプファイヤー囲んで、一杯やろうぜテメエら!!」
ザクがキックで応戦しようと機械音を奏でて近づいてくる。
「邪魔だあ!!」
ザクはキングキャンデラーのパンチの一撃で頭がもげ、そのまま機能停止しドシャーンッと倒れてしまった。
キーンッコーンッカーンッ
「リンリン!」「リンリン!」
そこら中から頭がベルになっている変な奴らが出てきて、皆を襲い始めた。
おまけにあの赤いロボが暴れるせいで居住区もどんどん破壊されていく。
「お、おいどうなってんだ!!」
「分からない!!とりあえず隠れろ!!ザクだけは傷つけさせるな!!!」
一体どうなってるのか分からない。こいつらは何?ジオン?それとも連邦?
ドガーンッ
赤いロボがビルを破壊して、ガラガラと瓦礫が落ちてくる。
そしてたくさんの人が巻き込まれてく。
「ひどい・・・」
軍警のやってたことより圧倒的にひどい。一体何なのこいつら?
「悪魔だ!悪魔が現れた!!」
「誰が悪魔だ!!俺はこのくだらねえ世界をオールライトにするためにやってきた・・・えっと・・・その・・・・・」
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「あっ、救世主!救世主ナンバーワンだぁ!!」
赤いロボがまた火を噴いて街を焼いていく。その余波で私たちも吹き飛ばされた。
「わあああっ!!!!!」
「いっつ~・・・・・」
「あ・・・・・」
ベル頭の奴らは難民の皆を襲ってる。何で?この人たちが何かしたの?
言葉にできない不条理さを感じて、頭がカーッと熱くなる。
「やめろお前ら!!」
「あっ!」
「アマテさん!!」
会長の静止の声も聞かず、私はベル頭の奴らに突っ込んでいく。頭で考えるよりも先に体が動いていた。
「くっ!!」
逃げまどう人たちを捕まえるベル頭を引きはがそうとするけど、すごい力でとても敵わない。
「リンリン!」
「ああっ!!」
そのままベル野郎に振り払われ、壁に激突してしまった。
「うっ、ぐううっ・・・・・」
痛さと同時に情けなさもこみ上げて来て、涙が出そうになる。
何もできない、重力に囚われている自分に。
「・・・・・」
「え、ちょっ」
「会・・・長・・・?」
会長がダッと駆け出して私を守るように前に立った。
「この指輪を使う時が来たみたい」
「は・・・?」
メガネを取り外した会長が取り出したのは金色に輝く変な指輪。あのバイトの子も似たようなの持ってたけど流行ってるんだろうか。
そう思ったら今度は剣みたいなのが付いた、銀色の手みたいな変なものも取り出して構えた。
「エンゲージ!!」
センタイリング!!
会長が手の中に指輪をはめると、軽快な音楽が流れだす。それに合わせて会長は手を叩いて響かせる。
そして宝石みたいなキラキラに包まれて・・・。
キングオージャー!!
これまた真っ赤なクワガタに変身した。
・・・・・変身した!?
「クワガタオージャー!!」
変身した会長は皆を襲ってるベル頭の奴ら向けて駆け出して行った。
「会長が・・・クワガタ人間!?」
「はっ!大丈夫ですか!?」
「あ、ありがとうっ」
「早く逃げて!えいっ、やあっ!!」
クワガタ人間になったタヌポン会長はあのベル頭の奴らをいとも簡単になぎ倒していく。まるで戦い慣れてるかのように。普段は虫も殺せなさそうな顔をしてるのに。
「リンリンッ!!」
「硬化(ソリッド)!!」
ベル野郎たちが一斉に射撃してくる。そのタイミングに合わせて会長は左肩に着いていたマントを宝石みたいに硬くして銃弾を防いだ。
「たああっ!!」
硬化させたマントで敵を拘束して投げ飛ばし、まるで舞うようにマントを翻しながら手の剣で敵を切り裂いていく。それも人々を守りながら。
「すごい・・・会長・・・・・」
安っぽい言葉を使うなら、まるで“ヒーロー”みたいだった。
「何あの・・・右手・・・・・?」
「よくも可愛い部下たちを!人間ぜーんぶ・・・俺のファイヤーで丸焼きだー!!」
あの炎ロボットが火球を発射して会長を攻撃してきた。熱風がこっちにまで伝わる。
「あああーーーっっっ!!!」
「会長!!」
流石に巨大ロボット相手じゃ分が悪すぎる。弾き飛ばされる会長。
「キャッキャッキャッ!ん?」
ゴオオオオオッ!! ズドーンッ!!
倒れてたカラフルなモビルスーツがいつの間にか起き上がり、体当たりを喰らわせた。
「人間風情の木偶人形がぁ!!」
炎ロボットが炎で応戦する。でもカラフルも負けずに炎を防いでる。
チュンチュンッ!!
「ぐっ!!」
赤いモビルスーツもビットの光線で応戦する。でもコロニー内で使える威力じゃとても炎ロボットを仕留めきれない。
「蚊トンボが!!」
炎ロボットが腕を振り払ってビットを落としてしまった。
素人目に見てもレギュレーション、というか技術が違い過ぎる。
「うう・・・あ・・・・・」
「会長・・・・・」
会長はまだ立てない。あれだけダメージを受けちゃ。それに助けてくれる人もいない。
何で・・・私の足は動かないんだろう・・・・・
何で・・・私には戦える力がないんだろう・・・・・
力があれば・・・あいつらを・・・・・みんなを・・・・・
「ううっ、うわあああああああああああ!!!!!」
「あ、待って!!」「無茶だよ!!」
大声で無理やり恐怖を誤魔化してデカい炎ロボットに向かう。
何もできなくても、それは分かってるけど。
走りださずにはいられない!!
ドコーンッ! ドゴーンッ!!
「わあああああああ!!!」
案の定、火球で吹き飛ばされた。
そして、世界が暗転した。
ナンバーワン・・・ ナンバーワン・・・
ナンバーワン!!!!!!!
「はっ!?」
目を覚ますと、変な遺跡みたいなところにいた。
「どこ・・・ここ・・・・・?」
まさか、こんな辺鄙なところが天国?それとも地獄?内心、お母さんに反抗的だったから?
「ん?」
遺跡の中央に、何か光るものが見えた。思わず近寄る。
それはとても大きな手の石像。さっき会長が着けてたものに似ていた。
「うっ!!」
それを視界に入れた瞬間、何か映像みたいなものが頭になだれ込んできた。
戦い・・・ 巨神・・・・・ 救世主・・・・・・・?
「いたた・・・。何今の・・・・・?」
こめかみを押さえて偏頭痛を和らげる。今の映像は・・・。
「リンリン!!」
「あっ」
さっきまで町で暴れていたベル野郎たちが来て、私に向けて銃を構える。
「どけ、小娘。これが・・・」
リーダー格っぽい金色のベル野郎が、遺跡のレリーフから何かを取り出して指にはめた。
また指輪・・・・・?
「へへへっ、うっ!?ぎゃあああああっ!!!」
「はあ!?」
金色ベル野郎は指輪のハマってた穴に吸い込まれた。どうなってんのこれ・・・?
カランカラン
そしてその指輪は私の足元に転がった。
「離れなさい、アーイー達」
響いたのは女の人の声。
「その指輪はテガソードの核と言われる破滅の指輪。あなた方に扱える代物ではありません」
コツコツと歩きながら来たそいつは、角を生やしていてフリフリとしたロリータファッション的な服を着ていた。割といい大人っぽい人がああいう服着るとキツイ・・・・・。
「初めまして。私はノーワンワールド、ブライダンのテクニカル隊長。慈愛のブーケです」
「の、ノーワン?ブライダン?」
学校の授業じゃ聞いたことのない名前。でもどう見ても連邦にもジオンにも見えなかった。
そのブーケってやつは深々と礼をしてこっちに向き直る。丁寧さが逆に苛立たせる。
「二つの世界を守るため、どうかそれをお渡しください」
「・・・・・・・・・・」
どう見てもこいつら碌な奴らじゃない。町も壊したし、人も襲った。
それに、会長も・・・・・。
「・・・この指輪を使えば、お前らをやっつけられるんだよね?」
「やめなさい、死にますよ」
足元に転がった指輪を拾い上げる。会長の持っていたものより、あのバイトが持っていたものに似ていた。
「スマホ代・・・払ってもらってない・・・・・」
「は?」
「スマホ代弁償してもらってないし!会長にお礼も言ってない!!」
まだ私には、たくさんやりたいことがあるんだ!!!
「それに!お前らを倒したい!!!」
そのためなら!命だって懸けて見せる!!
「うっ、うわああああああ!!!」
指輪をはめた指が火であぶったみたいに熱くなって。
そのまま私は光に包まれた。
「ここは・・・?」
気づくと私は暗闇にいた。
アマテ・ユズリハ、契約だ
「その声・・・私を呼んでいた・・・・・」
我が名はテガソード すべての指輪を集めたものの願いを叶える それが、指輪の契約
お前の願いを言え
「願い・・・将来の夢ってやつ?あまり考えたことない」
それはお前の真の姿ではない
今のお前は雑草にまみれ、世界の大きさをはかり切れてないないだけだ
「世界・・・それは自由なの?」
確かめたければ ナンバーワンになれ
「ナンバーワン?」
指輪がもたらすあらゆる戦いで 頂点を目指せ
さすれば世界が開かれ 真の願いはおのずと見える
「・・・・・・・・・・・・」
『私のやりたいこととはちょっと違うんだけどね』
『ジオンが勝っても、スペースノイドは自由になれない』
『あいつら、難民だけは目ざとく見つけるんだ』
お前は これから本当に生きるのだ!!
「うっ!!」
またも光に包まれ、その先に合ったもの。
あの右手と、光る指輪。
「・・・私は、あいつらをやっつけたい!!」
そして、自由を掴みたい!!!
「契約する。この指輪、私が貰う!!」
手をかざすと、指輪と右手が光りに包まれた。
指輪は狼みたいな顔に、右手は黄金に光り輝いて。
「はっ!!」
その二つを手に取る。そうすると右手の石像が崩れ始めた。
いつの間にかさっきの居住区に戻ってきていた。
でもさっきと違う。
全身に力があふれている。
まるで一匹の獣になったみたいに。
「うおおおおおおお!!!来い!!!テガソード!!!!!」
雄たけびを上げて巨神を呼ぶ。
その瞬間、コロニーの彼方から光と共に現れた。
輝く巨神、テガソードが。
「まさか・・・人間如きが・・・あの指輪を!?」
「おいお前!さっき救世主ナンバーワンとか言ってたよね?勝った方が本当のナンバーワンだ!!!」
【アウェイキング!!】
右手に装着されたテガソードを開くと、私は指輪の光に包まれて、テガソードの内部に瞬間移動した。
巨神テガソードも開いて、どんどん人型に変形していく。
「リングイン!」
口から自然と言葉が出ていた。頭の中に自然と浮かんでいた。
「人神一体!!」
【掴め!切り裂け!!レッド!!! 掴め!切り裂け!!レッド!!!】
【テガソードレッド!!!!!】
「テガソードレッド!!!」
巨神テガソードレッドが、コロニーに生誕した。
「ここは・・・」
またも知らない所に移動していた。今日こういうのばっかだな。
「プロレスのリング・・・?」
スポーツ番組でよく見るリングにいつの間にか私はいた。
「対決のリングって事か・・・」
反対側に相手も現れた。
あいつが炎ロボットのパイロット・・・。
めっちゃ変な格好してるな・・・・・。
「戦い方を教えてやる。人間」
【いざ掴め!!】
「うわビックリした!!!」
【ナンバーワン!!!】
学ランを着た応援団みたいな人たちと、チアリーダーみたいな人たちが応援しだす。いやていうか何?この人たち・・・?
「負けは知らねえ、容赦もねえ!ブライダン特攻隊長!!不敗のファイヤキャンドル!!!俺の炎で浄化してやる」
「・・・・・・・・・・・・・・・」
あ、名乗ればいいのか。えーっと・・・。
「空も知らない、海も知らない。でも熱い想いは知っている!イマドキJK!!アマテ・ユズリハ!!!掴んでみせる!!!ホントの自由!!!!!」
ナンバーワンバトル!! Ready!? GO!!
「たあああああああああ!!!」
テガソードレッドで対決のリングに勢いよく入る。でもさっきの居住区じゃない。
「ここ、宇宙・・・?」
いつの間にか、あの炎ロボットと一緒にコロニー外に移動していた。
もしかしてテガソード、コロニーを壊さないように気を利かしてくれた?
「結構いい奴じゃん」
服もいつの間にか、地球の民族衣装みたいな格好に変わっていた。
専用のパイロットスーツなんだろうか。
これで遠慮なく戦える!
立ちふさがるのはあの炎ロボット。
「やっつけてやる!行くぞ!!」
右手の剣で炎ロボットを斬りつける。相手も負けじと炎を纏った剣で応戦してくる。
「くうううっ!!」
モビルスーツの操縦なんてしたことない。でも頭に何をすればいいかなだれ込んでくる!!
「何か分かんないけど、分かった!!!」
テガソードレッドを自在に動かす。まるで自分の体みたいに自由に動く。
「だああああああああっっっ!!!!!」
「ちいっ!!!」
炎の剣を避けて、ボディにこっちの剣撃をぶち込む。相手が怯んだ隙に、二撃、三撃!!
「調子に乗んなぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
炎ロボットが剣で斬りつけてくる。テガソードレッドの剣でそれを防ぐ。熱波が操縦席まで迫ってくるようだ。
「パームクラッシュ!!」
炎ロボの顔面を、こっちの手で握り掴んでやる。相当ダメージ喰らったみたい。
「クラバも、相手の顔面ぶっ壊せば勝ちなんだよね!?」
「くうっ!燃えろぉぉぉ!!!!!」
「ソウルブースター!!」
相手の炎を足のジェットで避ける。
目の前が輝いていく。
まるで世界が私に答えてくれるみたい。
これは・・・。
「キラキラだー!!!」
キラキラの向こうに見た。
さっきのコロニーにいた、赤いモビルスーツ。
「あれも・・・キラキラ・・・・・」
私は、戦いの最中だっていうのにそれから目が離せなくなった。
「ありえねえ、この俺が膝をつかされるなんて・・・」
「っ!まだ動く!?」
「この世で一番強いのは・・・俺なんだよぉぉぉぉぉ!!!!!!」
炎ロボが最後の応戦をしてくる。
でも、これで終わりだ!!
「テガソード合斗狼(アウトロー)ブレイカー!!!!!」
テガソードレッドがきりもみ回転しながら、炎ロボットに突っ込んでいった。
【ウルフ!ソードフィニッシュ!!!】
敵のロボットは貫かれ、胴体に大きな穴が開いた。
「この俺が・・・負けた・・・・・?嘘だろおおおおおお!!!!!!」
炎ロボットは宇宙空間で爆発四散した。
全部終わったと思ったら、指輪の光に包まれて私は居住区に戻ってきていた。
「リンリン!」「リンリン!!」
「あいつら・・・!」
リーダーっぽい男が逃げたってのに、まだ人を襲うのをやめていない。
「あっ」
さっきの、もう1個の指輪!
「これか!!」
私は指輪をテガソードにはめ込む。
「エンゲージ!!」
【CLAP YOUR HANDS!!】
軽快な音楽が流れだし、私はそのリズムに合わせて手拍子をする。そして敵に突っ込みながら、テガソードの爪で円を描いた。
【ゴジュウウルフ!!】
私の体を、狼の鎧のようなものが包み、赤い戦士に変身した。
体の奥から力が溢れてくる。バカデカイ衝動が止まらない!!
「うおおおおおおおおおおお!!!!!」
「「「「!!」」」」
その雄たけびは、同じ指輪を持つ4人の戦士たちの元へも届いていた。
「うおおおおおおおおおおお!!!!!」
衝動に身を任せ、ベル野郎どもに突っ込んでいく。
いつも以上に体が軽い。
まるで心に翼が生えたみたいだ。
自分の思った通りに体が動いて、敵をなぎ倒せる。
いま、私。
この世の何よりも自由だ!!!!!
「その指輪は破滅をもたらす!渡してもらうぞ!!」
「違う!今からこれは!!救世主の指輪だ!!!」
【フィニッシュフィンガー!! ウルフ!!!】
体が動くままに、敵に連撃を加えて、勢いよく弾き飛ばした!
「私が、救世主ナンバーワンだ!!」
WINNER! GOZYU WOLF!!
「あの子も・・・でも私は、絶対生き残る・・・!」
「戦えと、ガンダムが言っている・・・」
「指輪争奪戦・・・。こんなバカげた戦い、僕が終わらせてみせる!!」
「テガソード・・・・・。勝ち残れと言うならば・・・・・」
「会長―!」
「アマテ・・・さん」
「良かった、無事だったんだ」
「アマテさんも・・・ね」
戦い終わった後の町で、二人の少女は再会する。
「さっきはありがと。助けてくれて」
「こちらこそ・・・。手にしてしまったんだね・・・その指輪・・・・・」
「・・・願いなんてよくわかんないけど、でも私はナンバーワンになる。その先に、自由が待っている気がするんだ」
アマテは、人生で初めて決意というものをした。そういう風に感じていた。
新しい自分に出会えたかのような、そんな高揚さえ感じていた。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「会長?」
「願いもない癖に・・・。そんな奴に、指輪を持つ資格はない!!!」
「えっ!!?」
ホシコはクワガタオージャーに変身し、アマテに襲い掛かる。アマテも反射的に変身する。
「会長!何で!?」
「うるさい!その指輪、私が貰う!!」
訳もわからず戦うアマテ。
彼女たちを見つめる、指輪の戦士たち。
時空を超えた戦いは、ここから始まる。
・NEXT! NO.1 BATTLE!!(嘘)
ホシコ「指輪を持つ者同士は!戦い合うライバル!!」
ニャアン「お願い!その指輪を渡して!!」
シュウジ「勝ち残れと・・・テガソードが言っている」
マチュ「第2話『ホントの戦い(バトル)はアニメじゃない!』」
READY GO!!
・ジークアクス風予告
マチュ「この指輪一体何なわけ?」
ニャアン「分かんないけど、私にも叶えたい願いがある……!」
マチュ「よーし、だったらライバルだね!」
マチュ「次回『ホントの戦い(バトル)はアニメじゃない!』」
ニャアン「アニメとかあんまり見ないなぁ……」